「あれから正田さんの言ったこと、よく考えた。凄くよくわかった」
起業家の友人から電話。
「どんどん新しいものを学んで、その時点の最高の自分でいよう、とすると、多重人格っぽくなるということ。 自分が一瞬前の自分と全然違っている。
一瞬前の記憶がない。
自分に人間としての一貫性がない。
最近そういう感じが強くなっていた。これじゃいけない、と思っていた。
これは幸せじゃないんじゃないか」
「ああ、大きなものに気づかれましたねえ」
と私。
「あなたは頭がいい、どんどん多くのものを吸収され続けている。そしてあなたの事業の目指していることは素晴らしいものです。これからも組織を大きくして、たくさんの人を巻き込んでいかれるといい。
でもそのときに大事になるのは、リーダーのあなたの一貫性なんです。それがなければ空中分解してしまう。
大事なもの…というと、おこがましいですね。大きなもの。自分1人で行くのではなく、みんなで幸せになる、ということ」
「そうですね。凄くそれがよくわかりました。あ、会社はみんな楽しくやってます、お蔭さまで」
コーチングは、人に作用するとき通常「加速」「拡大」「増加」の方向にはたらく。
何かを「やる」ことのコーチングは易しく、「やらない」「やめる」ことのコーチングは難しい。
でも、勇気を持って「やらない」「やめる」選択も、ときには必要。
あくなき「成長」を求めることを捨てて、得られる「幸せ」もある。
大きな「幸せ」を手にして欲しいなあ、と電話を置いて思った。