正田佐与の 愛するこの世界

神戸の1位マネジャー育成の研修講師・正田佐与が、「承認と職場」、「よのなかカフェ」などの日常を通じて日本人と仕事の幸福な関係を語ります。現役リーダーたちが「このブログを読んでいればマネジメントがわかる」と絶賛。 現在、心ならずも「アドラー心理学批判」と「『「学力」の経済学』批判」でアクセス急増中。コメントは承認制です

2012年11月

 『あなたはなぜ「嫌悪感」をいだくのか』(レイチェル・ハーツ著、原書房、2012年10月15日)という本を読みました。

 
 「嫌い」という感情は、なぜ起こるのか。

 って、考えたことはありませんか。何かを強烈に「嫌い」「受け付けない」と感じるとき。何が作用しているんでしょう。

「異国の発酵食品、昆虫食」
「死を想起させる現象、病気」
「ホラー映画、スプラッター映画」
「他人が汚した痕跡」

・・・

「嫌悪の感情は、人間の中枢神経システムを支配し、血圧を下げる。そのせいで発汗量が減り、失神、悪心、吐き気などが引き起こされる。外見上、手足や身体が震え、萎縮し、口からは「うぅ・・・」とか、「うわっ」という声が洩れることもある。嫌悪感情からは、やんわりとした反感から抑えきれない憎悪まで、さまざまな精神状態が引き出されるが、これらにはすべて、その嫌悪感情の原因に対して、そこから逃れようとしたり、排除しようとしたり、そして多くの場合、避けようとする衝動が中核にある。」(p.43)


 私が「嫌悪」という感情に興味をもったのは、たとえば2ちゃんねるのような場で何かに対して(対象は犯罪者でも、時の政治家でも、あるいはリアルのより身近な誰かや同じ掲示板に書き込む誰かに対して)むきだしの嫌悪を表出する人がいる、するとそれを見ているだけで嫌悪の感情は自分にも何となく伝染ってくるのがわかる、からです。


 過去にネット上のコミュニティに参加したり運営したりしても「嫌悪(憎悪や反感をふくむ)」の感染しやすさは特筆もので、またネット上に関するかぎり感染すると不治の病のようなもので、それは一度蔓延すると感染者に全員「お引き取りいただく」しか手がありませんでした。ポジティブな感情で浄化しようとしても、非常に時間も手間もかかりました。
 
 
 本書によると、「嫌悪」の感じやすさ敏感さには個人差があるそうで、「嫌悪に対する感度(disgust sensitivity)」を測る質問紙も載っています。これで高得点の人はまあ神経質というか、いろんなことに「嫌い」という感情をもつことが多いといえそうです。(ネットにだれかの悪口をわざわざ書き込むような人はその傾向がある人なのかもしれません。ただ多くの人の目に触れることによりそれは普通の感性のもちぬしにも感染する可能性はあります)

 
 最も原始的な嫌悪感は、身体にまつわる嫌悪感だ、と本書はいいます。食べ物や飲み物、排泄された尿、おう吐物、痰、唾液、汗、血液、膿や便、身体の変形に関するものです。これらは直接的には「病気」を連想するからですが、より深層心理的に究極には、「死」を連想するからだ、とも。

 また道徳的な堕落や獣性にかかわることも嫌悪をよびおこします。本書ではホモセクシュアルや外国人に対する嫌悪にみるアメリカの保守とリベラルの態度の違い(保守はこれらに不寛容でありリベラルは寛容)をとりあげていますが、わたしはつい「アメリカにおけるホモセクシュアル嫌い」を、「わが国における働く女性嫌い」をくらべてしまいました。―「日本人は『女性嫌い』だ」と言ったのは上野千鶴子だったとおもいますがあんまりフェミニズム寄りにならないようにしているのですがこの意見にはちょっと賛同したくなりました―日本ではそれぐらい、「働く女性」というのはまだ「異形の人」「異端」「不道徳な人」です。


 ある種の病的に「嫌悪感」が強い人は、「強迫神経症(OCD」といい、人口の2〜3%がかかる病気です。レオナルド・ディカプリオもその一人。OCDの人は何にでも嫌悪感を抱き、とくに不潔を嫌う人は1日中でも手を洗い続ける不潔恐怖症になります。嫌悪感は脳の「島皮質」という部位がかかわっていますがOCDの患者は、嫌悪を催すもの(たとえば不潔なもの)を見せられたときに健常者と比べて島皮質の活性化が大きいようです。一方、自分は何にでも嫌悪感を抱くわりに他人の抱く嫌悪感には鈍感、という傾向があります(すべてのOCDではなく、重症の人)。
 また病的な犯罪者傾向のある人、いわゆる「サイコパス」は、他人の恐れと嫌悪の表情がうまく見分けられない。さらに、おもしろいことに、というか困ったことに、東アジア人(中国人と日本人)は、嫌悪と恐れを分類する際にヨーロッパ人より間違えることが多いという実験結果もあるそうで、「思いやりの日本人」のはずが実は他人の不快感に対して鈍感かもしれません。

(これに似ているかもしれない調査結果が共感ホルモンの「オキシトシン」についてもあります)

 
 いずれにしても、「嫌悪」は最終的には「死」を連想させるものに対してはたらきます。

 さきほどの嫌悪感受性の調査で、嫌悪感受性の高い人ほど死を恐れているといえます。

 色々な実験が紹介されますが、ある実験では、「死を想起した後では身内びいきになる」傾向が顕著になったのでした。

「・・・そこでわかったのは、白人の学生が、誰もがやがては死ぬ運命であることを考えるように前もっていわれた場合、まず人種による顔の分類をすることで脳の活動が強まり、白人男性の怒った顔に対してはやや恐ろしいと感じる程度が減少した。言い換えると、死を想起した後には、身内であるか(白人)または身内でないのか(黒人)による識別がより顕著になり、身内の一員からの脅威(怒れる白人)はあまり重要視されなかったのである。人間は死の脅威にさらされたら、自分の殻から出ようとせず、同じ仲間に囲まれ、多くの安全を得ようとするのである。」(p.182)


 (正田注:このあたり「社会」や「組織」を考えるうえでおもしろいと思うのは、例えば「倒産の危機」「国家存亡の危機」といった、自分たちの生存が脅かされる局面になったとき、外国人や女性、障害者といった「異形の者」への違和感が拡大し、差別がエスカレートする可能性がある、ということです。

  また、この実験はアメリカですが、不安感の強い日本人のばあい死への恐怖も強いはずなので、差別的によりなりやすいといえるかもしれません)


 「人類は、肉体的にも心理的にも死の問題から我が身を守るために、何かを苦手に思う感情を生み出したのである。そのせいで私たちは、かさぶたに覆われた傷やブタに似た食べ方や自分の生活を脅かす人々を避けようとする。誰かに嫌悪感を催すとその人を蔑んだ態度をとる。こうした人々によって免れられない死を思い起こさせられたり、いつか死ぬという真理を寄せつけずにいてくれる社会構造や幻想が脅かされると、反発心が生じる。嫌悪感は死に対する拒絶反応だといわれてきた。嫌悪感こそが「今、目の前にあるこれを拒絶する」。あるいは「あなたを拒絶する」と訴える。そうすることによって、拒絶された「これ」が象徴的にも実際にも予感させる、破滅の道に向かう可能性から私たちは守られる。拒絶とは、すべての嫌悪感の裏に隠れている原則的な姿勢なのである。」(p,.184)


 この文章のいう、「拒絶される」という現象もよく経験してきました。「嫌女性」と「嫌コーチング」の両方をみてきたわたしであります。

 後者の「嫌コーチング」に関しては、どこか「近づきたいのに近づけない」アンビバレンツな感情を経営者コミュニティなどで感じてきました。
 それは、「やらないと死にますよ」(私自身はそういう言葉を言ってないけれどそういう匂いを発散しているかもしれない)というメッセージが「死」を連想させているのか、それはもちろん不合理きわまる感情なのだけど、あり得ないことはない。それとも「やっていないリーダーは怪しからん」というメッセージ(これも言ってないけど)が会社というより自分個人の「死」を連想させているのか―。
 それにしても「コーチング」はともかく「承認」を嫌いになってしまうというのは、一生ものの気の毒なことです。


 身体的なことに関する「嫌悪感」は政治的に利用されることもあります。ナチスは、ユダヤ人を病原菌のように表現してドイツ国民の嫌悪をあおりました。こうした手法は大量虐殺のときによく見られるようです。


 最後に、「嫌悪感をコントロールしよう」と呼びかける本書は次のようにしめくくります。

 「人間の嫌悪感情体験は一種の贅沢であることが明らかになった。・・・嫌悪感を催せる特権があるのは、恵まれていることを示すサインだ。・・・生と死の分かれ目が眼前にあったら、嫌悪感にひるんで手をこまねいて滅亡を迎えるよりも、生存のチャンスに賭けるだろう」(pp.328-329)



わたしは上記のフレーズ、好きです。「やらなければ死ぬ」と思ったら、なりふり構わず、汚いものでも食べるでしょう(カニバリズムまで行くかどうかは別として)。わたしは1980年代に1年半ほど、まだ途上国だった中国で貧乏留学生として暮らしたことは自分に役に立ったと思っています。お蔭で(阪神大)震災後に水の入ったポリタンクを運ぶ作業もとくに被害者になることなく淡々とやっていました。女性という「異形」にうまれたことも、きっと何かの役に立っているでしょう。


 本書の読後感としては、当然、今年クローズアップされた「いじめ」の問題も想起します。「キモイ」「汚い」「臭い」と、いじめには嫌悪感を煽るようなフレーズが使われます。嫌悪感が共感をよぶ、それは有害なものを食べたり触れたりすることは死につながるから、と生存本能にもとづいたものではありますが、ナチスと同じ手法を子どもたちが無意識に使用するということを思います。


 なお、本書の中にある有名な実験で、「歯ブラシを共有したくない人」の筆頭は、例示された中では「1位郵便配達夫、2位上司」でした。上司は嫌われる。以前「おいでよ動物の森」の例を引いて「上司は特に悪いことをしなくても嫌われる運命にある」というお話をしましたが、気の毒なことです。そのことがストレスで当り散らす人も中にはいるかもしれません。昇進にともなうお給料のアップはそのことの慰謝料かもしれません。




100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

 
 


 
 


お世話になっている皆様



 おはようございます。
 企業内コーチ育成協会の正田です。


 3連休、いかがお過ごしでしたか。
昨日は青空の下、大阪マラソン、神戸マラソンが開催されました。出場された方、沿道で応援された方、皆様お疲れ様でした。


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 本日の話題は:



■「意志力」は本当に鍛えられるか?
  遺伝子学者からのコメントは―


■女性ソーシャルベンチャーという生き方
 「神戸ベンチャーフォーラム」でお話をさせていただきました


■江戸時代のリーダーのバイブルがあった
  佐藤一斎史跡を訪問しました



■熟練と集中の世界に「ニコニコ」が来た!



