正田佐与の 愛するこの世界

神戸の1位マネジャー育成の研修講師・正田佐与が、「承認と職場」、「よのなかカフェ」などの日常を通じて日本人と仕事の幸福な関係を語ります。現役リーダーたちが「このブログを読んでいればマネジメントがわかる」と絶賛。 現在、心ならずも「アドラー心理学批判」と「『「学力」の経済学』批判」でアクセス急増中。コメントは承認制です

2009年06月


 娘の通っている県立西宮高校の国際経済科が、来年度限りで募集停止になることになりました。

 この高校が阪神間での単位制高校になることに伴い、普通科から国際経済科の単位がとれるようになり、国際経済科が「消えて」しまうのです。


 この科は簿記や英検、電卓検など、たくさんの検定受検をすすめ、多い月には毎日曜ごとに何かの検定を受けています。娘もさっそく簿記検定と電卓検定を受けていました。こうして「検定慣れ」しているため、大学生や大人になってからの各種資格取得もスムーズで、他に一歩先んじているのだそうです。


 また独特の気風で、将来の経済人を育てるためと、あいさつや掃除に力を入れ、和気あいあいとした雰囲気で勉強しています。
 先生方もつねに最新の情報を仕入れるため各種勉強会に顔を出され、夜間も土日もないペースで働いてらっしゃいました。のを、たまたまですが、存じています。


 そういう国際経済科がなくなるのはさびし〜!^^

 のだけれど、これも時代の流れなのか…


 
 うちの子はさいごから2番目の代として、ここで勉強できて幸せだ、と思ったほうがよいのでしょう。
今からまだ2年半あまり、いい思い出をつくってほしいものです。

お世話になっている皆様


 蒸し暑い日々がやってきました。皆様いかがお過ごしですか。

 さて、うっとうしさを吹き飛ばす(?)お楽しみ企画のお知らせです。

 第3回よのなかカフェ:

 「三国志、戦国、幕末…あなたのご贔屓は?」


 世は歴史ブーム。歴史マニア、レキジョの皆様、どうぞあなたの「ご贔屓」を
熱〜く「かたって」ください。

 見知らぬ人同士も、かならず盛り上がれるハズ。

信長、秀吉、信玄・謙信、はたまた竜馬か諸葛孔明か…どんな「ご贔屓」が出てくるでしょうか。

 「カフェ」はフランスで生まれた、新しいコミュニケーションの形です。

老若男女、世代も職業も立場も違う人たちが、喫茶店などに集まり、

一つのテーマについて議論します。

 そこでのルールは、「大いに語る」「大いに人の話を聴く」のみ。


 これまで2回の開催では、

「全然知らない人と話し、意見が聴けて新鮮」

と、大好評でした。


よのなかカフェ開催要項:

 
【日時】6月24日(水)18:30〜20:00

【会場】Cafe P/S(カフェ ピーエス)
    http://www.cafe-ps.com/pages/top.html    神戸市灘区篠原南町6-2-2(水道筋1丁目商店街内)
    TEL 090-1225-8112
    阪急王子公園徒歩15分・JR灘駅徒歩18分

★水道筋商店街の中、神戸東部でも思いきり情緒豊かな街並みの中の
小さなカフェです。マスターは哲学者。

【対象】すべての一般社会人、学生、主婦の方。
    お子様も歓迎です。(注:保護者の方同伴のこと)

※当日現在、体調を崩している方、ご家族や身近な方が体調を崩されている方は、
恐れ入りますが参加をご遠慮ください。
    
【ファシリテーター】
    櫻井 香織(ありゅうる・しあんてぃふぃ〜く代表)
    正田 佐与(NPO法人企業内コーチ育成協会代表理事)

【参加費】1,000円(ワンドリンク代込。当日受付にお支払いください)

★商店街で買ったたべものはカフェに持ち込みOK。
当日は会場の場所をチェックしたら、周囲の美味しそうなたこ焼き屋さん、焼き鳥屋さん、etc…を探してみませんか。


【お申込み】事前お申込みは必要ありません。当日フリーでお越しください。


☆会場アクセスについて詳しい情報は…、

http://c-c-a.jp/koza/yononaka0906.html
 で、どうぞ。
 駐車場情報をふくむ詳しい地図が載っています。


 あなたと共に心ゆくまで「歴史」を語る時間を、楽しみにしています!



