正田佐与の 愛するこの世界

神戸の1位マネジャー育成の研修講師・正田佐与が、「承認と職場」、「よのなかカフェ」などの日常を通じて日本人と仕事の幸福な関係を語ります。現役リーダーたちが「このブログを読んでいればマネジメントがわかる」と絶賛。 現在、心ならずも「アドラー心理学批判」と「『「学力」の経済学』批判」でアクセス急増中。コメントは承認制です

2013年04月


 英語のクリス先生のクラスで私の最近の持論、

「日本人は遺伝子学的にこうだからああだから『承認リーダーシップ』が必須」

というのを英語でレクチャーさせていただいた。

 
 クリス先生はじめご同席の皆さん大いに賛同していただいた。後半の「承認リーダーシップが」というところはわからないけれど前半「遺伝子学的に」のところに関しては。


 この土曜日午後のクラスは貿易会社の海外取引の最前線の方ばかりで、こうした層のビジネスパーソンの方々は、別に正田のようにカゲキなのでも何でもなく、「外」の厳しさ速さを知らない「中」の日本人スタッフの対応の遅さ、内向きさ、いわば「臆病さ」は嫌というほど感じておられることだろう。

 ふだんは為替相場のお話が中心なのだけれどその中で変わり種の正田が人材育成の話をやりだすとそれにも皆さんちゃんと耳を傾けてくださる。感謝。


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 人に勧められて「選択理論」の本を読み、(あえて題名を秘す)やっぱり「ダメだ、こりゃ」になってしまった。

 以前にもこのブログに「選択理論コーチングと行動理論コーチング」というタイトルで取り上げたことがある。ようは、
「人は、自分で選んだことを一番喜んでやるのだから相手自身の選択に委ねたほうがいい、だからコーチングの中で質問法がもっとも重要」
と考えるか、
「人は何より『認められたい』生きものだ。承認欲求を満たしてやることによって当方からの質問法を含むあらゆる働きかけを受けいれやすくなるし指示命令、助言、組織の方針説明等もきいてくれやすくなる、だから承認が一番大事」
と考えるか。
 行動理論=承認といえるかどうか微妙だけれど、当協会方式では、行動理論は承認の重要な柱です。


 選択理論の本の内容ぜんぶがわるいわけではない。しかし、やはり「外的コントロール」を悪玉にしているところに問題がある。選択理論という立場をとる以上そのように論理展開しないといけない制約があるのだろう。


 「外的コントロール悪玉論」についてはこのブログでは何度も触れた。(2011年暮れの『報酬主義を超えて』論争その他)


 コーチングの中でもエグゼクティブ・コーチングを主にする人たちは、エグゼクティブ・コーチの心構えとして選択理論を知っておくことは大事でしょう。ただ、その人たちもそれしか知らないでいると、例えばリーダーたちに部下をどう育成するか説明するときにそれと同じやり方を説明してしまい、組織がパニックに陥るようなことになる。

 正田は以前はエグゼクティブ・コーチングが主な柱だったのだが、しかもその中で「正田マジック」とよばれるほど強烈な行動促進をやったのだが、そのうち彼らエグゼクティブに恣意的に戦略戦術を選ばせることの限界を感じ、

(ようするに彼らが部下育成に必要なスキルは行動理論コーチングあるいは承認中心コーチングのほうだし、彼らが「決断過多」「行動過多」になると部下に対する承認が足りないことになってしまう)

「私はマネジャー・リーダー育成法としての承認中心コーチングしかやらない」

と宣言してしまうことになった。それが今のNPOにつながる。
 

 正田も承認をクリアした上での質問法や選択理論的アプローチは認めている。全否定しているわけではないんですよ。「次の段階の話だ」と思っている、ということです。そして向こうさんが「外的コントロール悪玉論」をとっている以上おつきあいできないな、と思っているということです。


 結構大手の企業さんで選択理論コーチングをミドルマネジャー研修に取り入れているところもあるそうですが、それは「コーチングって理想論ですよね」って言われても仕方ないだろうと思います。恐らくそれでは当社がやってきたような、真剣にやった人のもとでの強烈な業績向上やモチベーション指数向上など起こせないでしょう。同じ「コーチング」と名前がついていても全然「別もの」であります。


 こうしたことを書くのは既に何度目かだし、わざわざ「寝た子を起こす」ことになるのかもしれないけれど、ブログ読者の方や会員様方は決して子どもではないので、外でも色んな考えに触れる機会があると思うので、私の考えをご説明しておきます。


 また、今総会に諮っている、理念で「承認中心コーチング」と謳おうとすることの背景もご理解いただけたらと思います。



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

 ブログ読者の皆様、大型連休はいかがお過ごしですか。
 連休前半は、いいお天気なのに山にもお花畑にも行きたいのに今日までコーラス練習です。

 仕方ないので読書日記を、それもあまり重要でない手近なところから片づけます。


『「認知科学」最強の仕事力』(匠英一、高橋書店、2013年4月)

 承認もヒューリスティックもその他カーネマンからの引用の多い、このブログの内容と大いにリンクするところの多い本です。


「日本人は不安感が強くてつながりを求める、だから承認がマネジメントに有効」

なんてことも当たり前に文中にあります。

 その他「成功イメージを描くのは意味がない、目の前のことを一生懸命やること」このあたりも数年前ブログでご紹介してますね、『その科学が成功を決める』あたりでしたかね。


 こうして正田が長年言い続けてきた(そして理解されなかった)ことを偉い男の人が「そんなのもう常識でしょ」って口調でさらっと言っちゃうんだよね〜、いつか。

 ありがちありがち。

 ということを確認した本でした。


 ただ、「お得感」のある本ではありますが、この本読んだからといって何一つできるようにはならない。これは当協会の会員さんを含めどなたにも言っておきます。これは、「できてる」人が確認するための本ですね。

 「日経ビジネスアソシエ」とか「プレジデント」読んでる人が結局何もできるようにならないのと同じ。

 何かを「できるようになる」というのはかならず「修練」のプロセスが要ります。1つのことにいつも集中力を向け、トライしたり、できたかできなかったか内省したり、ということを繰り返して初めて内面化していきます。

 この手の網羅的な本や上記の雑誌は、「できてもいないくせにできるようになった気だけしているナルシスト」をつくるという意味では有害かもしれない。

 万一対面での会話でその手のシチュエーションが起きると非常に気まずいことになるので、ブログで言っておきますね。


 
100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp


追記:
正田が「承認」だけをとりわけうるさく言うのは、「不安感の強い日本人」にとって「認められたい」はすごく強いが、「認める側になる」というのはすごくハードルが高いこと。でもそれを乗り越えて使い手になると、想像を超える凄い変化が職場に起こることも自明の理で、ここを乗り越えるとリーダーの「できること」は格段に増える、そういうポイントだから言っている。たぶん当協会の会員さんならそれはわかってくれると思ってるんだけど・・・。


 これもあまり重要な話ではないんですがたまたま経験しておもしろかったので書いてみます。


 正田はここ半年、コーラスをやっています。週1回土曜の夜、宗教曲ばかり歌う団で3時間練習。パートはアルトです。


 ところで本当は中学高校時代に経験しているのですがそのことをあまり大きな声では言えません。なぜならその間正しい発声法を全然おぼえなくてまったく声量が出ないままだったからです。

 もともと全身の筋力が弱い胃下垂体質で筋トレをやってもあまり筋力がつかない、トレーニングをやりすぎると免疫を壊して病気する、なんてこともこの半世紀、繰り返してきました。真面目な話、「まっすぐ立つ」とか「まっすぐ歩く」という基本中の基本ができない人なのです。


 今のコーラス団に入ってしばらくして、

「声量を大きくするにはどうしたらいいんですか?」

と、先輩の中でも声量の大きい人に訊いてみました。

先輩は、

「あたしもともと声が大きかったのよ〜、家族からも『うるさい』って言われてて」

と笑い、

「正田さん腹筋つけよう腹筋!スクワットしてください」

と笑い飛ばされたのでした。

 
 スクワット…が発声の腹筋に効くのかどうかは、定かではありません。

 なお中学高校時代もそれぞれ素晴らしい合唱の指導者の先生がいて足上げ腹筋、上体上げ腹筋とさまざまな腹筋はやらされていますが少なくとも私には効果はありませんでした。一方で先天的に声量の大きい人というのはやっぱりいて、未経験者でも入部・入団直後から大きなまっすぐの声が出る人がいます。


 こりゃだめだ、と思った私はネット上で「声量 大きくするには」で検索しまくり、

 いくつかのサイトの情報を総合してわかったことは(正しいかどうかわかりませんヨ。どなたか本格的に詳しい方、ご教示ください)


 声量を大きくするための筋力は腹横筋でインナー・マッスルなので一般的な腹筋では鍛えられない。
 鍛えるにはふだんの発声で声を出す、それと同じ動作をして負荷をかけるしかない。
 具体的には、お腹をひっこめる「ドローイング」も有効ですし、

 サイトによっては、
「おでこにティッシュをはり、ふっと大きく息を吐いてそのティッシュが頭の上までめくれ上がることを50回繰り返す」
 ということを、指南しているところもあります。
 「ふだんの発声で声を出すのと同じ動作をして負荷をかける」
 というのを、イメージしていただけますでしょうか。


 これらを見て得心した気分になった私は日常生活で手の空いたときにそれに類した負荷をかけることをするようになり、

 で今は、半年前と比べると大幅に声量は上がっています。
 中学高校時代のあの努力はなんだったんだ。

 なので今月初めに某先生のインタビューできいた話、「うしろからきいて声量のある子の肩を叩いてうしろに行かせる」というのも、大いに合理的な努力の仕方だろうと思います。


 この話の「オチ」ってなんなんだろう…。いや私もわかりません。

 読まれた方、考えてわかったらメールくださいね。



100年後に誇れる人材育成をしよう。…に、今日の話は関係あるのカナ?
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp
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お世話になっている皆様


 おはようございます。
 企業内コーチ育成協会の正田です。






※このメールは、NPO法人企業内コーチ育成協会のスタッフ及び代表理事・正田が、過去にお名刺を交換させていただいた方・当協会のイベントやセミナーにご来場いただいた方にお送りしています。ご不要の方は、メール末尾にありますURLより解除いただくか、このメールに直接「不要」とご返信ください。



 本日の話題は:




■「日本はスウェーデンを目指すべきか」が現実に?―安倍政権の労働・社会政策とは


■あなたの会社にはありますか「バブル世代問題」



■新人教育その他あらゆるOJTに―
 「人に教えるということ」



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■「日本はスウェーデンを目指すべきか」が現実に?―安倍政権の労働・社会政策とは


 安倍政権が6月にとりまとめする予定の「成長戦略」に関する話題が新聞をこのところ賑わせています。

 先日は、「解雇ルール」成長戦略盛り込みをあきらめ、という記事。経済界から要請の強い解雇に関する規制緩和を、という議論が出ていましたが総選挙を控え刺激の強い話題はやめよう、という結論になったというものです。


 その前には、「育休3年に延長」これは安倍首相自身が成長戦略に盛り込むことを強く希望したといいます。それへの反応は、「復帰が大変」「企業が女性を雇用しなくなる」「(育休は)当然、男性もですよね」と、賛否両論の「否」のほうが強いですが…。


 どうも、アベノミクスの金融・経済面はともかく、労働・社会政策は「スウェーデンモデル」を念頭に置いているのかな?というのがわたしの印象です。


 去年から今年にかけて、『スウェーデン・モデル』『IKEAモデル』というよく似たタイトルの本が相次いで上梓されました。

 スウェーデンに関してはこれまでも多くの出版物がありましたが、前者の本は細切れな政策紹介ではなく、先進的な福祉・労働・社会ほか諸政策を可能にしてきた思考プロセスに焦点を当てた本です。


 いっぽう当協会では2011年に「日本はスウェーデンを目指すべきか?」と銘打った「よのなかカフェ」を2回にわたり開催し、IKEA神戸の女性マネジャーさん方やスウェーデン人女性研究者をお招きして、スウェーデン式・IKEA式「仕事の流儀」や高齢者福祉、男女共同参画、生活観、家族観などをうかがいました。


 その模様はこちらからご覧ください:


「責任と決断の根づく人びとが作る社会 よのなかカフェ「日本はスウェーデンを目指すべきか」開催しました」(2011年5月)
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51733243.html


「議論、透明性、そして信頼―よのなかカフェ「日本はスウェーデンを目指すべきか?福祉編」開催しました」(2011年10月)

http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51766547.html


 日本との対比で目を引いたのは、先進的な意思決定を支える「自立した人格」「自己責任の感覚」そして「政府への信頼」でした。


 こうした外国についての学びは、例えば「スウェーデンと日本では食べ物が違う。人種的に違う」という批判もあります。しかし、歴史的には日本は明治維新や戦後には人種的文化的に違う「アメリカモデル」を必死で模倣してきた経験があるのであり、世界に後れをとったと自覚した時、自分にないものを海外から死に物狂いで取り入れるということを繰り返してきたと思うのです。



 なお次回よのなかカフェは「もしも私が首長だったら〜データで考える兵庫県・神戸市シミュレーション」5月19日(日)、三宮のカフェ「アロアロ」にて。
 詳しくはこちらのページでご覧ください http://c-c-a.jp/cafe/

相生市の「ど根性大根」など地域おこしイベントを手掛け、自治体にも詳しい松本茂樹・関西国際大学准教授がメインファシリテーターを務めます。松本さんは、現在大学の講義でも各地自治体の先進的政策をとりあげているそうです。
 

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■あなたの会社にはありますか「バブル世代問題」



 去る23日に不肖わたくしのブログに掲載した1つの書評記事が、ツイッターやフェイスブックでどんどんリツイート、シェアされ、連日単独記事では異例の100を超えるアクセス数があるということになってしまいました。


 その記事とは

「もう40代バブル世代に未来はあるか?『組織学習と組織内地図』」

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51855064.html 


「うちの会社にもある、ある」という方、「いや〜気がつかないなあ」という方、反応は大きく分かれます。

 わたしの想像では恐らく、ある程度以上の規模の会社でバブル期の大量採用という現象があったところには顕著にみられ、そうでないところにはあまりない、ということではないかと思います。

 時には今でも典型的にこういう症状を呈している組織もあり、そうした場合にはそのための処方箋を書かなければならないのでしょう。


 一方でこうした「世代論」には当然例外もあり、一概にきめつけることはできません。記事中にありますようにその世代に属していても非常に優秀な人も中にはいますので、世代にとらわれない見極めは必要です。


 
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■新人教育その他あらゆるOJTに―
 「人に教えるということ」


 前号のこのメールニュースで新人さんを育てる言葉「わからないことを訊いてくれたね」をご紹介させていただきました。

 今回はその続編。

 大手OA機器販売会社の現役マネジャーである当協会の会員さんが「これさえ守っていれば職場で仕事を『教える』ことはうまくいく」と、コピーして配られたという記事があります。


「人に教えるということ」(2011年8月)

http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51754001.html


 今見ると「当協会で『教える』という仕事をしたい場合には」というテーマについて書いている記事でなんとも不遜な、と思うのですが、
 現役マネジャーの会員さんはこれを、「自分が職場で部下や後輩に仕事を教える場合には」と読み替えて読んでくださったそうです。そういう読み方をすると、普通の職場で人に教える立場のマネジャーさん、中堅社員さんに非常に役立つ内容だったようです。

 世間一般の「成功するカリスマ研修講師」タイプではない正田が、今も決して幅広いご理解を得ているとはいえませんが、自分が教えながら大人の受講生さんがいかに学んでくださるか、インディーズ教育の中で心を砕いてきたひとつの結論が上記の記事でした。



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■NPO法人企業内コーチ育成協会 賛助会員募集のお知らせ


 昨年に引き続き、当協会の「賛助会員」を当メールニュースで募集いたします。

 賛助会員は、正会員と比べるといわば「サポーター」。当協会のメールニュース、ブログの読者の皆様でこれらから得る情報が有益だ、と思われた方は、どうかサポーターになってください。

 年会費は3000円、入会金は不要です。

 お申込みは、このメールへのご返信あるいはinfo@c-c-a.jp までメールで。お名前、ご住所を明記いただければ、当協会より郵便振替用紙をお送りいたします。


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★7月9日、10日に予定する「企業内コーチ育成講座 基礎コースA」。

 このほど(公社)兵庫工業会様、姫路経営者協会様のご後援名義をいただきました。また、早くも地域の心ある企業様よりお申し込みをいただきました。

 当協会方式で「承認」を学習していただいたマネジャーさんのもとでは、業種を問わずマネジメントが安定し、その部門の仕事の遂行能力が高くなります。それは、恐らく従来のこうしたヒューマンスキル系の研修とは比較にならない成果です。

 詳細とお申込みはこちらのページをご覧ください。

 「企業内コーチ育成講座 基礎コースA」

 http://c-c-a.jp/info2/index.php?nw2=0

★前号のメールニュースではこちらの記事も非常に高いアクセスをいただきました。
 見逃された方、この機会にどうぞご覧ください:

 「仕事の交通標識、それぞれの理解―知的障害者施設・いたみ杉の子ゆうゆうさんをご訪問しました」

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853974.html


※このメールは、NPO法人企業内コーチ育成協会のスタッフ及び代表理事・正田が、過去にお名刺を交換させていただいた方・当協会のイベントやセミナーにご来場いただいた方にお送りしています。

今後ご不要の方は、
空メールをご返信いただくか、こちらのページ

http://www.webcordial.com/bn/tk.html

より解除していただければ、
購読リストから外し、次回から送信されないようにいたします。


※このメールは転送歓迎です。
もしこのメールを新たに購読ご希望のかたがいらっしゃいましたら、
info@c-c-a.jp まで、「メールニュース希望と書いて
お申込みください。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

良い連休をお過ごしくださいますよう。



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100年後に誇れる人材育成をしよう。
特定非営利活動法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp
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代表理事 正田 佐与
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ブログ「コーチ・正田の 愛するこの世界」
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愛する日本を、人が元気になる国にしませんか。
「承認大賞2011プロジェクト」
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「企業内コーチ育成のすすめ」
(株)帝国データバンク社『帝国ニュース兵庫県版』
2008年〜2012年 長期連載このほど完結
http://blog.livedoor.jp/officesherpa-column/
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「バブル世代は学ばない」。


 先日、ある勉強会の幕切れで講師の先生からこの言葉が出て、衝撃のあまりそれまで2時間半の学びが「まっしろ」になってしまうという経験をしました。


 この勉強会とは、関根雅泰さん(株式会社ラーンウェル代表取締役。祝・東大修士課程修了)の主宰された「新人教育をアカデミックに語ろう!」(3月27日)。


 正田はしらなかったのですが、2000年の直前、1998年とか1999年ごろ「日経ビジネス」などビジネス誌でも盛んにその手の特集(「バブル世代はバカだ」)が組まれていたらしい。正田この人材育成業界に入ったのは2001年なので迂闊にも知りませんでした。

(でも実感とは非常に合致してましたね。「歩留まり悪かったのはあいつらのせいか!」と正田はパスタ食べながらシャウトしてしまいましたからね)


 というわけで関根さんにご教示いただいたこの分野のスタンダードな研究書が『組織学習と組織内地図』(安藤史江、南山大学学術叢書、白桃書房、2001年)。


 本書では第5章「組織内地図を用いたバブル世代の分析」で、バブル世代がいかに「学ばない」世代で組織のお荷物であるか、なぜそうなったかの背景としめくくりにはある企業でのバブル世代リストラ策の顛末が紹介されます。

 救いがないよバブル世代。
 なお本書で言うバブル世代とは1990年から1992年入社組のことです。88年入社の正田はそのいっこ前の世代ということになります。(実際は状況はそんなに変わらなかったと思います、ハイ)
 
 
 本書によればバブル世代は「学習活発度」が低く「組織内地図形成度」が極端に低い。(組織内地図の概念については後述)それを示すグラフでバブル世代のところが見事に他の上下の世代と比べてV字カーブを描いて落ち込んでいます。

 なお一般に組織内地図形成度は職位によってもことなり、部長クラスを左、課長、係長、一般社員をその右に順に配置したグラフでは形成度は右肩下がりとなります。職位が高いほうが地図形成度は高い。いいかえれば「会社のために自分は何ができるか」を考えてる度合いが高い。これは正田がやってる統計調査でも、職位が高いほうが一般にモチベーションやコミットメントは高いです。


 でここから情報通信会社「A社」におけるバブル世代問題。

 「A社において、バブル世代がリストラ対象の中心となってしまった主な理由は、やはりバブル世代の示していた学習水準の低さにあった」。

 たとえば、A社では1カ月に書きあげる標準的なプログラム量は3〜5本、1年では50〜100本とされていたが、バブル世代の社員の中には、1年間でたった5本しか書けない者がざらにいるという状態だった。もちろん中には非常に優秀な者もいたが、一方で惨憺たる結果を示すのはもっぱらバブル世代だった。

 もう少し詳しくみてみると、バブル世代の社員たちは仕事に対する認識が甘い傾向があったといわれている。大量採用時代、学生にとってみれば売り手市場だったので、仕事に対する自覚や明確な意識が欠如していても入社できた。そのように入社当初から甘かったので、業務遂行に必要な知識や技能を得ようと自主的な努力をしないできた。

 このほか、
・決まった仕事はできても、未経験あるいは予想もしていなかった問題に直面した途端、全く対応不能になる。
・業務の進捗状況や結果についての報告を確実に行うといった仕事の基本中の基本すらできない者がいる
・「習っていないからできません」という発言をする
など、バブル世代への評価はもうケチョンケチョンであります。今のゆとり社員よりもっとひどいかも。

 というわけで、A社ではこの世代を対象にリストラが断行され、仕事の基本ができない者や「習っていないからできません」の人は一掃されました。
 残った人たちは会社と自分との関係を見直し、頑張っていくことを選択したと思われますが、それでもまだバブル世代特有の問題が残っている。最も不足している点として挙げられるのは、自分に必要な知識が何かを判断し、それを経験豊富な他者から「盗み取っていく」という積極的な学習姿勢でした。教えてもらうまで待っている「待ち」の姿勢や習っていないことに手を出さない「守り」の姿勢。既存のやり方に問題意識をもって仕事に取り組むことが少ないバブル世代。

 ここでA社の「トップのリーダーシップ」が登場します。リストラはトップ自身の旗振りによって行われました。トップはバブル期の大量採用や育成システムの崩壊の後遺症をよく理解しており、リストラの断行にあたって「全員が幸せになるためのリストラ」、あるいは「辞めてもらうにもそれなりのコストをかけなければならない」というモットーを掲げました。
「全員が幸せになるためのリストラ」とは、現在の仕事に向いていない社員は、より適性のある仕事に早めに切り替えたほうが幸せ、という意味があります。同時に、たとえ現在はうまくいっていなくても、この機会に今後頑張ることを社員が改めて決意できれば、それもまた幸せとう意味も含まれています。

「全員が幸せになるためのリストラ」を実現するために、A社では全社員を対象に技術力やプログラム作成能力のテストを実施し、その結果と各々の過去の実績をフィードバックした。組織における自分の順位・評価が客観的になれば、自分の適性が明らかになったり、自分の選択すべき方向が明確になるはずだと考えたのである。…結果として、自分の適性に限界を感じた多くの者は、組織に残って全力を尽くすことになった。A社の育成の仕組みが比較的早く、円滑に回復できた背景には、トップによるこうした信念・配慮が一役買っていたのである。(p.150)
  


 ふー、リストラしかないのかバブル世代。本書出版時には入社9〜11年目であったバブル世代は2013年の今年、同21〜23年目になっています。ストレートで四大卒なら43〜45歳、高卒なら39〜41歳であります。それなりに家庭をもったりもされてるでしょう。

 なんとかこの方々の自主的な奮起に期待したいものです。貴重なご教示をいただいた関根さんに感謝。


※※
 加えて、研修講師の目からいいますと、この「学ばない世代」に合わせてコーチング研修を含めたミドル向けにただ面白いだけ、笑えるだけの研修プログラムなど組んでも意味がない。組織にとって毒にも薬にもならない研修費と時間のムダづかいです。ある時期そういう研修が席巻しましたが。普通に学習能力のある人だったら、ちゃんと教えてあげればちゃんと学びます。正田はそれをインディーズでやってきました。



※組織内地図とは

|韻冒反テ發貿然と存在する組織価値や組織特性としての組織文化と
∩反ゥ瓮鵐弌爾砲茲辰討い辰燭麭鰉陲気譟各自が利用しやすいように加工された組織文化、つまり各組織メンバーの主体性が深くからむ組織文化。
組織の共有価値や組織特性を咀嚼し、利用可能な形に加工し直せるかどうかは、組織文化の中身よりは、物事の受け止め方といった各組織メンバーの主体性に大きく依存していると考えられる。
個々人で加工の仕方や程度が異なるため、組織文化と組織内地図とは連動するものでない、むしろ別物である。

本書では、高次学習にとって重要なのは,茲蠅皚△陵彖任世塙佑┐襦

「企業にとって必要なのは、組織の中で自分なりの地図が描ける人」
「組織と自分との関係を把握できるような地図をもつことが大切」

組織内地図とは、こうした企業の人々の言葉から生み出された表現である。

地図をもつという表現は、単に組織に共通したものの見方、解釈ができる状態を表しているわけではない。組織目標実現のために、それぞれの従業員がそれぞれの立場から、自分が果たすべき役割を認識できるようになることを意味しているのである。それに加えて、具体的にどう行動すればよいかを、自主的に推測できるようになることも指している。
(pp.90-92)

そして、組織内地図とビジネス・レベルの高次学習には、かなり強い正の相関がある。(第4章)



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp


追記:正田は色々と本とかセミナーでも学びますが、「だれに教えてもらった」「どの本から学んだ」ということをなるべく付記するようにしています。それはよくある「自分は所詮先人の教えの器である」というのでもあるし、感謝の意もこめているし、またあとからそれが正しいかどうか検証可能にしておく、という意味あいもあります。偉大な思想家で自分の知識の出所を明示しない人もいますが私は偉大でも思想家でもないので明示する派です。でないとちゃんと議論できないじゃないですか。
(あっ、事の性質によってはちゃんと「情報源の秘匿」もしますから大丈夫ですよ)


 先日ある人に「正田さんの本はすとんと『落ちた』」と言っていただいてから時々このことを考えます。

 ふっとまた手が空いて考えたのでせっかく考えたから書いておこう。しょもない話なんだけれど。


 いえ、これが初めてというわけではなく以前からある現象なんですよ。「初めてコーチングがよくわかった」とか「納得できた」とか言っていただくのは。



 小著『認めるミドルが会社を変える』は、結論としては「承認」というシンプルなことを言っているのですが、今どきのハウツー的なビジネス書によくある、章末に結論を大きく書いてあったり問題集、参考書のような体裁で書いてあったり、はしてません。

 お読みになったかたはご存知だと思うけれどもう、本当に工夫のない、縦書きでベタ打ちに近い、ごくまれに図表を挟んだ、という体裁です。はい。もともとベストセラー狙いじゃなく、手から手へプレゼントして読んでもらう限りなく自費出版に近い本です。ほっといてください。


 たしか編集部の人が一度「内容的に横書きにして学術書みたいな体裁にしましょうか」と言われたんだけどそれは正田が首をタテにふらなかった、とかじゃないかなあ。それ以上、体裁に凝ろう、という案は出ませんでした。


 「先日のある人」がたまたま、経済小説も読まれる、ということを言われたのでぱっとひらめいたのが、

 「小説脳」とか「文学脳」というのがあるんじゃないだろうか、ということです。

 決して空想的なご性格だとかそういう意味じゃなくて。


 つまり、どんな実際的な性格の人でも、文学―それは純文学に限らず、経済小説でも歴史小説でも―を読むとき、使う特有の脳の中の回路というのがあるんではないだろうか。そして、正田がやってるようなヒューマンスキル的なものを受容するときの脳の状態というのは、その文学を読んでいるときの脳の働かせ方と近いんじゃないだろうか。

 だから、「文学」とできるだけ似たような体裁で、レイアウトとかフォントで、書くのがいいんじゃないだろうか。参考書のような、カチャカチャ知識を脳にとりこむことを意図した体裁ではなく。もっともあまり商業主義的じゃないですけど。売れなさそうな本ですけど。


 はーどこまで分析ずきなんでしょうか正田は。


 すっごくどうでもいいお話の記事でした…。

 文学全然読まない層の人にはどうしたらいいんでしょうね。




100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
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 人の強み理解のスタンダード、ギャラップ社の「ストレングス・ファインダー」のシリーズ最新刊が先月出ていました。


 『ストレングスリーダーシップ〜さあ、リーダーの才能に目覚めよう』(トム・ラス&バリー・コンチー、日本経済新聞出版社、2013年3月)。


 ギャラップ社のこのシリーズは、2001年に『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』(マーカス・バッキンガム、ドナルド・O・クリフトン、同)が出て以来10年以上のロングセラー。アメリカ最大の調査会社ギャラップが人の34の「強み(ストレングス)」を抽出したもの。

 人材育成の性格分析でこうしたアセスメント、ツールは多数ありますが正田が自腹でいくつか受けた中ではこれが(1680円〜と安価なわりに)一番優秀でした。さすがに調査のプロ・ギャラップ、受検していて自己評価バイアスが入らないよううまく考えてあります。それでも何度か受検するとパターンがわかってくるきらいはあるのですが…、
 あと正田の予感ですが今どきの(?)遺伝子解析や脳画像診断とも、このツールは相性がいい。人の生得的能力のバリエーションと環境との相互作用で獲得する後天的能力のバリエーションを上手く押さえている気がします。例えば「能力A」と「能力B」はそれぞれ独立の因子だから両方備えていることはあり得る、みたいなこと。


 今回はそれのリーダーシップ版ということで、それぞれの強みをもつリーダーがチームをどう率いるべきか、を説いています。

 ここで特筆すべきは、「フォロワーの4つの基本欲求」を明らかにしたうえで(これも膨大なサンプル数からの抽出。欲求の内容は本書をお読みください)、リーダーはこの基本欲求を満たす必要があることを前提とし、それぞれの強みをもったリーダーが具体的にどう満たすか、を述べていること。

 ようするに、わたしの言葉でいうなら、リーダーがどんな強みの持ち主であれ、「フォロワーの基本欲求」からの制約を受けること、自分の強みの命じる通りにのびのび自由に振る舞ってよいわけではないこと、を言っているという点で、従来の「強み本」の弱点であった過剰にポジティブな説明より地に足のついた説明となっています。


 ・・・困りますよね。リーダーが「オレの強みはこうだからこう振る舞っていいんだ!」と居直ってしまったら。


 本書は1800円と従来本よりやや高いですがちゃんとアクセスコード付きで、そのアクセスコードは巻末にシールの形でついており、これも従来本で表紙カバーの裏に印刷してあったところ本屋の店頭で盗撮され使われていた、などということのないよう配慮されています。


 リーダーとして「強み」に親しんでみたい、という方はこちらの本がお勧めかもしれません。

(「学校の先生」にも良いかと思いますがこのブログを読まれるレベルの学校の先生だと、今更かも?)


 あと正田も10年以上このツールには親しみ、ここ数年は師匠について「裏ストレングス・ファインダー情報」みたいなものも仕入れているのでもしご興味のある方はお声がけください。



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp


 
余談:個人的に正田はどうなのか、というと2001年に初めて受検して以来「親密性」「個別化」がずっと上位で安定しています。4つの資質群でいうと「人間関係資質」で仕事している人間らしいです。「競争性(勝ち負け)」は極端に低いです。これはギャラップ社が最近34の強み全部の順位がわかる商品を出してくれたのでわかりました。また「ぶつかりまくる人生」はどうやら「調和性」が低いところに起因するようです。はい、文句たれだと思います。思考系の資質は数年単位でめまぐるしく入れ替わり、どれもそこそこ持っていて必要に応じて入れ替えているようです。

 NPO法人企業内コーチ育成協会の会員様より嬉しいメールをいただきました。

 今回は事情によりお名前を伏せたうえで(会員さん同士はたぶんおわかりになると思います)ご許可をいただいて転載させていただきます:



正田様

総会の件、参加できる方向で調整中です。
出勤になりそうですが、「研修参加」ということで何とか抜け出せないか、画策中です。
また、名簿の相互公開は了解いたしました。公開していただいて構いません。


会員であることが、実際に承認に取り組むモチベーションの一因になっていると思います。
自覚というか、名に恥じないようにという気持ちは強いです。

城ヶ崎先生の記事、拝読させていただきました。
すごい人がいるなぁーと感銘を受けました。「型が大事」、「ウンウン」と深く頷いていました。
「知る、分かる」と「できる」には大きな隔たりがあって、介護の仕事、対人援助の仕事は援助場面で実際にできないと
利用者の支援にはつながらない。理論や技術を知ってるだけじゃ意味がない、共通するなぁと。
また、できるようになったからといって、そこに甘んじていてもだめで、磨き続けるというか、メンテナンスするというか、
意識して取り組み続けないと、本物にはならないんだろうなと。
(クラスがみるみる落ち着く教師のすごい指導法、読んでみます)

障害者施設いたみ杉の子ゆうゆうさんを訪問しての記事も拝読させていただきました。
承認の介護福祉バージョン、嬉しいですね。使ってくれているのも嬉しいですが、それ以上に、同じ福祉業界で、
同じ意識を持って頑張ろうとされている人がいることが嬉しかったです。お出会いしてもいないのに、仲間というか、
同志というか、勝手にそんな気分です。
記事の中にあった、「みんなが一様なんてことは絶対ないのです。」
この言葉がとても好きです。

いつも学びの機会を与えていただいています。ありがとうございます。




ありがとうございます。私も会員様の志に恥じないよう頑張ります。

※なおこちらのメールの公開は決して他の会員様に「総会出席」へのプレッシャーを与えようという意図のものではありませんのでご理解いただければ幸いです。単に嬉しかっただけです。
チヤホヤすることがいいわけではないけれど、良いものを「良い」と思ったこと、それを表出すること、当たり前のようだけどおろそかになりがちです。ともすればけなす言葉ばかりがまかり通ってしまいます。



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

お世話になっている皆様


 おはようございます。
 企業内コーチ育成協会の正田です。


土曜朝の関西の地震では、皆様に被害はありませんでしたか。

 奇しくも「あの時間帯」でしたので、18年前が鮮明に蘇った、余震の恐怖に怯えた、という方も多かったようですね。



※このメールは、NPO法人企業内コーチ育成協会のスタッフ及び代表理事・正田が、過去にお名刺を交換させていただいた方・当協会のイベントやセミナーにご来場いただいた方にお送りしています。ご不要の方は、メール末尾にありますURLより解除いただくか、このメールに直接「不要」とご返信ください。



 本日の話題は:




■時間認識のずれ、受け取りやすい信号―障害者施設いたみ杉の子ゆうゆうさんを訪問して


■よのなかカフェ 初めて「政治」を話題に(5/19)
 「もしも私が首長だったら〜データで考える兵庫県・神戸市シミュレーション〜」募集開始しました


■春には最強の承認の言葉
  「わからないことを訊いてくれたね」―中央会「O!」誌上コーチングセミナー



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■時間認識のずれ、受け取りやすい信号―障害者施設いたみ杉の子ゆうゆうさんを訪問して


 2月に兵庫県社協・青年協様で研修させていただいたときの受講生さんの施設、「社会福祉法人いたみ杉の子 通所施設ゆうゆう」さんを先週、ご訪問させていただきました。


「仕事の交通標識、それぞれの理解―知的障害者施設・いたみ杉の子ゆうゆうさんをご訪問しました

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853974.html

 「障害者」という話題に「自分には関係ない!関心ない!」という方も、このメールニュースの読者の方には多いかもしれません。

 実は正田もこうした施設をご訪問するのは初めてだったのですが、どうしてこの仕事を一生の仕事にする予定がなくても、非常に学びがありました。


 例えば表題にある時間認識のずれ。

 人によって「時間」を上から下にタテに認識する人、左から右へヨコに認識する人、また手前から奥へと奥行きをもって認識する人…がいます。「手前から奥へ」の認識タイプの人だと、健常者でも時間管理が下手で、今目の前にある仕事から行き当たりばったりにやってしまい重要なことがおろそかになりがち、また全ての仕事に要する時間の予測がなかなか立たず残業ということになりやすい、と時間管理上の問題が起きがちです。

 「ゆうゆう」さんではこうした人達それぞれの時間認識に合わせた交通標識のようなものを作って1人ひとりが作業しやすいようにしています。


 また「受け取りやすい信号」。文字情報が得意な人、絵が得意な人、カラーブロックが得意な人。こうした得意なメディアの違いは、例えばフェイスブックでの表現方法からも見てとることができますね。
(正田は「文字情報」に偏ってしまうほうです。でもそれがスタンダードだと考えてはならない、ということです)


 そしてレポートの中にはありませんが、9時―5時で生産活動の作業を続けられる人とそうでない人がいます。

 クッキーや箱など「ものづくり」をしていて1日中飽きず、つくったものがお客様のもとで使われていることを知ることに喜び、やりがいを感じる人がいる一方で、途中に創作活動、表現活動などを挟まないと脳が活性化しない、というタイプの人がいます。通常の社会では「さぼっている」「甘えている」とみなされて終わりのところですが、障害者施設ではそれを「個性の違い」と受け止め、その人に合った「作業」と「表現」の時間配分をしています。


 みればみるほど、わたしたちがふだん生きている健常者の生産活動の社会にも存在する個性のバリエーションを拡大してみせられているようなおもいになるのです。


 そうすると、そうした「違い」に「優劣」とか「努力の有無」のレッテルを貼るのは間違っているのかもしれなくて…。


 人の遺伝的な違いということに関して、今年に入って「遺伝子だから」「DNAだから」という言い方を身の回りでもよく耳にするようになりました。

 正田は昨年初めごろから「日本人の遺伝子的特性」なんてことを言いだしていますが…、

(ちなみに「遺伝子」に言及するとき、当協会ではSNPedia[スニペディア]
http://www.snpedia.com/index.php/SNPedia という、世界中の遺伝子研究者が参照する権威ある学術情報サイトからの情報を主に使わせていただいています。仮説ではなく、厳密な統計手法により相関が検証されているものです。)


 それについて、こちらの記事でご紹介した考え方を再度ご紹介したいなと思います。

「すべての行動に遺伝の影響 では教育は何ができる?―『遺伝子の不都合な真実』」(2012年8月)

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51822753.html

 遺伝の影響を強調するのは、決して後天的な努力をないがしろにするという意味ではありません。先週のこのメールニュースでご紹介したように「教育」「訓練」の力にも大いに期待するわたくしではありますが、一方で教育や躾でどうにもならない部分があることに良い意味で「あきらめ」を持ったほうがよいとか、ご本人が先天的な才能のない部分についてどうしても矯正したり向上させなければならない要請がある場合には、やる気を失わせないように丁寧に配慮し出来るよう緻密に設計した教育プログラムで行ったほうがよいとか、そうした認識をもちたい、と思うのであります。


 またここ数年教育関係者の間、さらに安倍政権の中でも「家庭教育が大事だ」という声が頻繁にきかれることに関しても、例えば子どもの問題行動に発達障害が関与していたり、そもそも親も発達障害だったり、といったケースを念頭に置いたほうがよいと正田は思います。躾のせいにしていては解決しない問題はかなりあるのです。問題解決の糸口を間違えてはいけません。


 …だいぶ、「ゆうゆう」さんのご訪問記からはなれたところにこの記事が行ってしまいました。


 こうした考察のインスピレーションを与えてくれる「ゆうゆう」さんの記事はこちらでございます


「仕事の交通標識、それぞれの理解―知的障害者施設・いたみ杉の子ゆうゆうさんをご訪問しました」

  http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853974.html


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■よのなかカフェ 初めて「政治」を話題に
 「もしも私が首長だったら〜データで考える兵庫県・神戸市シミュレーション〜」募集開始しました


「考える社会人」育成をめざして三宮・姫路で計37回にわたり開催してきた「よのなかカフェ」。

 今回は、首長選を控え初めて「政治」を題材にとりあげます。


 欧米ではごく普通の、選挙前に市民がデータを基に思考実験するこころみは、わが国では不思議と行われていません。

 本来は、「○○候補がどう言ったから」(そして、○○候補はイケメンだから)で左右されるのではなく、自分の頭にまず答えをもっておいてから「○○候補」とすりあわせたいもの。

 なおどうでもいいことですが最近正田の凝っている「ヒューリスティック」(バイアスとか判断ミス)研究の分野では、選挙の候補者の「あごががっしりしている」ほうが有能にみえ、得票しやすいそうであります。これも決して特定候補者にくみしたり誹謗しているわけではありません。
 ご興味のある方はこちらをご覧ください
 
 「単純な統計が専門家の予測を凌駕する―判断を歪めるものとの闘い(3)『ファスト&スロー(上)』

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51849252.html

 それはともあれ、今回では兵庫県・神戸市の予算資料(ホームページからダウンロード可)や政策について説明した資料(兵庫県発行の「ひょうごEYE」など)からご一緒に考えてみたいと思います。といってもデータだけではなく、昨年秋の「神戸」を題材にしたよのなかカフェがそうだったように、庶民感覚で「兵庫・神戸こういうところがアカン」みたいなご発言も大歓迎です。

(「神戸は住みやすいのか住みにくいのか?よのなかカフェ「外から見た神戸と内から見た神戸」開催しました」
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51833038.html

 毎回、こうした開催報告を掲載するたびに「えっ、そんなに面白かったの?!」と驚かれるよのなかカフェ。絶対今回も面白いはず。

 不偏不党の当協会だからこそ、今回のテーマも開催させていただけると信じています。「政治」を意味もなくタブーにしてはいけません。それはポピュリズム政治のもと。


 5月19日(日)15:00〜18:00、三宮のカフェ「アロアロ」にて。参加費社会人2000円、学生1000円。沢山の方のご来場をお待ちしています。

 詳細とお申し込みはこちらから。このメールへのご返信でも結構です。

 http://c-c-a.jp/cafe/index.html


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■春には最強の承認の言葉
  「わからないことを訊いてくれたね」―中央会「O!」誌上コーチングセミナー


 兵庫県中小企業団体中央会の機関誌「O!」で昨年から連載させていただいている「誌上コーチングセミナー」。

 従業員30人未満の中小企業ではなんと新入社員の2人に1人が3年以内に辞めているそうです。辞めた子はその後どうなってしまうのでしょうか…。


 当協会一押しの承認の言葉「わからないことを訊いてくれたね」でこの春、やってみてください!


