正田佐与の 愛するこの世界

神戸の1位マネジャー育成の研修講師・正田佐与が、「承認と職場」、「よのなかカフェ」などの日常を通じて日本人と仕事の幸福な関係を語ります。現役リーダーたちが「このブログを読んでいればマネジメントがわかる」と絶賛。 現在、心ならずも「アドラー心理学批判」と「『「学力」の経済学』批判」でアクセス急増中。コメントは承認制です

2013年08月


 引き続きテレビっ子になっています。


 NHK「週刊ニュース深読み」でメディアの暴力表現・性表現と教育の問題を取り上げていました。言わずとしれた、「はだしのゲン」論争からきたもの。


 女優、コメディアン、ルポライター、学者、漫画家という面々で議論していた。皆さん他人の話をさえぎって我先にしゃべるしゃべる。とりわけ「表現の自由」を標榜する漫画家の江川達也がきつく、彼にならってほかの人もそういうマナーになっているふしがありました。これはファシリ大変そう。また発言量の偏りも気になりました。


 ここで私が聞き耳を立てたのはメディアの子どもへの影響を研究する佐々木輝美(国際基督教大学教授)という人。60年代〜70年代に行われた実験から、メディアの暴力を子どもがまねすることが立証されている、と主張。

 他の素人同士がガーガー発言量の多いなかであり、放送のその場としてはすごく周囲に影響を与える発言だったとはいえないが、現実にメディア側では対応が始まっています。90年代ごろに「ゾーニング」(コンビニの書棚で成人向け雑誌専用の区域をつくり区別する。そこに「18歳未満の方は買わないでください」と明確に書く)、そして2000年代には「ラベリング」(ゲームソフトに5段階で「全年齢向け」「12歳以上向け」など等級をつける)を始めています。

 そのことがどうよ、というと、佐々木氏は「食品なら必ず裏の成分表示をみますよね。それと同様、メディアにも内容表示をする時代になった。当然の流れだと思います」といいます。


 私は(ブログの長い読者の方はご存知の通り)暴力や性の表現の自由なんてもともと評価していないから、佐々木氏に大いに賛成であります。だってTVもネットもない時代には、そして特別戦乱期でない場合なら、暴力を見聞きするなんていうのは近所の狭い範囲で、ごくまれなことでした。そのことの是非について話し合う道徳教育の時間もありました。それが今や表現の自由がありネットがあるので1日中でもみることができるわけですから。


 個別の感じ方はありますが、このブログで時々出てくるフレーズ、

「人は、(選ぶことができるなら)自分の好む種類の刺激に繰り返し曝露することを好む」

だからホラー映画が好きな人はホラー映画ばかり延々とみるだろうしロリコン物が好きな人はそればかりみるだろうし。

 「研修」のほうに引っ張って考えたら人を傷つけるのが好きな人は延々と「叱る研修」ばかりはしごして受講するかもしれないわけです。

 「表現」も「観たい」「曝露したい」も、「欲」「煩悩」の次元のものであります。一方で人間社会には「規範」(こうあるべき)も一定レベル以上なければ成り立ちません。自由が何もかもすばらしいのではなくバランスが大事です。バランスをとることが難しいなら自由を規制するのもやむなし、と私は思います。

 ニューヨークのブルームバーグ市長でしたっけ、ジュースのカップの大きさを規制したのは。あれは「自由」と「健康」(医療費問題でもある)の相剋でしたが、「自由」と「秩序」(犯罪コスト問題?)の相剋も当然あるでしょう。



 もうひとつ感じたのは、
 佐々木氏の引用した60−70年代の研究とは恐らく当協会の教育でも重視する行動理論のモデリングを仮説に使ったものでしょう。その時代がちょうど行動理論の全盛期でした(今も間違っているわけではなく、やれることをやり尽くしただけです)


 しかしその知見が今まで日本に知れわたっていたとは思えません。一時期「ゲーム脳」について盛んに書いていたお医者さんはのちに「論拠がいい加減だ」「エキセントリックだ」と叩かれました。しかし子どもが見たものをまねしやすい、というのは極めて常識的なことであり、またちゃんと裏付けのあることなのです。反論側はメディア特にゲーム業界の意向だったのではと思われます。


 そうして行動理論みたいなごく常識的なことが、メディア発達後長年たって初めて現実の知恵として反映されるようになるのでした。Wii-fit みたいな運動ゲームにも「コーチがほめてくれる」という形で思い切り「行動理論/行動科学」は入っているのにね。


 と、「社会変革とは時間のかかるものよのう」といつもの伝で感慨にふけったのでした。


 このお話はここまでであります。
 

 少し古い話題になったが、今週発売の「日経ビジネス」が「女性昇進バブル―我が社の救世主か 疫病神か」という特集をやっている。

 これがおもしろい。なにが面白いのかというと、過去30年、「女性活用」について日経ビジネス誌自身が提言した内容を検証して、その結果何が起こったか、をみているのだ。


 例えば―。

■「女性は一人前になるまでは特別扱いせよ(障壁を取り除いてやれ)」(1986年)

 ⇒従業員の大半を男性が占める時代にのみ通用するもの。今どきこんなことをやれば、「男性差別地獄」のような事態に陥りかねない。

 (正田注:もっともまだまだ男性中心社会、女性管理職ゼロに近い企業組織も多く、この提言に関しては今でもある程度の妥当性はあると思うが)


■「女性の人事は現場任せにせず、経営陣が直接決断を下すべき」(92年)

 ⇒現場の意向を無視した人事を乱発するといわゆる「モンスターお嬢さん管理職」みたいなのができる


■「育児支援をはじめとする制度の充実こそが女性活用の成否を決める」(2004年)

 ⇒「制度ぶら下がり地獄」を招く


■「”負のロールモデル”を社内に増やすな」(08年)

 ⇒私生活を犠牲にして働く”正のロールモデル”ばかりを増やすとモーレツサラリーマンの女版みたいなのばかりになる


 ・・・と、過去30年を「自己反省」として振り返ったあと、今回の特集では懲りずに新しい提言をする。「2つの現実解」として、

1)「女性のためだけの施策」をやめてしまう。

2)家庭を抱える女性社員だけのチームを作ってしまう。

 なのだそうだ。




 ところで1)は多様性(ダイバーシティ)の1つとしての女性活用だ、とワンオブゼムにくくってしまうということだが、これは当協会というか正田が年来言ってきたことと大体一緒。うちは「承認」という1つのくくりの中で全部考えればいい、それで自然と女性を正当に評価できる、公正さを保てる、と言っているから。

 それと「お嬢さん管理職」の弊害についても数年前うるさく書きまくったことがあり、観察に基づいて言ったり書いたりしたことはおおむね間違ってないな、と思う。今もよくそれらしい人に会う。(もちろんそうでない人もいらっしゃる)


 「自己反省」なさったのは、偉い。その記事をとりあげて言うのも失礼な気もするが、往々にして、「提言」というのはこういう性格をもつものだと思う。マスコミもコンサルタントも。一見、その通りすればバラ色の未来が待っているかのようにみえるが、往々にして落とし穴がある。現実世界で落とし穴に散々であっても、まだ「マスコミが言ったことだから」「偉い先生が言ったことだから」と、それが因果応報の落とし穴であることにいつまでも気がつかないことがある。


 正田はもともと自分のよく知らないことに関しては発言しないほうなので、このブログで話題にする範囲も狭い。ただ零細NPOのブログとはいえそれなりに責任感をもって書いていると思う。お蔭様でNPO会員様などには、「正田さんのブログを読んでいればマネジメントは上手くいく」なんてことを言っていただいています。


 もちろん研修でお伝えすることも、さまざまな可能性を視野に入れながら話すので、歯切れはわるいかもしれないが責任ある立場の受講生さんが私の話したことを職場で実践するという前提があればこそである。リーダーがどこかで習ってきたことを本当に「やる」ということの恐ろしさを自覚しているつもりである。


 受講生さん方が成果を挙げる、というとき恐らくこうした配慮の結果、大きく間違ったことをされていない、ということも、教えたコンテンツそのもの以外の要因としてあるだろう。そんなことまで品質として評価してくださるお客様はいらっしゃるかしらん。


 1年ほど前に書いた記事に「断言する専門家は信用しないのが一番」というのがある。

 またその半年ほど前に女性の先生の言葉として、「不安だから断言してほしい、言い切ってほしい」というのも取り上げた。


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 友人とランチすると、また職場の「かまってほしいおじさん」の話になる。

 どこの会社にもいるんだろうか、スタッフ部門に多いのだと思うが
(もちろん誰でもそうなわけではない)

 例えば女性社員が何か〆切のある仕事で忙しそうにしていると、手持無沙汰なおじさんが構ってほしい一心で、「あれはどうだったっけね?」と、急ぎでもない用事で話しかける。
 
 女性社員の性格とか関係性によっては、

「〇〇さん(あなた)につき合ってる暇はないんです!」

と返すことも「あり」らしい。でも大抵は、やや邪険に返事をすると、それが不満なおじさんは益々声を大にして「あれ」の必要性を訴えたり、果ては女性社員の人格攻撃を始めたりするのだそうだ。ただ「かまってほしい」だけで。


 こうした「かまってほしい」も、要は「承認欲求」である。女性が何か自分の知らないことで集中して忙しくしていて、自分へのケアがなおざりになっているのが我慢ならない。甘えともいえるけれど。こうしたおじさんに限って「管理職への承認トレーニング」には「甘やかしだ」と否定的な反応をするものだが、自分自身は思い切り「承認欲求」で動いているのである。自分の「承認欲求」をコントロールするためにも、「承認」を学んだらどうだろうか。

 
 ―”Fの悲劇(喜劇)”にも、どうもそうした承認欲求おじさんも要因として関わっていそうだ。「前世代の亡霊」と「承認欲求おじさん」のタッグ。


 再発防止策としては、とにかくリーダー研修は(私は少なくとも)神経を使う仕事なので、こうした社内の「有害おじさん」と接触しないで済むことを願うばかりだ。


 でもこれで”Fの悲劇”の話はおしまいにしよう。あまりにも異常事態だったから引きずってしまったけれど。


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 胃を悪くしたことを書いたらフェイスブックのお友達から「牛蒡茶」というのを教えていただいた。早速それ用のガラスの急須を買い、牛蒡茶は手作りでのんでみる。甘みがあってカフェインが入らず、胃に優しかった。コーヒー断ちのときありがたい飲み物でした。お友達のあたたかさが沁みました。


 
 
 

 

 また、胃の重くなる会談がひとつ終わった。

 


