正田佐与の 愛するこの世界

神戸の1位マネジャー育成の研修講師・正田佐与が、「承認と職場」、「よのなかカフェ」などの日常を通じて日本人と仕事の幸福な関係を語ります。現役リーダーたちが「このブログを読んでいればマネジメントがわかる」と絶賛。 現在、心ならずも「アドラー心理学批判」と「『「学力」の経済学』批判」でアクセス急増中。コメントは承認制です

2012年10月


お世話になっている皆様



 おはようございます。
 企業内コーチ育成協会の正田です。


 先週末、私の地元・神戸六甲アイランドでは、ハロウィーンイベントで賑わいました。
 色とりどりのドレス姿の小さい女の子たち。コスプレの若者たち。全身「スパイダーマン」のスーツで走り回る大人(?)。
景気は夏以降下降気味ですが、こんなときは皆さん、楽しみ上手だな、と思います。



※このメールは、NPO法人企業内コーチ育成協会のスタッフ及び代表理事・正田が、過去にお名刺を交換させていただいた方・当協会のイベントやセミナーにご来場いただいた方にお送りしています。ご不要の方は、メール末尾にありますURLより解除いただくか、このメールに直接「不要」とご返信ください。




 本日の話題は:



■様変わり「認めるミドル」から「認める次世代リーダー」へ
 企業内コーチ育成講座基礎コースA第13期開催しました



■神戸は住みやすいのか住みにくいのか?
 よのなかカフェ「外から見た神戸、内から見た神戸」(25日)


■国際教養大学・中嶋嶺雄学長にきく
 「グローバル化時代の異文化理解と教養教育のフロンティアを行く
 ―墨塗り・安保・文革を経験した世代の決断」



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■様変わり「認めるミドル」から「認める次世代リーダー」へ
 企業内コーチ育成講座基礎コースA第13期開催しました


 先週は、当協会のイベントが続きました。

 23,24日の2日間、姫路で「企業内コーチ育成講座(コーチング講座)基礎コースA」を開講しました。

 今回の特徴、それは、受講生平均年齢が大幅に若返ったこと。

 従来「認めるミドル」とよぶように、40〜50歳代の方の受講が多かった当協会の講座。しかし今回は、これまでの最年少記録を塗り替える20代の方々が受講されました。


 20代、30代ながら責任ある立場にある受講生さんは、やはり若いだけに非常に吸収力が高く、この方々のもとで職場がドラスティックに変わっていくであろうことを予感させました。

 また、「認める」ことを学び人を認められる人になりたい、と自費で参加された20代の受講生さんも。


 言い訳の多い中高年がみたら気恥ずかしくなるようなセミナー風景でした。


 維新、終戦後になぞらえられる大変化の時代と言われる現代。しかしそれらの時代と大きく違うのは、高齢化社会でありリーダー層の世代交代がスムーズには進まないということです。



 若きリーダーたちに一目置く潔さを、わたしたちは持ちたいものだと思いました。


 今回の講座のもようをこちらに掲載しています:

 「認める次世代リーダー」の時代到来?企業内コーチ育成講座 第13期in姫路

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51832855.html


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■神戸は住みやすいのか住みにくいのか?
 よのなかカフェ「外から見た神戸、内から見た神戸」


 続いて25日(木)には、久びさ社会人のための時事問題を討論する会「よのなかカフェ」を、三宮で開催しました。


 新会場のシェアオフィス・コワーキング「コロコ」さんにて、集まったのは全12人、大変白熱した議論になりました。


 住んでいる人ならでは、そして不動産屋さんならではの「へ〜」な神戸情報も多々あり、お得な回だったのではと思います。

 長文ですが、情報量満載のその模様をブログに掲載いたしました。お時間のあるときご覧ください:


 神戸は住みやすいのか住みにくいのか?よのなかカフェ「外から見た神戸と内から見た神戸」開催しました!
 
 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51833038.html



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■国際教養大学・中嶋嶺雄学長にきく
 「グローバル化時代の異文化理解と教養教育のフロンティアを行く
 ―墨塗り・安保・文革を経験した世代の決断」



 今度は少し毛色の違う話題です。


 秋田にある新設公立大学法人・国際教養大学(AIU)。

 知る人ぞ知る、今年日経新聞で「人材育成注目度NO.1」になった、設立8年にして大成功を収めている大学です。授業はすべて英語で大量の宿題を課し、1年間の海外留学を義務づけるなど徹底した「グローバル化対応」。

 従来の日本の大学ではやりたくてもやれなかったその「壁」を、東京外国語大学学長時代にいやというほど経験した中嶋嶺雄氏が、まったく新しい大学をつくることによって崩したのでした。今、AIUが注目を浴びるにつれて、国内でもそれに追随しようという動きが盛んになってきています。


 その中嶋嶺雄学長に、今月7日、同大学にてインタビューさせていただきました。

 今年76歳の現代日本の「ビジョナリー」は、どう考え、行動したのか。


 全7回でブログに掲載しています。

 こちらもお時間のあるとき、是非ご覧ください:


◆中嶋嶺雄氏インタビュー(1)「尖閣問題―隣国との付き合いはまず異文化理解から」

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51833116.html


◆中嶋嶺雄氏インタビュー(2)「3カ国語習得で自分の中に世界ができる」

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51833119.html


◆中嶋嶺雄氏インタビュー(3)「AIUに世界のメディアも注目」

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51833119.html


◆中嶋嶺雄氏インタビュー(4)「エクストリームからストリームへ〜『教養』が再びスタンダードに」

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51833122.html


◆中嶋嶺雄氏インタビュー(5)「重要な『ローポリシー』〜きめ細かい制度設計」

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51833125.html


◆中嶋嶺雄氏インタビュー(6)「戦後世代、安保の挫折、自己否定、同時代史との対決」

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51833126.html


◆中嶋嶺雄氏インタビュー(7)「成熟国家日本に期待〜不安、集団主義、前例踏襲を超えて」

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51833127.html

 



 100年後に誇れる人材育成をしよう。
 NPO法人企業内コーチ育成協会


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※このメールは、NPO法人企業内コーチ育成協会のスタッフ及び
代表理事・正田が、過去にお名刺を交換させていただいた方・
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※このメールは転送歓迎です。
もしこのメールを新たに購読ご希望のかたがいらっしゃいましたら、
info@c-c-a.jp まで、「メールニュース希望と書いて
お申込みください。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました!



 お風邪も流行っているようです。

 皆様、くれぐれもご自愛ください。

 皆様にとって素晴らしい1週間になりますよう。


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神戸のコーチング講座
特定非営利活動法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
代表理事 正田 佐与
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ブログ「コーチ・正田の 愛するこの世界」
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愛する日本を、人が元気になる国にしませんか。
「承認大賞2011プロジェクト」
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「企業内コーチ育成のすすめ」
(株)帝国データバンク社『帝国ニュース兵庫県版』
2008年〜2012年 長期連載このほど完結
http://blog.livedoor.jp/officesherpa-column/
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 このインタビューは、冒頭にも書きましたように10月7日、AIU祭のさなか、学内シンポジウムの直後に行われました。


 インタビューを終え学長室を出ると、そこには遠方からきた卒業生の可愛らしいお嬢さん方が2人。学長に会いに来られたのでした。


「どうもお待たせしました」
「いえいえ、鈴木さん(秘書)とおしゃべりしてましたから」


 彼女たちはにこやかに言って、入れ替わりに学長室へ入って行きました。


 なんとも温かい空気がそこに流れたのでした。



 自分個人を振り返ると、社会人時代にも色々苦しいことがありながら、踏みこたえる原動力になったのは、褒め上手の中嶋教授のもとにいたことではなかったろうか、と思うのでした。


「畠山さん(旧姓)は北京語も広東語もできる。どこに行っても大丈夫。会社で初めての女性特派員にきっとなれる」


 語学を少々できただけなのに、とこそばゆく感じながら、その言葉を受け取っていたのでした。

 
 ゼミからマスコミ、研究機関、外務省に優秀なOBを送り出した(私は例外)中嶋教授は、学生に大量の読書を課しゼミの発表では厳しく踏み込んだコメントをする人でしたが、また大変な褒め名人でもありました。


 私が在籍した86-88年のころというのは、中嶋教授はまだ東京外大の学長に就任される前。外国語学部しかなかった同大に「国際関係学部を」と新学部創設を働きかけるなど、当時もあるべき大学教育の姿に一家言ある人ではありましたが、一学部生の私にはそれはやや縁遠い部分でした。

 学者としての中嶋教授は、当時も豊富な海外人脈を活かしてチャルマーズ・ジョンソンなど海外有名教授を招いたシンポジウムを開催するなど、やはりアクティブな人で、ゼミ生はそうしたイベントに駆り出され学業以外でも結構忙しいゼミでした。


 また教育者としては、「現地をみよ」とゼミのヨーロッパ旅行を主催し、私も87年、大学3年の春休みに参加しました。1997年には、香港返還のそのときに香港への旅行を組織したといいます。


 
 さて、その後私は残念ながら「女性特派員」になることはとうとうなく、そして今の仕事に入ってしばらくしてしたことは、涙を流しながら


「ご期待に沿えず申し訳ありませんでした」


と、恩師に手紙を書いたのでした。


 ・・・あまりにも個人的なお話になってしまいました・・・


 読者の皆様に1つクイズです。中嶋学長のこのたびのお話の中で、ききての正田にもっとも「ひびいた」箇所はどこだったでしょう。


 そのご多忙さを間近にみるにつけ本当によくインタビューに応じていただけたものだ、また当方もよくお願いする勇気があったものだと思うのですが、貴重なお話をいただき、またインタビュー原稿も校正してくださいました中嶋学長、本当にありがとうございました。


 そして本来無理なお願いをこころよく叶えてくださった秘書の鈴木和代さんにも心よりお礼申し上げます。




100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

 

※なおインタビュー文中、「中嶋先生の世代の人だからやれた」的な発言がありましたが決して80歳で新党を立ち上げようとする某前都知事を肯定したい意図はなく・・・、時節柄補足いたします。

国際教養大学(AIU)・中嶋嶺雄学長にきく

「グローバル化時代の異文化理解と教養教育のフロンティアを行く
 ―墨塗り・安保・文革を経験した世代の決断」


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(7)成熟国家日本に期待〜不安、集団主義、前例踏襲を超えて

■不安で変化を嫌う日本人の人材育成には何が必要か
■今回の凋落はいい教訓にすべき


中嶋 嶺雄氏略歴:

国際教養大学理事長・学長、国際社会学者。
1936年長野県松本市生まれ。東京外国語大学中国語学科卒業。社会学博士(東京大学1980年)。東京外国語大学教授、東京外国語大学学長を経て2004年、国際教養大学を創設。国立大学協会副会長、アジア太平洋大学交流機構(UMAP)初代国際事務総長、財団法人大学セミナー・ハウス理事長、オーストラリア国立大学、パリ政治学院、カリフォルニア大学サンディエゴ校大学院客員教授を歴任。



■不安で変化を嫌う日本人の人材育成には何が必要か


正田
:えへへ…、これは私が最近やっている反逆なんです。先生にご参考になるかどうか(日本人とアメリカ人のセロトニントランスポーター遺伝子タイプの比較を出す)


中嶋:なんですか。ちょっと説明してください。


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正田:はい。不安感という感情は脳科学的には説明のしやすい感情なんだそうです。というのはセロトニンという物質の関与が非常に大きいので。血中セロトニン量によってかなり決まるらしいので。色んな感情の中でも、これだけ1つの物質の影響力が大きい感情というのはそんなにないんだそうです。かつ不安感というのは行動量を増やしたり減らしたりするものなので、不安感の高い人は行動抑制的になる、あまり行動ができないんです、怖いので。ところが日本人というのは不安感が非常に高い民族だというのがわかっています。このセロトニントランスポーター遺伝子というものが血中セロトニン量を調整するからなんですね。不安遺伝子とか恐怖遺伝子といわれるものです。またこれが日本人の集団主義というものをかなり規定すると言われています。

 この知見は1998年に出たものです。遺伝子学の世界の発見というのは一度「こうだ!」と言われたものが覆るということが結構あるんですが、この知見に関しては覆っていないんです。この結果日本人は不安感の強い民族だということがわかっているし、不安だからこそ集団志向になりやすいということも。


中嶋:ほんとに日本は集団主義ですよね。個人というものが、個性というものが見えてこない。


正田:そうですね。一方でいい面に働く場合は、繊細なものづくり、繊細さですとか、もちろん「わび、さび」とか「もののあはれ」といった美意識もこの不安感が関与しているんだろうと思います。不安ですから微妙なものごとの変化に敏感になる。

 そして世界でも集団主義の最右翼に位置するのが日本人なんだそうです。


中嶋:この理論を講演なんかで使ってるわけ。


正田:そうです。これは大人に対する人材育成で、こういうことを前提にしないと日本で人材育成というのはできないはずなのにアメリカ由来の人材育成のツールを使ってしまっているということに非常に問題があるということを言っております。遺伝子学の世界ではこれはもう定説で、行動経済学などにも応用されています。これを人材育成に応用するのに何の問題もないはずなんですが私以外の人はまだ言っておりません。


中嶋:脳科学といえば茂木健一郎さんが4-5日前にここに来ましたよ。学生と随分意気投合して帰って行きました。


正田:ああ、そうですか。非常に興味深いですね。AIUの教育が脳科学的にどういう影響をもたらすのか。人の脳の発達というのは行動量に応じて発達するというのはわかっているそうです。質の高い行動ですね、やみくもな行動ではなくて。


中嶋:僕は初めてこういうの(遺伝子学の知見)をききましたが、是非それを普及したらいいじゃない。


正田:(苦笑)私のやっている「承認論」に基づく人材育成というのはこれが基になっていまして。というか、この教育をやり始めたら非常に効果が出てしまって、それを裏付けるものは何だろう何だろうと探しているうちにこういうものに行きついたというわけです。


中嶋:アメリカ人と随分違いますね。


正田:アメリカ人は遺伝子的にももっとも勇敢といいますか、新奇性なものを求める気性が強いですね。


中嶋:あまり集団主義って目立たないですものね、アメリカでは。


正田:個人主義の最右翼に位置しますね。ヨーロッパはアメリカよりもう少しマイルドです、こういう遺伝子的なデータからみても。アジアでいうと中国、韓国はわれわれより個人主義にみえるんですが、遺伝子でみる集団志向性は比較的われわれに近いんだそうです。アメリカやヨーロッパなどに比べても。

 ただ日本にもこの層(比較的不安感の低い)の人達がいます。果敢に前に踏み出す層の人達が。その層の人達が受け皿を求めていると思うんですね。

 また、変化を嫌う気質というのもこれでかなり説明がつくんですよね。


中嶋:なるほどね。現状維持とか既得権を維持するとか、なんか新しいことに出て行くのに不安なんですね。


正田:前例踏襲になりやすいですね。
 それを打破するというのはほんとに大変なことで、中嶋先生は大変なことをおやりになったと思います。


中嶋:ありがとうございます。


■今回の凋落はいい教訓にすべき


正田
:先生冒頭の問いに戻るんですが、今歴史上になぞらえると、日本はどの国のどの時代に近いんでしょう。
 例えば江戸時代も元禄とか文化文政とか、文化の爛熟期があって、そのあとの経済停滞というのがありましたね。なんどかそういうのを繰り返していると思うんですが、また飢饉の時代に二宮尊徳のような人が出てきたり。


中嶋:あんまりそういう比較は僕自身はしたことはないんですけれど、このまま行くと日本は、もっと落ち込んじゃうんじゃないかと、そちらの方は良く見えるんですよ。

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正田:見えますか。


中嶋:だけど一方ではね、日本は非常に成熟した社会、いい社会ですよね。日本の成熟度というものをものさしに、尺度にすると、日本は世界でもトップクラスだと思う。今の中国は経済的にも軍事的にも強いけれど果たして中国社会が成熟してるかっていうと、必ずしもそうじゃないよね。今日も大学祭で学生代表と一緒にシンポジウムをしたけれど、あんなシンポジウムが自由にできるという雰囲気ではないし。そこはやはり、アメリカをみんな勉強するけれど、アメリカのコミュニティ全体が知的に先進的になってるかというとそうではないですよね。そういう意味では日本は、平準化してるというかもしれないけれど全体の水準が知的には高いですから、そういう成熟国家としての日本のありかたを今後、模索していけば、若干経済的には少しデクライン(低下)してもそれを克服できるんじゃないかという気がしますけどね。

 日本はさっきの「傲慢」という言葉が出てきたけど、バブルの時にあんまり、いい気になりすぎたと思うんですね。それが今になって逆に日本の足を引っ張ってきたと思うんで、ある意味では今回の日本の凋落、それはいい教訓にならなきゃいけないしいい教訓になるべきだと思いますよね。


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正田:はい。



中嶋:それに震災が加わったわけですから、震災のことと併せて、今までの日本がずーっとあのまま一気に伸びていくというのは一種の神話であったわけでね。それが自覚できる日本人。それは今度の震災をみてもわかるように、道義的にも、モラルの上でもかなり高い集団ですからね、日本は。そこに期待したいと思いますね。


正田:いい時代を経験した人達の意識の変革がなかなか進まないというのを感じます。先生も「失われた20年」という言葉を使われていますけれども、この20年を経験してなお意識が変わらない、これはちょっと高齢化社会の悪い面なんじゃないかと思ったりするんですが(笑)

長くなってしまいました。先生今日はお忙しい中、どうもありがとうございました。(了)



国際教養大学・中嶋嶺雄学長にきく
「グローバル化時代の異文化理解と教養教育のフロンティアを行く
 ―墨塗り・安保・文革を経験した世代の決断」


(1)尖閣問題―隣国との付き合いはまず異文化理解から
(2)3言語習得で自分の中に世界ができる
(3)AIUに世界のマスメディアも注目
(4)エクストリームからストリームへ〜「教養」が再びスタンダードに
(5)重要な「ローポリシー」〜きめ細かい制度設計
(6)戦後世代、安保の挫折、自己否定、同時代史との対決
(7)成熟国家日本に期待〜不安、集団主義、前例踏襲を超えて


