正田佐与の 愛するこの世界

神戸の1位マネジャー育成の研修講師・正田佐与が、「承認と職場」、「よのなかカフェ」などの日常を通じて日本人と仕事の幸福な関係を語ります。現役リーダーたちが「このブログを読んでいればマネジメントがわかる」と絶賛。 現在、心ならずも「アドラー心理学批判」と「『「学力」の経済学』批判」でアクセス急増中。コメントは承認制です

2009年08月


 以前、あるところで私が

「おこがましくも『大人に対する教育』をする立場としては」

というフレーズを書いたとき、

読まれた子ども向けの教育者のかたからの反応があり、


「私は『教育』をしているとは思っていません。すべての子どもから学んでいます。子どもは私にとって、教えてくれる対象です」


 学生からつねに学ぶ、という姿勢には私も大いに賛成である。


 こういう反応もあることを一方でわかっていながら、
でも私はやはり
「おこがましくも『教育』をしている」
という自覚は持っておきたいと思う。


 というのは、

最近私の講座に来られた受講生さん(実は、私よりもずっと年長で、教育者としても大先輩の方)から、

こんなふうにお褒めの言葉をいただいたのだ。


「正田先生は、絶対に生徒を傷つけることを言われないですね。これは天性のものなんでしょうか」


 この方は、英国の大学で35年も教鞭をとってこられて最近帰国された日本人の教授。ご専門は倫理。

 
 英国の大学でも、(日本はもっとそうだが)先生が講義の中で学生をからかう、いじる、というシーンはある。笑いをとるための冗談として行われるが、冗談のつもりが学生を決定的に傷つけるということがある。近年では、さまざまな人種・年齢・立場の学生がいることにかんがみ、教授の「冗談」にも規制がかかっているという。


 先生という立場は、教室では強大な権限をもつ。それを笠に着て、生徒を「下」にみた冗談、いわばハラスメントということは起こりやすい。しかし、それは生徒の心に決定的に傷をつける場合があるほか、教育効果としても疑問符がつく。


 生徒は先生から、学問だけでなく人格全体を学ぶ。それは、正田も某ビジネススクールでいやというほど見てきた。


 それで気をつけている結果なのかどうかわからない。2日間の講座を受講していただき、さらにそのあとフォローアップ勉強会にも参加していただいて、
この教授は

「正田先生は生徒を絶対に傷つけないですね」

というところに目をとめられたのだ。


 
 もし、そのことが当協会の受講生さんの受講後の実施率の高さに多少なりとも寄与しているとしたら。


 はかない努力もいくらかは報われているというべきだろう。

 講義の華やかさ面白さは減じるとしても。



 人に、とりわけ大人に教えるとは、おこがましいこと。
 教えた先に素晴らしいことが起きると信じているから、あえて教え続ける。


 
 そして自分を律するために、
 「おこがましくも教育をしている」
 と、自覚するのは必要なこと。

 それをせずに自分の中の
「楽しければいい」
「ウケればいい」
 という引力に任せてしまったら、
 どこでどう人を傷つけてしまうかわからない。


 今日は、ちょっと悲しさのこもったつぶやき。


 この教授
 〜IFU(国際大学連合)の理事長・北中寿氏〜

 ときのう、「対談」をさせていただいた。


 「教育」というものについて英国の大学でどんな試行錯誤を重ねているかがわかり、たいへんおもしろい対談だった。


 正田はめずらしく、「べたぼめ」していただいてしまった。
 めったに人にほめていただくことがないので、嬉しかった。


 また、録音起こしができたら、このブログにアップします。

 同志社大学教授・NPO法人企業内コーチ育成協会顧問である、太田肇氏のインタビュー 後半戦です。


太田?正田1


 「承認」の波及効果から、太田氏が長年の主張を結実させるべく昨年設立して所長に就任した「表彰研究所」の話題、それに企業内コーチング、最後に「これからの社会観」についてもうかがいました。


 
 太田肇氏インタビュー(2)「表彰研究所、企業内コーチング、これからの仕事と社会」

内容:

1.承認と男女共同参画
2.日本表彰研究所の設立
3.企業内コーチング 実践につなげるには?
4.マネージャーが承認を学ぶとは
5.これからの社会は?