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■「意志力」は本当に鍛えられるか?
  遺伝子学者からのコメントは―


 前回11月12日号の中で、「意志力は筋力のように鍛えられる」と述べた、『スタンフォードの自分を変える授業』(ケリー・マクゴニガル、大和書房)についてご紹介しました。この本はその後ベストセラーになっています。
 
 ところで、「意志力は鍛えられる」は本当なのでしょうか。

 12日、気鋭の遺伝子学者である藤田保健衛生大学・宮川剛教授にインタビューしたとき、このこともおききしてみました。

 宮川教授のご意見では、


「ある程度までは鍛えられるのは本当だろう。ただ(筋力と同様)鍛えて強くすることに限界はある。いくら野球がすきで練習してもプロ野球選手になれるのはその中のほんの一握り、というのと同じ」。


 やや、身もふたもないご意見ですが、やはり「氏か、育ちか」というとき、遺伝行動学の知見では、わたしたちの行動の25%には遺伝の影響がある、ということで、生涯にわたりある程度遺伝の制約を受けるのは間違いないようなのでした。


 宮川教授へのインタビューはこれ以外にも大変エキサイティングなおもしろいものでした。次号か、その次にはご紹介できるかと思います。お楽しみに。


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■女性ソーシャルベンチャーという生き方
 「神戸ベンチャーフォーラム」でお話をさせていただきました


 
 去る24日(土)、神戸ベンチャー研究会の年1回のシンポジウム、「第12回神戸ベンチャーフォーラム」でお話をさせていただきました。


 過去から神戸・兵庫の有望なベンチャーを発掘し紹介してきた同研究会。神戸の名物イベント・神戸ルミナリエに「ウェアラブル(装着型)コンピュータ」というテクノロジーをつかったを使った電飾ウェアを持ち込み「イルミネ神戸」というイベントで注目を集めました。

 2006年ごろから「ソーシャルベンチャー(社会起業家)」というジャンルにも注目、今年はその流れで、「女性ソーシャルベンチャー」を特集している中、主催者の松本茂樹・関西国際大学准教授が、「そうだ、正田さんもソ
ーシャルベンチャーだった」とはたと気づいたそうです。


 お話の内容は本業の承認コーチングではなくて、「組織内の女性活用を阻むもの」についてでした。

 松本氏曰く、「女性ソーシャルベンチャーの活躍を阻むものと組織内の女性活用を阻むもの、根は同じだと思う」。

 わが国の活力のためにも、女性たちがのびのびと力を発揮できる社会にしたいものです。

 
 そのあとパネルディスカッションでは沢山のご質問をいただき、ふだんあまり語らないような自分のソーシャルベンチャーとしてのお話もいたしました。


 もし、ご興味があればご覧ください:


「女性ベンチャー活躍と組織内の女性活用の問題 根は同根」(松本さん)神戸ベンチャーフォーラムでお話しさせていただきました

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51837441.html



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■江戸時代のリーダーのバイブルがあった
  佐藤一斎史跡を訪問しました


 
 お話が前後しますが、江戸時代の儒学者・佐藤一斎ゆかりの地、岐阜県恵那市岩村町を18日(日)、神戸師友猶興会主催の旅行にて訪問しました。


 佐藤一斎は、佐久間象山、吉田松陰、山田方谷、西郷南洲(隆盛)など幕末の志士・思想家に影響を与えた人。

 江戸幕府の官校・昌平黌で、象山や方谷が夜中まで激しく議論していて他の学生が寝られないと文句を言った。それをきいて一斎は「あの2人なら議論させておけ」と言ったという逸話があります。表向きは官学の朱子学、裏では行動を重んじる陽明学に造詣が深く、その陽明学の部分が志士たちに影響を与えた、といいます。


 この小旅行の模様はこちらをご覧ください:

 佐藤一斎先生史跡と 未来のための本質的な議論

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51836602.html

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■熟練と集中の世界に「ニコニコ」が来た!

 
 前回に続いて、受講生さんの職場をご訪問させていただきました。


 今度は工場。それも板金という、かなり力仕事であり「安全」が強く問われ、「承認」などの入りにくかった現場です。

 そこで見たものは…。

 
 熟練と集中力の世界にニコニコ来る ある工場にて

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51837118.html


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 本日は一転して盛大な雨。皆様くれぐれもお風邪に気をつけて、良い1週間になりますよう。





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ここまで読んでいただき、ありがとうございました!




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 第12回神戸ベンチャーフォーラムに、スピーカー兼パネリストとして出席させていただきました。


神戸ベンチャーフォーラム3




 関西国際大学准教授・松本茂樹氏が代表世話人を務める神戸ベンチャー研究会の第142回例会。正田も以前ここに世話人としてお世話になっていたことがあり、(はい、「お世話になる」ほうの世話人です^^)

 この年1回11月に行われる「神戸ベンチャーフォーラム」からは、7年ほど前、神戸大工学部・塚本研究室の装着コンピュータを使った「イルミネこうべプロジェクト」がハプニング的に誕生したのもみていました。

 今年は女性ソーシャルベンチャーを特集しているということで、松本さんが「そうだ、正田さんもソーシャルベンチャーだった」と気がついてわたくしにもお声がかかったんだそうです。なんだか感無量です。


 ご一緒のスピーカーは、塚本研究室や「イルミネこうべ」を陰で支えたITコーディネータのえぬぷらす代表・中田眞城子さんと 女性起業家支援の会の立ち上げを企画しておられるエディターズルーム コレット編集室・内橋麻衣子さん。


 正田は先日兵庫労働局の会合でお話ししたのと同じネタで、女性活用を阻む組織内の問題についてお話しさせていただきましたが、お話の後半、「解決編」にはこの日の主催者、松本さんが1つのエピソードの重要登場人物になったのでした。


 銀行支店長時代の松本さんの名セリフ「あなたは美空ひばりだ。あなたが歌うためのステージを私が用意する」などを含むエピソードをお伝えすると、松本さんの目に光るものがあったようにみえたのは気のせいか・・・


 
 そのあとパネルディスカッションがあり、ご参加の皆様から非常に活発な質疑がありました。

 おぼえている範囲でご紹介します(すみません、回答内容は私が回答したもののみです):


Q. 話の内容は日本のマネジメント力、リーダーシップ力が低い、女性活用以前にそのことが問題なのだと思うが。

A. その通りと思う。経験的には、リーダーたちには女性活用のためという名目ではなく承認コーチングのトレーニングを徹底して受けてもらいたい。隔てなく個々の貢献度をみる目を養えるので、それによって男性、女性というこだわりなく人材を育成したり登用したりできるようになる。まず女性活用ありきではうまくいかないと思う。うちのNPO顧問の太田肇教授はヨーロッパに視察に行くなどした結果、「ヨーロッパ企業では男女が小学生のように、性を意識しない状態で一緒に働いている」と言った。そうした状態を職場に持ち込むことができればいいのでは。


Q. 優秀な女性であってもご主人が遠隔地に転勤になったりして育児もあって仕事を続けられないケースもある。

A. プライベートが理由で退職することを根絶はできないと思う。男性でも介護を理由に退職する人もいる。ただ最近学者さんからきいた話で、アメリカではご夫婦で研究者をやっている例が多いがアメリカの大学では夫婦の片方がある大学のポスト、例えば准教授になると、夫婦のもう片方も同じ大学の同じポストを要求できる制度があるようだ。周囲からやっかみが出ないか心配になるがダイバーシティーのため、片方の転勤によって別居になったり片方が退職したりということにならないよう当然だと考えているらしい。まだ制度面で日本は見習うべき点があるかもしれない。(中田さんより、日本でもベネッセが夫婦が同じ土地に転勤する制度があると補足)


Q, 幹部登用の壁をぶち抜く優秀な女性は?

A. 女性がぶちぬく力が足りないのかガラスの天井があるのか、両方あり得ると思うが…、先ほどアメリカで「野心」は男女差がないという調査結果をご紹介したが日本の場合は女性に上に行きたいという気持ちが薄く、説得してやっと(幹部等上級管理職に)なってもらうのが実情と思う。個々の例では、先日全日空の上席執行役員の女性にインタビューさせていただいたが、立ち居振る舞い等素晴らしい方だった。第三者からきいたところではこの人は組合活動を長くやっていて、仲間、後輩のために会社を相手に交渉する姿を周囲がみて評価していた、上から吊り上げたのではなく周囲が押し上げた、ということだった。


Q. 些細なことが原因で人間関係を切ってしまう女性もいるが。また女性同士特有の人間関係の悪さがあるのでは。

A. 男性は些細なことという認識でも、上司部下関係と同じで女性にとっては大きなダメージ、ということもあり得る。なでしこジャパンの佐々木監督が言うように、公正な扱いは必須で、不公正な扱いをすれば切れてしまうこともあるが、「なでしこ事件簿」の中でご紹介したように、無意識でも不公正な取り扱いをしていることがあり得る。「女性は人間関係が悪い」「女性は感情的」などというのは、個々の文脈をよく見てから言うべきだろう。

(この件に関して中田さんの回答もおもしろかった。「女性は会社を辞めて起業するとき、すべての関係を断ち切りゼロになったところから再出発するところがある。そんな女性にとっては、仕事上この人とはご縁がないなと思ったら自然に疎遠になる、無理につながっておかない、ということもあり得ると思う。」)


Q. 今後はどうしていきたいか。

A. 今年から「100年後に誇れる人材育成をしよう」というスローガンを掲げている。これは正月3日のブログに掲載したところ「社長の年頭所感」というキーワードで検索されすごいアクセスがあった。狙って言ったわけではなくそれまでも無意識に思っていたことを出しただけ。これまで11年、あまりぶれずに進んできたが、こうしたリーダーシップ教育の世界は一時的にキャッチーなもの、一時的に流行って下火になるものが絶えず出る。あらゆる情報を集めながらぶれずに進みたい。私が一貫してぶれないことが受講生様の支えとなる。1人の受講生様には数十人の部下があり、その部下たちの家族も含めれば数百人の幸福に影響する。100年後に今を振り返って、「2012年頃にこのNPOがやっていたことは正しかった」と言っていただけるように。売上とか規模にこだわっていない。あまりキャッチーにならず、自分たちの最善と思うもの(教育)をしっかりやっていきたい。