★NPO法人企業内コーチ育成協会 今後の予定

7月18日(土)13:30〜16:30
体験型ワンポイント講座
「教え上手の上司になる!〜どうしたら『学ぶ大人』を作れるか」
講師・関根 雅泰(せきね まさひろ)氏
   ?ラーンウェル CSR事業部

7月25日(土)26日(日)10:00〜17:00
「コーチング講座 基礎コースA」
講師:森川 里美氏
   正田 佐与氏


詳しくはNPO法人企業内コーチ育成協会サイト
http://c-c-a.jp
からどうぞ!


盛和塾の塾長例会が神戸・ホテルオークラでありました。


正田も塾生なので、受付手前で「いらっしゃいませ。こんにちは」をよびかけていました。


盛和塾では、正田は

「動機善なりや、私心なかりしか」

という言葉を学び、

そして心理学やコミュニケーションでは教わらない「倫理的な正しさ」を学びました。


正田が「コーチング」というとき、それは従来品のコーチングにかなり
「倫理性」を加味したものになっているとおもいます。

それは盛和塾での学びのお蔭です。


自分の夫と娘の鬱を治した経験から、

場のモチベーションに必要なものは、コミュニケーション以前に、
その場の根底にある「倫理性」だとおもっています。

人々が公正に、尊重して扱われるという前提。

さらに努力した者が報われるという「応報」の感覚。

たとえば努力した人に周囲がどんどん「依存」してしまい、
特定の人だけが際限無い努力を強いられるのは、
倫理なき「場の論理」であり、
それを正す「倫理」「信念」がなければ、いくらでもそうなってしまいます。


しかし「正しさ」は、心理学・コミュニケーションの世界では、
しばしば相対化されたり否定されるものであり、
私がそのことについて抱いていた違和感に、盛和塾は答えを出してくれたのでした。


最近の大臣の罷免問題についての各種世論調査では、
半数以上の人が罷免に「反対」で、
法律論からすると前大臣の言動には疑問もあろうかと思うのですが、
世論は細かい法律論より
「ゆうちょ銀行の不正ゆるすまじ」
という、より素朴な倫理観のほうを支持した、といえるかもしれません。

前大臣の言動にいささか政治的なパフォーマンスの匂いも感じていた
私ではありますが、
人々は今、表面的な要領のよさより倫理性に軍配を上げたい気分に
なっているのかもしれません。


今回の塾長例会では、ホスト塾(神戸・播磨)の塾生は、ハッピを作らず、
オリジナルバンダナを作り、折りたたんで腕章にして腕に巻きました。


余興にスティールパン・パンジャニの演奏がありました。
スティールパンの演奏をきいたのは初めて。
打楽器だけで作る素朴な音と、プレーヤーの楽しいパフォーマンス。










 家人が会社の同僚のお葬式に行って、

「重かった」

と帰ってきました。


 40代後半、働き盛りの前触れのない突然死。奥さんと中学生の娘さんがお棺に取りすがって泣き崩れ、出棺もなかなかできなかった、といいます。


 中学生の娘さんが参列者に挨拶し、そのなかで

・亡くなったお父さんは今月昇進が決まったばかりで、そのことを本人も家族もすごく喜んでいたこと。

・娘さんがお祝いにネクタイとハンカチを贈ってあげたこと。

・そのネクタイが、亡くなった前の晩(夜寝ている間に発作で亡くなった)にお父さんの机の上に置いてあり、亡くなっていなければ翌日それを締めて出勤するつもりだったらしいこと。とうとう、生きているうちに娘さんの贈ったネクタイを締めてくれることはなかった。