100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
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国際教養大学(AIU)・中嶋嶺雄学長にきく

「グローバル化時代の異文化理解と教養教育のフロンティアを行く
 ―墨塗り・安保・文革を経験した世代の決断」


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(6)戦後世代、安保の挫折、自己否定、同時代史との対決


■大きかった60年安保と文化大革命の経験
■時代に飲まれず、同時代史と対決する


中嶋 嶺雄氏略歴:

国際教養大学理事長・学長、国際社会学者。
1936年長野県松本市生まれ。東京外国語大学中国語学科卒業。社会学博士(東京大学1980年)。東京外国語大学教授、東京外国語大学学長を経て2004年、国際教養大学を創設。国立大学協会副会長、アジア太平洋大学交流機構(UMAP)初代国際事務総長、財団法人大学セミナー・ハウス理事長、オーストラリア国立大学、パリ政治学院、カリフォルニア大学サンディエゴ校大学院客員教授を歴任。



■大きかった60年安保と文化大革命の経験


正田:
そうした非常に思い切った改革を、先生の場合は新しい大学を創ってしまわれましたけれど、そういうことをおやりになって初めてほかの人がついてくるじゃないですか。私は記者時代にそういうイノベーター的な人をみたことがあるんですが、先鞭をつけるということは大変な苦労をされる。風当たりが強いですよね。
 そして「今までにない大学を」と。今までにないものをというのは普通は若い人が言うんですが、先生の場合は本学を開学されたとき68歳でいらした。先生の世代の方がおやりになるということも、今の日本を象徴しているのかなという気がします。


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中嶋:あっそう。


正田:というのが今年出された『学歴革命』というこのご本ですね。今日くる前に再読してきたんですが、先生は前半生を今までになく丁寧に振り返ってらして、教科書の墨塗りを経験されたこととか戦後民主主義の洗礼を受けたこととか。その世代のかたがこういうことをおやりになる。逆にもっと下の世代の方にはできなかったのではないか、ということを感じたりいたします。

中嶋:つまり言ってみれば僕らの世代というのは戦後日本が成長・復興した時代を生きてきたわけですよね。僕の個人的な体験からすれば、60年安保というのは大きかったんですよ。学生運動のリーダーで、実を言うと安保反対なんて言ってたけど、あのときはやっぱり岸(信介)さん(首相=当時)は偉かったと思う、今から考えると。


正田:今はそうですね。


中嶋:そういう時代を経て、それから大学紛争があったでしょう。これもまた大きな試練でした。そして僕個人からすると中国の文化大革命に直面したりして。やっぱり同時代史を生きる中で色々経験をして、それに対してどういう決断をするかということをやっぱり自分の体験から学んだと思うんですね。特に文化大革命の時は自分は専門は中国政治でしたから、みんなが文革礼賛、毛沢東万歳だったんだけど、やっぱり自分としては現場の中国を見て、これはひどいなと思った。いわば―、

 さっきマックス・ウェーバーのことが出ましたが、マックス・ウェーバーの言葉で「霊感」というのがありますね。第一印象というか、そこで感じたこと、できるだけそれに忠実であろうとしてきました。みんなが文化大革命は人間革命で毛沢東思想万歳って言ってるんだけど、自分はどうしても同調できなかった。そこを揺るがなかったというのは、自分にとっても良かったし結果的にはそのことが1つの人生の経験にもなったし。あるいは教育的にはね、1つの問題を提起することができたかもしれませんね。


■時代に飲まれず、同時代史と対決する


中嶋:
そこでうち(AIU)ではね、クリティカル・シンキング(批判思考)を学生に説いています。自分で考えて、自分の考えをきちんと説得できるように打ち出すことなんですけど、とかくみんながこういう方向に行こうとすると、それに対する異論を唱えることは勇気も要るし孤立することもありますよね。そこを克服するようなことを若者にやってほしいと思います。それがいわば個性だと思うんです。そういう風なことを考えてきた、という気がしますね。僕らの時代には比較的そういう、ある意味では挫折したり、安保闘争なんてのはまさしく敗北したと思うんですけれど、そういうことが次の、まあ李登輝さん(元台湾総統)に言わせるとトーマス・カーライルの「衣装哲学」がそうなんですけど、自己否定みたいなものが必要になって、それが次の光を見出していくという。そういう自分の歩み方をしてこれたような気がします。


正田:自己否定的な。


中嶋:そうですね、一旦それを乗り越える必要があると思うんだよね。単なる自己否定をすると自分が埋没しちゃうわけですから。時代に飲まれないような形で同時代史と対決する、ということが必要じゃないかという気がします。

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正田:この『学歴革命』はいいご本ですね。


中嶋:そうですか。学生が色々一緒に作っているので。


正田:この御本の中に「傲慢」という言葉が何回か出てくるんです。


中嶋:ああ、バブル期のことですね。
 


((7)成熟国家日本に期待〜不安、集団主義、前例踏襲を超えて につづく)


国際教養大学・中嶋嶺雄学長にきく
「グローバル化時代の異文化理解と教養教育のフロンティアを行く
 ―墨塗り・安保・文革を経験した世代の決断」


(1)尖閣問題―隣国との付き合いはまず異文化理解から
(2)3言語習得で自分の中に世界ができる
(3)AIUに世界のマスメディアも注目
(4)エクストリームからストリームへ〜「教養」が再びスタンダードに
(5)重要な「ローポリシー」〜きめ細かい制度設計
(6)戦後世代、安保の挫折、自己否定、同時代史との対決
(7)成熟国家日本に期待〜不安、集団主義、前例踏襲を超えて

100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

国際教養大学(AIU)・中嶋嶺雄学長にきく

「グローバル化時代の異文化理解と教養教育のフロンティアを行く
 ―墨塗り・安保・文革を経験した世代の決断」


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(5)重要な「ローポリシー」〜きめ細かい制度設計

■グローバル化対応の単位互換、成績評価基準、受験システム
■AIUに追随する大学も増えてきた


中嶋 嶺雄氏略歴:

国際教養大学理事長・学長、国際社会学者。
1936年長野県松本市生まれ。東京外国語大学中国語学科卒業。社会学博士(東京大学1980年)。東京外国語大学教授、東京外国語大学学長を経て2004年、国際教養大学を創設。国立大学協会副会長、アジア太平洋大学交流機構(UMAP)初代国際事務総長、財団法人大学セミナー・ハウス理事長、オーストラリア国立大学、パリ政治学院、カリフォルニア大学サンディエゴ校大学院客員教授を歴任。




■グローバル化対応の単位互換、成績評価基準、受験システム


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中嶋
:従来の日本の大学とまったく違ったものを目指して。そして同時にグローバル化とかね、グローバル人材の養成。今度も新しく文科省のプロジェクトで、公立大学ではうちだけ採択されたんですけれども「グローバル人材育成プロジェクト」です。

 だけどそういう大上段に振りかざすようなところも大事だけれども、もうちょっとローポリティクスっていうか、ローポリシーっていうか、いわばきめの細かいところの詰めが大事なんですよ。例えばうちは留学生がきたときに全寮制ですよね。寮に入れるとか、それから留学生にとってはうちに来る前に1年間秋田に来ればどういうカリキュラムでどういう勉強ができるかわかるようになっている。それは授業にインターナショナル・コードがついてるからです。それから取得した単位を母校で互換できる、クレディット・トランスファーというんですけど、単位互換のシステムができている。あるいはGPAという評定平均値ですね、グレード・ポイント・アベレージ(Grade Point Average)、これが国際的な共通性をもつ、12段階になっている。ところが今12段階になっている大学というのはほとんど日本にないんですよね。相変わらずABCDの名残り、優良可不可の名残り。そうするとどういう学生が来るのかもなかなかわからない。そこにも問題があります。

 それからうちの場合は、留学生に関して言うと、ここまで来ないでも留学生を選別してますよね。それから大学院なんかの場合も、書類審査だけで合否判定をやってるんだけど、日本の多くの大学院は日本に来て受験させるじゃない。しかも大体において日本語で質問して日本語で試験を受けさせるでしょ。これでは本当に日本語をやる人は別にすれば、あとのフィールドの人は非常に狭まっちゃう。ある意味では留学生にとっては負担が大きいんですよね。そういうことをなくすことも大事です。

 そういう非常にきめの細かいポリティクス、ローレベルのローポリシーが他はなかなかできてないと思うんです。それから授業を英語でやると言っても、じゃあ授業を英語でできる先生がどれだけいるかとか、それらのことを含めて、日本の大学はまだまだグローバル化に対応できていない。


■AIUに追随する大学も増えてきた


中嶋
:そこでようやく最近、AIUが1つのモデルみたいになって、何とかAIUと同じような方法を導入しようという大学が増えてきているのはいいことだと思います。きのうも九州で大学の学長会議で僕は基調講演を頼まれたんですけど、九州全域と山口の大学も、山口大学の学長も来ていて、「何とかしたいんだけどなかなかそれができないから、大学全体としてのグローバル化は無理でも、新しい学部を創ってそこで(グローバル化を)やろうとかね、東大なんかも今同じようなことを言い始めてる。岡山大学がやっぱりそうですね。そういうところが増えてくることはいいことだと思ってるんです。

 最近はグローバル4(国際教養大学、国際基督教大学、立命館アジア太平洋大学、早稲田大学国際教養学部)に上智大学を加えてグローバル5になりましたけれど。

上智も初めは、自分のところは大きな大学だし、と入らなかったんだけど、今度は向こうから是非入れてほしいと。かなり色々な交流もこれからもっと進めますけど、現に大分のAPU(立命館アジア太平洋大学)の学生がうちに来てるとか、うちの留学生が大分に行って半年過ごすとか、そういうことができるようになってるんです。



((6)戦後世代、安保の挫折、自己否定、同時代史との対決 につづく)


国際教養大学・中嶋嶺雄学長にきく
「グローバル化時代の異文化理解と教養教育のフロンティアを行く
 ―墨塗り・安保・文革を経験した世代の決断」


(1)隣国との付き合いはまず異文化理解から―尖閣
(2)3言語習得で自分の中に世界ができる
(3)AIUに世界のマスメディアも注目
(4)エクストリームからストリームへ〜「教養」が再びスタンダードに
(5)重要な「ローポリシー」〜きめ細かい制度設計
(6)戦後世代、安保の挫折、自己否定、同時代史との対決
(7)成熟国家日本に期待〜不安、集団主義、前例踏襲を超えて


100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

国際教養大学(AIU)・中嶋嶺雄学長にきく

「グローバル化時代の異文化理解と教養教育のフロンティアを行く
 ―墨塗り・安保・文革を経験した世代の決断」


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(4)エクストリームからストリームへ〜「教養」が再びスタンダードに


■ジョブズも考えた「リベラル・アーツとテクノロジーの交差点」
■時代にあえて逆行した糧は


中嶋 嶺雄氏略歴:

国際教養大学理事長・学長、国際社会学者。
1936年長野県松本市生まれ。東京外国語大学中国語学科卒業。社会学博士(東京大学1980年)。東京外国語大学教授、東京外国語大学学長を経て2004年、国際教養大学を創設。国立大学協会副会長、アジア太平洋大学交流機構(UMAP)初代国際事務総長、財団法人大学セミナー・ハウス理事長、オーストラリア国立大学、パリ政治学院、カリフォルニア大学サンディエゴ校大学院客員教授を歴任。




■ジョブズも考えた「リベラル・アーツとテクノロジーの交差点」

中嶋:
スティーブ・ジョブズのコピーもあげたかな。


正田:「フロム・マックス・ウェーバー・トゥ・スティーブ・ジョブズ」の章文ですか。


中嶋:そうそう。そこにも書いてあるように、スティーブ・ジョブズがね、僕と同じようなことを考えて、亡くなっていったんですね。なぜアップルがso successfulか。自分たちはいつも、リベラル・アーツとテクノロジーの交差点ということを考えていた。本当にAIUと同じような考え方を彼は持っていたんですね。


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正田:そうなんですね。


中嶋:アップル社は本当に大成功なんだけど、そのアップルがあれほどテクノロジーでは成功した、そのときにリベラル・アーツを考えていた、まさに国際教養と同じことを考えてくれてたんですね。

 まあそういう意味でも教養教育が非常に大事なのは、逆に言うと日本では91年、ちょうどグローバル化が始まった年に、ソ連の崩壊とか、さっき言ったように。そのときに大学設置基準が改訂されて、僕は改悪だったと思うんだけど、教養教育が消えちゃったんですよ。大学を設置するのがすごく楽になって、大学の数がどんどん増えた、にもかかわらず教養教育が消えてしまった。だから教養部とか、教養学部が無くなっていったでしょ。なんといってもアンダーグラジュエイト、つまり学部は教養教育と外国語教育だと思うんですよ。だからうちはインターナショナル・リベラル・アーツ(国際教養)ということを考えたんだけど、それが日本の大学から消えちゃったというのは、グローバル化に反する動きになってしまったということですよね。

 それからもう1つは大学院重点化がそのころ行われて、国公立大学では大学の先生方が大学院に籍を移しちゃって、そのために学部が空洞化しちゃったわけですよ。そこにも大きな問題があった。だからちょうどそれと相反するというか、反対方向を国際教養大学は目指していったわけで、それが今の成功というか、注目されるようになった大きな理由だと思いますね。


■時代にあえて逆行した糧は


正田:先生そこを是非お伺いしたいんです。先生がおっしゃっていたことは、本学の開学当時にはまだエクストリーム(極端)に響いていたわけです。ところが今はもうどこも教養教養と。


中嶋:それがストリーム(潮流)になってきたんだよね(笑)


正田:ええ。教養がもうスタンダードになろうとしているんですよね。そのときに先生を動かしたものはなんだったんですか。


中嶋:ひとつにはアメリカの大学で教鞭をとった経験がすごく大きかったですね。カリフォルニア大学サンディエゴ校で1年間、大学院でしたけれども、毎週3時間英語で講義をするというのは大変つらいことで、もうへとへとになって。終わってからまた次の週の準備をするというのは。そういう時間を過ごしましたからね。非常に自分にとっても、つらいけれども良かったと思うし、それからまた同時に、アメリカの学生というのはこんなによく勉強するのかということを痛感したんです。日本に帰ってきて、外大の中嶋ゼミはよく勉強してくれたと思うけれど、一般的には学位をとるのはすごく安易でしょ。アメリカの場合は、学位そのものよりもプロセスがすごく重要でね、宿題も多いし、学生も必死になって勉強するし、これでは日本の大学はだめだなあという気がしましたね。

 それが1つと、もう1つ東京外国語大学の教授会は大学自治が名目で、大学自治自身が問われているにもかかわらず、教授会は自分の既得権とエゴに走っちゃって、なかなか改革ができないんですよね。だから外語(東京外大)でも僕は英語教育を改革するために何回会議をやったか知らないけれど、いつも徒労に終わって、夜10時11時ごろまで、あるいは12時ごろまで、会議ばっかりやっても、結局何1つ進まなかったんですよね。相変わらず、英語の先生が反対するし、コミュニケーション中心ではなくて、従来のオーソドックスな英語の授業ですから。それでいて外語の卒業生が必ず英語で十分コミュニケーションができるかっていうと、そうではないんですよね。


正田:えへへ…。はい。


中嶋:そこはやっぱり直していかないと。これからのグローバル化の時代に、少なくともリーダーになる人は少なくとも英語ができる人になってほしいと思って。それが1つの教訓ですね。

 ですから、秋田に大学を創るというときに、普通の大学がもう1つ増えても意味がないし、もう必要ない。もう大学は多すぎるし、まったく従来の大学と違った大学を創るならばお手伝いしましょうと。その2つのモティベーションだったと思います。


((5)重要な「ローポリシー」〜きめ細かい制度設計 につづく)


国際教養大学・中嶋嶺雄学長にきく
「グローバル化時代の異文化理解と教養教育のフロンティアを行く
 ―墨塗り・安保・文革を経験した世代の決断」


(1)隣国との付き合いはまず異文化理解から―尖閣
(2)3言語習得で自分の中に世界ができる
(3)AIUに世界のマスメディアも注目
(4)エクストリームからストリームへ〜「教養」が再びスタンダードに
(5)重要な「ローポリシー」〜きめ細かい制度設計
(6)戦後世代、安保の挫折、自己否定、同時代史との対決
(7)成熟国家日本に期待〜不安、集団主義、前例踏襲を超えて


100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

国際教養大学(AIU)・中嶋嶺雄学長にきく

「グローバル化時代の異文化理解と教養教育のフロンティアを行く―墨塗り・安保・文革を経験した世代の決断」


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中嶋 嶺雄氏略歴:

国際教養大学理事長・学長、国際社会学者。
1936年長野県松本市生まれ。東京外国語大学中国語学科卒業。社会学博士(東京大学1980年)。東京外国語大学教授、東京外国語大学学長を経て2004年、国際教養大学を創設。国立大学協会副会長、アジア太平洋大学交流機構(UMAP)初代国際事務総長、財団法人大学セミナー・ハウス理事長、オーストラリア国立大学、パリ政治学院、カリフォルニア大学サンディエゴ校大学院客員教授を歴任。



(3)AIUに世界のメディアも注目

■日経新聞、NYタイムズに大きく取り上げられた1年

中嶋
:AIUはそういう活動のためにこのところかなり対外的な評価が高くて、私が最近嬉しかったことは、今年の7月16日に日本経済新聞が一面で大きく取り上げてくれていたことです(「人材育成企業が注目の大学 国際教養大首位に」)。

 あの記事は、ぼくも知らなかったんだよ。電車に乗って松本まで行く用があって、そしたら親戚の者から電話がかかってきて。「きょうの日経にAIUは東大の3倍の人気で(人材育成トップ注目度の)トップになった」と。読んだ?