Q. ビジネスモデルと理念は。

A. よのなかカフェ、「承認大賞」等非営利事業をしながら営利事業として企業研修。非営利事業の部分が営利事業の品質を担保していると思う。商才がないのであまり面白みのあるビジネスモデルではない。理念だけは教育なのでむちゃくちゃある。「100年後に誇れる・・・」というのもそう。「私が建学の祖だ」「私が建学の理念を創る」と、その件に関しては人の言うことは聴かない。自分の教えている教育と矛盾していると言われるとそうだと思う。それで納得してついてくれる人が会員とか受講生、お客様になってくれる。


Q. 女性で良かったと思うことは。

A. あまり良かったとは思っていない。料金交渉の場面、成功した研修が次年度継続されなかった場面など、女性でさえなければ、と思うことが多い。(加えていえば、受講生様の業績1位など目覚ましい業績向上事例が続出し何年にもわたって事例発表をしてきたが、企業研修の門戸は長いこと開かなかった。受講生様方は、「(自社で採用しているコーチングより)こっちの方が本物のコーチングだよなあ」とぶつぶつ言っていた。)
多少良かったかなと思うのは、「承認の反対は2つある。無関心と見下しである」ということを言っているが、「見下し」は承認の大きな障害となる。私が女性だったお蔭で見下しという感情に頻繁に出会う。そのぶん見下しというものの持つ性質について深く考えることができた。見下しを多く持っている人に対するアプローチ法も考えることができた。そういうのは女性だったことがプラスしているかもしれない。


・・・・


 このあと来場の方からはインフォーマルに「もうちょっと女性ならではの特性を生かしたことを言ってほしかった」といったご意見もいただきました。


 うーん、女性の特性といっても私あんまり優しくないしねえ・・・脳画像は、以前もお話ししたように「かなり男性的」なんだそうです。


「女性ならではの気宇壮大さ」
「女性ならではの視野の広さ」
「女性ならではの骨太な正義感」
「女性ならではのいさぎよさ」
「女性ならではの厳しさ」
「女性ならではの不屈の精神」
「女性ならではの論理的思考力」

 というように、「女性」と従来あまり結びつかなかったものが結びつく、それをおもしろいと思ってもらえたら有難いんですけどね。

 「女性だから、こうであってほしい」という予定調和な期待に自分を合わせることは、過去からしなかった。会社員時代、「女性だからこうだろう」という周囲からの期待がいちいち苦痛で仕方がなかった。「個別化」が強く、他人の個別性にも目を向けるが自分の個別性が侵害されるのも人一倍嫌。男性だって、「男性だからこうだろう」と頭から決めつけられるのは嫌だろうと思う。

 
 とまれ、松本さんも言われたように神戸ベンチャー研究会さんの歩みと私のコーチ業のそれとはほぼ同時期、ベンチャー研さんに色々な意味で育てていただいたんだなあ、と改めて感謝の念が湧きました。いまだ何ほどのものにもなっていない私が言うのもなんですが、末永く強い神戸のベンチャーを輩出されますように。

 貴重な機会を与えてくださった神戸ベンチャー研究会様、またご来場の皆様、ご一緒のスピーカーの皆様、ありがとうございました。
 



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

 紅葉の中国道をドライブ。10月に講座を受講された受講生さんの職場を訪問した。


 工場リーダーの受講生さんは、私のいる応接室に入るなり満面の笑顔で、


「あれから、(承認)やってますよ」。


 そのあと職場の工場を案内してくれた。

 通路の脇にいた少し若い衆の肩に人懐っこく手を回して曰く、


「彼がこのラインの責任者をやってくれてます。研修から戻ってすぐ彼の面談をして、承認もしました」

 「彼」の方もニコニコ顔。リーダーから承認されながら仕事するのは、やはり嬉しいのだろう。

 語尾に「くれてる」っていうのがついてる。以前はそんな言い方してなかったゾ。


 ものづくりの仕事の人は、研修でいちど納得してくれると、素直に「手順通り」やってくださることが多い。恐らく技術研修で、「手順通り」でないと思わぬ事故が起きてしまう、不良が出来てしまう、という考え方に慣れているからだろう。そういう学習方法をする。

 コーチングや承認のような「心理学」っぽいものに「手順通り」という考え方を持ち込むのは不似合いなようにみえる。が、いざ現場に落とし込むときには、強者の上司から弱者の部下にコミュニケーションをとるとき、ちょっと力の加減を間違えるとひどく傷つけてしまう。だから注意書きは沢山要る。安全策として承認から入る必要もあるし、承認の中でも安全策としてここからやってほしい、というのがあり、そうしたことを言い出すと結局「マニュアル通り」「手順通り」の世界になってしまう。

 なまじ文学などに親しんでいると、「そんな四角四面な。人の心に関わることはもっと自由度が高くていいのではないか」と思うだろう。ひょっとしたらそういう思念が邪魔して承認を身に着けられなかったという人も中にはいるかもしれない。
 こちらとしては、受講生さんに「上手くいった」感覚を少しでも多く味わって承認の醍醐味を知ってもらいたいのだ。


 熟練を要し、集中力を要する鈑金の仕事。しかししかめっ面一辺倒の職人の世界ではなく、合間にはニコニコ顔のある職場だった。


 


 

100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
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 18日(日)、岐阜県・恵那市岩村町に幕末の儒者、佐藤一斎先生ゆかりの史跡を、神戸師友猶興会主催の旅行で訪れました。


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佐藤一斎銅像
 


 神戸から東へ約3時間かけて、名神〜中央道を経て現地へ。「岩村山荘」で現地の鈴木先生の講義を拝聴します。
 佐藤一斎先生は、知る人ぞ知るですが(私もこの旅行まで知らなかった)佐久間象山、山田方谷、吉田松陰、西郷南洲らに影響を与えた儒学者。表向きは朱子学、裏では陽明学に造詣が深かったと言われ、行動に駆り立てる陽明学の部分が幕末の思想家・志士たちの心に響いたのかも。


 ただ岩村藩士の息子として江戸の藩屋敷で生まれ育ち、岩村町には50歳過ぎのときに生涯に唯一1回立ち寄っただけでした。でも岩村町の人々は銅像を建て、小泉純一郎元首相を招いて除幕式を行い、小泉さんに揮毫もしてもらいました。さすがです。


 著書に「言志録」をふくむ「言志四録」や「重職心得箇条」。小泉首相は在任中、「重職心得箇条」の一節を引用して田中真紀子元外相をいさめたそうです。


 
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岩村山荘の昼食。お城の層の形の食器が楽しい



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古い町並み。銘酒「女城主」と伝来のときのままの味、製法というかすていらが名物です



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岩村城は「日本三大山城」の1つ



 細やかな気配りで旅行を引率してくださいました神戸師友猶興会の山本勝彦先生、またご同道の皆様、ありがとうございました。



 日経ビジネス2012年11月19日号には、「イノベーションを生む組織」という記事の中で、

「日本低迷は社員のやる気のなさ?」と指摘しています。


 KeneXa High Performance Institute(ケネクサ)という人事コンサルティング会社の調査。

 2011年の調査(回答者数は、世界29カ国のフルタイム社員3万1000人以上)で、エンゲージメント指数は、全体で前年の60%から55%に5%下がった。加えて、すべての主要国、すべての産業、すべての職種で、前年に比べて低下している。

 その中でも、日本は、31 %で調査対象国中最低。日本企業の社員の7割は、自分の仕事や職場に誇りや愛着、使命感を感じず、受け身のやらされ感で日々仕事をしているようだ。

 さらに同社は、社員のエンゲージメント、組織のリーダーシップ力、企業業績の三社の関係を統計的に分析している。同社の分析によると、組織のリーダーシップ力が社員のエンゲージメントに影響を与え、社員のエンゲージメントの高さが企業業績を左右するということが、統計的に立証された。 


同社の調査では、日本のエンゲージメント指数は、近年40%以下で最下位が定席になっている。日本経済と日本企業の低迷が長引くミクロ要因には、組織のリーダーシップ力と社員のエンゲージメントの低さが関係しているのは間違いない。

 ケネクサの調査によると、企業業績に影響を与える社員のエンゲージメントを高める要因は、目指す未来の姿に対して自信を持って示す経営者、部下を尊重し信頼できる上司、社員にとっての成長機会、社会善を重んじる組織文化。要は、社員が自分の成長と将来を託すことができるリーダーと組織であることが、社員の力を引き出すカギになる。もちろん、言うのは簡単だが、実際は大変。世界中の企業が地道な作業に取り組んでいるのだ。
 (日経ビジネス2012年11月19日号p.101、太字正田)


 わたしどもが地域に対して繰り返し訴えてきたことが大変な手間ひまをかけて、やっと立証された、という感じです。
 ビジョナリーなリーダー、そして部下志向のマネジャー型リーダー、どちらも大事です。「リーダーシップ」というとき、統率する、引っ張る、強引にどこかへ連れて行く、という軍隊式のそればかりイメージすることが、あるべきリーダー教育を遅らせています。

 これに限らず類似のことは繰り返し言われてきたのではありますが、この記事がとりわけ同意できるのは、世界的なリセッションの下、組織の活力の回復が至上命題になったという認識のもと、枝葉のことをご商売の種にするのではなく本質的なことに取り組もう、という機運が出てきているのかもしれません。と思いたいです。

 良いリーダーシップをつくる作業と言うのは地道で、根気が要る、長い時間がかかる。でも業績のためには、それが本質的な取り組みです。

 わたしの経験では、良いリーダーシップから遠い人格の職人集団を束ねる立場の人の教育は、とりわけ非常に手間がかかる。教育に反応するまでも時間がかかるし、良くなっても教育をやめたらすぐ落ちてきてしまう。落ちてきてしまうのは教育の責任ではなく、教育を続けなかったことの責任。

 
 
 さあ、本質的なことを未来のためにどれだけ話せるでしょうか・・・。



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp
 


 
 

 「氏か、育ちか」。

 かねてからの疑問。人は生まれつきが大きいのか、それとも後天的に習得したものが大きいのか。脳科学・心理学は後者を強調し、でも遺伝学・遺伝子学の方々は前者をいわれる。

 このブログに繰り返し出てくるこの疑問について答えてくださりそうな有力な候補者、

 12日、藤田保健衛生大学(名古屋)・医科学研究所の気鋭の遺伝子学者、宮川剛教授にインタビューしました。


「何でも質問してくださっていいですよ」。
 
 1時間40分余りのインタビュー。非常に盛りだくさんの話題で、かつインタビュアーの私の頭がとっちらかっていて話があっちこっちへ飛ぶ飛ぶ。

 
 録音起こしと先生の添削を経て、全体を公開できるのは2−3週間先のことになりそうです。

 (私の場合で、録音起こしに要する時間は元の録音時間の6倍くらいかかります)


 しかし、中でも印象的だった・衝撃的だった内容は、今HOTなうちにご紹介しておきたいと思います。

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・親の経験は遺伝する。特にストレス。妊婦がインフルエンザに罹患すると、あるいは大きなストレスにさらされると、子どもの遺伝子異常が現れやすい。

・お母さんだけでなく、お父さんもストレスにさらされていると、子どものストレス遺伝子の発現の仕方に大きな影響を与える。ストレス耐性が弱くなる。
 (今時の「折れやすい若者」は、お父さん世代のストレスが原因かもしれない?)
 (1980年代に結婚して子どもをつくった男性方はストレスいっぱいだったってコト??)