 …を、話し、参列者の涙を誘いました。


「あんな悲しい演出、せんでええのに」

 つぶやく家人。

「お嬢さんの心の整理のために必要だからと、葬儀社がすすめたんちゃうか」

と私。


 死因は心室細動で、検査で不整脈は見つかっていたのだとか。


「教訓は、死ぬときには家族に予告を、ということやな。突然行ったらあかんな」

「アホ、その前に病院行きなさい。あなたは病院毛嫌いして行かなさすぎ」



 朝一で、「帝国ニュース」の原稿をご送付。

 いつの間にかこの連載ももう8回目。今回は「叱る力」について、書かせていただきました。


 倒産情報でできている雑誌に、ほかは弁護士さんや社労士さんが法律的な話を書いてはる中でここだけ異色の記事です。

 午後には担当の情報部長さんがゲラを送ってくれたので、

「参考になったと言っていただき励みになります。

私のクセで、1つ1つのことをあまり『断言』せず含みをもたせるところがあるので
歯切れがわるいと嫌がられることもあるのですが、
表現をそのまま反映していただき有難いです。
次回もよろしくお願いいたします」

 とお返事しました。

 
 断言口調は、「答えを欲しい」人には有難いかもしれない。

 でも、生身の人間相手のこと、
一つのことに答えがひとつなわけではない。

 「答えを欲しがる」人のニーズに安易にお答えしていると、
 可哀そうなのは部下のほうです。
 とんでもない「ズレ」た扱いを、上司から受けることになるかもしれません。

 それは職場の上司―部下間のことなので、
その答えが「ズレ」ていてもふつうは修正できないでしょう。


 ケータイ文化など、見ていると、
「短くわかりやすく言う」
「一つの問いに答えは一つ」
 ――つまり、ケータイ画面に収まる程度の答えしか
ほしくないよ、という風潮を感じるので、

 困ったモンダ^^

 このブログの読者の方は、ケータイから見ている人は
そんなにいないんじゃないかと思います。


 いつも長い文にお付き合い、
 ありがとうございます。m(__)m





 


永遠の学びの世界、というものの存在を、このブログの読者の皆様は信じていただけるでしょうか。


旧CLS副代表を務め、今もNPO法人企業内コーチ育成協会の理事に就任したO氏。


私にとっては気心知れた「盟友」なのですが、かれが先日、「コーチング講座基礎コースB」に参加しました。



コーチング学習歴6年以上のO氏にとって、傾聴・承認・質問の「基礎A」の内容は、ほぼ体に染みついたお手のもの。日々、部下とのやりとりで使いこなしています。


もっとも、専門は経理であり、経営診断のような分野の勉強もし、決してコーチング一筋というわけではない。朝10時からほぼ日付が変わるまでの間、人材派遣会社の役員・マネージャーとして過ごし、部下の相談に乗ったり自分で資料作りしたり証券会社や監査法人とつきあったり、会議に出たりということをしています。

そういう毎日なのですが、「自分のベースはコーチング」というかれの確信は不思議と揺るがず、こうしてNPOの理事に返り咲いたり講座に出たりしているわけですが…、


そのO氏、「アサーション・フィードバック・叱り・強み発見・その他」という、当協会の基礎コースBに出席して言ったのが、

「ああ、新しい勉強をしました。

また、自分ではできてると思っていたところが弱ってきているのもわかりました。改めて勉強して良かったです」


O氏はもともとポジティブで、「貢献」に価値を置く、ソーシャルスタイルでいうとPとFの複合かなという性格なのですが、

(そういう性格でもないと正田と長年歩調を合わせられない?)


「承認」を比較的得意とする代わり、ネガティブな指摘をする、「フィードバック」や「叱り」などはどちらかというと苦手。


今回「基礎B」の受講で、「自分はフィードバックが苦手なんだとわかりました」と発言。

ただし、部下でこのところ成長に足踏みして十合目のうち二合目あたりで止まっていた女性には、

「まだ二合目だよ」

というフィードバックを最近かなり強くやり、

その後彼女は再度、十合目を目指すイメージを持つようになってきた、といいます。



そのあたりのもろもろの感覚について、O氏いわく

「今もコーチングは日々使っている。

この瞬間はこのスキル、次の瞬間はあのスキル、と無意識に使っている部分があるし、

うまくいかなかったケースをふりかえると、『あ、あのスキルを使ってなかったからだよな』と気づいたりする。

今回久しぶりの講座でまだ知らない、できてないスキルがあることがわかった。

また、できてると思っていたスキルも弱っている部分があった。

ずっと続く学びですね、これは」




たぶんそれは正直な言葉なのでしょう。


脅したいわけではないけれど、

コーチングをやめてしまうといきなり業績も下がるのも経験ずみ。

スポーツのようなもので、常に磨きつづけていないと落ちてしまうのでした。


O氏は、コーチングの専門家でなく、現場密着で、
「自分の最優先は(役員の)仕事」と言い切りながら、
6年にわたって地道にコーチングをやり続けるといううえにおいて、