ハルカ:いやー、読みませんでした。


中嶋:あそこ(玄関入口)に記事が張ってあります。それからニューヨーク・タイムズが、7月の29日かな、AIUのことを大きく取り上げてくれて。これもアメリカから電話がかかってきてね、「おたくの大学はこんなにすごい大学なのか」と。そのタイトルが、”Japanese Universities Go Global But Slowly” (日本の大学がグローバル化、ただしゆっくりと)。なかなかグローバル化ができない、AIUは例外的にグローバル化をやってるという記事です。翌日、今度はインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙が、同じ記事をまた写真入りで出してくれてね。恐らくこんな大学はほかにないと思うんだけど。それはもうひとえに、学生諸君、あるいは卒業生が頑張ってるからです。これがその記事。


正田:ありがとうございます。まあ大きな記事ですね。


中嶋:そう。(ハルカに)まあ、そういう大学に入れたんだから、頑張って。


ハルカ:ありがとうございます。


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(AIU祭のもよう)


中嶋:今日のオープンキャンパスにも沖縄からも何人か来てましたね。それから愛媛県とか山口県とか、そういう遠い所から来てましたね。


正田:今こういう日本の状態ですので、危機感を持っている若者も多いと思うんです。「強くならなければ生きていけない」というかつてない危機感を持っているなかで、その子たちの受け皿に国内では辛うじてAIUがなっているんじゃないかなと思います。


中嶋:うん。まあもうちょっと規模が大きいといいんですけどね。将来的には200名ぐらいの定員にしたいと思っています。


正田:あ、そういうお考えがあるんですか。


中嶋:うん。でもそれ以上大きくなると、今度は水で薄めたことのようにならないようにするためには、ちょうど1000名ぐらいの規模のコミュニティがここにできれば、と思っています。ユニバーシティ・タウンですよね、まさに。他に何もないけれど、大学町っていうか、大学が1つのセンターになって、それはもうグローバル化の時代ですから、世界にしょっちゅう通じてますよね。留学先にも、まさにグローバル化というのは時差もないし、国境も低くなってる。それがグローバル化の時代ですから。

 グローバル化自体は始まってまだ20年ちょっとでしょ。ソ連の崩壊、東西冷戦体制がなくなって、そしてボーダーレスになって。そしてIT革命が進んだという2つの歴史的な条件があったのです。



((4)エクストリームからストリームへ〜「教養」が再びスタンダードに へつづく)


国際教養大学・中嶋嶺雄学長にきく
「グローバル化時代の異文化理解と教養教育のフロンティアを行く
 ―墨塗り・安保・文革を経験した世代の決断」


(1)尖閣問題―隣国との付き合いはまず異文化理解から
(2)3言語習得で自分の中に世界ができる
(3)AIUに世界のマスメディアも注目
(4)エクストリームからストリームへ〜「教養」が再びスタンダードに
(5)重要な「ローポリシー」〜きめ細かい制度設計
(6)戦後世代、安保の挫折、自己否定、同時代史との対決
(7)成熟国家日本に期待〜不安、集団主義、前例踏襲を超えて


100年後に誇れる人材育成をしよう。
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国際教養大学(AIU)・中嶋嶺雄学長にきく

「グローバル化時代の異文化理解と教養教育のフロンティアを行く―墨塗り・安保・文革を経験した世代の決断」


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(2)3言語習得で自分の中に世界ができる

■第2外国語まで徹底習得すると何が起きるか
■日本人のアイデンティティに必読文献の『武士道』
■中国文化に圧倒されてしまう日本人


中嶋 嶺雄氏略歴:

国際教養大学理事長・学長、国際社会学者。
1936年長野県松本市生まれ。東京外国語大学中国語学科卒業。社会学博士(東京大学1980年)。東京外国語大学教授、東京外国語大学学長を経て2004年、国際教養大学を創設。国立大学協会副会長、アジア太平洋大学交流機構(UMAP)初代国際事務総長、財団法人大学セミナー・ハウス理事長、オーストラリア国立大学、パリ政治学院、カリフォルニア大学サンディエゴ校大学院客員教授を歴任。



■第2外国語まで徹底習得すると何が起きるか



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中嶋:(カメラマン担当の長女ハルカに)中国語かなんか取ってる?


ハルカ:次のセメスター(学期)から取ろうかなと。フランス語をやりたいです。


中嶋:あっそう。もう1つの言語をやるっていうことはね、もう1つの世界が自分の中にできることだから、ぜひそれを頑張ってやってください。

 入学式の時にも話したと思うけれど、うちは複言語主義、プルリリンガリズム(plurilingualism)をとっています。具体的には3言語主義を奨励してますよね。母語と英語ともう1つの立場を習得するということ。なかなか習得がむずかしいんですけれど、普通の大学では。第2外国語まではなかなかものにならないんだけど、それがものになるようなカリキュラムを作ってますから。だから今度フランス語なら、フランス語Iを60時間やりますよ。60時間1セメスターでやるということは、かなりのことですね。それから春セメでフランス語Iをやったとすると、秋セメでフランス語IIをやる。それでできれば冬学期があれば冬学期にフランス語IIIをやる。そこまでフランス語をやると、フランスの大学に留学したいっていうことになるんですよね。中国の場合には中国とか、まあ台湾が人気があるんだけれど。

 韓国語なんかもまさにそうなんですけど、延世大学とか高麗大学とかへ留学していますね。2-3日前もね、韓国語の邊(ビョン)先生のところに学生からメールが来て、邊先生喜んでそれを見せてくれたけど、その学生が言うのに、AIUで韓国語IIIまでやった、韓国語IIIは特に厳しい学習をやっていただいたんだけど、自分は延世大学に来ても全然困らなかった。留学生もたくさんいたけど、英語以外に韓国語ができる留学生はほとんどいないんだって。自分は非常にそこでも良かったって。そういう風に、かなりのレベルの第2外国語ができるようになります。

 同じような例でうちの第一期生で高麗大学に留学した女子学生がいました。彼女は隠岐の島、島根県からわざわざ秋田に来て学んで、高麗大学に留学する前に韓国語をやってね、そして向こうでは単位を取るのは英語で取ってくるんだけど、まあ朝から晩まで韓国社会にいるわけだから、イマージョン教育で帰る時には韓国語が英語以上に上手になっていました。そして韓国にいる間に自分は韓国の食文化に非常に関心を持つようになったということで、キッコーマンに就職しましてね、総合職で。キッコーマンのCEOの茂木友三郎さんという有名なトップの方がわざわざやってきて、「こんな素晴らしい学生をよく養成してくれた。よくうちに入れてくれた」と。第一期生でした。(留学したら)そういうことができるようになっています。

 そういうもう1つの世界をやるにはやっぱり言葉をまずやることが大事です。言葉をやると自分の心の中にいくつか世界ができますよね。あなたの場合日本語の世界、英語の世界、それからフランス語の世界ができる。非常にいいことだから。是非あなたもフランス語をものにしてください。そして必ずそれを使うことです。僕も来週から海外出張でパリにも行くんですが、行ってもなかなか自分が習った言語を使えない場合があるんですが行ったら必ずそれを使う。相手が英語でしゃべった方が通じる人だったら英語で言いかえすんだけど、そこでもこっちは必ずフランス語で言いかえすようにしてるんです。その図々しさ。それが言ってみれば、語学を、コミュニケーション能力をつくる大きな要因になりますから。お母さんは確か広東語もかなりできたというんで。


正田:いえ昔の話です(笑)


■日本人のアイデンティティに必読文献の『武士道』


中嶋:そうすると、広東人の世界は同じ中国でも、北京や上海と違うんですよ。そういう世界を体験することが国際教養大学の大きな目的でもあるんですね。

 それと同時に日本人としてのアイデンティティを持っていることが必要で、英語ができるからって、口先だけで英語ができる人はたくさんいるけれど、それだけではやっぱりダメなのです。浮草のように国際社会を漂うような人を必ずしもグローバル人材とは言えないわけで、やっぱり自分のアイデンティティをきちんと持つということですね。そのためには新渡戸稲造の『武士道』なんかは必読文献だから、是非英語で読むといい。


ハルカ:はい。


中嶋:今学生たちが図書館で展示をしてますけれど、アンケートを取って、「この大学の図書館で一番よく読まれる本は何か」っていうと『武士道』の英語版が一番でした。それが非常に僕は嬉しくてね。2位が村上春樹で、3位が武士道の岩波文庫の日本語版(矢内原勝訳)だったんです。ですからうちの学生はそれだけよく本を読んでいる。結構むずかしいんですよ。あんな時代に新渡戸稲造はまず英語で書いてるわけね。新渡戸稲造も岡倉天心も内村鑑三もみんな当時の東京外語の英語科に入ったんですよ。その当時の人に比べると今の人は英語環境はすごくある。だからそこもしっかり、本学の言語異文化学習センターで納得のいくまで耳で聴いて。そうするとCNNでもBBCでも、留学に行く前に、聴けるようになりますよね。そしてそれに留学が加わるから。フランス語もちゃんと教材がたくさんあるし。是非がんばって。それがまさに、国際教養大学が目指している異文化理解でもあるんですよね。

 異文化というのは、理解がすすまないと、ものすごい大きな壁になって、自分の前に立ちはだかっちゃうんです。だけど少しでもそれを理解し勉強していると、そんなに大きな壁にはならなくなる。


■中国文化に圧倒されてしまう日本人


中嶋:日本人は中国に行くとね、圧倒的な重量感のある中国の文化に圧倒されちゃうんだよね。それで外交的にも位負けしている。まず天安門広場から入っていくと、大きな天安門があるし、それから次に大きな午門っていうのがあって、それから端門、たくさん門があってそれで太和門という門があって、その次に太和殿っていう、いわば広場の中に入れるんですよね。そこまでいく間に外国の人は、あー凄いな、と圧倒されちゃうわけ。
しかも日本は一元的な美意識がありますから、みんな透けて見えるようになってるけど、中国はそれを見せないんだよ。天安門をくぐってその次に午門があってその向こうに何があるかわからない。それでもって圧倒されちゃってね、そしてようやくたどり着いて大きな広場があるもんだから、そこに中国のいわば皇帝が君臨してたわけでしょ。そういう、日本と中国が同文同種なんていわれるけれど、そんなに大きな違いが、日本と中国の間にはありますよね。

 日本というのはいわば海洋国家でもあるし、島国でもあるんだけど、中国は大陸国家ですから、そういう大きな攻防の中で暮らしてきた中国の人達の今度の尖閣の問題をみてたって、実にしたたかだねえ。そういう異文化を、中国についても勉強することがまず、グローバル化にとって必要なんですね。

 だからグローバル化というのは一方で、まさに世界に出ていくのは必要なんだけど、それだけではなくて、自分が主体的になって、どういうふうに世界を自分の中で理解し取り込んでいくかということが必要だと思います。


 
((3)AIUに世界のマスメディアも注目 につづく)


国際教養大学・中嶋嶺雄学長にきく
「グローバル化時代の異文化理解と教養教育のフロンティアを行く
 ―墨塗り・安保・文革を経験した世代の決断」


(1)尖閣問題―隣国との付き合いはまず異文化理解から
(2)3言語習得で自分の中に世界ができる
(3)AIUに世界のマスメディアも注目
(4)エクストリームからストリームへ〜「教養」が再びスタンダードに
(5)重要な「ローポリシー」〜きめ細かい制度設計
(6)戦後世代、安保の挫折、自己否定、同時代史との対決
(7)成熟国家日本に期待〜不安、集団主義、前例踏襲を超えて


100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
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 去る10月7日、秋田・国際教養大学(AIU)の学園祭「AIU祭」の日に、同大学学長・中嶋嶺雄氏に正田がインタビューさせていただきました。


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 中嶋学長は大変な多忙のさなか、この日も学祭・オープンキャンパスのシンポジウムのあと入学志望者の保護者に質問ぜめに遭われた直後のインタビュー。

 今年、日経新聞で「人材育成注目度トップ」に選ばれるなど、秋田の山の中に8年前、忽然と誕生した新興大学のAIUは驚くべき成功を収めています。その中心にあるのは、授業すべて英語という徹底した英語教育と1年間の留学義務付けといった「グローバル化教育」、それに「教養教育」です。

 
 中嶋氏の東京外国語大学時代のゼミ生だった正田。現在はAIUに入った学生の親という立場でもあり親子2代にわたっての師事であります。

 お話は中嶋氏の専門の「現代中国政治」から、AIUの行う「複言語主義」の教育、日本で強烈に新しい教育を創り上げた中嶋氏自身のアイデンティティ、そして日本の今後、と多岐にわたりました。

 全7回で掲載させていただきます。ごゆっくりご覧ください・・・。




(1)尖閣問題―隣国との付き合いはまず異文化理解から

■領有主張は海洋資源の調査から―尖閣列島
■「国交優先」で態度表明しなかった日本
■異文化理解の大切さ



中嶋 嶺雄氏略歴:

国際教養大学理事長・学長、国際社会学者。
1936年長野県松本市生まれ。東京外国語大学中国語学科卒業。社会学博士(東京大学1980年)。東京外国語大学教授、東京外国語大学学長を経て2004年、国際教養大学を創設。国立大学協会副会長、アジア太平洋大学交流機構(UMAP)初代国際事務総長、財団法人大学セミナー・ハウス理事長、オーストラリア国立大学、パリ政治学院、カリフォルニア大学サンディエゴ校大学院客員教授を歴任。



■領有主張は海洋資源の調査から―尖閣列島


中嶋学長(以下敬称略):今日は何からお話したらいいですか。


正田:時期的には中国がああいう状態ですので、中国情勢からおききしたいところなんですが。今日の本来のテーマは、日本が歴史的にどういう時期にあってその中でAIUがされているような教育というのはどう位置付けるのがいいのかということです。でも先生のお気持ちは今どちらに向かれているんでしょうか。


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中嶋:今日学内で(オープンキャンパスの)シンポジウムがあって、対談会があったんですけれども。


正田:それをおききしたほうが良かったのかもしれないですね。


中嶋:そう、学生たちの質問が非常に良かった。日本が今置かれている状況について、異文化を理解することが非常に大事だということも。それをどういう風に実現していくか、そんな話が色々出てましたね。
まあとりあえず尖閣の話からしましょうか。


正田:そうですね、是非お願いします。


中嶋:尖閣問題はね、最近僕も2,3論文を書いたり、産経新聞の「正論」にも書いたんですけど、とにかく中国が尖閣の領有を主張し始めたのは1968年に国連のECAFE(アジア極東委員会)調査団が海洋資源の調査をして尖閣付近に豊富だということがわかり、それ以来なんですよ。僕はそのころ香港にいまして、1969年から71年まで香港総領事館の特別研究員でしたから。68年に国連の調査団があって、そして69年にそのことが発表されたんですね。そして70年になってから、中国はそのこと(尖閣の領有)を主張し始めて71年の12月30日かな、中国外交部が声明を出して、「尖閣は中国の領土だ」ということを言い始めたんです。
 ですから明らかに、中国が言い始めたのは海洋資源があるということで言い始めたのです。それまでは尖閣なんてまったく日中間でも問題になってなかったわけで。我々も知らない、そんな島がどこにあるか。そんな存在だったと思うんです。
 その時に中国側が外交部声明を出したのに、日本はまったくそれに対して反応しなかったんです。

 
正田:国交正常化前でしたね。




■「国交優先」で態度表明しなかった日本



中嶋:そう。そのころ日本は国交正常化にわーっと雪崩を打ったように、バスに乗り遅れるなという状況でしたから、尖閣の問題については中国が外交部声明ではっきりものを言ってるのに日本は何も言ってないんですよね。それがまず第一回目の状況です。

 そのころ香港にはね、あなたも香港に行ってたからわかると思うけれど、職業的な反日集団があるんですよね。それは日本が香港占領のときに軍票(軍の紙幣)を発行したのですが、その軍票を償還してほしい、今のお金に替えてほしいという、そういう要求をするグループがあって、香港索償協会という名前でした。補償を求める協会ですね。それらの人達がやがて(台湾の尖閣諸島領有を主張する)「中華保釣協会」のようなところに、今のところにつながってると思うんですけど。そして総領事館にデモをかけてきたりしました。その頃を僕はおぼえてるんです。

 ですからそれまでは、尖閣というのはまったく問題にならなかったわけですね。だから明らかに、中国は海洋資源があるということで言い始めて、領有を主張し始めた。

 ところが日本は、72年の国交正常化前のことで、もうまったくそういう問題で中国に抗議しようなんて雰囲気はなかった。恐らく外務省も、中国外交部の声明を十分検討してなかったと思うんです。

 そんなことがまずあって、その次が今度は1979年1月に小平さん(中国副首相=当時)が来たんです。米中国交正常化のあとに。小平さんがアメリカ行きの帰りに日本に寄って、外国人記者クラブで、「尖閣は次の世代かまた次の世代に解決すればいい」ということを言ったものだから、それで日本は安心しちゃったんですよね。

 その小平さんの発言に、さすが小平さんだというようにマスメディアも反応していたと思うし、日本の外務省も政府もそうでしたね。ところが当時、まだ小平氏は全面的に権力を握ってたんじゃなくて、華国鋒(党主席、国務院総理=当時)時代なんです。四人組のあとの華国鋒政権。その華国鋒政権のときに小平氏は、そういうことを言ったんだけど、小平氏がやがて全権を握るようになったのは華国鋒を追放して失脚させてからですからね。とくに今度は90年代に入るんだけど92年は小平氏が「南巡講話」をやって天安門事件のあと、改革・開放を言い始めたのが92年の2月なんですよね。その南巡講話をやった同じ月に全国人民代表大会の常務委員会という、外国のマスメディアも入れないようなところで、尖閣諸島、西沙諸島、南沙諸島を中国の領土であると規定した領海法を制定しています。そのときも日本は何も言わなかった。日本は宮沢内閣の時代で、この年10月に天皇・皇后の訪中を控えてそちらの日中友好のほうが先に立ってしまったから、中国がそんな領海法を制定したにも関わらず、それについても何ら発言してないんです。