・一方、よい経験は遺伝しない(少なくとも現在までの研究では認められていない)。ウサイン・ボルトの足を速くした遺伝子は遺伝するが、あそこまで訓練で高めた経験は遺伝しない。ストレスが遺伝することはわかっている。がっかり。

・高齢出産も遺伝子変異を起こしやすくなるので、下の世代に行けばいくほど、遺伝子変異が現れやすいといえる。遺伝子変異は、よい方向にいくこともあるがわるい方向に行くことのほうが多い。したがって今後ますます多様な遺伝子、多様な個性をもった人への対応力を高めないといけない。

・日本人の「固執性」を高める遺伝子スニップの比率は世界で最も高い。これは記憶力がいいが、反面1つのことに固執しやすい。もちろんそうした性格をつくるあくまで1つの因子。
(やたら伝統を守り「××道」をつくる文化は「変えたがらない遺伝子」のせいなのだろうか?あと女性活用がすすまないのも・・・)

・その当日のメールニュースでご紹介した「意志力は鍛えられる」説だが、やはり先天的に意志力の強い人弱い人はおり、ある程度は鍛えられるがもともと弱い人はある程度以上にはならない。トップアスリートになれる人なれない人がいるのと同じ。

・・・

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 なんだかきいている限り人類にあまりよい未来はなさそうな気になってきましたが、

 結論としては、ある程度遺伝的多様性を前提に、その人その人に合わせた対応をできるようになったほうがよい。
 
 このへんも、詳しくいうと指導する側が強みに目を向け、向いていない人に無理じいをしない、というのと、本人の心がけとしては、自分の強みを伸ばすというのと弱いところに関しては社会適応のために最低限必要な努力をする、と、あまりポジティブになりすぎることなくやや細分化して考える必要がありそうです。


 とまれ、遺伝子学の発達はひとごとではなく、ごく近い将来10万円以下で自分の全ゲノム解析をしてもらえる時代がくるとか。それに基づいたオーダーメード医療が可能になる。教育も、―今でも生まれてくるこどもの「ダンスの才能があるか否か」を診断してもらうサービスがあります―それに応じてデザインされるように、なるんでしょうか。


 宮川先生は「ある疾患」について福音となりそうな治療法の発表を準備中とのことですので、乞うご期待。



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ところで。
「日本人はどんな民族か」
これについて、遺伝子学ではまだ確定的な答えは出ていません。
宮川先生によると、例えば「不安・恐怖」の感情が全部でどんな因子によってつくられ、
また何がもっとも関与が大きいかといったことが確定するのは20年ぐらい先だろう、とのことですが、いくつかの説は有力なものとして出回っています。
またそれらの説に基づいて神経経済学、神経政治学、といったものも展開されているようです。 
ともあれ、
「日本人論」
は、もはや文学的ロマンでは語れなくなった、ということはいえるでしょう。

そんな中、日本企業の経営パフォーマンスへの評価について、
大いに同意できる記事が本日の日経ビジネスオンラインに載りました。

「キーパーソンに聞く 日本の大企業が再び輝きを取り戻すには―赤羽雄二 ブレークスルーパートナーズ代表取締役に聞く」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20121112/239314/?rank_n

結局今の時点でできるのは、
遺伝子学で出てくる知見のうちの有望なものを「確定ではない」と紹介したうえで、
現実の日本人や日本企業や日本政治家のパフォーマンスと照らし合わせていく、
また従来希望的観測として言われていたことや、
海外のものを単なる憧れで取り込んだもののうち
適切ではないらしいものを一応排除しておく、ということでしょう。
(「疑わしきは使わず」は、「安全」についての基本的な態度です)

お世話になっている皆様



 おはようございます。
 企業内コーチ育成協会の正田です。


先週は、アメリカでオバマ大統領の再選、そしてお隣中国でも共産党大会を開き、どうやら習近平氏を党のトップに選出することが確定したもよう。
 米中どちらの動向も目が離せませんね。


 さて、日本でも来月には東京都知事選、それに「年内衆院解散」が有力視されるようになりました。世界経済の深刻な後退局面、わたしたちもムードに流されない真摯な選択をしたいものです。



※このメールは、NPO法人企業内コーチ育成協会のスタッフ及び代表理事・正田が、過去にお名刺を交換させていただいた方・当協会のイベントやセミナーにご来場いただいた方にお送りしています。ご不要の方は、メール末尾にありますURLより解除いただくか、このメールに直接「不要」とご返信ください。




 本日の話題は:



■女性活用のための「爽やかマネジメント力」とは?


■誓いを立てたことをやり続けられますか?
 「意志力は人生を変える」にまつわる2冊の知見


■指定管理者制の下でのモチベーションを探る
 お客様に「おはようございます」を言うことからはじまった…
 姫路市立楽寿園園長・生駒眞一郎氏にインタビュー


■ほめ方ばかりでもう食傷、というあなたに
 「『叱って伸ばす』たとえばこんな時」



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■女性活用のための「爽やかマネジメント力」とは?



 去る6日、兵庫労働局雇用推進員会議というところで、「女性活用」についてお話させていただきました。

 最初このお話を兵庫県中小企業団体中央会のかたを介していただいた時、目をパチクリ。これまで正田は、「女性活用」について原稿を書いたことはあっても講演のたぐいはしたことがなかったのです。中央会会誌「O!」に連載させていただいているコラム「誌上コーチングセミナー」(後述)が、労働局雇用均等室のかたの目に留まり、ご依頼いただいたのでした。


 年に1回の推進員会議、しかも従来は連絡事項のやりとりで終わる会議で、専門家をよんで講演するのは約10年ぶりときいて、またびっくりするやら、責任の重さを感じるやら。
 特定の学問分野に偏ることなく、現場に即した視点で話をするように、というご依頼でした。

 
 結局、「人を育てる」という視点で現場をみてきた結果としての、

 有能な女性の成長や活躍を阻む

「職場のドロドロ」
「職場の陰湿」

という嘆かわしい現象と、
それへの解決策として、
「承認中心コーチング」
というものについて、お話させていただきました。 奇しくもその日の日経新聞1面には、「職場は陰湿な場になっている」という東京のNPOの談話が載りました。


「承認は『信賞必罰』『論功行賞』『理非曲直』『適材適所』といった、戦国時代の徹底した実力主義マネジメントに通じます」


 ものものしい言い方ですが、決して誇大広告とは思っておらず、以前からの観察事項、「うちの受講生さん」方が実際にやってこられたことや、醸し出す雰囲気について言ったのです。


 県下の経営支援機関や、人材育成担当者でつくる推進員会議の皆様、またこの日は女性産業人懇話会(VAL)の皆様が、耳を傾けてくださいました。有難いことです。


 この日の模様の詳細はこちらからご覧ください:

「ドロドロ陰湿に対抗できる『さわやか力』とは
 ―女性活用でお話させていただきました:労働局雇用推進員会議」

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51834759.html


 ただ、当日もお話したのですが「承認」は決して「女性活用」のためだけにあるものではなく、非常に広範囲に波及効果のあるマネジメント技術です。受講生様方は、くれぐれも「うちの職場には女性はいないから、『承認』は要らないよね」などと、誤解されませんように。


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■誓いを立てたことをやり続けられますか?
 「意志力は人生を変える」にまつわる2冊の知見


 さて、上記の記事の中にもありますが、「承認」を研修などでせっかく学んでもやり続けられる人、そうでない人がいます。

 これまでの経験では、「武道・武術経験者」に「やり続ける人」が多い―しかし、そういう人でなければ物事を続けることができないのか?それもまた悩ましいことです。

 
 実は、アメリカの心理学では昨今、「意志力(grit)」というものが注目されているのだそう。生まれ持った優れた遺伝子や才能を開花させられるかどうかは、遺伝子そのものよりもそれを開花するまでやり続ける「意志力」が
重要なのであり、「意志力」の強さはその人が成功を収めるかどうかの有効な予測因子になる、というのです。


 Gritという言葉は、意志力のほかに「気骨」というような意味もあり、なんだかガツンと歯ごたえのある人が思い浮かびますね。


 さて、この注目の「意志力」をテーマにした翻訳書が相次いで出版されました。
 そのうちの1冊、『スタンフォードの自分を変える教室』(ケリー・マクゴニガル、大和書房)では、「意志力は筋力のように鍛えることができる」と述べ、瞑想、深呼吸、軽い運動、グリーン浴などを勧めています。


 こちらのページに書評を載せました。よろしければご覧ください。


 「意志力トレーニングで人生は変わるか―『スタンフォードの自分を変える教室』」

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51835268.html



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■指定管理者制の下でのモチベーションを探る
 お客様に「おはようございます」を言うことからはじまった…
 姫路市立楽寿園園長・生駒眞一郎氏インタビュー