私にとっては尊敬する友人なのでした。


そして今回また、

褒める・認める・叱る が人を伸ばすうえで有効とわかったうえで、

それを一つの人格に集約してやり続ける企業内コーチってどうよ、

と思いはまたそこに行くのでした。


「脳にいい人の育て方」などは、ハウツーとして出回っています。

でもそれを現実にやり続けることができるのはどんな人格の持ち主なのか。


ハウツーを切り売りして、「さあ、やれ」というのは本当に人道的なのか

…なんていう書き方をすると、また正田は戦闘的で、とお叱りを受けそうなのですが。


おととい、きのうと2日間神戸国際会館で講座をし、

すっかり「へたっ」となっていました。


この土日は、いわば「叱り方」の講座でした。


コーチングの「承認」(ほめる、認める)を学ばれた方を対象に、

次の段階、「フィードバック(=厳しい指摘)」や「叱る」をするにはどうするか、

というのをお伝えしました。


直前まで、うんうん頭をなやませながら作りました。

本を書く人は、その点気が楽なんじゃないかな〜と思います。

受け取り手の顔が見えませんから。


講座でお伝えするのは、皆さん本気で学びにこられるので

翌日から、その内容をほんとに職場で実践されるかもしれない。

こんなふうに教えたら、現実にどんなことが起こってしまうだろう。

そういうことを考えると、心配しだしたらきりがなくて

テキストをああでもない、こうでもないと書きなおします。


受講生の皆さん

「疲れた」

と言いながら、

さいごは

「楽しかった」

と、帰っていただきました。


「強み発見」とか、楽しいコンテンツもいっぱいしたんだけど、

やっぱり「叱る」のところをそのあとどうされたか

すっっごく気にかかる。

皆さんにとってその部分が重〜くのしかかっているのが

伝わりました。



あ〜、今回は完全に写真をとり忘れた。


写真なしのブログになりました。




講座の1日目と2日目のあいだの時間、2日目日曜の朝に
三宮のおそうじボランティアに行ったら、
同仁広大の院長先生に会いました。

竹ぼうきをいっぱい持ってこられました。


 今週末は、NPO法人企業内コーチ育成協会のコーチング講座・基礎コースB。

 このコースでは、「アサーション」「フィードバック」などを扱うため、

 受講生様の事前課題に「部下からのフィードバック」というのをお出ししました。


 皆さん、おやりになったでしょうか。。


 まず隗より始めよ、ということで、正田は手近にいた息子に書いてもらいました。

 
★あなたのお母様(受講生様には、この部分に「上司/先輩」が入る)、正田佐与さんについてお尋ねします。


(1)あなたからみて、お母様の尊敬できるところ・信頼できるところ・素晴らしいと思うところは、どんなところですか。いくつでもお答えください。


 ――悩んでいることを素直に言えるところ


(2)では、お母様について、「ここはできれば改善してほしい」というところはありますか。もしあれば正直にお書きください。

 
 ――リビングのソファーの一番いいところでねてしまうところ

★ありがとうございました。このシートがあなたとお母様の間の信頼をより深めるものになりますようお祈りいたします。



 ふむふむ

 (2)はだれでも結構ドキドキすると思います。この程度で済んでよかった〜と思ったり、まあ息子もあれで大人だから差しさわりのないことを書いたのかなと思ったり。


 とりあえずゆうべはソファーで寝るのをやめ布団で寝ました。



 受講生の皆様、案外この程度です。「布団で寝る」程度の改善で済むなら、やってみませんか。
 


『つながる脳』(NTT出版)の中で、脳科学者の藤井直敬氏が「リスペクトが循環する社会」というものを提唱しています。


 この本によると、

 実験で、お金の報酬を受け取ったグループと、自分の人格へのプラスの評価(社会的報酬)を受け取ったグループを比べると、どちらも基底核の中の線条体が反応をみせました。

 その反応は、お金の報酬ではより高い報酬をもらえる条件のときにより強い活動を示したのですが、「社会的報酬課題」(ほめ)で起きた線条体の活動の強さのほうが、お金の報酬より強かったというのです。