 だからそういう状況が今の尖閣問題に表れてきたわけです。ちょうど数日前が日中国交正常化40周年で、正常化が1972年の9月29日でしたね。周恩来さん(国務院総理=当時)が、このときも「今は尖閣の問題は論ずるのはやめましょう」と言って、やっぱり棚上げしてしまった。そういう歴史的経緯をずっとたどってみると、日本外交は相手の国の分析を十分していなかったということにもなるし、あるいは中国というものすごい異文化ですよね、共通のところもあるけれどものすごい異文化で、圧倒的な大陸国家であるし中華思想がある。そういう日本と違った、一番近い所にあるにも関わらず異文化をもつ中国が、どういう風に外交的には出てくるかということを、ほとんど理解できなかったと思うんです。それが今回の事態だと思います。

 それから同時にね、中国というのは外の世界が色々影響力を行使してそれによって影響される国じゃないんだよ。中国の政治が大きく変わるのは、まさに国内政治、権力闘争ですよね。文化大革命もそうでしたし。それが中国政治の特徴なんですけれども、今回も見てるとね、党大会が11月にあるっていうのに、日程が発表されたのが4-5日前でしょう。そして一体どういう状況になるかもほとんど明らかになってない。


正田:本学のウィリー・ラム教授が「習近平は(党総書記に)選ばれないんじゃないか」と予測されたそうですね。



■異文化理解の大切さ

中嶋:そう、ぼくも2-3年前から「習近平だ」とみんなが言うときに「習近平になるかどうかはまだわからない」と言ったり書いたりしてきたんだけど。やっぱり中国側からみると、そういう問題がまだ残ってますよね。だから今度の党大会はどうなるか、見定めなきゃならないんだけど。
 そういう状況の中で、やっぱり中国は国内政治が非常に重要で、もし今の反日デモが反政府デモになると困るから、いわば反体制に行かないようにデモをストップさせましたね、急に。


正田:そうですね、あの手際は見事でしたよね。


中嶋:恐らく今の中国の指導部は、反日デモによって、それが全国的に燃え尽きることによって、中国のいわば党に対する不満や不平、貧富の差とか、汚職とか、たくさんある問題を、そういうことが反日デモによって燃え尽きてくれればいいという期待を持っているように思うんです。

 だからそうした状況なんですけどね、中国という一番日本に近い国を理解する場合にも、やっぱり異文化理解が十分できなかったということがあると思います。

 AIUはグローバルに展開する大学ですから、そのためにはコミュニケーション能力がなきゃいけないというので、英語を一生懸命やるようになってるでしょ。でも英語以外のもう一つの言語も一生懸命やるようにしています。



((2)3カ国語習得で自分の中に世界ができる)につづく



国際教養大学・中嶋嶺雄学長にきく
「グローバル化時代の異文化理解と教養教育のフロンティアを行く
 ―墨塗り・安保・文革を経験した世代の決断」


(1)尖閣問題―隣国との付き合いはまず異文化理解から
(2)3言語習得で自分の中に世界ができる
(3)AIUに世界のマスメディアも注目
(4)エクストリームからストリームへ〜「教養」が再びスタンダードに
(5)重要な「ローポリシー」〜きめ細かい制度設計
(6)戦後世代、安保の挫折、自己否定、同時代史との対決
(7)成熟国家日本に期待〜不安、集団主義、前例踏襲を超えて



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 25日、神戸で久々の「よのなかカフェ」を開催しました。

 通算第36回、新会場のシェアオフィス&コワーキング「コロコ」さんでの記念すべき第1回です。


 コロコさんの入口


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 白を基調に、グリーンを差し色に使った明るくおしゃれな内装。従来のコワーキングスペースにどちらかというと男性的なイメージがあったのに対し、女性も利用しやすい雰囲気です。


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 内装を手がけた石川仁生さん(prescape)。最近税関前にオフィスをお引越ししたそう。磯上通り界隈が再びトレンドになるのカナ?

 
 「神戸」をテーマにしたこのたびの新生よのなかカフェには、Facebookなどでの呼びかけで男女9名の方が集まりました。主催者側3名と合わせ12名で賑やかに話し合いました。


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 冒頭、正田から日銀資料などをご紹介してデータから神戸の現状(凋落ぶり(涙))をふりかえりました。その後は皆さんで丁々発止のやりとりとなりました。

 さて、どんなやりとりだったかというと・・・(抜粋)


森下さん(男性・不動産業):神戸って昔はもっと元気があったと思う。震災後に急にというのではなく、震災後でも、直後はもっと団結していた。
 神戸には東京ほどビジネスチャンスはない。しかし生活するにはいいところ。住むのは阪神間、仕事は大阪。


スガコさん(女性・東灘区在住。新長田に個人塾開業を準備中):神戸生まれ神戸育ち。神戸は二極化している。(国道)二号線を挟んで海側と山側と。また、長田、兵庫方面に行くとガラッと雰囲気が変わる。殺伐としている。神戸をもっと1つにしたい。


ヒラタさん(女性・大阪在住):外から神戸をみるとオシャレだと思っていたがそうでもないと感じる(笑)。また外国人が多いというイメージだったが少ないなー、と。

大和さん(男性、三田在住):三田市に12万の人口がいるが大半は大阪に通勤している。篠山もそう、神戸には行かない。JRで行けるから大阪に行く。神戸にもっと魅力があれば、大阪に行こうと思っている人を神戸に行かせられるのでは。
ぼく自身は高架下がすき。アメ横チックなミリタリー物の店が多い。また神戸は意外と本屋が多い。漫画やとか。文化面、サブカル面がすき。

ヒラタさん:西宮がこれだけ住みやすかったら西宮に住むよね。

田中さん(コロコ運営元の(株)六甲商会総務部長):西宮に住んでおります。大学時代は大阪の大学にJRで通いましたが超満員でした。方向が逆で電車がすいてるから神戸。
 神戸の人って大阪に行くのを怖がりますよね。

森下さん:大阪のおばちゃんみたいのは神戸にはいない。娘さんとお母さんが大丸でゆったりお買い物のイメージ。大阪はごちゃごちゃ人が多すぎる。

大和さん:オシャレっていうのも敬遠されるのかなと思う。東京の近郊に横浜があって、オシャレな街で成り立ってる。しかし大阪の近郊に神戸があったとき、大阪の人たちはオシャレだからといって行きたがらない。

キヨミさん(女性、会社員。神戸在住):大阪は私も昔苦手だった。理由は東西南北がわからなくなるから。
「中央区で生まれ灘、東灘で住んでます」というのが典型だが、東のほうの子は、中央区より西は神戸と認めていない。
 最近、阪急御影界隈がスノッブだと感じている。駅前ロータリーの工事が終わり、古い御影人じゃない、新興成金の街になってる(笑)。
 神戸では昔からお金持ちのおばさまは気合入れたかっこはしない。近所を歩くのはつっかけとかで。元町に行くのはやたら気合入れるけど(笑)。

片山さん(男性、高校教諭、神戸在住):神戸っ子はパリジェンヌに似ていると思う。江戸っ子でもない。昔「月刊神戸っ子」という雑誌があったけど、やたら文化人が文化的なものを書いてる。パリに留学した時、違和感がなかった。がんばって何かするというのがない。だけど自分をすごく持っている。

スガコさん:こないだ東京の友人夫婦が転勤の話が出て、「神戸だったら住んでもいいけど大阪はイヤ。」という話になったそうだ。ほんとはファッションは大阪なんですけどね。ヘアメイクさんとか全部大阪の人。

ショウコさん(女性):ネーミングは大事ですね。「六甲のおいしい水」だったら飲みたいけど「淀川のおいしい水」だと飲みたくない。神戸の人は程よい距離感。他から見ると冷たく見える。転勤の時、「神戸だったらいいけど大阪なら離婚する」とまで言うケースもあるそうですよ。大阪は吉本のイメージになってしまう。

森本さん:ワールドグループ、JAVAグループ、それに開港したみなとの街だとか、雑誌に取り上げられて東西ファッション対決とか、神戸コレクション、東京コレクション、イメージの世界ですよね。大阪は吉本、たこ焼き、お好み焼きになる。

片山さん:おしゃれイメージがファッションに行くからおかしくなるんじゃないですか。風景ってあるじゃないですか。淡路島は秋津島、神話のふるさとの島です。開港のイメージを言うと古い神戸の人は「違う」っていう。今清盛をやってるけど清盛も違う。神代の時代から神戸は特別だという意識をもっている。
(一同「へ〜」)

キヨミさん:求女塚(もとめづか)、処女塚(おとめづか)というのが灘にあります。その由緒を知るとやっぱり古いんだなあと。
 ところでうちの会社の人は地元の人がいない。加古川、明石の人が多い。

片山さん:神戸の人が神戸で仕事したら全然秘密の部分がないじゃないですか。会社の顔、地元の顔、使い分けないと。
 神戸はそぞろ歩きが似合います。元町に昔、三越がありましたが、三越〜大丸〜そごうと1日かけてそぞろ歩いてほしいものを買った。

大和さん:大阪からの人は神戸は冷たいという。イベントしても盛り上がりに欠ける。サブカルは特にそう。斜にみる。興味があるんだけれどないように見える。大阪はくいついたらくいつきっぱなし。

キヨミさん:近所に外人さんが歩いているのはみる。原発で日本は危ないということになりかなり本国に帰りはった。神戸大の古い寮に外国の留学生がいっぱいいてるみたいでバスに乗っている。それを指さしたりはしないですよ。

大和さん:大阪は指さしますけど(笑)

ヒラタさん:外国の人と話す場は?

キヨミさん:最近怪談を語るイベントが北野の移民局のところでありました。盛り上がってたけど、来てるのは大阪の人達だった。

森下さん:神戸を概観すると、戦後すぐから重厚長大、港関連の産業が隆盛だった。その後アパレルも盛んだったが今はやや衰退、今はポートアイランドに医療産業都市で先端医療をやろうとしている。
 何が本当の産業かな?産業が育ちにくいのかな?と思う。
 三宮って駅前だけが商圏、あとは住居。商圏と言えるのは歩いて10分の範囲のところ。
 不動産の観点からみると、もともとビルがあったところがマンションにかわっていく。フラワーロードの加納町交差点より上の方は、アパレルの本社があったところだが、今、マンションになっている。地方に行くと駅前すぐがマンションというところをみるが、それに近い状態になっている。
 結局不動産価格の問題で、マンションで採算が合うようになっていく。企業の神戸支社が撤退して大阪に行って跡地がマンションになっている。

片山さん:新聞社が神戸支局だったところを神戸総局と呼ぶようになっているけど、あれはどうなんだろう?

森下さん:神戸の人は情報に関して閉鎖的だと思う。神戸が大好きだけど井の中の蛙。神戸を元気にしようというが、横と横が手をつながない。

大和さん:コミュニティは3年すると消滅するんだそうです。それ以上は専属の人でもいないと。またお金がないと。

石川さん:コミュニティが3年で終わるのは大阪でも同じ。結局新陳代謝が起きない、閉じたコミュニティだと入ってこれない。下町の自治会なんかで、新陳代謝が起きるようシステムができているようなところだといいんですけど。
 これまでの話では神戸は文化的、いいものがたくさんある、海・山・歴史があって、という話だったと思う。
 大阪は駅前再開発のようにお金があってかけている。お金をかけ続けないと続かないともいえる。

片山さん:神戸の人はプライドはないと思っているんですよ、自分たちは。ここに前から住んでここにいますよ、という意識なんですよ。

石川さん:それは傍からみるとプライドなんです。前から住んでいるということはほかの人にはできないわけだし。

片山さん:文化と文明の違いということでしょうか。入ってくるのはいいけど、ぼくたちそっとしといてね、という。

ヒラタさん:新しいまちになるには、若い人に結婚して子どもを産んでもらわないといけない。ライフスタイルのところで西宮と神戸を分けるのはなんでしょうか。神戸の住みやすさのキーポイントとしてアピールできるのは。

正田:いいお問いかけですね。でもお問いかけに逆行してしまうけど、神戸での子育てはお金がかかるんですよ。予防接種でも同じのがこっち7000円、西宮4000円とか。

大和さん:予防接種は、神戸は日本で一番高いです。水道料金も高い、税金も高い。子どもの医療費は、三田は中学生まで無料です。

フミヨさん(女性、神戸在住):神戸って自然を感じながら住める。
大阪もめっちゃ好きなんです。私は帝塚山に住んでたから、そんなに関わって(大阪のおばちゃん的に)ガーッと言う人はいない。帝塚山は静かだけど、西成にはすごく近いですね。
 神戸は横に長いので、海があって山があって、自然を感じて暮らしている。阿倍野から垂水区に越してくると、夜の明るさが全然違う。
 姫路生まれなんですが、姫路にはみんなで一緒に何かやりたいというのが強いですね。

キヨミさん:みんなで一緒にというのは神戸にはないですね。そっとしておいてという感じ。

ショウコさん:姫路では反対意見が出しにくい。城下町だから。

大和さん:篠山も城下町です。篠山の男の人は見かけがいかつい感じだけど、それは見かけだけ。

ショウコさん:松本、熊本もそう。上から言われるとNOと言わない。お殿様が言うんだから正しいんだろう、と思っちゃう

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森下さん:姫路の人は兵庫県の中心は姫路だ、と思っていますね。

大和さん:神戸は兵庫県民だと思っていないふしがある。それが神戸の発展を阻害しているかもしれない。大阪市と大阪府の対立もありましたが、神戸市程度の規模でがんばっても。

フミヨさん:モトコー6丁目とか駅のすぐそばなのに店舗がガラガラで怖いような雰囲気ですよね。大阪も通天閣のそばとか地元の人は行かないような場所なんですが。
 (神戸駅南側に)モザイクを作りました、人が集まるスポットを作るがそれ同士の動線がない。20代の人を集めることを何かすればいいのにと思う。垂水でお店出している若い子に「なんで垂水?」ときくと、繁華街にお店を出せない、賃料が高いから、と言う。垂水に今、いいお店できてるんですよ、でももうちょっと繁華街に出せればと思うが。

森下さん:賃料の話をすると、賃料は三宮センター街が一番高い。三宮一丁目は1坪10万以上。30坪なら月300万円、飲食なら1日1万円さばかないといけない。センター街は昔はあんなに広くなかった。30年前は普通の商店街、それをバブルの時に人に貸した。それをまた転貸した。それが今でもセンター街、センタープラザに残っている、賃料を下げたくても下がらない。
 大丸を挟んで向こうは三宮に進出する人に言わせると、神戸ではない、という。旧居留地は坪2-3万。大阪・梅田はお昼はサラリーマンのランチで賑わい、夜はのみやになる。神戸だと夜飲むには駅の北側。旧居留地ではランチ商売しかできない。神戸は賃料が下がらないので、飲食は儲からない。今、(賃料は)大阪より高い。飲食は神戸で成功したら全国どこでも成功するといわれる。元町に何軒かスイーツのいいお店があるが、あれはセンター街ではできない。ケーキ1切れ1200円とかの世界になってしまう。東京の代官山とかに行ったほうがいい。市場規模でいえば東京は神戸の10〜12倍です。だから神戸でちょっと成功したら東京に行く。
 集客スポットを結ぶ動線が確かになかった。メリケンパークからハーバーランドに行く手段がなかったが、それで作られたのがループバスです。縦の動線をつくった。あれは地元の人の足でもあるんです。


ショウコさん:買い物は今、ネットが多くなった。新しいものをみるには大阪に行く。食べ物は福島に行く。向こうだとお店の人もがんばろうとか雰囲気でビシビシ感じる。

スガコさん:阪急御影駅前は、きれいになって今賃料がすごく高い。飲食が入ってこないので個別塾ばかりになった。フランチャイズの塾は六甲道がやりやすいらしい。六甲道で成功したオーナーさんが御影をねらっているが。商売するのも住むのも神戸はお金がかかりすぎる。

森下さん:御影、岡本、芦屋、今回の公示価格は上がっている。全国は下がっているのに。上がるのは芦屋の大原町、御影、岡本、そのあと千里ニュータウン、江坂、箕面、帝塚山など。芦屋を中心にのの字のようにジワジワ上がる。

石川さん:乙仲通とか、いっとき人が集まってきた。あのとき個人、若者がきていて熱かった。それも3年ぐらいで力尽きてしまった。海が近く潮風、ボーダーの服、大阪の堀江に近い雰囲気。いかんせん駅に近くない、通り道じゃない、そのあたりが凋落した原因かな。

森下さん:ちょっと前、カフェがブームで磯上通りがクローズアップされた。それが乙仲通に移った。最初やろうっていう人がいるけどその人がつかれてくるんですよね。

スガコさん:堀江はタワーマンションがいっぱい建って若いお父さんお母さんがベビーカーを押してる。大阪って面だなーと思う。神戸って面じゃない、ぱーんと分かれる。

石川さん:堀江には住んでいる人がやっているというのが結構ある。京町堀に住んでる人が京町堀をやるとか。乙仲通の若い人は住んでなかった。住んでないと文化的に根づきにくいんかな。

森下さん:前はそこに住んで商売して、というのが当たり前だったけど、高度成長のときしごとと住環境が別になった。今それを小さなまちにしないと崩壊しちゃう。商売するとこと住むとこを一緒にしないと。

石川さん:外から入れることに柔軟だったらいいんですけど。

スガコさん:東灘に家を建てるとき大変だった。近所の人が意地悪して。すいませんすいませんと言い続けた。排他的とか閉鎖的。頭下げないと認めてくれない。高くても隣の米屋で米を買わないといけない。ほんとお金がないとしんどい所だな、と思った。