 「ワンピース世代」が戦力になるとき―誌上コーチングセミナー

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51854024.html

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★先週号でお伝えした「城ヶ崎滋雄先生」の記事。
 多くの方から驚きと賛辞のご感想をきかせていただきました。

 沢山の記事の中でもとりわけ、最終章のこちらの記事がビジネスパーソンの皆様の目を引いたようです:

 (13)「なんで」の訓練が子どもになぜ大事か(最終章)
   http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853467.html

 先週もし見逃された方、こちらだけでもどうぞご覧ください。



※このメールは、NPO法人企業内コーチ育成協会のスタッフ及び代表理事・正田が、過去にお名刺を交換させていただいた方・当協会のイベントやセミナーにご来場いただいた方にお送りしています。

今後ご不要の方は、
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購読リストから外し、次回から送信されないようにいたします。


※このメールは転送歓迎です。
もしこのメールを新たに購読ご希望のかたがいらっしゃいましたら、
info@c-c-a.jp まで、「メールニュース希望と書いて
お申込みください。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

あなたにとって素晴らしい1週間でありますよう。



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「企業内コーチ育成のすすめ」
(株)帝国データバンク社『帝国ニュース兵庫県版』
2008年〜2012年 長期連載このほど完結
http://blog.livedoor.jp/officesherpa-column/
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*



 兵庫県中小企業団体中央会の会報、月刊「O!」に連載中の「誌上コーチングセミナー」第6回。


  同誌編集部のご厚意により、転載させていただきます。

****

 気付かないうちに「人」の問題が起きて、成長の足かせになっている…そんな現象があなたの会社にもありませんか?「人」の問題によく効くクスリ、「コミュニケーション」「リーダーシップ」の観点から解決法をお伝えします。



「わからないことを訊いてくれたね。」

 これは、2011年に「承認大賞・上司部門」に輝いた、職場のある先輩から後輩への言葉です。

 (補注 「承認大賞2011プロジェクト」の全受賞例はこちらをご参照ください
   http://www.shounintaishou.jp/) 


 読者の皆様の職場にも、初々しい仕事ぶりの「新人さん」が入ってきたでしょうか。

 ところで、「不吉なことを言うな」とお叱りを受けそうなことを言いますと、学卒新入社員の離職率は、中小・零細企業へ行くほど高いのです。平成21年度入社の人の3年後離職率は、従業員30〜99人の規模の事業所で37.9%、同5〜29人の事業所で49.8%。5人未満の事業所ではなんと59,8%に上っています(厚労省「新規大学卒業者の事業所規模別卒業3年後の離職率の推移」)30人以内の中小企業ではせっかく採用した人の2人に1人は3年以内に辞めてしまうことになります。

 せっかく手間暇をかけて採用し、仕事を教えてきた人が戦力になる前に去ってしまったら…、大変な「見えないコスト」になりますね。

 さあ、今年入社した新人さんに定着してもらうにはどうしたらいいのでしょうか。

 ここで、「決まっているだろう!今時の若者には根性が無さすぎるんだ」と言っているあなた。実は、新人の早期離職について、「根性」以外の要因が大きいことがわかってきました。

 1つには、現在の職場が忙しすぎ、1人の人がカバーする範囲が広すぎ、また内容が高度すぎる。例えば営業では、単純にモノを売って買ってもらえればいい、あるいは同じ商品やサービスのルート営業だけしていればいい、という業種は減りました。お客様の仕事の中身を知り、じっくりお悩みをきいた上でお客様の期待を超えるような「提案営業」をしなければなりません。1年生ですぐに売り上げを上げられる世界ではなくなったのです。

 また、単純なものづくりだけしていればいいという仕事も少なくなり、高いレベルのコミュニケーション能力に基づくチーム作業が求められています。

 仕事自体が高度になっている一方、上司・先輩はそれに応じた育成スキルを持っているとはいいがたく、仕事の高度さと新人さんの「現在」をつなぐ役割を果たしているとはいえません。これが新人さんを孤立させてしまいます。

 ここは、思い切って「上司・先輩は、教え方を含めた『コーチング』を!」と、声を大にして言いたいところです。
とりわけ当コラムでいつもご紹介している「承認(=認める、ほめる)」。相手の状態をよく見、現在の相手のステージを「認め」、小さな成長を「認め」、「励まし」、雑用であっても、仕事の意味・目的を「説明し」、それを丁寧にやりとげることが全体に与える効果を「伝える」。こうして新人さんの「全体に役立っている」という「自己効力感」を高めてやることができます。

 また、職場で仕事の指導役になった人(上司、先輩、メンター)は、1日1回は新人さんと会話をし、その人の進捗を「聴いて」やりましょう。指導役を1人だけに任せるのではなく、上司が第一責任者とすればそれ以外の先輩も少しずつ声掛け、ちょっとした説明、フィードバック(褒めと注意)などで新人さんと関わることも大事です。

 冒頭の「わからないことを訊いてくれたね」とは?―これは、職場の先輩が新人さんに「わからないことは遠慮せずどんどん訊こうね」と言っていたところ、数日後本当に仕事のことで質問してきたので、その質問した行為を「承認」した言葉です。新人さんは心強く思ったのかその後もどんどん質問してきてくれ、1年後には非常に高度な仕事のできる優秀な職員さんになったそうです。

 今の若い人を「ワンピース世代」と呼び、組織に束縛されず自由を重んじ仲間を大事にする特有の価値観をもっている、との見方もあります。しかし、こうして上司・先輩の働きかけが功を奏するところをみると、決してそれは越えられない価値観の段差ではないのです。(了)


(兵庫県中小企業団体中央会「O!」2013年4月号 所載)



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 11日、兵庫県伊丹市にある県内でも先進的な知的障害者作業所、社会福祉法人いたみ杉の子ゆうゆうさんにお邪魔しました。

 対応してくださった村山俊宇所長(39)と山本晴美主任(40)。

ゆうゆう1


 去る2月、兵庫県社協・青年協主催のセミナーに村山さん、山本さんが来場され、お2人とも素晴らしい宿題を提出されました。そこへ私が「発達障害について勉強したいので施設見学させてください」とお願いしたもの。


 通所施設ゆうゆうさんは、利用者約60名、スタッフ29名。訓練や創作よりは作業に重点を置き、クッキーやハーブ石鹸、紙箱の組立、段ボール作業を施設内で班に分かれて行ったり、企業に出向して草取りなどの作業をしています。障害の内容はダウン症、自閉症、単純遅滞など。


 
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 クッキー班(利用者9名、スタッフ2名)のスケジュール表。今日は午前中に「計量」「丸め」の作業があり、午後は焼くことになっています。半日に1ペアで生地3kgを「丸め」、クッキー30個分程度を焼くことができます。


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 完成品のクッキー。紅茶クッキー、チョコチップクッキー、クルミクッキー、ココアアーモンドクッキー、コーンロッシュ、シナモンロッシュとありました。正田はこの写真のあと早速いただいてしまいました。シナモンロッシュは信じられないくらいさくさく軽くお口の中でとけます。あっという間にひと袋が空に(こら)


 次は、作業だけでなく創作活動を組み入れた班のお部屋にきました。


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 紙に色を塗っている女性。施設の掲示板に壁板のように貼るためのものだそうです。手前の男性は鋏を使うのが上手なので、紙コップを細く切っています


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 お掃除上手な利用者さん。特別製の柄の短い箒で床を掃いています。「ここを掃くんですよ」と目印に床に紙くずをまいておき、それを掃いてちりとりに集めゴミ箱に入れます


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 こちらの班では近所の洋菓子店の紙箱を組み立てていました。組立は両手をバランス良く使える必要がありやや難度の高い作業です。



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 ゆうゆうさん製のハーブ石鹸。ローズマリー、竹炭、ラベンダー、豆乳、ミント、ローズ、カモミールの6種類があります。どれもケーキのように綺麗。

 村山さんによると、昔ハーブを栽培していたので酒やハーブティー等色々加工を試した結果、商業ベースに乗るのはハーブ石鹸だとわかった。販路は物産業界、ばら公園、東急ハンズ(過去)など。

「販路開拓は私たちスタッフの課題です。どう利用者さんの仕事を増やしてあげられるか」と村山さん。


 知的・発達障害の方々はある部分ではすごく高い能力を持っているが、例えば手先が器用だが、「何を、どこで、やる」と考えるとか、段取りよく計画的に物事をすすめるのが苦手な人が多い。

 そのため工程、道順、を交通標識のような形で「次何やるのか」を明確につくってあげるとうまく進められる。
 こういう手法をTEACCH(ティーチ)といい、ゆうゆうさんは約10年前、兵庫県内ではいち早く取り入れて、自立度を高められるなどの成果を上げているそうです。


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 自閉症の利用者さん。石鹸を画面奥の器具を使って成形するのがとても上手。面取りまで綺麗にやって、あのケーキのような形になるそうです。

 この人が毎日のスケジュール管理に使っている道具が、これ↓↓↓

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 この人は文字を比較的認識するので文字でスケジュールを表示していますが、その人によって受け取りやすいものが違うので、ある人には絵、別な人にはカラーブロック、と表示を工夫します。


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(すみませんこの写真は本来は「たてなが」です。この画面では右側が本来上です。なんでかなー)

 ある女性は、ドラえもんのシールを壁からはがして、踏み台を3段上った先の壁の上のほうに貼るということを作業の合間にします。これは体をほぐすためのちょっとした体操を義務づけるためのもの。



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 利用者さんの中には、「先の予定のことばかり考えて不安になる」タイプの人もいる。この人に「今やる作業」だけを考えてもらうために使っているのが、1枚ものの写真。(この写真も左90度回転させてみてください)

 
 みればみるほど、障害者の方ばかりではない健常者の中にもある時間認識のずれとか、受け取りやすい信号の違いなどにも思いを馳せました。
 そう、みんなが一様なんてことは絶対ないのです。ほんとは健常者にもこれくらいそれぞれの違いに気を配ったほうがいいのです。なんか普通のマネジメントの中にも活かせそうだなー。マネジャーの対応能力を上げることが必須だけど、それはちゃんと鍛えれば上がります。


 各班の部屋にはパーティション(衝立)が沢山あり、これは真っ平な大部屋でぽつんと仕事をすると不安に感じてしまうとか、集中力が長く続かずいろんなものに興味をもってしまうため、衝立で集中しやすい環境を作るとかの意味合いがあります。



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 廊下の足型マーク。これは緑の足型から赤の足型までをお掃除して掃くんだよ、というサインのようです。


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 利用者さんの字


 そして紙工班では、段ボールの組立や、段ボールを切れ目のところから外す作業をしています。


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 段ボールを型から外す作業は比較的障害の程度の重い人にもできるので、施設にとって助かるそう。

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 この人は、デジタルタイマーを読めるのでタイマーを掲示しています。


 急に紙工班の中で大声。気分が急に盛り上がったりまた静かになったり。


 このほか伊丹空港近くに家具工場があり、そこへ利用者6名スタッフ2名が出向してねじをしめたり金具をとりつけたり、といった作業を行います。それらの家具はニトリさんなど身近なところへ納入されます。

 住友電工株式会社の特例子会社、住電フレンズでは社員として草取り、清掃作業など。「卒業できる方、外へ出られる方(利用者さん)は出たらいい。うち(ゆうゆう)は1つの場だよ、出てもいいしずっといてもいいよ、というスタンスです」と村山さん。

 「もっともっとメニューを増やすのは僕らの責任です。人目に触れるところで皆さん活動してほしい。施設の中にいると閉鎖的になる。利用者さんはやれる力もやりたい気持ちもある。それを社会、地域にアピールしたい」。


 作業のほか法人挙げて夏祭り、運動会や、養護学校と連携したフェスティバルにも力を入れます。そうしたとき地域の団地、自治会の方などと一緒にものごとを進めることを村山さんはとても大事にしているそうです。



「障害者の仕事を10数年やっていますがまだわからないことだらけです。下手に経験を踏んでしまっているから、こんな一面があったのかとか、はっと気づくときがある。『オレこういうとこみてへんかったなー』とか。
 それは山本(主任)とか利用者のお母さん方から指摘されて気づくことがある。」


「正田さんの研修で学んだ『承認』、相手の気持ち、考え方、やっていることを認めてあげて理解してあげて時には補足してあげて助けてあげて、ということ。
 やってみると、声かけ1つで変わるんですね。
 ぼくも悪いことに目が行きがちだったけど、頑張ってきたこと、考えてきたことを認めてあげると、相手が自然とその延長の行動をとる。こちらから『しろ』『して』という必要がなくなる。
 研修50日後の今は、若手が相談してきてくれるようになりました。以前はそんなのなかった。中には、職場で気づいたことを色々と意見として言ってきてくれるようになった子もいます。相談しあう、共有しあう関係づくりができつつあります」

9396


 村山さんは、iPadのカバーの中に縮小コピーした「例の表」を入れてらっしゃいました。当協会の「介護福祉バージョン」をそのまま手を入れずに使っているそうですよ林さん。こういうの見せていただくと幸せになっちゃうな、正田。


 この人間力の高い人たち。知的エリートという言葉があるが福祉の世界でよくみかけるのは「EQエリート」とでも呼べるような人たち。正田は2月のある日の午後に社協さんで半日研修をさせていただき、そのあと懇親会にも村山さん山本さんをはじめ多数の人が出席されましたが、研修をはなれてお話ししてみて皆さんのそのコミュ力理解力共感力…の高さに驚き、
「こんな凄い人たちに私はおこがましくも研修をしていたのか」
と思ったのでした。
 しかし村山さんと山本さんは、「いや、あの研修は良かった」ときっぱり言われるのでした。
 山本さんは主任の立場からスタッフたちを実験台に「承認」をし、相手が延長上の行動を自分からとってくれるので面白くどんどんやっている、ということでした。一方村山さんの実験台は山本さんですが、そのときは山本さんはちと「構えて」しまう、とのことでした。

 このお2人を含めスタッフのうち7名がフルマラソンにエントリーしていました。先日の城ヶ崎先生もそうでしたが、やはり1日中イレギュラーなコミュニケーションをとる多様な人々に関わるのは、体力が必要そう。他の施設でも、上司部下ともフルマラソンだかトライアスロンをやっている例がありました。

 ・・・体力が大事なのは普通の会社組織のマネジャーさんも一緒ですね。ちゃんとやろうと思ったらそうだと思います。

 
 通所施設「ゆうゆう」から始まり入所施設の「ライフゆう」、日中活動の「フォーゆう」、グループホームの「ウォークゆう」と7か所のケアホーム、それに学齢期の障害のあるお子さんのための日中一時支援「ヘルプゆう」相談支援・就労支援事業「ウィズゆう」と、地域の要請に応える形で矢継ぎ早にメニューや組織を拡充している社会福祉法人いたみ杉の子。
 急速に大きくしている分、スタッフの人材育成やマネジメントが追いついていない。設立当初の理念が薄まってしまいそうな不安がある。「私たちは、どうやってこの人を支援するかは考えてきましたが、確かにマネジメントなどは苦手な分野でした」と村山さん。



 そのあと正田のマニアック関心に応えて村山さんから発達障害についての資料をご紹介・ご提供くださいました。

「僕もこれまで高次機能障害を含む比較的軽度の発達障害のことは、目をそむけていたんです。でも正田さんから投げかけていただいて、かつ近所の特別支援学校―発達障害の生徒さんがほとんどのところ―から実習の依頼もされているので、そうかこの方面の勉強をしなくちゃなあと、目ざめたところなんです」(村山さん)。


 色々お話しして、やはり「子どもの頃からの障害の受容がご本人の発達のためにとても大事」という結論になりました。
 なんかお互い今後ご一緒に勉強あるいは勉強したことを持ち寄るような機会がありそうです。


 村山さん、山本さん、貴重なお時間をいただきどうもありがとうございました!


ゆうゆう2



 クッキーや石鹸についてのお問い合わせは:
 
 社会福祉法人いたみ杉の子
  障害者通所支援施設 ゆうゆう
 〒664-0006 伊丹市鴻池1丁目10−7
 TEL (072)777-7486
FAX (072)777-7446



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp
 

 
 

 

お世話になっている皆様


 おはようございます。
 企業内コーチ育成協会の正田です。


週末の嵐で桜は無残にも散り…、
 多くの学校で、今日から新年度がはじまります。

 お子様をお持ちの読者の皆様にとっては、我が子の新たな冒険の旅の始まりでいらっしゃることでしょう。



※このメールは、NPO法人企業内コーチ育成協会のスタッフ及び代表理事・正田が、過去にお名刺を交換させていただいた方・当協会のイベントやセミナーにご来場いただいた方にお送りしています。ご不要の方は、メール末尾にありますURLより解除いただくか、このメールに直接「不要」とご返信ください。



 本日の話題は:




■私たちは、同時代の良いものから学べるだろうかPARTII
城ヶ崎滋雄先生×正田対談 全13回を公開しました。


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■私たちは、同時代の良いものから学べるだろうかPARTII
城ヶ崎滋雄先生×正田対談 全13回を公開しました。



 先週末お伝えした、城ヶ崎滋雄先生(千葉県公立小学校教諭)のインタビュー。
 実はその第二弾がありました。

 今度は、わたくし正田が成人教育の立場から城ヶ崎先生のお仕事の価値に迫ろうとこころみたもの。

 前回と今回では、「テクニカル編」と「メンタル編」、あるいは「スタンダード編」と「マニアック編」という括りかたができるかもしれません。


 教育現場に題材をとっていますが、実は正田はずうっと「この話は『先生』を『マネジャー』に置き換えても全部通じるよねえ」と思いながら伺っておりました。

 ただ今回はマニアックな方ですので、マニアック大好きな方だけお読みください。


 
(1)メンバーの個性をどうつかむか
   http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853434.html

「あのレポートは良く書きすぎですよ」「いえ、見たままを書かせていただいています」というジャブで対談ははじまりました―


(2)不登校指導は「自己流」
   http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853436.html

 不登校担当の先生がいるということ自体正田には耳慣れず、新鮮だったんですが、なんと何の研修もなく現場に放り出されるとは。元気な城ヶ崎先生苦悩の回です。それでも経験から学んで今のコミュニケーション指導に結びつけておられることは、さすがです。


(3)子どもの指導と成人教育と
   http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853438.html

 この回では、授業見学で正田を驚かせた子どもたちの「圧倒的な歌声」の秘密が明かされます。
 授業見学レポートはこちら
 「褒めること聞くこと、記録、スピード、歌声・・・城ヶ崎クラス訪問記」
  http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51846161.html


(4)教師が「怖い」と感じるとき
   http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853448.html

 無敵の教師が「怖い」と感じるものは何か?というお話になりました。
 なお後付けですが正田はリーダー教育の中で感情の自覚、とりわけ「怖れ」の感情の自覚を非常に重視して扱います。ほとんどのリーダーにとってむずかしいところですが、城ヶ崎先はそこを難なくクリアされています。


(5)「冷徹な眼」と「間の技術」
   http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853449.html

 ついに秘密のヴェールをぬぐ城ヶ崎メソッド…は大げさですが、マニアックに謎解きをしている回です。


(6)保護者との風景―懇談、連絡帳、学級通信
   http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853450.html

 対保護者にも独自の工夫満載の城ヶ崎先生。「〇×式懇談会」のお話には、「そんなの兵庫にはありません!」とエキサイトしてしまった正田です。


(7)武術家にとっての教育
   http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853454.html

 ここでは、「ぶつからない」というキーワードが出てきました。過去半世紀にわたりぶつかりまくって生きてきた自覚のある正田、少し学ばないといけないかもしれない…


(8)小学校時代の荒れと恩師
   http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853456.html 

 城ヶ崎先生のルーツを小学校高学年時代から。「悪かった」とご自分でおっしゃる城ヶ崎先生、どんな恐ろしい悪さだったんだろう…(イヤかも^^;)


(9)翻訳は「みる」修業だった
   http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853458.html

 ここでは、聞き上手の城ヶ崎先生に正田が2000年頃の翻訳者修業の話をしております。あまりご興味のない方、とばしてくださっていいですよ^^


(10)日本人と承認と城ヶ崎メソッド
   http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853463.html

 だんだんお話が核心に入ってきます。徹頭徹尾実践の世界の人である城ヶ崎先生が正田の一枚看板「承認」について有難いお言葉を…。 
 また、一番最初のレポートに出てきた「先生のお仕事には日本の将来がかかっている!」という、正田のマニアック発言の意図も明かされます。


(11)承認教育―大人が教育を受容するとき   
   http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853464.html

 この回も引き続き「承認」のお話。「承認」がいかに正しくても、きいた人が反発を感じたら教育効果は出ない。とりわけ人生経験豊富な大人が受容してくれるには・・・と、正田のマニアックなこだわりについて語っています。


(12)武術は「型」にこだわる
   http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853468.html

  「型は大事ですよ」という城ヶ崎先生に「ですよねー」と我が意を得たりの正田。
 ただ、舞台裏を明かしますとこの記事は校正作業のときには紛糾しました。末尾のあたりで正田がロジックをほじくり返し城ヶ崎先生も校正に付き合ってくださった、というプロセスを読み取っていただけるかと思います。


(13)「なんで」の訓練が子どもになぜ大事か(最終章)
   http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853467.html

 最終章ではふたたび子どもさんの教育にお話を戻していますが、ここでまた城ヶ崎先生・正田の”共通のタネ本”の存在が明らかになり、マニアックに展開する章でございます。


以上


 2月の授業見学レポート以来、当NPOの理事・会員さん方まで巻き込みインタビュー、対談と通算25回にわたりブログに記事掲載させていただきました。

 思えばあの2月1日、力量のあるひとりの先生のもとで躍動する子どもたちの身体と心のエネルギーに触れてここまで来てしまったのでした。

 あのお子さん方の人生に幸あれとお祈りします。


 また、たまたま今回、千葉県で城ヶ崎先生にお出会いさせていただきましたが、価値あるお仕事をされている先生は、昨年もこのメールニュースでお伝えしましたように兵庫県内にも沢山いらっしゃいます。

 
 先生方、生徒さん方にとって良い1年でありますように。


 
 そしてわたくし正田は、今年度の実質的なスタートが今日からです。今年度もできるだけ良い「先生」でありたいと思います。

 お出会いするすべての方々の人生が生命が躍動し輝きますように。



 なお前号のメールニュースでご紹介させていただいた3月17日、第1回インタビューの記事も再掲させていただきます:



第1回 駅伝初出場3位!
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853094.html

■駅伝初出場3位、リレーで1位
■「苦しくなったらやめろ」
■ゆるい練習だと思わせる


第2回 ぼーっとする時間を作らない
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853100.html

■「レポートに涙が出ました」(山口)「あれは良く書きすぎですよ」(城ヶ崎)
■「よし」「すばらしい」と言われた子、良かったね
■会社にコーチングって必要?
■「大人になって承認されてやる気になることがない」(城ヶ崎)


第3回 通知表:どんなふうに貰ったら嬉しい?
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853104.html

■1人1人廊下に出て渡す。どうなる?
■個別指導はしない、その理由は


第4回 朝練習:「竹馬」と「リレー」で子どもが変容
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853112.html

■子どもの意欲と登校時間は比例する
■指導で出来た!→先生のカリスマ性
■リレーのトラブルは生産的
■授業より大事なことがあるから


第5回 不登校担当:「して欲しくないことは何か?」
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853114.html

■「どうしたら」ではなく「何をしなかったら」
■答えられる問いをしよう
■自分が不登校になって「これが不登校か」


第6回 褒め褒めタイム:伸びを言われると嬉しい
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853116.html

■本当にその子をみている褒め言葉とは
■あの子に認めてもらった


第7回 崩壊クラス:建て直しはどこから?
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853118.html

■火中の栗を拾いたい人なんていない
■リレーとカルタは絶対使える
■この子を変えるとみんなが変わる
■できる子を大事にする
■3か月で結果を出す
■まず行動から変える


第8回 ディベート:「まず結論を出してしまえ」
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853121.html

■返事するのと手を挙げるのとどっちが先?
■決められない子は後ろへ
■「承認して優越感を持たせるって大事ですね」(城ヶ崎)


第9回 教え合う教室:上を伸ばすか、下をテコ入れするか
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853125.html

■「話の短い先生なら、聴いてもいいな」
■下を伸ばす先生との違いは
■「できる感」と優越感を持たせる
■できる人のノウハウを活かす


第10回 授業:つまみ食いでない知識を
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853126.html

■子どもがつまずくところはどこか
■つながりを発見すると得した気分に
■正しい知識だけだとつまみ食い
■結論だけ教えてしまうと気持ちは変わらない


第11回 持ち物:子どもの二極化時代に先生は
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853129.html
■昔は放課後も招集をかけていた!
■頑張る子頑張らない子が二極化、その理由は
■学校に靴用ブラシを常備



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■速報!よのなかカフェin三宮 5月19日(日)に開催。(再掲)


 今秋に予定される兵庫県知事選と神戸市長選。同日ダブル選挙になるとかならないとか…。わたくし正田は全然インサイダーではないので詳しいことは存じません。


 しかし、4年前を振り返って考えるに、「これをしておきたかった」と思うことがあります。

 データに基づく思考実験。

 ちょうど、やはり当協会会員で関西国際大学准教授の松本茂樹さん(本来は「先生」とお呼びするところですが習慣でつい「さんづけ」にしてしまいます)とお話していましたら、

「行政って経営ですよね」

という言葉が出ました。


 この視点、大事だなと思います。

 ともすれば「選挙」というのは、経営の中のマーケティングという分野が先に立ってしまいます。マーケティングが強いところが勝つ。

 しかし、実際の行政は思い切り「マネジメント」の分野です。わたしたち選挙民はいかにして最良のマネジメントを選ぶか、が問われるわけです。

 …というようなことを言いますと生意気ですが、正田も今年50歳になりますので、これまでにない選挙との向き合い方をしてみたいな、と思う今日このごろ。


 5月19日はそんな機会にしてみたいと思っております。

 現時点で確定しているのは、5月19日(日)15:00−18:00、三宮のカフェ「アロアロ」にて、第38回よのなかカフェやります!ということ。参加費1000―2000円程度。
 (現在、「学生さん1000円、社会人2000円)の線で調整中です)

 
 読者の皆様、是非手帳にご記入ください。沢山の皆様のご来場をお待ちしております。


 過去のよのなかカフェ開催事例はこちらです


 http://c-c-a.jp/cafe/index.html


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※このメールは、NPO法人企業内コーチ育成協会のスタッフ及び代表理事・正田が、過去にお名刺を交換させていただいた方・当協会のイベントやセミナーにご来場いただいた方にお送りしています。

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あなたにとって素晴らしい1週間でありますよう。



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100年後に誇れる人材育成をしよう。
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*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*




 少し前の記事が気になって見直した。

「『想い』についての違和感」(2012年2月)
 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51788949.html


 今回の「城ヶ崎×正田対談」を終えた今の感想は、ほぼここに言い尽くされてしまっているので、わざわざ同じことを書くのも芸がない。

 1年前も似たようなことを考えていたんだなぁ。

 成長もなく、不遜な人間だなぁ。


 読者の皆様、どうもすみません。

  ひきつづき、城ヶ崎滋雄先生(千葉県公立小学校教諭)と正田の対談をお送りします。
  最終章ではふたたび子どもさんの教育にお話を戻していますが、ここでまた城ヶ崎先生・正田の”共通のタネ本”の存在が明らかになり、マニアックに展開する章でございます。



(1)メンバーの個性をどうつかむか
(2)不登校指導は「自己流」
(3)子どもの指導と成人教育と
(4)教師が「怖い」と感じるとき
(5)「冷徹な眼」と「間の技術」
(6)保護者との風景―懇談、連絡帳、学級通信
(7)武術家にとっての教育
(8)小学校時代の荒れと恩師
(9)翻訳は「みる」修業だった
(10)日本人と承認と城ヶ崎メソッド
(11)承認教育―大人が教育を受容するとき
(12)武術は「型」にこだわる
(13)「なんで」の訓練が子どもになぜ大事か



(13)「なんで」の訓練が子どもになぜ大事か
■言語技術、「なんで」の回路
■「理由言って」は授業じゃなく訓練
■だれに席を譲る?
■「私の授業は承認の実践かもしれない」(城ヶ崎)





■言語技術、「なんで」の回路

城ヶ崎:
話し合いの時に話を戻しますと、その時に思ったのが、有効なのは質問だなあと。でも正田さんが書かれてる、「質問というのは難しいんですよ」と。

正田:あの本で書いたのは、もうちょっと一般職の人をイメージして書いていましたけれど。社長さんとか専門職の方、そういう人種の方だったら大丈夫ですよ。一家言あって我が強いですから、「教えて下さい」という言い方で質問している限り得意になってしゃべってくださるから。

城ヶ崎:自分がよく分からない人とか自分が意思決定できてない人に質問しても、返ってこないですもんね。

正田:そうですね、大人は特にそうですよね。先生のクラスのお子さん方は元気良く答えてくださるけど。
 あれもやっぱり大事なことだと思うんです。質問されて答えることができる人である、というのは。多分子どもの頃から意識づけしないと出来ないだろうなと。

城ヶ崎:あ、そうですか。

正田:と思います。それが出来てないから、今の日本の大人は質問されて答えられない。自分の行動や決断の理由を考えられない、言えない。あるいは自分の中にはっきりした理由がないから、流されちゃう。
 先生はお読みになってるんじゃないかしら、『言語技術が日本のサッカーを変える』(光文社新書)という本。

城ヶ崎:田嶋幸三さんの書いた本ですね。

正田:そうです、そうです。あの中にありますね、「なんでそのプレーを選んだんだ?」と質問して、考えさせる、答えさせる。ドイツサッカーの強さはその論理性だ、と。あれも日本人でも多分子どもの頃からやっていれば出来るようになる。「なんで?」に答える回路が頭の中に出来る。


■「理由言って」は授業じゃなく訓練

城ヶ崎:
「なんで」の回路は、いいですね。
 ちょっと自分の話に取って悪いんですけど、うちのクラスの場合は意思決定したら「なんで」を書くと。それが当たり前にしてあるんです。

正田:凄く大事ですね。

城ヶ崎:子どもは「先生今日は理由は書かなくていいんですか」「今日は時間がないから○か×かだけでいいよ」ということを言ってきますね。時間がないから○×だけでいい、理由は今から言ってもらうから。

正田:その「理由言って」というのを最初に言った時、結構抵抗がありませんでした?

城ヶ崎:追い込むんですよね。ある意味では。

正田:追い込むんですか。

城ヶ崎:最初は、「今は考えられない人は後ろ行って人の意見を聴いて考えなさい」。
そんなことを言っていたら、最初はみんな後ろへ行っちゃうんで、「どっちかに決めてろ」と。○か×かに決めろ。やるかやらないか、どっちかに決めろ。決めたら、考えられる人は理由があって行動するから、とにかくその理由を考えろ。こじつけろ。という訓練をしましたね。

正田:ああ、それは訓練ですね。

城ヶ崎:授業じゃなくて、ほんと訓練ですよ。


■だれに席を譲る?