 
 「つまり、この実験が示しているのは、われわれの行動の動機づけとなっているカネの影響と、社会的な報酬つまりホメの間には、共通の神経メカニズムが働いているということを示しています。ホメは、カネでばかり動いていると思われている社会を動かしている、もう1つの隠れたエンジンなのではないでしょうか」


 と、藤井氏は言います。


 人は認められるために働く!という、組織論の中で言われてきた「承認論」が、いよいよ脳科学で裏づけられてきたといえましょう。


 このあとの藤井氏の記述はとても正田は共感できたので、すこし長く引用します:


「しかし、ヒトの脳がホメをカネと同じように扱っているというのは、一見驚きのように思えますが、よく考えたら別に不思議なことにも思えません。なぜなら、私たちの脳は、現在のようにカネ主体の社会以前から存在していたわけですし、その中では何らかの行動を動機づける要素が必要だったはずです。


 僕は、そのような動機づけを行う要素が社会的関係欲求だったのではないかと思うのです。もちろん、その欲求内容は一つではないでしょう。他者と関係を継続すること、他者から社会的に認められること、社会に奉仕すること、そういうことが僕たちを動かす原動力になっていると考えるのがおかしいことでしょうか。しかし、科学は、そのような数値化できない要素についてはほとんど無視してきましたし、科学者がそれに言及すると奇異な目で見られがちでした。」

 


「社会的実存を認めるということは、個人をとりあえず無条件で丸ごと尊重(リスペクト)しますよということです。ですから、まず身近なヒトたちへ自分からそういう気持ちをもって接することから始めるというのはどうでしょうか。…リスペクトは、それを受け取る相手に嫌な思いを引き起こすことはないでしょう。それに、自分をリスペクトしてくれるヒトがいるとすれば、それに対してリスペクトを返そうという気持ちに自然になるのではないでしょうか。つまり、いったん自分からリスペクトを発信すると、それは循環を始めるのです。

 リスペクトが循環する社会はどのようなものになるでしょうか。おそらく過去にその余裕をもつ社会はほとんど存在しなかったのではないかと思います。リスペクトはおそらくヒトとヒトの関係を安定したものにしてくれるでしょう。たとえ議論に負けても、自分の存在が否定されるのでなければあまり苦痛に感じません。むしろ、議論に勝っても、自分が社会から否定されるのであれば全く意味のないことです。つまり、物事の価値が、勝ち負けだけでなく社会的評価軸を含んだものへ移行するのではないかと思います。

 そこには神も仏もいりません。あくまで他者をリスペクトする気持ちだけでいいのです。リスペクトをもって他者と接することは、コストはあまりかかりません。しかも支払ったコストはリスペクトとしてきっと返ってきます。なんとなく試してもいいような気がしませんか。僕たちの幸せはたいてい身近なヒトたちからのポジティブな評価があるだけで十分なのです。ということは、身近な人々が、みなさんが変わることで変わってくれることを実感できれば、少なくとも自分自身が満たされた気持ちになるでしょう。

 そのような社会でヒトの満足は、おそらく今のカネ中心の社会よりも深いものが得られるのではないかと思います。ただ、間違えてはいけないのは、カネとリスペクトの二つを軸とした社会でなければならないということです。現代の社会はカネなしでは回りません。

 今、世界には何か大きな転換期が来ている気がします。これまでの枠組みを壊すのではなく、ゆっくり時間をかけて修正していく、そういう大変な時期なのかもしれません。脳科学が、そのような新しい世界の構築に何らかの役割を果たせるようになるといいと本当に願っています。しかし、その修正の方向はヒトの関係性を大事にすることを一番に考えないといけません。僕たちはカネをいくらもっていても幸せになれませんが、素敵な関係は一つもっているだけで僕たちを十分幸せにしてくれるのですから」



 いかがですか?