石川さん:そのやり方でコミュニティに入っていったのがすごいです。

スガコさん:土曜日になると御用聞きが来ますもん。その代り子どものこともみてくれるから、いいところも悪いところも。

森下さん:神戸はムラだよ。ムラ意識。

スガコさん:住んでいる人間にはそれが当たり前なんですよね。家から右にしか車を出せないんです、電柱が邪魔になって。すると右側の家の人が道路上で洗車してる。どいてくれません?というと、どこへいくんや。ここはわしの土地やったんや、と。

大和さん:東京や大阪にも田舎がある。ニュータウンにはそれがなくて楽。さみしくなる時もある。PTAなどをやってつながりを大切にしている気もする。
 とくに男性はコミュニティとつながりがないので孤独。話する相手がいないとどんどん孤独になっていく。こうやって話していることは私にとっていいことですし、こういう場があったらどんどん参加して発言しようと思う。

ヒラタさん:神戸にきてから横のつながりが強くってみんな知り合い。今日きたらそっとしておいて、というお声をきいたり、商売がやりにくい街や、ということを知った。みんな話し合っていれば動線ができてくると思う。

片山さん:神戸について発見した。住みやすいと思っていたら住みにくい町なんだ。

ショウコさん:魅力的なまちにするには人間しかないと思う。自分の周りだけでも、自分だけでも元気でいよう。

石川さん:今日は最初数字の話があったが、皆さんが関心のあることは内容、文化的なこととか雰囲気とか人の感じとか。結局町をよくするって人の魅力をどうやって上げていくか。
 今日皆さんが人に関心があったのが面白かった。

志賀さん(男性、大阪在住):西と東の垣根があるということが新鮮だった。それぞれの人が素性がわかるぐらい自己開示して話す。こういう場って人を知るうえで早いですね。

森下さん:内も外もみてきたが皆さんのご意見をきいて気づかされた。ものをつくりまちをつくり経済が回るという時代は終わった。人対人、ご近所づきあいのコミュニティの大切さをわかっているけど答えがない。皆さんの思いをもっともっと意見交換できればよりよい場になる。

スガコさん:武闘派がすぐばれてしまう(笑)自分が商売を始めるにあたり、若い人の年収をみていると、一生懸命働いても可哀想なくらい。自分にも子どもがいるし若い方が住める場所になるようにと思う。

キヨミさん:たしかにちっちゃいコミュニティが存在しているが、南北のラインがない。コミュニティもつながりがない。自分もがんばって参加したい。南北の交通網もつくってほしい。26日からHAT神戸から摩耶ケーブルまでを結ぶ「坂バス」ができる。

フミヨさん:いろんな気づきがあった。10人の力でこんなにしゃべれるなんて凄いやん。私たちが変わらないと子どもたちも変われない。何か一歩前に進めたら。

正田:今日ははなからまとめることは諦めていましたが(笑)皆さんが人生の次の一歩を踏み出されることが神戸を元気にすると信じましょう。今日はありがとうございました。

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〜話し合いは以上です〜


 非常に活発な、ビシバシのやりとり。途中出た不動産のお話、実際住んでいる人ならではの体験談も大変おもしろかったです。


 集まられた個性豊かな皆さん、そして会場のコロコさんに感謝です。どうもありがとうございました。



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
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 23-24日、企業内コーチ育成講座(コーチング講座)基礎コースA 第13期を姫路・じばさんビルで開講しました。


 「承認(認めること、褒めること)」と「傾聴(話を聴くこと)」、そして「質問」では相手の頭の中のものを問いかけることに始まり、「ビジョン―現状―行動」の戦略的思考のフレームワークを質問してやることによってリーダーの思考法を整え、決断力を育てるワークまでを皆さんにやっていただきました。


 受講生さんは初日6名、2日目4名と、今回は少人数セミナーとなりましたが大変中身は濃く。


 特筆すべきは、これまで当協会の講座では珍しかった20代ー30代のリーダーが大半を占めたこと。

 それぞれ非常にしっかりした方々でした。


 「認める」ことに関心があったからそれに特化した当協会の講座に来た、と仰る方もおられ・・・、


 ひょっとしたら「次の社会」は、この人々の手に委ねたほうがいいのかもしれない。
 そうしたらわれわれ中高年の身の置き所は?とまで感じさせた風景でした。


 
 それでは、受講生様のアンケートをご紹介します。

 「公開OK」のご承諾をいただいた方のみ掲載しています:



非常に良かった・わかりやすかった・面白かった
【最も役立ったこと】承認には、いろんな承認があり、その場面で使い分けしながら相手をほめて、反応を見る、やる気にさせるところ
【すぐにやりたいこと】承認を自主的にやる
【その他】知らない人と対話するので、あまりうまく話が出来なかった
(K・Y様)


良かった・わかりやすかった・面白かった
【最も役立ったこと】質問のしかた。相手の気分を損ねることなく、良い点を引き出し、モチベーションを上げてもらう。質問の具体的な言い方には、考えさせられるものがありました。
【気づいたこと】相手をよく見ること、観察すること、相手を認め承認するには行動を観察し言葉や意見を聞くことが大切だと感じました。
(C・Y様)


良かった・わかりやすかった・非常に面白かった
【最も役立ったこと】
・承認の具体的な言葉や示し方が理解できたこと。
・目標、ビジョンへの質問フレームを使用したヒアリング。
【すぐにやってみたいこと】
・目標、ビジョンへの質問
・店舗社員への承認と傾聴
【わかりにくかった点】
テキストの内容を直接説明していただいてない部分について、疑問に思ったり、追加で聞かないと分からない。
【その他】
今回は、いい気づきが多くありました。ありがとうございます。
また、異業種の方と触れられたこともよかったです。
(坂東様)


良かった・わかりやすかった・非常に面白かった
【最も役立ったこと】
・人の観察不足に気づいたこと
・「承認しよう」とすることで、観察も促進され、承認力と観察力が身につきそうだと実感できたこと
・共感してもらうと話が広がることを実感できたこと
【すぐにやってみたいこと】
宿題と同じ内容を継続したい
【わかりにくかったこと】
今のところありません。
実践に落とし込むと疑問が噴出しそうな気がします。
【その他】
「承認の実践方法ときっかけを得る」という目標は十分に達成できました。継続が課題ですね。
頑張ります。ありがとうございました。
(横山様)


 皆様、長時間ありがとうございました!
 意欲的な皆様のお蔭で大変中身の濃い2日間となりました。

 また、皆様からの実践のご報告を楽しみにしております。


 いつも美味しいお弁当を手配して下さるじばさんビル2Fロバスト様、またスタッフ山口さん、この場をお借りしてありがとうございました。


100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
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 ふと来し方を思う。

 悩んだ日々があって、

 だからこそ心のしっかりした受講生さん方から

「これまでコーチングの本を読んでもしっくり来なかった。正田さんの本を読んで初めてしっくり来た」

と言っていただける。

 それは自己否定というか、既存の物を否定する苦しい孤独なプロセスがあったからだが、

 みる人によってはそれは不遜な行いだ。


 今もいろんなことを言ってくる人がいる。

「コーチングという名前をやめたら」

 これももう数年来言われているし、私自身もどれだけ迷ったことか。

 そして、やめることはしなかった。

 ただ「承認中心コーチング」「承認を核としたコーチング」と、

 多少独自性を主張するような名称にした。

 
 コーチングは、私は「武田コーチング」に出会ってから「これはいいものじゃないか。これで行こう」と決めた、といういきさつを本にも書いているが、

 本来スポーツの監督術、コーチ術に近いものだ。いい監督、コーチが組織を上手くいかせて率いて勝利するとか成果を出させる。そのプロセスに近いことをビジネスでやろう、逆にあまりその原則から外れたことをやらない方がいい。何か応用編的な対応が必要になったときでも、監督やコーチのやることを参照できる。そういう意味で「コーチング」と言っておくのはすごく便利だ。そのメリットを捨てることはできない。


 既存の大手研修機関の提唱するコーチングのイメージを重ねられると困ることは多々あるが、ある程度信頼関係のあるお客様だとわかっていただける。

 


「承認という名前をやめたら」

 これもよく言われる。

 しかし、大体それを言うのは「やる」人ではない人たちだ。

 「やる」人は、ちゃんと承認という言葉で受容する。自分のマネジメント上の指針を、「承認」という一点に集中させることによって、実際は色んな細かいバリエーションがあるのだけれど意識の持ちようとしてはそうで、そして上手くいく。

 決して年若い視野の狭い人たちではない。十分に見識のある人、見聞の広い人たちがそうなのだ。


 そういうものなのではないか、と思う。

 世の中には「3〇〇」とか「5××」とか「アイウエオ」とか、いくつかの概念をごろ合わせでまとめたような色んな指針が溢れているけれど。


 現実に日々、ビジネスの最前線にいる人たちの意識の持ちようとしては、3つの〇〇とか5つの××とか、複数のものを同時に念頭に置いておくことなどできない。


 それは、名前を出すのもおこがましいけれど孔子先生が

「大事なのは『仁』だ」

と仰ったのとおなじで。


 孔子先生も時により「勇が大事だ」と言ったり「義が大事だ」と言ったりする。それはこのブログでも同じで「承認」以外のことを話題にしていることも多々あるけれど、


 現役の忙しいリーダーたちが一度に頭に置いておけるのはいっこだ、と諦念をまじえ、思いやりをまじえて孔子先生は腹をくくられたのではないかと思う。

 
「大事なことはこれひとつだ」

 
 そういう言い方に反発してくる人は多いし、大学の先生でも揶揄してくる人がいるが、リーダーたちの現実を考えた思いやりなのだ。そして現実にそれは効果があるのだ。


 だから、「コーチング」とはあんまり言わない。あれもこれも大事だ、と言うことになるから。言うとしたら「承認」と言っていることが多い。

 うちの受講生にわざわざ来るような、比較的教養のある向上心の高いマネジャー層の人々が、誇りをもってひとつのことを指針として頭に置いておける、そのためには漢字1字か2字程度の、そして過去の歴史上にはない「今」の時代に対応する概念としての言葉が必要だ。


 「承認」という言葉をやめてしまったら、これまで「承認大賞」に応募してくださった気高い人たちはどうなるのだろうか。彼らが末永く誇りをもっていてほしいのだ。


 またその手のこと(コーチングをやめたらとか承認をやめたらとか)を言うのは大体において、中高年(主に高年)男性であり自分たちの時代にはなかった良いものへのやっかみを込めて言う。
 彼らの時代にはなくて今の時代にはある良いものなど、ほかにもゴマンとある。そして私は48歳の壮年であり、短いスカートを履いた小学生の女の子ではない。


 閑話休題、
 かつてうちの協会で学んだ大手メーカーの人材育成の人は、

「傾聴も質問も、全部『承認』のバリエーションだ、と考えてしまえばいいですね」

というようなことを言った。


 実際、そういう心の持ちようであまり失敗はないのではないかと思う。


 
 相変わらずつまらない繰り返しを書いてしまった。


 今週は姫路で、企業内コーチ育成講座の第13期。


 お蔭様で何とか開講できることになりました。


 存じあげている受講生さんの顔、そして受講生さんを派遣してくださった人の顔。そしてまだみぬ受講生さん。

 
 私ができる小さな小さなこと。



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
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※※※

そういえば、
「ほめ方、叱り方などテクニックだ。下らない、怪しからん」
と私に言ってくる人がいた。
そういう内容のことをニューズレターに書いてあちこちに送り付けているそうだ。
実際に会ってみると、
その人自身はだれのことも悪しざまに言うクレーマー体質の人だった。
そういう人に私の受講生さん方が影響されないことを願う。
不況で、研修機関同士のネガティブキャンペーンも盛んになると思う。
以前準公的セミナーで「コーチング」について誤解を招くようなことを言っていた話も書いた。

私は私のブログでひっそりと間違いを正しておきたい。
心正しい、良いマネジメントを引き続き実践されている受講生さん方が
道を誤ることのないように。

 先日(下記の記事参照)お約束した通り、「承認研修」によってモチベーションが顕著に上昇した施設さんに18日、お邪魔してきました。


 「実りのある介入 モチベーション指数上昇(参考値として)―ある公的施設にて」

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51829366.html



 詳しく言いますとこの施設とは、高齢者福祉センター・姫路市立楽寿園(姫路市梅ケ谷町17番50号)。従業員6名。

 姫路市内の60歳以上の人は無料でレクリエーションや入浴に利用できるほか、校区ごとの老人クラブからバスで送迎して団体での訪問があり、その人数は2・30人から多い時で135人にもなります。


 
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楽寿園のレクリエーション室。マッサージチェアやビリヤード台がありお年寄りたちの笑い声がきこえる


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囲碁ルーム。老棋士たちの表情は真剣そのもの



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大広間。校区の老人クラブの人々はここで講師のお話をきく


 今年6月、指定管理者主催の「承認・傾聴」の1日研修に、楽寿園さんからは生駒眞一郎園長(61)が参加されました。


 その生駒園長を、楽寿園にお訪ねしました。


 生駒園長は昨年4月にこの施設に着任。園長による2年越しの施設改革の途上にこの研修はありました。


「前管理者の市社会福祉事業団のもとでは、公務員以上に古い体質でした」


 と、生駒さん。どう古いのかというと、


「役所は昔は無愛想でしたが今は窓口応対も電話応対もすごく良くなってきてますよね。しかし第3セクターの職員はそういう研修の機会があまりなく、またOBの人達がトップに居座っていますから、案外全体の体質が古いです。ですから応対とか接遇がなってないんですよね。

 そういう古い役所体質をずっと引きずってたんですね。だいぶ前の話ですがあるお客さんが、『自分の靴がない』とここの職員に言ったそうです。すると『あんたの靴の(見張り)番してへんからな」と返したという。『ただでお風呂に入れてやってる』という感覚だった」


 なので、お客様に「おはようございます」「ありがとうございました」とあいさつする習慣も、1年半前にはなかった。

「お客さんには『ありがとう』言うんやで、というとみんなポカンとして。この園長何言うんや、と」


 生駒さんは前職が楽寿園を管轄する、市の高齢者生きがい課の課長。高齢者バンドイベントや高齢者ファッションショーを立案するなどアイデア課長でした。その時代にも楽寿園を訪れたことがあり、当時は市の職員さんだからと丁寧に応対してくれる。それがお客様に対してはぞんざい。大変なギャップを感じたといいます。


 そして生駒さんが園長として赴任して数か月、昨年の夏頃から、楽寿園の評判は上がりだしました。「楽寿園さんはようなった、ようなった。『ありがとうございました』と言ってくれるようになった」と老人クラブの人々。今年になって民間の運営になってからさらに評価が高まっています。

「今までみんな頑張ってきたけれども民間の指定管理者になってから、さらに『ようなった』と言われなあかんねんで」

と生駒さんは職員に言い聞かせました。


 そして今年6月の研修。


 生駒さんにとっての最大の気づきは、やはり朝礼の形式。生駒さんから「今日はこんな校区からこんなお客さんが来るから、頑張ってや」という一方的な伝達だったのが、職員からなにか1言ずつしゃべってもらうように。


「きのう休日で孫とこんな所へ行った。ごっつ綺麗だった」
「きのうお客さんからこんなこときかれて、こう答えたけどそれで良かったんかなあ」

という具合にみんなそれぞれ一言ずつ話してもらう。

 さらに午前中に1回と午後に1回、お茶の時間もとるようにしました。


「朝お客さんがバスで来て、大広間にあがってもらってしばらくバタバタするんですが、お客さんが講師のお話を聴いてるとき、10分ほどちょっと暇になるというか、手が空くときがあるんです。その間に朝のティータイムで、みんなでお茶をのんでいろんな雑談をする。ほんとに10分か5分の間ですけど、それでもその時間があるだけで雰囲気がちょっと違う、いい感じになるんです。

 それと午後、校区のお客さんが帰られて片づけてまたちょっと暇になるときにまた5分か10分お茶の時間。そのときにこちらから色んな必要な話もできるし、向こう(職員)からも何やかやきいてくるし。」


「僕ふだん気がつかへんのですよ。嫁はんが髪切ってても女の用務員さんが髪切ってても気がつかへんのですけど、観察が足らんのやなあ、なんか一言言うてあげたらええのになあと思うんですけど。だれかに言われて、『あ、○○さんほんまや髪切っとってや』と(笑)」


 雑談の効用。このブログでも何度か触れていますが、人数が減って1人当たりの仕事量が増えていても、雑談タイムをほんのちょっととることが、仕事を円滑にする。それ急げやれ急げばかりで効率が良くなるわけではないのです。また、「リーダーは承認を」が望ましくても目が届かないこと、性格的に気がつきにくいことがあれば、だれかに自然に補ってもらえるよう計らうことも必要です。


 なぜ生駒さんは研修後、さまざまな実践をされたのですか?の問いに。


「こっちから一方的にしゃべっててもあかんのやなあ、と気づいたんですよね。相手の人にしゃべってもらわんと、そして気づいてもらわんと。何の話のときにそんなことに気づいたのかわからないんですけど。命令する側と受ける側、そんな関係になったら絶対あかんなあ、と思って。きちんとお互いイーブンでお話ができる関係にならんと。それで、それまでは『あれあないしてなー、こないしてなー』と指示してたのが、『あれどないしたらええんかなあ』と、向こうにいっぺん考えてもらう時間をこしらえて。『こないしたらええんちゃいますかなあ』と言ってきたら、『あ、そやなあ』と、正解やったらね。」


 ―相手の答えが違ったときは?