 今回のことを「Fの悲劇」(笑)(注:Fは地名)と名づけようと思う。10年の講師生活の中でも初めてのこと。同業者にきいてもあまり例がない。内田樹の言った通り「嫉妬の時代」なのだ。


 ―本気だったリーダーたちには可哀想なことをした。それを思うとまた胃に穴があく(比喩ではなく本当に)のでできるだけ考えない。―

 
 このところ事情を察した方々からは色々といたわりの言葉をかけていただく。しみじみ心の中で手を合わせている。

 女1人、時代に掉さす仕事をしていくなかでは時にとんでもない目に遭うこともある。前時代の亡者からのたちの悪い逆襲に遭うこともある。


「時代に飲まれず、同時代史と対決せよ」

 それが先日亡くなった恩師にプレゼントされた言葉。

 底の浅い人には一生かけてもわかるまい。60代や50代になっても分別のない人には分からない。



 ちょうど先日、日経のコラムで詩人の三木卓だったか、


「これまで当然と思われていたことが悪いと断罪されることもある」

―いみじくも軍国主義時代からの教育現場の暴力指導を指して言ったのだった。このブログの記事とシンクロしたかのようだった。


 時代は変わる。そしてその時代のために最善を尽くす仕事をしていると前時代の人は迫害するし、理解してくださる方もいる。長寿社会なので前時代の人々はまだまだ当分居残る。


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 7月に受講されたリーダーさんの上司の方が当該部署にヒアリングされ、

「メンバーが

『やらなあかんことやから、やりました』

『昨日のうちにやらなあかんことやから、昨日のうちにやりました』

と言っている。非常に能動的になった」

 
 研修後の統計結果の出る前だが、定性情報から、はっきり「部署が良くなった」と評価してくださった。


 良い志をもち自らも動くタイプのリーダーが「承認」という武器をもったとき、その人のもっている良いものが指示するしないに関わらずメンバーに「うつる」という現象もあるのではないかと思う。いわばモデリングともいえるし「感化力」ともいえる。


 どうか、このまま初志貫徹してくださいますように。


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 このところものづくり業のリーダーさん方とお仕事して思うこと。

 ものを相手にする仕事だから「もの」の事しか分からない人たちか、「人」について皆目わからない人たちか、というと、決してそんなことはない。


 むしろ「もの」が嘘をつかないだけに、その間に介在する、「もの」に触れている「人」についての真贋をみる眼はすごく発達している人が多いのではないかと思う。少なくとも現場のリーダー以上の人はそう感じる。


 文系インテリの人みたいに簡単に騙される人たちではないのだ。「上手に騙してほしい」「できることなら一生騙し続けてほしい」なんて演歌みたいな人はいない。


(だから、私もプライベートの多少みっともない話なども正直にブログに綴っている。時々お客様がそれをネタに振ってこられることがあるがおおむね好意的にとらえてくださってありがたい)


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 私は良いものをつくり増やすために生きてきた。


 当協会と私にとって、今年は色々な意味で10周年。

 マネジャー育成のための非営利団体「コーチング・リーダーズ・スクエア(CLS)」を設立したのが2003年12月。

 また、初めて「1位になりました!」という報告を受講生から受けたのもその年の秋。80人の部下をもつコールセンターの女性の副所長さんで、サービス指標が社内12センター(当時)中1位になった。
 そのころから立て続けに「目標達成率1位」「売上1位」などのトップマネジャーが生まれた。その系譜は今も続いている。


 そして、初めて「コーチングを活用したリーダーたちによるパネルディスカッション(事例紹介セミナー)」を開催したのも2003年の秋。大阪のドーンセンターだった。これが3か月後にCLSを設立する契機になった。また翌年からさらに大規模に開催するようになり、会場を大阪国際会議場、大阪商工会議所大ホールなどに移して100人単位のお客様を集めた。(2006年まで毎年続いた。今も断続的には事例セミナーのようなことをやっている。)


 その後は「コーチング」よりむしろ「承認」を強く言うようになったのだが、それはさておき。


 それだけやっても決してご理解がすぐに広がるわけでない。今このブログをご覧になっている方も「えっ、そんな昔からそんなことやってたの?知らかなった」と思われる方も多いことだろう。


 トップマネジャーを産みましたというだけでは十分ではなく、彼ら彼女ら自身が登場して事例セミナーでしゃべってもらうだけでも十分ではなく。それで今は統計調査に取り組んでいる。既に何度も統計結果(上昇)を公表しているが、それもまだ十分ではないようだ。
 


 そして私は今年暮れには50の大台に乗る。だんだん、受講生のマネジャー、リーダーたちより「お姉さん」になってしまった。(「妹」年齢のときからずっと実績は上げてきたのだが。)


 もともと内向型でイベントの主催や告知など向いていない性格なのによくまあやってきたと思う。

 疲れがたまっているのを感じる。


 
 それでも、このところお会いする方々の「良くありたい」という志に触れることができ、その志とダイレクトに会話する相手に選んでいただいていることを感じ、とても光栄に思っている。


 今年4月に祈った言葉。


「お出会いするすべての方の人生が生命が輝きますように」


 ―中には多少例外の方もいるけれどそれは自ら選んだのだ―



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 病気していたので読書三昧(TV三昧も)でありました。


 『内向型人間の時代―社会を変える静かな人の力―』(スーザン・ケイン、講談社、2013年5月)をよみました。


 外向型人間ぞろいの社会と思われがちなアメリカにも、半分から3分の1は「内向型」の人がいるといいます。恐らくこの比率は日本ではもっと多いでしょう。なぜならそれらを分けるものはこのブログによく出てくる「セロトニントランスポーター遺伝子」とか「ドーパミンD4遺伝子」ですから。


 内向型の人は消極的で実際より能力が低いとみられがち。しかし中には驚くべきインスピレーション、独創性、イマジネーション、洞察力、思索の力、道徳性、指導力をもった人々がいる。オバマ、ビル・ゲイツ、ウォーレン・バフェット、ガンジー、エレノア・ルーズベルト、アインシュタイン・・・といった人々がそうらしい。


 もし自分が内向型・外向型のどちらに属しているのかよくわからないのなら、つぎの質問に答えてみよう。

1 グループよりも1対1の会話を好む。

2 文章のほうが自分を表現しやすいことが多い。

3 ひとりでいる時間を楽しめる。

4 周りの人にくらべて、他人の財産や名声や地位にそれほど興味がないようだ。

5 内容のない世間話は好きではないが、関心のある話題について深く話し合うのは好きだ。

6 聞き上手だと言われる。

7 大きなリスクは冒さない。

8 邪魔されずに「没頭できる」仕事が好きだ。

9 誕生日はごく親しい友人ひとりか2人で、あるいは家族だけで祝いたい。

10 「物静かだ」「落ち着いている」と言われる。

11 仕事や作品が完成するまで、他人に見せたり意見を求めたりしない。

12 他人と衝突するのは嫌いだ。

13 独力での作業で最大限に実力を発揮する。

14 考えてから話す傾向がある。

15 外出して活動したあとは、たとえそれが楽しい体験であっても、消耗したと感じる。

16 かかってきた電話をボイスメールに回すことがある。

17 もしどちらか選べというなら、忙しすぎる週末よりなにもすることがない週末を選ぶ。

18 一度に複数のことをするのは楽しめない。

19 集中するのは簡単だ。

20 授業を受けるとき、セミナーよりも講義形式が好きだ。

*これは科学的に立証された性格テストではありません。質問はすべて、現代の研究者が内向型の特性と認めた要素をもとにつくられています。


 〇の数が多いほど、あなたが内向型である確率は高い。もし〇と×の数がほぼ同数ならば、あなたは両向型かもしれない―両向型というのも本当に存在するのだ。



 いかがでしょうか。私などはこの20問全部が当てはまるような気がしました。

 ―病気で数日まったく外出できずだれにも会えなかったというのも、多少苦痛ではありましたが外向的な人が感じるであろう苦痛に比べるとずっとましだったのではないかと思います。―


 現代アメリカは勿論、外向型礼賛オンリーに傾いています。そうした傾向は20世紀初頭のデル・カーネギーあたりが転機のようです。19世紀までのアメリカはより質朴な美徳が礼賛されていたのでした。

 現代の自己啓発セミナー、それにハーバード・ビジネススクールも、外向型の人格を礼賛し、そうでなければ成功できないかのように言います。

 しかし。

 どんなリーダーが現実に高い業績を上げているかというと、例えば『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』に登場するリーダーたちは軒並み内向型だった、といいます。


 外向型・内向型とリーダーシップに関する調査では、外向型性格とリーダーシップの相関関係は大きくないことがわかった。

 どちらのリーダーの方が成績が良いかは、メンバーの性格によって変わるようだ。外向型のリーダーの場合、従業員が自分でイニシアチブをとらない受動的なタイプのときに集団のパフォーマンスを向上させる。内向型リーダーの場合は逆に、部下がイニシアチブをとる能動的なタイプのときにより業績が良い。

 つまり、従来的なイメージでの「リーダーシップのある人」が勝てるのはメンバーが受け身のとき、ということになる。
 内向型リーダーが多様で能動的な部下を率いる、というのは例えば、「三国志」の劉備玄徳とか、「水滸伝」の宋江のようなイメージでしょうか。

 さらに組織に「学習」の要素を導入した実験では、内向型リーダーは自ら他人に教えを乞うてやり方を学習し、外向型リーダーよりチームの成績が良かった。そうした要素が入らず、チームの全員が何も主張せずリーダーの指示通りに作業を進めた場合は外向型リーダーの方が作業効率が良かった。


 これなどは日本にもまだ多くある迷信「リーダーとは、自分の思う方向に盛んに指示命令を出して引っ張る人である」を、見直さざるを得なくなることでしょう。

 外向的、活発な性格のリーダーが、その人間的魅力で顧客を引き付ける代わり、従業員を受け身にさせてしまっている、という風景もよくみるところです。

「何をもってリーダーシップというか」、

 リーダーシップ=外向性、という誤解は解いておかなければなりません。



 このほか、「一人作業を好む内向型」「一人でものを考えたがる内向型」という側面にも触れ、この人達には「チーム作業」「集団思考」は不向きだ、ということも言っています。ブレスト法より個人個人が考えたアイデアの方が質量ともに優れていること、集団思考が有効なのは個人個人が熟成した考えをネット上に持ち寄る場合であること、などを指摘しています。去年の今頃集団思考の本を読みふけっていた私ですが、確かにその内容にはクエスチョンでした。うちの理事会や総会でほかの人の考えをきいても役に立ったためしがなかったからです。こらこら。