 最後のほう、いささかロマンチックに走ったきらいもありますが、
 (脳科学者の記述はまだ裏付けがとれてないことに関してよくそうなります)


 この本は脳科学のやや閉塞的になった状況へのアンチテーゼとして書かれました。


 自己啓発セミナーなどに断片的に脳科学が引用されることへの危惧、個体としての脳をみることに限定されてきた脳科学の方向性への危惧。
 

−「最新脳科学の応用」として、オリンピック選手のような肉体や精神をもつためにはどうするか、のハウツー本がいかに多いことでしょう。ほとんどの人は、オリンピック選手になる人生を送るわけではありません。より深く、社会的関係性の中に生きています。「卓越性」などは多くの人にとってあまり意味がないばかりか、むしろそれを強調することで周囲の人への「見下し」を蔓延させてしまうかもしれないのです。この部分はこの本と関係がなく、正田個人のぼやきであります−


 そこから出発して、「社会的存在としての脳、ヒト」をもう一度とらえなおそうとした意欲的な試みです。

 そこでまた、2005年に組織論の世界で太田肇教授が提唱して間もない「承認論」が大きくクローズアップされているのも、意義深いことです。

 筆者は1965年生まれ、理化学研究所脳科学総合研究センターの適応知性研究チームリーダー。正田てきに今後追跡したい脳科学の系譜であります。


 岡ちゃんこと岡田監督の日本代表がウズベキスタンを破り、ワールドカップ南アフリカ大会へ。


 監督の手法を語った記事から。。


「『本気で世界のベスト4を目指さないか』。2007年11月に脳梗塞で倒れたイビチャ・オシム前監督の後任となってから、岡田監督は選手に問いかけ続けた。


 世界4強は、02年の日韓大会で韓国が記録したアジア勢最高順位。最初は戸惑いも広がったが、

『行けない理由などない。ただし、適当に練習、試合をして、夜は酒をかっくらって行けるか。本気とは、生半可なことじゃない』と説くうち、(略)主力の目の色が変わった。

 『監督は僕らを乗せるのがうまい』と遠藤選手。岡田監督は元々、『戦術論なら誰にも負けない』と言い切る理論家。心理学の勉強などから、明確な目標設定が日々の生活も変える効果を考え、まず選手の気持ちに訴える方法を採った。指導も『パスを出しても足を止めるな』、『ボールを奪われたらすぐ奪い返せ』とシンプルなことを口酸っぱく繰り返す。原則を徹底して刷り込み、無意識に体が動くようにするためだ。」(6月7日読売新聞)




 こうした記事から、心理学のどの流派の援用だろう、とすぐ考えてしまうのが正田はクセになっています。


 「明確な目標設定が日々の生活も変える」

とは、コーチングでもNLPでも言われます。NLPでは、「アンカリング」という用語を使います。


「パスを出しても足を止めるな」

のようなシンプルなフレーズを口酸っぱく繰り返す、これは心理学者にしてアメフトコーチだった、武田建氏のコーチング論にはよく出てきます。

「ボールを見てボールを見てボールを見て、ナイスキャッチ!」

と、声掛けして、

「ボールを見て」という「行動の前につける強化子」と、「ナイスキャッチ」という、「行動の後につける強化子」で行動をサンドしてやることで、選手の成功体験を増やす、というやり方です。

 行動理論、行動分析学の世界ではわりあい常識なので、ほかにも文献は色々あるかもしれませんが。。


 原辰徳氏も心理学をよく勉強した、といわれますが、さすがに一流監督の研究欲おそるべし。



 もうひとつ、目を引いた新聞記事。


 日経新聞6月7日の一面連載記事『大転換―第3部 揺らぐCEO神話?』

 では、カリスマ経営者がここ10年ほどの間に、日・米ともに退陣または失脚した、といいます。


 マイクロソフトのビル・ゲイツ氏、ゼネラル・エレクトリック(GE)のジャック・ウェルチ会長、IBMのルイス・ガースナー会長。。。


 後任はカリスマ性のない実務家タイプで堅実な経営をし、カリスマ経営を続けたアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)やリーマン・ブラザーズは破綻したのでした。