正田:
凄く大事な訓練。先生は何でそういうことが大事だということにお気づきになったんですか。

城ヶ崎:そうじゃないと、人の話を自分の中でもっと増やしていこうとしないんですよ。つまり、自分の意見を持っていないと、それがいいか悪いかが分からないんです。
 例えば―、信号はね、絶対守んなきゃいけない。○か×どっちですか?というときに、うーんそうだなあ、○。あるいは×。×と書いたら理由を考えなきゃいけないですよね。×の状況設定を自分で作らなきゃいけない。というようなことを子どもによく言うんです。だからあえて×で考える。信号は確かに守らなきゃいけないから○なんだけど、今日は×で考える。

正田:はあ、そんなことするんですか。

城ヶ崎:うん、ゲームっぽく。でその×の理由で一番みんなの納得、賛成意見が多かったのがだれが一番多いか決めようね。よく言うのが「信号待ちで赤で待っていて暴走族が来て突っ込んできたら死んじゃうんだから」。だから赤だからと言って止まらなきゃいけないわけじゃない。行かなきゃいけない時もある。もし向こうからライオンかなんか来て信号が赤だったらお前たちどうするの。待ってるの。いや、行きます。そうだろ、だから状況としてそういうのもあるから、そういうの考えようね。いつも正解は○か×かじゃない。△もあるから、その△を考えよう。それを遊びでやるんですけどね。

正田:遊びでやるんですか。それが凄いなって思うんです。今の日本の大人を見た時に、「こういう訓練が足りてない」というのを先生が見事にどんぴしゃおやりになっていて、でもそれは教科の勉強とは違う、他の先生だったらプラスαの部分とみなすような部分だから、それを見事に、そこにエネルギーを注いで時間も使っておやりになっているというのが凄いですね。

城ヶ崎:道徳の時間に新しい学年を持つと毎年やるのは、「君達電車に乗っていて、目の前に杖をついているおばあさんと、松葉杖をついている若者と、お腹の大きい妊婦さん、3人立ってたら誰に席を譲る?」席は君しか譲れないから、この3人の中の誰かに譲らなきゃいけないんだよ。というと子どもは結構考えますよね。

正田:うーん…。

城ヶ崎:「そんな腰が曲がってるようなおばあさんが電車使うのは可哀想だからタクシーで行けばいい」とかね、「松葉杖なんかついて電車に乗ってきたら、逆に危ない」。松葉杖ついてる人は電車に乗るな、っていうわけですよ。

正田:それも何だかなあ(笑)

城ヶ崎:それはその人が転んだときに杖が誰かに当たったら怪我してしまう。つまり自分は電車に乗りたいんだろうけど自分が頑張ることによって周りに迷惑かけると。周りを巻き添えにしてしまうと。そしたら妊婦さんだって同じじゃん、と出てくるわけですよ。じゃあ誰に選ぶの?消去法で行くのか、○で行くのか。子ども達が色々考えるんですけど、そういうのも結構遊びでやります。でもある程度現実的なことですよね。

正田:そうですね。先生そういうのもご自分でお考えになるんですか。

城ヶ崎:それは自分が電車に乗った時困ったんです。どうしようかなあと。

正田:なるほど、それは困りますね。でどうされました?(笑)

城ヶ崎:ずるいですよ。私、さっと立って2人に「どうぞ」って譲りました。おばあさんと若者。そしたら若者の方がおばあさんに「どうぞ」と。するとおばあさんが「あんた怪我してるんだからあんたが座んなさい」って若者が結局座ってました。ずるいなあ、と思いましたけどね。その時に「あ、これ授業で使える」。

正田:(笑)


■「私の授業は承認の実践かもしれない」(城ヶ崎)

城ヶ崎:
でもよく先程から「よくそんなの考えつきますね」とか褒めてくださいますね(笑) 本当は学んでいかなきゃいけないんでしょうけど。そういうの。
 そう考えたら、私が授業していることって結構承認を実践しているようなところもあったのかもしれませんね。

正田:だから伺っていて楽しいです。

城ヶ崎:実際は無理でしょうけど、受講生の方がこう後ろにいてね、私の授業をみながら、あの承認の一覧表をみながらチェックして、「今どれをやったでしょう」。

正田:私がその後ろにいる人をやってみたいですけど(笑)
 また話がそれますけれど、武術経験者の方はやっぱり私のやっている承認コーチングを学ばれた時に凄く身に着きが良いんです。本で事例紹介している人では松本茂樹さん(現関西国際大学准教授)という人がそうなんですけど、銀行の支店長だった方。あの方はもう、1年目にトップ支店、2年目に目標達成率150%という記録を作って、それでもう銀行を辞めて今大学の先生になっています。あの方は少林寺拳法の達人です。大学時代ずっとやってたんだそうで。私もコーチングを割合型でお伝えするから、あの承認の表にしても、ほかにも質問の仕方も型で教える表があったりして、割とそういうのを作るんです。それを、武術をやった方はうまーく吸収してくださるんです。

城ヶ崎:最初は型で迫っていかないと、身に着かないですよね。

正田:うん。と思うんです。

城ヶ崎:感性でやれるんだったらコーチングやらなくたっていいですからね。

正田:そうですね。今日はどうもありがとうございました。(了)


 
 対談は以上でございます。ああ疲れた。でもまあ、2月以来、城ヶ崎先生に理事さん会員さん方も巻き込みながら授業見学・インタビュー・対談と計25本の記事をUPし、それぞれの末尾にわが社の「100年後に誇れる人材育成をしよう」のクレジットをつけて配信できたことはちょっと誇りでございます。


 城ヶ崎先生、授業見学を皮切りに2回にわたる長時間のインタビュー・対談、また校正作業にお付き合いくださいまして本当にありがとうございました。




100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

  ひきつづき、城ヶ崎滋雄先生(千葉県公立小学校教諭)と正田の対談をお送りします。
 「型は大事ですよ」という城ヶ崎先生に我が意を得たりの正田。
 ただ、舞台裏を明かしますとこの記事は校正作業のときには紛糾しました。末尾のあたりで正田がロジックをほじくり返し城ヶ崎先生も校正に付き合ってくださった、というプロセスを読み取っていただけるかと思います。多分これまで大学の先生相手のインタビューでは絶対ここまでしなかったなー、スルーしてたなー。(それは相手が「偉いから」ではなくて単に「めんどくさいから」です)
 言い訳すると「相手を信頼して反論することも承認のうちだと思え!」と、とくにディスカッションすることが仕事上必須な研究員さんなどには指導する正田であります。



(1)メンバーの個性をどうつかむか
(2)不登校指導は「自己流」
(3)子どもの指導と成人教育と
(4)教師が「怖い」と感じるとき
(5)「冷徹な眼」と「間の技術」
(6)保護者との風景―懇談、連絡帳、学級通信
(7)武術家にとっての教育
(8)小学校時代の荒れと恩師
(9)翻訳は「みる」修業だった
(10)日本人と承認と城ヶ崎メソッド
(11)承認教育―大人が教育を受容するとき
(12)武術は「型」にこだわる
(13)「なんで」の訓練が子どもになぜ大事か





(12)武術は「型」にこだわる
■自分の言葉で束ねなきゃいけない
■武術は型にこだわる、寸分違わず
■「わが子の鬱はきつかったです」(正田)




■自分の言葉で束ねなきゃいけない

城ヶ崎:
ああやって分類していくといいですよね。もう1つは自分のやっていることを自分の言葉で束ねていかなきゃいけないんだな、と。人に伝えるわけじゃないんだけど。

正田:先生はもう沢山ご本を書いていらっしゃるけど。

城ヶ崎:自分の言葉で束ねるというところまで行かないんです。

正田:先生のご本『クラスがみるみる落ち着く教師のすごい指導法!』(学陽書房)は凄く優しい言葉で書かれていて、本当にクラスが荒れて困っている先生に向けて、その先生の困っている立場に寄り添いながら書かれている感じがします。

城ヶ崎:ほとんど自分の体験談ですからね。闘わない、ぶつからないようにするにはどうしたらいいか、という。でもある先生なんかは、「ぶつからなかったら、闘わなかったら、子どもにナメられるじゃないか」という人もいましたね。
 今ふっと思ったのは、A先生なんかはぶつからなくても、子どもにナメられたわけじゃないですからね。

正田:合気道みたいなことをされてたのかしら、A先生は。30歳の頃の自分のことなど考えると、どうしてその若さでそんなことがお出来になったのか全然分かりません。

城ヶ崎:なんていうかやっぱり天性なんでしょうね。持って生まれたものなんでしょうね。
 最近私は自覚的にそういうことをしようとしているんで、それは天性ではないです。


■武術は型にこだわる、寸分違わず

正田:
そうだ、先生は縄跳びに関して書かれていた中に、「才能のない人は型で憶えればいい」ということを書かれてませんでしたか。あれも前から思っていたことと一緒だなと思いました。承認の一覧表をお渡しするというのもそうなんです。マネージャーさんなんて大体こういう分野に才能がないわけです。才能があればカウンセラーとかになってますから。他のほうの才能があるからマネージャーをやっている、もともと。

城ヶ崎:ああ、なるほどねえ。才能があれば、そんなに人との付き合いで悩まなくていいですからね。上手くできているわけですからね。
 武術をやっていると、凄く型にこだわるんです。寸分違わず、というやつです。

正田:寸分違わず、ですか。

城ヶ崎:型ができれば、相手には負けない。型が大事だ。でも初心者は、自分の型を出してしまうんです。

正田:自分の型を。

城ヶ崎:はい。自分の動きをやってしまうんです。でも本当はそういうんじゃなく、正しい動きをしないとこの型は作れない、というのがあるんです。すると自分の型を1回捨てなきゃいけないんです。自分の動きをやるから出来ないのに、そこで頑張ろうとするから、ますます上手くいかない。その自分の動きを捨てるのがまず練習なんです。

正田:はい。

城ヶ崎:型って凄く大事ですよ。
 私なんか正田さんみたいに学問的な方じゃなくて技術的な目でものを見ていくので。

正田:私も決してアカデミズムの人間じゃなく、色んな学問分野をつまみ食いしていて門前の小僧習わぬ経を読むですけど。やっぱりお訊きしてみるものですね。武術をやられる方なんじゃないかなあというのは。…武術する人には敵わないなあ。

城ヶ崎:それが、マネジメントの方に行くかどうかは別ですよ。

正田:いやあ行くんじゃないでしょうか。

城ヶ崎:私は武術的な考えと学校の先生という仕事と共通しているものがあって、武術的な考えでいかないとやっぱり子どもとぶつかるなあと思うからリンクさせるだけのことで。

正田:大事ですよ、上司部下間でも絶対大事なはずですよ。
 武田建さんは最初はそこに気づいてなかったようなんです。武田さんは元々選手でアメフトをやっていて監督になって、一方心理学を専攻するんですけど最初はロジャーズの来談者中心療法なんかをやっていた。ある時から行動心理学に行くんです。
 でも長いことアメフトと心理学は彼にとって別々のもので、そしてアメフト監督としてはギャアギャア罵る監督だったらしいんです(笑) あるとき「ケン、君はアメフトという実践の場があるじゃないか。何故君の行動心理学をアメフトに応用しないんだ?」とアメリカの研究者仲間に言われたらしくて。「あ、そうか」とその時初めて気がついてやりだしたそうです。


■「わが子の鬱はきつかったです」(正田)

城ヶ崎:
正田さんにとって武田さんのアメフトのような存在というのはあるんですか。「これに使えばいい」というのは。

正田:えーっ、どうでしょう。つまり私がコーチングをしてるけど、それをこれに使えばいい、ということですか。仕事のあらゆる場面に、よのなかカフェのファシリテーションに、あるいはフェイスブックのお友達との交流もそうですけど、それはむしろ易しいほうです。難しいところでは子育てとか、まあ今は親にもやってみているかな、親が要介護なので。

城ヶ崎:子育てとか親って、第三者のように冷静な目でみられないでしょ。そうでもないですか。

正田:難しいですね(笑)。子どもに関しては本にも書かせていただいた鬱のエピソードがあったわけですが―、あの子はあのあと高校でももう1回鬱になるんです。その時はもちろん承認も使いましたが、それ以外に東北へのボランティアツアーに一緒に行ってボランティアで働かせたり、あの手この手をやりました。お蔭様で別室登校で出席日数を稼いで何とか卒業させていただきましたけど。

城ヶ崎:本人もきついけど周りもきついですよね。

正田:きついです、家族にとって。やっぱりね、子どもって甲高い声できゃっきゃきゃっきゃ、言ってるのが親も聞いていて一番楽しくて、ああこの声聞いてると癒される、って思うんです、仕事で疲れて帰ってきても。それが無くなったら、生ける屍みたいになってたら。しんどいですねえ。

城ヶ崎:本人がそういう状態だというのは分かるわけですか。自分がそうだと。

正田:分かってないんですよね。周りへの不満ばかり口にして。自分はどういう状態かというのは分かってない。「それ周りが悪いんじゃないんだよ、あなたが物事を全部悪くとるような状態だから今みたいに思うんだよ」なんて言っても絶対本人には分からないですよね。

城ヶ崎:そういうことを言ったら逆に自分が責められてると思っちゃう。
 鬱の方って、依存することはないですか。

正田:あります。まあこちらはずっと傾聴・承認で関わってきたつもりですが、だから子どもにとってはお母さんがそうしてくれるのが当たり前みたいな感じですよね。で気分によってしゃべりたい時はバーッとしゃべってくるし、こちらはそれをひたすら聴いてるし。たまに「今は聴けない」って言うとむくれてしまったり。


■考えが反対の人たちと闘わない

城ヶ崎:
不登校になる子って、いい子が多いんですよ。不登校は家庭が居心地がいいから家にいる。
話は変わりますけれど、ある勉強会に行ったときに、グループ討議してくださいと言われて、たまたま私より年上の人ばっかりで、そして私の意見、考えと反対だったんですよ。でその時ふっとね、こっちのグループに若いメンバーがいて、その前にこの人達と話をすることがあって私の意見を聴いてくれてたんです。「ああ、そうですね」と。この人達と同じテーブルに着けば話しやすかったなあと思ったんですね。
思ったときに、「あ、そういう自分がいるんだ」と。「ここは自分にとって居心地が悪い場所なんだ」と思ってる自分がいるんだな、って。
じゃあどうしたらいいんだろう。ここは闘わないことだな。ここに入っていくしかないんだな。まず入ってみようかな。そう思ったんです。

正田:へえ〜。

城ヶ崎:そう思ったら凄く気持ちが楽になって。
 受け入れてるわけじゃないんですよ。「なるほど、そういう考えもあるのね」と。で意見を求められたから、もう考え方がまったく違うわけですから、逆にこんど質問で返してやれ、と思って。「教えてください」って。

正田:ははあ。先生の「教えて」は怖いなあ(笑)

城ヶ崎:そうすると、向こうは凄くいい気持になってしゃべってくれるんですよ。ああ、そういうことか、と思って。

正田:「教えて」は、いい言葉ですね。
 ただ先生、ここはリーダー教育をする立場から言いますと、「ぶつからない」「闘わない」「逃げる」「躱す」ということの限界もあると思うんです。
 子どもさん相手にまともにぶつからない、というのはよく分かりますし、一過性の大人の相手との会話で闘わない、というのも知恵だと思います。
 ただ、「逃げている大人」というのはむしろ日本社会には多すぎるぐらいなんです。特にリーダーに対しては、例えば「逃げずに説明する」「説明することから逃げない」ということは難しいからこそ、しっかり教育しないといけない。
 あるいは、過去の重大事故。御巣鷹山、福知山線、福島第一原発―、いずれも関係者の「逃げる」が積み重なって起きてしまったものなんじゃないでしょうか。
 「逃げない」(責任/勇気)の教育もすごく大事なことで、だから武術や陸上で思い切り闘う世界をご存知でいらっしゃる城ヶ崎先生の今達されている境地「ぶつからない」ということについて、うちの教育プログラムとしては少し条件付き賛成、という感じがします。
 すみません、うちのNPOにも既に先生のファンが沢山いますので、リーダーとしてこの「逃げない」の部分だけは押さえてね、と言わないといけなくて。

城ヶ崎:なるほど。
 陸上競技のレースで並走することがあります。相手を振り切ろうと自分から仕掛けてペースを上げ下げすると、早く疲労することがあります。今は戦う場面ではない。勝負はすべき場面ではないと、相手がいつスパートしても対応できるような余裕をもって、相手に合せて走る方がスタミナを温存できます。
 話し合いでも自分と異なる意見の持ち主でも合せるということでしょね。自分と意見が異なるからその根拠を知りたい、教えてもらいたい。相手に学びたいという気持ちに変わります。相手のことを受け入れられるようになります。自分が知らないことを語ってくれます。自分にとって貴重な情報を提供してくれる人だと思えるようになります。
 受け入れ、相手の良さを認めると相手にもそれが伝わるのかもしれません。ですから、「逃げる」ではなくて、「一歩引いて、見る」と言った方がいいのかもしれません。

正田:うーん、どこで食い違ってるのかわかりました。
 城ヶ崎先生はトラックの上か、武術の道場の中か、やっぱり基本的に闘いのフィールドにいらっしゃる方なんですよ。闘いは前提としてあって、その中での戦術として「ぶつからない」「闘わない」ということを言われてるんだと思います。
 ただリーダー教育をしていますと、これは城ヶ崎先生ではなくて多くの中高年の高い地位にある人に起こりがちなんですが、最初から「逃げて」しまう場合が多々あるわけです。土俵から降りる、トラックに背を向ける。それはなんらかのその年代にありがちな要因―例えば成人病ですとか鬱、家族の不幸、飲酒、あるいは単なる本人の慢心―によって。それは、高い地位にあればあるほど安きに流れやすいわけで、その結果「面倒なことから逃げる」ことになる。多分そういう生き方をしていると認知症リスクも高まりますけど。
 それはあかんよと、その地位にある以上逃げることは許さんよと、私の立場としてはたとえ嫌われるリスクを冒しても言わないといけないことなんです。

城ヶ崎:それは、理解できます。



(最終回)「なんで」の訓練が子どもになぜ大事か に続く


100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

  ひきつづき、城ヶ崎滋雄先生(千葉県公立小学校教諭)と正田の対談をお送りします。
 この回も引き続き「承認」のお話。「承認」がいかに正しくても、きいた人が反発を感じたら教育効果は出ない。とりわけ人生経験豊富な大人が受容してくれるには・・・と、正田のマニアックなこだわりについて語っています。


(1)メンバーの個性をどうつかむか
(2)不登校指導は「自己流」
(3)子どもの指導と成人教育と
(4)教師が「怖い」と感じるとき
(5)「冷徹な眼」と「間の技術」
(6)保護者との風景―懇談、連絡帳、学級通信
(7)武術家にとっての教育
(8)小学校時代の荒れと恩師
(9)翻訳は「みる」修業だった
(10)日本人と承認と城ヶ崎メソッド
(11)承認教育―大人が教育を受容するとき
(12)武術は「型」にこだわる
(13)「なんで」の訓練が子どもになぜ大事か




(11)承認教育―大人が教育を受容するとき
■悪い子荒れる子に存在承認
■引っかからなかったものとすとんと落ちたもの―大人が学習を受容するには
■「この表は『意識を全方位に』を意図しています」(正田)




■悪い子荒れる子に存在承認

城ヶ崎:
正田さんの本の中に承認の表があって、あの一番上の「存在承認」というのがありますね。存在する承認から入っていくと、特に低の子とか荒れてる子というのは、ある意味そこしか承認する場所がないんですよね。

正田:そうですね、行動は承認できないですもんね。

城ヶ崎:学校来るのが遅い子なんかは連絡帳に「今日は学校に何分に来た」とか、書くんです。「今日何分、早いねー」とか。

正田:おおー。

城ヶ崎:ちょっと5分位早く来た子には「おっ、昨日より5分早いね」とか連絡帳に書くと、それは嬉しいらしくて。

正田:ほお〜〜。

城ヶ崎:それって行動の承認なのか存在の承認なのか、まあ行動かな、「何時何分に来た」とか、昨日より何分早いとかは行動の承認なんでしょうけど、たったそんなことですよ。そんなことで子どもが変わる。

正田:いや〜、凄いです。先生それを誰にも教わらずにご自分で気づいておやりになっているというのは。

城ヶ崎:それは、ダメなレベルを知ってるから、「遅い」というのはあるんですよ。遅いから、でも今日は、ダメな時よりも早かったということを感じればそれをそのまま書くだけなんです。やっぱり「感じる」ことなんですよね。でも本当に誰にも教わっていないんですよね。


■引っかからなかったものとすとんと落ちたもの―大人が学習を受容するには

正田:
そうなんですか。今時の「行動科学マネジメント」というのはまさしくそういうことのやり方を教えてるんですけど、先生それも教わらなかったんですね、びっくりです。行動科学マネジメントどこかで習いましたか?ってお訊きしてみたかったんですけど。
 ただ教室にタイムを掲示されるとかは、陸上出身でいらっしゃるから普通におやりになっていたでしょうね。

城ヶ崎:習ってないです。最近そういう本を読んだことはありますけど、人にいいよって言われて読んだ本なんですけど、あんまり共感するところがなかったんです。わからなかった。この本のどこが凄いんだろうと。いい悪いじゃなくて、私の中に引っかからないんですよ。でも今行動科学マネジメントって仰って、ああそうか、自分がやってるのがそういうことなんだな、と。

正田:ただ実際におやりになっている先生に引っかからない。それは、恐らく想像ですが、本の書き方とか言葉の使い方のテクニカルな問題なのかなという気がします。専門用語をやたら使ってしまったり、「こうすればこうなるよ」という、人は操作するものだよというあざとい印象を与えたり、上から目線の書き方で書いてるとか。そういうところに反発を感じちゃうともうその本の言ってること全体を受け容れられないですよね。

城ヶ崎:ああ、そうですよね。先ほど「場面が見えてこない」と仰ってましたけど、実はそういう本を読んだ時って、アメリカの話をしている時に「じゃ日本だったらどうなのかなあ」と、これはこうだけどじゃあ自分のクラスの子どものA君にはどうなのかなあと、自分に置き換えていつも読むんですよ。それが置き換えられなかったんです。あ、それはそうだよね。じゃあ自分の立場でこれをどう活かせばいいのかなあと浮かんでこないんで、「あ、ダメだ」。

正田:ははぁ…。

城ヶ崎:フェイスブックなんか見ててもね、行動科学ってよく出てきますから、人が推薦してるのを買って読むんですけど、3冊ぐらい読んだんですけど、ダメでしたね。3冊読んでダメだったら、もういいや、と。

正田:そうですかそうですか…。ご自分はバリバリにおやりになってるのに。

城ヶ崎:私の理解力がないんだろうなと。

正田:いやいや。
 これがやっぱり私がこだわっているところで、例えば先生のような方にして「引っかからない」とか「絵として見えてこない」とか「反発を感じる」とかそういう要素があると、私どもの成人教育の仕事で言うと「研修の歩留まり」というものにつながってくるんです。実施率とか、研修効果に直接つながるものです。
 例えば受講生さんが、「ああこの先生の言っていることは本当だ」と思うと、例えば宿題を提出してくれるとか。大人だから宿題提出って強制はできないんです。私の言い方で言うと「この宿題は強制じゃないんですよ。ただ、こういう研修っていうのは習ってから1週間が勝負なんです。皆さんがせっかく習ったから出来るようになりたいなと思われるんであれば、是非宿題やってみてください」と、こういう言い方です。その宿題をどれぐらいの比率の人が出してくれたか、というのを私は「研修の歩留まり」と呼んでいて、かなりこだわってる部分なんです。
 例えば私の言い方が生意気だ、気に食わない、全然共感できない、この先生どこか信用できない匂いがするとか、そういうのがあれば歩留まりはわるくなります。

城ヶ崎:それはよくわかりますね。私が3冊でやめたのと一緒ですよね。でもね自分で思うんですよ、よく3冊まで頑張った(笑)

正田:ああ、偉いです、それは。普通最初の1冊で挫折したらそれっきりですよね。

城ヶ崎:こっちの能力がないのかなと思って、同じ著者の違う本を読んで、二度あることは三度あると言いますけど、三度目の正直でこれダメだな、もういい、と。
ある意味で体系的なものを身に着けたいことは身に着けたいですけどね。今経験でこうやってやっている中で、そんなに失敗はしないんですけど、逆に何故失敗しないのか。ということを知りたいですしね。そのときに「承認」を見た時に「そういうことか」と。すとっ、と落ちるんですよ。すると、「なるほどなあ」と。

正田:それは嬉しいですねえ。


■「この表は『意識を全方位に』を意図しています」(正田)

城ヶ崎:
批判精神のことも小冊子に書いてありましたね。クリティシズム、日本語では批判精神。あ、そういうことなのか、とすとっと落ちるんです。落ちると、納得できますからね。

正田:そうですか、そうですか。

城ヶ崎:だから正田さんの書かれた本にすごく興味があるというかね。この承認の一覧表でいうと、そこで言ってること違うんじゃない?とかね。
「時間のない方は第7章からお読みください」って、まえがきに書いてあったじゃないですか。そう書かれると、「いや、絶対1章から読んでやる」。

正田:そうですか(笑) 種明かしすると、そういうかたは多いみたいです(笑)

城ヶ崎:で、ずーっと1章から読んでたんです。で「あれ、大前さん出てる」って。大前さんが出たらどこかに山口さんも出るんだろうなーと思ったら、ずーっと出て来ないじゃないですか。最後に出てくるから。

正田:そうそう。黒子だったんです、山口さんは。

城ヶ崎:でまあ、7章まで来たとき「お、これが例の7章か」と思って「よし、ここからちょっと気合入れて読もうかなあ」。
 気合を入れなくてもすーっと読めましたね。7章が一番事例もあって、一覧表になって纏めてくれているから、確かに7章を読めば、コーチングということが少しかじれるんだな、ということは思いました。

正田:ありがとうございます。ここまで言っていただくと本当に著者冥利につきます。
 先生読み手としてさすがですね。私は武田建という人が出てきたと思いますけど、あの人の著書を読んで。

城ヶ崎:武田建さんは有名ですよね。

正田:あ、ご存知でしたか。

城ヶ崎:でもそんなに正田さんほど真剣に読んでなかったです。引っかかってなかったんで。

正田:ははあ。まあちょっとお遊び感覚の本も書いておられたりしましたね。ただ『コーチング―人を育てる心理学』(誠信書房、1985年)あれはいい本です。あの中に行動理論のグラフがあるんです。私の本でも引用させていただいてますけど。あのグラフを見て、そのあと武田先生にお会いした時に「先生、あのグラフ私の研修で使わしていただいていいですか」とお訊きしたんです。すると、「あのグラフに気がついたか。実は私も親向けのペアレントトレーニングであのグラフを使ってるんだよ」と言われたので、「そうか、やっぱりこれが重要なのか、にやり」と。

城ヶ崎:正田さんの本は承認の一覧表が重要ですよね。もしあの本でどこが一番いいの?と言われたらあそこを言いますね。

正田:ありがとうございます(笑)

城ヶ崎:とにかくこれを見て、毎日照らし合わすといいよ、って、人に言います。

正田:先生、あれはメールに添付ファイルでお送りします。エクセルの表ですから。
 あの本に載ってるのは一番雛形なんですけど、どの業種にも対応できるというか、割と営業職向きですね。最近は介護職向けとか工場の製造現場向けとかのバージョンも作っていて、少しずつ言葉が違います。学校現場向けのを先生がお作りになったらいいと思います。
 最近では受講生のマネージャーさん方が大判の手帳にあれを入れてますね。手帳の表紙を1枚めくったビニールのところにあの表を縮小コピーして入れて毎日見ているそうです。結構何人かそういう形にしたのを見せてくれました。
 また、今の時点の城ヶ崎先生にお役に立つものなのかどうか…先生ほどの素地のない人が何とか先生の域に近づきたいと思われる場合にはあの表は役に立つと思います。あの表も、「意識を全方位にする」ということを意図していますから、武術と似た役割があると思います。ただそこまで気がついて使ってくれている人は少ないですけれど。


(12)武術は「型」にこだわる に続く


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  ひきつづき、城ヶ崎滋雄先生(千葉県公立小学校教諭)と正田の対談をお送りします。
 だんだんお話が核心に入ってきます。徹頭徹尾実践の世界の人である城ヶ崎先生が正田の一枚看板「承認」について有難いお言葉を…。 
 また、一番最初のレポートに出てきた「先生のお仕事には日本の将来がかかっている!」という、正田のマニアック発言の意図も明かされます。
 レポートはこちら
 「褒めること聞くこと、記録、スピード、歌声…城ヶ崎先生クラス訪問記」 


(1)メンバーの個性をどうつかむか
(2)不登校指導は「自己流」
(3)子どもの指導と成人教育と
(4)教師が「怖い」と感じるとき
(5)「冷徹な眼」と「間の技術」
(6)保護者との風景―懇談、連絡帳、学級通信
(7)武術家にとっての教育
(8)小学校時代の荒れと恩師
(9)翻訳は「みる」修業だった
(10)日本人と承認と城ヶ崎メソッド
(11)承認教育―大人が教育を受容するとき
(12)武術は「型」にこだわる
(13)「なんで」の訓練が子どもになぜ大事か





(10)日本人と承認と城ヶ崎メソッド
■「日本の社会って依存しあう、だから『承認』」(城ヶ崎)
■遺伝子的に不安な日本人
■「あなたの仕事に日本の将来がかかっている!」



■「日本の社会って依存しあう、だから『承認』」(城ヶ崎)

城ヶ崎:
やっぱり正田さんの場合、外国の本が多いんですか。

正田:翻訳物で今、認知心理学とかどんどん面白いのが出ていますよね。スタンフォードの意志力の本とか、ヒューリスティック、バイアスとか判断ミスに関する研究の分野。あれはやっぱりフォローしてないといけない感じがします。
 ただ私のコーチングに関していえば日本人の研究者のものが一番ベースにあります。「武田コーチング」の武田建さん(関学名誉教授、行動心理学)、「承認論」の太田肇さん(同志社大学教授、組織論)、また最近は社会心理学の山岸俊男さん(北大名誉教授)の本なんかも面白いです。「日本人」というところからコーチングを構築できる気がします。

城ヶ崎:私はね、アドラー心理学が出てきた時に。

正田:ああ、あれはコーチングに近いですよね。

城ヶ崎:でも正田さんの書いているコーチングの本を読んだりすると、「あ、これだよな」と思いますね。

正田:え、そう思っていただけるんですか。ありがとうございます。

城ヶ崎:コーチングの中でも正田さんが凄いなと思うのは「承認」という、さらにそこに焦点を当てて迫っている。私は日本の社会って言葉は悪いけど依存しあっていく社会だと思っているんです。頼り、頼られる。当てにする、当てにされる。お互い様っていう世界。そういう意味では「承認」というのはまさにそこじゃないかな、と思います。

正田:そう仰ってくださると嬉しいです。まさしくそこに「承認」は働きかけるものだと思います。また、「コーチング」よりも「承認」の方が、普段からワーキングメモリの中に置いておきやすいんです。普段から置いておけるということは、ちょっと人に事務作業を頼むとか、部下から報・連・相を受けるとか、あらゆる瞬間瞬間で使える、ということなんです。


■遺伝子的に不安な日本人

正田:
今日そういえば何がお役に立つかなーと思って持ってきたのがあるんですけど、(資料を出す)最近講演で使っている遺伝子学に関する資料で、ご覧になってみてください。

城ヶ崎:セロトニン…?

正田:セロトニントランスポーター遺伝子。

城ヶ崎:すみません、初めてききました。

正田:そうですか。不安感とか安心感に関わるセロトニンという物質があるんですけど、これが多いか少ないかで例えば鬱になりやすいかどうかが変わってくる。あるいは安定した楽しい気持ちだとかいつも漠然とした不安にかられる、とかが決まってくるわけです。セロトニンの影響力ってすごく大きいんですけど、このセロトニンの血流内の濃度を決めるのがこのセロトニントランスポーター遺伝子というもので、それがどういう型かによって、その人のセロトニン濃度がある程度決まっちゃうわけです。つまり、安心感を感じやすいか不安感を感じやすいか。

城ヶ崎:ほ〜。冒頭にこれが書いてありますけど、日本人ってSS型(とても不安)だと思いますね。それを自覚するかしないかで鬱になるかならないかが変わってくるんじゃないか。ボーダーラインってそこなんじゃないか。ここに菅さんの写真がありましたけど、菅さんなんてきっと自分が周りからああいう風に思われてると思ってないんですよね。

正田:そうですね(笑)原発のときやたら怒り散らしてましたけど、やっぱり不安感を怒りにすり替えて怒ってるタイプの人だなという感じはありましたね。

城ヶ崎:ああ、そうですね。

正田:この最後の問いどう思われますか、先生は。

城ヶ崎:いやー…、とにかく菅さんだったら、生き残っていけるかどうかというよりは、変わるか変わらないか。菅さんのような人は変わらないだろうな。

正田:そうですねえ(笑)

城ヶ崎:何故かというと、自分がそうだと気付いてないから。


■「あなたの仕事に日本の将来がかかっている!」

正田:
菅さんはじゃあ置いといて、一般的な日本人、あるいはこういう子どもがいた時に、どうしたらこの子は生き残っていけると思います?

城ヶ崎:不安感が強いということは…、不安を無くしてあげればいいんじゃないかなと思う。どうしたら不安を無くせるかと言うと、言葉は抽象的ですけどやっぱり寄り添うというか、その子を認めるというか、その子の失敗を全部受け入れるというか。
 もっというと、子育てで言うと、お母さんのおっぱい吸うような赤ちゃんのレベルまでもう1回育て直しをしてあげなきゃいけないんじゃないかな。

正田:それはもう抱っこして愛着関係とか?

城ヶ崎:はい。私などは今自分の頭で想像するのは小学生ですから、騙すんだったら騙される。出来ないんだったら出来るまでつきあうしかないかなと。

正田:まさしくだから先生のおやりになっているのが、それだと思うんです。出来るようにあの手この手をやって自信をつけさせる、褒めてあげる、さらに高い負荷をかける。最終的に物凄いレベルまで「できる」ように指導されますね。だから、「先生のお仕事に日本の将来がかかっている!」と言ったんです。
 遺伝子的に先天的に決まっている部分があるんですけど、「エピジェネティクス」といって遺伝子の変異だけを扱う学問もあります。先生がおやりになっているようなのは教育による後天的エピジェネティクス。私もそれを志向してはいますが、先生の方が小学生さんを対象にやられている分、より根源的なその人の変容に、一生ものの自信につながると思います。それをやらないと日本人は生き残れないだろうと。

城ヶ崎:でどうしたらいいんですか。

正田:いやいや、どうしたらいいんでしょうね(笑) 
 最近やっている講演では、この問いを投げかけて休憩を入れちゃうんです。で休憩明けから、「これの答えに完全になっているかどうか分かりませんけれども私どもの取り組みとして承認のお話をします」とやるんです。



(11)承認教育―大人が教育を受容するとき に続く



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

 ひきつづき、城ヶ崎滋雄先生(千葉県公立小学校教諭)と正田の対談をお送りします。
 ここでは、聞き上手の城ヶ崎先生に正田が2000年頃の翻訳者修業の話をしております。あまりご興味のない方、とばしてくださっていいですよ^^



(1)メンバーの個性をどうつかむか
(2)不登校指導は「自己流」
(3)子どもの指導と成人教育と
(4)教師が「怖い」と感じるとき
(5)「冷徹な眼」と「間の技術」
(6)保護者との風景―懇談、連絡帳、学級通信
(7)武術家にとっての教育
(8)小学校時代の荒れと恩師
(9)翻訳は「みる」修業だった
(10)日本人と承認と城ヶ崎メソッド
(11)承認教育―大人が教育を受容するとき
(12)武術は「型」にこだわる
(13)「なんで」の訓練が子どもになぜ大事か




(9)翻訳者は「みる」修業だった
■なぜ記者を辞めたのか
■語学だけでは成長がなくなる
■薬科大で「みる」経験
■経済小説から学ぶことは多い



■なぜ記者を辞めたのか

城ヶ崎:
でも正田さんも新聞記者をよく辞めましたね。

正田:それは今の主人と知り合って、主人が広島から神戸に先に転勤して、会社の方へは私も神戸か大阪に転勤させてほしいと言ってたんですけど、それが難しくて仕方なく辞めたんです。直接的にはそれでしたけど大分疲れがたまっていて、昨日も実は会社の昔の先輩と会って話をしてたんですけど、会社の中の雰囲気があの当時悪かったなという話をして。
 私の入った会社では女性の総合職採用が二期目だったんです。最初に社会部に女性の先輩が入ってその次の年に私が外信部というところに入って、女性がとにかく珍しいので、腫物に触る感覚で「叱ったら泣くんじゃないか」とか色んなことを言われました。
 私はとにかく、「この子はやらせればできる」と思ってもらおうと思って、「とにかくどんな雑用でもいいから言ってください。1年生なんですからやりますから」と言ってたんです。それはちゃんと、いい仕事ぶりでやってたらしいんです。何て言うんでしょう、上の人のオタオタしていたのが、色んなことがありまして、しんどかったなあという感じです。
 それと似たことは今の仕事の中でもあります。女性でリーダー研修をやる人というのは珍しいですから、普通は年配の男性がやりますから、研修事務局は「大丈夫か?」というのが先に立ってしまう。実際にやるとちゃんと受講生と信頼関係が作れるんですが。

城ヶ崎:二期目だったんですか。男社会だったんですね、それまでは。

正田:そうですね、均等法世代というんですけどそれの二期目です。

城ヶ崎:でもその二期目だったというのは知ってて入ったんですよね。

正田:知ってて入ったんです。


■語学だけでは成長がなくなる

城ヶ崎:
やっぱり外語大ということで語学を使えるということで外信部に入ったんですね。

正田:そうですね。大体なんで通信社に入ったかというと新聞社より通信社のほうが海外駐在員の比率が大きいんです。通信社の国内の取材ネットワークはあまり人数が多くなくて、手薄で。それで間に合っちゃうような仕事なんです。海外の方は割合しっかり人数がいて、これは海外に行ける確率が高いということだ、と。

城ヶ崎:そうやって語学が堪能だったらコーチングよりも、という言い方はおかしいかもしれないですけど、語学を活かした第二の自分の活躍する場を求めるのかなあと思ったけど、違ったんですね。

正田:語学は…、翻訳の時は語学をバリバリ使っていたわけですけど、逆にそのことの限界も知りました。語学屋になりますから。語学を使う機械みたいな感じになります。しばらくやるとそれはもうつまらなくなってくるんです。

城ヶ崎:それは先ほども言われた、「1人でやるから」というところもあるんですか。

正田:それもあるし。何だろう、やっていて人間として成長がなくなる、というのかな。いかに上手に機械に徹するか、特に翻訳の場合はそうなっちゃうんです。
 孤独な作業が好きな人に向いている仕事かというとまあそうですが、ただ、自己管理は必要なんです、翻訳も。1人でやってるから、進捗管理とかをしてくれる上司が目の前にいない。

城ヶ崎:その意志の強さというのも大事ですね。もちろん締切があるわけでしょう?

正田:締切はあります。翻訳者をやるんだったら、締切は意地でも守るという覚悟は大事ですね。

城ヶ崎:1ページ2ページじゃないわけでしょ?

正田:大体20ページぐらいの英文で貰いますね、臨床試験の論文なんかでしたら。手順書などは100数十ページというのもあります。


■薬科大で「みる」経験

城ヶ崎:
ただ訳せばいいというのではなくて、例えばスポーツだったら野球のことを訳そうと思ったら野球のことを知らないと訳せない。その専門家とは言わないけれど、そこを知らないと訳せないから、ただ英語だけやりゃいいというものではないですよね。

正田:そうです。私の場合は医学というか薬学だったんです。製薬会社さんの薬の開発段階で、色々臨床試験とか毒性試験とかをやりますね。それの論文とか手順書とかを訳す仕事だったんです。これがもう、製薬会社にお勤めしたことがないとからっきしわからない。普通は製薬会社勤務経験のある人がそういう翻訳をやるんです。私にはその経験がないから、文章を読んでもそこの風景が見えないんです。どういう実験をしているか、どういう機械を使っているか。
 近くに神戸薬科大学というのがあって、図書館にそういう文献があるので、しばらく通って勉強していたら、図書館長という人が来て、追い出されたんです。「ここは学外者に公開してません」って。まあそれは規則だったらしゃあないなと思って、でもちぇっと思いながら帰ったら、帰って何日かしたらその同じ図書館長さん、女性の方がピンポーンってうちのドアホンを押すんです。なんとうちの同じマンションの住人だったんです。
「どうもあなたのことを見たことがあると思っていました。いつも3人のお子さんを連れて歩いてはるから、しばらく一致しませんでした。よく考えたらあなただと思いました」「いいですよ、うちの図書館を使ってください」って(笑)もうその方も引退されて久しいので時効だと思いますけれど。
 それでまあ図書館に入り浸って、そのうち本だけじゃなくて実験ビデオみたいなものも置いてあるんです。それを視聴すると、例えば理科の実験でありますよね、試験管に薬品を入れて、目盛のところにこう目の高さを合わせないと正しく分量が測れないよ、みたいな。小学校や中学校でやってるような基本からそういうビデオにあるんですけど、それを見て「ああこれだ、こういうことを研究員の人達がやってるわけだ」と、どんどんイメージが湧くようになったんです。視覚的に見たら。
 あと、これも図書館長さんのご厚意で、薬科大にある、放射線の測定機械というのがあるんです。これは放射線を使いますから、凄い遮断した部屋に、こちらも放射線を遮断するようなエプロンのついた服を着て入るんです。そこの施設に話を通して特別に見せてくれました。放射線で薬を標識して血中の薬物濃度を測る薬物動態試験というのがよくあるんですけど、その論文にしょっちゅう出てくるのと同じ機械が、当時でいうと「アロカ」というメーカーと「パッカード」というメーカーと、どちらも何千万もする高い機械です、それがあったので、「お前こんなところにいたのかー!」とすりすりしちゃうような感じで。「あなたこんな形だったのー?」と。

城ヶ崎:そうか、英文には出てくるけど見たことがないから。

正田:はい。でこの機械のこのカバーを持ち上げるとここに試験管をこうセットするんですよ、と説明してくれると、それでやっと実験でやっていたことの絵が浮かんできたんです。

城ヶ崎:ほ〜。そこまで行かないとやっぱり英訳できないですよね。

正田:そうだと思います。多分だから文学の翻訳をやる方だったら、出てくる土地を訪れたりとか、そういう映画をみたりとかされると思います。
 私の場合は、その経験をしたらがーんと突き抜けた感じで、飛躍的に自分で言うのもなんですが翻訳が上手くなって、文系出身の翻訳者だけど逆に日本語の文がわかりやすい、とても読みやすい翻訳文だ、と翻訳会社さんから言っていただけるようになりました。
 その経験は今の仕事にもつながっている部分がありますね。今は、製造業と介護福祉の人の研修に力を入れてやっていますけど、どちらも私は実体験としてはない。なので可能な限り職場見学をさせていただいて、そこで働く人達の動作を記憶に沁み込ませます。


■経済小説から学ぶことは多い

城ヶ崎:
こんなこと言うと怒られちゃいますけど、訳した本てありますよね。小説でも何でもそうですけど、どうもね、イメージが湧かないんですよ。

正田:ほう。

城ヶ崎:日本人の書いた小説なんか読むとよく分かるんですけど。

正田:今時の翻訳物に関しては、出版不況でとにかく点数を早く沢山出そうとしますので、翻訳にもあまり時間をかけていられない、その分「絵として見えるように」というところまで文章表現を高められない、というのはあるかもしれないですね。
 先生はだれの小説とかを読まれるんですか。

城ヶ崎:私は高杉良が好きです。

正田:ハードボイルドですね。経済小説ですか。

城ヶ崎:あとはありきたりですけど、城山三郎とかね。
 経済って専門外なので、どんな世界なんだろうっていうのがありました。もう1つはタイムリーな題材を高杉良なんかは扱ってくれるので、常識として知っておきたかった。民間というのはどういう組織になってるんだろう。一番大きかったのは、そこに出てくる人間関係のところをこの人はどういう風にして書いていくんだろう。そこを知りたいなあと。
 日産の組合が強くて云々ていうのは、私はどちらかというと新聞よりも城山三郎の小説から知ったんです。労働貴族って言われて、これがあの人だったのか、とそっちから知ったのが多かったです。



(10) 日本人と承認と城ヶ崎メソッド に続く



100年後に誇れる人材育成をしよう。
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 ひきつづき、城ヶ崎滋雄先生(千葉県公立小学校教諭)と正田の対談をお送りします。
 城ヶ崎先生のルーツを小学校高学年時代から。「悪かった」とご自分でおっしゃる城ヶ崎先生、どんな恐ろしい悪さだったんだろう…(イヤかも^^;)



(1)メンバーの個性をどうつかむか
(2)不登校指導は「自己流」
(3)子どもの指導と成人教育と
(4)教師が「怖い」と感じるとき
(5)「冷徹な眼」と「間の技術」
(6)保護者との風景―懇談、連絡帳、学級通信
(7)武術家にとっての教育
(8)小学校時代の荒れと恩師
(9)翻訳は「みる」修業だった
(10)日本人と承認と城ヶ崎メソッド
(11)承認教育―大人が教育を受容するとき
(12)武術は「型」にこだわる
(13)「なんで」の訓練が子どもになぜ大事か





(8)小学校時代の荒れと恩師
■体罰はなかったんですか?
■悪かった小学校時代、荒れたクラスと恩師
■「お前たちも大変だな」
■無理じいしない、根負けする
■先生方が作ってくれた進路



■体罰はなかったんですか?