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 先週20日、NPO法人企業内コーチ育成協会顧問・太田肇氏(同志社大学政策学部教授、組織論)に、当協会事務所でインタビューを行いました。


 太田氏が「承認論=人が働く動機づけのうち最大のものは『認められたい』という欲求であり、この欲求を上手く活用することでマネジメントが大幅に向上することを提唱したもの」を、明確な形で提唱したのが2005年初夏。

 大きな反響をよび、今では「働く人の動機付けは認められること」という考えはごく一般的になりました。
 その当時は画期的なことだったのです。


 その年の晩秋、正田は太田教授の研究室をご訪問し、4時間にわたる対談。

 以後、当時の任意団体、コーチング・リーダーズ・スクエア(CLS)勉強会に講師として来ていただいたり、2008年からは団体顧問に就任していただいたり。


 年間50件以上の講演依頼をこなし年2冊ペースで本を書く多忙な方ながら、小さなCLS〜当協会のさまざまなご依頼にも嫌な顔ひとつせず応じてくださいます。


 今回は、当協会発足にあたりホームページにも「承認論のページ」をつくるため、改めてインタビューをお願いしたものです。



 約1時間半にわたるインタビューを、このブログでは前半・後半に分けてご紹介したいと思います。


 太田肇氏インタビュー(1)「『承認論』の過去・現在・未来」

 1.「承認論」のインパクト
 2.モチベーションは目標からくるか、承認からくるか
 3.2009年現在の「承認」
 4.見え隠れする立身出世志向
 5.不祥事と「短期的思考」
 6.楽しさ面白さは人を弱くする?


太田?正田14
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 第5回よのなかカフェ「『自分らしさ』vs『自己チュー』どう違う?」


 大人7名、子ども2名が灘区・水道筋のカフェ「Cafe P/S」に集まりました。





 
 実は、もともとこのテーマ、いずれも母親である主催者の2人の女性が「子育て」〜自分たちの子どもを含め、次世代をどう育てるか、を念頭につくったテーマだったのですが、


 ふたをあけてみると・・・。


「勉強がしたくて講座に行くために子どもを母に預ける。そのたびに罪悪感。『そこまでして講座に行きたいか』とせめられる」


 という、子どもをもつ女性。


「いい学校さえ出ればと勉強ばかりしてきたが、社会では急に主体性が求められる。自分らしさを大切にすると求人と合わず、かといって自分を抑えるとキャリアカウンセラーに『自分がない』と怒られる」


という、求職中の男性。


 今回のテーマが、切実にその人の「今」に、結びついていました。



 「子どもを預けても、ママが自分のしたいことをして輝いていたほうが、結局はお子さんにいい形で還ってきますよ」
「自分らしさか自己チューかの分かれ目は、自分の責任をきちんと果たしているかどうか、周囲の人に配慮があるかどうか。そこがきちんとしていれば、大丈夫ですよ」