(注:こういうことを言うとだれの言うこともきかない傲慢不羈な人間みたいだけれど、統計調査の導入など「本気の提案」が出たときにはちゃんと採用している。要は本気の提案は集団思考の場では出にくい、ということ)


 
 さて、「日本人不安説」を打ち出してきた当協会ですが「内向型」という切り口が登場したため、「日本人内向型説」に宗旨替えしてもいいのだけど、どうしましょ。そんなに不具合はないようにも思います。


 内向型であるがゆえに、あからさまなほめ言葉よりも「承認」という、抑制的で根拠のある肯定の言葉を好むと、結局言うことは大筋かわっていません。


 「日本人」との関連ではさらに、内向型の人は羞恥心や罪悪感を外向型の人より強く感じやすく、これが道徳心のもとになっている、ともいいます。現代の日本人が道徳心が高いのかどうかよくわかりませんが、適切な道徳教育を施した場合には、教育への反応は良いかもしれません。教育の不在が問題なのかもしれません。



 もう1冊、『内向型を強みにする―おとなしい人が活躍するためのガイド―』(マーティー・O・レイニー、パンローリング、2013年8月)という本も読みましたがこちらは2006年に邦訳された『小心者が世界を変える』という本の改訂版のようです。表題の本のヒットをみて再版したのかもしれません。こちらは大筋、「内向型ゆえに周囲から認められず悩んでいるあなたに」といった、やや後ろ向きなトーンのもので、その限りにおいては役立つのでしょうが正田は自分のネガティブがよりひどくなってしまいそうであんまり楽しめませんでした。


 とまれ、私は内向型なりに自分の得意な領域のことを得意な方法をつかってやっているようだな、ということはわかりました。また自分の子どものうち特に幼いころ内向的だった子には友達と遊ぶことを押しつけず、1人の時間を作ってやっていたがあれで良かったのだな、とも思いました。


 日本人男性が家事を手伝わないのは、仕事で無理に人中にいるので家に帰ると疲れて1人になりたがるからかもしれないなあ。こらこらまた関係ないことを。



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『おとなが育つ条件―発達心理学から考える―』(柏木恵子、岩波新書、2013年7月)を読みました。


 「中年期の発達」という概念については、正田は著書『認めるミドルが会社を変える』の中でもレビンソンの知見などを引用しながら触れています。

 とりわけ男性がある年齢、段階のとき「承認教育」に触れて大きく人間的成長を遂げるようにみえるのはなぜか?と考えるとき、この「中年期の発達」という概念が欠かせません。


 本書『おとなが育つ条件』では、大人の発達を促す環境として「仕事」「家庭(配偶者との関係・育児)」を挙げています。

 とりわけ本書は日本の大人に不足している面に焦点を当てるため、

「育児にタッチする環境にない日本のビジネスマンは家庭においてケアされる側になるばかりであり、『ケアする側になる』という体験を欠く。そのことが、人に柔軟に対応する、共感的にかかわる、幼い者弱い者に配慮するなどの大人として必須の能力を育てそこなっている」

と、指摘します。


 ―私などにはこれはごく常識的な議論にみえますが一部のビジネスパーソンの方には極論暴論に思えるかもしれません―

 ―「弱者への配慮」などというと、ある世代の人々は「あんた『左翼』か」と、ステレオタイプな二者択一の反応をしがちであります。ところがどっこい「武士道」には、「弱者への仁慈(思いやり)」という徳目があるのであり、右か左か、という以前に日本人が本来もっていた高貴な心のはたらきなのです―


 一方で一部にはイクメン、カジメンといった従来的でない家事育児を担う男子も確かに出てきているわけであります。

 イクメンが一時期ブームになったとき支持層は主に30代男子だったように思いますが体感的に、この世代の人は「承認教育」に対しても反応のよい人が多い。『認めるミドル』(2010年)のころは「40代半ば以降が承認教育適齢期」と思っていた私も、このところの会員様受講生様の中の30代男子の活躍ぶりに持論を取り下げざるを得なくなりました。

 要は、従来の「男はこうあるべき」という呪縛が強かった世代とそうでない世代があり、後者の世代はより柔軟に快適なあり方を選び、必要性を感じれば「承認」のような女性的なものを取り込んで役立てることにも抵抗が少ない、ということでしょう。


 「女性的」という言葉を使ってしまいましたが、本書はまた、高齢期には男女とも両性具有的になることを述べています。60歳以降の高齢者では男性女性ともに、男性性、女性性ともに高い「アンドロジニー型」が最多数を占め、しかもアンドロジニー型の人びとが一番自尊感情が高いのです。

 メンズで女性性が発達するというのはつまり、寛容性や共感性が育つということで、これらは定年退職後の生活に適応しやすくなる変化とも考えられますが、定年より前の現役の仕事生活の中でも、より若く未熟な人々と協働して、自分自身は実務に携わらず指示命令したり教え導いたりする立場になるとき必要な要素なので発達した、とも考えられます。

 ―おそらくそうした発達を遂げそこなった男性はパワハラ親父になることでしょう―


 ちょうどきょうのNHK「ルソンの壺」では、ある金型メーカーでの技能伝承の話をオンエアしておりました。社内に「スーパー職人」が2割ほど、この人達は手当がつく。そしてスーパー職人は次の人を指導して一人前にする責務を負うのです。1年間で一人前にしたかしないかが、スーパー職人自身の評価や給与にも関わってきます。

 
 あるスーパー職人の指導ぶりを取材したレポーターは、いみじくも

「この人は寡黙なタイプだから、教えるときは本来のこの人の外の資質も引っ張り出して教えているかんじですね」

と言っておりました。

 そう、いみじくも。
 つまりこれは、従来「男性的」な職人の世界では無理だと思われがちだった、「女性的」指導法を職人たちに課して成功した例なのでした。

 かつては「師匠と口をきいてもらえるまで1年」「機械に触らせてもらうまで3年」と言われた悠長かつ理不尽な職人育成の世界は、今や「女性的」指導によって数年に短縮され、現代っ子の成長したいスピード感にマッチしているのでした。

 指導する側の職人たちは恐らくは就職したときそんなことまで求められるとは思っていなかったことでしょう。でも、男性たちは「やればできる」のでした。


 では、従来の日本社会では何故男性たちはそうした発達を遂げなかったか?

 桑田真澄流に言うと、「軍国主義」の名残ではないか、と正田は思います。

 本来内向的で暴力を振うことを好まない日本人(中国大陸で行った残虐行為はどうか、というと集団の狂気のなせるわざで、一応今も粗暴犯は極めて少ない)を勇猛な兵士に変えるためには、軍隊を暴力に対して肯定的な集団に性格づける必要があった。なのでこれでもかというぐらい「新兵いじめ」などの暴力指導をやった。もちろん上役の不当なストレス発散の性格もあったでしょう。

 それが諸般の事情でスポーツ界にも入り、現代の体罰指導のもとになった。

 「武士道」の時代の日本人はそんなに粗暴な指導法はしていなかったのではないか、というのは私の買い被りすぎでしょうか。

 もちろん倫理的に許されないことをやって打擲とか手討ちにされるとかはあったとしても、例えば剣術や馬術の稽古でミスをしたらいきなり殴られるとかいうのはあったんでしょうか。


 ・・・と、話があっちこっち脱線してきたのでこの記事はこのへんで・・・。


100年後に誇れる人材育成をしよう。
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 去る21日、姫路・ロバストにて、第39回よのなかカフェ「承認は平成の武士道となるか?―日本人の勇気と自信は、ここから生まれる―」を開催しました。


 見識ある地域の経営者、管理者、コンサルタント、公的機関関係者など11名の方が参加されました。


 
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 ファシリテーターは初挑戦・(株)濱口商店取締役会長の濱口浩平さん。

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 平成日本生まれのマネジメント思想「承認」。まだまだ耳慣れないと言われながら、それが着実にさまざまな業種で成果を挙げてきたのは否定できないところ。じわじわと少しずつ耳慣れていただくための試みの一環です。


 自己紹介の後、まずは「承認とは/承認の効用」を正田から。そのあと姫路市立楽寿園の生駒眞一郎園長から、指定管理者制のもとでのモチベーションと顧客からの高い評価、そこへの「承認」の効用についてお話をいただきました。

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 続いて再度正田から、「2013年度最新事例」として約200名の工場従業員を対象とした統計調査により、「承認」のある部署では2.5か月で約0.4ポイント(7点満点)モチベーションや業務能力が上昇したことをご紹介しました。


 また中国工場での事例には、

「ブログで中国工場の記事を読んだ。これまであちこちできいていた中国での工場の大変さとまったく違うことに驚いた」

と声があがりました。


 「承認と武士道の関連がわからない」「承認に武士道をプラスすると丁度良くなるのではないか」とのお声もありました。

 ―短時間のご説明だったので「承認」の諸相が十分に理解されていない面もあり、とりわけ当協会が提唱する「承認」にはほめるだけでなく非常に厳しい一面も含んでいることは、このブログの長い読者の方ならご存知の通りです。そうした面も含めて総合的に作用するからこそ大きく業績を押し上げるのです―


 最後に正田から、「武士道の定義」(これが面白いことにどの文献にもどんぴしゃこれ、という定義が載っていない)及び 「承認と武士道の共通点」「武士道になくて承認にあるもの」をご紹介しました。

 現代にマッチして最善を期するものとして生まれ、改良されている「承認」は、例えばワークライフバランスやダイバーシティなど、過去の身分制・滅私奉公の時代にはなかったものも包含しています。そうした面からも評価されていることは、昨年来「女性活用」「ワークライフバランス」といったテーマでもお声がけいただいていることからも明らかです。


 時間がかかりますが、こうして何度もああでもない、こうでもないと議論を重ねるうちに「承認」は王道として定着していくものと信じます。



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 ご参加の皆様、初挑戦100点満点のファシリテーションをしてくださいました濱口さん、そして会場のロバスト様、ありがとうございました!


 早い時期から「承認」を評価され当協会を信頼してくださった皆様も、どうかそれを誇りに思ってくださいますように。


 追記:22日より正田が胃潰瘍で寝込んでしまい開催報告のアップが遅れてしまいました。大変失礼いたしました。


 
100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
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「第3回承認大賞」募集ページはこちら!あなたのエピソードを教えてください

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「承認大賞ハンドブック2013」ご紹介ページはこちらです

http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51861106.html .