正田:
これもお訊きしてみたかったんですが、先生はJ大学を出られて体育をされていて、昔の指導の中に体罰とかなかったですか。先生が受けた指導の中に。

城ヶ崎:ないです。やっぱり陸上競技って個人ですから、先輩後輩といえども。あの当時のJ大というのは強かったですから、後輩も。強い人間に対しては後輩とはいえ一目置きますからね。

正田:先生は陸上の何をされてたんですか。

城ヶ崎:長距離をやっていました。ただ私たちの方がある意味特別だったんじゃないですか。そういう意味では、大学の頃から「人は人、自分は自分」という感じですよね。ウォーミングアップもみんなそれぞれ別々にやるんです。みんなで一緒にやらない。「じゃ本練習を何時何分からやるよー」って。それまで自分でウォーミングアップして、言われた時間に集まって、っていう。

正田:ふーん。

城ヶ崎:大学自体がそういう感じのところでしたね。


■悪かった小学生時代、荒れたクラスと恩師

城ヶ崎:
この間正田さんもフェイスブックで交流された私の6年時の担任だったA先生の場合、その前の年から私たちは荒れてたんです。私たちの学年全体が荒れてたというか、ヤンチャというか強者が多かったんですけどね。毎年担任が替わってるんです。持てなかったですよね。
 A先生は、私たちが6年生のときに来ました。私たちは自分たちが悪いと思ってない。先生に歯向かってるとか、荒れを作っているという自覚はあまりなくて、ただ先生が「あなたはおかしいよ」と思ってるから反発するだけのことで。今でも自分たちが正しかったと思っていますけど。

正田:城ヶ崎先生悪かったんですか(笑)

城ヶ崎:悪かったんです。

正田:この城ヶ崎先生が悪かったらとんでもないなー(笑)

城ヶ崎:だからクラスがとんでもなかったんです。でもA先生はそんな過去のことなんか一切触れないし。ある時は家庭科は隣のクラスの、あの頃の私たちから見たら「おばあちゃん先生」。やっぱり授業がつまらないんです。でみんな勝手なことをやってました。本を読んだり、聴いてなかったんです。すると先生怒っちゃって、帰っちゃったんです。

正田:ええとおばあちゃん先生が?

城ヶ崎:そう。「あなたたちは調理実習はしません!」って言って。「いいよぉ別に」って。普通の担任の先生だったら怒るところじゃないですか。それが怒らなかったんです。「どうしたんだ」「いやこうこうで」「お前たち調理実習できないって(先生が)言ってるけどどうするんだ」「いえ構わないですよ」「そうか、じゃあしょうがないなあ」それで終わりです。だから調理実習をした記憶がないですね。

正田:へーえ。そのおばあちゃん先生の方は大丈夫なんですか。調理実習しなくって。

城ヶ崎:いやー、どうだったんでしょうねぇ。私たちはその先生に対して反感とか、悪気はないんですよ。ただ授業がつまらないから、勝手なことをしてるだけなんです。はやし立てるとか授業の邪魔をしてるわけじゃないんです。そういう意味では、ある意味授業をちゃんと受けていた、というと変な言い方なんですけど。あの頃だったら、勝手に向こうが怒っちゃったね、切れちゃったねという感じで。
 だって、私たちが体育をしていると、他のクラスが降りてくるんですよ。こうやって。「一緒にやろうよ」って。その時A先生はいなかったんです。「先生いるか」「いないよ」「じゃあオレ達も行くから」。そのクラスの担任の先生は授業してるんですよ。ほんで一緒に体育の授業するとか。


■「お前たちも大変だな」

城ヶ崎:
例えば外で授業してると、軟式庭球のボールが黒板のところにビュンビュン飛んでいるのが見えるのです。「何やってんだ、あいつら」と思ったら、壁とキャッチボールやってた。その下で先生は授業してるとかね。そんな学年だったんです。小学校の時。

正田:それ投げてたのは城ヶ崎先生じゃないでしょうね(笑)

城ヶ崎:私たちは下で。投げたのはほかのクラスですから、「あのクラスひどいよなー」って(笑)自分たちもひどいんですけど(笑)まだオレ達のほうがいいよな、って。
 でもA先生は何も言わなかったですね。5年の時にいじめられてる子がいて、私もその当時初めて「ああ、こいついじめられてるんだ」って知ったんですけど、いじめって…、私も学級の割と中心の方でしたから、「お前もいじめろよ」とか、いじめないと自分の立場がないようになるんです。でもいじめたくないから、私はほかの連中がいじめるのを傍観してたんです。自分はやらないけど。そういう状態でA先生に担任持っていただいた時、先生はそれに対しても何も言わないんです。「お前たちも大変だな」と言われた時に、「この先生わかってるんだ」と。それからもう私は加担も何もしなかったんです。それから、いじめがなくなりましたね。

正田:はあ…。

城ヶ崎:A先生はきっと、そんなに深く考えて言ったんじゃないと思うんです。ほんとにそう思ったんだと思うんです。

正田:「お前たちも大変だなあ」と。

城ヶ崎:はい。あれからしばらく会ってないですけど、「先生こう言いましたよね」と言っても多分記憶にないと思います。それくらい自然に。意図的に考えて言った感じじゃなかったですね。

正田:へーえ。何だろう、それは何か宗教的な感じですね。


■無理じいしない、根負けする

城ヶ崎:
社会だけは調べ学習といって調べてきてそれを発表するんですけど、それが面白かったのと、それから調べたら、やったことに対しては発表する時間を与えてくれてたんですよ。だから頑張るのが面白かった。

正田:2月の先生の授業の中で、節分と24節気について調べてきた子がいましたよね。それで先生が時間をとってその子の発表をさせておられましたよね。ああいう感じですか。

城ヶ崎:ああいう感じです。A先生は音楽の先生なので、音楽に力を入れるんですけど、私たちはね、田舎ですから、音楽をやるのは女々しいんです(笑)ピアノを弾くのはかっこいいんだけど、「エー男の癖にピアノなんか弾いている」とそういう時代ですね(笑)音楽の先生だから音楽をやらせるわけです。それが嫌で嫌でしょうがなかったんです。

正田:そうですか(笑)

城ヶ崎:でも、無理じいしないんです。だらけてやってても。

正田:へぇ…、音楽の先生だから沽券に係わる、という勢いでやらせたりしますよね、普通。

城ヶ崎:はい。でもこっちが嫌々やってて態度が悪いのに注意をしないでどんどんどんどん授業を進めていくんです。そのうちこっちは根負けしちゃうんです。「ちゃんとやるかあ」って。

正田:へえ〜。

城ヶ崎:でここはきっと美談だと思うんですけど、卒業式の前の日にその悪かった連中で「いやぁオレ達悪い事したよなあ」、「じゃあ最後だから教室を綺麗にしていくか」その悪かった連中だけで掃除してました。そこへ丁度たまたまA先生が来て「あ、ありがとね」ってすっと帰って行った。そういう先生でしたね。

正田:そうですか。はあ、それはまたちょっととらえどころのない。

城ヶ崎:そうですね。外見は凄くおっかないんですよ。

正田:あら、そうなんですか。

城ヶ崎:まあ、あの先生が担任してくれたお蔭で真っ当になりましたね。今でいうと「ぶつからなかった」んですね。私たちと。

正田:なんだろう、達人の境地なのかしら。不思議。

城ヶ崎:でもこっちは色々と、やるわけじゃないですか。でも、A先生は何もしないから、そのうちこっちが疲れちゃって「もういいです。終わりました」という感じですよね。

正田:ふうん…。よくそれがお出来になりますねぇ。

城ヶ崎:凄いですね。

正田:A先生は今も鹿児島に住んでらっしゃるんですか。

城ヶ崎:知覧です。特攻基地の近くに住んでいます。

正田:また男くさいところに(笑)城ヶ崎先生はその頃鹿児島のどこにおられたんですか。

城ヶ崎:指宿です。

正田:温泉で有名なところですね。私は行ったことがないけれど。

城ヶ崎:あのときのA先生は、鹿児島の教員って1回は島に行かなきゃいけないんです。島から帰って来たばっかりだったですね。30ぐらいだったんじゃないですかね。

正田:割合お若くって。そのお若さでそういうことが出来るって凄いなあ。

城ヶ崎:その当時ですから、コーチングとかもない世界ですから、本当に自分の素でやってたんじゃないですか。

正田:フェイスブックでA先生が書かれているのを読むと本当によく人を褒める方ですね。その当時はやっぱりああいう方だったんですか。

城ヶ崎:褒められた記憶もないけど怒られた記憶もない。

正田:そうですか(笑)

城ヶ崎:というか、怒られたときは素直に反省しました。これは自分が悪かったなあと。そういう風に思わせるというのが凄いなあと思いますね。何せ5年の時は先生に反発しましたからね。自分もそうだけど、就職してからも崩壊したクラスに縁があったんでしょうね。
 中学の時はひどかったですからね。高校に入った時にやっと落ち着いたなあと自分で思いましたもの。私がじゃなくて、周りが。ああ高校は居心地がいいなあって。

正田:それは周りも大人になったということですか?ではなくて?

城ヶ崎:格差が結構ある地域だったんですね。親の経済状況とか生活状況が厳しいと子どもも荒れるんですよね。で温泉街。

正田:はい。ちょっと猥雑な感じですか。

城ヶ崎:そう。それから港町とか農家とか、そういうのが混在した地域なので、色んな気質が集まってるんですよ。

正田:そうですか。


■先生方が作ってくれた進路

正田:
城ヶ崎先生は地元に帰って先生になろうとは思われなかったんですか。

城ヶ崎:採用試験に受からなかったんです。鹿児島にあの当時採用がなかったですね。で千葉で受かったので、いいや千葉で、と。

正田:そうですか、それは千葉県にとってラッキーでしたね。武術は何故習い始めたんですか。

城ヶ崎:高1の頃空手をやっていました。夜の稽古でしたが。ただすぐ陸上に引き抜かれました。
私も先生に恵まれてて、空手をやってたんですけどたまたまマラソン大会で走ったら陸上部のメンバーの次に私が来たんです。その当時の陸上部はたまたま強かったんです。国体選出とか、全国で2番になるとかそんなのがいた。そのたまたま強い時に10番に入って陸上部の人間に勝ったりしたんですね。
するとその当時の1年生の先生が、陸上部に入れさせたかったみたいなんです。だけど空手をやってるから、じゃあ空手をやめさせようと。でも私に「やめろ」って言ったら嫌って言うのは分かってたんでしょうね。今思うとそんな馬鹿なと思うんだけど、「夜間外出は禁止だ」と言うんですよ。高校生に。

正田:はあ。

城ヶ崎:他校も練習に来てますよって言ったら、「本校はそうだから」。
 それで、陸上を始めて「学校をとるか空手をとるか」って言われて。学校をやめるわけにはいかないんで、「じゃ空手やめます。学校とります」と。そしたら陸上やれよって言われた。なんかうまく乗せられて、で高校2年から走ったらその年の秋、県で一番になったんです。チームも強かったんですけど、受験しなけりゃいけないので、高3になったらやめるつもりでいたんです。
やめようと思って担任の先生に相談したら、「進学先は何とかしてやるから、やれ」と。そう言うんだったらと続けていたら、地元の一流企業から「ここどうだ、ここどうだ」と。その時に丁度J大学からも話があったので、「そっちへ行きます」。そういう風に先生達が全部レールを敷いてくれて。

正田:へえ〜。嘱望された選手だったんですね。

城ヶ崎:そういうのがあって、「学校の先生っていいな」と。自分はA先生からもそうですけど、学校の先生のお蔭で真っ当な道に入って今があるんだろうなと思っていますから。教員になりたかったですね。ただ、なってみたら、そんな想いだけじゃできない仕事でしたね。



(9)翻訳者は「みる」修業だった に続く



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

 ひきつづき、城ヶ崎滋雄先生(千葉県公立小学校教諭)と正田の対談をお送りします。
 ここでは、「ぶつからない」というキーワードが出てきました。過去半世紀にわたりぶつかりまくって生きてきた自覚のある正田、少し学ばないといけないかもしれない…



(1)メンバーの個性をどうつかむか
(2)不登校指導は「自己流」
(3)子どもの指導と成人教育と
(4)教師が「怖い」と感じるとき
(5)「冷徹な眼」と「間の技術」
(6)保護者との風景―懇談、連絡帳、学級通信
(7)武術家にとっての教育
(8)小学校時代の荒れと恩師
(9)翻訳は「みる」修業だった
(10)日本人と承認と城ヶ崎メソッド
(11)承認教育―大人が教育を受容するとき
(12)武術は「型」にこだわる
(13)「なんで」の訓練が子どもになぜ大事か




(7)武術家にとっての教育
■人は人、自分は自分
■授業を見せても「見えない」
■「ぶつからない」という発想
■「先生はあまり叱らない」




■人は人、自分は自分

正田:
17日はもうちょっと集めたかったんです。小学校、幼稚園の子どもさんのいる会員がまだ何人かいて。来れなかった1人の方は、「凄く行きたかったんです」ってメール下さいましたけど。

城ヶ崎:あのとき私が「子どもの嫌がることをしない」と言ったときにご同席の方がすごく反応したんです。

正田:ああはいはい、「不登校の子が何をして欲しくないんだろうか」というくだり。

城ヶ崎:その時、普通の方々は、相手が何をしたら喜ぶかを考えてやるんだなあと。

正田:やっぱり普通そうです。ただ不登校の子の場合は多分違うんだろうなと。
 例えば不登校のお子さんが鬱に罹患している場合、鬱の初期で病勢が強いときにはどんなプラスの働きかけも受け付けないでしょうね。この時期には恐らく病院やカウンセラーを受診する気力も本人にないはずで、家を訪問してきた先生が何を言ってもやっても心を開かない、かえってマイナスの刺激になるということがあると思うんです。
 そういう時期は「日にちぐすり」で、親がひたすら美味しいご飯、子どもの好物を作って少し回復してくるのを待つしかないです。
 行動療法のカウンセラーが「リードが大きい、小さい」っていう言葉を使うんですが、城ヶ崎先生の言われる「引っ張らない」ということと一緒ですね。普通はそういうのを理論を学んでやるんですが先生は無手勝流で。

城ヶ崎:それが経験になって、普通の子をみたときも、「この子は何を嫌がってるんだろう。何をしてほしくないんだろう。だったらそれはしないでおこう」というのは、考えますね。
 正田さんには大阪で人を紹介していただいたりして本当に感謝しています。どうしてまたそうやって人がついてくるんだろうと。

正田:どうでしょう。もう少し私が大きい人間だったらもっとついてきてくれるのに、というのはありますけれど。

城ヶ崎:私は大人に対しては結構冷めてるんです。「人は人、自分は自分」。同じ学年で何かを一緒にやったときも、特に言わなくてもいいと思ってしまう。お伺いを立てなくていい。やっていることに対しては異議は言わないからどうぞ好きにしてください。その代りお互いに、干渉しないで欲しいと。逸脱しているんだったら別ですけど、干渉するのはやめよう、と。ただ、「こういうことをしているよ」というのは言うよ、と。

正田:はあ…。それもやっぱり武術家っぽいなあと思います。凄く「個」なんですね。

城ヶ崎:その方が楽でいいでしょう、お互い。

正田:でも教室ではできる子ができない子に教えるということを大事にされているのに。

城ヶ崎:困ったらSOSを出すだろうと思ってるんです。困ってもいないのにこちらが口を出すとそれは単なるお節介にしか過ぎないんじゃないかと。


■授業を見せても「見えない」

城ヶ崎:
もう1つは、私の授業を若い人たちが見に来たときに、結構いい授業をするときがあるんですよ。「これ気づいて」と思うときがあるんですけど、それは「見えない」んです。

正田:見えない。

城ヶ崎:うん、気づかない。わからない。ここに今、テクニックを使ったんだよとか、発表はしないんだけど誰かがふっとつぶやいたことをぱっと取り上げる。などというのが、わからないんです。

正田:ふーん…私もどこまでそれが見えていたかどうかわからないんですけど。

城ヶ崎:それがわからないので、説明してもわからないんです。つまり、まだそこの域に達してない、というか。だから「分からない人に言っても『見えない』んだな」と。そんな世界ですね。

正田:熟達者だけが熟達者のやっていることが分かる。

城ヶ崎:自分の下手さが分からないと、相手に学ぼうとしない。そもそも自分が下手だとあまり思ってないかもしれませんね。そういうプライドがあるんだったら、そのプライドを傷つけるようなことをすると、人間関係は上手くいかない。だからもうあまり余計なことはしない。求められたら応えるけど、求められなかったら特に口出しはしない。

正田:実は学校の先生になる人がどういう動機でなるのか、というのを、これは観察していて思うんです。身近な2,3の例もあるにはあるんですが。「人から尊敬される存在でありたい」という動機づけでなる人がいるんです。教室中から何十人もの眼で注視されたい。自分の号令1つで何十人が動くのが快感、自分の重要性を感じる。「オレってすばらしい」と感じる。厳しい言い方をすればナルシシズム、井の中の蛙的ナルシシズムですね。
 そういう人は例えば、「生徒がこんなに成長してくれた」「こんなことを言ってくれた」というのはどうでもいいことなので、そういうことが「嬉しかった」とどこかで話したりしない。

城ヶ崎:私はね、子どもは変えなきゃいけないと思ってるんです。成長させなきゃいけない。だからこの間の2月時点のクラスを見てもらいましたけど、ああなって嬉しいとは思わないです。それで当たり前。だからいつも「普通ですよ」と。

正田:はあ…、その普通は多分普通とは違います(笑)アメリカの有名な心理学者、セラピストの故ミルトン・エリクソン(現在のNLPの源流)の仕事ぶりを「アンコモン・セラピー(普通じゃないセラピー)」って言うんですけど、城ヶ崎先生のおやりになっているのは「アンコモン・エジュケーション」、普通じゃない教育だなあと思います。

城ヶ崎:そうですか。

正田:城ヶ崎先生はバックボーン、ベースを幾つもお持ちなんです。陸上の先生だったり、武術をおやりになっていたり、コミュニケーションの面では4年間無手勝流で不登校の子をみられたということも大事なベースだと思いますし。そういう他人に真似のできない幾つものベースをお持ちになってやられているから本当に独自の世界をお創りになっていると思います。
 折角同時代に素晴らしい先生がいらっしゃるのに、ほかの先生方が城ヶ崎先生から学ばれないのは勿体ないですね。皆さんが先生の授業を少しでも「見える」ようになってくださると嬉しいです。
 先生は近場の先生方にとっては脅威すぎるから、これからは遠方の先生方が先生の授業ぶりを学びに来られるかもしれないですね。


■「ぶつからない」という発想

城ヶ崎:「
ぶつからない」というのは、武術的発想ですね。

正田:ぶつからない。

城ヶ崎:ぶつかるんだったら逃げるとか躱すとか。それは武術から学びました。下手に抵抗すると怪我するんです。よく武術で、わざとらしく投げられる場面ってあるじゃないですか。なんでこんなにわざと投げられてんの?と。違うんです。ああしないと自分が痛い目に遭うから先に受けをとって飛んでくんです。触った時点で、「あ、負けた」ってわかるんです。ところが、上手くなると分かるんです。上手くない人は分からないからそこで踏ん張って怪我するんです。
これは子どもとの関係で言うと、「あ、これをやるとぶつかるなー」「上手くいかないなー」って分かると、躱す。気がつかないから、がんがん攻めていって、関係を悪くしていく。そういうのは武術から学びましたね。

正田:なんか耳が痛い話です(笑)

城ヶ崎:で、どうしても相手が許してくれないとか突っかかってくるときは、逃げる。負けるが勝ちです。そこには学問的な専門的な理論はないんですけど、武術をやっていて体感で憶えた、という。

正田:私身体論について書かれた本はそれなりに読むんですが、読んでも自分が武術をやったことがないから分からないし、書き方が上から目線ぽくて、反発しちゃうんです。でも城ヶ崎先生と子ども達の間に流れているものをみると信じられるんです。身体論のようなものがあるんだなあって。

城ヶ崎:「ぶつからない」と思った時点で、勝ってるんです。それが、かっかしたり激昂すると、「あ、負けたな」って思うんです。叱ってても「あ、これはまずい」。その時に別の自分がささやくんです。

正田:そういう風になられたのは何歳ぐらいですか。

城ヶ崎:不登校の子に関わるようになってからですよね。あの手、この手でもダメだから、「あ、まずいんだな」。その当時は自分で言ったりやったりして「まずい」と分かるんです。でも今は、言ったりやらなくても自分の頭の中でシミュレーションしておいて、「これやめとこう」という風には出来るんです。
 ある意味経験、私の場合はもう経験ですね。

正田:その年齢になられても同じことが出来ない方は一杯いらっしゃいます。

城ヶ崎:そういう人は経験がないからですよ。

正田:経験がないから?だって人を怒った経験とかは一杯あるんだろうけど。

城ヶ崎:ああ、でも怒ったら子どもは言う事聞きますから。従うでしょ。その従い方が、反発というか素直に従っていると思わせているだけかどうかはわからないでしょ。


■「先生はあまり叱らない」

城ヶ崎:
この間3年生が終わるので、じゃあ「3年3組ってどんなクラス?いいところは何?」と書かせたら、カルタができるとかリレーができるとかの他に、結構私のことを書くのが多くて。「いや別に先生のことを書けとは言ってない」って。クラスがどうなんだって書きなさいって言ってるんだよ、と言ってるのに。

正田:へー。どんなことを書くんですか。

城ヶ崎:ある男の子が、「先生はあまり叱らない」。私からよく叱られてるんですよ。叱られてると思ってないんだ。

正田:(笑)

城ヶ崎:こっちは叱ってると思ってるんですね。1年間持ちながら叱るということに対して。でも言われてる方は納得してるから叱られたと思ってないんでしょうね。ごもっともと思うから。ああそういうことなんだなって。

正田:ちなみにどういうときに叱ってらっしゃるんですか?

城ヶ崎:どういうとき叱るというと、個人が特定されてしまいますから控えますけど、私の基本的なスタンスとしてはなぜ叱られたのかを自覚させる。行動を起こす前に注意を喚起する。できるようになったら褒める。注意の喚起と褒めるを繰り返します。叱りっぱなしにしないので、「叱られた」と思っていないのでしょう。

正田:ふーん…、凄いことです。

城ヶ崎:そういう風に思わせないようにしようというセンサーは働くようになりましたね。

正田:凄いです。

城ヶ崎:それこそ正田さんの「承認」です。

正田:いやいやいや、承認って言ってる私が全然出来てないから(笑)

城ヶ崎:あれは、まずは共感して、それから質問して、あとは励ますだけですよね。そのパターンで。



(8)小学校時代の荒れと恩師 に続く


100年後に誇れる人材育成をしよう。
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 ひきつづき、城ヶ崎滋雄先生(千葉県公立小学校教諭)と正田の対談をお送りします。
 対保護者にも独自の工夫満載の城ヶ崎先生。「〇×式懇談会」のお話には、「そんなの兵庫にはありません!」とエキサイトしてしまった正田です。



(1)メンバーの個性をどうつかむか
(2)不登校指導は「自己流」
(3)子どもの指導と成人教育と
(4)教師が「怖い」と感じるとき
(5)「冷徹な眼」と「間の技術」
(6)保護者との風景―懇談、連絡帳、学級通信
(7)武術家にとっての教育
(8)小学校時代の荒れと恩師
(9)翻訳は「みる」修業だった
(10)日本人と承認と城ヶ崎メソッド
(11)承認教育―大人が教育を受容するとき
(12)武術は「型」にこだわる
(13)「なんで」の訓練が子どもになぜ大事か





(6)保護者との風景―懇談、連絡帳、学級通信
■コの字の懇談会からワールドカフェへ
■連絡帳でびっしりやり取り
■学級通信を年間228号




■コの字の懇談会からワールドカフェへ

城ヶ崎:
ディスカッションしてくださいと言って、企業の場合には参加意欲もあれでしょうから、活性化しない班もあるんでしょうね。

正田:そうですね、じめーっとした空気のところもありますよね(笑)

城ヶ崎:そういうときには中に入っていくんですか、正田さんは。それともそこの班が盛り上がるまで待つんですか。

正田:入ることが多いかな、あんまりじめっとしてると。何かちょっかいを出してあげるとか(笑)褒めてあげるとかすると、大体男の人だったら喜んでくれますから(笑)

城ヶ崎:あー、そうか企業だから男の人が多いんですね。

正田:管理職の方は圧倒的に男性、もう9対1で男性です。

城ヶ崎:私はどちらかと言えば子どもと母親、まあ女性と関わるのが多いですね。
 学級懇談会をやるとき、私は子どもの班と同じで3人4人1グループずつで話し合いをしてもらうことにしています。

正田:へえ…。そういうのはなかったです、今まで。

城ヶ崎:テーマだけ与えてそれこそトランプみたいにカードを置いて、お正月前だったら「お年玉」「わが家の風習」とか裏に書いておいて。リーダーの人がめくって、「じゃあ今回のテーマはこれで行きましょう」とめくった人が司会になって、少人数だとまあ皆さんよく話をしますね。

正田:そうですよね、絶対そのほうが盛り上がると思います。今まで経験した学級懇談会って大体大きな輪になって1人ずつ何かしゃべって、というものですが、あれは良くないですね。ああ、そういう懇談会だったらいいなあ。

城ヶ崎:コの字の形ですね。コの字にすると自分の番が回ってくるまで人の話を聴いてないでしょう。「何しゃべろうかなあ」と。しゃべり終わったら、今度は後悔するんですよね。「あれをしゃべれば良かった」と(笑)少人数、3−4人ぐらいにすると、そんな風にはならないですね。

正田:皆さんそういう形式にすればいいのに。無かったなあそういう学級懇談会。

城ヶ崎:テーマを決めた時なんかは、グループ懇談してそのテーブルに1人残しておくんです。あとは席替え。

正田:ワールドカフェじゃないですか。

城ヶ崎:さすがに詳しいですね。

正田:よく色んな手法をご存知ですね。

城ヶ崎:それは教わったから。席替えをすると、気分転換になるでしょう。

正田:兵庫にはそんなの入ってません。先生沢山の勉強会に行かれて、勉強する先生というのは、されますねえ。

城ヶ崎:うーん、勉強してるとは思わないですけどね。ただコの字にして1人ずつ言っていくのが親御さんも辛いだろうなと思って。

正田:はあ、辛いです(苦笑)。

城ヶ崎:だったらもっと楽にさせてあげる方法はないかな、と考えますからね。

正田:有難い。有難いけどうちの兵庫にはない(笑)コの字で保護者懇談会をやるときは私は保護者としてもう、作りますね。演技しますね。下手に出たほうが悪く思われないんだろうなと思って、「すみませんうちの子がご迷惑かけてます、何か悪い事してたら教えてください(リアルに)」ってひたすらそればっかり(笑)

城ヶ崎:そうでしょうね。聞いてる方も、なんか辛いんですよね(笑)大変だろうなーと思いながら。でもワールドカフェの形にすると、少人数にするとこっちが楽でいいんです。


■連絡帳でびっしりやり取り

正田:
先生はその時何をされてるんですか。

城ヶ崎:正田さんも同じだと思うけれどぽつっ、ぽつっとそのグループの中に入っていって、頃合いを見計らって「それはそうですよね」と話の中に加わっていく。でも加わっていくと、折角親御さん同士がうまくやっているのに、私が入っていくと私が中心になってしまうんですよ。みんな私のことを「先生だ」と思ってますから。話を聴かなきゃいけないと思ってますし。それはそういう空気を感じながらしゃべって、また向こうに戻していく。折角その場が盛り上がってるのに私が奪っちゃ悪いですから。1か所に長くいると「なんであそこだけ」ってなるから、大体少しずつで移動して。同じじゃないですか?

正田:同じだと思います。大変だろうなあと思って(笑)保護者さん方同士の噂の話がどこかで出ていましたけど、特定のお母さんと親しいみたいに思われてもつらいだろうなあと。

城ヶ崎:うちのクラスは、毎回連絡帳に5−6人の親御さんが書いてくるんですが、その方々は私がそんな沢山の人と連絡帳にお返事を書いてるって思ってないみたいですね。

正田:はあ。というのは、書いてくる方はこんなに書いてくるのは自分だけだろう、と思っている。

城ヶ崎:そうですね、こんなこと書く人はあまりいない、と思っているみたいですよ。

正田:へえ…凄い深いやりとりをされてるんでしょうね。

城ヶ崎:今学年の親御さんが最後、「お世話になりました」って書いてきたときに、共通していたのは、「私も学ばせていただきました」と。それがほとんど書いてありましたね。やっぱり年齢的に私の方が上ですから、親御さんは30代40代、アラフォーですから、私の方が年上だから私の話を聴こう、という気持ちがあるんでしょうね。言う事をきこうというんじゃなくて、耳を傾けよう。


■学級通信を年間228号

城ヶ崎:
あとは学級通信も子育ての一助になればいいかなと思って書いています。

正田:毎日出されてるんですか。

城ヶ崎:そうですね。今回授業日数が200でしたけど、学級通信は228ですから。

正田:えーっ。1日2枚のことがあったんですね。凄い労力。いつそんなに書かれてるんですか。

城ヶ崎:毎日学校にいると、ネタは子どもがくれますから。書くのは朝です。毎日3時ぐらいに起きるんです。だから朝は長いんです。学校では書かないことにしています。仕事じゃないですから。学級通信は、私が好きでやってるだけのことなので。親御さんは学校で書いてると思ってるみたいですけど。

正田:だって休み時間、子どもさんたちを遊ばせてる間に書けるかと言ったら書けないでしょう。

城ヶ崎:書けないです。連絡帳の返事とか書かなきゃいけないですから。私が出張で2−3日休んだ時に代わりに入ってくれた先生がいるんですけど、「親御さんへの返事が放課後までかかった」と言ってました。

正田:放課後までかかったら、その子に返せないじゃないですか。

城ヶ崎:ずっと持っていて、放課後、帰りの会の時に連絡を書きますから、その時にやっと返せた、という。私は大体それを2時間目が終わるころには終わってるんです。2時間目が終わったあとの20分程度の長休み時間。

正田:はあ…。じゃあ本当に親御さんも育てていただいたという感じですね。それだけやり取りされたら。

城ヶ崎:素直に私の話を受け容れてくれる方はそうでしょうね。色んな方がいますから、全部がそうとは思ってないですけど。今回村岡さんのブログを見て正田さんが「あ、いいなあ」と思ったのと同じようにあれを見ても「ふーん」と思う人もいるわけですから。

正田:うーん、そうなのかなあ。

城ヶ崎:あれを見て関心を示す方のほうが、私は「へーあれで関心を示したんだ」と思いますよね。あんまり反応なかったですよ。でもそのお蔭で大阪でいい方々を紹介していただいて良かったです。



(7)武術家にとっての教育 に続く



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

 ひきつづき、城ヶ崎滋雄先生(千葉県公立小学校教諭)と正田の対談をお送りします。
 ついに秘密のヴェールをぬぐ城ヶ崎先生・・・というのは大げさですが、ちょっとマニアックな回です。



(1)メンバーの個性をどうつかむか
(2)不登校指導は「自己流」
(3)子どもの指導と成人教育と
(4)教師が「怖い」と感じるとき
(5)「冷徹な眼」と「間の技術」
(6)保護者との風景―懇談、連絡帳、学級通信
(7)武術家にとっての教育
(8)小学校時代の荒れと恩師
(9)翻訳は「みる」修業だった
(10)日本人と承認と城ヶ崎メソッド
(11)承認教育―大人が教育を受容するとき
(12)武術は「型」にこだわる
(13)「なんで」の訓練が子どもになぜ大事か




(5)「冷徹な眼」と「間の技術」
■武道武術やってますか?
■「子どもはたるませないのが大事」(城ヶ崎)
■「間」と大人の苦渋




■武道武術やってますか?

正田:
城ヶ崎先生は私どもの言葉でいうとPDCAのサイクルが速い。やってみて上手くいかなかったら、「上手くいってない」ということをちゃんと認識するということが凄く大事なんです、だめだったらまたやり方を変える、そのサイクルが非常に速いので、結局非常に正しい有効なやり方に速く行き着かれているんだと思います。
 その「常に見続ける目」というのがおありですね。

城ヶ崎:それは評価しすぎだと思います。

正田:城ヶ崎先生は武道・武術をおやりになってますか。

城ヶ崎:はい、してますよ。合気道をやっていたんですけど、ここ10年ほどは古武術に変えたんです。

正田:古武術ですか。甲野善紀さんがおやりになるような。

城ヶ崎:あれと似てますけどね。詳しいですね。甲野善紀さんをご存知だとは。

正田:一度講演を聞きに行かせていただいたことがあります。介護のときの身体の使い方なども目の前で見せていただいて面白かったです。

(電話で中断)

城ヶ崎:すみませんでした。この間の駅伝で3位になったので、市のほうから表彰してもらえるということで。

正田:うわ、おめでとうございます。あれは2位とデッドヒートだったんじゃないですか。

城ヶ崎:よく知ってますね。

正田:どなたかが結果とタイムをシェアしていただいて。

城ヶ崎:そうなんです、1区で1位でしたが、ゴールは3位でした。

正田:凄いですよ。お子さんがたは何て言ってました?「やったー」それとも「悔しい」?