 
 少し前になりますが、姫路市の老人福祉施設・市立楽寿園園長の生駒眞一郎氏にインタビューしてまいりました。


 楽寿園は、地域のお年寄りたちが無料で入浴・レクリエーションを楽しめる日帰り施設。今年度から民間業者による指定管理者制度に移行しています。


 指定管理者制というもの、従来市や県の施設だったところに相次いで導入されています。民間手法での人件費削減と経営効率化が大きな目的。


 人件費削減が目的ですから、そこではあまりよいお給料は望めません。自治体職員から移行した人であれば、ダウンした人もいるでしょう。また勤務態度が悪ければ解雇されることもあります。そして5年に一度は契約更新があ
り、運営の実績によっては他の管理者に交代することもあり得る厳しい世界です。


 そうした中でモチベーションの維持向上はいかにしてできるのか?そんな問題意識をもちつつ、今年6月、指定管理者のもとでの公営施設の施設長さん方に「承認・傾聴」の研修をさせていただきました。
 施設長さん方は60代の高齢の方が大半、また職員の方も50〜60代、中にはシルバー人材センターの人もいるという、高齢化社会のための職場のようなところです。


 この研修のとき、研修効果を測る事前事後のアンケートも、施設職員さんを対象に行わせていただきました。

 このアンケートの指標が研修後に顕著に上がった施設がありました。モチベーション、業務能力、評価への満足度、プロ意識、組織への愛着心など、いずれの指標もまんべんなく上がっていました。

 それが冒頭の楽寿園さん。

 さあ、そこでは園長さんが何をしていたでしょうか…。

 前置きが大変長くなりました。

 詳しくはこちらの記事をご覧ください:


 「『あなたでないと』と言われるのが嬉しくて―姫路市立楽寿園園長・生駒眞一郎氏インタビュー」

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51831872.html


 100年後に誇れる人材育成をしよう。
 NPO法人企業内コーチ育成協会


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■ほめ方ばかりでもう食傷、というあなたに
 「『叱って伸ばす』たとえばこんな時」

 
 兵庫県中小企業団体中央会の会誌「O!」で連載させていただいている、「誌上コーチングセミナー」。

 昨年から連載がはじまってお蔭様で今年も継続となり、新装第4回、通算では第7回となります。

 前回「褒めると伸びる」ということを、心理学の「行動理論」をまじえてお伝えしました。最近もTVニュースで「ほめられると記憶が定着しやすい」ということが取り上げられており、「ほめる指導」は引き続きブームです。

 一方で、「ほめ方の話ばかりが溢れていて真実味が感じられない」というお声もきくことがあります。


 そこで今回は、「叱り方」の一端をご紹介。とはいえ、毎回1ページの範囲で文章をまとめるため、1回で「叱る」ということの全容をお伝えするのはむずかしいこともご理解ください。

 また「叱る」ということをお伝えすると、どうしてもエスカレートして「パワハラ」にまでなってしまうのが心配。ですので、このメールニュース読者の方にも慎重にご注意いただいた上でご覧いただきたく思います。

 当協会では通常、実地の「叱り方」は基本的に「承認」をマスターされ、自分の感情のバイアスを抜きにして事実(行動)を虚心にみる訓練のできた方にお伝えすることにしています。


 「叱って伸ばす」たとえばこんな時
 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51835109.html

 いつも温かく転載をお許しくださる中央会「O!」編集部の皆様にも心より御礼申し上げます。


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★当協会ホームページに中嶋嶺雄氏インタビューを掲載しました!

 前号でご紹介した、秋田の新設9年目の大学にして「就職率ナンバーワン」の実績を誇り、国内外で注目を集める国際教養大学理事長・学長の中嶋嶺雄氏へのインタビュー。このほど当協会ホームページにも掲載いたしました。

「新聞雑誌に載っているインタビューと違いノーカットな分、迫力が伝わる」とご好評をいただいています。見逃された方、こちらからご覧ください:

 http://c-c-a.jp/kyoukai/interview.html




※このメールは、NPO法人企業内コーチ育成協会のスタッフ及び代表理事・正田が、過去にお名刺を交換させていただいた方・当協会のイベントやセミナーにご来場いただいた方にお送りしています。

今後ご不要の方は、
空メールをご返信いただくか、こちらのページ

http://www.webcordial.com/bn/tk.html

より解除していただければ、
購読リストから外し、次回から送信されないようにいたします。


※このメールは転送歓迎です。
もしこのメールを新たに購読ご希望のかたがいらっしゃいましたら、
info@c-c-a.jp まで、「メールニュース希望と書いて
お申込みください。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました!



 お風邪も流行っているようです。

 皆様、くれぐれもご自愛ください。

 皆様にとって素晴らしい1週間になりますよう。


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神戸のコーチング講座
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ブログ「コーチ・正田の 愛するこの世界」
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「企業内コーチ育成のすすめ」
(株)帝国データバンク社『帝国ニュース兵庫県版』
2008年〜2012年 長期連載このほど完結
http://blog.livedoor.jp/officesherpa-column/
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 「意志力」をこのところブログで”ネタ”にしていたところ、

 なんと「意志力」をテーマにした翻訳書が立て続けに2冊出版されました。

 アメリカでも「意志力」に悩む(正確には、それの不足に悩む)人は多いようです。


 その2冊とは、

『スタンフォードの自分を変える教室(原題'The Willpower Instinct')』(ケリー・マクゴニガル著、大和書房、2012年10月)

『ヤル気の科学(原題'Carrots and Sticks')』(イアン・エアーズ著、文芸春秋、同)


 スタンフォード対イエール、大学対決でかつ「女性教授の奇跡の授業」と「(男性)天才教授」の対決のようにもみえます。

 個人的には、前者のほうが現代特有の「意志を保てなくなる状況」を丁寧に描きながら処方箋を出しているようで、好みです。
 後者は、意志力のメカニズムを言うのにアメとムチ(とりわけムチ)の効用を強調し過ぎ、著者自身が開設した約束を守るためのサイト'StickK'の宣伝が鼻につくような気がします。あくまで比較すると。


 というわけで前者(『スタンフォードの〜』)の方を主にご紹介したいと思います。


 意志力というものが初めて必要になったのは集団をつくり社会の中で暮らすようになったからだ、と著者は言います。

 自己コントロール力というものはわたしたちの額と目の後ろに位置する脳の前頭前皮質の働きなのだそうです。人類が進化するにつれて前頭前皮質は大きくなり、この部分が脳に占める割合が他の生物に比べて大きくなっています。

 前頭前皮質は3つの領域に分かれ、それぞれ「やる」「やらない」「望む」の各働きを受け持っています。

 
 衝動する脳と衝動を抑えて欲求の充足を先に延ばし長期的な目標に従って行動する脳。

 わたしたちには2つの自己があると著者はいいます。このうち後者の「理性的な脳=自己コントロール力」の自己をどれだけ大きくできるか。これが意志力です。そして、著者は意志力は筋力のように鍛えられる、ともいいます。


「この10年のあいだに神経科学者たちが発見したところによれば、脳はまるで熱心な学生のように、経験したことを見事に学んで身につけるのです。たとえば、毎日数学をやれば、数学に強い脳になります。心配ごとばかりしていれば、心配しやすい脳になります。繰り返し集中を行えば、集中しやすい脳になるというわけです。

 繰り返し行うことは脳にとって容易になるだけでなく、それに合わせて脳じたいが変化していきます。まるで筋肉がトレーニングによって逞しくなるように、脳の一部の灰白質が増強されるのです。」(p.49)



 ―このあたりは「氏より育ち」「脳の可塑性」のことを言っています。「承認研修」のあと「宿題」を課すのも、受講生様に「承認脳」が実践によってつくられることを期待しておこなっています。ただそのタイミングでの受講生様の方向性にどうしても合わなかったら、あるいは遺伝的形質にあまりにも合わなかったら仕方ありません―

 
 そして、「意志力」のトレーニング方法として具体的には「瞑想」を挙げます。1日5分から、自分の呼吸に意識を集中することをすると前頭前皮質への血流を促進し、自己認識をつかさどる部分の灰白質の量が増え意志力が向上していたそうです。


 ダイエット中なのに甘いものを食べてしまいたい衝動を抑えること、つまり「やらない力」を発揮するのは、脳の「休止・計画反応」を起こさせるということを意味します。これは、生きのびるためのもっと根源的な反応、ストレスにさらされたときにすぐに行動に出る「闘争・逃走反応」とはまったくべつのもの、より高次なものといえます。

 甘いものにとっさに手が出てしまう衝動に弱い人かどうかは、「心拍変動」でわかるといいます。つまり、衝動を起こさせるもの―この場合は甘いもの―を見て心拍数がいったん高まったあと、減少するという、この「増」から「減」への変動が高い人ほど衝動を抑える力が強い。高まりっぱなしの人は衝動に弱い人といえます。

 そして、この心拍変動を大きくするためには、「呼吸をゆっくりにする」とよいのだそうです。

 また、軽い運動や「グリーン・エクササイズ」―屋外の自然にふれられることなら何でもかまわない―も意志力を高めるはたらきがあります。自制心を発揮するには多くのエネルギーが必要なので、6時間以上睡眠をとることも重要だそうです。

 リラクゼーションも大事です。ストレスを高めて自分を奮い立たせるようなやり方、例えば締切ぎりぎりまで物事に着手しないとか自分や他人を責めるとかカミナリを落とすとか、は短期的には効果があっても長期的には意志力を弱らせると著者は言います。

「ストレス状態になると、人は目先の短期的な目標と結果しか目に入らなくなってしまいますが、自制心が発揮されれば、大局的に物事を考えることができます。」(p.90)




 本書はわたしたちの意志力を妨げるさまざまなものにも目を向けます。

 「ライセンシング効果」は、非常にうまくできた言い訳のメカニズムです。わたしたちは目標達成に向けて何かの進歩を遂げたあと、それを理由にして(ライセンシング)わるいことをして後退してしまう習性があるのです。「一歩進んで、二歩下がる」です。
 しかもそれは実際に進歩したあとだけでなく、単に良いことをしようと思っただけでも同じ効果が置きます。それでは「一歩も進まず、二歩下がる」です。


 また死を予感させるものに触れると高額商品の買い物をする傾向があるとも。自分をパワーアップさせたいようなのです。


 また現代はテクノロジーによるドーパミン効果が溢れ、スイッチを押せば、画面をスクロールすれば、様々なものが現れます。友人と交流するソーシャルメディア、仮想空間の中で武器を手に入れたり敵を倒したりして得点を稼ぐことのできるゲーム、とドーパミンは出まくりです。こうしたドーパミン装置の前にわたしたちの決心はもろくも崩れます。