お世話になっている皆様


 おはようございます。
 企業内コーチ育成協会の正田です。


 長い猛暑のトンネルが今週もまだ続くとのこと。

 皆様、いかがお過ごしでしょうか。


 少し前、日経新聞のコラムにこんな記事が載りました。


 シンガポール建国の父といわれるリー・クアンユー元首相が日本からの訪問客に「シンガポールにとって20世紀最大の発明は?」と問うた。客が答えあぐねていると、答えは、「エアコン」。

「これは真面目な話ですよ。シンガポールは一年中この暑さです。もしエアコンがなかったら、我々は働く意欲が全く湧きません。欧米や日本を追いかけるなど及びもつかず、今日の繁栄も明日の成長も期待できなかったでしょう」

 
 このお話、この夏の猛暑日本の真っただ中にいるとなんだか示唆的です。

 職場にエアコンがあったとしても、暑い外気温との間の行き来やエアコンによる疲れが体に蓄積してきたとき、普段通りの労働意欲が湧くのか?細部まで注意をめぐらして集中力高く働けるか?

 この暑さが意欲や生産性にどんな影響を与えるだろう。そんなことを思いました。



※このメールは、NPO法人企業内コーチ育成協会のスタッフ及び代表理事・正田が、過去にお名刺を交換させていただいた方・当協会のイベントやセミナーにご来場いただいた方にお送りしています。ご不要の方は、メール末尾にありますURLより解除いただくか、このメールに直接「不要」とご返信ください。



 本日の話題は:



■「猛暑」と「モチベーション」そして「能力」
  難題に挑んだ結果は?



■次回よのなかカフェ(8/21)豪華な顔ぶれで満員御礼!



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■「猛暑」と「モチベーション」そして「能力」
  難題に挑んだ結果は?


 今年度、製造業にて当協会方式の「承認中心コーチング」の研修を工場のリーダー層に行うとともに、その部下約200名を対象に研修前後の統計調査により効果の計測をさせていただいています。


 その統計調査の第2回を今月行いました。5月の研修「前」と「後」を比較する初めてのデータになります。

 
 回収は奇しくも、猛暑真っただ中の8月5−9日。結果は…。


 承認・モチベーション・業務能力を含む全体では0.2ポイント上昇(満点は7点)。

 また受講対象者16名のうち「承認」がアップした「承認群」と低下・横ばいだった「無承認群」と分けて集計したところ、「承認群」では承認・モチベーション・業務能力いずれも0.4ポイント上昇。「無承認群」では横ばいか低下、という結果になりました。

 したがって、リーダーが「承認」を行ったかどうかでモチベーション、業務能力とも大きく差がついたことになります。
 

 全体に暑さが結果に影響を与えた可能性は高く、外気温に触れて作業する部署では0.6ポイントと大きくマイナスになりました。


 そんな中でのトータル0.2ポイントアップ、さらに「承認群」での0.4ポイントアップはご立派だったといえましょう。「モチベーション」には、学習意欲や細部への注意力、集中力といった要素が含まれています。また「業務能力」には「仕事のスピードが上がった」「ミスが減った」などの項目が含まれています。

 
 この夏は「エルニーニョ現象」が観測されているともいわれますが、地球温暖化により年々気温が上昇しているのは大きな流れといえるでしょう。そうした中どうやってモチベーションや業務品質を維持するか、という難題への1つの答えでした。



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■次回よのなかカフェin姫路(8/21)豪華な顔ぶれで満員御礼!
「承認は平成の武士道となるか」



 平成日本生まれのマネジメント思想である「承認―認めること―」。

 業種を問わず極めて高い成果が出てしまう「承認」、
 それは日本人独自のメンタリティとどのような関係があるのでしょうか。

 姫路経営者協会の村瀬専務、ひょうご仕事と生活センターの北条センター長、
 姫路師友会の田中会長

 ・・・など、地域を代表する良識が一堂に会し「承認」をテーマにディスカッションしていただきます。



 「『承認』は平成の武士道になるか?―日本人の勇気と自信は、ここから生まれる」

 8月21日(水)、19:00〜20:30、姫路じばさんビル2F「ロバスト」にて。


 ファシリテーター:濱口浩平氏(株式会社濱口商店取締役会長)

 参加費:おひとり1000円

 見識の高い皆様がこの問題に関心を持たれ、発言していただけることに心より感謝いたします。

 また当メールニュースで開催報告をさせていただきます。皆様お楽しみに!


※前回発行のメールニュースで、濱口氏の肩書に誤りがありましたことをお詫びします。
 ×有限会社濱口商店取締役会長 → ○株式会社濱口商店取締役会長

 です。大変申し訳ありませんでした。訂正いたします。



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★このお盆休み、正田は篠山の「デカンショ祭り」に行ってきました。
 木造では全国一といわれる大やぐらを囲んで、地元の人だけでなく神戸、姫路など県内各地からも連が出て「総踊り」。夜店街、花火ともども楽しませていただきました。
 ちなみにデカンショ節の踊りの講習会には参加した正田でしたが、とうとう総踊りに飛び込みする勇気はありませんでした…。

 ちょうど前日に福知山の屋台で爆発事故があったところ。警備・巡回の方々もさぞ緊張されたことでしょう。お疲れ様でした。
 今からも各地で夏祭りが続きます。皆様くれぐれもご注意ください。



※このメールは、NPO法人企業内コーチ育成協会のスタッフ及び代表理事・正田が、過去にお名刺を交換させていただいた方・当協会のイベントやセミナーにご来場いただいた方にお送りしています。

今後ご不要の方は、
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購読リストから外し、次回から送信されないようにいたします。


※このメールは転送歓迎です。
もしこのメールを新たに購読ご希望のかたがいらっしゃいましたら、
info@c-c-a.jp まで、「メールニュース希望と書いて
お申込みください。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


皆様、今週はゆっくりお仕事勘を取り戻してくださいませ。



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日本人の勇気と自信は、ここから生まれる
「第3回承認大賞」
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(株)帝国データバンク社『帝国ニュース兵庫県版』
2008年〜2012年 長期連載このほど完結
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 猛暑のお盆。ブログ読者の皆様、いかがお過ごしですか?

 女性管理者「クレオパトラ」さんより、「第3回承認大賞」上司部門へのご応募をいただきました!


 新人スタッフに「認める」ことの重要性をことあるごとに伝えている様子がわかるエピソードです。
 

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■あなたとの関係 = 直属の部下。 今年入職した新人スタッフ。男性、正社員。

■状況 =
承認することで、人の意欲につながることを日常の会話の中で伝えている。(特に意図するところはない。)
「いい空気感の事務所でいたいよね〜」
「いい気を出すには、承認って大事だよね〜」

■あなたが伝えた言葉 =
「なかなか難しいんだよね。褒めることってけっこう苦手だから。だからこそ、『行動の承認』や挨拶、『存在の承認』をやるように心がけてきたんだ」
と自分の話をした。

■部下の反応 =
「そうですか。」
「自分なかなか褒めるのってできないんですよ〜」
と若干困惑したような表情。難しいな〜とも読み取れる。

■後日談 = 「ありがとうございます」と事ある毎に言っている。

■あなたの気づき等 =
男性→女性 部下→上司 後輩→先輩
ということもあり、なかなか褒めることは難しいようであるが
自分から出来る事を一歩ずつ取り組んでいる様子がうれしい

(クレオパトラさん、ソーシャルワーカー事務所管理者、40代)


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 今回の「承認」は、また新パターン。新人スタッフさんに対して、「自分にとって褒めることは難しい」と、クレオパトラさんが自分の苦手を認め、そのうえで「『行動承認』や『存在承認』を心がけてきた」と、経験談の形で助言を送ったのでした。

 
 結果、新人スタッフさん(男性)も、「ありがとうございます」を事あるごとに言うようになった、とのこと。その人のやりやすいところから取り組むよう手助けすることは大事ですね。


 そして、
 
「いい空気感の事務所でいたいよね〜」
「いい気を出すには、承認って大事だよね〜」

この言葉は、まさしくその通り、と思います。
 人の身体と心のエネルギーが輝いている職場、というのは、一歩足を踏み入れたときに感じられるもの。そこに「承認」は大きく関わりますね。


 このエピソードは、「上司が部下を承認した」というよりは「上司が部下に承認を教えた」事例。これもややイレギュラーではありますが、実は、正田は「こういうのも『あり』」と思っています。通常は上司の方に「承認」を身に付けていただき使ってもらうようにしていますが、順を追って次の段階では部下にも伝え、上司部下、先輩後輩双方から「承認」が出て相互関係になっていくのが望ましいのです。


 クレオパトラさん、素晴らしいご応募をありがとうございました!


 この記事をご覧の皆様も、是非ご応募くださいね〜〜(^^)/

ご応募先はこちら→http://www.shounintaishou.jp


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 教育研修の「副作用」のような話を定期的にこのブログに書いている。


 よく出る話は、「自己主張訓練」のセミナーに行くと、「変な自己主張」をする。妥当性のない主張を、相手がのんでくれるまでしつこくやる。ロールプレイの中で相手が根負けしてくれるのに慣れているからだろうか。あるいは、引き受けた責任を放棄する。「NO」を言う技術、みたいな教えがあるからだ。自己主張訓練はもともと、有色人種、女性、障碍者など社会的弱者が自己主張するための技術を教えるもので本来は良い志のものなのだが、学んだ人の中には「はき違え」が随分出るようなのだ。自己主張訓練の祖、行動理論家のジョゼフ・ウォルピは、「自己主張をセミナーで学んだ人は実世界に戻ったあとイレギュラーな自己主張をし、『頭打ち』を経験してやっと程よいところにおさまる」といみじくも言っている。


 コーチングのある流派のセミナーを受けると、「間違っている人はいない」というフレーズを身に付けて帰る。それはワークショップを成り立たせるための方便だろう、と私は思っているが。たとえば共通の目的をもった集団の中にいればその恩恵も受けるかわり、理念の制約も受ける。理念に反したことはできない、のは道理である。あるいは、法に反したことをしてもいいのだろうか。


 また、やたらガラパゴス的に高度な心理学・コミュニケーションセミナーに行くと、高額なこともありナルシシストになりやすい。トラブルを何でも小手先のコミュニケーションテクニックで解決しようとするので、まっすぐものを言わない。真摯さがなくなる。「コミュニケーション」の中に「徳」の要素がない。


 私が最近出会った「変な人」は、どこぞで「叱り方セミナー」のたぐいを受講したようだった。どんな変な”症状”なのかというと、ひとしきり相手の人格否定、人格攻撃のようなことを言ったあと、自分で「あなたを否定していませんよ」という言葉を言い訳的にくっつけるのだった。まるで前半部分で何を言ってもあとからそれを言えば免罪符になると思っているかのように。

