『職場は感情で変わる』(高橋克徳著、講談社現代新書)を読みました。
第二章「そもそも感情って、何?」は、過去の感情研究、組織感情研究をきっちり押さえたおすすめの章。
コーチング講座基礎コースC「感情と価値観」は、次回は12月に開講します。
そして第四章「組織感情を引き出し、共有する方法」は、「マネージャー同士の助け合いネットワークを作る」として、
正田のすきなH.ミンツバーグ教授の「コーチング・アワセルブズ」の改良版についても触れられていました。
ミンツバーグは、「マネージャーの内省」を大切にした人で、この本でも「内省」の場面が紹介されています。
「内省」は、単純明快な「自己実現礼讃」という立場とは対立するかもしれない。
一切翳りのない輝き、というのは、「内省」のないことを意味しているかもしれない。人前で話す職業の人にも多いです。
「内省ずき」「内省グセ」は営業上、不利にはたらくかもしれません。
でも、私は「内省」がすきですし、
最近気がついたのですが、だれかについて私が
「この人、大人だなあ」
と感じるときというのは、その人が「内省」の言葉を口にしたときなのでした。
「翳りのない輝き」には、私個人はあまり魅力を感じない。ときに自己懐疑を口にするぐらいの「揺らぎ」のある人がすきです。
(これもまた読んで不愉快になる人もいるかもしれませんが、高すぎる自尊感情、あるいは自己肯定感というものは、しばしば「攻撃性」に転化するということが、最近の心理学では言われるようになっています)
「内省」は、自我を克服したときに自然と生まれます。
逆に、私が「この人、『内省』がないなあ」と危ぶむときというのは、たとえば経営者さんが、「学習欲」にとりつかれ、自我を外へ外へと拡大しているときで…、
あんまり書くのやめとこう。
以前、大手コンサルティング会社の部長さんとメールのやりとりをしていて、それはその部署が組織論についての好著を出版され、私がブログに紹介したのがもとになったのですが、
部長さん曰く
「この本に書いてあることと相反するようですが、私は部下の若手コンサルタントを叱り飛ばします。
経営者の言っていることを一から十まで鵜呑みにするんじゃない。社員の目の輝きを見てみろ、と」
私「そうですか、コンサルタントさんの世界も徒弟制度なんですね。昔そういう世界にいましたから、懐かしいです」
「怒鳴られる文化」だからこそ育つものもあるような気がする。
チームワーク研修とか、チームビルディング研修が作った「チーム」をこのところよく目にするが、必ずしもそれは見ていて気分が良くない。
妙に仲良しで、内向きで排他的。
エントロピーの法則。内部で仲よくすることを金科玉条とすると、とばっちりは外にいきます。
また、甘やかなもの、快いものに「否定」「批判」を持ちこむのは、大変な恨まれ仕事で、骨が折れます。
どんな研修にも副作用はあるものです。
副作用を承知のうえでそういうものを採用するなら、そこにはポピュリズムに流されないだけの、強力なリーダーシップが必要になります。
「教育は間違いに気づくのに10年かかる」−そして結局振り出しに戻る―と以前どなたかの言葉にありました。
結局私はコーチングがすきだ、それは単純に「仲良く」「快く」する手法ではなく、「学習」や「成長」を支援する手法だから。
「回転数低下」の反動か、今日3回目の更新。
神戸のコーチング講座 NPO法人企業内コーチ育成協会
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