 そして日本でも、カリスマ山内溥氏から消費者代表の岩田聡氏へバトンタッチして成功した任天堂、伊藤忠商事の精肉畑出身の上田準二氏を社長にすえたファミリーマート…

 ファミマの上田社長は自分が神様になろうとせず、ひたすら深夜まで社員の話を聴いたそうです。


 『「危険な非凡」より「誠実な凡庸」。今回の経済危機の原因の一つが、際限なく膨らむ市場や顧客の期待に応えようとしたトップの『背伸び』にあったとすれば、経営者を評価する尺度も大きく変わる』

と、この記事は締めくくっています。


 カリスマ性に頼らない、経験と思考に基づく誠実な伝達と学びを。

 NPO法人企業内コーチ育成協会の講座も、いわば「誠実な凡庸」を心がけています。

システム思考入門の講演会を、国内第一人者の(有)チェンジ・エージェント小田理一郎先生をお招きして神戸国際会館で行いました。



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集まったのは製造業、病院、大学、公的機関の経営者、管理職など約20名。


ごっっつい真剣な方々で、質疑の時間は


「サブプライムローン問題があのように膨らんで弾けた背景とメンタルモデルは」

「工場のコスト減のためのダイアログ(対話)に要した期間は」


など、食い入るような質問がビシビシ。


講師の小田理一郎先生も、

「レベルの高い参加者ですねえ」


と、あとで感嘆しておられました。



コーチングは基本的に「個人」を対象として強化しますが、

それだけでは視野狭窄になりやすいもの。


今後も「システム思考」とは、相互補完的に連携することになるでしょう。



小田先生、すばらしいお話をありがとうございました。

また、すばらしい参加者の皆様ありがとうございました。


真夏を思わせる暑さになってきました。

 植物はぐんぐん伸び、1年の中でももっとも鮮やかな緑をみせてくれます。


 さて、
 米ゼネラル・モーターズ(GM)の経営破たん、民事再生法申請が、大きな波紋を呼んでいます。

 デトロイトの工場従業員、その家族、そして全米各地のディーラーたち。今後の影響は、はかり知れません。

 そして、アメリカの失業率増、消費者の購買力減は、いずれ日本にも及んでくるでしょう。

 ひとつひとつの意思決定が、周囲とどうつながり、どれほど大きな影響を与えるか。


 やはり、今の時代だからこそ、そこに敏感でありたいものですね。


「つながり」からものごとの全体像をみる「システム思考」。わが国での第一人者・小田理一郎氏の関西での貴重な講演は、あさって6月4日夜、神戸で。


 皆様、どうぞ万障お繰り合わせのうえお越しください!


【講演概要】

タイトル:「なぜ、あの人の解決策はいつもうまくいくのか〜システム思考入門」

日時:6月4日 18:30〜20:30
会場:神戸国際会館 http://www.kih.co.jp/access/index.html   JR・阪急・阪神三宮駅南徒歩3分
参加費:3,000円(当日受付でお支払いください)
お申込み: NPO法人企業内コーチ育成協会ホームページより
      お申込みください。
       http://c-c-a.jp/koza/systemthinking.html主催(お問い合わせ先):
   特定非営利活動法人企業内コーチ育成協会
    〒658-0032 神戸市東灘区向洋町中1-4-124-205
    TEL: 078-857-7055 FAX: 078-857-6875
    e-mail: info@c-c-a.jp URL: http://c-c-a.jp
 
お申込み〆切は、きょう6月2日(火)です。


※会場には消毒液等を備え皆様の健康保持に努めます。またイベント当日にご気分の悪い方、体調を崩された方は、恐れ入りますがご参加をご遠慮願いますようよろしくお願いいたします。




 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
 今日1日があなた様にとって素晴らしい日でありますよう。



NPO法人企業内コーチ育成協会
今後の予定:

6月13・14日
  コーチング講座 基礎コースB(基礎コースA受講者が対象)
6月16日
  よのなかカフェin六アイ カフェ「ヌーベルバーグ」にて開催!
6月17日
  「ラブ神戸」掲載店様向け勉強会
6月24日
  「よのなかカフェ」Cafe P/Sにて 「三国志・戦国・幕末、あなたのご贔屓は?」
7月18日
  例会「教え上手の上司になる!どうしたら『学ぶ大人』を作れるか」
7月25・26日
  「コーチング講座 基礎コースA」森川里美コーチ登場!


詳しくはホームページ http://c-c-a.jp をご覧ください♪

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