 そして、相手に感謝したりねぎらったりすべき場面でまったくそうした言葉が出ない。基本的な礼節まで忘れてしまったかのようだ。

 攻撃性が脳の大半を占めてしまい、平和友好的な活動ができなくなるのだ。


 「自己主張」も「叱る」もいわば広い意味の「攻撃行動」である。以前にも性欲がらみで書いたが、人の本能は煽られると不必要に燃え上がる。「攻撃性」も、どの人も本能の中にインプットされているものだから、セミナーがその部分を煽り拡大する。そして「セミナーで教わったことだから」と自己正当化し、不必要、不自然なまでに他人に攻撃をぶつける。

 だから「叱る研修」などというものは、それ単独で使用したら「パワハラのすすめ研修」みたいな危険なことになるのだ。

 もしそうした研修を採用してその企業でパワハラや鬱が広がったら、それは研修を採用した人が責任を問われるべきだろう。普通の神経の人は、私の受講生たちなどはそうだが、教育研修をぱっと見ただけで「あ、これはうまくいかないな」とわかるものだ。そうしたコモンセンスの働かない人が研修の購買について決定権をもっていることが問題なのだ。


 「ほめる研修」ブームが一巡したところなのでそろそろ「叱る研修」に目が行きやすくなるところだろうが、このブログでは警告しておきたい。上司の「理性力」が未熟なところに「叱り方」を教えてもダメなのだ。


 
 このブログの長い読者の方はもう耳にタコだと思うが、私の考えを再度まとめておきたいと思う。

 組織の上下の立場がある限り、上位者は下位者に対して攻撃的になりやすい。それを本能のはたらきとすると、理性の力でそれを抑え、思いやりや敬意をもつのが、孔子先生の説いた「仁」だったり、平成の「承認」である。「敬意」はとくに、人工的な理性による美しい感情である。それを維持するには意志を必要とする。

 古来、徳治の行きわたったところでは上位者下位者がうまくかみ合い、生産性高く回った。それは、申し訳ないが宗一郎幸之助の時代よりはるか前からあった名君の知恵である。

(もちろん優しいやりとりの場面ばかりではなく、シビアな叱責の場面もあるにはある。中には徳治の中で勘違いする人も出る。しかしそれは例外的なものだ。)
 
 

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 研修先の製造業の受講生様のもとでの効果を計測する統計調査紙(アンケート、n=約200)が返ってきました。


 リーダーである受講生様自身ではなく、その部下のモチベーションと仕事能力の向上をみるもの。リーダーからの「承認」の有無がそれらにどれだけ影響を与えるかをみるデータです。


 全体の約半数にあたる87名分を入力・集計したところ、・全項目および・承認・媒介変数・成果変数 のすべての大項目で、平均0.2ポイント(満点は7点)上昇していました。

 
 たかが0.2ポイントというなかれ。受講生様の中でも外気温に触れる部署ではガクンとポイントを落としており、この暑さがモチベーションに相当影響したことは想像にかたくない。そんな中での0.2ポイントは大変に貴重です。「承認」は暑さに勝ったのです。


 リーダーたち自身も暑かったでしょう、寝苦しかったでしょう、イラッときたでしょう。よく頑張ってくれました、ありがとう。

 ・・・おっと、まだ半数のデータが残っているので最終結論はまだ先なのですが。


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 さて、嬉しいお話のあとでひとつ嫌〜な話も書いておこうと思う。読みたくない人は飛ばしてください。

 
 当NPOの事務所に妙な脅迫状まがいのものが届いた。

 筆跡を隠したカクカクした字体で、


「ゴテイゲン

ジュコウセイカラ コトノホカ ヒョウバンガ ワルイ

・オシツケガマシイ

・イッポウテキ

・・・」


 これを、「すわ、品質問題」ととらえなかったのは、ひとえに、これまで当協会はセミナー・研修の場で何度も匿名アンケートをとってきており(主催元の公的機関が配布回収したものを含む)、その中で「押しつけがましい」「一方的」という文言は出たことがないからです。

 もし出てきていたのなら「やっぱり・・・」と、多少しゅんとし、反省したかと思いますが。


 もともと当協会は「型で教える」と明言しているとおり、ヒューマンスキル系の研修としてはかなり明確にきっちり「やりかた」をお教えするスタイルです。

 それに対して「押しつけがましい」という反応がこれまで出なかったのは、恐らくは、受講生様方も「承認」を学んで実際に職場で「やる」ことの意義をよく理解してくださり、また実際に「やる」からには、機械の操作手順をおぼえるのと同じように丁寧に伝え、きっちり理解するプロセスが必要だとわかってくださっているからでしょう。


 「型で教える」スタイルは、もとより「押しつけがましい」と言われるリスクを負います。だからこそ、必要性を丁寧に説明するし、丁寧に受講生様と対話し、一方的に押し切られたと感じさせず自ら選んで受け取ったと感じてもらうようにしているのです。そこに日頃からどれほど細心の注意を払っていることか。

 
 基本耳にするのは、「正田さんの押しつけがましくない教え方だから気持ちよく学べた」というものです。「型で学ぶ・型で教える」という、やや自由度のない堅苦しい教育を伝えるとき、講師の実績や信頼性、それに受講生様にフェアに発言機会を与える誠実な態度はきわめて大事です。


 自らリスクをとりつつ、そのことの危険性をふまえて細心の注意を払いながらやっている以上、今更受講生でもない人(恐らく嫉妬と反発で凝り固まったご同業の方。心当たりの人はいる)に「押しつけがましい」と言われてもぴんとこないのです。


 この脅迫状は、最近も何度もブログでとりあげているナルシシズムの裏返しの嫉妬やっかみの感情が具体的な形をとって出てきたものでした。この業界にはナルシシズムの権化のような人がいっぱいいます。ナルシシズムを喚起するタイプのリーダー研修、コミュニケーション研修のたぐいもいっぱいあり、そういう研修やセミナーに行ってナルシシズムに巻き込まれた人は酩酊状態のようになったり、ぎらぎら凶暴な光を放ったりします。当ブログに登場する尊敬する友人たちにはそうした匂いはないのは幸いです。

 
 私は極力水のような澄んだこころで、自分をよく見せようとも大きく見せようともせず、受講生様と相対します。受講生様が十分な批判能力をもち、十分に咀嚼したすえに私が教えたことを取り込んでくださるよう、熱狂的な空気などはつくらず、静かな対話と思考の場をつくります。


脅迫状の後半には私の立ち回り先の総務責任者ともコンタクトした等と書かれてありますが、真に受けるそそっかしい人が出ないことを祈ります。



 一方で、自ら「やる」ことを選択してくれた、立派な大人のラインリーダーの受講生様方には、しみじみと敬意と愛情を感じます。そこに本物の心のつながりが「ある」のだ、ということを信じられます。


 どうか彼らに幸ありますように。




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お世話になっている皆様


 こんにちは。
 企業内コーチ育成協会の正田です。

 連日の猛暑ですが、いかがお過ごしですか。


 昨日は、地下鉄を降りて百貨店の中を外へ歩いている時「緊急地震警報」が鳴りました。
 百貨店の構内放送、それにかばんの中のスマホからもあの警報音が…。

 背後から、私の前の外へ出るガラス戸をめざして人々が走ってきます。
 慌てて私も外へ飛び出しましたが…。


 繁華街を道行く人達も皆、一様に携帯、スマホの画面を見つめています。

 こんなに「みんなが同じ情報を注視している」と思う瞬間もないでしょう。


 くれぐれも、心臓に悪い「誤報」はなしに願いたいものです。



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 本日の話題は:



■「責めない現場」は可能か?ミラクル中国工場の総経理にインタビューしました



■次回よのなかカフェ(8/21)豪華な顔ぶれで満員御礼!
「承認は平成の武士道となるか」



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■「責めない現場」は可能か?ミラクル中国工場の総経理にインタビューしました



 先月行った講座で、居並ぶものづくり企業の受講生様方が一斉に熱心にメモをとった場面がありました。1人の受講生様が言われた、「うちは不良を『責めない』が浸透していますから」という話のときです。


 この受講生様は、5月に「現場をみただけで注文がくる中国工場」として当メールニュースでもご紹介させていただいた大島金属工業(株)(神戸市西区)の方。
 

 そのときの記事はこちら

 「とにかく現場を見てください」で仕事が来る中国工場―脇谷泰之さん(大島金属工業執行役員)インタビュー
 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51857608.html


 むむ?優秀な現場づくりの蔭にまた「責めない現場」という新しいノウハウが?

 というわけで、脇谷さんに再度インタビューさせていただきました。


 教科書には載っていない、「真因を探る質問」や、それにとどまらない組織体制のあり方が、真因の究明による新たな生産ノウハウを産みだします。

 「いやぁ結構皆さんあの記事読んではるからなぁ」
 「そんな特別なことはしてないんだけどなぁ」

 と渋られる脇谷さんを拝みたおして教えていただきました。


 ご興味のある方は、どうかこちらの記事をご覧ください:

 
 「責めない現場」は可能か?―脇谷泰之さん(大島金属工業)インタビュー(2)

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51866966.html


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■次回よのなかカフェin姫路(8/21)豪華な顔ぶれで満員御礼!
「承認は平成の武士道となるか」



 平成日本生まれのマネジメント思想である「承認―認めること―」。

 業種を問わず極めて高い成果が出てしまう「承認」、
 それは日本人独自のメンタリティとどのような関係があるのでしょうか。

 姫路経営者協会の村瀬専務、ひょうご仕事と生活センターの北条センター長、
 姫路師友会の田中会長

 ・・・など、地域を代表する良識が一堂に会し「承認」をテーマにディスカッションしていただきます。



 「『承認』は平成の武士道になるか?―日本人の勇気と自信は、ここから生まれる」

 8月21日(水)、19:00〜20:30、姫路じばさんビル2F「ロバスト」にて。


 ファシリテーター:濱口浩平氏(有限会社濱口商店取締役会長)

 参加費:おひとり1000円

 定員:10名


 現在、定員オーバーの11名の方からお申込みがあり、これにて募集は打ち止めとさせていただきます。

 また当メールニュースで開催報告をさせていただきます。皆様お楽しみに!