城ヶ崎:うーん…メダル貰いましたからね(笑) 勝つつもりでは行ってなかった。夏のリレーの優勝の時は勝つつもりで行ってたので、優勝は嬉しいけれど半分ほっとすると。今回は3位になれれば御の字だけれどなれればいいかなあ、と。

正田:武術の方に話を戻すと、ああやっぱり、という感じです。先生の立ち姿をみていて、全方位に意識が向いている人だなという、武術をやる人っぽいなあと。それとお話の内容、やっておられるお仕事ぶりをみていて、そのPDCAが速いのも、多分ずっと目線を相手に合わせて観ているからだろうと。冷徹な目で、と言ったらあれですけど。感情の振れも少なくて、例えば「この野郎」と自分の感情の方に意識が行っちゃったら多分相手をみれなくなると思うんですけど、先生はそれを極力せずにずうっと観ていらっしゃるから、これは武術家の目なのではないかと思いました。

城ヶ崎:そこと武術を結びつけるのは、どうしてまた。

正田:私は全然武術をやらないんですけど、やっぱり武術家というのは、相手がこうきたらこう返す、というのはいつも考えている人達なんじゃないかなと。

城ヶ崎:ああ。私ね、後ろに立たれるのが凄く嫌なんです。すごく「感じる」んです。「やられる」っていう。

正田:仮に子どもさんが偶然後ろに立ったらどんなことになるんですか。

城ヶ崎:相手の意図が分かっていると後ろに立たれても不安はありません。街中で信号待ちをしていると、後ろにいる人が何を考えているのかがわからないので、気になります。

正田:へえ〜。


■「子どもはたるませないのが大事」(城ヶ崎)

城ヶ崎:
全方位というか、近くには寄らない。間をとってね、正田さんの冊子(『最高のプロの2日間の授業』)の中にもありますね。間をとってみていく方がよく見えるから。

正田:はあ。私のは「間」は違う意味の間のような気がしますが(笑)

城ヶ崎:子ども達の朝の遊びでも、この間は縄跳びでしたけど、1人の子に教えたことは教えたけど、すーっとまた引いて、あっちこっち歩き回ってたと思うんですよね。ずっと1人の子にはやらない。

正田:ええ、ええ。

城ヶ崎:どうしてまたあの対談で「正田さん、『間』がありますよね」っていう話になったんですか。

正田:あの小冊子自体が何のために作られたか、という話ですけど、特に大人に教える時には「間」が大事だというのは無意識に思ってやっていて、それをあの北中先生(国際大学連合=IFU=理事長)が評価してくださったんです。その「間」をなかなか、企業の人事担当者、要するに研修商品を買うか買わないか決める人たちが評価してくれないんです。本当は私は「間」をとってあげることで、「間」をとりながら生徒さん一人一人とアイコンタクトを合わせたりしながら、多分これをやってる間に生徒さんの脳が吸収してくれている、ということが感覚でわかるんです。だから「間」は大事だ、というのは私には大前提なんです。企業の人事担当者さんとかはそれが分からなくて、単に…

城ヶ崎:沈黙ですか。

正田:というか、さぼってると(笑)ポンポン、テンポの速い研修のほうが生徒さんは「テンポが速くて面白かった」とアンケートに書かれるんです。ただ「面白かった」というのと「吸収できた」というのはまた別の話です。
 それは城ヶ崎先生のおやりになっていることとは全然別の話なんです。北中先生もおっしゃっていましたけど、大人は「間」と「理論」が大事だ。子どもの場合は反復練習もするから、スピードも大事なんだ、と。

城ヶ崎:子どもの場合には、「間」をとるとそこでだらけるんですよね。たるむ、というか。だから間は空けない。

正田:そうなんですね。多分私が子どもさんを教えたら全然ダメだと思います。

城ヶ崎:だけど、例えば「誰々ちゃんが発表して」それを聴いているとき、本人は発言しないかもしれませんけどほかの人が発言していることに対して聞き耳を立てる、そういうことは大事にしますけどね。だから聴いてなきゃわからないでしょ、と。いつも私が思っているのは子どもをたるませない。時間を与えない。のんびりさせない。


■「間」と大人の苦渋

正田:
私の場合は大人相手だということと、「承認」という、大人にとってもきわめてメモリ量の大きいものを教えていることの両方の要因で、「間」を重視するようになっていると思います。相手に吸収させるためには「間」という技も必要だということ。生徒さんの人生を根幹から変えるような変容を起こさせるために、ポンポンと速いテンポの研修は効果がない。そこに「間」が必要だ、というのは私が「承認」を教える試行錯誤の中で生まれてきました。
 もちろんそれを導入するためには生徒を「たるませない」講師の信頼される人間性、厳しさと優しさの提示、なども前提となると思います。
 最近では、福祉関係者相手の研修で途中で私がぴたっと流れを止めて、会場の意思を問うような瞬間がありました。普通はその「間」のあと普通に流れを再開するんですけど、その時会場から拍手が湧いたんです。「YES」の意思表示だったと思うんですけど。嬉しかったですね。その場をご覧になってないと、ちょっとご想像いただくのは難しいかもしれないですね。
 大人の場合は仕事の中で味わってきた色んな苦痛とか苦渋とかがあって、研修に参加する最初の段階ではもう、ニュートラルより下の状態なんです。ネガティブな状態から入っていると考えて大丈夫なんです。私の場合、ニュートラルよりここ(かなり上)まで引き上げたいと思っていますから、ネガティブなものを吐き出してもらう時間というのは絶対必要なんです。
 それでディスカッションを入れます。ディスカッションが多分ピア・サポートのようになっているんだと思うんですけど。お互い愚痴を言ったり「わかるわ、うちもよ」みたいなことを言ったり、やりとりしているうちに上がってきてこちらが行きたいところを受け取れる状態になっていく。
 もちろん、受講生同士で吐き出していただくだけじゃなくて、不満がこちらに向かってくる場合もあるので、それへの備えというか構えというかは、常にしておくんです。どういう不満があり得るかということは事前にリサーチした上で、出てきたらちゃんと受けとめますよ、と。

城ヶ崎:最初はコーチングの話じゃなくてお互いが現状を認識するみたいな時間をとるということですか。

正田:そういう時間を先に取る場合もありますし、先にある程度こちらが言いたいことを言ってから「じゃあディスカッションしてください」というと愚痴がばーっと出てきたり。



(6)保護者との風景―懇談、連絡帳、学級通信 に続く



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

 ひきつづき、城ヶ崎滋雄先生(千葉県公立小学校教諭)と正田の対談をお送りします。
 無敵の教師が「怖い」と感じるものは何か?というお話になりました。


 なお後付けですが正田はリーダー教育の中で感情の自覚、とりわけ「怖れ」の感情の自覚を非常に重視して扱います。ほとんどのリーダーにとってむずかしいところですが、城ヶ崎先生はそこを難なくクリアされています。



(1)メンバーの個性をどうつかむか
(2)不登校指導は「自己流」
(3)子どもの指導と成人教育と
(4)教師が「怖い」と感じるとき
(5)「冷徹な眼」と「間の技術」
(6)保護者との風景―懇談、連絡帳、学級通信
(7)武術家にとっての教育
(8)小学校時代の荒れと恩師
(9)翻訳は「みる」修業だった
(10)日本人と承認と城ヶ崎メソッド
(11)承認教育―大人が教育を受容するとき
(12)武術は「型」にこだわる
(13)「なんで」の訓練が子どもになぜ大事か




(4)教師が「怖い」と感じるとき
■音楽会や運動会には顔を出さない
■おじいちゃんおばあちゃん先生になる恐怖
■「普通」というのは怖いから
■期待に応えられない怖さ、マンネリになる怖さ



■音楽界や運動会には顔を出さない

正田:
幸せですね、城ヶ崎先生に持っていただいているお子さん方は。

城ヶ崎:いや、子ども達は分からないですよ。

正田:えー?先生が前任校の音楽会に招待してもらって行かれて、でも子ども達に分からないように聴いて帰ってきた、というお話をフェイスブックで拝見しましたが、あの話はちょっと泣けてしまいました。ひょっとしたら城ヶ崎先生の姿を見たらみんな「わーっ」となって駆け寄ってしまって、会がわやくちゃになるんじゃないかなと。

城ヶ崎:そうですね、まさにその通りで、今の担任がいるわけですから、今の担任はそういう状況をみたら、うーんあまりいい気はしないだろうなと。だから、そっと見てそっと帰ったほうがいいかなと。
 運動会のときもそうだったんですよ。運動会も普通はその学校を出たら、次の年は来賓として招ばれて、来賓席でこうやって見てるんですけど、私は行かなかったんです。その次の年も行かなかったんです。離任して3年目の今年初めて行って、何故かというと最後に教えた子ども達が6年生だったので、組体操だけ見たかったんです。そのときも私が行くことは子ども達は知らないですし、組体操だけ終わったらすぐ帰りましたけどね。
 ただ私のことを気づく子どもがいますから、あとで親から「来てたんですか」と訊かれて「はい、行ってましたよ」と。

正田:そうですか。なんだか泣けるなあ。

城ヶ崎:そうですか?

正田:そうやって先生と再会したときに初めて、自分がどれだけこの先生大好きだったか分かるんじゃないかって。結構よくあることなので。音楽会などの行事をしたら転任した先生が来られていて、紹介されて立って挨拶されて「わーっ」て拍手して。そういう光景はよくありますから、でもそれは城ヶ崎先生はできないことなんですね。

城ヶ崎:そうですね、苦手ですね。やっぱり今いる人に申し訳ないな、という。
 子どもですから、私が来たら喜んでくれるのはわかってるんですけど、今の担任はさっきも言いましたけどあまりいい気持ちしないだろうな。
 あとは音楽会にしても運動会にしても、披露する場なのに私が行くことによって私のために時間を奪われちゃうでしょ。止まってしまう。それが申し訳ない。

正田:そうなったご経験が実際におありだったんですか。

城ヶ崎:それはあまりないですけど。逆に私なんかは、「ああ前の先生が来てるなあ、行っておいで」と子ども達に言うほうです。子どもの前に顔を出すということは、その先生が子どもに会いたいんだろうなと思うので、「じゃあ行っておいで」とやります。
 まあ、色んな考え方がきっとあるでしょうね。

正田:そうなんですかねえ。会ってあげてもいいのにと思いますけれど。
 今年の離任式の時に何があったのか伺ってもいいですか。

城ヶ崎:離任式の時に、特に私は何もないです。私がもう学校の先生をやめるという噂が親御さんたちの間に立ったらしいんです。それをききつけた親が来てくれたのもそうなんですが、その前に1月か2月に親が私に記念品とか花束を贈るという計画を立てたらしくて、「なんでだろう、これで担任持ち上がったらどうするんだろう」と思って、「私が持ち上がったらどうするんですか。返さなきゃいけないんですか」(笑)ときいたんです。そしたら「それはそれだ」と言われるので「変だなあ」とは思ってたんですけどね。そういう噂が立っていたらしくて。
 保護者の方も離任式の時にどの先生が出るかというのは知らないのですが、噂をききつけた人達が来ていました。

正田:あれは兵庫県とは凄くシステムが違うんですね。兵庫県だと、3月31日に各戸のポストにお手紙が入るんです。4月1日に離任式をやります、離任されるのはこの先生方です、と。それを見て、「あ、この先生が離任されるなら明日行こう」と決めたりするんです。

城ヶ崎:船橋も、前はそうだったんですよ。今年だと27日に新聞で出ましたから、4月1日に離任式をやるんですよ。それで子ども達が来て、という形だったんですけど、あともう、薄々みんなわかるんですよね。



■おじいちゃんおばあちゃん先生になる恐怖

正田:
城ヶ崎先生、何歳まで先生をされるんですか。

城ヶ崎:教員しかできないですから。
 ただ40代の後半のころに、管理職になりたいと思ったんです。なぜだと思います?

正田:なぜですか。ほかの先生を変えたい、とか。

城ヶ崎:いや、そうじゃなくて、私はあまり人のことは考えないんです。

正田:そうなんですね(笑)

城ヶ崎:その当時50前後の先生をみたときに、「おじいちゃんおばあちゃんだな」と思ったんですよ。

正田:まあ、そういう方も沢山いますけど。

城ヶ崎:ちょうどそのころに教えた子どもの妹が家に帰ったら「こんど私の担任おばあちゃん先生だった」と親に言ったらしくて。でもその当時そのおばあちゃん先生って言われた先生は51か2だったんですよ。子どもにそう思われちゃ、続けられないなって。

正田:うーん(笑)ああそれで「僕ももうおじいちゃん先生」と思われたんですか。

城ヶ崎:で、管理職試験を受けたんですけど、いい具合に受からなくて(笑)そんなことをしているうちに、「あれ、50前後になっても子どもがついてくる」と。だったら別に担任をやめたくて管理職を目指したわけではないから、これなら続けられるかもな、と。で今に至ってるんです。

正田:めちゃくちゃついてきてるじゃないですか。

城ヶ崎:どうなんですかねえ。正田さんのレポートに書いてありますけど、あまりそういう意識はないんですよ。成功したとかうまくいっているとか。


■「普通」というのは怖いから

正田:
はあ。いつも「普通のクラスですよ」「普通のことをやってますよ」とおっしゃいますね。

城ヶ崎:普通というか、いつも恐れというか、怖い。私はどちらかというと性悪説、マイナス思考なんです。

正田:そうなんですか。

城ヶ崎:うまくやっているとは思うんだけど、これがいつまで続くかなあとか。

正田:でもそれはそうですよね、子どもはいつも変わっていく存在ですから。

城ヶ崎:そんなに、自分がうまくいっているとは感じないんですよね。

正田:うちの受講生のマネージャーさんもいつもそれはおっしゃいますよ。例えば1位になった人でも、数字は必ず出ますから、1位というのもその半期ぐらいの実績なんですけど、やっぱり「人間というのは水ものですからうまくいっているとは思ってませんよ」とは必ずおっしゃいます。

城ヶ崎:そうですね、だから怖いですよね。逆に、子どもたちが言うことを聞いてくれると、有難いというか「おお、言うこと聞くんだ」と思いますね。

正田:それは慢心されないというのは素晴らしいことですね。

城ヶ崎:かっこよく言うと慢心しないんでしょうけど、やっぱりおっかない、怖いというほうが先ですね。「うまくいくかなあ」といつも思っていますね。


■期待に応えられない怖さ、マンネリになる怖さ

城ヶ崎:
逆に今度の子たちを4年で持ち上がったとしたら、今以上を子どもは望むはずですから、「今度は何をやってくれるんだろう」。そういう意味では持ちあがるのは怖い。

正田:持ち上がるんですか、どうなるんですか。

城ヶ崎:それはまだ発表がない。校長がまだ発表していないからわからないんですけど。

正田:3年から4年というのは解体するんですね。

城ヶ崎:子どもは解体しないです。先生は替わる可能性があります。1年間のつもりでやっていますから、それにそんなにネタがないですから(笑)
 だから持ち上がると子どもとの関係ができているから楽だ、という人がいますけど、これで伸ばせなかったり親が期待するのに応えられないほうがプレッシャーです。(注:今年度実際に持ち上がりの4年生担任) そんなこと思いません?お仕事の中で。

正田:どうでしょうねえ、私も一応実績は背負ってきているんですけど、「あれ、実績あるみたいに書いてあるけどダメじゃん」と思われるのは怖いなあと、ゾッとします。
 企業向けの研修講師って大体、得意分野があったらそれを歌舞伎の十八番みたいにずっとそればっかりやるんですよ。私だったら「承認」がもう圧倒的に多いんですけど、逆に同じプログラムを繰り返しやるということでマンネリになるというのは物凄く怖いですね。
 ただ承認だったら承認をどういう順序でお伝えしたら、どういう実習を間に入れて、どういう説明の仕方をしたらベストに身に着いてくれるかというのはもう大体わかっているので、動かせないところの方が多いんです。それをやっている自分が結構怖いです。

城ヶ崎:受ける人は毎回違うんでしょうから。

正田:はい、違います。

城ヶ崎:でもそれは分かりますね、同じことを言ってると「これでいいのかなあ」と思いますよね(笑)

正田:思います。先生は毎日どんどん違うことをおやりになっているじゃないですか。教科も違うし。

城ヶ崎:算数だったら、今日は分数、小数と違うんですけど、教え方の根本は一緒ですからね。流し方とか。そこのところに変化がないというのは不安ですよね。


■PCソフト、ICT―タブレットは評価していない

正田:
算数はあのPCのソフトをほかの先生が作ってくださってるんですか。

城ヶ崎:友達が会社を立ち上げて作っているので、それを買っています。自腹です。

正田:えー。お幾らぐらいするものですか。

城ヶ崎:あれは…、CD1枚が3000円ですから、5巻あるので1万5千円。
 あれをやると子どもが喜びますし理解しますからね。

正田:喜んでやってましたね。

城ヶ崎:教師の腕がなくてもPCさえ見せれば。いいものは使わせてもらう。

正田:今どんどんICTが入ってくるんですね。電子黒板はまだ入らないんですか。

城ヶ崎:まだ入ってこないですね。

正田:あと全員タブレットを持たせるとか。

城ヶ崎:地域によってはそういうのもあるんでしょうけど、タブレットは私はあまり効果がないと思ってるんです。何故かというとタブレットをやると、先生と子どもの二者関係しかなくなっていく。
小学校というのは、みんなと何かするから、いい。うちの学級だったら、早く終わった子どもに「何かやる?それとも友達にドリル教えにいく?」「教えに行く」「じゃあヘルプ希望する人」「はあい」ここで関わるわけでしょう。そういうのが大事だと思ってるんです。人って優しくされないと人に優しくできないでしょ。
 丁度子どもが親に小さい頃から面倒をみてもらっているから、親が老後あるいは身体の具合が悪くなったら娘が息子が、親の面倒をみるわけじゃないですか。それと同じでね、優しくされた、友達に教えてもらった。教師から「偉いね」「よくできてるよ」と褒められて、教師から優しくされた子どもは、いい気持をほかの子におすそ分けしていく。人に優しくされて悪い気になる子はいないですからね。感謝はしても悪い気はしない。そういうのが学校だと思うんですよ。


■居心地のいい空間を作る

正田:
教え合うのが日本の教育のいいところだと何かで読んだことがあります。アメリカでは習熟度別クラスというのが小学校から当たり前なのでできる子はどんどんできるけれども、底辺の子はいつまでも引き上がらない。日本はできる子もそうでない子も1つのクラスの中にいるので教え合いの関係ができる。それで全体が引き上がっている、という。

城ヶ崎:全体が引き上がるというか、居心地のいい空間を作れるから学ぼうとか学びたいとか思うんでしょうね。

正田:そうなんでしょうねえ。そういう関係を作る先生とそうでない先生といらっしゃいますね。

城ヶ崎:うーん、でもそんなに難しいことじゃないですよ。それこそ子どもの、正田さんの言う存在を承認するところから始まって、できたこと、行動を承認する。そこだけですもん。あとはそんなに特段変わったことはしないです。

正田:前回のお話の中で「褒めて優越感を持たせてやればいいんですよ。友達を教えるようになりますよ」とおっしゃっていますね。あれは凄いなあと。私どもは理論的にそれは説明がつくんですが、普通どこからも教えられないでそんなことを思わないでしょう。

城ヶ崎:それは自分の経験にも基づいているし、つまり自分がそういうことをしてもらってそう思ったというのもあるし、自分が子ども達にしていて「ああ、そういうことなんだ」と気づくこともあります。教わらないけど、気づく。


(5)「冷徹な眼」と「間」の技術 に続く


100年後に誇れる人材育成をしよう。
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 ひきつづき、城ヶ崎滋雄先生(千葉県公立小学校教諭)と正田の対談をお送りします。

 この回では、授業見学で正田を驚かせた子どもたちの「圧倒的な歌声」の秘密が明かされます。
 授業見学レポートはこちら
 「褒めること聞くこと、記録、スピード、歌声・・・城ヶ崎クラス訪問記」


(1)メンバーの個性をどうつかむか
(2)不登校指導は「自己流」
(3)子どもの指導と成人教育と
(4)教師が「怖い」と感じるとき
(5)「冷徹な眼」と「間の技術」
(6)保護者との風景―懇談、連絡帳、学級通信
(7)武術家にとっての教育
(8)小学校時代の荒れと恩師
(9)翻訳は「みる」修業だった
(10)日本人と承認と城ヶ崎メソッド
(11)承認教育―大人が教育を受容するとき
(12)武術は「型」にこだわる
(13)「なんで」の訓練が子どもになぜ大事か





(3)子どもの指導と成人教育と
■「なぜコーチングを?」(城ヶ崎)「インタビューが原点」(正田)
■私を動かしているものは…
■小学校の教科は割り切りが必要
■質問する技術と歌声の秘密


■「なぜコーチングを?」(城ヶ崎)「インタビューが原点」(正田)


城ヶ崎:
正田さんはどうしてそういうコーチングをやろうと思われたんですか。

正田:よく訊かれるんですけど、最初は昔とった杵柄のような感じでした。元々は通信社の記者をしてそれから家庭に入って専業主婦をして、最初主婦から社会復帰するときに翻訳者になったんです。医学の翻訳をやっていました。それも結構専門性が高い分野で、それなりに収入があったんですけど、やっぱり全然人に会わない仕事で、翻訳会社との間の電話とメールのやりとりなので、フラストレーションもありました。同業者の集まりに行ってもなんかこう活気がない。電話とメールのやりとりだけで社会とつながっていてそれで満足しちゃうタイプの人が翻訳者をやっているという感じなので、今ひとつ満たされなかったんです。
 コーチングと出会ったのは、その当時デンマークの教育に凝ってたんです。子どもが幼稚園から小学校の年齢で子どもの自発性を引き出して色んなことをやらせるのは大事だ、親が色々押しつけるのは良くない、とその当時も思っていました。
 その自発性というところで、デンマーク式の教育をやっているフリースクールが近所にあって、そのフリースクールの主宰者の本を読んで感銘を受けたりして、当時はかぶれてました。
 でメーリングリストに入っていると、自発性を引き出すということで「コーチング」という言葉もよく出てきたんです。コーチングってなんじゃらほい、と思っていて、2000年ごろのことです。である時急にコーチングのワークショップに連れていってもらったり、本屋さんにも本が並ぶようになりました。
本を「あ、これか」と手に取って、特に話を聴いたり質問して引き出すのはインタビューの作業に似ていますよね。元々インタビューするのはすごく好きだったので、「これを仕事にできるのか」というのと、相手の方がやっている間にすごく成長していかれますよね。インタビューよりこっちの方がいいものじゃないか、と思って。それで、すぐ「これ習う!」と決めちゃったんです。

城ヶ崎:ふーん。それで習って自分が身に着けて、会社を興すというか独り立ちするというのは大変ですよね。

正田:今でも独り立ちできているのかどうか疑わしいんですけど(笑)でも地元では非常に評価していただいています。お蔭様で公的機関さんが軒並み取り入れてくださるようになっています。


■私を動かしているものは…

城ヶ崎:
よくそんな勇気ありましたね。

正田:勇気ですか。図々しいのは記者時代につちかったと思います。その当時は名刺だけあればどこへでも入って行けましたから。

城ヶ崎:成功するという確信までいかなくても、そういうのがないとできないんじゃないんですか。

正田:成功するという確信は今でもないです。事業として成り立つ、安定するという確信は今でもないんですけど、私を動かしているのはとにかくこれで成果が上がってしまったので、マネージャー達が「こんなに良くなった」と。「正田さん、1位になりました」と言ってきてくれる。1位になった、というと、業績だけだと嫌らしいけど、そこに働く人達が成長して、いきいきと仕事をして、多分毎日いい顔でおうちに帰れて、とそういう状態がそこで作れているんだろうなと。こんないいものは続けなきゃいけないし広げなきゃいけない。それだけですね。


■小学校の教科は割り切りが必要

城ヶ崎:
もうちょっと若いうちに気づいたら、学校の先生になれば良かったですね。我々の近い年代のころは教員になるには年齢制限があったので、今はあるのかどうかわからないですけど。お話を伺ってると、クライアントが変わるということに喜びを感じるんだったら、私たちの仕事も同じですから。

正田:はい、そうだと思います。

城ヶ崎:ましてや今、外国語が入ってきて、英語をしゃべれる先生は子どもは「ほ〜っ」と尊敬の眼差しで見ますから。

正田:そうですか。でも実家の母が中学の英語の先生だったんですけど、それをみてるとあんまり楽しくなさそうだったんです。多分城ヶ崎先生みたいないい先生ではなかったのではないかと思います。

城ヶ崎:いや、中学生は大変ですからね。

正田:大変ですよね。親でも嫌なのに、あの年齢の子どもは。

城ヶ崎:でも小学校は楽しいですよ。

正田:(笑)楽しそうに城ヶ崎先生はされてますけど、沢山の教科をお持ちになって1つ1つを深くお教えになって、凄いことだなあと思います。

城ヶ崎:いや、深くではないですよ。

正田:そうですか。前回のお話の中でもお堀がこんなに広いんだねとか武家屋敷の北側に防風林があるんだねとか、私も知らなかったですもの。

城ヶ崎:それは長くやってればできますよ(笑)浅く広く、なんでしょうけど、小学校の教員をやっているとある意味では割り切らなきゃダメなところがあるんです。「この教科は教科書通りでいい」とか、「でもこれはもっと力を入れてやろう」とか。自分の中で軽重をつけていかないと、やっぱり全部同じようにはできないですね。
 理科とか音楽とか図工などは、教科書通りやっていても何とか子どもは活動するから、ついてくるんですよ。
 問題は国語とか社会とか算数は、ちょっと工夫しないと子どもはついてこない。


■質問する技術と歌声の秘密

正田:
ちょうど国語と算数を見せていただいて、面白かったですねえ。
 ミニ・ディベートのようなこともされますね。

城ヶ崎:そうですね。でも最初はああじゃなかったんです。「この子たち発表しないなあ、どうしようかなあ」と思ってましたから。で最初に何したと思います?

正田:何したんですか。

城ヶ崎:質問をしなさい、と言ったんです。質問の練習から始めたんです。

正田:それは、朝の会の日直さんが発表してみんなが質問する、あれですか。

城ヶ崎:あれもそうですけど、授業中も何か意見を言ったときにまず質問。質問のある子は受け付ける。

正田:え、それ凄いです。大学生レベルじゃないですか。大学生でもアメリカの大学生ですけど。予習してこないと普通質問できないじゃないですか。

城ヶ崎:そうですね、最初はレベル低いですよ。「だれが言ったんですか」とか、表面的な。作文なんかで言うと、「きのうはディズニーランドに行きました」というと、「誰と行ったんですか」「いつ行ったんですか」「何に乗ったんですか」と、現象面のことしか質問してこないから、でもそれをぜんぶ最初はよしとしてやっていきました。最後は、この間見てもらったように、「誰の質問が一番きいてくれて嬉しかったか?」という心情とか、そっちの方に段々行けるようになってきましたけどね。

正田:そうなんですか。じゃあ、ああいう風に「誰の質問が?」と後からお訊きになるのは、後半ぐらいからですか。

城ヶ崎:そうですね。最初はそんな高度なことはできないですから。最初はとにかく「できればいい」。正田さんは女のお子さんがいらっしゃいますよね、多分料理を作ったら、味は二の次で「美味しいね」って不味くても言って食べるわけでしょ。作ることが大事。量をこなせば質は変わるだろうと思ってますから。
 何かやるときに沢山求めちゃだめですね。1つのことだけで、あとはもう目をつぶる。
 ちょうど見て頂いたのは3学期ですから、1年間かけて鍛えた子ども達の姿を見て頂いたので、一番いいところを見てもらったんです。

正田:本当にそういうタイミングだったんだろうなと思いました。
ところで今月の歌を歌われたとき、あ、先生あそこはずるされたなと思ったんですけど、2月1日だったのに1月の歌を歌ってくれたんですけど。

城ヶ崎:あれね、2月はまだ音楽の授業がなかったんです。歌ってないんですよ。月の始めになると月の歌を音楽専科が教えてくれて、それを担任が引き継ぐことになっています。

正田:なるほど。まあ、上手でしたねえ、歌。

城ヶ崎:そうですね、毎日聴いているとよくわからないですけど。

正田:何人かは低い方のパートを歌える子もいて。

城ヶ崎:それは音楽の先生が教えてくれるんです。どっちか歌いたい方を歌う。ただ、私がいつも言ってるのは、「君達のいいところは高い方の声がきれいなところだよ」と。

正田:本当にきれいでした。

城ヶ崎:でも、あれはいいところしか見せてないですけど、私が後ろから歩いてきてぽんぽんと肩を叩かれると、その子は教室の後ろへ行くんです。ぽんぽんというのは、声が良く出ている。後ろから行って私に歌声が聴こえるというのは、結構声量がないと聴こえないんですよ。で、ぽんぽんとやられて後ろへ行くと。後ろへ行く子は、○か×かというと○組なんです。後ろに行きたいから子ども達はまた頑張る。

正田:(口あんぐり)はあ〜、なるほど。1人1人の声を聴いてもらっているというのを意識すると向上するんですね。

城ヶ崎:1週間、月曜日からずっとやってぽんぽんとやられたら後ろへ行くと。で次の週になるとまた振り出しになって。朝の会の手の上げ方もそうですけど、しょっちゅうそうやって評価しますね。子どもって評価しないと、楽な方に流れていくんです。楽な方というか成長しないというか。良く言うと現状維持。伸ばそうと思ったら本当にまめにチェックしていかないと、確認していかないと、変わらないですね。

正田:その評価するまめさが凄いなあと思います。体力が要るだろうなと、レポートに書きましたけど。

城ヶ崎:そこはあんまり感じてないですけどね。

正田:城ヶ崎先生にとっては多分自然なことなので(笑)

城ヶ崎:それが子どもも当たり前、っていう。


(4)教師が「怖い」と感じるとき に続く



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

 ひきつづき、城ヶ崎滋雄先生(千葉県公立小学校教諭)と正田の対談をお送りします。
 不登校担当の先生がいるということ自体正田には耳慣れず、新鮮だったんですが、なんと何の研修もなく現場に放り出されるとは。元気な城ヶ崎先生苦悩の回です。それでも経験から学んで今のコミュニケーション指導に結びつけておられることは、さすがです。



(1)メンバーの個性をどうつかむか
(2)不登校指導は「自己流」
(3)子どもの指導と成人教育と
(4)教師が「怖い」と感じるとき
(5)「冷徹な眼」と「間の技術」
(6)保護者との風景―懇談、連絡帳、学級通信
(7)武術家にとっての教育
(8)小学校時代の荒れと恩師
(9)翻訳は「みる」修業だった
(10)日本人と承認と城ヶ崎メソッド
(11)承認教育―大人が教育を受容するとき
(12)武術は「型」にこだわる
(13)「なんで」の訓練が子どもになぜ大事か




(2)不登校児指導は「自己流」
■何の研修もなかった4年間
■こちらから訪問の日々―資格が欲しかった




■何の研修もなかった4年間

正田:
不登校のお子さんを4年も担当されたというお話を伺って「ああそうか、カウンセリングのベースも城ヶ崎先生はおありになるんだわ」と思いました。

城ヶ崎:カウンセリングというか、自分のやりたいことが通用しない。まあ相手に合わせるしかないですからね。それは最初は負担でした。年がら年中そういう子たちと付き合っているわけですからね。きくところによると、ドクターの中で自殺するのが一番多いのは精神科のドクターみたいですね。

正田:そうなんですか。

城ヶ崎:それは本当かどうかわからないけど、それをきいた時「その気持ちよくわかる」と思いました。

正田:もし今もう1回「不登校の担当を」と言われたらどうしますか。

城ヶ崎:いやー、勘弁してほしいですね(笑)だってあのクラスの子たちと一緒にいる方が楽しいですもん。

正田:そうでしょうね。

城ヶ崎:やり甲斐はあっても楽しくない。

正田:城ヶ崎先生はお若い頃から子ども達を動かすのがお上手で、「あの先生のクラスは楽しい」って最初から言われてただろうなと思います。

城ヶ崎:言われてました。

正田:だから不登校の子を担当するというのは本当にそれと逆のことを要求されたんだろうな、と。

城ヶ崎:本当は嫌だったんですよ。それも知り合いの先生を通して校長から話があるから、多分お前のことだから「嫌だ」と断ると思うが、でも断るんじゃない、と。その先生に言われたらもう仕方がなくて。

正田:ちょっとイメージがつかなかったんですが、1つの学校の中の不登校の子の担当だったんですか。

城ヶ崎:そうです。

正田:1つの学校の単位でそういう先生がいらっしゃるんですか。

城ヶ崎:全校にはいないんです。市内に何人いたかなあ…そういう人達だけ集まって研修するということもなかったですから。

正田:そうなんですか。何の研修も受けずにいきなりそういう不登校の担当を。

城ヶ崎:そうです。だから理論も何もないんです。1年目などは自分にはバックボーンとなるものがないから、「なんでそんなことするんですか?」って親にきかれても「実はこういう考えで」とか「こうなった先はこうなるんですよ」というのがなくて。そこから自分で勉強するのと、あとはやりながら「ああ、あとはこうなっていくだろうな」という経験を纏めていくしかなかったんです。

正田:それは凄いことですね。お悩みになったというのはわかります。


■こちらから訪問の日々―資格が欲しかった

城ヶ崎:
まったく畑違いのところに放り出されちゃったんで。
 授業が午前中2時間あるだけなんですよ。それ以外は全部不登校の子に使わなきゃいけない。学校にいると結局何もすることがないので、周りの先生達からは「ヒマね」って思われるじゃないですか。でも警察と私がヒマなのが一番いいんですけれど(笑)、ヒマだと思われるのも嫌なので、自分で子ども達の家に出ていかなきゃ仕方ないです。

正田:それは訪問するのが義務づけられていたわけでもなくて。行かなきゃしょうがないと。

城ヶ崎:そうです、仕事ですから。普通の精神科とかカウンセラーの方というのは、クライエントが来てカウンセリングや治療が始まるわけですけど、私は出向いて行かないといけないから。しかも毎日毎日。

正田:クライエントが来て、というところでもう既にモチベーションがありますよね。

城ヶ崎:はい。こっちも「よく来たね」と待ってればいいわけでしょ。私の場合は立場が逆ですから。「すみません、来てしまいました」という感じで(笑)そういうのからやった時には最初は、つらかったですね。でも一年経ったら慣れてきましたけれどね。

正田:先生の前回のお話を聞いていたら、行動療法のカウンセラーが理論に則ってやるようなことを先生は純粋にご経験からおやりになっていたんだなあと思いました。

城ヶ崎:本当に欲しかったのは、臨床心理士とかの資格が欲しかったんです。資格があれば、まずは信じてくれるじゃないですか。相手が。素人の先生が言うよりは。そういう意味で資格が欲しいなあと思いましたけどね。

正田:資格を持っても子どもさんが懐くかどうかは別問題なんじゃないですか。

城ヶ崎:子どももそうなんだけど、結局子どもじゃなくて親なんですよ。親が変われば子どもも変わるんだけど、でも親を変えるために子どもを変えるんです。子どもは私に資格があろうがなかろうが、そんなのわからない。親が私を信用してくれないと困るわけです。そのために資格があると親が信用してくれるかなあ、と。
 そう思ってはいましたけど、不登校時代の後半はあまり要らなかったですね(笑)


(3) 子どもの指導と成人教育 に続く


100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

 千葉県の公立小学校教諭・城ヶ崎滋雄先生―この方については今後「スーパー先生」とか「ウルトラ先生」とか何か、キャッチフレーズが色々つくかもしれませんがここではあえてつけないでおきます―へのインタビュー第二弾。


 3月28日、都内において3時間にわたり行われました。全13回でご紹介いたします。

 今回はインタビュアーの正田の個性でかなりマニアックな内容になっています^^

 「マニアックが好き」な方だけ、お読みください。

 また、これは城ヶ崎先生の個性なのか正田の方も今回は珍しく多弁にしゃべっておりますので、インタビューというよりは対談に近いものになっております。


(1)メンバーの個性をどうつかむか
(2)不登校指導は「自己流」
(3)子どもの指導と成人教育と
(4)教師が「怖い」と感じるとき
(5)「冷徹な眼」と「間の技術」
(6)保護者との風景―懇談、連絡帳、学級通信
(7)武術家にとっての教育
(8)小学校時代の荒れと恩師
(9)翻訳は「みる」修業だった
(10)日本人と承認と城ヶ崎メソッド
(11)承認教育―大人が教育を受容するとき
(12)武術は「型」にこだわる
(13)「なんで」の訓練が子どもになぜ大事か



(1)メンバーの個性をどうつかむか
■竹馬指導でポイントになる子
■「大人クラスは分かった頃には終わり」(正田)
■うまくいってない人の思考法
■「教員にはコーチングの研修はないですよ」(城ヶ崎)



■竹馬指導でポイントになる子


正田:先日(2013年3月17日)は、折角大阪へお越しになったところ、私が私用でご一緒できず申し訳ありませんでした。代わりにうちのNPOの山口さん、大前さん、間瀬先生とご歓談いただいたようでとても嬉しく思っています。その後お話の録音も聴かせていただきました。

城ヶ崎:2月は、4時間にもわたり授業をみていただきまして、有難うございました。まさか朝練習のところから見ていただけるとは思っていませんでした。
しかし正田さん、あのレポートは良く書きすぎですよ。

正田:いえ、見たままを書かせていただいてます(笑) また、その後のお話も大変おもしろかったです。
前回のインタビューの終わりごろの話ですか、放課後家からもう一度学校へ来させて遊ばせ、学校が閉門になったらさらに公園で遊ばせるというお話、あれには感動しました。

城ヶ崎:子どもは遊ぶものですから。遊んでるのが何が凄いの?ってまず思いますね。

正田:うーん…。あそこまで遊ばせてくださる先生は今は少なくなりましたよね。幼稚園もそうでしょ、わりと知育の方に行ってしまって。自由遊びはなかなかさせないようになっているので。

城ヶ崎:ただ、やることはある程度私の方から「これやろうね」と提示してるので。1つ言えば上達するものを選んでいる。

正田:はいはい。前回、竹馬をまずやるというお話が出ましたけれど、竹馬ってそんなに簡単なんですか。私はしたことがないのでわからないんですけど。

城ヶ崎:あの年代の子にとっては簡単です。1週間やれば、「乗れる」と実感を持てるぐらいにはなれますよ。まあでもやはり大人し目の子にターゲットを絞って選びましたけどね。

正田:あの中だとAちゃんとか。

城ヶ崎:Aちゃんよりもっと目立たないBちゃんっていうのがいたんですけど、もう本当に声も小さくて、「こういう子だな」と思ったんですね。大人しくていい子だから見逃されがちな子なんですよ。そういう子を引立ててあげると周りが変わります。(広げたお絞りの中心を持って)こうやると、周りがずるずるずるーと上がってくるんですよ。(端の方を持って)こうやると、上がらない。片方しか上がらない。クラスもそうなんですけどどこか1つに焦点を当ててやると全体がひゅっ、と上がってくる。

正田:それを見つけるんですね。


■「大人クラスは分かった頃には終わり」(正田)

城ヶ崎:うん、見つけるっていうか、この子は活発なんだな大人しいんだなというのはもう分かりますからね。正田さんもコーチングの指導をしていて感じませんか。

正田:それはあります。ただ、大体1日しか時間を貰えないことが多いので。そうですね、分かった頃には終わっちゃってるということが多いかな。

城ヶ崎:ああそうですか。1日の講座の中で「変わった」ってわかるものですか。

正田:私のやっている「承認」というプログラムはちゃんと学んでくれさえしたら本当に変わるんです。まあ私は成人相手なのでめったに「変わる」という言葉を使わなくて、成長したとか部下を伸ばせるようになった、という言い方ですけど。その学ぶ姿勢を創るところが一番大変ですね。
 人の個性でいいますと、先日は3時間のプログラムの中でも熟達者グループと今いちグループと、割合はっきり分かれていました。熟達者ともやりとりしながら進めるんですけど、今いちグループの人は最後の最後までうんうんうなりながら考えていて、最後になって「分かった!」って叫んだので、「偉かったですねー、ここまでとことん悩んだというのはすごいエネルギーの要ることですねー。やる気なかったら悩みませんからねー」って。「そしてこの人、Aさんが悩んでたのをBさんCさんがずっと待ってたでしょう。偉いことでしたねー。みなさんこのグループに拍手」と。

城ヶ崎:悩むんですか。

正田:悩まれてましたね。20分ぐらい時間をあげて課題を出してディスカッションをしてもらうんですがらその中で。そのときはセミナー後半から私が「承認」というキーワードを出したので、「この承認がわからなかった」と(笑)


■うまくいってない人の思考法

城ヶ崎:
小冊子(『最高のプロの2日間の授業』北中―正田対談、NPO法人企業内コーチ育成協会)の方に書いてあったのは、「そんなので変わるわけない」って半信半疑というかもっと低いレベルで入ってきた人を変えていくのは大変、ということでしたけど、そうじゃなくてもなかなか変わらないものなんですか。

正田:オープンセミナーと企業研修という括りがあるんですけど、オープンセミナーに来る人は大体やる気はあるんです。チラシを見て「あ、なんかこれ良さそう」と思ってピッとエントリーしてきた人なので。城ヶ崎先生も色々な勉強会に行かれますけれどもモチベーションを持って行かれますよね。そういう人達だと、講師は最初から信頼関係がもう始まっているのでやりやすい。お伝えしたことを吸収してくださりやすいんです。先ほどの今いちグループが長い事悩んでいたというのはオープンセミナーでの話です。わからないなりにモチベーションが高かったから悩んでいた。
 こっちの企業研修の方々がもう大変で、大体強制的に人事とか総務の方から行けと言われて、「仕事してなきゃいけないのにこんな所に来さされて」「大体オレ勉強なんか好きじゃなかったんだよ」(笑)というノリで入って来てますから。それを解決するためにできるだけ1日じゃなく数回のシリーズで採用していただくように働きかけてますけど。また研修と個人面談を組み合わせて、1人1人が「個」として扱われていると実感できるようにするとか。

城ヶ崎:来る人達は、コーチングっていうわけですから、下に部下がいるような人が来るわけですよね。部下じゃないんですよね。

正田:そうです。

城ヶ崎:ということは、部下がいるにもかかわらずそういう「なんで行かなきゃいけないの?」っていう人たちは、あまり部下のことで悩んでないんですかね。

正田:悩んでないというか、「うまくいってない」という自覚はあるんですけどでもそれを認めたがらない。

城ヶ崎:「うまくいってない」というのが認めてることになるんじゃないんですか。

正田:(笑)それは城ヶ崎先生、学校でも色んな先生がいらっしゃると思いますけど、例えば荒れてるクラスをどうにもできないでいる先生も中にはいらっしゃるわけでしょう。

城ヶ崎:ああなるほど、「それはあなたの腕が悪いよ」という話なんだけど子どものせいにする、というようなことですね。

正田:そうです、そうです(笑)。で、その子どものせいにするっていうのを、例えば総務・人事が鵜呑みにしてしまうと、じゃあ若手の方に研修をしよう、となるんですけど、それは違うんです。やっぱりリーダーの方に研修をしたほうがいいんです。