「違うかったときは、『それやったらこないなってしまうんちがうかなあ」と。そして『なんかええ方法ないかなあ』と言うと、考えてくれるんで。」


 ―柔らかく戻すみたいな。それはすごいですね。


「そういうところは研修の効果で変わりましたね。押し付けがましくないように、引っ張っていかなあかんなあと」


 ―そんなふうに受け取っていただいていたら、嬉しいですね。


「それから、『ありがとう』と出来るだけ言うように変えましたね、僕から職員に。汚れたところを掃除してくれとったり。お客さんの中にもトイレを便で汚したり漏らしたりする人もちょくちょくいるんですよ。基本的にはお年寄りでも元気な人の来る施設ですけど。みんな仕事やからきちんと掃除してくれるんやけど、ぼくから『いやー、してくれたんやな、ありがとうなー』と言うようにしてるんですよ。人の便の始末なんて大変な仕事や、仕事やから当たり前と思ってもうたらあかんと。」


 ―それは嬉しいでしょうね。


「文句は誰も言わへんのですけど、『かなわんなあ』と思いながら掃除してくれてると思うんです。月に1,2回はあります。また自分の仕事かどうかわからへんけどカーペットにシミがついてたのをだれかがきれいにしてくれてたら、『きれいにしてくれてたなあ、ありがとう』と言うようにしています」


 何気ないけれどこのあたりは大事なポイントです。当協会の受講生さんであれば耳にタコほど言われる「行動承認」。相手の仕事の量や質、労力などを正確に見極めて言葉で言ってあげる、あるいは感謝したりねぎらってあげること。それは、人のやりたがらない仕事をあえてやる人への精神的報酬となったり、あるいは今どきの「目標管理制度」がはたらく人のセクショナリズムを産みやすいとすれば、そのセクションの垣根を越えてプラスアルファの仕事をすることの原動力となります。


「そういうのが必要やなあ、ということはあの研修のときに感じました。『あ、やっぱりこういうこと言わなあかんねんなあ』と(笑)」


「そういうお礼の言葉を僕が言うように心がけているから、みんなも4月から民間の管理者に代わってるわけですが、余計に頑張らなあかんなあ、と思うようになっていると思います」


・・・ここまでのお話をまとめますと、
 生駒さんは楽寿園の改革者でした。昨年4月の園長就任、そして今年4月の管理者の民間業者への交代、と2回の節目にそれぞれギアを入れてきたわけですが、ひょっとしたら中には生駒さんの「理念先行」もあったかもしれない。今年6月の「承認・傾聴」研修は、そこに「認める」(相談する形式で質問する、という行為も含む)要素が入ったことで、職員の満足度がアップし、自発的に考えて仕事をするようになり、プラスアルファの仕事が増えました。指標の中には「ミスが減った」(4.3→5.3)のように、能力アップを伺わせるものもあります。

「今できていないことをできるようになろう」

という呼びかけは、ともすれば「今できていない」ことを強調するあまり、現在の相手の否定になりかねないのでした。

 高い目標を持つ、理念を掲げるということは、多かれ少なかれそういうリスクを伴います。それは、例えば「指定管理者制度」の下に、5年ごとに契約更新するときに職場を失うかもしれないから、そうならないように頑張ろう、と「崖っぷち」のモチベーションに下支えされているときでも、そうなのだと思います。



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生駒眞一郎園長




 さて、現在の生駒さんと職員の皆さんそれぞれのモチベーションの素とは。


「僕自身について言うと、老人クラブの方々が、『生駒さんだから、ここまで良くなった』と言ってくださることが嬉しい。4月に管理者が交代したときも、老人クラブからわざわざ『生駒さんを(園長)交代させないでほしい』と言ってくれたんです」


「職員の皆さんは、お客さんが良ければ良かった、と言ってくださる。街で買い物しててお客さんから声を掛けられることもあるそうです。『あんた楽寿園の人やろ』と。それぐらいおぼえててくださる」


 「認める」ことが職員間、園長から職員へ、そしてお客さんと職員相互に行きかっている、そんな空気になっているのでした。


 お忙しい中、インタビューに応じてくださった生駒園長、ありがとうございました。



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 17日夜のNHK「クローズアップ現代」「女性は日本を救う?」を興味深く見ました。


 IMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事が出演。今週、東京で総会を閉会したばかりのIMFは"Can Women Save Japan?"と題する緊急リポートを出しました。


 それによると、女性の社会参加により日本の1人当たりGDPは4〜5%上昇する。女性の潜在能力を引き出す取り組みが遅れることによって、日本の経済復興が遅れる、といいます。

 そして
 1)女性管理職・役員を増やす
 2)家庭と仕事の両立支援

を提言しています。


 日本では第1子出産後に働く女性の6割が退職。その後、

・いったん仕事を辞めると戻れない
・男性の育児参加が少ない
・保育サービスが他国に比べ少ない

などが壁になり就労を妨げています。


 日本での取り組みとして横浜市の例を紹介。2年前、待機児童数全国ワーストだった横浜市では、幼稚園―小学生の保護者の意識調査を行ったところ、現在働いていない保護者のうち7割が就労希望があることがわかった。しかしフルタイムではく、パートタイム希望だった。一方で既存の保育所はフルタイム就労を前提としている。


 ミスマッチ解消のため、市は一時預かりに重点を置きこれまでより安く利用できるようにした。これで就労率が上がったという。


 ”柔軟な働き方”を提言するIMFでは、お手本になる国としてオランダの例を挙げます。


 オランダでは、女性の就労率を上げることで「オランダの奇跡」と呼ばれるほどの経済成長を果たしました。国を挙げてパートタイムからフルタイムへ、またその逆へ移動できる「柔軟な働き方」を法制化し支援。かつてはヨーロッパで最も女性が活躍していない国であり40年前には就労率2割であったものが現在では8割と、世界で最も高い水準に。

 そこでは、週4日勤務のパートタイムだが管理職である2児の母親の女性、その夫でフルタイムからパートタイムとなり、夫婦で1.5人分の収入だが子どもと触れ合え充実していると語る男性などが登場します。


 「同一労働、同一賃金」の原則、社会保障の充実、パートにもどんどん責任の高い仕事をさせやりがいを持たせるなどの施策が活きています。


 そして、IMFが主張するような「働く女性が増えれば需要が喚起され、経済が潤う。それを起爆剤に経済成長する」というシナリオは、オランダで見事実現したのでした。


 一方日本では―、

 長谷川閑史・経済同友会代表幹事は、「日本が変わるにはいくつかのステップを踏まなければならない」と、やや歯切れのわるい口調で語りました。そのステップとは、

1)時間外労働の削減
  ホワイトカラーの生産性が国際的にみて低いと言われて久しいが、それを放置してきた。
  東京都の調査では、お父さんの帰宅時間のピーク時は23時。これでは育児参加などままならない。
2)育児中の女性にフレキシブルな働き方を許容する

というものです。


 この「歯切れの悪さ」が、なんとなくこの番組の「その先」を予測させるもので興味深くみました。

 長谷川氏の会社、武田薬品工業でも女性管理職比率は2013年に5%にするとかしないとか?ききのがしましたが非常に低い比率のようです。

 だいたい長谷川氏、キャスターの国谷裕子氏のことを名前でなく「キャスター」と呼んでるし。普通のこの番組の出演者は「国谷さん」と呼んでるよね。


 去年から「スウェーデン」を取り上げてきて思うのは、たとえば長谷川氏はオランダ事情のうちの「男性もパートタイムになり子どもとの時間をふやす」という部分に「ひいた」姿勢になり、「そこまでなるのはちょっと・・・」と、事前のステップを慎重に強調するような言い回しになったようなのですが、モデル国のうちにどこかエクストリームに見える部分があると、それ以外の学べる部分についてもすべて及び腰になる、という反応はよくみました。


 そうした、大義名分はあり、モデルもちゃんとあっても、それでも「変わりたくない」が先に立ってしまう、これが平成のびびり国日本です。

 なのでこの番組があっても、すごく変わるということは期待薄です。もうここ数年で何回目かだよなーこういう番組。国際機関から「女性の人権」とか「女性の就労・管理職比率」で警告めいたものを出されるのも何回めかだ。

 今回のは、「女性を雇用・登用したほうが『儲かる』よ」と促しているのが目を引くでしょうか。
 
 政府目標の「2020年には女性管理職率30%」は、もう8年後になっています。

(すみません、このくだりは最初間違えて「15%」と打っていまして正しくは「30%」でした。正確な文言は、、「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位(※)に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」という目標(平成15年6月20日男女共同参画推進本部決定)でした。「期待する」と言っているし逃げ道はあるのだ)



 締めくくりにラガルド専務理事は、国谷キャスターから「女性は日本を救えるでしょうか?」との問いに答えて、

「もちろんです。急速に進む高齢化という現実があります。生産人口を増やさなければならない。そこに優秀で教育レベルの高い女性たちがいる。おのずと答えは見えています」
 


…でもラガルド専務、日本は定年後雇用延長して男性が長く働くようにして生産人口を増やそうとしてるんですが。と、TVに向かって心の声でつっこんでしまいました。



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp


 

お世話になっている皆様



 おはようございます。
 企業内コーチ育成協会の正田です。


めっきり秋らしくなってきました。皆様、いかがお過ごしですか。


 先週は、iPS細胞を創った山中伸弥・京大教授がノーベル医学・生理学賞の受賞という大変嬉しいニュースとともに、日本人による奇妙な「虚偽手術発表」がありました。


 まさに光と影。山中教授の業績は、「この先にiPS細胞という”夢の細胞”があるはずだ」という堅い信念に基づく、血のにじむようなチーム全員の努力がありました。

 それを無心に讃えたい気分をよそに、決して同様の努力をしたと思えない別の人が、華々しい言葉だけを借りた事実無根の発表をする。有名医学雑誌の名前と論文の体裁だけあれば、それはできてしまう。


 同じ時代にこうした人びとが同居しているのもまたわたしたちが生きている今の時代なのでしょう。




※このメールは、NPO法人企業内コーチ育成協会のスタッフ及び代表理事・正田が、過去にお名刺を交換させていただいた方・当協会のイベントやセミナーにご来場いただいた方にお送りしています。ご不要の方は、メール末尾にありますURLより解除いただくか、このメールに直接「不要」とご返信ください。




 本日の話題は:



■増えている大人のいじめ・パワハラをなくすには
  ―兵庫弁護士会主催・CSRセミナーより―


■三宮で再開!よのなかカフェ「外から見た神戸、内から見た神戸」(10/25)


■今後の講座予定
 企業内コーチ育成講座(コーチング講座)基礎コースA(10月23日、24日)



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■増えている大人のいじめ・パワハラをなくすには
  ―兵庫弁護士会主催・CSRセミナーより―



 このところ本メールニュースでも取り上げている「叱る」ということ。

 別の視点からそれを考える機会がありました。先週11日午後、兵庫弁護士会館で開かれたCSRセミナー「パワハラ問題と企業の社会的責任」です。


 詳しくはこちらをご覧ください↓↓↓

 「下り坂時代に上司の違法行為を語る―セミナー「パワハラ問題と企業の社会的責任」に行きました

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51830922.html


 パワハラ発生(相談)数は増加中。さあ、解決策は…?


 このセミナーでは、.肇奪廚離瓮奪察璽賢∩蠱盟觚の設置再発防止、事前の周知による防止―を挙げていました。


 一方、パネルディスカッションではやはり「パワハラを恐れて叱れない上司」が話題になりました。


 仕事上必要な修正をしてもらうための叱責は法的にも違法ではないと認定されることが多いものです。それがゆきすぎにならない、エスカレートしないこと、また明らかに相手の退職を狙ったような言葉の暴力をしないことが大事でしょう。


 これまで本メールニュースでは、「承認していれば叱ることもできる。自分はかなり言いたいことを言っている」という、当協会受講生の現役マネジャーの声もご紹介させていただきました。


 上記の記事では、パワハラと認定された例とともに認定されなかった例もご紹介していますので、ご覧ください。


 また、「叱る」については教育の立場から、過去に何度か雑誌にコラムを執筆しWEB上にも掲載させていただいております。日ごろ「承認」を学び実践されている読者の管理職の皆様に少しでもご参考になればと思います。


 一般論化できないところがあり、今見てもどこか歯切れの悪い感がある記事ですが、こちらも無料ですのでよろしければご覧ください:


◆リーダーの「叱る力」(2009年6月)

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa-column/archives/348884.html

 
◆「怒り」を戦略的に見せる (2010年2月)

  http://blog.livedoor.jp/officesherpa-column/archives/349087.html


◆隠れた感情を知ることで怒りをコントロールする(2011年1月)

  http://blog.livedoor.jp/officesherpa-column/archives/349403.html


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■三宮で再開!よのなかカフェ「外から見た神戸、内から見た神戸」(10/25)


 
 お待たせいたしました!

 しばらくお休みしていた社会人のための時事問題を語る場、「よのなかカフェ」。


 三宮で約3か月ぶりに新会場で再開させていただくことになりました。


 再開第一弾は、「外から見た神戸と内からみた神戸〜これからの神戸での新しいはたらき方〜」。


 三宮にできた新スペース、シェアオフィス&コワーキング「コロコ」さんとのコラボで開催します。


 このたび会場になるコロコさんは、株式会社六甲商会様が神戸国際会館東の瀟洒なビルで運営される、ノマドワーカーのためのレンタルスペース。オープンスペースとブース、個室があり、それぞれ格安で利用できます。

個人〜零細事業者が快適に「横」のつながりを作りながら自宅の外で働けるよう、さまざまな工夫が凝らされ内装もおしゃれ。「イケア」などのモダンで快適な家具を使った空間です。スペース自体一見の価値あり。


 10月25日(木)19:00〜20:30、三宮のオフィス街の一空間で、お茶お菓子をいただきながら「神戸」をネタに学び、おしゃべりしませんか。

 詳細はこちらから↓↓↓

 http://c-c-a.jp/cafe/index.html




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■今後の講座予定
 企業内コーチ育成講座(コーチング講座)基礎コースA(10月23日、24日)




 引き続き、現代の諸問題を解決する力のある優れたリーダーを創る「企業内コーチ育成講座」を、姫路にて開講いたします。

 ここでは、最重要スキル「承認」のほか、リーダーの決断力を高める「質問」、情報収集力を高める「傾聴」をお伝えし、それぞれをしっかり身に着けていただくとともに自在に組み合わせて使っていただけるようになることを目指します。

 下記をご参照いただくほか、もし「私の町で開催してほしい」というご要望がありましたら、極力お応えしたいと思います。その場合は info@c-c-a.jp まで、メールでお知らせください。




★10月23日(火)・24日(水)
 企業内コーチ育成講座(コーチング講座)基礎コースA
 〜コーチの眼・耳・心を身につける2日間〜
 各日10:00〜17:30
 姫路・じばさんビル会議室
 受講料42,000円
 詳細とお申し込みは ⇒ http://c-c-a.jp/info2/index.php?nw2=0

 「承認」「傾聴」「質問」と、基本の3大スキルを実習を交えてじっくり学べ、
 これだけで職場のコーチングは十分こなしていただけます。
 中でも「承認」は一般的なビジネスパーソンの常識を覆す学びとなることでしょう。
 すべての管理者、経営者、部下・後輩をもつ立場の人にお勧め。


 皆様のご参加をお待ちしております!!


★今回の企業内コーチ育成講座はお申込みを締め切りました


 100年後に誇れる人材育成をしよう。
 NPO法人企業内コーチ育成協会


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※このメールは、NPO法人企業内コーチ育成協会のスタッフ及び
代表理事・正田が、過去にお名刺を交換させていただいた方・
当協会のイベントやセミナーにご来場いただいた方に
お送りしています。

今後ご不要の方は、
空メールをご返信いただくか、こちらのページ

http://www.webcordial.com/bn/tk.html

より解除していただければ、
購読リストから外し、次回から送信されないようにいたします。


※このメールは転送歓迎です。
もしこのメールを新たに購読ご希望のかたがいらっしゃいましたら、
info@c-c-a.jp まで、「メールニュース希望と書いて
お申込みください。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


 日中はそれほどでもありませんが朝夕の気温は急速に下がっています。皆様、体温調節を心がけ、くれぐれもご自愛ください。

 

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神戸のコーチング講座
特定非営利活動法人企業内コーチ育成協会
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代表理事 正田 佐与
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ブログ「コーチ・正田の 愛するこの世界」
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「承認大賞2011プロジェクト」
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「企業内コーチ育成のすすめ」
(株)帝国データバンク社『帝国ニュース兵庫県版』
2008年〜2012年 長期連載このほど完結
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 去る10月7-9日、「人材育成注目1位」になった秋田・国際教養大学の学祭「AIU祭」に行ってきました。


 屋台メニューも韓国、モンゴル、台湾、メキシコ、・・・と国際色豊かです。



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 ステージ上のDJの女の子。さすがにコミュニケーションの大学、みんなコミュ力が高いのはもちろんのこと、この大学の子たちの会話はあんまり「馴れ合い」的でないのがとても感じいい。他人をちゃんと「他人」と認識してしゃべってる気がします。それは外国語教育のたまものでしょうか


 1年坊主は全員、EAP(学力別英語特訓クラス)のクラス毎に仮装パフォーマンスをします。洋風、和風と工夫した衣装、振り付けで踊ります。
 今時の子はみんなダンス上手だな〜^^


  
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 優勝したクラスは「キモおもしろい」路線。今どきの男の子って「キモい」はじけ方をするのが上手い気がする・・・


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 閉祭式(後夜祭)には花火が上がります。


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 みんな、この花火のように青春を燃焼させろよ〜


 花火のために一瞬ライトを全部消したときの秋田の夜空は、満天の星がそれはそれは綺麗でした・・・


 
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 うちの娘ハルカは大量の宿題と学祭準備でかなりバテ気味。パフォーマンスが終わるといきなり寝てしまいました。写真はトイレ(4人で共同使用)のドアに貼ってある部屋使用契約。「私物勝手に使うな」とか「夜騒ぐな」とかです。




 9日は、宿題が残っているという娘を置いて1人でレンタカーを借りて秋田観光に出かけました。

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 秋田空港から車で北へ1時間ほどの町、角館(かくのだて)は、武家屋敷の街並みが今に残ります。写真はそのうち最も古い「石黒家」。150石ほどの、お殿様の佐竹家からみると家来の家来、「陪臣」の家。玄関が2つあり、正面玄関は主君とか高位のお客様のためのもの。家の主人は脇の玄関から入り、家族や使用人は勝手口から入ります。