 先輩パパ・ママのエールに、若手ママは「ほっ」とした表情に。



 そして求職中の人には、


「まず『動く』こと。いろんな人に会い、話をきくこと」

というアドバイスが。


 「自分のしたいこと」にこだわり、動くうちにやりたいことに出会った、という人の話も出てきました。



 ありゅうる・しあんてぃふぃ〜くの櫻井香織さんと私、4月から手探りではじめた「カフェ」ですが、1回1回充実した内容になってます。


 
 皆さんどうもありがとうございました。


 次回は9月24日(木)。テーマは決まり次第、またお知らせいたします。



 きのう、ランチ前に雨の中、中山手の ひょうご仕事と生活センター というところにご挨拶に行ってきました。


 ここは、兵庫県に新しくできた外郭団体。ワークライフバランスや男女共同参画などをテーマにしています。


 「代表」は主任相談員という肩書きで、P&G出身の北尾真理子さんという女性。


 そこへ、なんのつてもないまましょうだは「ご挨拶」と言ってお邪魔し、

当協会が任意団体時代からこういうことをやってきました、
貴センターと目指すところはおなじなんです、

ということを資料を見せながらお話しすると・・・、


 あれよあれよというまに


「コーチング大事ですよね。当センター主催でセミナーを打ちますのでどうぞ、貴協会の講座に誘導してください」。


 話の展開の速さにびっくり息をのむしょうだ。

 
 お役所仕事のこと、何かコラボできるとしても来年度以降の話かと思っていたのに・・・。



 一夜明けて今日はまたお昼に電話がかかってきて

「今から来られますか」。


 行くと、


「10月5日から9日空いてますか。ここを全部セミナーで埋めましょう」。


 その日の会議で、同センターが県内5ヵ所でセミナーを打ち、コーチングもその中で各日1時間半の枠をもらえる、ということに。

 もうチラシのレイアウトまでできていて。


 さすが元P&Gのトップ、それに周りの人たちもそれぞれNPOを主宰しているような人たちですが、決断速い。



 しかも、しょうだはいつもの調子ながら、ききようによっては相当ナマイキなこと言ってるんだけど、


 それが全然浮かない。

「女のくせに」みたいな視線を浴びることもなく、

当り前のように、こちらの言ったことを踏まえて「じゃあどうしよう」と次の段階の話をしてくれる。



 北尾さんは「ダイバーシティー」(多様性の受容)の専門家だそうですが・・・


 お見それしました。


 
 なんか、本当に「社会が大きく変わっていく」のかもしれません。



 NPO法人企業内コーチ育成協会では、「基礎コースA」のあと、受講した皆さんに「承認」の宿題をお出ししています。


 「任意提出ですよ〜」と言いながら、受講後1週間ごろには


「そろそろ宿題の〆切ですよ〜」


とメールでプレッシャーをかけられる、というコワイもの。


 
 皆さん大人ですから、縛ることはできませんが、

 全体の半数くらいの方々が、宿題をメールで提出してくださいます。

 これまで「承認」なんてあまり考えなかったけど思い切ってやってみた、という人から、

今までも心がけてきたけれど講座で学んだ、まだやったことのない高度な「承認」をしてみた、という人まで。


 1つ1つの「宿題」がほほえましく、劇的に変わっていく上司−部下の関係性が伝わり、

部下のかたの今後の人生の発展とか会社の業績とか上司の方の人間的なゆとり、などを想像すると心が
「ふんわり、ほっこり」するのです。


 このたび、4月以来の皆さんの「宿題」を

 当協会顧問で、「承認論〜人が働くモチベーションの源は『認められる』ことだ、と提唱した」で有名な同志社大学教授の太田肇(はじめ)氏にみせて講評していただこうという企画をしました。


 代々の受講生の皆さんにメールで呼びかけると、7人の方が応じてくださり、

 日曜夜に太田教授に転送したところ、月曜朝にはお返事で講評が返ってきました。

 この人らしい、誠実で丁寧なものでした。


 以下、お許しをいただいて「講評」をこちらにご紹介させていただきます。
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 7月25−26日の「コーチング講座 基礎コースA」。


 このコースでは、受講生様に「承認」の「宿題」を出すのが恒例です。


 「任意提出」といいながらも、熱気のこもった講座だっただけに、続々とレベルの高い「宿題」が返ってきて…、


 正田がれいによってウルウルしながら、コメントをつけたり皆さんに共有したり。


 そのうち、「素晴らしい実践の宿題をしてくださるんですよ〜」と、

 当協会顧問の太田肇・同志社大学教授にお話しすると、


 「そうですか。それは拝見したいですね」

 とお返事をいただきました。



 そこで、「太田教授にお見せしてもいいですか?」と皆さんにお伺いすると、それに対してまた


「喜んで!」

「太田先生に見ていただけるなんて、嬉しいですね!」


 と、お返事がかえってきている、という次第です。


 
 責任ある立場の大人の方でも、だれかに褒めてもらえるのはとても嬉しいもの。

 正田もその気持ち、よーくわかります。


 
 コーチング講座を舞台に、次なる段階のドラマがうまれるかも?

 今から楽しみです。

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