■「教員にはコーチングの研修はないですよ」(城ヶ崎)

城ヶ崎:
正田さんの本『認めるミドルが会社を変える』(カナリア書房)に書いてありますもんね。あれを見た時に「親の後姿をみて子どもが育つのと一緒だな」と思いました。つまり、子どもが悪いんじゃなくて親の仕草をみて子どもは育ってるんで、結局上にいる人が方向性を示してあげたり態度を変えると下も変わっていくんだろうなー、と思いました。

正田:それは本当にそうなんです。

城ヶ崎:その嫌々来ている人達を変えていくのが大変なんですね。

正田:大変ですね。企業研修の限界があるんですけど、研修講師の立場として「嫌われたくない」というのがあるんですね。民間企業ですから、研修講師も。嫌われてアンケートに嫌な事書かれたら仕事が来なくなりますから。そうすると機嫌をとるっていうか、例えば面白おかしい演芸調でお話をして何分に1回笑いがとれる講義をするとか。でもそういうテクニックがあるというのは凄いことなんですけど。
ただ、笑いをとることがトレードマークになってしまうと、そこでは受講生さんは「学ばない」です。笑いだけを期待するようになってしまいます。だから楽しいけれど学習としての効果はあまりないですね。

城ヶ崎:確かに私たちも、「行け」と言われた研修は、「なーんで行かないといけないんだ」と思って後ろの席に座っちゃいますからね。

正田:そうなんですか。県教委とか市教委の研修ってありますでしょう。

城ヶ崎:つまらないですよ。

正田:私はまだ教育委員会さんの研修ってしたことがないので、どういうプログラムがあるのか詳しく知らないんです。一度見せてもらったことがあるかなあ。子どもの学校の校長先生に、プログラムを。大学の先生のお話が多かったですかね。

城ヶ崎:そもそも教員にコーチングの研修はないですよ。神戸はわからないけど、私が勤務している市では。

正田:京都に教育コーチングの専門の会社があるので、割合そこが関西の教委には入っているみたいです。

城ヶ崎:カウンセリングという項目はあるんですけど、コーチングとカウンセリングは違いますもんね。コーチングだと子ども達を変えていくというか、じゃあどうしたらいいの?と視野を広げるイメージで。カウンセリングだと悩みをきいて共感していればいいんでしょうけど、私たちはそういうわけにはいかないので。



(2)不登校指導は「自己流」 に続く




100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

お世話になっている皆様


 こんにちは。
 企業内コーチ育成協会の正田です。



 新年度、読者の皆様もお忙しく過ごされた週だったことと存じます。
 関東より少し桜の遅い神戸では、いま満開。



※このメールは、NPO法人企業内コーチ育成協会のスタッフ及び代表理事・正田が、過去にお名刺を交換させていただいた方・当協会のイベントやセミナーにご来場いただいた方にお送りしています。ご不要の方は、メール末尾にありますURLより解除いただくか、このメールに直接「不要」とご返信ください。



 本日の話題は:




■私たちは、同時代の良いものから学べるだろうか―
城ヶ崎滋雄先生インタビューPart1. 全11回を公開しました。


■よのなかカフェ次回予告・5月19日(日)テーマは…



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■私たちは、同時代の良いものから学べるだろうか―
城ヶ崎滋雄先生インタビュー 全11回を公開しました。



 読者の皆様は、以前このメールニュースで「強い日本人は、小学生から」と題してご紹介した、千葉県の公立小学校教諭・城ヶ崎滋雄先生を憶えていらっしゃいますでしょうか。

 去る3月17日(日)、大阪にて、城ヶ崎先生と当NPOの理事・会員3名が懇談する機会がありました。

 
 それに先立つ今年2月1日、わたくし正田がご縁あって城ヶ崎先生の授業ぶりを4時間にわたり見学させていただき、ブログでその模様をご紹介させていただきました。

 「褒めること聞くこと、記録、スピード、歌声…城ケ崎先生クラス訪問記」

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51846161.html
 
 
 小学校教育の中でコミュニケーション、体育、知育とあらゆる面で独創的な取り組みをされている城ヶ崎先生。

 その城ヶ崎先生が指導される「船橋陸上クラブ」が小学生駅伝大会で初出場3位入賞。

 試合のために来阪された城ヶ崎先生を、当協会会員が囲んで懇談・インタビューさせていただいた、という次第です。


 2時間にわたるお話の中で、城ヶ崎先生が授業や体育指導の取り組みを語ってくださっています。ききての山口裕史さんの「聞く力」ぶりも秀逸です。


 
 お子様、お孫様の教育に関心のある方、あるいは広く人間社会に関心のある方には是非読んでいただきたい内容です。

 全11回。週末の読み物としてお目通しいただければ幸いです。



第1回 駅伝初出場3位!
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853094.html

■駅伝初出場3位、リレーで1位
■「苦しくなったらやめろ」
■ゆるい練習だと思わせる


第2回 ぼーっとする時間を作らない
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853100.html

■「レポートに涙が出ました」(山口)「あれは良く書きすぎですよ」(城ヶ崎)
■「よし」「すばらしい」と言われた子、良かったね
■会社にコーチングって必要?
■「大人になって承認されてやる気になることがない」(城ヶ崎)


第3回 通知表:どんなふうに貰ったら嬉しい?
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853104.html

■1人1人廊下に出て渡す。どうなる?
■個別指導はしない、その理由は


第4回 朝練習:「竹馬」と「リレー」で子どもが変容
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853112.html

■子どもの意欲と登校時間は比例する
■指導で出来た!→先生のカリスマ性
■リレーのトラブルは生産的
■授業より大事なことがあるから


第5回 不登校担当:「して欲しくないことは何か?」
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853114.html

■「どうしたら」ではなく「何をしなかったら」
■答えられる問いをしよう
■自分が不登校になって「これが不登校か」


第6回 褒め褒めタイム:伸びを言われると嬉しい
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853116.html

■本当にその子をみている褒め言葉とは
■あの子に認めてもらった


第7回 崩壊クラス:建て直しはどこから?
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853118.html

■火中の栗を拾いたい人なんていない
■リレーとカルタは絶対使える
■この子を変えるとみんなが変わる
■できる子を大事にする
■3か月で結果を出す
■まず行動から変える


第8回 ディベート:「まず結論を出してしまえ」
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853121.html

■返事するのと手を挙げるのとどっちが先?
■決められない子は後ろへ
■「承認して優越感を持たせるって大事ですね」(城ヶ崎)


第9回 教え合う教室:上を伸ばすか、下をテコ入れするか
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853125.html

■「話の短い先生なら、聴いてもいいな」
■下を伸ばす先生との違いは
■「できる感」と優越感を持たせる
■できる人のノウハウを活かす


第10回 授業:つまみ食いでない知識を
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853126.html

■子どもがつまずくところはどこか
■つながりを発見すると得した気分に
■正しい知識だけだとつまみ食い
■結論だけ教えてしまうと気持ちは変わらない


第11回 持ち物:子どもの二極化時代に先生は
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51853129.html

■昔は放課後も招集をかけていた!
■頑張る子頑張らない子が二極化、その理由は
■学校に靴用ブラシを常備



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■速報!よのなかカフェin三宮 5月19日(日)に開催。


 兵庫県知事選と神戸市長選。同日ダブル選挙になるとかならないとか…。わたくし正田は全然インサイダーではないので詳しいことは存じません。


 しかし、4年前を振り返って考えるに、「これをしておきたかった」と思うことがあります。

 データに基づく思考実験。

 ちょうど、やはり当協会会員で関西国際大学准教授の松本茂樹さん(本来は「先生」とお呼びするところですが習慣でつい「さんづけ」にしてしまいます)とお話していましたら、

「行政って経営ですよね」

という言葉が出ました。


 この視点、大事だなと思います。

 ともすれば「選挙」というのは、経営の中のマーケティングという分野が先に立ってしまいます。マーケティングが強いところが勝つ。

 しかし、実際の行政は思い切り「マネジメント」の分野です。わたしたち選挙民はいかにして最良のマネジメントを選ぶか、が問われるわけです。

 …というようなことを言いますと生意気ですが、正田も今年50歳になりますので、これまでにない選挙との向き合い方をしてみたいな、と思う今日このごろ。


 5月19日はそんな機会にしてみたいと思っております。

 現時点で確定しているのは、5月19日(日)15:00−18:00、三宮のカフェ「アロアロ」にて、第38回よのなかカフェやります!ということ。参加費1000―2000円程度。

 
 読者の皆様、是非手帳にご記入ください。沢山の皆様のご来場をお待ちしております。


 過去のよのなかカフェ開催事例はこちらです


 http://c-c-a.jp/cafe/index.html

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★お詫び:
前号でお知らせした、第14期「企業内コーチ育成講座 基礎コースA」の日程を変更させていただきました。
次回開催は7月9日(火)10日(水)の両日、姫路・じばさんビルです。




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ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

良い週末をお過ごしくださいますよう。



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(株)帝国データバンク社『帝国ニュース兵庫県版』
2008年〜2012年 長期連載このほど完結
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*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*



 城ヶ崎滋雄先生へのNPO理事・会員によるインタビュー 今回が最終回です。

 文中で何度か「正田さんのレポート」と言及されているのは、今年2月1日の見学のもようを記したこちらの記事です。
  
 「褒めること聞くこと、記録、スピード、歌声・・・城ヶ崎先生クラス訪問記」
 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51846161.html



登場人物(敬称略):

城ヶ崎 滋雄(千葉県公立小学校教諭)

ききて:

山口 裕史(フリーライター、神戸市在住。NPO法人企業内コーチ育成協会理事)
大前 和正(人材派遣業役員、大阪府在住。同上)
間瀬 誠(コンサルティング会社代表、大阪府在住。NPO会員)


目次:
(1)駅伝初出場3位!
(2)ぼーっとする時間を作らない
(3)通知表:どんなふうに貰ったら嬉しい?
(4)朝練習:「竹馬」と「リレー」で子どもが変容
(5)不登校担当:「して欲しくないことは何か?」
(6)褒め褒めタイム:伸びを言われると嬉しい
(7)崩壊クラス:建て直しはどこから?
(8)ディベート:「まず結論を出してしまえ」
(9)教え合う教室:上を伸ばすか、下をテコ入れするか
(10)授業:つまみ食いでない知識を
(11)持ち物:子どもの二極化時代に先生は




(11)持ち物:子どもの二極化時代に先生は

■昔は放課後も招集をかけていた!
■頑張る子頑張らない子が二極化、その理由は
■学校に靴用ブラシを常備




■昔は放課後も招集をかけていた!

山口:
卒業した子ども達とずっと交流はあるんですか。城ヶ崎先生を慕っている子ども達はいるんじゃないかな、と。

城ヶ崎:年に1回ぐらいは飲み会に誘われます。3・4人単位で飲みに招ばれたり。

山口:大きく成長した子ども達をみてどう思われることが多いですか。

城ヶ崎:正直言ってあんまり昔の話はしたくないですね。何故かというと、私は良かれと思ってやっていることですけれど、うーん何かひどいこともしてたんじゃないかな(笑)それを言われたらいやだな(笑)「いや先生あの時こんなことあったんだよ」って言われたら謝らなきゃいけない(笑)

山口:でもどうですか、先生が想いを込めてされてるのは大人になった今もその子たちの中に息づいてるなあということを感じられます?

城ヶ崎:ある子なんかは、「先生はオレの先生だからさ」と。「それどういう意味だ?」と言ったら、「話を聴いてくれた」「僕のこと信頼してくれた」とかね。そういうことは聞いたことがありますね。

山口:教えてた時の印象と比べて、大きくなってから「あ、こんなこと考えてたのか」というようなことも多分ありますよね。

城ヶ崎:それはあんまりないですね。逆に子ども達と会った時は昔話よりも、まあよく出てくるのはリレーとカルタが出てきますけれども。
 昔は放課後も強制的に学校へ来させましたから。今みたいに不審者とかなかったし(笑)3時に下校時間になって、1回学校から帰ったら家にランドセル置いてもう1回学校に集めるんですよ。当時は5時まで学校が開いてたんで学校で遊んで、5時で学校が閉門となったら近所の公園に行かせておいて、で6時まで。私は6時ぐらいになって「もう終わるぞー」と声をかけて、私の合図で帰ると。毎日それをやってました。そういう話をよくしますね。
 何やって遊んでると思います?男の子と女の子たちが。

大前:うーん…公園でしょ?何だろう。

城ヶ崎:缶けりとかね。簡単な遊びですよね。凝らない。ボールは使わない。最終的には、ものを持たないで遊ぶんだなと思いましたね。ものがあるとものを必要とするから、それがないと遊べないでしょ。縄跳びでもみんな縄跳び持ってればいいけど、持ってない。どうしたらいいかというと、そこに缶があれば缶けりをする。なければ○○をする。やっぱりそういう風になっていくんだな、って。
 それが強制でした、昔は(笑)


■頑張る子頑張らない子が二極化、その理由は

山口:就活の大学生を教えている知り合いがいるんですけれども、彼によると明らかに学力が落ちている。大学が全入の時代になっているということがもちろんあるんですけれども、そのあたりは実際現場におられてどうお感じですか。

城ヶ崎:二極化だと思います。色んな面で二極化ですね。最終的には家庭だと思います。裕福とか何とかじゃなくて、親が見てくれているかいないか。

山口:その差ですか。

城ヶ崎:見てくれている子は勉強ができなくても頑張るから、努力するからできる。「やればできるのにねー」という子がやらないですよ。宝の持ち腐れですよね。ですから頑張れる子と頑張れない子が分かれていく。
 それは物を忘れる忘れないですぐわかります。物忘れが多い子は頑張れないです。
 一番顕著なのは漢字のテストなんかやるとわかります。やっぱり忘れ物をしない子は漢字テストが良くできます。それは努力するから。

山口:そうするとその二極化というのは、家庭でも子どもをみない。放ったらかしの家があって、そういう子が増えたということですか。

城ヶ崎:それはそのクラス、学校、地域によって違うでしょうけど、増えたというよりはっきりしてきた。親が根気がない。例えば私が連絡帳に書いて親のハンコを貰うんですけど、そのハンコがない。連絡帳を見てないわけです。

山口:それは昔はあまりなかったことですか。

城ヶ崎:いや、昔もありましたけど、今の方が多いし、昔はハンコを押したり押さなかったりだけど、今はもうずっと押してないよなー、とかね。この子を責めてもダメだな。つまり、「お前がちゃんとしないから」とか言ってもダメだな。それはもうそういう土壌がないから、無理なんだな。
 じゃあどうするか。朝電話するんですよ。「今日習字があるけど、用意した?」って。「用意しました」「この間さあ、習字セットを開けたら中身何もなかったけど、今そこで開けてみな。筆入ってるか」
 最初に親が電話に出るんですよ。で、「○○君に替わってください」と。毎週やるんですよ(笑)

山口:親が何も気づいてない(笑)


■学校に靴用ブラシを常備

城ヶ崎:
そうするしかないんだからしょうがない。
 毎週金曜日は上履きを持って帰るんですけど、持って帰らない。私がこうやって洗うんですよ。子どもの靴を。

山口:えーっ(笑)そうやって気づかせるんですか。

城ヶ崎:心ある親は「すみませんでした」って書いてもう恐らくやらないけれど、そうでない親は。

山口:洗ってくれると(笑)

城ヶ崎:はい。私はちゃんと学校に靴用のブラシと洗剤と用意してありますから(笑)
 毎週金曜日は三角巾も持って帰るんですけど、持って帰らないですから。持って帰れと言っても持って帰らない奴がいますから、そこは私の確認のミスもあるんですけど、しょうがないなーと思って家庭科室に行ってドラム洗濯機を回して。

山口:そうですか…、他の先生の何十倍も気も遣われてるし体も使われて。

城ヶ崎:言うだけじゃ絶対動いてくれないんで、「こうしましたよ」ってやればちょっと違うだろうと。

山口:そこまでしないと気がつかない(笑)

城ヶ崎:そこまでしたら聞いてくれるかなと(笑)心ある親は聞いてくれますから。

間瀬:やっぱり先生のおっしゃられる、親が子どもをどれだけしっかり見てるかでものすごく違うね。

城ヶ崎:週末の宿題はお手伝いなんですけど、一杯やってくる子がいるんです。連絡帳に「たくさんやる、または長続きするコツは何ですか?」って書いたら、流石だなと思ったのは、遊び感覚でやるんですって。洗濯物を畳むにしても。「どっちが早く見つけるか競争しよー」って言って「靴下!お母さんの勝ち」とかね。お父さんとゴミ捨てに行くのがどっちが早く行けるか、とかね。今日は何分で帰ってこれるか、とかやるんですって。やっぱりなあと思いますよね。それはただ「やれ」って言っただけでやれないですよ。

山口:ぐさっと来ましたね(笑)

城ヶ崎:「やれ」って言ってやらなかったら、多分親は、「なんでやんないの?」とかね、文句が次に出ると思いますよ。「あ、こりゃやんないんだろうなー」と。挙句の果ては「宿題でしょ」って言われて「こんな宿題なんか出すなよな」と思っちゃいますからね。

山口:すみません、もう5時になってしまいまして。ありがとうございます本当に。今日はお疲れのところをお時間を頂きまして。是非また千葉に見学に行かせてください。

城ヶ崎:どうぞどうぞ。校長に話を通しますから。山口さんは人の話を引き出すのがお上手ですね。

山口:まだまだなんです。でもお話が上手で、全て子どもに向き合っている様子がよくわかりました。ありがとうございました。(了)


 このインタビューは、冒頭にも記しましたように城ヶ崎先生の指導する船橋陸上クラブが大阪万博記念公園での小学生駅伝大会に出場し見事3位獲得した3月17日の午後、英国屋心斎橋本店の個室で行われました。
 正田は残念ながら私事で出席を断念したのですが、理事でフリーライターの山口裕史さんがテーブルに「正田レポート」と城ヶ崎先生の著書『クラスがみるみる落ち着く教師のすごい指導法!』(学陽書房)を置いて中心になって見事にインタビュー・ファシリテーションしてくださいました。大前さん、間瀬先生もそれぞれいい味を出されています。皆様、お疲れ様でございました。
 インタビューの録音の途中、ウエイターさんの「シフォンケーキセットがお勧めです!」という声が入り、男性4人でシフォンケーキをつついている光景を想像してつい笑いをこらえてしまいました…。



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

 引き続き、城ヶ崎滋雄先生へのNPO理事・会員によるインタビューをご紹介させていただきます。

 文中で何度か「正田さんのレポート」と言及されているのは、今年2月1日の見学のもようを記したこちらの記事です。
  
 「褒めること聞くこと、記録、スピード、歌声・・・城ヶ崎先生クラス訪問記」
 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51846161.html



登場人物(敬称略):

城ヶ崎 滋雄(千葉県公立小学校教諭)

ききて:

山口 裕史(フリーライター、神戸市在住。NPO法人企業内コーチ育成協会理事)
大前 和正(人材派遣業役員、大阪府在住。同上)
間瀬 誠(コンサルティング会社代表、大阪府在住。NPO会員)


目次:
(1)駅伝初出場3位!
(2)ぼーっとする時間を作らない
(3)通知表:どんなふうに貰ったら嬉しい?
(4)朝練習:「竹馬」と「リレー」で子どもが変容
(5)不登校担当:「して欲しくないことは何か?」
(6)褒め褒めタイム:伸びを言われると嬉しい
(7)崩壊クラス:建て直しはどこから?
(8)ディベート:「まず結論を出してしまえ」
(9)教え合う教室:上を伸ばすか、下をテコ入れするか
(10)授業:つまみ食いでない知識を
(11)持ち物:子どもの二極化時代に先生は




(10)授業:つまみ食いでない知識を

■子どもがつまずくところはどこか
■つながりを発見すると得した気分に
■正しい知識だけだとつまみ食い
■結論だけ教えてしまうと気持ちは変わらない





■子どもがつまずくところはどこか

山口:
授業の中で子どもたちに考えさせる授業を沢山されているじゃないですか。そのあたりのその、どういう想いでどういう観点から先生流のカリキュラムにたどり着いてるんですか。そのときに大事にされてる考え方とか。

城ヶ崎:子どもがどこでつまずくかを考えて授業するようにしています。
 例えば算数の文章問題があったときに考え方が大事だったら、計算する数字をあえて小さくしておく。1年生でもできるような。これはこうだよね、じゃあ教科書の問題行こうか、どことどこが同じ、どことどこが違う、数字がただ大きくなっているだけである、数字がただ小数になっているだけだ。ということは今日の勉強なあに?と言ったら、あ、小数の計算をやればいいんだ。小数と今までと何が違う?と言ったら、小数点がある。点より右のところの数字はどんな風に、例えば今まで100の隣の10の数字は、10を何倍すると100になった?―10倍。じゃこれはどうなる?これは、てん何とかのこれ(小数点一位)の数字が10個集まったら1に上がる。そういう風にしてやりますね。そうやってもう1回下げて子どもたちに提示する。そしてできないところを見ていく。子どもがつまずく、見逃すだろうというようなところを。
 例えばここに建物のリビングが写っている写真があるとします。「これで東西南北どっちだかわかる?」ときくと子どもが「わかんない」って言いますよね。「いやわかるんだよ」「え、先生なんで」「なんだろうね」って言うと子どもが色々考えてきて、そのうち「実はね、ヒントは学校なんだよ」。「学校の何?」っていうから、「学校のね、並んでる位置なんかヒントになるんだよね」。
 学校って、窓が南向きなんですよ。

山口:ああ、大体必ずそうですね。


■つながりを発見すると得した気分に

城ヶ崎:
大体そうなんです。すると「あ、わかった。リビングは南にある」と。だからこの家の写真では右側が南だ、と。こっちが北だ。最初は子どもは、東西南北で下が南で上が北だと思うんです。「でもそれって、北南の地図でやったときはそうだけどこの写真ではわかんないよね」と問われたときに、最終的には子どもは、リビングが南だと。北は日が当たらない。だから体育の時なんか、リビングより北のほうが風強かったろう?あ、強かった。
 そういう子どもが見逃すというか気がつかないようなところをわかると、子どもって得したような気分になってくるんですよ。「ああそうか、リビングって南なんだ」って。だからリビングはあったかいでしょ。南だからあったかいんだよ。それからは写真なんか見ると、東西南北どっちだと思う?ときくと子どもは、日が当たってる方とか、建物だとかを手がかりに考えられるようになるわけです。
 縄文時代の竪穴式住居って、全部穴が同じ方向に空いてるんです。それはやはり南ですよね。それも子ども達に「どっちが南だと思う?」と訊くと「先生、こっち(南)。入口一こしかなくて、だったらこっちしかないじゃん」「その通りだ」

山口:学習指導要領からすると、外れたことを教えてらっしゃると思うんですけど。

城ヶ崎:うん、でも竪穴式住居というものがあるよというところはかすってますから(笑)。
 その時にやっぱり竪穴式住居のことは触れるけれども、そこで子ども達に何を考えてもらうか。こっち側に何がある。北に何がある。これってさ、他の資料集めくってみな、何か気がつくだろう。実は武家屋敷っていうのは、北は防風林で囲まれてるんですよ。ああそうか北はこうなってるんだ、北風が来たら風よけなんだ。こういう発見は次につながるじゃないですか。そこで縄文時代に教えたことは実は鎌倉時代にも通じているし。

山口:そうすると、憶えるんじゃなくて発見があって、ちゃんと全体の中で理解ができるから、頭に入っていくんですね。

城ヶ崎:弥生時代の頃に屋敷の周りに穴が掘ってあるんですね。お堀のような。これって何だ?落とし穴だ。何で?敵が落ちるようになってるんだ。で鎌倉時代を見せると、実はそのころから、屋敷の周りに水を張ったお堀ができてるんですよ。「あ、お堀がある」。じゃあ、江戸時代のお城はどうなる?というと、まさに大阪城なんか、お堀があるんです。あ、共通してるんだ。と、子どもがそういう目で見ていく。
 で6年になると、12月に国会議事堂へ行って皇居をみると、「ほんとだ、お堀がある」。こんなに広いんだ、とか、ここに入ったら泳いでる間に弓矢でやられて殺されちゃうねー、とか。

山口:それも考えるんですか。

城ヶ崎:つながるんです。つなげて考える。


■正しい知識だけだとつまみ食い

山口:
城ヶ崎さんのような先生にだれもが教われば、本当にいい子たちが育っていくでしょうね(笑)残念ながら誰もが教われるわけではない。それは逆に悲しいというか。選べませんもんね、教わる先生は。

間瀬:教科書っていうのは正しいことばっかり書いてあるんですよね。会社でやってる作業計画書のようなものも、正しいことばっかり書いてあるんですよ。

城ヶ崎:つまみ食いみたいになりますよね。あそこで家の作りをちょっとつまんで、違う時代をつまんで、お堀をここでつまんで。でもつまんでるうちに、つまむっていつか全部食べ終わっちゃうんで。結局つまんでるうちに教科書全部やりました、って。

山口:ここを教えるときに実はこことつながってるということがわかると、後々も「ああそういうことだったのか」とわかりますよね。方法そのまま教わると、教わるほうもつまらないというか、憶える授業になってしまいますね。

城ヶ崎:ネットなんかで去年話題になったんですけど、ご用聞き知ってるか?って訊くと「知らない」というんです。昔は酒屋さんが、「何かいりませんかー」と来て、注文して届けたんだよ。今みんなの町にないだろ。っていうと「ない」。でもね、みんなの家に行くとあるんだよ。いやないよ。絶対ある。パソコンがある家手を上げてみろ、というと大体手が上がるから、じゃ絶対あるよ。ネットオークションそうだろ、アマゾンそうだろ。この画面が「○○さんこういうのありますけどどうですかー」って来るじゃないですか(笑)

山口:来ますね(笑)

城ヶ崎:あれはご用聞きと同じですよね。歴史というのは必ずつながってるから、だめになるんだけど、それが進化して新しく形を変えていくから、だから歴史は学ばなきゃいけないんだ。という話をしますね。

山口:はいはい。現象だけ見てるとわからないけれど、生まれたきっかけというのがあるわけで、実はそことつながってる。またそれが先に活かせますよね。


■結論だけ教えてしまうと気持ちは変わらない

山口: このレポートに出てくる授業のカラスの子を歌った「七つの子」の話とか、ああいうのは「なぜなんだろう」と考えさせる、考えようということが指導要領に入ってるんですか。

城ヶ崎:ないです。あれは3年生の音楽の授業で、「七つの子」を歌うんです。歌を教わる時内容まで習ってないんです。習ってないんだけど、私が「子どもの数と年齢、どっちだろうね?」って訊くと子どもはきっと両方に分かれるだろうなーと。あれはやっぱり「七つ」イコール「可愛い」っていうことを言ってるから、それがわかるともっと「七つ」のところのフレーズを可愛く歌えるだろうと。そう思って出したかったんです。

山口:ああ、なるほどなるほど。歌い方が変わってくると。気持ちが。

城ヶ崎:子どもは黙っていると「なーなーつーの(平板に)」って言いますから、セブンとして。じゃないよ、っていうことを言いたかったんです。
 そこを「可愛く」って説明してもいいんですけど、実はこれは「可愛い」っていう意味だよ、と言っても「なんで『七つ』が可愛いの?」しか思わないですから。実はその七つというのは、七歳の子どもに譬えたとき出てくる気持ちなんだよ、と話し合いを通じてやっていくと、「あ、そういうことか」。

山口:言葉というのはそこにそれぞれ意味が込められていて、それを立ち止まって考えさせるということの大切さをすごく感じることができました。表面だけなぞってすっ、と言ってしまいそうなところを一つ一つそうして考えさせて。

城ヶ崎:野口雨情さんの「しゃぼん玉」にしても、楽しそうな歌ですけど実際は悲しい歌なんだよ、っていうと、「しゃぼん玉とんだ(やさしく)」というのが「もっと飛んでくれ(願い)」という気持ちになるでしょ。「飛べ飛べー」じゃなくて。

山口:(笑)そういうことですね。あれは音楽の授業。

城ヶ崎:音楽の授業です。ただ音楽にしゃぼん玉は出てこないです。作詞が野口雨情だったんで、これはついでだ、と思って野口雨情さんはみんなが知ってる曲を作ってて、しかも2つの歌が境遇的には何となく似てる。子どもを失くしたとか、自分が七つのときに親と別れたとか。そういう時に作った歌なんだよ。でもこれを悲しい歌だからと悲しく歌っちゃだめなんだ。という風に説明しましたけど。



(11)(最終回)持ち物:子どもの二極化時代に先生は に続く


100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

 引き続き、城ヶ崎滋雄先生へのNPO理事・会員によるインタビューをご紹介させていただきます。

 文中で何度か「正田さんのレポート」と言及されているのは、今年2月1日の見学のもようを記したこちらの記事です。
  
 「褒めること聞くこと、記録、スピード、歌声・・・城ヶ崎先生クラス訪問記」
 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51846161.html



登場人物(敬称略):

城ヶ崎 滋雄(千葉県公立小学校教諭)

ききて:

山口 裕史(フリーライター、神戸市在住。NPO法人企業内コーチ育成協会理事)
大前 和正(人材派遣業役員、大阪府在住。同上)
間瀬 誠(コンサルティング会社代表、大阪府在住。NPO会員)


目次:
(1)駅伝初出場3位!
(2)ぼーっとする時間を作らない
(3)通知表:どんなふうに貰ったら嬉しい?
(4)朝練習:「竹馬」と「リレー」で子どもが変容
(5)不登校担当:「して欲しくないことは何か?」
(6)褒め褒めタイム:伸びを言われると嬉しい
(7)崩壊クラス:建て直しはどこから?
(8)ディベート:「まず結論を出してしまえ」
(9)教え合う教室:上を伸ばすか、下をテコ入れするか
(10)授業:つまみ食いでない知識を
(11)持ち物:子どもの二極化時代に先生は




(9)教え合う教室:上を伸ばすか、下をテコ入れするか

■「話の短い先生なら、聴いてもいいな」
■下を伸ばす先生との違いは
■「できる感」と優越感を持たせる
■できる人のノウハウを活かす




■「話の短い先生なら、聴いてもいいな」

間瀬:
今の話で、連想したことがありました。とにかく上司である僕が部下を褒めて「綺麗になった」って言っても、それなりには効果があるんです。でもね、「お客さんが来て褒めていった」というのが一番いいんです。清掃活動とか5S活動をやると。「お客さんが褒めていった」と言うと、部下にごまをすることには全然ならないわけです。
 もう1つは、ものすごく汚いところがあるんです。それでもお客さんが来ると工場を見せなきゃならないわけね。でも1か所だけピカピカにさせたんですよ。他のところはくしゃくしゃですが。でわざわざそのピカピカのところに連れて行って見せるんです。「本当はこれぐらいにしたいんですけどね、今度お客さんに来ていただく時にはこれが広がってますから」って説明するんです。工場長がピシッと説明したら、汚い工場が見せれるんです。それで僕は工場を見せる時に、工場の技術は全然説明しなかったんです。工場で頑張らせていることを説明したんです。だけど頑張らせてても上手くいってなくても、1か所でいいからピシッとする。そして工場の中では「お客さんが褒めていった」という話をするわけです。これは僕もごまをするわけでも何でもないですからね。そうすると、みんなが元気が出てきて広がっていきます。
 …でもやっぱり気持ちがね、動かなかったら動き出さないんです。行動が出てこないんです。だから今日、先生のお話を聴きながら凄いなあと思って。
 しかも、私は大人に関わってましたから。子どもは少ない言葉で説明せなあかんわけでしょ。まあ長く説明したって理由を説明したっていけませんからね。それを、一言で結果をわからせてるんですよ。

城ヶ崎:話をするときは、「今から15秒間しゃべるから、ね」とか「ちょっと長いから、1分ね」とか言ってからしゃべるようにしますね。大体それを超さないように。すると、子どもはほっとするんです。

山口:確かに「いつまで続くんだろう」というのが一番ストレスですもんね。

城ヶ崎:しかも時間を余すと「最後まで聴かなくて良かった(笑)」。何を言いたいかというと、「あ、この先生の話は短いというか、聴いてもいいな」と思ってくれる。

山口:なるほどなるほど。そうですね。聴く姿勢が変わってきますもんね。全てがそういうふうにきちんと考えられて、それは経験則の中から確立されていったのだろうと思うんですけど、1つ1つの中に意味があってやっておられるんだなあと。

城ヶ崎:じゃないとやっぱり子どもは動かないですね。もっというと、子どもがその気になってくれる。

山口:どうしたら子どもがその気になってくれるか、もうその1点でいつも考えておられるんですか。突き詰めて、突き詰めて。

城ヶ崎:そうですね。そんな立派なものじゃないです(笑)


■下を伸ばす先生との違いは

山口:
大前さんいかがですか。ご自身で実践できることと、ビジネスと教育ではやはりちょっと違うな、ということとあると思いますが。

大前:今日はまったく視点が違うというか、今までやってきたことをもう少し考え直さないといけないなーと。例えば先生が先程言われた、クラスの○の子と×の子と中間の子と、○の子を伸ばすことを考えるというお話。私も同じ様に、2:8の原理といって上の2、下の8。組織を伸ばす時って、上の子は勝手に伸びていく。じゃあ下の子をどう持ち上げていくか、という視点で考えてて、どっちかというと上をほっておく。下を何とかしよう、じゃあ組織はきっと良くなるだろう。先生は全く逆というか、「上を伸ばそう」という考え方。ここが全く違って、僕が20年ぐらいやってきたことはどうしよう(笑)
 高校時代にすごく親しい先生と「学校を良くしたい!」と考えたときに、その先生も「下を伸ばしたほうがいい」。その中に僕も入ってたと思うんですけど、「お前ら、ついてこいよ!」(笑)みたいなことだったんです。できない子どもたちがその先生を慕ってて。僕も大好きな先生だったんですけど、なんかそれがずっとあって、その僕がいた学校は、まだ新設校だったんですけどあんまりレベルが高くなかったんです。僕らが卒業した後には市内でも上の方、3−4位ぐらいにはなったんです。だから学校にその先生がいて、ああいう風にしたから良くなった、だから会社でもそうなんだ、と思ってたところがあります。違うんだーと思うとね、どうしよう(笑)

城ヶ崎:国語の時間に新しいところ(単元)に入ると、漢字が出てきますよね。中にはひらがなしか書けない子もいるんです。漢字なんか読めないですよ。「じゃあ今日は新しいところだからね、先生が読むから聞いててね」っていうと、子どもが何人かがスタスタスタと席を離れて、違う子のところへ行って、ほかの人のノートに書いてるんです。読めない子のノートにルビを振ってるんです。できる子が。その子はもう自分で読んだりしてますから。自分はわかるから、人のところに行ってルビ振って、そういうのが2−3人いるんです。できない子がいますから。お〜、やってるなあと思いながら。私はそれを見て見ぬふりしながら、「はい!じゃあここを1回読んだから○○君もう1回読んでね」というと、その子たちが何するかというと、その読む子の隣に行って、その子がつっかえると言ってあげてるんです。

(一同「へえ〜」)

■できる感と優越感を持たせる

大前:
できる子が、どうやったらできない子を教えるか。一般的に企業にはそこがないんです。できる子ができない子を教えるっていう環境がない。できる子は自分で上へ上へ行こうとするか、何かわからないけど結構ほったらかしなので、会社におりたくないんじゃないかと。われわれの会社は恥ずかしい話、できる子ができない子を教える環境はあまりない気がしてるんですよ。上が「お前リーダーやろ、教えなあかん」って言えば、嫌々教える。でも邪魔くさいと。どっちかというと「オレはオレで行く」というのが、どこの企業でも多いような気がして。どうやったらできる奴ができない奴を教えるんだろう。今、うちの社では特に部署間の垣根を越えた教え合いとか情報共有が課題だと思っているので、そこを提案しているんです。
 私の5人の部署では私が以前から承認コーチングをしていますから社内では比較的、教え合いとか助け合いの気風はあると思いますけど。

城ヶ崎:1つは、「できるね」ってその子に「できる感」を持たせる。その子に自信を持たせて「あ、私ってすごいんだ」と思わすことができれば、その子に「誰々君のこと手伝ってあげてくんないかなあ」と頼むと、「ああ、いいですよ」と休み時間なんかにルビ振ってあげる。

大前:優越感ですか。

城ヶ崎:はい。優越感がないと人に教えられない。あと、自信がないと人に教えられない。

間瀬:教えるときに、「わからんけど」って教えないもんね。

大前:確かに。


■できる人のノウハウを活かす

城ヶ崎:
あとは、そういう(教える)環境ができたら、ほっときますね。みんなに紹介しない。紹介すると、その子がいい子ぶっている感じがするから。自然にしてる。

間瀬:私はね、グループ活動をもっとやったらいいと思う。グループの中でもっと議論をやったり上手くやるやり方を教え合うような環境をつくる。それが仕事の和だね。仕事は命令して、そのグループがやらなならんことが決まってるわけだから。

城ヶ崎:ちょっと違うかもしれませんけど、大前さんが上司と部下の関係だったら、酒が入っても入らなくてもいいからできる子たちだけと大前さんと集まって、仕事の話をしたらどうでしょう。多分部下、同僚の悪口とかね、「あいつダメなんだ」というのが出てくると思うんですよ。できる人からみれば。その時に大前さんが
「ああそうやなあ、オレも困ってんだよ。お前だったらどうする?」
「大前さん私だったらこうしますよ」
「あ、それいいね」「じゃ、それやってみてくんない」
 できる人たちはなんかノウハウ持ってるはずなんですよ。そのノウハウ凄いんだよって。それを活かしなよ、もったいないよ、って誰かが背中を押してくれれば、「あ、やってもいいのかな」って思うんじゃないかなって。今、話をきいてて思ったんですけど。
 優越感とか、あなたは凄いんだよということを気づかせてあげれば違うんかなー、と。すみません偉そうなことを言って。

大前:いいえ。


(10)授業:つまみ食いでない知識を に続く



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

 引き続き、城ヶ崎滋雄先生へのNPO理事・会員によるインタビューをご紹介させていただきます。

 文中で何度か「正田さんのレポート」と言及されているのは、今年2月1日の見学のもようを記したこちらの記事です。
  
 「褒めること聞くこと、記録、スピード、歌声・・・城ヶ崎先生クラス訪問記」
 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51846161.html



登場人物(敬称略):

城ヶ崎 滋雄(千葉県公立小学校教諭)

ききて:

山口 裕史(フリーライター、神戸市在住。NPO法人企業内コーチ育成協会理事)
大前 和正(人材派遣業役員、大阪府在住。同上)
間瀬 誠(コンサルティング会社代表、大阪府在住。NPO会員)


目次:
(1)駅伝初出場3位!
(2)ぼーっとする時間を作らない
(3)通知表:どんなふうに貰ったら嬉しい?
(4)朝練習:「竹馬」と「リレー」で子どもが変容
(5)不登校担当:「して欲しくないことは何か?」
(6)褒め褒めタイム:伸びを言われると嬉しい
(7)崩壊クラス:建て直しはどこから?
(8)ディベート:「まず結論を出してしまえ」
(9)教え合う教室:上を伸ばすか、下をテコ入れするか
(10)授業:つまみ食いでない知識を
(11)持ち物:子どもの二極化時代に先生は




(8)ディベート:「まず結論を出してしまえ」

■返事するのと手を挙げるのとどっちが先?
■決められない子は後ろへ
■「承認して優越感を持たせるって大事ですね」(城ヶ崎)





■返事するのと手を挙げるのとどっちが先?