 詳細はこちらから

 http://c-c-a.jp/cafe/index.html



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★先日、朝日新聞に「笑い」をテーマに桂文珍と辛酸なめ子の談話が載りました。
 興味深かったのは、2人とも「嘲笑」を時代の心の荒廃の象徴として取り上げていたこと。
 「嘲笑はいけませんな。他人の不幸を笑う、未熟な笑いです」(文珍)
 「ネットでも嘲笑のサインの文末のwやwwをよく見る。心が荒んでいるな、と感じる」(辛酸なめ子)

 その文珍師匠の独演会を大阪・なんばグランド花月で聴きました。
 論理、間とも計算し尽くされた笑い。もちろん誰かを傷つけない。磨き抜かれたプロの仕事は、安心して楽しめるのでした。



★秋田に次いで岩手に「経験のない大雨」警報が出ました。どうかご注意ください。



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ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


皆様、ご家族様ともども良いお盆休みをお過ごしください。



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9696


 
 NPO会員の柏原直樹さん38歳、OA機器販売営業課長。今年上半期コピー機部門で社長特別賞、先週表彰式。「毎日、課員の誰かが『一緒に営業(同行)行ってください』と言ってくる」と充実した表情。他部署との相互学習「あっちこっち丁稚」といったこころみも興味深かったです。


 
9693


 4月に登場した「いたみ杉の子ゆうゆう」所長の村山さんの手帳。iPadと思ったが同サイズの手帳だった。片ページが1日分、やることリストや備忘録、日誌がびっしり。「よく忘れるからねえ、怒られるんですよ」。






 今年5月にインタビューさせていただいた大島金属工業(株)・執行役員生産統括部部長の脇谷泰之さん(中国法人総経理)を再度お訪ねしました。

 今回のテーマは「責めない現場」について。日頃はコーチングの質問法を型通り教えている正田ですが、生産現場にはそれにとどまらない「真の原因を探る質問」のノウハウが存在するよう。「現場の知恵」を伝授していただくべく、「特別なことはしてないですよ」を連発する脇谷さんに教えを請いました。(長文です)


ききて:正田


脇谷さん初回登場インタビュー記事は
「とにかく現場を見てください」で仕事が来る中国工場―脇谷泰之さん(大島金属工業執行役員)インタビュー
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51857608.html 



「責めない現場」は可能か?―脇谷泰之さん(大島金属工業)インタビュー(2)


(1)「犯人探し」をやめよう
(2)社会人としての心構え?
(3)「普通のことを普通にしよう」
(4)「不良は出るもんや」から始める
(5)眠たくなったら機械止めろ
(6)2日に一度口を酸っぱく
(7)真因を探る質問テクニックとは
(8)中国での採用基準は「嘘つかない」



(1)「犯人探し」をやめよう


―今日は「責めない現場」ということについて、是非お伺いしたいんですけど。


脇谷:責めない現場。講座で話が出たそうですね。出席した本岡課長と会話してきいたんですけど。


―はい。そこは(受講生の)皆さん必死でメモとりはって、かなり画期的なことをおやりになっているような。


脇谷:もともと社長自身の考え方に責めない現場っていうか、現場を責めない、人を責めない、という発想はお持ちやったんです。


―そうなんですか。何からきてるんですか。


脇谷:かれこれ11年ぐらい前からそういう発想をされてて、でも言うてる本人ができてないですけど(笑)。でもなかなか現場に浸透しきれていなかった。結局、中で犯人探し。不良が出たときに犯人探しをやる。

 僕がちょうど(転職して)来たときも不良が出て社長からは「人を責めるな」と言われて。でも現場は犯人探しをやってる。結局探しても結論が出ない、前へ進まない。で、だれが悪いかれが悪いというのをやめよう、と。当初本岡もうちへ来たばっかりで、彼らと一緒に「そうしよう」と。

 不良が出たとき、トラブルが出たとき、「誰がやったか」ききますよね。誰が担当していたかはききます。で本人に「どういうことをやったか」「どういうことをしてたか」やり方をまずききます。きいた上で、「なんでこれ(不良)ができたんやろ」というのをもう一ぺんみんなで関係者と考える。1人の頭でなく集団で、現場と営業と技術と品証と入って、一緒に考えて解決していく、という方法に変えていきました。


―ははあ。そうして複数部署の合議で話をすることでどういう効果があるんですか。


脇谷:一つの不良について現場だけで真因を調べたり、対策を打つと、どうしても自工程の都合や、立場を優先して部分最適な対策を打ってしますことが、往々にしてあります。また、経験値だけでなく、他社情報や、顧客での情報は、品証、営業技術の方が持っており、いろいろな知恵を出し合うことで製品の製造する流れ全体を見た対策を打てることができます。
 
 たとえば、打痕(プレス工程で穴などを開けた抜きカスが製品のと金型の間に入り、凹みを作ってしまう不良)の場合、プレス加工では、防げないとの業界常識があり、現場だけで検討すると出荷前検査で全数検査という対策になります。しかし、場合によっては、金型を調整したり、加工速度を調整することで対策できる場合があり、今年度は、この対策を中心に実施して効果が出始めています。


(2)社会人としての心構え?


―さすがですね。でも明らかに単なるケアレスミスという場合でもそうなんですか。


脇谷:一緒です。なんでケアレスミスが起こったか、というのをやっています。彼本人がたまたま前の晩夜中まで起きててゲームして寝不足であくびしてたのか、暑くてぼーっとしてたのか、寒くて身体が動かなかったのか、というところまで含めて一応話をして確認はします。

 当然、本人の社会人としての心構えが出来ていなければ本人にちゃんとそういう形での話はします。

 だから本人を叱ったり怒ったりするのはあります。例えば個人のプライベートの時間を夜中まで(ゲーム)やってて、朝寝坊しかけて慌てて飛んできて作業している、というのは、親じゃないんですけどそういうところをしっかり叱ります  作業現場の環境、例えば「暗い」とかね、なんであれば当然それをどう改善しようか、という形にもっていきます。寒い暑いはなかなか工場なんで改善できないんですけど、できることはやっていく、対応していく、という形で。大抵のことはその環境が悪い、ということでもし問題があってもじゃあどうしようか、と一緒に考えて解決していこうね、というのはずっとやっていますね。

 まあ全員が全員そういう考え方でやっているかというと、中には「オレは悪くないのに」というのは、まだまだおりますけどね。30数名であっても。

 あんまりそのへんは、叱っても答えが出なかったんで。逆に口つぐまれてお客さんに報告が出来ない、原因がわからない、再発する。そんな悪循環でしたんでね。ここ(叱る・責める)からやめなあかん、というので。


―お客さんに報告を出す時にも「なぜなぜ分析」の書式があると伺ったんですけど、そこにも本人が深夜までゲームしてたとか、そういう理由も記載されるんですか。


脇谷:お客さんには報告しません(きっぱり)。そこは飾ります。


―あ、そうですか(笑)いや〜やっぱりこれ、皆さんにきいていただきたいお話です。


脇谷:どこも同じだと思います。他の大手さんの方と話しても同じ様なことを言われてましたから。普通にすることを普通にできるかでけへんか、だけやと思ってるんで。


(3)「普通のことを普通にしよう」


脇谷:僕ここ何年かずっと言うてるんです、「普通のことを普通に仕事しよう」と。普通のことを大げさに仕事するのやめようと。


―今の「普通のことを大げさに」というのは例えばどういうことですか。


脇谷:例えばプレス部品で、1時間に450個できますと。本人は一生懸命頑張って人より早い、遅い人と比べてだから私は人より頑張ってる、特別だ、という表現をするんですよね。僕はそれは「違う」と。450個できる人が450個するのが普通であって、これが500個になったら頑張ったけど、500個になったら今度はこれが普通で、普通のことを普通にしまし ょうね、人から見て努力してるなとか、すっごい必死になって仕事してるなと思われずに普通に仕事してるやんね。と思われるように。

 だけど私ここまでできないわ、すごいね、と思われるように。自分がやることがすごいことじゃなくて自分が当たり前にできることを当たり前にやろうね。その代わり、それをまたレベル上げて頑張ってこうなりました。でもこれが今度普通になりました。もっと上を目指そうね。ということを言うてるんですけど、なかなかね、まだまだ。


―それは例えば、その人は450個作れる、ほかの人の平均例えば300個ぐらいだと。いう場合でもこれは凄いことじゃないんやで、と。


脇谷:そう、その人にとっては普通ですよね。その普通というラインをしっかり守ってるときに人と比べて、その少ない人たちがその人をみて何が違うんかなー、それを普通にできるようにしましょうね、考え方かえて普通にしましょうね、先行している人も追いつかれるんだから次、考えましょうね、と。

 それは出来高だけではなく仕事の質に対してもそう。今まで知らなかったことを、何か問題が出ました、でもプレス屋やからプレスのことだけ知っておけばいいという時代じゃないんで、そのためにも材料の特質とか、うちの苦手な化学的な話も出てくるんですけどね、油も使うんでね。そういうことを含めて、今までは分からなかった。これを調べていくうちにおぼえてきた。じゃあ次、こんなことが起こったときにそのことを普通に処理しましょうね。ワンランク上がるからこれが普通の仕事ですよね。これがいつまでも凄いんだよ凄いんだよ、うちの会社は技術あるんだよ、と思うとそこで止まってしまう。一瞬はそれができたから凄いけどそれからはここを普通にして普通に処理できるようになりましょうね、という。普通のことを、むずかしくせず普通にしましょうね、ということです。


―それが「普通のことを普通にしましょう」ということなんですね。なんか耳が痛いなあ私進歩がないからなあ。


脇谷:ものづくりも、技術の進歩とかいいますけど人の進歩が一番先に走らんと。人が育ってもらうようにしたいなあ、と思ってやってます。ただなかなか浸透はしないです。。
結構(自分の仕事を)アピールしてくる人達も(社内に)おりますけど、お前それ去年アピールしてきたことと変わってないやん、と言うたりします。「承認」からいうと逆方向になるんですけど(笑)


―いやいやいや。それも正確にみたうえでのことでしょうから。


(4)「不良は出るもんや」から始める


脇谷: 先程の「叱らない」とか「責めない」というのは、どうしても不良が出たとき「人が悪い」と考えてしまうけど、人が悪いから人を責めたって解決しないという痛い思いを何度もしてるんで。結局わからずにダラダラ時間ばかりかけてお金かけて原因追及をやったところでまた不良が起こる。どうせかけるなら1回で終わりたい、ちゃっちゃっと終わらしたい。というのが元々の本音であって。

 まあ、その成果というかそのお蔭で、今までずうっと検査をせなあかんかったような金属のバリも今材料的に問題あって出た2点以外は、検査なしで普通に加工条件さえしっかり出来てたら、問題なくできるようなところを見つけられたんでね。そういう意味ではそれは自分ところの中でのノウハウが出てきたのがあったんで良かったと。みんなも経験してそれなりにいい答えが出たんで、成功事例としてみなさんが理解して動いてくれればいいかなあと、期待しながらやってるとこです。だから責めないとはいいながら、まあ責めてはないですけど、完全に定着してるかというとそうではないです。やっぱり僕らが「責めるな」というのをしながらやってるところです。