 意外なことですが、「ドーパミンは幸福感をもたらすわけではない」という知見も紹介されました。幸福感そのものではなく、単に「快感への期待」をもたらしてくれるだけだ、というのです。報酬系を刺激すると欲望が刺激され、快感が得られそうな予感がして、そのためなら何でもしようという気になります。しかし報酬系を刺激された人々は、決して満足はしません。むしろ何かに駆り立てられたように不安混じりで居てもたってもいられなくなるだけです。依存症の人々はそうですね。

 そうして、報酬系を刺激するものはわたしたちの意志力の障害物になり得ますが、これを味方につけることもできます。著者の授業の受講生たちの中には、面倒な書類をお気に入りのカフェに持っていき、ホットチョコレートを飲みながら片づけた人や、スクラッチ式の宝くじを何枚も買って、片づけるべき場所に点々と置いた人がいたそうです。

 
 ―ちなみに、モチベーション喚起にあたって「目標設定、達成」が重要なのか、それとも「承認」が重要なのか。当NPOの関係者では、「目標も大事だが、その前に承認はすべての基礎になる」という考え方が優勢です。遠大な目標をありありとビジュアライズする実習をすると、人によってはドーパミンが出るかもしれません。しかし、遠大な未来の目標に対して期待が高まってドーパミンが出るのは、やはり身近な行動を1つずつ積み重ね、それを周囲の信頼できる人に「承認」してもらった経験のある人であろうと。

 関連で1つエピソード。過去、よのなかカフェに来られたあるアーティストの方が「今の小学生には夢がない。私は夢があったからこそ頑張れたのに」と話されました。しかし、その人のライフヒストリーを丁寧にきくと、そのアーティストさんは子どもの頃は「他にとりえがなかったが音楽だけはできたので」先生やお母さんにほめられながら音楽をやっていた。ある日小学校の先生が音楽に「5」を、それもほかの成績のよい子から「5」を1つもらう形でつけてくれた。それを励みに一層努力を続け、中学高校になるとお母さんが「この子はほかにとりえがないから音楽だけは頑張らそう」と音大を志願させ、ご本人もその路線で頑張った。「音楽家になろう」と本格的な「夢」をもったのは、どうやらその後のことだった、ということです。―


 そして、意志力の最大かつ恐ろしい敵があります。
「どうにでもなれ効果」。
1つ失敗したら、坂道を転げ落ちるように転落していく、どんどんやってはいけないことをやってダイエットや禁酒禁煙をふいにしてしまう。
 これを防ぐには、「失敗した自分を許すこと」だと著者はいいます。責めても効果はない。


 「いつわりの希望シンドローム」というのもあります。これは、身近な若い人をみていて、あるある、という感じです。失敗して落ち込んだとき、変わろうと決心する。変わろうと決心すると、今度は希望に満たされます。ダイエットを始めようと決心しただけで元気が出たり、エクササイズの計画を立てただけで気分が高揚したりするといいます。まだ何ひとつなしとげていなくても、いい気分になれるのです。

 このところよくある自己啓発本のタイトル「自分を変える」―本書の題だってそうじゃないか、と突っ込みたくなりますが―この言葉を言っている人に自分を変えられる人はいない、というのがわたしの実感です。

 この「いつわりの希望シンドローム」を回避するコツは、自分が失敗することをあらかじめ予測してシミュレーションすることだそうです。

 
 意志力をだめにしてしまうものシリーズでは、最後に、「余計なもののことを考えまいとすればするほど考える」という落とし穴が出てきます。シロクマのことを考えるなと言われると考えてしまう。甘い物のことを考えまいとすればするほど・・・。
 これの対処法は「考えまいとすることを手放す」のだそうな。瞑想の実践にも役立ちそうな考え方ですね。


 意志力の弱さは、伝染る。また、意志力の強さも伝染る。何かをやろうと決心したら良い友達を選びましょう。



 個人的には、やはり否応なくドーパミン装置の溢れている現代にどうより幸福に生きるか、その1つとして「意志力」があるように思いました。

 また、これはやや自慢めきますが、わたしはマネジメントに関する原稿をかくとき「締切に迫られてから慌てて着手する」ことはほとんどしたことがありません。というのは、あまり忙しくないから(涙)という悲しい現実もあるのですが、締め切りが迫りストレスフルな状況では、「書きなぐり」の原稿のかきかたになり、多面的に検証しながら書く態度を忘れてしまいそうだから。一面的な乱暴な表現になってしまうことが怖いからです。でも世間では「マネジメント」について発言される方で結構そういうのをみる気がします。




100年後に誇れる人材育成をしよう。
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兵庫県中小企業団体中央会の会報、月刊「O!」に連載中の「誌上コーチングセミナー」新装第4回。

 前回(当ブログで9月11日掲載分)、「褒める」ことが人を伸ばす効用を取り上げました。しかし、「褒める」だけで人を伸ばせるか?というと、そうではないですよね。バランスをとるために、今回は「叱る」のお話を。

 同誌編集部のご厚意により、転載させていただきます。


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 気付かないうちに「人」の問題が起きて、成長の足かせになっている…そんな現象があなたの会社にもありませんか?「人」の問題によく効くクスリ、「コミュニケーション」「リーダーシップ」の観点から解決法をお伝えします。(リード文以上)


 前回のこのコラムで、「『褒めると伸びる』を知っていると強い!」ということを、心理学の「行動理論」を絡めてお話しました。

(注 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51826124.html 

 ところで、仕事の中では褒めてあげられることばかり起こるわけではありません。お客様や組織、仲間に不利益になる行動をとってしまう場合もあります。そんな時はどうしたらいいのでしょうか。

 当協会では「承認」(認める、褒める)を学ばれた方を対象に「叱り方」の研修を行い、マネジメントの「規律・規範」の維持に大いに役立てていただいています。

 その一端をご紹介しますと…。

 「叱り方」プログラムを受講された、大手メーカー人材育成部門に勤めるAさん。研修翌日に、「さっそく職場で使いました」とメールをくれました。

 場面は、Aさんの部署に新しく配属された同僚がAさんに挨拶してきたとき。この同僚は若くして出世が早かった人だそうですが、「これからよろしくお願いします」という口調や態度が、半ばからかい口調、小馬鹿にした態度であった。

「なんだその態度は!」Aさんは、いきなり怒鳴りつけたといいます。これまで「承認」をとても大切にされていた心優しいAさんが。

「えーっ、大丈夫ですかそんなことを言って」

教えた私も息をのみました。しかし、Aさんによると大丈夫。この同僚はその後、態度を改めたそうです。

 プログラムの中では現役マネジャーたちの「こんな場面で叱る」という声を幾つか紹介し、そのうちの一例として「緊張感のない時、礼儀作法のなってない時に叱る」というものがありました。それを早速実践したAさんでした。(くれぐれも、読者の皆様は「乱用」されないようお願いします)


 べつの受講生Bさんは工場の総務部長。研修後の職場で、部下のうち2人が口論になっていた。Bさんは2人の話をじっくり聴き、「何が事実か、2人が共通して事実だと認めていることは何か」を紙に書きとめ、「これを見て2人でどうしたらいいか考えなさい」とその紙を残して部屋を出ていきました。すると、「事実関係」を目で見て共有(「見える化」ですね)した部下たちは、その後解決方法を考え出しそのとおり実行したそうです。

 こちらは、「叱る」というより、「事実は何か」「事実認識」に重点を置いた研修の内容を応用し、さらにコーチングの「答えは相手の中にある」、相手自身に考えさせることを組み合わせた例です。

 人を伸ばすということは、決して褒めることだけが道筋ではありません。「後悔」することも脳を活性化し、成長させることがわかっており、その「後悔」をいかに効果的に行わせるか、が大事です。

 今回は「叱る」という行為をお伝えしましたが、「後悔」を効果的に行ってもらうためであれば、「質問を投げかける」ことでもいいのです。「どうすれば良かったと思う?」「次回はどうする?」ニュートラルな調子でこうした問いを投げるほうが「叱る」よりも効果のある場合があります。

 ただし、わたしたちは自分の成長のきっかけとして「叱られた」「強いショックを受けた」ことの方を強く記憶してしまいやすいのです。これは脳の「ネガティブ・バイアス」という現象です。

 実際には褒められたり感謝されて嬉しかった気持ちから成長できたことも多いのに、記憶に残っている上司や指導者のエピソードとしては「叱られた」ことしか残っていない。これは、ネガティブな体験のほうが生存に関わる情報なので、忘れられないというバイアスなのです。

 だからこそ、人を育てる、伸ばす立場になったら、行動理論の「褒めて伸ばす」ことの効果を学び、わたしたち自身の記憶のバイアスにとらわれずに人を指導できるようになりたいもの。それを知っていないと、「叱ってばかりで、良いことを褒めることをまったくしない」指導者になってしまいます。

 職場の良い人間関係を保つ「良いフィードバック:悪いフィードバック」の比は「5:1」だそうです。読者の皆様は、この数字をどうかくれぐれもお忘れなく。(了)

(兵庫県中小企業団体中央会会誌「O!」2012年11月号所載)

 さて、先日の講演資料の中で使ったグラフを、秘密にすることもないのでこのブログでもご紹介しましょう。


 アメリカの「ポーリサーチセンター Pew Reseach Center」というところが2008年に調査したもの。


 「男性リーダーと女性リーダーのどちらが優れていますか?」との問いを成人2250人にきいた結果、

優秀なリーダーは男女どちら?