山口:
正田さんのレポートの中でも印象的だったのが、校門に立っている地域の人に「おはようございます」と挨拶をする時に、やっぱりちゃんと立ち止まってから挨拶しなさい、ということを言われましたね。そういうことも含めて、きちっと1つ1つのことを丁寧にやるというか。

城ヶ崎:そうです、丁寧にとか頭を下げてとか、こちらは思ってるんですけど、それを言うと子どもは「押し付けられた」とか、やらされてる感があるんで、それを感じさせないように、なおかつそうやってさせるにはどういう言葉がけがいいかなあと思ったときに「止まって挨拶しなさい」。止まると、ちゃんとこう(頭を下げる)せざるを得ないんですよ。相手を見なきゃしょうがないですよ。それができるようになったら、「止まる」という価値づけを子どもにさせる。「止まるとさあ、ちゃんと緑のおばさんの方を見られるでしょ。頭を下げられるでしょ。緑のおばさんが手を振ってくれるのもわかるでしょ。それはみんながちゃんと止まって挨拶するからできるんだよ」

山口:はいはい。まず行動というか、身体から憶えさせて、価値づけは後回しなんですね。

城ヶ崎:そうです。理屈で言ってもわからないですからね。「何とかだから、しろ」って言ってもわからないけど、「何とかしたら、こうなったでしょ」と言うと、「あ、そういうことね」とわかるんですよ。

山口:その方が腑に落ちますもんね。大人は、説明して納得してもらった方がいいですけど。

城ヶ崎:例えば返事して起立するのも、手を挙げるのも、どっちから先にする?と訊くと、あんまり意識したことがないんで「両方」とか言うから、「違うよ、返事が先だよ」と。何故か。聞いてる人は誰がどこにいるか知りたいんだ。またいるかどうかを知りたいから、まずそこを確認させなさい。だから、返事が先なんだ。という話をします。子ども達も自分がもし逆の立場になったら、ぱっと誰々さんが手を挙げたときにわからないだろ、と。でも返事したら「あ、いる」ってわかるだろ、と。


■決められない子は後ろへ

山口:
今ので思い出しましたけれども色々と子ども達に考えさせる中で、「まず結論を出してしまえ。理由は後から考えればいいんだ」というのが印象的だったんですけれども、それも何か今のお話に通じるような。まず事を起こしてから、後から。

城ヶ崎:ケースバイケースですけどね。決めてしまったら理由を考えなきゃいけない。意見を変えるのは構わないから、とにかく決めてしまえと。で決めてしまった後は、「なんで?」と訊くんですよね。嫌だなあと思うでしょうけど(笑)で、そのときに決められない子は後ろに行け、と言ったりもするんです。怒ってるんじゃないよ、理由を考えて人の意見をもらったら、アバウトでいいと。△(さんかく)を認めるっていうことですよね。

山口:あー、さんかく…。

城ヶ崎:最初は○か×か決めなさいって言うんですけど、△を認めておいて、そこから○か×かを決めなさいと。

山口:一旦逃げ道というか、安心な場所を用意しておいて、そこからもう一度戻っておいでと。

城ヶ崎:そう。クラスですから、△の子がどっちかへ来てくれると、○か×の子が「やったー」と。「あ、僕たちの意見が通ったんだと。こっちは「負けたんだ」と。そのときは「負けて残念でしたね」「向こう行っちゃいましたね」とか(笑)

山口:ゲーム感覚のディベートというか。

城ヶ崎:で、じゃあもうちょっと作戦練ろうかと「なんかしますか?」「はい」と、そこで話し合いが始まる。そのときも、私は傍観者がいてもいいと思ってるんです。話し合いで例えば4人がいて、4人が全員しゃべってたらダメですよね。きいてくれてる人がいると私しゃべれるんで、「それでいい。その代りいい聞き手になれ」。しゃべり手がすごく気持ちがいいような聞き手になれ。意見を言えない人の役割はそれだよ。

山口:はいはい。…間瀬さんも気になられたことがあれば。

間瀬:…あのね、自分がやってきて上手くいったことを色々と考えてるんだけど、でも…、聞きながら素晴らしいなと思ってるんです。

城ヶ崎:大したことないですよ(笑)

間瀬:気配りが素晴らしいです。自分がこれが正しいと思って、大体偉い人は喋っちゃうんですよね。
 僕のことしゃべったらいかんけども、僕が35歳になった時から転勤になった先がね、今までやったことがない仕事ばっかりの先へ行って。グループの大きさは色々ですけどね。知らないところばっかりに行かされる。行った先というのは、そこで成功した人が栄転するんですよね。栄転した穴あきに放り込まれるのが僕だったんです。そうすると、人も知らないわ、技術も知らないわ。そこで行ったら聴くしかないんです。でもその組織の目的はわかりますからね。聴きながらやっぱり、「このグループこうしたいなあ」という枠を設けるんです。その枠について、「ここへ行きたい」とは言わないんです。人には言わないんですけど、「できたらこれぐらいにしたいなあ」「それがだめでもこれぐらいにはしたいなあ」この幅は必ず持っとった方がいいんです。そして人の意見を、知らないから聴くんです。話を聴いていてそこ(の枠)の中に入ったなと思ったら、「いいじゃないの、また後で聞かして」と、いくんです。それが逆に言うと僕にとってもものすごく安心なんですよね。ここ(枠)1点で考えてると、まだ足らん、まだ足らん、と思うんです。ここ(枠の下限)まで行きゃあ、まぁ上の人からオレが怒られることねえなあと。ここ(枠の上限)まで行ったら褒められるけどね。この幅を、なるべく広く持つんです。それが、知らんところで長をやらされた私の生き方なんです。

山口:ふうん…、それはいかがですか。


■「承認して優越感を持たせるって大事ですね」(城ヶ崎)

城ヶ崎:
ちょっと話が違うかもしれませんけれど、今週の金曜日に、「あ、承認って大事だな」と思ったんです。承認してなおかつ、「あ、僕のほうがまだいいなー」という優越感を与えられれば、人は納得するなあと思ったことがあったんです。そんな大したことじゃないですよ。授業中に子どもが、「先生、血が出た」って来たんですね。見たらね、見えないんです、血が。
「あー、痛くて血も出たくないって言ってるぐらい痛そうだねえ(笑)」と。
「痛いの」
「何したの」
「こういうことしたの」
 でも、授業中ですよ。
「ああそうか、でも痛いよなー」
「痛いの、先生」
「保健室今から行くか?」
「んー」
 一応話して納得したように見えたので、私の手のここがひび割れしてたので、
「ほら見て。先生ひび割れして血が出てる。先生の勝ちだな(笑)どうする?」
「先生、痛そう」
「痛いんだよー、保健室行こうかなどうしようかな。保健室行ったほうがいいと思う?」
って訊いたら、
「うーん先生行ったほうがいいかもしんない」
「君どうする?」
「僕?僕は行かない(笑)まあいいや。授業中だから後で行くよ(笑)」
…ということがありました。
 その時に、今日ここに来るのがわかってましたから、絶対これは話せるなと。「承認と優越感」だなと(笑)
 言葉は悪いけど、「僕のほうがまだいいや」と思えば、人って諦めるというか、納得するというか。

山口:それは承認の中の「共感」を使って、その上で比較で「自分のほうがまだまし」という視点を持たせてあげたわけですね。なるほど。


(9)教え合う教室:上を伸ばすか、下をテコ入れするか に続く


100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

 引き続き、城ヶ崎滋雄先生へのNPO理事・会員によるインタビューをご紹介させていただきます。

 文中で何度か「正田さんのレポート」と言及されているのは、今年2月1日の見学のもようを記したこちらの記事です。
  
 「褒めること聞くこと、記録、スピード、歌声・・・城ヶ崎先生クラス訪問記」
 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51846161.html



登場人物(敬称略):

城ヶ崎 滋雄(千葉県公立小学校教諭)

ききて:

山口 裕史(フリーライター、神戸市在住。NPO法人企業内コーチ育成協会理事)
大前 和正(人材派遣業役員、大阪府在住。同上)
間瀬 誠(コンサルティング会社代表、大阪府在住。NPO会員)


目次:
(1)駅伝初出場3位!
(2)ぼーっとする時間を作らない
(3)通知表:どんなふうに貰ったら嬉しい?
(4)朝練習:「竹馬」と「リレー」で子どもが変容
(5)不登校担当:「して欲しくないことは何か?」
(6)褒め褒めタイム:伸びを言われると嬉しい
(7)崩壊クラス:建て直しはどこから?
(8)ディベート:「まず結論を出してしまえ」
(9)教え合う教室:上を伸ばすか、下をテコ入れするか
(10)授業:つまみ食いでない知識を
(11)持ち物:子どもの二極化時代に先生は





(7)崩壊クラス:建て直しはどこから?

■火中の栗を拾いたい人なんていない
■リレーとカルタは絶対使える
■この子を変えるとみんなが変わる
■できる子を大事にする
■3か月で結果を出す
■まず行動から変える




■火中の栗を拾いたい人なんてない

山口:
そうなんですか(笑) その4年間の不登校を担当された中で、そういう手法を学ばれたわけですか。先生ご自身の変化があって。

城ヶ崎:はい。そのあと崩壊したクラスを2クラス持ちましたから。

山口:荒れたクラスですね。城ヶ崎先生にとってはそれはショックな出来事だったんですか。

城ヶ崎:…オフレコにしたいぐらいなんですけど(笑)いや〜、火中の栗を拾う人はいないですよ。

山口:そういうものですか。それは、そういう荒れたクラスがあるということで。

城ヶ崎:1回目の時は、話が長くなって申し訳ないんですけど、4年間その不登校の担当を終わって学校を替わったんですよ。替わったら算数の少人数の担当になったんです。クラスが無かったんです。

山口:そこの学級崩壊のクラスを持ったことで先ほどの竹馬のようなことがスタートするわけですか。

城ヶ崎:そうですね。


■リレーとカルタは絶対使える

山口:
じゃあ、どういうことからこの荒れたクラスを変えていけるのか、というのは。

城ヶ崎:リレーとカルタは前からやってたので、これは絶対使えると。リレーは好きなことだから頑張る。トラブルも前向きなトラブルだから頑張る。カルタは、ことわざにしろ、子どもは知的になっていくんですね。親とか兄弟が「あんた何で知ってるの」「すごいね」とか、クイズ番組とかでそういうのがあるじゃないですか。何かっていうと子どもがぽつっと言って親が「あんたすごいね」。それでいい気持になるんですよ。やってることはことわざだったり四字熟語だったりするから、もう絶対善のものですから、親にとってみれば「あ、勉強もできる」とかね。そういうところから、子どもが「できる」とか「変わった」とかいう実感を持ったんでしょうね。

山口:そうですか。そのとき先ほどの竹馬のお話じゃないですけれど、一番できない子に焦点を当てられたじゃないですか。やっぱりそういう荒れた学級でも「誰かに」というのは、意識するんですか。


■この子を変えるとみんなが変わる

城ヶ崎:
しますね。先ほど大前さんが「へえ〜」と言われたような、この子には触らぬ神じゃないけど、関わらないぞと。この子は関わるぞと。この子は強く言ってもいいな、あるいは言わないでおこう。まあ、1人1人というほど私は子ども全部に気配りできるほうじゃないんで、主だったところだけ見て。
 選挙と似てると思うんですよ。支持政党と絶対入れたくない政党とあるわけですよ(笑)それから浮動票ってあるじゃないですか。浮動票の行き方で政権が変わるわけですよね。浮動票の子はどちらにでもなるわけですよ。
 この支持政党の○と×の子たち、荒れのもとを作っている子と、作っているわけではないけれどこの子を変えるとみんなが変わるかな、っていう子たち。後の方をみるんです。ここは、いい方になびいてくれると、あとの浮動票はいい方に行っちゃうんです。わるい方になびくとクラスが全部わるくなっちゃうんです。だからクラスが荒れちゃうんです。

山口:あー、なるほど。すると荒れた学級というのは必ずこの×の子がいて、ここに浮動票がなびいてるわけですか。

城ヶ崎:はい。いじめはそうですよね。いじめてる子、はやしたてる子、傍観してる子。

山口:そうするとその×の子をどうするか。

城ヶ崎:しないです。

山口:あ、しないんですか。


■できる子を大事にする

城ヶ崎:
〇の子たちをどうするか。〇をもっと二重丸にしていく。そうすると、浮動票の子たちが、〇をみていく。

山口:こっちに向けるためにですね。ああ、そういうことですか。なんか、つい×の方をみて、こっちを変えれば、〇にすればって思いがちですけれども。要は浮動票をみないといけないんですね。

城ヶ崎:浮動票っていうとあれですけど(笑)物のたとえで。例えば小泉進次郎をもってくるとかっこいいよねー、じゃあ自民党に入れちゃおうかなー、って(笑)
 クラスで授業をしてるときも、放課後残して教える先生っていい先生ですよね。でもそれってあんまり効果ないんですよ。できない子はできないですから。その子に先生1人でかかったら、その子しか見られないですよ。でもその子だけ残しているわけじゃないですよね。何人か残してるから、できない子1人じゃない。するともう1人のできない子は、遊んじゃうんです。何していいかわからないから。残り勉強さして遊ぶのはそういうことなんです。「お前ら何のために残されてるかわかってるか!」って先生がお説教するんですけど、それはね、無理ですよね。
 で、どうするかというと、「できる子を大事にする」。
「凄いねよくできたねー」
「ここをどうやってやるの?あーなるほどねー」
「凄いねー。じゃあドリル進める?それともヘルプの方に行ってくれる?」
ってきくと、大体の子は、褒められたからもあるかもしれないけどこの先生何を望んでるのかなーと考えますから、
「ヘルプ行く」
「あーそう、じゃあヘルプほしい人!」
というと、「はーい」って手が挙がって、「じゃああそこ行って」と。
 そうやってできた子に全部、「君どうする?」って訊くと、もうヘルプ行くしかないですよね。で、「君ミニ先生ね」「ミニ先生ね」ってやると、私が行かなくても、さっき×ってしましたけど下の子たちの面倒は見てもらえる。
 いい子を大事にすると、そのいい子が自分のいいところをほかに還元しようとする。家庭でいうと、お兄ちゃんを大事にすると、弟を可愛がってくれる。それを、弟が年下だからって弟を大事にすると、お兄ちゃんがひがんで、弟を親のいないところでけったりする。何でもお兄ちゃんを優先すると、お兄ちゃんいい気持だから、「じゃ今度弟の面倒をみてくれる?」っていうと「わかったよ」って。家庭でいうと。
 そういうのを学級通信に書くんです。学校ではこういうことをしてます、だからあえて私は早くできた子、○の子たち、いい子たちを褒めますと。それはこういう理由です、と。これを家庭で譬えると、こうですよね。と。


■3か月で変えなきゃ駄目
 
山口:
そうやって結構短期間の間に変わっていくものなんですか。

城ヶ崎:一学期間で変わりました。残されたのはその当時3学期しかなかったんで、あとでじゃあメール送りますけど、親も「もう一度持ってほしい」とか、こっちはもう当然、「もういいです。私の仕事おしまい」(笑)好き好んで持ったクラスじゃないから、もういいよ。一学期だけ頑張ればいいと思ってますから、ところが何とそのクラスを6年も担任しましたけどね。悪い噂を言っていた親もいたんですが、謝りに来ましたね、「私が実は言いました」って。

山口:ああ、そこまで。まあでも親も見事ですね。そうやって謝りに来るなら。

城ヶ崎:そうですね。「1年かけて云々」というのはドラマの世界で、やっぱり3か月―もっというと1か月くらいで何とかしなきゃダメですよね。

山口:あ、そのぐらいのスピード感ですか。城ヶ崎先生の中ではそのぐらいの時間でやろうと。

城ヶ崎:じゃなかったらあと11か月、苦痛ですよね(笑)何とかして変えたい。


■まず行動から変える
 
城ヶ崎:
話が飛びますけど、椅子を入れるのも1か月かかるんですよ。椅子をしまって起立するとか椅子をしまってどこかへ出かけるとか。荒れてるクラスの子たちがおもしろいのは、もう机がぐちゃぐちゃですよ、最初。椅子も出しっぱなし、ごみも落ちっぱなし。で、まず椅子を入れようって言うんです。椅子を入れるなんて幼稚園生でもできることだから、「椅子を入れようよ」と。すると、そういうのは心も真っ直ぐになるんですよね。今まで雑に入れてたのが、ちゃんと入れると、そのときはわからないですけど、例えば委員会とかクラブとかがあって、他のクラスの子がそのクラスに来るんですよ。で帰ってくるんです、放課後。クラブとかは6時間目にあるんで、帰ってきたら「何この椅子出しっぱなし」。お前たちだってこの間までそうだったじゃん、と思うんですけど、
「まったく何でちゃんと入れないのかしら」
「ほー、他のクラスに行ったら気になるか?」
「気になる」
「他のクラスが来たら気になるか?」
「気になる。だって椅子をちゃんと入れてちゃんと真っ直ぐにしたのに、それがぐちゃぐちゃで椅子は出しっぱなしって、ちゃんとやってよ」
 私からすると、もう笑ってしまいますよね。「お前たちだってこの間までそうだったじゃん、先生にずっと言われてただろう」と内心。
 で、変わるんですよ。
「でもさあ、ちょっと前まで君たちもそうだったでしょ」
「そうだった」
「ちゃんとやると、ちゃんとしたことが素晴らしいっていうことがわかるだろ」

山口:へーえ…一番最初にやることっていうのが、椅子から始まるんですね。

城ヶ崎:椅子から始まるんです。

山口:まあ、誰でもできますもんね、そこから気づいて。なるほど…。

城ヶ崎:あと、「物を投げるな」って言うんです。投げるんですよ。プリントでも、前の人が後ろの人に「はーい」とか言って。そうすると当たったりしますから、「両手で置け」と。何でもそう、「ごみも両手で置け」と。ごみもこうやって投げますからね。投げて外れると床に落ちるでしょ。



(8)ディベート:「まず結論を出してしまえ」に続く



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

 引き続き、城ヶ崎滋雄先生へのNPO理事・会員によるインタビューをご紹介させていただきます。

 文中で何度か「正田さんのレポート」と言及されているのは、今年2月1日の見学のもようを記したこちらの記事です。
  
 「褒めること聞くこと、記録、スピード、歌声・・・城ヶ崎先生クラス訪問記」
 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51846161.html



登場人物(敬称略):

城ヶ崎 滋雄(千葉県公立小学校教諭)

ききて:

山口 裕史(フリーライター、神戸市在住。NPO法人企業内コーチ育成協会理事)
大前 和正(人材派遣業役員、大阪府在住。同上)
間瀬 誠(コンサルティング会社代表、大阪府在住。NPO会員)


目次:
(1)駅伝初出場3位!
(2)ぼーっとする時間を作らない
(3)通知表:どんなふうに貰ったら嬉しい?
(4)朝練習:「竹馬」と「リレー」で子どもが変容
(5)不登校担当:「して欲しくないことは何か?」
(6)褒め褒めタイム:伸びを言われると嬉しい
(7)崩壊クラス:建て直しはどこから?
(8)ディベート:「まず結論を出してしまえ」
(9)教え合う教室:上を伸ばすか、下をテコ入れするか
(10)授業:つまみ食いでない知識を
(11)持ち物:子どもの二極化時代に先生は




(6)褒め褒めタイム:伸びを言われると嬉しい

■本当にその子をみている褒め言葉とは
■あの子に認めてもらった





■本当にその子をみている褒め言葉とは


城ヶ崎:私が子ども達に言うのは、人ってね、自分が好きなこと得意なこと嬉しいことをしゃべりたいんだと。だからそれを聴いて(訊いて)あげるんだよ。嫌なこともそうなんだけど、朝のスピーチはいい事しか言わないんで、「だれと行ったんですか」なんて、そんなの訊いたって家の人に決まってるんだから詰まらないでしょ。
「英国屋に先生行ったんだー」
「先生何食べたんですか」
「いや、シフォンケーキ勧められてさ」
「なんでシフォンケーキだったんですか」
「いやそこの店員さんがね」
ってこう(前のめりに)なってくるわけですよね(笑)そういうこと訊いてあげようよと。
 あ、すみません大前さんの時間だったのに話をとってしまって。

山口:「褒め褒めタイム」の話ですが、これは通常はどういう時間にやってらっしゃるんですか。

城ヶ崎:帰りの会でやります。毎日。
 日直の子2人に、各班から1人ずつ、9班あって日直が2人ですから、結局18人がコメントすることになります。最初男の子の日直に対して1班から9班まで各班1人ずつが言っていく。それが終わったら女の子の日直に。

山口:その褒め言葉ですが、変化をみてるじゃないですか。「前よりこうなったね」っていう。あそこが凄いなと。本当にその子のことを見てるんだなって。日直の子の前の様子が分かっているからこそそれが言えるわけじゃないですか。そういう習慣、すべての子ども達をお互いが「みる」という習慣ができているんだな、ということをこれを見て思いました。

城ヶ崎:そうですね。いや、そこのところは簡単ですよ。「なんで?」って訊けば。「いや前はこうだったから」「あ、前はこうだったんだ」それを積み重ねていくと、私の「なんで」が要らなくなって、子どもがそこは全部言ってくれる。

山口:ああ、やっぱり習慣づけられるわけですね。


■あの子に認めてもらった

城ヶ崎:ただ、やっぱり言われて嬉しいのは、自分が伸びたところを言われて嬉しい。「褒め褒めタイム」で言ってもらった日直の子の感想があるんですけど、その感想の中で
「一番嬉しかったのは誰々君が何とかって言ってくれたことです。それはなぜかというと」
という形で言うようにさせてます。もちろん定型は教えるんですけど、それをきくと聞いている方も「ああそうか、伸びを言うと人は喜んでくれるんだ」ということに気がついていく。
 さらに、上手い子に言われると嬉しいんですね。足の遅い子が早い子に「早くなった」と褒められると嬉しいとかね。

山口:うん、そうですよね。「あの子に認めてもらった」とね。

城ヶ崎:「誰々ちゃんの方が上手いのに」とか「誰々ちゃんの方が早いのに、それでも言ってくれたから嬉しかった」とか。「あ、僕もそこの域に達したんだ」ということじゃないですか。

山口:こういうクラスであればいじめとかは生まれないだろうなと思うんですが。お互いがお互いのことを関心をもってみていて。

城ヶ崎:いじめはわからないですけど喧嘩はしょっちゅうですね。トラブルはね(笑)また君たちか、と。


(7)崩壊クラス:建て直しはどこから? に続く



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
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 引き続き、城ヶ崎滋雄先生へのNPO理事・会員によるインタビューをご紹介させていただきます。

 文中で何度か「正田さんのレポート」と言及されているのは、今年2月1日の見学のもようを記したこちらの記事です。
  
 「褒めること聞くこと、記録、スピード、歌声・・・城ヶ崎先生クラス訪問記」
 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51846161.html



登場人物(敬称略):

城ヶ崎 滋雄(千葉県公立小学校教諭)

ききて:

山口 裕史(フリーライター、神戸市在住。NPO法人企業内コーチ育成協会理事)
大前 和正(人材派遣業役員、大阪府在住。同上)
間瀬 誠(コンサルティング会社代表、大阪府在住。NPO会員)


目次:
(1)駅伝初出場3位!
(2)ぼーっとする時間を作らない
(3)通知表:どんなふうに貰ったら嬉しい?
(4)朝練習:「竹馬」と「リレー」で子どもが変容
(5)不登校担当:「して欲しくないことは何か?」
(6)褒め褒めタイム:伸びを言われると嬉しい
(7)崩壊クラス:建て直しはどこから?
(8)ディベート:「まず結論を出してしまえ」
(9)教え合う教室:上を伸ばすか、下をテコ入れするか
(10)授業:つまみ食いでない知識を
(11)持ち物:子どもの二極化時代に先生は




(5)不登校担当:「して欲しくないことは何か?」

■「どうしたら」ではなく「何をしなかったら」
■答えられる問いをしよう
■自分が不登校になって「これが不登校か」





■「どうしたら」ではなく「何をしなかったら」


山口:荒れたクラスを持たれたというのはいつごろのことなんですか。

城ヶ崎:40(歳)前でしたね。それまでは不登校専門で4年間ぐらいやっていました。不登校をやる前は感覚的に自分はうまくクラス作りをできると思っていましたから。いいクラスは作れると思っていたんですね。生意気ですけど。でも不登校の子たちと接したら、いや〜こちらの思いが思う通りにいかないんですよ。逆にもう、腫物に触るように、「これ言ったら学校来なくなるんじゃないかなー」と思うと、毎日がおっかなびっくりなんです、接するのが。そういう不登校の勉強をしたわけでもなかったので、試行錯誤しながらやっていった時に、「これは今までの自分のやり方を1回否定しなきゃだめだな」と思いましたね。

山口:そうでしたか。否定するってことは、今までどうやって来たかということを逆に考えないと、否定もできないですよね。

城ヶ崎:そうですよね。いや、今までのことも全部なくして、「とにかく今この子たちは何をしてほしいんだろう」「何をされてほしくないんだろう」ということを考えたんです。

山口:それは、何て言うんですか子どもたちの目線に視点をがらっと変えた、ということですか。

城ヶ崎:そうですね。

山口:それまでは、こうすれば子どもたちはついてくるだろうと。

城ヶ崎:そうですね、ついてきましたから。

山口:実際にそれまでそれでやってこられたわけですね。

城ヶ崎:「どうしたら」というのは実際には、「何をしなかったら」、この子たちは私との関係をつくれると思ってくれるかなと。

山口:何をしなかったら。

城ヶ崎:例えば、極端なことを言ったら、「じゃあ学校に行こうよ」とか「給食はさあ」とか、学校の話題をしなければ、私との関係がうまくいく、とかね。そういう、私との関係がうまくいくために、私が何をしなければいいのか、と。とかく何をしてあげれば、と思うんですけどそうじゃなかった。それをやるとやっぱりこっちが引っ張っていくとか、相手の気持ちを無視してしまうことになるので。


■答えられる問いをしよう

山口:そこの気づきが、がらっと変わった瞬間というのは。「何をしなければ」というのはすごく難しいような気がするんですけど、実際そういうことを突き詰めて考えられたわけですよね。具体的には何をしなかったんですか。

城ヶ崎:そのとき思ったのは、「あ、子どもに訊けばいい」と思ったんです。当然家庭訪問して家に上げてもらえれば、勉強部屋まで通してもらえますから、見ますよね。「ああ、ドラえもんが好きなんだ」とか「ドラえもんの中のだれが一番好き?」とか。そうやって子どもが持っているもので会話にしていくと、その場がつくれる。そして、「あ、この子は今こういうことに興味を持ってるんだな」「じゃあこれから話をしよう」と。そういうことをやっているうちに関係づくりができれば私の言うこともきいてくれるだろうと。
 ただ不登校の場合には、だんだん学校に近づけていくと子どもは学校に来れるようになるんです。だからまず家を出る。家の下の公園で一緒に時を過ごす。お散歩をする。学校の前を通過してどっかへ行くとか、学校へ行く距離を伸ばしていくとうまくいくのは、それは分かったんで、自分で。
 そのために、外へ行くためにどうするか。例えば野球のバットなんかあると、
「ああ野球好きなんだ。右打ちなの左打ちなの?」
って言うと、
「右打ち」
「じゃあ振って見せてよ」
「え、ここは部屋だから」
「じゃ、外で振ってやってみようか」
っていうと、外へ行きますよね。

山口:なるほど、そうやって少しずつ学校に近づくように。

城ヶ崎:こっちの要求はしない。

山口:そこにやっぱり問いかけの方法はあるわけですか。

城ヶ崎:そのときは感じなかったですけど、今思うとありましたね。先程も言いましたように、「何だったら答えられるか」。

山口:なるほど、答えやすい質問を考えて問いかける。これで本人の気持ちを引き出していく。

城ヶ崎:そうですね。だんだん関係づくりができてきて、学校へ行く道が距離が長くなってきたときには、「学校に行くようになったら、何の時間に行ってみたい?」とか、「じゃその時間に学校の中に入れなくてもいいから、その時間に学校に行ってみようか」とか、こちらの要求ができるようになっていく。

山口:それを最初からやってしまうと、また閉じてしまうと。

城ヶ崎:そうです。もちろん、「学校に」という言葉を出せるまでには、絶対に大丈夫という確信を持てないと言えないですけどね。

山口:折角ここまで来たものがまたゼロになる、逆戻りしてしまうということですもんね。


■自分が不登校になって「これが不登校か」

城ヶ崎:それを4年。実はもう、4月5月は私の方が不登校で。わがままでね、不登校の子っていうのは。…不登校になるからわがままなんですよ。

山口:あ、そういう順番なんですか。

城ヶ崎:だらしのない子は、不登校にならないです。

山口:へえー。どういうことですか。

城ヶ崎:頑張る子どもが、もう頑張り切れなくて水がこぼれちゃって不登校になる。
 だらしがないとか、勉強ができないとか、そういう子は不登校にならないです。

山口:結構じゃあ真面目な子だったりするわけですね。

城ヶ崎:はい。いい子が不登校になる。
 逆にコンビニでこうやってるのは、共稼ぎが多いですね。うち帰ってもだれもいない。人って居心地のいいところに自分の逃げ場を求めるんですよね。不登校の子は、親のそばがいい、家庭がいい。で見てると、専業主婦は不登校が多い。共稼ぎはコンビニの前でたむろしてます。親がいないからね。居心地のいいのはみんなが集まってるコンビニのところだから同じ傷をなめあうじゃないけど、「オレも淋しいよなあ、お前も淋しいよなあ」っていうのが集まる。
 それを親は、せっかくうちで不登校やってくれてるのに、そこをまた引き出そうとするから、親の前が居心地がわるくなるから、子ども部屋に引きこもっちゃうんですよね。

山口:ああ、どんどん追い込んじゃう。

城ヶ崎:そう。そういう子たちなので、今まで我慢したのを出せないと治らないですよね。治らないというか、復帰できないですよね。で、わがままになると。わがままをさせるということですよね。当然こっちはわがままをきかなきゃいけないけど、今まではそんなわがままな子と対応したことがないので、教師の言うことはちゃんときく子ですから、それが言うことは聞かないわ、わがままは言うわ。もういらいらするんですよ。我慢しなきゃいけないでしょ、こっちがストレス溜まるんですよ。朝電車を降りて「ああまたあいつらと会うのか」と思っちゃって。

山口:へえ〜。そんな時期があったんですか。2か月?

城ヶ崎:2か月でしたねえ。1か月目は頑張るからいいんですよ。5月病じゃないですけど、慣れてきたらひゃあ〜(ため息まじり)と思っちゃって。

山口:そうですか。そこはどう越えられたんですか。

城ヶ崎:それはですね、ふっと「あれ、オレが不登校だ」と。これが不登校か、と思ったんです。



山口:同じ立場に立ったんですね(笑)

城ヶ崎:はい。そういうことかって気がついたんです。頑張らなきゃいけない、行かなきゃいけないと思っていて、頑張れなくなって不登校になる。そう思ったら、わかってきましたね。一番最初のセリフですけど、子どもの気持ちにならなきゃダメなんですね。

山口:ご自身が不登校になって初めて(笑)

城ヶ崎:わかりました。

山口:へえ〜、そんなご経験をされて。
 それからすると、何をそのときは決意していかれたんですか。

城ヶ崎:それからはもう全部、大変言葉は悪いんですけど、スルーしようと。わがままを私がスルーすればいいんだ、と。聞きゃいいんだな。まあ向こうも言いたいんでしょうから、やりたいでしょうから、それは受けとめなきゃいけないんだな。正田さんの言葉で言うと「承認」なんでしょうけど。その当時は「スルーすればいい」と思ってたんですよね。ただ真に受けたらこっちが頭に来ちゃうんです。そしたらすごく楽になりました。私が。
 楽になったら、「相手は試してた」ということがよくわかりましたね。試すというか、「この人は一体どんな人なんだろう」と見きわめていた、というんですか。

山口:そこから、じゃあガラッと意識が変わって。

城ヶ崎:変わりましたね。接するのも楽になりました。不思議なものでこっちが楽になると、だんだん学校に行く距離が近く、学校に行くようになるんですよ。「あ、そういうことか」と。引っ張っちゃいけないんだと。

山口:いかがですか、大前さん。

大前:どうしてもビジネスの世界というか、会社の中に置き換えて考えてしまうんですけど、「えっ」と思ったのが、「何をしなかったら」関係が作れるか、というところ。どうしても会社では、部下のために何かしてあげようとか、部下が何をしてほしいのかなと思って、その立場になって考えよう考えようとして、コミュニケーションをとろうとするんですけど、「何をしなかったら」という視点がまったくないんですね。どうしても私自身に置き換えたら、「部下のために何をしなかったらいいんだろう」というのがなかなか思いつかないんで。

城ヶ崎:仕事ではないんですけど、例えば、髪の毛を切ったとか、眼帯をしたとか、大体「どうしたの?」とききますよね。でもそれって、会う人みんなきくと思うんですよ。そのうち答えるの嫌になるじゃないですか。じゃなくて「今日仕事大丈夫?」ってきいてあげた方が「大丈夫です」「無理するなよ」って言えるわけですよね。それって、相手は眼帯してきたらきっと眼帯してきたことを訊かれるだろうなー、髪の毛切ったら訊かれるだろうなー。みんなはどうしたのって訊くだろうなー。その人が答えて毎回同じこと答えてたら嫌になるだろうなー。
 「今日の業績どうだった?」って訊かれたら、良ければ答えられるでしょうけど悪かったら答えづらいだろうなーとか。だったら「明日はどういうふうにやるの?」と訊かれたら「明日はこういうふうにやります」とか。「なんで?」「いや、今日よかったから」「なんで?」「いや、今日だめだったから。もう頭来ましたよ」「なるほど、明日そうやってやるんだ」と。私だったらそう言葉がけするかなと思いますね。

大前:髪の毛切ったら、「あ、散髪行ったんだ」と、コーチングの本読むとそう書いてある(笑)一生懸命実践しようとしている自分が今、どうしたもんかなと(笑)

山口:そこからもう1つ先の考え方ですね(笑)

城ヶ崎:「その髪型似合ってるね」とか「あ、大前さん真ん中分けなんだ」とか。

山口:それが相手を気にかけてることが伝わる、っていうことですかね。

城ヶ崎:相手がもう答えたくないことって何だろうというと、眼帯だったら「いやあ昨日なんとか病院に行きましたよ」だとか、そういうのはもう答えたくないだろうなーと。でも髪の毛切るって、こだわりのある人はこだわりがあるんで、「大前さんその髪の毛どこで切ったんですか?」「いや実はね、なんとか店へ行ったんだよ」「担当はだれですか?」「いや何とかさんでさ」って、言いたいんじゃないかなって思うんですよね。そういうのを訊いてあげれば、訊くんだったら。
 このレポートの中にもありますが、子ども達に日直がスピーチをするんですけど、「だれの質問が一番嬉しかった?」って訊くと、「何とかさん」「なんで?」「勝ったこと訊いてくれた」とかね。で、「みんなきいたか?」って。「質問はね、相手が答えたいことを訊くんだよ」。

山口:ああなるほど。そこでまた相手の立場に立って考えることを学んだり、習慣づけられるわけですね。



(6)褒め褒めタイム:伸びを言われると嬉しい に続く



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

 引き続き、城ヶ崎滋雄先生へのNPO理事・会員によるインタビューをご紹介させていただきます。

 文中で何度か「正田さんのレポート」と言及されているのは、今年2月1日の見学のもようを記したこちらの記事です。
  
 「褒めること聞くこと、記録、スピード、歌声・・・城ヶ崎先生クラス訪問記」
 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51846161.html



登場人物(敬称略):

城ヶ崎 滋雄(千葉県公立小学校教諭)

ききて:

山口 裕史(フリーライター、神戸市在住。NPO法人企業内コーチ育成協会理事)
大前 和正(人材派遣業役員、大阪府在住。同上)
間瀬 誠(コンサルティング会社代表、大阪府在住。NPO会員)


目次:
(1)駅伝初出場3位!
(2)ぼーっとする時間を作らない
(3)通知表:どんなふうに貰ったら嬉しい?
(4)朝練習:「竹馬」と「リレー」で子どもが変容
(5)不登校担当:「して欲しくないことは何か?」
(6)褒め褒めタイム:伸びを言われると嬉しい
(7)崩壊クラス:建て直しはどこから?
(8)ディベート:「まず結論を出してしまえ」
(9)教え合う教室:上を伸ばすか、下をテコ入れするか
(10)授業:つまみ食いでない知識を
(11)持ち物:子どもの二極化時代に先生は




(4)朝練習:「竹馬」と「リレー」で子どもが変容

■子どもの意欲と登校時間は比例する
■指導で出来た!→先生のカリスマ性
■リレーのトラブルは生産的
■授業より大事なことがあるから




■子どもの意欲と登校時間は比例する


山口:正田さんのレポートをみると、授業でもほかでも色んな考えさせる仕掛けをされてるんですけれども、それも今の子ども目線ということでしょうか。そこの想いも教えていただけますでしょうか。

城ヶ崎:そのレポートに書いてあったので言いますと、朝の運動とリレーがありましたね。私は子どもの意欲と登校時間は比例すると思っているんです。やる気のある子、学校が楽しいと思う子は、学校に早く来る。そう思わない子は遅い、と。早く来れば、楽しいと思えば、多少のことは我慢できるし頑張れる。多少つまんなくても、みんなと一緒にやってれば面白いと感じてくれるから、まずは学校に早く来させる。じゃそのためには何したらいいかと言えば、やっぱり遊ぶことだと。ただ遊ぶだけでは子どもが好きなことでばらばらになってしまうんで、こちらが何かそこで仕掛けなきゃいけない。そのときにはちょっと頑張ればできることを投げかけて、「ぼくもやりたい」「ぼくもできる」「あいつができるんならぼくもできる」「あいつができるのにおれができないのはおかしい」というのを持ってこようと思って、一番最初にやったのは竹馬でした。

山口:あー、そうなんですか。

城ヶ崎:竹馬はちょっと努力すればできるんですよ。でも一輪車はいっぱい努力しないとできないんで、竹馬から入ったんです。縄跳びも努力しないとできない。

山口:そうですか、「竹馬」というところがまずポイントなんですね。

城ヶ崎:はい。誰でもできて、でも練習しないとできないものを選んだ。
 そのとき、ある大人しい女の子で目立たない子がいたんです。声も小さいし。「あ、この子だな」と思ったんです。この子が竹馬をできるようにさせれば、ほかの子たちも「え、あの子が」と思うだろう。と思って、1週間くらい徹底的にその子だけ特訓しました。ただずっとその子のところにいると、「先生ひいきしてる」と思われるから、さりげなく毎日その子のところに。すると、できるようになるんですよ。

山口:はいはい。すると周りのみる目が変わる。


■指導で出来た!→先生のカリスマ性

城ヶ崎:
変わります。その子に対してみる目も変わるけど、「あ、ぼくもできる」とか「ぼくができないと恥ずかしい」とかいう風にも気持ちが変化する。あの子ができるんだから。

山口:うん、そうですね。そういう風に気持ちが動いていくわけですね。

城ヶ崎:そうです。それができるようにするには、「今日は何歩連続でできるようになりましたか?」と、毎日きいたんです。「私は何歩」「私は何歩」っていって、そのうち「あれ、あの子の回数が多い」という風に周りがだんだん気がついて。あとは、私の教え方で「こうやってるんだよ」というと、今度は私のカリスマ性じゃないですけど、「先生の言う通りにすれば、できる」ということを思わせる。

山口:はいはい。それはポイントですよね。やっぱり先生への尊敬の念というか。「先生をしっかり見ておこう」ということですよね。

城ヶ崎:ま、言うことを聞こうということですよね。言うことを聞いたらなんかいいことがある、っていう。

山口:そういうことから、まあ体験の中から気づかせる、ということですね。


■リレーのトラブルは生産的

城ヶ崎:
はい。で、それが終わったらリレーですが子どもはリレーは好きですから。ただそこで、必ずトラブルがあるんです。
 チームが4週間メンバーが変わらないんですけど、6人1グループなんですが、その時間にならないと何人揃うかわからない。校庭を3周することは決まってますから、6人だから半分・半分走ると2×3=6で最終で1チームが全員半周ずつ走るんですけど。で3周走るんだけど、休むとだれかが2回走らなきゃいけないんです。
 なのでまず「だれが来てないの?」から始まって、「じゃあ来てない人の分をだれが、どこを走るの?」ということになるんですね。当然、バトンが上手くいきません。渡らないんです。
 でけんかが起こるんですが、私はそのとき、「あしたも同じ状況だったら今どうするか」を相談して、「もしあしたもこのメンバーで走るんだったら、どうしたら走れるかを考えついたら、教室に帰っておいで」と言って、私は先に教室にたったか、たったか帰ってきちゃうんです。

山口:ふうん…、で考えるわけですね、子どもが。

城ヶ崎:考えます。そんなに難しいことじゃないです。

山口:それは、今日休んだ子に「あしたは来てね」と言ってみたり、ということですか。

城ヶ崎:そうです。「なんか言うことない?」ってきくと「あいつがちゃんと来てくれればこんなことなかった」とか言うから、「じゃあそういう言い方しないで、『あした来てくれれば助かるんだけどなあ』って言えば?」と。

山口:すべてそれは、自分で考えさせる。

城ヶ崎:まあ自分で、というんですかねえ。考える機会を与える。

山口:すると、次の日はちゃんと揃ったり。

城ヶ崎:そうならない場合もありますけどね(笑)バトンがつながらないことが悪い、悪だということじゃなくて、それが人間生活していく上での1つのトラブルだと。そんなことはよくあることだよ、アクシデントだよ。じゃあアクシデントをどう乗り越えるかを考えるほうが大事だね、と。前もって見学だったら見学って言えばいいわけですし、いつも遅いんだったら、「あの子が遅いから」という前提でリレーのオーダー組んでおいたら、その子をそこに入れればいいわけですから。


■授業より大事なことがあるから


山口:それを通じて問題解決力を育てるわけですね。
リレーが今のような形になったのはどういうプロセスですか。初めからそういうふうにやろう、と思ってやった?