 
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 日本で一番深い湖、田沢湖。青緑の美しい湖面をみせてくれます。中央は「たつこ姫像」。この紀行で初めてその存在を知りました


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 田沢湖に近い景勝地、「抱き返り渓谷」。赤い吊り橋と青緑の澄んだ水のコントラストがきれい。



 すみません私的なアルバムでした。


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 iPS細胞を創った山中伸弥・京大教授のノーベル医学・生理学賞受賞、とても嬉しい。


 この人の右腕である高橋和利講師の話を2年ほど前、シンポジウムで聴いた。


 思い切り「チームビルディング」「強みを活かす」の話だった。自分には何も取り柄がないこと、いかに各分野の専門家のチームメンバーに助けられたかの話をユーモアたっぷりに話された。


 でもそれを可能にしたのはやはり山中教授のリーダーシップだった。


 山中教授は、今回の受賞まではいかつい男っぽい雰囲気の人だと思っていたが(ラガーマンだし)、このところの長時間の露出の中ではどちらかというとなでしこジャパンの佐々木則夫監督のような、気さくでおもろいおっちゃんキャラのようだ。

 そういう人が「ビジョン」を追求したのだ。


 奈良医科大からこの師弟コンビを採用した京大もなんと懐の深い大学ではないだろうか。


 一方日本人の森口尚史氏によるiPS細胞移植手術の話は、きのう記者会見をしたようだが何とも後味がわるい。


 この人の過去の研究業績すべてに疑義がつきつけられている。そのうちいくつかは今回と同様、自らメディアに売り込んでいた。

 そういう研究者人生、というものをつい思う。本来看護師の資格しか持たずに、アメリカに行ってハーバード大に1か月だけ籍を置いて。「ハーバード」やっぱり決めに使えるよなぁ。


 NHKのインタビューVTRを見ても、「患者さんがものすごく元気になられて、社会復帰されたんですよ」と言う。華々しいが曖昧きわまりない言葉である。しかし、山中教授の業績がノーベル賞を受けてこの分野が注目を浴び、かつまだ臨床応用にはほど遠く具体的な患者さんを救うに至らない状況を歯がゆく感じるときに、「すっ」とはまる言葉なのだ。「ほしい」言葉なのだ。

 そういう、タイムリーに「ほしい」言葉、「ほしい」研究業績を言う才覚は人一倍あった。いわば新聞社のデスクになりかわって「ここにそろそろこんなのが『欲しい』なあ」という需要をするどく見抜き自分が演じるマーケティングの才覚は。


 記者会見でみると、「1回は(手術を)やったんですよ」と言いながら、やや言いよどむ、でもほとんど表情を変えない。言った言葉と事実/現実との整合性をもともとあまり気にしないタイプの人なのだろうか。もともとそういう人なのか、それともこれまで何度かメディアに情報提供し、自分の言葉をそのまま信じるメディアと付き合ううちにそうなったのだろうか。

「(虚偽の5回の手術については)する予定はあった。虚構ではない。悪意ではない」…おいおい。


 わたしも過去には研究者の言葉とその提供してくれた論文のコピーだけを基に記事を書いたことがある。
 怖いなあ。




 
 今の自分の問題として言うと、だから、成果を発表する側としては慎重であらねば、と思う。教育研修の世界では、本来は、

「正田さんの教育のお蔭でこんなに良くなりました」


と言ってくれる受講生さんが過去に何人かいればそれで十分すぎるぐらい、なところがある。もともとエビデンスなんかそんなに気にしない業界である。


 でも、正田が女性であるにもかかわらず得られる成果が半端でなく大きい、だから胡散臭くみえる。

 できればすべての今から出会う受講生さんたちに、

「この教育は本物なんだ。このメソッドに従って間違いはないんだ」

と信じさせてあげたい。



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 11日、兵庫県弁護士会主催のセミナー「パワハラ問題と企業の社会的責任」に行きました。


 地域の企業の総務人事担当者・弁護士・社会保険労務士など150名が参加、弁護士会館4階のホールはぎっしり満席になり関心の高さを感じました。


 以下は、このセミナーからの受け売りもとい学びです。


 国(厚労省)の立場より:


 パワハラは増えています。パワハラを含む「民事上の労働紛争相談件数」総数は平成14年度の10万3,194件から23年度には25万6,343件に増加。さらにそのうち「いじめ・嫌がらせ」の占める割合は6.4%→17.9%と約3倍になっています。


 これを重視した厚労省では今年3月、「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」をまとめました。

 
 それによるパワハラの定義とは:

 同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為。


 実はこの厚労省定義が判例における定義と整合していないのでやや注意が必要です。


 解決のためには、「トップのメッセージ」がもっとも大事だと、労働局労働基準部監督課課長の矢野総一郎氏は強調しました。以下、相談や解決の 場を設置する、再発を防止する、事前防止のための周知をする、などがありました。


 厚労省では10月1日からパワハラ防止のポータルサイトを立ち上げました。






 次に法律家からの視点。「パワハラ裁判の傾向」と題した講演(藤原孝洋弁護士)では、


 法的なパワハラの定義は、「損保ジャパン事件判決」(平成20年)が判断基準になるといいます。すなわち、


   〜反ァ上司が職務権限を使って、
-1  職務とは関係ない事項について
-2  職務上であっても適正な範囲を超えて、
   部下に対して、有形無形に継続的な圧力を加え、
ぁ  ーける側がそれを精神的負担と感じたこと

としています。

 このように、「上司が」という定義、また「継続的な圧力」などの文言が厚労省定義とはことなります。


 ここでは、わたしが事前に質問を投げかけておいた「OK叱責」と「NG叱責」について、ある程度の回答がえられました。
「パワハラが多くて叱れない上司」が最近多いと耳にするが、判例ではどう線引きをしているのか?と問いを出しておいたのです。


 ある叱責がOKか否かには、「指導の必要性」という問題がかかわります。

 〇愼各睛討龍杁淦
 業績に与える影響
 従業員や顧客の安全性への影響

 これらを勘案して、強い叱責でも「不法行為ではない」と認定されたケースがあります。例えばある病院でミスの多い、仕事の遅い職員に、

「受診者が増えたときに業務に対応できない」
「昼休みを時間どおりにとって定時に帰ってればパートから不満が来る、仕事を覚えるのが遅くても一生懸命やっているという周りを説得するだけの意欲が欲しい」

 などと注意・指摘した。これは

「生命・健康を預かる職場の管理職が医療現場において当然になすべき業務上の指示の範囲内にとどまる」と判決で適法とされました。


 
 一方、違法性が肯定された例―ようするに違法な例、パワハラだと認定された例も挙げておきましょう。


「お前は三曹だろ。三曹らしい仕事をしろよ。」
「お前は覚えが悪いな。」
「バカかお前は。三曹失格だ。」(
海上自衛隊)


「意欲がない、やる気がないなら、会社を辞めるべきだと思います。当SCにとっても、会社にとっても損失そのものです。あなたの給料で業務職が何人雇えると思いますか。あなたの仕事なら業務職でも数倍の業績を挙げますよ」(損保、メールで本人以外にも一斉送信)


「マネージャーが務まると思っているのか」
「マネージャーをいつ降りてもらっても構わない」(
生保、支店長から管理職へ。この他他の社員のいる前で違反をしていないか問いただしたことなどを併せ認定された)


「もうええ加減にせえ。○○、代弁の一つもまともにできんのか。辞めてしまえ。足がけ(ママ)引っ張るな。」
「足引っ張るばあするんじゃったら、おらん方がええ。」(
銀行、病気療養の復帰直後で後遺症のある職員へ)


 などなど・・・


 「すべての社員は、その家族にとって、
自慢の娘や息子であったり、尊敬されるお父さんやお母さんだったりする。
そんな人達を、職場のパワーハラスメントで苦しめたりすることがあってはいけない。」
(職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議で紹介された、ある企業の役員のメッセージ―厚労省パワハラ防止パンフより引用)


 この言葉、ぜひパワハラでなくても肝に銘じましょう。「人間性尊重」に通じる考え方と思います。


 さてこの日、受付をすると、当日のコーディネーターを担当された弁護士の方が「正田さんですね。パネルディスカッションの時にコーチングの立場からコメントして頂けませんか」と声をかけられ、びっくり。


 結局セミナー後半にあるパネルディスカッションの時には時間が押していて「飛び入りコメント」は実現しなかったが、あとの交流会でも弁護士の先生方からコーチングに対する期待の言葉をいただきました。

 
 
 当日セミナーを聴きながら思ったこと。

 以前にも書いた、「認めていれば、叱れる」これもひとつ真理。

 もうひとつ、

 パワハラは増えている、無理もない。

 単純にストレスの高い社会というだけではない、

 拙著『認めるミドルが会社を変える』の最終章に書いたこと、

 経済が衰退局面で1人当たりのパイが減るというとき、
 かならず起きるのは、弱肉強食の風潮。
 強い者が弱い者から奪う。
 1人でも競争相手を減らそうとする。

 今年こどもの世界で大きくクローズアップされたいじめ問題も、大人の世界のいじめであるパワハラも、だから同根なのだ。激しい競争社会が必然的にもたらすものなのだ。たぶんセクハラも。


 上杉鷹山はじめ先人たちは、そこで徹底した「倫理教育」をした。


 今の時代だったら、「承認教育」はその任に堪え得る、と私は思いたい。

 「論語」をはじめ漢学を強く推し進めている師や友人たちにも敬意を表しつつ。



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 去年の暮れに「悪」について一度とりあげた

 「悪」についての仮説―この項目は書きかけ項目です―

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51778740.html

 (かなりの長文です、読むときは覚悟を決めてください)


 このときは、せっかく「悪」について考察してみたけれど、「除外」をいっぱいつくってしまった。


 たとえばギャングスター、マフィア、ヤクザ、黒社会みたいな「組織的悪」、そして「確信犯的悪」は、まだちょっと難しいので置いておく。


それと「精神病質的悪」、病的なウソつきで天性の詐欺師、人を痛めつけて何ら痛痒を感じないという人たちも、恐らく脳の器質的問題なのだろうが、ここでははぶく。(でも最近対人口比で増えてきていないだろうか?という気がする)


 
 こんなに色々「除外」をこしらえたうえで、このとき考察したのは「出来心系の悪」である。


 さてその後、さらに「想像力の不足した教育や支援」も「悪」なのではないか、と考えるようになった。もともと私は教育のご同業のかたに点数が辛い。


 たとえばこのブログでも一度とりあげた、コーチングの一流派で「離職者続出」を起こしてしまうもの。スパルタ系のコンサルタント氏で、「故障者続出」を起こしてしまう(だろう)もの。

 
 いろんなものがある。以前私はある種のコーチングを個人契約で受けていて、その流派は「泣かせるコーチング」を得意とした。毎セッション上手いこと私の「泣くツボ」を発見して私の同意もとらずにそこをぐりぐり質問してえぐり、最後には泣かせてしまうのだ。

 それがその流派の「クライアントの真の感情と向き合うこと」だというのだが、私はだんだん、コーチの方が面白半分で人の心の敏感な部分をもてあそんでいるのではないかと思ってやめてしまった。だがそれをする流派のほうが、あっさりした企業内コーチングより高級なものだと信じている人は今でも多い。悪かったねあっさり系で。


 エドガー・シャインの『人を助けるとはどういうことか』を読み直してほしい。


 ある種の心理学系のセミナーがナルシシズムを煽る役割をしていて、高慢な鼻もちならない人をつくる、という話も以前書いた。


 あと、いろんなものの中には、「リーダーシップとは『男らしさ』と同義だ」という趣旨の教育、その通りの言葉を使ってはいないけれど結論としてはそうでしょ、という教育がある。これも随分罪つくりな教育だと思う。

 そういう教育をどこかで受けて信奉したあと、パワハラ・リーダーになる人も多いのではないだろうか。

 私の想像ではそういう教育はおそらく参加者の満足度は高い。男性参加者であれば、自分のテストステロン値が上昇し、身体にパワーがみなぎるのを感じる人もいることだろう。しかしそれは部下にとっては・・・、、、


 良いリーダー教育は、その場かぎりの「かっか」した感覚を受講者に与えることではないはずだ。それは依存症を産むアップ系の薬のご商売とおなじだ。


 さて、「教育」ばかりが「悪」なわけでもない。私がそちらにばかり目が行きやすいのだろうと思う。


 前回除外した、「確信犯的な悪」。


 これも「出来心系の悪」とそんなに上手く切り分けられない、というのは功成り名遂げたはずの人がある日突然「確信犯的な悪」に手を染めることもあるから。


 きっと、その「確信犯的な悪」にいくまでに途中経過があって、発端はなにか「出来心系の悪」だったんだろうと思う。株とか個人投資にのめりこんだとかどこかの御曹司のようにカジノにはまったとか。


 さて、その「出来心系の悪」にどうしてはまり込んだか、引き返せなかったか、というと、おそらくある種のナルシシズムなのだ。自分ほどの者が失敗するはずはない、挽回できるはずだ、という。


 私も今もどこかでそういう勘違いをしていないだろうか。ちょっと怖い。



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「ビジョナリー」ということに関して、不肖私が人生で初めて会った、またこれまで最大の「ビジョナリー」はこの人だろうと思う。


 中嶋嶺雄著『学歴革命―秋田発国際教養大学の挑戦』(KKベストセラーズ、2012年3月)を再読する。


 1990年の大学改革で設置基準が緩くなり、「教養教育」が姿を消した。「大学院重視」の流れで「学部教育の空洞化」が起こった。


 その流れにたったひとり反旗を翻したのが、この人だった。東京外国語大学学長時代に教授会の保身装置化に悩み、改革をしたくてもできなかった、その体験をバネに、「国際教養」を掲げた全英語の大学を秋田につくってしまう。

 今、「大学教育に教養を」とこぞって言いだしているのはそれが「就職率100%、超難関大学」ととんでもない成功を収めたからである。


 東大の「秋入学」が話題だが、それも先鞭をつけたのも国際教養大学だった。セメスター制をとり入学式も卒業式も春、秋の2回する。



 中嶋氏の「先見性」は、「ダメになった日本」の現実をいち早く直視し、だれもその必要性に気づかないうちに最も先進的な大学をひとつ作ってしまったところにある。


 「・・・アジア諸国は相当早くからグローバル時代の到来を意識していました。韓国や台湾などはもともと国内需要のボリュームは決して大きくありませんし、中国はその時点ではまだ国内の経済格差がひどくて全体では貧しかったですが、いずれの国もいわば自国だけで賄える経済にはとうに見切りをつけていました。

 しかし、経済大国であった日本は、アメリカに次ぐGDP世界第2位であることに驕っていました。この間に日本は内部的な格闘というか、自己超克的なプロセスを見過ごしてしまったのです。特にこの20年間はまさに失われた20年、それどころか落ち続ける20年だったと言えるでしょう。いまになって、戦後の高度成長期の成功体験にとらわれてきたことへの反省が語られるようになりましたが、遅きに失しました。そのことでもたらされた社会の歪みが現在、いろんな局面で大きく噴出しているのです。」(p.27)


「しかしそれだけの経済破綻を経験しても、それ以降、次の社会に向けて目指すべき政策や事業の目的、目標が立てられなかったのです。来たるべき次の時代に向けての創造的な試みはなく、まさになんの理念も生まれなかった20年でもあったのです。」(p.28)


「ともかく新卒は大学さえ出てればいい、大学で下手に勉強なんぞしてくれていないほうが助かる、というように社会全体がある種、大学での教育を軽んずるような風潮がありました。これは大学に対する企業のアプローチが間違っていたのだと思いますし、やはり驕りだったと思います。そのことによって日本は、知的蓄積へのたいへんな痛手を受けて、今日に至ってしまっています。」(同)


「グローバルな企業間競争の時代に入った今日では、企業の実情は、当時とは正反対になりました。明日をも知れぬビジネス環境の変化に対応するのに必死で、企業に余力がなくなり、新卒の新入社員を一人前に育成することがなかなかできない環境に置かれています。景気の退行が止まらず、多くの企業がむしろ人減らしをするなかで、ようやく新陳代謝のために人を採るというのが雇用の厳しい現実です。そのため、すぐにでも戦力となる人材が必要なのです。」(pp.28-29)


 中嶋氏の過去の中国政治学の本(晦渋をきわめた)にくらべると平易な日本語で書いてありますが、これらは同時代への真摯な反省であり、憤りであり。何より単なる評論ではなく、これらの思考に立脚してひとつの大学、ひとつの教育プログラムをつくりだしてしまったのですから。

 文章のなかに何度か「驕り」という言葉が出てきます。そして「謙虚」「真摯」。これは「驕り」と対極にあるもの、と考えてよいのでしょうか。このところ「真摯」とはどんな脳のはたらきなのだろう、としきりと考えるわたしです。とにかく、もうバブルの夢に酔ってる時期じゃありません。その時代にいい思いをした人も目を覚ましてください。


 そして「リベラルアーツ」の重要性。


 中嶋氏の最近講演したレジュメには、『フロム・マックス・ウェーバー・トゥ・スティーブ・ジョブズ(From Max Wever to Steve Jobs)』とあるそうです。うわ〜、スティーブジョブズ出しますか。


 リベラルアーツこそはインスピレーションの源だ、と述べ、

「情熱はいわゆる『霊感』を生み出す地盤であり、そして『霊感』は学者にとって決定的なものである。」(マックス・ウェーバー「職業としての学問」)

「われわれは科学技術とリベラルアーツ、つねにその交差点にあろうとしたからだ」
「私たちは技術的に最高のものをつくりたい。でもそれは直観的でなければならない」(スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツとの論争より)

と引用します。

 いくつか前の記事での「イノベーションを産む思考法を教えるには」というテーマ、「企画力研修」といった生易しいものではなさそうです。リベラルアーツという何年もかかる深いものが源になる、と言っているのですから。