 正直さ、知性、思いやり、社交性、創造性など大半の項目で女性が上回ったという結果です。


 「決断力」は男性がやや上、


 「ハードワーク」「野心」などでは差がありませんでした。


 これらは、「リーダーシップ」というものをそもそも「男性性」や「決断力」と過剰に規定することに疑問を投げかけることになります。
 「決断依存的」なリーダーが始末にわるいことは去年の原発事故の際の某首相をみても明らか。

 もちろんリーダーシップの定義は過去から無数にあり、ポーリサーチセンターのそれはあくまでその1つです。
(なおこれらの項目の順位は回答者がランクづけしたものだそうです。「正直さ(honesty)」がトップなのですね)

 去年のようにスティーブ・ジョブズがもてはやされた時代であれば、ジョブズ的な人格特性(彼は自己愛性人格障害だったという人もいるが・・・)が称揚されたかもしれません。


 ただ日本の多くの職場の現状をみるに、女性に一日の長があるとされるリーダーシップ項目が不足しているがために機能不全に陥っている職場もあるかもしれないのです。


 「男性性」はたとえばコマーシャリズムで煽られると舞い上がる。テストステロンというのは煽られると分泌される性質のものだな、と思う。

 男性諸氏の好きな歴史小説の中の文章表現にも似たものがあるかもしれません。


なお男性に女性性を期待することができるのか、という問いについては、発達心理学のレビンソンの知見などが参考になるでしょう。

 40代ごろになると多くの男性で男性性が後退し、代わりにそれまでなかった女性的性質が表に出、若い世代の人の相談相手の役割をするようになるのだと。そうした女性的性質は外から獲得したものではなく、もともと持っていたが表れていなかったものが出てくるのだと。

 この記述の後半部分は、脳科学でいうと神経回路の「フィルター」という現象で読み解けるかもしれません。ある強い遺伝的形質をより強めて才能として発揮させるために、さほど強くない部分の神経回路にはフィルターをかけ、伸びないようにする。そうして「フタ」をしていた形質が、ある時期に必要に迫られるとフタをとって急速に伸びはじめることがある。


 
 当協会で引用させていただいている武田建・関学名誉教授は、

「父性的リーダーシップと母性的リーダーシップ」

あるいは

「リーダーシップの切断機能と受容機能」

ということを述べました。後者のほうが比率として圧倒的に大きく、前者はごくたまに発揮され、必要な時には発揮されなければならない、というのでした。


 また、このブログでもよく引き合いに出す、南アのネルソン・マンデラ大統領を描いたクリント・イーストウッド監督の映画「インビクタス〜負けざる者たち」では、モーガン・フリーマン演じるマンデラ氏が全編にわたって日常的に「承認」を周囲におこなっている。「ブレンダ(秘書)、髪を切ったんだね」「君は〇〇(名前)だね」という具合に。

 「承認」を知っている人がみると、「ああ、やってるな」と手の内がすぐわかるのですが、それでも不思議と感動できる。イーストウッド監督、良くわかってらっしゃる。今回の大統領選では共和党側で発言したようですが、それはそれとして。


 映画の中、ある1か所でマンデラ大統領がトップダウンのリーダーシップを発揮します。


"You elected me as a leader. Let me lead you now!"

(君たちは私をリーダーに選んだ、今は私にリードさせてくれ)


 おもしろいことに、この映画の予告編がDVDにも収録されていますが、予告編では「承認」の場面は切り捨てられ、このトップダウンの場面、せりふが使われています。

 このことはリーダーシップを語るうえで象徴的ではないかと思います。


 良いリーダーが日常の圧倒的多くの場面でおこなうリーダーシップ行動は「承認」である、ただしトップダウンを振うときは振うのであり、周囲には、また後世にはそれがもっとも印象的な場面として記憶される。

 それはよくいう「ネガティブ・バイアス」が記憶をそのように操作するのかもしれず。



 ここでまた、危惧しているのは、

 ある優秀な男性の働き手が中年期にさしかかりリーダーになり、自分の人格の中の男性性と女性性の比率を見直さなければならなくなったとき

 ―よくあることです―

 世間に「リーダーシップは男らしさだ」と煽る言辞が溢れていると、どうしてもそっちの方がかっこいいので、テストステロンが不必要に分泌され続け、せっかくの「女性性」を伸ばすチャンスを逸してしまいかねない、ということです。

 それは、その人がその年齢にふさわしい成長を遂げそこなう、ということです。

 だから商業主義で男らしさを煽るのは、大概にしたほうがよいのです。

 
 

100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp


「意志の力(grit)を高めるには」


 FacebookのQuaraというQ&Aサイトにそのノウハウを伝授してくれるページがありました。


 http://www.quora.com/How-does-one-increase-ones-grit


 どうやって意志力の質を自力で高めることができるか?という質問に対し、2人の人が大真面目に答えています。最初の人曰く:


「何か難しいことを30日間やろう。周りのすべての人に自分はこれをやろうとしているんだ、と宣言して、やる。
その難しいことは、永遠にやりたいことでなくてもいい。30日間アルコール断ちする、肉断ちする、あるいは好物の料理を断つ。
そして翌月には、もっと難しいことをやる。
強靭な意志力を持てるようになるまでそれを続けよう」




2人目の人は、ケリー・マクゴニガルの『スタンフォードの自分を変える教室』(The Willpower Instinct )からの引用として曰く:

「1)週に数回軽い運動をしよう。

2)毎日瞑想をしよう。

3)十分な睡眠をとろう。

4)自己コントロールは筋肉のようなもので、継続使用していると疲れてくる。意志力で大きな決断をするときには身体に力がみなぎっている朝のうちにしよう。

5)意志力は伝染する性質がある。自己コントロール能力は最も接触の多い人に影響される(あなたの友人が意志薄弱であれば、あなたもそうである可能性が高い)」



 さて、読者の皆様はどちらの回答がヒットしたでしょうか・・・



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NPO法人企業内コーチ育成協会
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 6日、兵庫労働局主催の雇用均等行政推進員会議にて「女性活用」をテーマにお話しさせていただきました。


 題して「『働くなでしこ』を取り巻く現実と真のポジティブ・アクション推進に向けて」。


 正田、このテーマで人前でお話しするのは初めてであります。


 制度的な整備はさて置いて、これまで企業内コーチングの現場でみてきた、有能な女性を必ずしも現場が歓迎していない現実とその中で諸外国並みに女性管理職をつくっていくことのむずかしさ。

 また、当協会方式の「承認中心コーチング」を学んだ男性管理職のもとでは女性スタッフが見違えるようにしっかりし、業績向上の担い手になったことなどもいくつかのエピソードでご紹介しました。


 
 
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「職場のドロドロ」
「職場の陰湿」

 こんなこと年に1回の大事な推進員会議で取り上げてお叱りを受けないかなーと思いながら用意した話題でしたが、奇しくも当日6日の日経新聞朝刊に、「陰湿な職場が増えている」という文言が載り(朝刊1面連載「働けない若者の危機」第3部シューカツ受難ぁ法


 パイが小さくなったことへの不安は陰湿ないじめ、意地悪、手柄の奪い合い、足引っ張り行為となって、弱い存在の若者や女性に向かいます。
 なので割合タイムリーな話題だったのでした。


 「『承認』は、「信賞必罰」「論功行賞」「理非曲直」「適材適所」といった、昔から言われるあるべきマネジメント、戦国時代の本格的な実力主義に通じます」


と、正田。折角来られたお客様にこのぐらいのリップサービスはお許しいただけるでしょう。

 1つ前の記事に登場された松本茂樹さんは、去年の当協会の定期総会にあたり、「王道のマネジメント」という賛辞を送ってくださったのでした。


 「さわやか」「すがすがしい」と言っていただいてきた当協会方式の承認コーチングですが、さて、それを維持できますやらどうやら。

 非営利教育団体としては、たとえ儲からなくても「すがすがしい」路線でいきたいものです。


 県下の雇用均等推進員の皆様と、女性産業人懇話会(VAL)の皆様に向けて、40分の講演(ほんとは10分オーバーしてしまった。反省)のあとは、ご来場の皆様のディスカッションのもようを最後まで拝見させていただきました。
 


 貴重な機会にお声掛けくださった兵庫労働局雇用推進室の皆様に感謝です。また、そのきっかけを創ってくださった、兵庫県中小企業団体中央会会誌「O!」様にも。


****


 ところで、当協会方式で「トップ支店」「全国1位」が立て続けにつくられたのは数年前にさかのぼります。

 その後はなぜつくられていないか?と、疑問に思われる方もおられるでしょう。

 いくつか原因があるように思います。


1)個人のポケットマネーによるオープンセミナー受講よりも企業研修の比率が増えた。
 過去には「パネルディスカッション等による事例発表→感銘を受けた個人のセミナー受講」という流れがあり、企業研修の場合よりはるかに真摯に学習して習得してくれた。また会社全体ではなく、その個人の部署のみ業績向上が突出した。
 個人受講が減少した背景には、管理職の年収減がある。


2)業種が多様化した。従来は営業・サービス業で社内ランキングのある業種のマネジャーさんが受講しに来られて華々しい数字を創られたが、近年は技術・研究・製造・介護など、成果を数値化しにくい業種が増えている。


3)競合する教育研修が増えた。他研修機関の多くの情報に触れられるため、ひとつの研修に対してコミットメントを保つことが難しくなった。


とりわけ3)の、何事につけ情報量が多いことがノイズ情報になり、どんな教育研修でも1人の人に影響力を持ち続けることが難しいのは、この手法によってはたらく人の大きな幸福や業績向上がつくられるのをなまじ知っているだけに残念なものがあります。

下手に他の情報をもつことは、場合によって「言い訳」として作用します。
・・・てなことを言うと新興宗教のようですが、たとえば武道武術を習う人が「受け身」のような基本技を延々と練習するように、すぐに目先の効果に結びつかなくても基本を毎日やり続ける、という種類のコミットメントが、承認コーチングの習得には必要です。

これまで当協会方式で強烈な業績向上をなしとげた人に「武道経験者」が多い―たとえば前述の松本さんは少林寺拳法の有段者で大学時代来る日も来る日も練習していたという、自治体で「50人と個人面談」をやった課長さんは剣道経験者でマラソンランナーでもあった。最近大きな効果を上げた人では「テニスの上級プレーヤー」というのもあった―のは、決して偶然ではないように思います。彼らは、そうした学習方法に馴染んでいて違和感がないのです。


とまれこうした、ノイズが多くて意志を貫きにくい現代の特性にかんがみて、とくにNPOになってからは承認を宿題として課し、許可を得たものは共有する、ということをしています。

これが特殊すぎることをやっているのかどうか。人によってはまったく違和感なく受け取り、人によっては余計なお節介、と受け取るでしょう。


最近の心理学で「グリット(Grit、意志力)」というものが注目されているそうです(日経ビジネスオンラインの河合薫さん記事による)。もって生まれた遺伝的な強みよりも、何かをやり続ける意志力のほうが、個人が能力を発揮するかどうかに大きな影響力をもつという。
意志力そのものは、遺伝しないのだろうか。またきいてみたいことが増えました。


「トップ支店」ほどドラマチックでなくても、微妙なモチベーション向上、微妙な能力向上、微妙な提案の増加などがあればやはり研修効果としてカウントした方がいいので、今年からは「効果測定アンケート」などもするようになっています。




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 久しぶりに松本茂樹さん(元銀行支店長・現関西国際大学准教授)のお話を伺う機会がありました。