―凄いことです。真因がわかったからこそ新しいノウハウの開発につなげられたわけですね。


脇谷:いやいやこれは普通のことで。どこもやられていること、でしょうし。


―いやー皆さん浸透してるかどうか、怪しいですよ。
 もうひとつの疑問は、その「責めない」方針でしたときに、じゃあ作業者のかたが、「そもそも不良というのは出したらあかんものやで」という教育は当然なさってると思うんですけど、その前提を忘れてしまわへんかな、とか。


脇谷:あ、最初の前提は「不良は出るもんや」から始めました。


―ほんまですか。


脇谷:「人間ミスしないわけない」って。ミスしない人間なんて世の中いない、って言うてましたから、7年前から。


―へーえ。新入社員の教育からおやりになるんですか。


脇谷:新入社員というより、途中入社ばっかりですが、そのときします。人間はミスします、必ずします。ミスしない人間はいません。ミスしたかどうかがわかることが大事です、って言っていました。私がミスしたとき「ミスしました」ということを言ってください。そこで止めれます。いまだにそれはみんなに言うてますね。ミスして不良作るっていうのはいけません。でも不良ゼロというのは、お客さんに対してゼロというのは頑張ります。社内不良をゼロに近づけることはできてもゼロにはできません、できないことをやれとはいいません。だけどゼロに近づけることはやりましょう。悪ければすぐに言って止めましょう。調子がおかしいと思ったらそこで確認しましょう。だから「(不良を)作るな」と言ったことは僕はないです。思ったこともないです。

 不良はできるものや、と思ってます。本当に不良ができなくしようとすると、相当お金をかけて、色んな設備を全部入れて、予防保全に最大限お金をかけたら出来るかもしれない。僕はゼロに近づけることはできるけどゼロにはできないと思ってる。で(不良を)作ることがダメだ、というのでなくゼロに近づけることをしましょう、と言ってます。それはみんな、同じように言っててくれてるから理解してくれてると思いますけど。


―そうですか、そうですか。7年前から。それは社長とも意見が一致してるんですか。


脇谷:ええ、社長も知ってます。社長も「連続不良は許さんけど1個の不良はしゃあない、そこで止めろ。その1個が毎ロット出たのなら、次は2ロットに1回、5ロットに1回、1か月に1回、1年に1回していって近づけることを考えろ」て、ずっと言われてます。それがなかなか現場には理解されてなかったんで、まず「責めない」という話を大々的にする前にそこの話を先にしました。必ずミスは出る、ミスするからあとで誰かがチェックする、あるいは自分でチェックすることを考えようね。


(5)眠たくなったら機械止めろ


脇谷:ただ事故はね、これは絶対ゼロにせなあかん。けがした人間の体は絶対に替えはきかない。機械なら直るけど人の体は替えはきかない、だから絶対自分の身は自分で守らなあかん。先に逃げろ離れろ、機械止めろというのも言ってます。だからちょっと変な音がした、逆に今日は調子が悪かったら機械止めろ。眠たくなったら機械止めろ。そこから始めることをやってます。


―それはちゃんとやってくれてますか。


脇谷:そうですね、今のところケガもないんで。時々止めていて、「どうしたん」ってたまにききに行くこともありますけど。たまーに、年に1人くらいかな、「すいませんきのう夜中までサッカー見てたんで眠たいんで」って言うから「ええ加減せえ」」って言って終わってましたけど(笑)
それなら会社来んで休んでくれ、とはっきり言ったこともありますし。「そんな状態で来てケガされてなんかあっても会社としても困るし、あなたがケガするのは僕らが一番辛いんで、いやだ。はっきり計画的に有給休暇とってくれ」と。それ言うと次から大体しませんね。脅しに聞こえるみたいなんで。あとはまあ、本当に体調が悪い。そういうときは状況きいて、場合によっては休ませたり。「早く帰れ」って帰らしたりはしますけど。そんなに頻繁にはないですけどね。
 ただ、変な音がするからと一旦止めては、連絡をくれる。僕だけじゃなくて現場の機械がわかる人間何人か見に行かせて見てもらって、どうも怪しいなとなったらメーカーに来てもらって。大きな故障・トラブルもあんまりないですね。手に負えんのもないかな、最近は。前はね、ある日突然機械が止まってどうしようかと大騒ぎすることがあったけど。


―変な音がするのを長い事放置しておくと大きな事故とかトラブルになるわけですね。


脇谷:なりますね、機械は壊れる前に信号を出しますんで。PCと一緒です。昔のフロッピーディスクは、初めは静かやけど段々音が大きくなってくる。壊れる前兆ですから。もう壊れるなというのは身構えながらできるんですけど、機械も同じで、こすれる部分の音が変わってきたり普通はすんなり動くところがちょっとこう、カタカタという感じが出たりする。大体それでスピードが遅くなったりばらついたり。日頃使ってる方は分かるはずなんで、それは大体事前にわかります。スイッチなんかでも普段やったら押せばちゃんとつくのが、押し方がグッと押さなければ効かんとか早く押さなければ効かんとか、なるともうスイッチが壊れかけてる。なら交換しようかと部品とって壊れる前に交換するとかの形をとりながら。


―うちの換気扇それやわ(笑)


(6)2日に一度口を酸っぱく


―脇谷さんはそういう、「不良は出るもんやで」とか、「体調悪い時は機械止めてくれ」とかを、どのくらいの頻度で皆さんにおっしゃってます?


脇谷:「体調悪い…」のは年に2回、最近は。「機械調子悪いときは止めろ」というのは2日に1回言うてます。


―やっぱり相当な頻度で、口酸っぱく言われているわけですね。


脇谷:いつもと違う音がするとか、止めろというのはいうてます。
 全体朝礼が週に1回です。週に月曜日だけ、全体で。そのときは必ずそれは言ってます。このへんは正しいかどうかわからへんのですがただ単純に僕のこだわりだけであって。


―いやいやいや。結局それで機械の壊れるのが無くなって。


脇谷:お金かかるんです。壊れてから修理すると。壊れる前に修理すると安いんです。そこだけです。壊れてからすると1か所じゃ済まへんからね。僕自身が神経質なのか、結構それを気にする方なんで、歩いてるとたまに変な音するなーと思って見に行ったりして、自分で。家では家内に「お金のかかる人や」と言われています。


―家電の壊れたのもすぐ気がつきますか(笑)


脇谷:はい。今言われた換気扇でも風切音悪いなー、と思ったらばらしてみて、「あ、部品壊れてるわ交換しよう」って、止まる前に交換する。で怒られます。「高い!金ばかりかかる!」って。


―いいお話をありがとうございます。価値あります、このお話。


脇谷:完全定着はしてないんで。まあ「機械」だけは定着してるかな。「叱らない、責めない」というのももうちょっとかなーという感じ。


(7)真因を探る質問テクニックとは


―皆さんほんまの原因を言ってくれますか。「深夜までゲームしてた」とかいうのを。


脇谷:訊き方ですね。やっぱり。正田さんのセミナーにもあるような、発展的な質問(拡大質問)、向こうがしゃべりやすい質問をやっていかんと。

 それとある程度こっちが読みます、顔をみて。「ああ多分寝てないやろな」と、そこから「どうなん?」と。誘導尋問ではないですけど、しゃべってくれるようにはなりましたね。それまでは頑なに「いいえ、いいえ」と言ってたのが。もともと僕も質問が上手な方じゃなくて、以前は責めるような質問があったみたいで、人から「詰問や」とよく言われましたけど、それをやめようと意識するようにしてからは一応答えてくれはったし、逆に僕らよりは本岡なんかのほうが友達的にイメージ近いみたいなんで、割とそういうのは上手にききだしてくれます。僕であかん場合はそういう形で誰か使うとかね。で聞いた本人にも横に座らして、「こうこうこうで、こうやな」(確認)「はい」「じゃあこうしような」(要望)と。


―ふーん…。テクニックが色々あるんですね〜。


脇谷:どうなんでしょうね、テクニックなのかどうかわかりません。たかが30何人ですけど色んな人間がおりますんで、ええもん持ってりゃおかしなやつもおるし、おかしな奴の中にもやっぱりええもん持ってる。どう見抜いていくかというのが、いいところを伸ばしていくしかないんでね。そういうところを伸ばしていかないと。うちらみたいな規模では、優秀な人間ばかり集めては仕事ができませんから。やっぱりええとこ伸ばしながら、ほかも付随して伸びていくのを期待するしかないんでね。

 中国も同じで、中国人のええとこを伸ばしながら悪いところもついでにくっついて伸びてくれるやろうと期待してるんで。


―よく、きめ細かく見てはります。


脇谷:みれてないんで、怒られますけどね。皆さんから、はい。


―やっぱり両方みるというのは大変なんでしょうね。第2、第3の脇谷さんがいてほしいですね。


脇谷:要りません。


―あ、ほんまですか。

脇谷:みんなが自律して動くようになったらええかな、と。今言ったことに反してるんですけど、元々僕自身の考え方は、トップが誰がおるかで組織が回る回らないが決まるのはおかしいと思う、組織として。組織は自分で自律神経持ってちゃんと自律してお互いが牽制して仕事ができる組織がいいんであって、トップは最後お客さんとこに怒られに行くときの責任者であって。それができるまで、みんながそれぞれの持ってるもんでレベルを合わせて「ちゃうよね」「おかしいよね」言い合いながら組織が回る、ホンマ理想ですよ。できないですけどね。それをいつまでも子どものように夢で追っかけてるだけであって。それができたらいつでも抜けれるし。そうあってほしいんで、第2第3が欲しいとは思わないです。

 同じような人間がおって育てていったら育てられると思うんですけど、それが育ってもしょうがない、ちゃんとこみんなが自立してくれんかったら、みんなでやってみんなで回さんかったら文化って残らないんですよね、
それを何とか、あと10年ぐらいで何とかならんかなと思ってますけど。…こんなことばかり考えてやってるもんでねえ。