 「サンデー毎日」2012年9月12号の特集「進路指導教諭が勧める大学」のランキングでは、開学8年のAIUは
「面倒見が良い大学」3位、
「就職に力を入れている大学」7位、
「教育力が高い大学」4位、
「改革力が高い大学」6位、
「入学後に生徒を伸ばしてくれる大学」2位、
「小規模だが評価できる大学」1位、
「偏差値や地理的、親の資力などの制約がない場合、生徒に勧めたい大学」国公立6位。

そして
「国際化教育に力を入れている大学」では堂々の1位。


 全寮制、オール英語教育、大量の宿題、そして留年率も高いという環境は―、

 いささか身もふたもない言い方だけれど、今どきのやれネットだゲームだと寄り道する先の多い若者にとって、これは事実上ITひまつぶしをする時間を取り上げられているようなものである。もちろん、学生たちはPCもケータイも持つのは自由だ。しかし事実上それで遊ぶひまはない。


 現代でこれだけストイックな環境に置かれ、ピュアに努力することを求められるというのは、ある意味幸せなことではないだろうか。


 「浪人してでもAIUに行きたい」などと、合意の上でその環境に身を投じた若者たちは、その20歳前後の若い脳を、知的刺激に、また異質の体験にとフル回転させる。それは日本で他所にないエリート養成の場である。


 それは、この「内向き」で「依存的」で「前例踏襲的」で・・・という日本社会に懐疑の念をもち、自分は強くありたいと志向する一部の若者にとっては格好の受け皿だったはずでもある。


 ・・・などと思いながら、あすその恩師・中嶋嶺雄学長に半年ぶりにお会いすることになりました。

 

100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp


このところブログに弱気なことを書いて、読者のかたにご心配をおかけしてしまったかもしれない。でもあれで良かったのだ、と思うことがあった。


 地元の中間団体さんのご厚意で、地元自治体のある「認証」のようなものにご応募しないかとお誘いがあった。本来わるいものではないが、丁重にお断りした。

 
 その「認証」は書類審査とヒアリングがあって審査が終了するが、もし認定された場合、公開の場で事業紹介のプレゼンがあるという。


 そのプレゼンの場で、審査ではないが何やら論評とかアドバイスのようなことをする人がいるらしい。


 そうした場に対してこのところいいイメージを持てない。


 わたしの抱えている「承認」という大きなもの。これは、あまりにも大きなものなために、良いものとして心から受容していただけるか冷笑を浴びるかどちらかなのだ。


 そして世間には冷笑の側の人が圧倒的に多いのだ。

 以前にも助成金審査の場で大学教授4人からよってたかって悪意の質問を浴びた。(このときはその教授たちの大学にコーチングのコースを保有し「競合さん」に当たるため、彼ら彼女らが審査を担当すること自体違法性があるとして私は異議申し立てをしてやった。その申し立ては法律家らの審査のすえ一部認められた。トラウマのため私は申立人の出席を辞退したにもかかわらず)


 ようするに、あまりにも品位の低い人の集まった場では「承認」は受け入れられないのだ。彼ら彼女らの理解を超えるがゆえに他人を貶める「冷笑」で自分を守ろうとする。彼ら彼女らはリスペクトということができない人々だ。わたしはもう何度もそうした人々の集中砲火を浴びてきた。


 どうも、このたびの「認証」後のプレゼンの場とやらにもその匂いがする。


 もう、そういうリスクを冒せない。「承認」は、公開の場で嘲笑を浴びてはならない。私の精神衛生のためにも、また誠実にやり続け高い成果を挙げている崇高な受講生さんたちの名誉のためにも。
 

 お声がけくださった中間団体さんは幸いにも趣旨をわかってくださった。


 
100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
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 「困ったときのこの人頼み」で、柏原直樹さんにお電話した。


 OAメーカーの37歳の営業課長。「正田さんの方式でうまくいっている」と言われる。


 おききしたかったのは、「あなたはなぜ(承認コーチングを)始めたか、なぜ続けたか」という問い。


「ぼくの場合は、一昨年の京都時代に永井さん(部長、当時の上司)と中川さん(社内教育担当者)から教わって『やろう』と思ったわけですけれど」

と柏原さん。

 そう、柏原さんはほんとは私の直の弟子(受講生さん)ではないのだ。いわば孫弟子なのだ。


「ぼくは若くして課長になったけれど永井さんに出会うまで半年間数字が出せなくて。だから絶対やろう、と」

 なるほど、強い動機づけがあったのだ。


「では、何があったので続けられたんですか」

「やっぱり、部下が良くなったとか仕事できるようになったとか、いい風に『変わった』のが目の前でみれたからでしょうね。もっとやろう、もっと良くしよう、と」


「うまくいかないなーと思ったら『承認の種類』のシートを見て『あっそうか』と思ったりね。あのシートは永井さんから貰ってましたから」

(ほんとは営業上うれしくないけれど、信頼する上司から「承認の種類」シートを貰うと、それは役に立つのだ。何も下地がなかったらただのきれいごとシートだと思う)


「あと永井さんがそばでぼくが部下と話すのをきいてくれて、あとで『もっとこうした方がいいんと違うか』ってアドバイス頂いたり。メールでも問い合わせたり」

 
「京都で7か月永井さんの下で働いて、こっち(神戸)に戻ってきたら、話し方が全然変わった、と言われましたね。正田さんに初めて会ったのが去年の4月でしたけど、その1年前に会ってたら全然だめなぼくだったと思いますヨ」


 というわけで、「部下が実際に変わった」ことと「信頼する師匠がそばにいた」ことが続けるためのモチベーションだったようだ。


 ・・・あと、これも自慢話めいて恐縮なのだが、この永井さん柏原さんの師弟コンビはこれも永井さんからの申し送りで、このブログをずうっと見ていてくださる。

「ネット上で見るに値するのは正田さんのブログだけだ。このブログだけ見ていればマネジメントは上手くいく」


 そんなことを言われる。永井さん独特の人たらしの言い回しなのかと思ったが、実際に続けてみてくださり周囲にも勧めてくださるそうである。みてますかー。


 
 今回、統計調査の数字が上がったもうひとつの施設にお問い合わせしたが、上がった要因についてあまりはかばかしい答えは得られなかった。謙遜の言葉ばかりだった。

 傍目でみると、つまり施設外から支援業務をする人の目からすると、ここでも60歳代後半の職員の方々が自発的に仕事をするようになっているという。それはそれで凄いことだと思うけれど。


 ほんとは、「何をやったか、何が奏功したか」を正確に振り返ってもらったほうが、ご自身の学びにも今後の継続にも、また社会全体の発展のためにもよいのだ。


 

100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
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 気を良くして、8月10日に施設で「承認研修」をおこなった昨年度「承認大賞」の林義記さんにその後の様子をうかがってみた。


 法人の2施設から20数名のリーダーが集まった、夕食後のわずか2時間半の研修。

 しかし事前の意識づけが良かったため、大変良いムードで受講していただいた。


 残念ながらこの施設では統計調査のエビデンスはとっていないが、林さんのお話では、やはり非常にいい雰囲気になっているとのこと。

「コミュニケーション量が増えていますね。職員同士で相談をもちかけている、相談しあっている件数は格段に増えていると思います」

と林さん。

「とにかく『承認』が共通言語になっています。『承認してみてん』とか、普通に会話に出てきます」


「研修後に個別に相談していた人も、その後表情が変わりました。1人は有能ですが『こわい』と言われていたリーダーでしたが、柔らかい雰囲気になりました。もう1人はぼくから見て行動が早くなっていると思います」


「利用者さんも、できなかったことができるようになったり、喜ばしい変化がありました。そのケーススタディーの発表のときにも、『今の発表で良かったことは何ですか?』と参加者に問いかけ、1人3つずつ言ってもらうように促しました。そうして何が良かったかの振り返りと、もっと上を目指すためにはどうしよう、と次の目的意識が出るようになっています」


「職員も利用者さんの強みに目を向けよう、という機運が出てきています。問題行動を『強み』の表れとしてみれないか、というお話があったと思うんですけど、そういう見方をするようにぼくからも促しています。環境を整えてやれば、強みが問題行動でなくちゃんと強みとして発揮することができ、問題老人なんかではない1人の能力のある人として生きていただけるように。」


「今、病気や家庭の事情でお休みしている人が出て、人繰りの苦しい状態です。私自身も休みを返上して出ている状態で、何人かそういうしんどい人がいるんですが・・・、何とかいいムードを保っていますね」


「『承認』で悪いことが出ているというのは、特にないですね」


 気働きの人・林さん、「私もまだ修行中なんです」と言いながら細やかに職場のようすを報告してくださった。


 私からは、1つ前の記事に出てくる施設のデータをお伝えし、


「承認は決して新興宗教のような怪しげなものではない。自信をもって引き続きやってください。私は1回しか関われませんから、施設の皆さんで声をかけあって続けていってね」


と言った。



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NPO法人企業内コーチ育成協会
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 良いニュース。


 6月に研修をさせていただいた中に、兵庫県西部の16の公的施設の長の方々がいた。

 その方々の施設で研修前と後に「承認中心コーチングの効果調査」(アンケート)をさせていただき、研修後3か月のデータが返ってきた。

 
 結果は、諸般の事情があり全体としては決して良くなったとはいえない。しかしそのうち、2つの施設では如実に数字が良くなっていた。

 ある施設(高齢者福祉センター)ではどんな風に良くなっていたかというと―。


 自分の能力・モチベーションと上司及び同僚の「承認」「リーダシップ」についてきく設問68問の平均値(7点満点)は
  1回目4.5 → 2回目5.1

 上司及び同僚の「承認」「リーダーシップ」についてきく設問8問の平均値(同)は
  1回目4.7 → 2回目5.4

 サンプル数が少ない(1回目3、2回目6)のでこれは大々的に発表できる数字ではない。なので読者のかたはあくまでこのブログ上で「参考値」としてみておいていただきたいと思う。

 
 だが、一般的には2つの調査の間に「承認研修」という介入があったので、上司が「承認」をした結果全体のモチベーションが上がった、と推測できるだろう。あくまで参考値だけど。


 
 ちなみに具体的な設問はどんなもので、数値はどんな風に上がったかというと―。

 
◆上司・周囲の「承認」に関する設問例と結果(( )内左が1回目、右が2回目)

・「上司は自分の成長を支援してくれている。」(4.3→5.3)
・「上司は自分を尊重してくれており、無用に心を傷つけるようなことはしない。」(5→5.5)
・「上司は提案を受け入れてくれ、採用が難しい場合にはその理由を説明してくれる。」(5→5.5)
・「上司は自分の仕事ぶりを正しく評価してくれている」(4.7→5.3)
・「上司は自分の仕事ぶりを適切にフィードバックしてくれる。」(4.7→5.5)
・「上司は自分の能力に応じて仕事を配分してくれている。」(4.7→5.4)

◆自分の能力・モチベーションについてきく設問例と結果(同上)

・「仕事で苦手だったことが過去に比べて円滑に行える。」(4.3→4.8)
・「仕事の提案を出すことが今までより増えている。」(4→4.5)
・「仕事上のミスが以前より減っている。」(4.3→5.3)
・「他部門の仕事の内容を理解している。」(2.3→4.3)
・「他部門の視点で考えられる。」(2.7→4.2)
・「他部門の意見を受け入れることができる。」(3→4.5)
・「他部門の人とうまく仕事が進められる。」(3.3→5.2)
・「複数の部門と調整しながら仕事を進められる。」(3.7→4.7)
・「顧客、他部門などの視点から自分の仕事をみることができる。」(3.3→5.3)
・「自分の強みを理解し、仕事に活用している。」(4.3→5.2)
・「困難な場面を経験してもすぐ平常心に戻ることができる。」(4.7→5.3)
・「結果の出にくい課題にも長期にわたり取り組むことができる。」(5→5.6)
・「職場における自分の評価に満足している。」(4→4.7)
・「自分の仕事結果は周囲から十分評価されていると思う。」(4→4.7)
・「現在の職場で働くことを誇りに思う。」(4.7→5.3)
・「現在の職場でこれからも働き続けたいと思う。」(5→5.5)
・「現在の会社でこれからも働き続けたいと思う。」(5.3→5.8)
・「職場の一員として役立っている自信がある。」(5.3→5.7)
・「自分に何が期待されているのかを正しく理解している。」(5→5.5)
・「現在の仕事内容は、社会に不可欠であると信じている。」(4.7→5.5)
・「現在の仕事が社会に与える恩恵について、社会から過小評価されていると思う。」(4→5)
・「自分の働きは、関わっている業界において必要不可欠である。」(4→5.2)
・「仕事関連の雑誌や資料などを頻繁に読むよう努めている。」(3.7→4.3)
・「仕事成果を社内(外)で積極的に公表するように努めている。」(3→4)
・「顧客の考えや意見を尊重している。」(5→5.6)
・「仕事を進める上で、同僚の意見も尊重している。」(5→5.5)
・「自分の仕事内容を、同僚や顧客から理解されるよう、努力をしている。」(4.7→5.3)
・「困難なことが生じた場合、同僚と助け合っている。」(4.7→6)
・「同僚からの協力が得られるように働きかけている。」(4.7→5.7)
・「良好な関係のチームの中で楽しく仕事をしている。」(5→5.8)
・「現在の仕事を天職だと感じている。」(3.7→4.3)
・「現在の仕事は世の中の役に立っているので、さらに発展することを願っている。」(4.7→5.3)


 など。全体にみてモチベーションが上がっているのと、能力の自己評価も上がっていることがみてとれる。

 でもあくまで自己評価。客観的にそうなっているのだろうか?ということで、施設長さんに直接お尋ねしてみた。


 すると―。

「実際に非常にいい雰囲気」

ということだった。施設長さんは研修当時から物柔らかい、朗らかな雰囲気の人だったが、今回電話での語り口は以前にも増して物柔らかくなっていた。

 この施設では4月から組織改編があり、以後いろいろと改善してきている流れの中で6月の研修があった。

 研修後、施設長さんがやったことは、まず「叱責方法」の改善だった。

 それまで「もっとああしたら、こうしたら」という思いがあり、「こうしなければだめだよ」といった叱責の仕方になっていたが、研修後は押し付けがましい言い方を抑え、「どう思う?」と問いかけるようになった。そうして自分で気づいてもらえるようになった。

 「それ承認じゃないじゃないか」と思われるかもしれないが、受講生さん方は、「当協会研修」のどのあたりがこういう行動につながるか、わかっていただけるだろうか。

 もちろん、「承認」もやっている。研修後に課される「宿題」では、この施設長さんは一番基本に忠実なオーソドックスなやり方をしているのがみてとれ、「これなら長く続きそう」と思わせるものだった。

 職員の変化として、それまで「施設を安全に管理するために、自分はこの部分だけやればいい」と枠を決めてしまっていたが、今は「お客様に満足してもらうため」という大目的のために枠を取り払って自発的に動けるようになっている。

「あらゆる面で自分で考えて行動してくれますよ」と施設長さん。

 研修後にこの施設長さんの自発的アイデアで始めたことに、「朝礼での当番スピーチ」がある。それまで施設長さんからの一方的な伝達の場だったが、職員に1日1人、何かしゃべってもらうように。「きのう施設でこんなことがありました」という話からプライベートまで。「どんな内容でも良いから、話してみて」と投げかけた。

 そんな取り組みもあって「部門間協力」の数値があがっているのだろう。


 この施設さんは実は研修前、全ポイント平均が16施設中、「どんじり」であった。3か月後の今回は、ベスト5に入る数値になっている。「やった人」「やりつづけた人」は、ちゃんと結果を出せるのだ。あと正田がこれまでもなんどか「1位マネジャー」をつくってきたというのは決してうそではないのだ。



 残念ながらすべての受講生さんのもとで同じような効果が出るわけではなく、リーダーの「学習」に依存する「承認」や「コーチング」のむずかしさを改めて感じる。

 
 16人の人が研修に参加したとして、そのあとすべての人に行動として定着させるのは本当にむずかしいこと。経費の関係で1回研修しかできない場合は、社内の人がよほど踏ん張って言い続けない限り、あとに残らない、効果を産まないことになってしまう。
 

 社内研修で行う場合、「1回研修」であれば、もともと非常に強い動機づけのあったリーダーだけが成果を残す。「多数回、シリーズ」であると、当初半信半疑だった人も後からやり始め、最終的にはまんべんなく成果が出るようになるかもしれない。


 加えてこのところ他研修機関も「承認研修」をおこなうようになり、受講生さんが「承認は以前にも受講したことがありまして・・・」と言われることも多い。「デジャヴュ感」が出てしまっている。そうして、他研修機関でもならったからと「今回の研修」をなおざりにする人は結局成功しない。こうしたことが今後、研修効果に影響を与えるかもしれない。


 他研修機関がどのような教え方をしているかわからないが、「当協会方式」に素直に従って実行した人は結局続きやすいし、成果を挙げやすいようにおもう。それは色々企業秘密(でもないが)があって、受講生さんが実践のなかで成功するように細部まで気をつかっているからだが、素人の方にはそれはわからないので、当協会研修の特性がみる人によっては「低品質」にみえることも多い。このあたり、事務局の方とかが解説してくれればよいのだが。



 しかしこれだけ多くの実りのある「介入」は、他にはないだろうと思う。自画自賛・・・

 あす以降、もうひとつの施設さんにもきいてみよう。また、上記の施設にも実際にお伺いしてみることになった。


 ちなみに上記の調査紙の設問内容は、今年春に瓜生原葉子さんと私の2人でつくった。モチベーションや能力向上に関する設問は、主に私が過去に「承認コーチング」の受講生さん方からきいた、部下の好ましい変化の事例にもとづいているが、全体として「組織力とはなにか」という問いへの答えになっていると思う。また「承認」についての設問も、ストレートに「承認」という言葉を使っていないが、承認の習得・実践によってこういうリーダーシップ・マネジメント上の望ましい行動がなしとげられる、ということを設問に挙げた。上記の施設長さんのところでは、見事にこの項目の部下からの評価があがった。



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp
 

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