 このブログの長い読者の方ならご存知、銀行支店長時代に「1年目トップ支店・2年目目標達成率150%」という偉業をやった、当協会の伝説の受講生さんです。現在も当協会会員。


 「女性活用」に関してお話をすることになり、幾つかエピソードをリレーでお話しする中では、やはり松本さんの偉業の立役者となった、「金融商品お勧め行内1位となったパートの女性」にも触れざるを得ません。


 もう6・7年も前のことでしたが、思い出していただきました。


 このパートの女性、A子さんは松本さんの支店長就任時点では、実力はあったがムラのある人だった、ということでした。成績のよい時期もあるがそれを周囲に吹聴することもあり、周囲の行員からは嫌われていた。前の支店長から松本さんはこの人を、問題人物として引き継いだという。


 しかし、松本さんが「承認コーチング」を学んできて支店内で「他己紹介」をする、毎月の個別面談、毎日の声掛け、などでこの女性も周囲も変わりました。


「あなたは美空ひばりなんだから、あなたが歌えるよう、私がステージを用意する」 

 松本さんはA子さんに言ったそうです。A子さんの接客能力を活かすため、A子さんが振り向いて「コピーお願いします」というとぱっと立ってコピーをとってくれる人たちをつくり、これを「フォーメーションチーム」と呼びました。これでA子さんは席を立つ必要がなく、窓口に専念できるようになり、A子さんの接客は評判をよんでお客さんがお客さんを連れてくるように。他の支店や証券会社からもお客さんが流入するようになりました。


「それでほかの行員さんは、不満は出なかったのですか?やっかみとか」

と私。

「いえ、フォアザチームというか、A子さんをみんなが応援したら支店全体の業績になって、みんなの業績にもなるんだよ、と言い続けましたから」

と松本さん。

「A子さんはそんなにみんなに助けてもらって、天狗になりませんでしたか?」

「いえ、もちろん業績トップだから本店で頭取との会食とかに出ることがあるわけですが、そういうときみんなにお土産のお菓子を買ってきて配ります。『いつもありがとう』と。A子さんもそういうふうに変わりましたね」


 不思議な気さえするA子さんと周囲の変わりよう。しかし、少々歪んだ出方をしていたものが、「承認欲求」が正しく満たされることによって悪感情がなくなり、互いに協力行動をとれるようになっていくのですね。支店長ひとりの力量で。
(正確にいうと松本さんは、自分がコーチングの威力を知ると部下の次長さんにも地元のコーチング研修を受けさせ、2人で毎日声掛けをし、1日ひとりずつ個人面談をしていたそうです)


 さて、これを「女性活用」の話としてどうやってまとめようかな・・・、


「松本さん、なんかあの当時より今のほうがお話が詳しくておもしろいんですが。当時は雲をつかむような感じでしたが」

「それは、あの頃はまだ渦中でしたからね」

「是非また事例発表してください。よろしくお願いします」



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 女性の友人がやっていたフェイスブック上のコミュニティが閉鎖されていた。


 友人はじめだれか投稿するたびに「いいね!」が70とか100とかつく、人気コミュニティだった。私はごくたまにしか読みに行けなかったが友人の人となりを反映して、思いやり溢れるいい空間だったと思う。


 ところが、そのコミュニティと友人を中傷する書き込みが2ちゃんねるにこのところあり、オフ会でぼろ儲けするつもりだとかババアとか書かれていたそうだ。


 恐ろしいことだが、そういう時代なのだ。その中傷の書き込みをみている限り、友人が特別おかしな犯罪的なことをやっていたように見えない。普通にネット上でコミュニティをつくり、9〜10か月活気ある運営をしたあとオフ会の韓国ツアーを企画する。今どき韓国ツアーなんてわずかな額である。ヨーロッパ旅行とかならまだ「ン?」とひいたかもしれないが。


 だが、悪口の調味料をたっぷりまぶした口調で悪意の書き込みをすれば、言われた友人はダーティーイメージがついてしまうのだ。「ババア」とかいう言葉は女性を引きずり下ろすのに有効だ。


 これは、「責任帰属バイアス」というもので、地震でも痴漢でもレイプでも、だれかがひどい目にあったことを知ると、私たちは自動的に「その被害者自身が悪いことをしたからではないか」と思ってしまう。痴漢にあえば、「そんな短いスカートを履いていたからだ」。レイプにあえば、「夜道を歩いたからだ」等。

 これをうまく利用すれば、悪口を言う側は一方的な言い得である。
 

 ほんと、嫌な時代だ。私は過去に色々コミュニティの運営というものを試みたことがあるからわかるが、結構しんどい作業である。主宰者は何の見返りも求めずせっせと皆が喜んでくれるような投稿を続ける。9~10か月それを続けて、さあオフ会、というのが、主宰者にとっては何ものにもかえがたい精神的報酬のはずである。それをくだらない悪口だけで頓挫させた。


 友人が早く立ち直り、またコミュニティを再開することを願う。



 
 私個人のことでいうと、やはり色々とネガティブ・キャンペーンを浴びる中で、

「スキル/テクニックなんかじゃない。理論なんかじゃない。心が大事だ」

というのが、以前にも書いたが妥当性はないにも関わらず一見有効な反論として繰り返し出てくる。


「心が大事だ」

これほど最強のフレーズがあるだろうか。

何とか人の心を一致団結して生産活動に向かわせよう、ということをやっているときに。


これに対する当方からの反論としては、

「心が大事だ、心で向き合うといいますが、あなたは他人の心を理論やスキル・テクニック抜きで理解できるほど全知全能の神ですか。あなた流のやりかたで、自分の鏡として他人を恣意的にみることができるだけではないですか」

というのがあるが、これが有効にひびくとは限らない。

私にすれば、単なる「心で向き合う」とはようするに自己流、我流だけで人の心をどうにかしようということであり、きわめて傲慢不遜なことなのだが。

しかし言葉の響きとしては、

「心が大事だ」
「心で向き合う」

のほうが、綺麗なかんじがする。

 
ここはあくまで私の想像だが当協会方式の「行動承認」はそれ自体に、おそらく実施者(コーチ)のミラーニューロンを活性化させるはたらきがあり、共感能力を高めるはたらきがあり、行動承認をおこなうということはすなわちそれ自体が「心を整える」ということなのだ。それができていて初めて、「心で向き合う」「心が大事だ」なんてことが言える。


だれかその分野の研究者がそういうことに興味をもってくれないかなあ。
100年後のためにそんなことも書いておこう。


それにしてもどんないいことをしてもやっかみで潰されかねない時代なのだと、あらためて実感することになった友人のエピソードだった。



最近ブログに頂いたコメントで、結局「承認」しなかったものでは、私について
「肩に力が入りすぎている」
というものがあった。
うちのブログのコメントは、申し訳ないが承認制にしている。特に中高年おじさんのやっかみめいたコメントをわざわざ載せて相手にするほど暇ではない。
はたらく女性が、ちょっといい実績を挙げたとか影響力をもったとかいうとき、おじさんのやっかみ語として
「肩に力が入ってるんじゃないの?」
というのがあるようである。
そういうのも今後のために一応押さえておこうと思う。たぶん普遍的に出てくることだから。

何かを責任をもってやり抜こうとするとき、肩に力を入れないで行うことはできるのだろうか。
重要な課題を行うときには、程よい緊張と程よいリラックス両方が必要だ。それは男性でも女性でも同じ。
リラックスだけ、弛緩だけで重要なことを成し遂げられるわけではない。

悔しかったら、そういうことを言うおじさんが私と同じことをやってみればいいのである。
あなたが今から急に「承認」って言い出して、
世間の人が信用してくれますか?

ほらね、
そういうことを言うおじさんは、羨ましいだけなのだ。
羨ましいという感情をそのまま表出できずに、
他人を批判する言葉にすり替えているのだ。


承認欲求と嫉妬は、脳の同じ部位が活性化するという。




今日は御影の兵庫県予防医学協会で健診を受けた。最後の妊娠以来じゃないかな健診なんて。



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 何となくわさわさして過ぎる日々。


「2012年もあと2ヵ月!今年の抱負は達成できていますか?」

 ライブドアブログの筆者へのブログネタのヒントとして今、この「記事を書く」ページに今月リニューアルして掲げられているのが、これです。


 私としてあるいは当協会として、今年の年頭掲げた「抱負」というのは、最近各記事の最後に署名として使っている

「100年後に誇れる人材育成をしよう」

でした。

 到底、単年で達成できるものではないから達成度はあんまり気にしていません。

 しかしこれを新年早々掲げてから、例えば1月早々『自己愛過剰社会』の日本語版と出会って現代の教育が対峙すべきものがまた1つ、鮮明になったり(でも当協会が「シュガー社員」時代からやってきたことは間違いではなかった)、2月に「セロトニントランスポーター遺伝子」の知見を前面に出すようになったり、5月に「効果測定のための統計解析調査」を作ってくれる人が出てきたり。またしばらくおさぼりしていたインタビュー・対談について、7月に全日空の河本客室本部長、10月に国際教養大学の中嶋学長と、それぞれ実施・掲載することができ、いずれもちょっと歴史的に意義あることだったように思います。


 ジワジワと、揺るぎなく進んではいると思います。"Go but slowly"ですね。


 それはやっぱり、大きすぎるきらいはあるけれどビジョン的なものを出したことの効用だと思います。


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 先月19日に出した、姫路市立楽寿園園長・生駒眞一郎氏のインタビュー記事

http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51831872.html

 を、お客様が社内で回覧してくださったそうです。「すべての管理職はこうあれ」という社長さんのメッセージつきで。
 
 嬉しいですね。


 信頼していただくと、裏切らないようさらに信頼を積み重ねなければ、と思ってしまう義理人情体質のわたしであります。


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 かねて関心を持っていた、遺伝子学の先生にインタビューをお申込みしたところ、なんとこちらの依頼メールから9分で「OK」のお返事が先生ご本人からきました。

 最速。さすが最先端の研究をされている方。(正田とはほぼ同世代です)
 

 当方からのご依頼メールには、

「 人材育成やマネジメントの分野は決して科学的ではなく、恣意的にどんどん新しい理論が作りだされる状況です。わたくしは非営利教育の立場として、最適な、あるいは最適を目指した教育とはどうあるべきかを追求し、凋落傾向にある日本を建て直していきたいと思っております。」

てなことを、書いたのでした。


 最近口が上手くなったんだろうかわたしは。





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