―いやいやいや、それが本来の総経理のお仕事なんや思います。中々それをわかってる方は少ないと思います。未来志向なんやろうなあ、脇谷さんは。


脇谷:1人が誰かおるから回る組織はおかしい。やっぱりみんなが牽制しながら、というのをやっていかんと、キーマンは要りますけどね、やっぱり。キーマンがキーマンを育ててくれる。それはしっかりとお互いが人間同士尊重しあうような、やっぱり「承認」の世界でしょうね。尊重し合いながら組織を作っていけるのが一番ベターやと思うし強いと思うんですよね。
それができる、得意にしている民族は日本人やと、僕はずっと思ってたんでね。外国人ではなかなかそういうところは-相手を承認するとか尊重するとか、言い方が若干違うとか違和感を感じるときがあるんでね。


(8)中国での採用基準は「嘘つかない」


―ああ、そうですか。
それでいうと中国で前回のお話のようなことができるのは凄いことやなあと思いまして。従来の私たちがイメージしてる中国人像とすごい違うなあと。マネジメントのやりようによっては本当に人の性(さが)まで変えてしまうのか、あるいはある程度採用の段階でスクリーニングしてそういう人格の人を採ってるのかしらと。


脇谷:ええと採用の段階で言うと、―設立当初から残ってるのが2人。その2人は、採用基準は・日本に住んだことがある、・日本が大好き、・日本人と付き合ってどんな相手か知っている奴、というのを社長が連れてきた。
あとは僕が面接して入れたけど僕が入れた基準は、「嘘つかん奴」というのを狙いましたね。


―ほう。それは見抜けますか。面接って化かし合いじゃないですか。


脇谷:2回面接したらわかります。日をあけて。今の営業技術部の部長してるのも2回しました。今、承認を教えてる第二世代目のメンバーも僕が2回面接しました。1回目と2回目でまったく同じことをききます。過去の成績。どんなことをしてきたか。あなたが今自信をもっていえる成果は何ですか。ということを2回、同じことをききました。20人ぐらい面接してると1回目と2回目はほとんど違います。1回目に言ったことが2回目になるとすっごい膨らんで言うときもあります。


―ははは、ありそうやなあ。


脇谷:そこで色々突っ込んでいくと、じゃあどういうことしたの、こうしたのああしたの、こんなこと起こらなかった、あんなこと起こらなかった?と、通訳を交えてしゃべっていくと、大体「こいつはこのレベルまでしかしてない」とか「誰かにくっついて一緒にやったことやなあ」とわかるんで、そういう人は全部排除します。


―ははあ、自分でやったように言う人は排除。


脇谷:営業技術部長を入れたときは、「いや、僕はそんな大きな成果はありません」と言ってました、最初。「しゃべれることはありません」ちょっと日本語ができるもので、「成果はありません」。ならお前何が売りなん?ときいたら、「僕はこんなことを考えてます」というのを作ってきました。1週間後の2回目のときに。ならお前これ説明してみ、ときいたらとんでもないわけのわからない夢をみてたんで、おもろいなということで入れました。 とんでもないわけのわからない夢をみてるからあとで修正きくかなーと思うから入れました。ちょっと今修正に苦労はしてますけど。

 で、主幹クラスをやっている第二世代のメンバーは、やっぱり言ってることは変わらなかったし、突っ込んだことに対してもちゃんと答えてたんで入れました。現場の方は全部向こうに任してるからね。主幹から下の人間については中国人の彼らに任してますけど、基本的に僕の方針は「嘘つく奴は入れるな」。


―じゃあ20人に1人とかそのレベルじゃないですか。


脇谷:でもないですよ。中国人うそつきやって言いますけど、意外に素直ですよ。顔に出ますからね。嘘ついてる顔って。日本人よりは素直ちゃいます、ある面。


―ふーん、面白い。そんなことおっしゃった人初めてです。


脇谷:中国人にそんな腹黒さはないです。悪い奴は悪いです。はなから顔見たら悪いとわかります。嘘つきは顔みたら嘘つきって思います。日本人みたいに顔でニコニコ笑いながら腹の中で「このクソ、ボケ」っていう感じはないです(笑)少ないです。。でも中国人は意外に素直と、僕は思ってますね。


―それは高専とか、工業高校とかを出てる人ですか。


脇谷:副総経理は大学出てますね。日本の四年制大学ね。営業技術部長はは工業高校卒。主幹の子らは専科という、日本で言う短大出。あとはまあ高卒、中卒。現場の40代の人は中卒が多いですかね。その下の一部も高卒ぐらいです。
 今の若い20代の子のほうが使いにくいですね。


―ああそうですか。八零後(パーリンホウ)とか九零後(ジウリンホウ)の人達。


脇谷:日本人の若い人以上に使いにくいですね。


―よそでもききますね、中国からの研修生すぐ休んだり、国帰ります言うたり訳わからんからもうベトナムからの研修生に替えた、と。



脇谷:我慢できないんですよ。暑かったらイヤ。しんどかったらイヤ。残業はしたくない。こんなトラブル起きたら僕関係ない、知らないと言ってどっか行く。多いですね。だからもう若い子は少ないです、30代後半が中心。1人22歳の人がいます。彼は今、暑い中やってくれてるんでね、中にはそういう人がおるんでそういうのを見つけては一生懸命鍛えて、次の技術を憶えてもらおうとやりますけど、一般に若い人は仕事ができない、高い賃金は求めるけど仕事はできない、ミスマッチですよね。だから今日本の人らも、若い人が大学卒業して就職ないというけど、本当に仕事がないのかというと仕事はある。就きたい仕事と合わない。したい仕事は何なん?と聞くとみんなクーラーのきいた綺麗な部屋で定時に終わる仕事、というから「そりゃない」と。それと変わらへんのかなあと思いますけどね。

 今両方みてますが本社のメンバーのほうが向こうのメンバーに負けてますからね。向こうのメンバーはどんどん新しいことを憶えていったりするけど本社のほうはどっちかというと今の世界を何とか確保できればいいや的な、景気の動向もあるんでしょうけどね。仕事が忙しくなると色んなことを当然考えますけど。

 意外かもしれないけど、腹黒いのは日本人のほうが多いです。中国人のほうがまだすっきり、はっきりしてます。僕は中国人のほうが付合いやすいです。
中国人は好きなもんは好き、嫌いなもんは嫌いとはっきりしてますからね。ホンマに嫌いな人とは絶対しゃべらへんから。


―ふーん。社員さん同士でもあります?


脇谷:ありますよ、グループが。対立はしませんけどしゃべるグループとしゃべらんグループが。昼ごはん一緒に食堂で食べてみていたら、「ああこのグループ仲悪そうやな」と思います。まあ酒飲むときはみんなわあわあ言いますけど。仕事上はそれはないようやから、注意して見とけというのは副総経理や製造部長とかには言っています。ちゃんと中入って取り持てよ、と。とくに支障は出ていないんでね。人間好き嫌いあるんでそれはあえて言わんと。ただ仕事は仕事、プライベートはプライベートで割り切れなくなったときはちょっと言おうかなと。
 まあ、変わったことはしてないですよ。会社的には変わってるでしょうけど、日本人がおらんから。ものづくりは日本と同じものを作ってますし。工場もここと同じで窓から現場が全部見渡せますし。

―インタビュー以上―




 このあとはプレスと溶接の生産現場を急遽見学させていただきました。「普通工場の写真撮影は厳禁ですよね。僕はオープンにしたんです。金型と製品のアップ写真でなければOKです」と脇谷さん。

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脇谷さん(左)と本岡さん(右)




 工場内の掲示物意外と少ないな〜。掲示物についても伺いました。

「生産性の指標は、表示していません。
品質は、1か月を修正し、内容ごとに品管課のほうでまとめてから
現場に展開しております。現場も各ラインの機械のところに掲示しています。
基本的に毎日の生産性や、品質状況を現場で修正することが、本当に
現場で役立つのかの疑問があり、あえて日々の集計は、日本ではしおりません。
過去には、しておりましたが、どうも集計する事が目的となり、自分たちの
弱みをしっかり分析することまで進まないので止めました。
月1回の現場のリーダー会議を開催してそれぞれの現場の改善目標や、進捗状況を
話し合い、それぞれのライン間で共有する方法を取っています。
ちなみに中国では、彼らのやる気と努力を認めるために週1回、品質状況、生産性等に
ついて品質管理部門、製造部門のスタッフでまとめて掲示をしています。
現場朝礼で現場の作業者全員に製造部長もしくは、品質管理主管からよくなったところ
悪かったところを連絡するようにしています。
(少しずるいですが、それぞれの持っている競争心をあおっています。)」(脇谷さん)


 脇谷さん独自の非常に細かい観察に基づいた「人」と「生産」に関するノウハウ。小さい規模の組織だからこそできるPDCAの速さもあるでしょう。本来「人」について独特の哲学をもった人が、当協会のシンパでもいてくださるというのは有難いことです。
 

 脇谷さん、このたびもご無理なお願いに応じてくださいまして、ありがとうございました!


 脇谷さんへの最初のインタビューはこの年の5月。上海工場の驚異的な躍進ぶりについて初めてお話いただきました。

 「とにかく現場を見てください」で仕事が来る中国工場―脇谷泰之さん(大島金属工業執行役員)インタビュー
http://c-c-a.blog.jp/archives/51857608.html
 
 またこの日記の翌9月には、上海工場を実際にお訪ねしました

 承認の輸出先 「上海大島」訪問記(1) 手作り治具にウルトラC改善・知恵と工夫の戦場上海
http://c-c-a.blog.jp/archives/51871514.html


承認の輸出先 「上海大島」訪問記(2) ―「僕嫌われ者ですよ」―「まじめ」「元気」な現場づくりはダメ出しと質問と承認の風景
http://c-c-a.blog.jp/archives/51871516.html


ものづくり企業を元気にしたい!元気な現場、自然さと合理精神、グローバルリーダー―脇谷さんとの対話
http://c-c-a.blog.jp/archives/51891670.html





100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp


「第3回承認大賞」募集ページはこちら!あなたのエピソードを教えてください

http://www.shounintaishou.jp


「承認大賞ハンドブック2013」ご紹介ページはこちらです

http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51861106.html


 ブログ読者の皆様、ご無沙汰しております。


 このところ少し調子を落としていまして、


「今日、事務所の片づけをするって言ってましたがすみません延期します。今いち調子が出ないもので・・・」

 朝、情けない声で経理のYさんに電話。

 出勤したとき、Yさんは

「これどうぞ。今朝ベランダでとれたてのです」

と、プレゼントしてくれたのは、

 真っ赤なフルーツトマトとプチトマトの詰め合わせ。


 早速お昼にいただきました。真夏の日差しを浴びて生命力いっぱいのお味がしました。


 

 先週も素敵な人たちにお会いしました。

 その一部はインタビュー原稿になって今校正中です。


 お楽しみに!
 

 


 

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