「何のために会社来てるかなあ、俺ってだれかなあ、っていう気分になるんですよ」
マネージャーさんの話で、印象に残った言葉。
「1日会社にいて、みんなが話しかけてくるのを聴いてたら1日終わってしまった。俺、きょう仕事したんだろうか」
「そうそう。営業から久しぶりに帰って社内にいたら、社長をはじめみんなが話しかけてくる。仕事らしい仕事が何ひとつできてない。
俺って本当、だれなんだろうか」
いやいや、あなたはちゃんとあなたですよ。
笑ってしまってはいけません。たぶん、彼らはマネージャーとして期待される役割を人一倍ちゃんと果たしているんです。
でも、マネージャーになる前は、プレーヤーとして立派に「できる人」だった彼らにとって、ひとの話を聴いてやって人の問題解決を手伝ってやって、というのは、仕事してる実感が薄くなるでしょう。
以前、初めてマネージャーになった知人が
「仕事の中身としては現役時代と比べてすごく薄い。でも24時間つねに責任がある。昼食をとってようと夜間だろうと、責任はつねについて回る。熟睡できない。
これが、歳をとって相応の責任を引き受けるってことなんだろうか」
と、言っていたことを思い出し。
「自分であって自分でない」という感覚は、この年代のこのポジションの人につきものなのでしょう。
でも、いいのです。
そこで、
「あなたは『自分力』を伸ばして、もっと『自分らしさ』を発揮しなさい」
と言うことは、うちのNPOの趣旨ではありません。
おそらく、「自分」が少しぼやけた色になって、半ば透明になって、「他人」との境目がはっきりしなくなる、みたいな不確かな感覚は、もしあってもそういうものとして受容していくしかないのでしょう。その役割にいる限り。
だからといって
「その状態を耐えなさい」
「他人のための自分に徹しなさい」
などと「上から」説教することもないし、
私たちができることは、ただその立場の人同士、リラックスして話し合う場をつくってあげて、
「自分だけじゃないんだ」
と安心させてあげる、ぐらいであります。
ともあれ、そういう不確かな感覚を言葉にし、半ばあきらめているマネージャーさん方は、可愛らしい存在ではあります。
この問題については、正田は根源的な解決策をもっているわけではないので、この日記の文も歯切れがわるいです。
神戸のコーチング講座 NPO法人企業内コーチ育成協会
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