城ヶ崎:いや、それはちょっとカギなんですけど、荒れてるクラスを持ったときに、なんか学校に来る楽しみを作らなきゃいけないな、と。子どもにとっての楽しみは何だろうと考えたら、「遊ぶこと」と「給食」かなと(笑)授業とか何とかっていうのはまた別の問題で、遊ぶことの中で子どもが「ああ学校行きたい」「みんなと一緒にいる時間っておもしろいな」って思わせれば、いいかなと。だけどそこにはやっぱり成長がある。それから競う場面がないと、子どもは飽きちゃう。で何かなーと思うと、「リレー」と「かるた」だったんです。ドッジボールは強い弱いが出て、やりたくないっていう子も出てきますから。みんなが外野というか、第三者にならないようにするには、みんなが関わるようなものじゃないとダメですからね。ボール運動って、必ず遊ぶ(参加しない)子が出るんです。サッカーなんかやると典型ですよね。

山口:なるほど、そういう子が出ないように。

城ヶ崎:実際それ(リレー)をやったらそれが楽しみで学校に来る子もいましたから。
 学級崩壊してる子たちっていうのは、何となくトラブルになってるんですよね。居心地がわるいとか。あいつは嫌いだとか。何となくトラブル。
 でもリレーのトラブルっていうのは、必然性のある、改善しなきゃいけないトラブルなんです。「あいつが来ないとできない」というのは、来させるためにはどうしたらいいか、とか、バトンがつながらないのは、順番間違えたからだとか。「じゃなんで間違えたの?」といったら、ちゃんと事前に打ち合わせして順番を確認しなかったからだと。改善しなきゃいけないトラブルと何となくのトラブルは違うんで、同じトラブルをやるんだったら、必然性のある改善性のあるトラブルをしながらそこでお互いを高めていけば。人間関係づくりをしていけば。
 すると、「あ、話し合うことっていいことなんだ」とか、「解決するっていいことなんだ」というのを場を設定できるだろう。
 そういう意味ではこちらのほうが、トラブルがあるのは想定済み。トラブルが起こってくれるほうが逆にありがたい。だから「話し合ったら帰ってきてね」「時間をあげるよ」っていうスタンスでいられる。
 だってね、学校の授業より大事なことって一杯ありますからね。仮にそれで1時間目が食い込んでも、私はそっちの方が大事だと思ってるんです。


(5)不登校担当:「して欲しくないことは何か?」 に続く



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

引き続き、城ヶ崎滋雄先生へのNPO理事・会員によるインタビューをご紹介させていただきます。

 文中で何度か「正田さんのレポート」と言及されているのは、今年2月1日の見学のもようを記したこちらの記事です。
  
 「褒めること聞くこと、記録、スピード、歌声・・・城ヶ崎先生クラス訪問記」
 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51846161.html



登場人物(敬称略):

城ヶ崎 滋雄(千葉県公立小学校教諭)

ききて:

山口 裕史(フリーライター、神戸市在住。NPO法人企業内コーチ育成協会理事)
大前 和正(人材派遣業役員、大阪府在住。同上)
間瀬 誠(コンサルティング会社代表、大阪府在住。NPO会員)


目次:
(1)駅伝初出場3位!
(2)ぼーっとする時間を作らない
(3)通知表:どんなふうに貰ったら嬉しい?
(4)朝練習:「竹馬」と「リレー」で子どもが変容
(5)不登校担当:「して欲しくないことは何か?」
(6)褒め褒めタイム:伸びを言われると嬉しい
(7)崩壊クラス:建て直しはどこから?
(8)ディベート:「まず結論を出してしまえ」
(9)教え合う教室:上を伸ばすか、下をテコ入れするか
(10)授業:つまみ食いでない知識を
(11)持ち物:子どもの二極化時代に先生は




(3)通知表:どんなふうに貰ったら嬉しい?

■1人1人廊下に出て渡す。どうなる?
■個別指導はしない、その理由は




■1人1人廊下に出て渡す。どうなる?


城ヶ崎:私の場合には、自分がこう、子どもなんですよね。子ども視線で考えるんですよ、割と。来週あたりは終了式で通知表を渡すんですけど、大前さん通知表をこれから先生にもらいますと。どんなこと考えます?

大前:ABCがどうなんかなーとか(笑)

城ヶ崎:じゃあこれから通知表を渡すから、一人一人渡すから、廊下に出て。渡すからねって。て、廊下でぼくは説明するんですけど、どう思われます?

大前:たぶん親の顔を思い浮かべながらじゃないかなーと思います。しっかりやってたんだったら、褒められるだろうなと思うし、あーあれまずいなー、また親に怒られるんかなーとか。

城ヶ崎:間瀬さんどうですか。

間瀬:もう忘れちゃった(笑)今、名刺の裏に書いてありますが高槻の合唱連盟の会長をやってるんです。私は大抵部下と一緒に仕事をやってるんですよね。ずーっと一生。部下に頼むときに、うまくできたらこれくらい、まずまずの出来でもこれくらいにしたいと思っているんですよ。それで部下の話を聴きながら、「それ(提案)でいこうや!」といった時に、多分ここへ入るなと思ったら、やってくれるんですよ。ここに入らない間は議論してるんですよ。

城ヶ崎:私の質問が悪かったですね。山口さんには質問しません(笑)
 さっきの言葉は教師として言ったんですけど、子どもの立場だったら、早く通知表を見たいですよね。それが廊下に出て1人1人に渡して「君はこうだからねー」というと、こっちで貰ってない子がいるんです。貰った子もいるんです。
 ここで「オレ何とかだったぜー」とか「オレまだだぜー」とか、当然騒ぎますよね。で、「うるさい」とかなっちゃうんでしょうけど。とにかく、先生は良かれと思って渡すときに励ましの言葉とかなんとかを含めて言うんですけど、子どもは早く見たいんです。目の前にご馳走があるのに、そこにシェフが来て講釈を述べられたらいやじゃないですか。食べたあとに聞かせてよ。と、私が子どもだったら思うんですよね。
だから私は、通知表を渡すときには、もう出席番号順にどんどん渡していくんです。で渡されたら立つんです。で全員が立ったら「見ていいよ」って言うんです。そして、見て満足したら座れる。
 ともだちに見せたいんだったら見せろと。でも見せてというのは言っちゃだめだと。見せてと言われて、嫌だと思っても嫌だと言えない人もいる。嫌だと言いにくい場合もあるから、仮に嫌だと言われたら君も嫌でしょ?と。相手が見ていいよと言ったら見てもいいけど、それ以外は無し、と。


■個別指導はしない、その理由は

城ヶ崎:
で、満足したら座ってねと。一番最初に配った順にみていくと最後の人が損するというか。たまたまの順番だよね、だからそれは一番最初の人はちょっと我慢しろと。ていう風に配っていって、最後「はいどうぞ」って言うと、渡したときにはわーっと騒然となってるんですけど、そのうち子どもは座るんです。静かに。「満足しましたか?」って言ったら「した」と。「じゃあ、この通知表みて何が励みになった?」何が良かったってきいてるんじゃないよ。だめってきいてるんじゃないよ。これを見て何が励みになった?何が幸せになったか。今から一言ずつ言ってもらうから、考えついた人は座れ。でまた立たして、こう座っていって。いつまでも立ってる子がいますから、立ってる子は怒ってるんじゃないよ、後ろみなさい。で今から人の意見をきくから、君がああこれがいいなあと思ったら、考えついたらその意見もらったら自分の席行って立ってなさいと。
 じゃあ個別に指導しないんですか?というと、もう今日の駅伝も同じなんです。今日は子どもは走るだけなんですよ。走る前にあれこれ言ったって、心ここにあらずで聞いてくれないんです。余計な事、雑音。せっかくこっちの緊張を高めようとしてるのに、なんでそこで言うの?という気持ちになる子もいるので、もう当日は言わない。ただ確認だけ、「タスキがこうなったら外そうね」「タスキつけるまでは全力で行かないっていう約束だからね」っていう確認をするだけなんです。
 通知表も、実は渡す何日か前に「今回頑張ったらなあに?なんとか言ったね」と確認してるから、もう当日の個別指導はしないと。それよりはもう、目の前のご馳走を早く食べさせてあげる。食べ飽きたら「良かったね」「次何食べたいの?」というふうに私は思ってるんで。
 そういう意味ではさっき言った「子どもだったらどう考えるか」ということをまず考えますね。



(4)朝練習:「竹馬」と「リレー」で子どもが変容 に続く



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

 引き続き、城ヶ崎滋雄先生へのNPO理事・会員によるインタビューをご紹介させていただきます。

 文中で何度か「正田さんのレポート」と言及されているのは、今年2月1日の見学のもようを記したこちらの記事です。
  
 「褒めること聞くこと、記録、スピード、歌声・・・城ヶ崎先生クラス訪問記」
 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51846161.html



登場人物(敬称略):

城ヶ崎 滋雄(千葉県公立小学校教諭)

ききて:

山口 裕史(フリーライター、神戸市在住。NPO法人企業内コーチ育成協会理事)
大前 和正(人材派遣業役員、大阪府在住。同上)
間瀬 誠(コンサルティング会社代表、大阪府在住。NPO会員)


目次:
(1)駅伝初出場3位!
(2)ぼーっとする時間を作らない
(3)通知表:どんなふうに貰ったら嬉しい?
(4)朝練習:「竹馬」と「リレー」で子どもが変容
(5)不登校担当:「して欲しくないことは何か?」
(6)褒め褒めタイム:伸びを言われると嬉しい
(7)崩壊クラス:建て直しはどこから?
(8)ディベート:「まず結論を出してしまえ」
(9)教え合う教室:上を伸ばすか、下をテコ入れするか
(10)授業:つまみ食いでない知識を
(11)持ち物:子どもの二極化時代に先生は




(2)ぼーっとする時間を作らない

■「レポートに涙が出ました」(山口)「あれは良く書きすぎですよ」(城ヶ崎)
■「よし」「すばらしい」と言われた子、良かったね
■会社にコーチングって必要?
■「大人になって承認されてやる気になることがない」(城ヶ崎)




■「レポートに涙が出ました」(山口)「あれは良く書きすぎですよ」(城ヶ崎)


城ヶ崎:鎌ヶ谷の隣の船橋に住んでる城ヶ崎です。

山口:道一本隔てると鎌ヶ谷ですから。

城ヶ崎:そうですね。名刺に学校名を書いてないんですけど、私いつも「ただの小学校の先生なんだ」としか思ってないので、学校名を入れると人は学校名を通じてものを見てしまうだろうと思うんで、ただの小学校の先生ですよ、ということであえて「千葉県公立学校」という名刺にしているんですけどもね。
 皆さんが今回来ていただいたのは、正田さんが私のクラスに来ていただいたからだと思うんで、確か4時間ぐらい見ていただいたんですよね。まさか朝8時から来ていただけると思わなくて、びっくりしました(笑)

山口:あのレポートは凄く…、あれを読んだだけで涙が出てきました。

城ヶ崎:良く書きすぎですよ、あれは(一同爆笑)まあでも、子どもたちはすごく忙しいと思いますね。

山口:ですね、あのレポートを拝見してると、忙しいだろうなと。

城ヶ崎:いつも思ってるのは、時間があると、人は、たるむ。忙しいほど、充実してる。仕事もね、忙しい人に頼めと言うじゃないですか。

山口:はいはい。見てると、ぼーっとしている時間を作らないという感じですよね。

城ヶ崎:はい。

山口:つねに問いかけをしたり、承認をしたりする中で考えさせる、という。


■「よし」「すばらしい」と言われた子、良かったね

城ヶ崎:
ええ、そこにある朝の健康観察もそうですけど、声が小さいとか、手の上げ方が悪いって言えば簡単ですけど、それに気づいてもらうために「よし」とか「すばらしい」とか評価してあげて、「よし」って言われた子、「すばらしい」って言われた子、良かったね、と。

山口:はいはい。そうすると、次「よし」って言われよう、「すばらしい」って言われよう、という気持ちが働くんですね。

城ヶ崎:そう(子どもは)思うんですよね。
私は時々「骨折」って言うんです、「はい誰々君、手が曲がってるけど骨折ですかー?」って。すると褒め合いのときに「誰々君は最初『骨折』って言われたり声が聞こえなかったけど今はピシッと手が耳のところに当たってます」。ああ、そういうところを見てるのかと。
…というようなところを正田さんに朝から見ていただきました。

大前:じゃあ私も一応自己紹介いたします(笑)大前和正(やすまさ)といいます。よろしくお願いします。もともとコーチングの出会いというのは部下ができたから部下を育成するにはどうしよう、コーチングを学ぼう、ということで。初めは本を読んだりしていたんですがたまたまセミナーで正田さんとお会いさせてもらって、もうそろそろ10年ぐらいたつんじゃないかと思います。正田さんのされてるコーチングの勉強会に参加させてもらって、というようなお付合いです。


■会社にコーチングって必要?

城ヶ崎:
部下のかたがいるわけですね。

大前:そうですね。会社全体としては50名ぐらい社員がいたり、人材派遣の会社なものですからスタッフが1000名ぐらい稼働しています。私自身が1000名全部コーチングするわけにはいかないんですけれども、コーチングというのをもっと活用できれば、スタッフ同士のコミュニケーションがもっと活発になったり、売り場でもうちょっと上手くできたりとか、色んなことができるんじゃないかと、可能性を思って、いまだに正田さんから色々と学ぶ機会をもらっているところです。

城ヶ崎:部下のかたは、一緒に仕事をなさっている方は、コーチングの指導をしに行くわけじゃないんですよね。

大前:ではないです、はい。会社の中でどう使うか。まあ会社全体としては50名ほどいますけど、私の直接の部下というのは5名ほどなので、その中で「承認」をはじめやり取りしているという感じです。

城ヶ崎:こんなこと言ってはあれですけど、会社の中の上司部下っていうのは、コーチングが必要なんですか。…必要なんですかって言ったら変ですけど、事務的なこととか、事務的にことを解決できるでしょうし、「これやってね」と言ったら「はい」って言う、そんな感じじゃないかと。コーチングって言うと、ねえ、「相手の立場になって」っていうことが第一じゃないですか。

大前:私たちのNPOでやっているコーチングは1対1の個人間ではなく、企業の上司―部下間に特化したことをやり、非常に高い成果を挙げています。前身の任意団体の時代から、「店舗の売上社内1位」「全国1位」になったマネージャーを多数輩出し、それは業界でも他に例を見ないほどの業績向上ぶりなので、何度となく公の場で事例発表を重ねてきました。私自身は経理のマネジャーで5名の部下がいます。経理ではそれほど簡単に「売上1位」のようなわかりやすい指標が出ないんですが、1人当たり生産性という指標では、4年間に2倍という数字が出ています。これは正田さんの考え方で「承認」に重きを置いて部下と関わったほか、問いかけをして考えてもらい部下から改善提案が出るということを積み重ねてこういう数字になっています。
仕事というのは、ただ「やって」「はい」だけで物事が済めばいいですけれど、言わずしてやってもらえたりとか、そういう場ができたらいいなあとか、たとえば「自分はしっかり目的を持ってこういうふうにやっていきたい!」ともし部下が思っていたとしたら、それをどう手助けできるか。というようなところはあると思うんです。自分が心の中から「やりたい」と思うようになるにはどうしてやったらいいかなあと思うと、やっぱりやりとりだけでは済まないものがあるんじゃないかなと思ってるんですね。

城ヶ崎:引き出すというか。

大前:そうですね、引き出す。


■「大人になって承認されてやる気になることがない」(城ヶ崎)

城ヶ崎:
でもこんなこと言うとあれですけど民間の会社って、そこまで部下のことを思いやってるっていう意識がないですよね。凄いなあと思って。

大前:(笑)それでないとやっぱり仕事って面白くないです。上から言われて、「ハイ」だけでは。そういう風な思いでやっていると絶対にレベルも上がらないし完成度も低いままなんですけど、それが「自分ごと」になることによって初めて完成度をどう上げるかとか、もっと違う目線でもっとやってやろうとか、そういうものが生まれるんじゃないかなと思ってるんです。

城ヶ崎:幸せですね。

大前:幸せなのか、どうなのか(笑)「うわ、うまいこと口車に乗せられた」と思われてたらどうしよう(笑)

城ヶ崎:大人になって、こと仕事に関して、承認してもらってそれがやる気になるって、あんまりないような気がしたんです。

大前:うーん。やっぱりほめられて認められた結果やる気になって、というのは何年たっても、それが30になろうが40になろうが50になろうが、一緒だと思うんですね。ただ先生のお立場だと、独立性の高いお仕事なので上の人とかからあまり承認をもらえないかもしれないですね。われわれ民間企業では基本チーム作業なので、もう少し上司―部下間の関係が密なんです。

山口:仕事の場合はやっぱり事業としてやっているわけですから、組織が動かないと利益も出ないし売上も上がらない。そこの最終的な目的があるので、どうしてもコーチングっていう手法を使わないと気持ちが前向きにならない、組織が前に動いていかないっていうところがありますけど。
 城ヶ崎さんの場合は、まさに教育の中でそれをやられているというのがまた1つ価値がすごいというか、何かお金の売上を上げたり、利益を上げたりするために先生がそういうご指導をされているわけではないですよね。

城ヶ崎:はい。

山口:ですので今日はそこを是非お伺いして、どんな思いでどんな気持ちを引き出すかというのを、今日1つの重要テーマとしてお伺いできればと思っています。どんなプロセスを経てそういうことを考えられるようになったのかということも含めて。


(3)通知表:どんなふうに貰ったら嬉しい? に続く



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
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 去る3月17日、小学生駅伝大会で来阪された千葉県の公立小学校教諭、城ヶ崎滋雄先生と当NPO会員が懇談させていただきました。


 今年2月1日に正田が城ヶ崎先生の授業を見学させていただいたブログ記事がNPO会員にも反響を呼び、今回の懇談となったもの。

 そのブログ記事はこちら
 
 「褒めること聞くこと、記録、スピード、歌声・・・城ヶ崎先生クラス訪問記」
 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51846161.html


残念ながら正田は私用でこのインタビューに立ち会うことができず、NPO理事の山口さん、大前さん、そして古くからの会員の間瀬先生がご対応くださいました。後できかせていただくと、やはり大変エキサイティングなやりとりでした。

 全11回でお送りいたします。子どもの教育に、あるいは人間社会にご関心のある読者の皆様、是非ごゆっくりご覧ください。


登場人物(敬称略):

城ヶ崎 滋雄(千葉県公立小学校教諭)

ききて:

山口 裕史(フリーライター、神戸市在住。NPO法人企業内コーチ育成協会理事)
大前 和正(人材派遣業役員、大阪府在住。同上)
間瀬 誠(コンサルティング会社代表、大阪府在住。NPO会員)


目次:
(1)駅伝初出場3位!
(2)ぼーっとする時間を作らない
(3)通知表:どんなふうに貰ったら嬉しい?
(4)朝練習:「竹馬」と「リレー」で子どもが変容
(5)不登校担当:「して欲しくないことは何か?」
(6)褒め褒めタイム:伸びを言われると嬉しい
(7)崩壊クラス:建て直しはどこから?
(8)ディベート:「まず結論を出してしまえ」
(9)教え合う教室:上を伸ばすか、下をテコ入れするか
(10)授業:つまみ食いでない知識を
(11)持ち物:子どもの二極化時代に先生は




(1)駅伝初出場3位!

■駅伝初出場3位、リレーで1位
■「苦しくなったらやめろ」
■ゆるい練習だと思わせる





■駅伝初出場3位、リレーで1位

城ヶ崎:今日は、大阪・万博記念会場で全国小学生駅伝大会があり、うちの船橋陸上クラブは13年ぶりに千葉県代表として出場しました。結果は3位でした。予想は3位だったので、それが的中しびっくりです。

山口:初めてでいきなり3位。おめでとうございます。凄いじゃないですか。

城ヶ崎:ほかのトラック種目は毎年出てるんです。リレーでは昨夏優勝しました。でも長距離ってきついじゃないですか。だからそんなにビシバシと鍛えるよりも楽しく走ったほうがいいんじゃないかと思って、例年はあまり考えてなかったんです。ところが今年は、選手が集まった。

山口:選手層が非常に厚かったということですね。集まってくれたというのは、たまたま、ですよね。そういう素質のある選手が揃ったと。

城ヶ崎:そうです。私たちのクラブはホームページも持ってませんので、口コミとか市の大会に入った子たちに声をかけるというやり方です。

山口:それはやはり、城ケ崎先生のところで教えを乞いたいという子が多かったのでは。

城ヶ崎:そんなことないです。でも昨日おとといも隣の市の子が「やりたい」と来ましたけれど。

山口:それは地域のクラブなんですか。小学校をまたいでというか、関係なく。

城ヶ崎:関係なく、です。もともと船橋の陸上協会というところでやらしてもらってたんですよね。ですから最初は船橋の子だけしかいなかった。

山口:そうなんですか。でもその子たちがまた市船(市立船橋高校)とかに行って。

城ヶ崎:詳しいですね。(笑)うちのクラブのいいところは、小学校の時はサッカーとかバスケとかを掛け持ってやっている子らなんだけど、ここのクラブに入ったことがきっかけで中学に入ったら陸上に専念する、という子が多いですね。


■「苦しくなったらやめろ」

山口:楽しみながらやってその延長線上で成績も、というのが凄いですね。本来それが一番理想だと思うんですけど、なかなか昨今の体罰の問題もありますけどやっぱり成績至上主義になってしまうというのがありますよね。

城ヶ崎:私が思っているのは、もともと陸上というのは大人のスポーツなので、自分に勝たなきゃダメですよね。やっぱり素質がものを言う種目ですから、そこにまだ能力を開発されてない子たちをビシバシ鍛えるというのは。または、自分を克服していく強い心が育っていない子たちに、頑張れっていうのも無理ですから。今回の陸上の練習も、普通は「苦しくなったら頑張れ」っていうんですが、私は「苦しくなったらやめろ」と言います。

山口:ああ、そうですか。

城ヶ崎:だから、苦しくなるまでスピードを上げて頑張れと。苦しくなったらやめてもいいと。すると子どもは頑張るんですよね。

山口:ああなるほど。苦しくなるところまで頑張ってみようと思うわけですね。

城ヶ崎:だけど今回1500Mですから、50M走みたいに最初からスピードを出したら絶対持たないから、そこは考えるんです。そうすると、例えば800M走ると500か600のときに苦しいのがくるはずだから、500で苦しくなるのを防ぐような走り方をしよう、となるわけです。


■ゆるい練習だと思わせる

山口:へーえ…練習は毎朝ですか。

城ヶ崎:週に2回、土日に市の運動公園に集まって練習します。

山口:よその地域(のクラブ)だと大体どういう練習なんですか。

城ヶ崎:ああ、地域のクラブだと土日が多いですね。

山口:その中でやっぱり、負荷をかけるわけですか。

城ヶ崎:…まあ、負荷がかかったと思わせないようにしてかけるという感じでしょうか(笑)子どもたちは、すごくゆるい練習だと思ってると思います。

山口:そう思わせるものは何なんですか。言われてやってるんじゃなくて自分の気持ちからやってるということですか。

城ヶ崎:ふだん子供たちが言われてることの逆を多分言ってるんだと思います、私が。たとえば最初2800か3000くらい走るんですけど、2人1組を作ってずっとしゃべってる子がいるんです。それを黙ってみてるんです。

山口:へーえ。それはどういうことなんですか。

城ヶ崎:1つには、子どもの意識のほうが大事なんで、子どもの意識の中で「あ、しゃべっていいんだ」と思ったら気が楽ですよね。ところが、実際やるとわかるんですけど、しゃべりながら走るのはすごく無理があって苦しいんですよ。

山口:そうですよね。

城ヶ崎:それはこっちはわかってるんです。でも子どもはしゃべるのは多分楽しいんです。最後はしゃべっていられないんで、黙る。「黙るな!」って(笑)

山口:(笑)

城ヶ崎:だれが黙れと言った!(笑) だめって叱るわけじゃないですけどね。自然としゃべらなくなります。

山口:そうですか。そうやって、「走ることはしんどいことだ」という感覚をまずなくす。

城ヶ崎:そうですね、なくすというか、ばれないようにする(笑)

山口:それは実は大変なことですよね、しゃべりながらっていうと余計に心臓の負荷がかかるような気がしますね。肺活量とかね。

城ヶ崎:はい。終わった後も「あー疲れたー」って言うけど、やらされたという「疲れた」ではなくて、しゃべり疲れた(笑)。しゃべれて良かった(笑)。そういうのがあるんで、子どもはゆるいと思っているんじゃないでしょうか。

山口:今日はせっかくの貴重な機会なので、そのあたりのお話をうかがいたいと思うんですが。

城ヶ崎:皆さんお知り合いですか。

山口:大前さんとはもともと知り合いで間瀬先生とは初めてです。
 では自己紹介をいたします。私はもともと千葉の出身です。生まれは埼玉なんですけれども小学校から鎌ヶ谷(市)で、鎌ヶ谷南部小学校と鎌ヶ谷第4中学校を出まして、柏の東葛飾高校に行きました。そこから神戸の大学に行きまして神戸新聞という兵庫県の地方紙に入りました。12年前にそこを退職しまして今フリーで書く仕事をさせていただいています。主にはビジネス関係といいますか、神戸新聞時代は経済部という企業を取材する面を担当していましたので、今も日々中小企業の経営者のかたのお話をうかがってビジネス系の雑誌に執筆をしているというのが日常の仕事でございます。
 正田さんとは取材を通じて知り合って、正田さんのやられている承認という活動はすばらしいなと思ってNPOにも参画して理事として名を連ねさせていただいているという次第です。大前さんも同様に理事です。

間瀬:私は今年の1月に80になったんです。出身は名古屋生まれの名古屋育ち。そして名古屋大学を出て、旭化成に入社し定年まで仕事をしたんです。
 旭化成という会社は、応用化学といいまして化学屋はなんでも屋なんです。営業もやらされるし、現場の管理もやらせるし、研究もやらせるし。ところが機械屋や電気屋は、機械や電気が本職だという仕事をさせられるんです。そんな会社なんです。同じ様な仕事をしている東洋レーヨン、東レという会社は、機械屋が現場屋なんです。現場の管理は機械屋がやる。
 そうするとね、旭化成の工場と東レの工場と、工場の中が違うんです。化学屋というのは化学実験をやるのに勝手にこう、機具をセットして作ってそんなところから工場をつくるんですよ。だからね、タテヨコの線が並ばないんです。「ここに隙間があるからこれ入れよう」という発想で工場をつくるんです。ところが東レは機械屋さんが工場をつくるんです。するとタテヨコの線をきちんと作って工場をつくる。会社によってものすごく性格が違うなーと、びっくりしたことがあるんですけど。
 まあ、そんなわけで私は化学屋だったので、旭化成で現場屋になったんです。3交代の職長を入社2年目ぐらいでやって、50人ぐらい部下を持って現場の運転管理をやったんです。
 その当時TWI-Training within industry-といって、アメリカで太平洋戦争の時に開発された訓練を受けました。戦争で工場の中核の人たちがどんどん兵隊にとられて居なくなると、工場管理のために促成栽培で職長を作らないといけない。その職長のための訓練というのがTWIなんです。そのTWIのトレーニングを私が3交代の職長をやっているときに受けたんです。
 そこで学んだのは結局ね、「人間は気持ちで動く」ということ。理論で、論理的に説明して動くのが人間じゃないと。「わかった」ということに、何か気持ちが入って初めて動けるんだというのが、そのTWIなんです。
 そのときにその先生と議論して、私は理性派だったんです。工学部出身で「正しいことをやるから成果が出るんじゃないか」と実は思っていたんです。だけども入社3年目にがあんとやられて、人間というのは気持ちで動くんだという教育を受けて。

山口:今日は城ヶ崎先生のお話なので、短か目に(笑)

間瀬:そうでした(笑)とにかく、「その気になったら人は動く」ということをものすごく若い時から学びました。正田さんともね、そんな関係で仲良しになったんです。
 正田さんの本拠地はもともと、私が大前さんとともにお付合いしてたころは大阪だったんです。だから一緒にやってたんですけど、NPO法人になるころから、正田さんが神戸の方に本拠を移したもんだから、私も歳をとってくるし神戸は遠いので(笑)だんだん会わなくなったんです。今日は大阪で会があるというのでやってきました。

山口:ありがとうございます。すみません(笑)


(2)ぼーっとする時間を作らない に続く


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 久しぶりに「発達障害」に関する話題です。


 最近の東京行でお知り合いになった方「Mさん」と、この問題についてフェイスブックメッセージの中で突っ込んだやりとりをさせていただきました。

 正田は2〜3月にかけて、この問題について何度かブログで話題にしましたが、その都度

「関係者のかたがご覧になったらどんなに気分を害されるだろうか・・・」

と、薄氷を踏むおもいでした。フェイスブックの当時のお友達は比較的好意的に読んでくださったようですが、決してそれで調子に乗ってはならないとも自戒していました。


 今回登場されるMさんはアスペルガーのお子様をお持ちですが、やはり好意的に読んでくださったことに正直驚きをおぼえています。

 ご了解をいただいて、Mさんとのやりとりを一部改変の上公開させていただきます:


****


おはようございます!早速のリクエスト承認ありがとうございました。

昨日のお話の中での「インタラクティブな関係性」、とてもよくわかるような気がします。私の子は、アスペルガー症候群です。知能は高いですが、根っこは自閉症なので、コミュニケーションのやりとりが、最近までなかなか大変でした。

一見、まともにお話し出来るのですが、問に対する答えが的外れなので、私もこの子の特性を理解して受け入れられるまでは、お互いにとても苦労しました。正田さんのおっしゃっていらした、介護は一番愛を試される、(注1)ということ、胸に迫りました。それでは、どうぞ旅疲れを癒やす、良い日曜日をお過ごし下さいませ。




おはようございます。Mさんにおつらいことを思い起こさせてしまいましたね…、ブログも拝見してひょっとしたら身近に障害のある方がいらっしゃるのかなと思っていました。

私の近親者が軽度のアスペルガーだったと思います。このところそのことの意味を考えることが多かったので、Mさんとお出会いしたこともきっと神様のお引き合わせなのでしょう。それにしても、身近に障害のある方のいる方のコミュニケーション力は独特ですね。お子様は今おいくつですか。良い人生を歩まれますように。



ありがとうございます。我が子は_歳です。言語能力が高かったので、小4まで気がつきませんでした。幸いなことに、試行錯誤は辛い経験にはなっていなくて、これからも課題をこなしていくだけなのですよ〜、何が起こるかわかりませんが(^0^;)

アスペルガーに関して云えば、自分自身を含めて、きっと我が家の家系にも主人の家系にも、発達に偏りのある人がいるはずなので、生物多様性の観点からも(笑)、発達のグラデーションという視点を自分に導入出来たことは、とても有益でした。昨日参加した、_さんも、教育学専攻で発達障害のことを学び、他者との付き合いをするうえで発達障害の概念がとても役に立つとお話してくれましたよ。ではでは(*^o^*)正田さんもお忙しいでしょうから、お返事はどうぞ気になさらず…この出会いに心からの感謝を申し上げますm(_ _)m

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たびたび失礼します。正田さんのブログ(注2)やタイムライン(注3)を読ませて頂き、その明晰さに感動して「いいね!」をたくさん押してしまいました。発達障害は、実はものすごく恐ろしい事態を引き起こす因子にもなりうるという警戒心をもっております。触れるには勇気が要ると思われますが、よくぞ難しい話題に踏み込んで下さいましたね(^_^)/これからの正田さんのフィードバックが、とても楽しみです。




Mさん、拙いブログに目を通していただき、ありがとうございます。Mさんにとっても冗談ごとでない話題でいらっしゃるのに「勇気」として評価していただいたことは大変に光栄です。

前のメッセージで「発達の濃淡」と仰っていましたか、私もそれは人間社会にとっての大きなキーワードのような気がしています。

昨年は、実は「ナルシシズム」というキーワードを得てそちらに凝っていました。しかし発達障害の中にはセルフモニタリングが出来ないタイプがある、ということを考えるとナルシシズムと見えたものが実は発達障害だったと解釈できるのではないか、と今の時点では考えています。

一昨日解散後、_さんともお食事しながらひとしきりこの話題になりました。「発達障害者込みの経済活動とはどんな形か、社会全体で考えなければならない」ということで意見が一致しました。誰にとっても他人事ではないように思います。また色々意見交換いただければ嬉しいです。ありがとうございます。


こんにちは!わたしとのやりとりが、正田さんのブログの材料になるとは光栄です。どうぞ、お使いください。

私自身は、一保護者として、我が子の自閉症につき合いはじめたのが、物事を考えるうえでのひとつの地点でもあります。ダークサイドな話題にもこと欠かない、発達障害の社会的発露については、目を逸らしてはならない分野でもあり、また、悲観論で終わりたくないという気持ちも強いです。

障害者雇用に携わる中小企業の社長さんたちのコメント(注3)も、とても切実で悩みが深くなるのもわかります。一方で、私の身近でも、大変な障害者雇用にわざわざ脚を踏み入れて下さろうとする、企業の社長さんもいらっしゃるので、そういう方の腰が引けないように、実践的な応援をしたいです。(社会的な)障害者を云々するよりも、いわゆるマジョリティをボトムアップしていくことが、巡り巡って弱い者への助けになる社会になるんだろうな、と、感じております。長々と失礼しました。



Mさん、ありがとうございます!大事に使わせていただきます。ハンドルネームを頂けますか?


東京都のMさん、でお願いします。わたし、普段は__の名前で出ておりますが、このやりとりは、本当にごく私的な、一保護者の危機感から生じたもののように思えるので…(^0^;)

モノをかく、発信するって、責任重大で本当に勇気がいりますね。正田さんは、きちんとその恐ろしさを引き受けていらっしゃるので、敬服しております。



ありがとうございます…Mさんの「承認」の力に包まれているような気がします。お子様のご支援に日頃どれほどご努力をされていることか、しのばれるようです。

マジョリティのボトムアップが重要というのは、まったくその通りと感じます。どこまで周囲の理解を得られるかわかりませんが、微力ながら努力いたします。

(引用以上)

****


(注1)正田はMさんと同席したある会合で「脳科学的には母の愛は報酬系だとされている。働きかけ、それに赤ちゃんから反応があることでお母さんの幸福感が湧く。一方介護で反応の無くなった親をみることは一番こちらの愛を試される」という意味のことを発言したが、これは障害などで反応のない赤ちゃんを授かった親御さんの悲嘆まで考慮していないし、そもそも正田は親の介護について全然大したことをしていないのである。兄夫婦、施設、病院に負うところが大きい幸せな立場である。こんな不遜な発言につきあわせてしまったご同席の方々、ごめんなさい。

(注2)ここでMさんが言及されているのはこちらの記事
「『受けとめる』についてのまとまっていない考え」
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51851137.html

他にも3月には「発達障害」に関して何本かの記事を書いているが全部に目を通されたらMさん、何て言われるのだろう・・・。

(注3)上記の記事は、ブログ更新をフェイスブックの正田のタイムラインに転送したところ、思いがけぬ反響を呼び長いスレッドができた。中小企業の社長さんや企業支援業の方から、生産現場や経営者側の発達障害がどんな職場の混乱を招いているかについて怒り、嘆きの混じった真摯なコメントを頂いた。Mさんはこのやり取りにも目を通したうえでこのメッセージを書かれている。


****


 「マジョリティをボトムアップ」。

 このやりとりの中で出てきたこのフレーズだが、どれほどのある意味ニッチな立場から共通項として上がってくる、多くの怒り、悲嘆、無力感、哀惜、の中から絞り出されてくる言葉か、このブログの読者の方々にはおわかりいただけますでしょうか。


 だから、私はやめない。どんなに見下されても。理解されなくても。



100年後に誇れる人材育成をしよう。
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http://c-c-a.jp

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