レジリエンス(回復力/復活力)についての読書を2冊。
『レジリエンス 復活力―あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か』(アンドリュー・ゾッリ、ダイヤモンド社、2013年2月)
は、システムの崩壊・送電系統・都市と熱帯雨林など、非生物のレジリエンスから始まって、個人と社会のレジリエンスを論じます。
わたしはつい安きに流れて後者のほうから読み始めます。
たとえばホロコーストや大災害で被災者になった人たちの3分の1はひどいダメージを受けずに自然に立ち直るといいます(3分の1弱はメンタルの疾患にかかります)。それを分けるものは何か。
ダメージを受けにくい子どもを観察すると、彼らには「自己回復力」(楽観性や自信)と「自己統制力」(将来の目標のために楽しみを先延ばしする力)が備わっていたといいます。
またそれは大まかに言って3つの信念が土台となっており、
1)人生に有意義な目的を見いだせるという信念
2)自分が周囲の状況や出来事に貢献できるという信念
3)経験はよかれ悪しかれ学習と成長につながるという信念
だそうです。
性格的要因のほか、
・信仰
・コミュニティ
も個人のレジリエンスを高めるはたらきをします。
「コミュニティ」には職場も含まれるので、「上司に対する承認教育」が部下のレジリエンスを高めるはたらきをする(ひょっとしたら上司自身にも)といういくつか前の記事「承認は根性をつくれるか」の仮説はやっぱり正しいのだろうと思います。
さらに遺伝とレジリエンスの関係では、本書は「5−HTT遺伝子」に言及しますが、これは当ブログでもよく言及する「セロトニントランスポーター遺伝子(不安遺伝子)」のことです。
不安感が低いとされる長いのが2つそろう「LL型」の人はストレスにも適応が良く、LSとSS型は適応があまりよくなかった。
(かつ、このブログや講演でも紹介するように、日本人ではLSとSS型の人が全人口の90%以上を占めているため、「折れやすい」国民と言えるかもしれないのです)
そして本書のこの章は個人のレジリエンスを高めるために最終的には「瞑想」を勧め、かつ「瞑想でなくても、幸福感を高める活動を日常的に行えばよい」ということも言っています。引用している「素人に8週間瞑想をしてもらった」論文は当ブログで過去に引用したものと同じようです。
と、またしても「瞑想」に遭遇し、かつ「瞑想」は「承認」でも代替できそうだ、瞑想がめんどくさいと感じるひとは他人を承認することをやってみよう、ということになるのでした。
****
もう1冊の本、『レジリエンスビルディング―「変化に強い」人と組織のつくり方』(ピースマインド・イーブ株式会社、英治出版、2014年4月)はコンサルティング会社によるレジリエンスを高めるソリューションの本です。
この会社では、レジリエンスの学習可能な要素を1.信念 2.人間関係 3.考え方 4.専念する力 5.自己コントロール 6.良い習慣 と整理し、研修で提供しています。
先日NHK「クローズアップ現代」に出ていたのはここの会社かな。
****
自治体にお勤めの管理職の友人とお食事しました。
書いてもいいと言われたのでおそるおそる書きますが、
自治体の管理職に心折れる人は多いのだそうです。
3年周期ぐらいで、全然違う仕事の職場にかわる。1から担当に教えてもらいながらやらないといけない。前の職場でつちかったノウハウや自信はまったく通用しない。そして管理職になると、担当時代のように笑いながら相談しあいながら仕事するわけにはいかなくて、すごく孤独。異動して6月から8月くらいまでがしんどさのピークだそうです。
ではあなたはなぜ心折れなかったの?ときくと、しばらく考えてから、
「子どもたちにみっともないところを見せたくない。強いお母さんでいるところを見せたい」
と、答えはったのでした。
この人もご家庭で良い躾を受けて育った人で、「武士は食わねど高楊枝、って感じですね」というと「ああそうです。父がよくそう言ってました」。
彼女の周りには強力なレジリエンス・システムがあるようでした。
****
篠山市商工会の原田局長から、最近の職場のご様子をうかがいました。
理事会に提出するための何かの資料で情報やアイデアを朝礼で募ったところ、たちどころに部署ごとに集まって活発に話し合う様子がみられたとか。
「打てば響く」感じと、対話や議論と。原田局長自身のもつスピード感も作用しているのか、ますます元気な職場です。
別のお客様のところでも「部下が自発的に机の周りに集まって話し合う様子がみられるようになった」と伺ったところでした。「承認から自然発生的な対話」という流れになっているようなのでした。
そんなふうに、「人間性への信頼」を取り戻せるわたしのレジリエンスの源はお客様でした。
「承認」はお客様のもとに移植され定着してから、何年にもわたって進化し続けます。
100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp
『レジリエンス 復活力―あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か』(アンドリュー・ゾッリ、ダイヤモンド社、2013年2月)
は、システムの崩壊・送電系統・都市と熱帯雨林など、非生物のレジリエンスから始まって、個人と社会のレジリエンスを論じます。
わたしはつい安きに流れて後者のほうから読み始めます。
たとえばホロコーストや大災害で被災者になった人たちの3分の1はひどいダメージを受けずに自然に立ち直るといいます(3分の1弱はメンタルの疾患にかかります)。それを分けるものは何か。
ダメージを受けにくい子どもを観察すると、彼らには「自己回復力」(楽観性や自信)と「自己統制力」(将来の目標のために楽しみを先延ばしする力)が備わっていたといいます。
またそれは大まかに言って3つの信念が土台となっており、
1)人生に有意義な目的を見いだせるという信念
2)自分が周囲の状況や出来事に貢献できるという信念
3)経験はよかれ悪しかれ学習と成長につながるという信念
だそうです。
性格的要因のほか、
・信仰
・コミュニティ
も個人のレジリエンスを高めるはたらきをします。
特定のコミュニティの一員が逆境から立ち直る力は、良好に機能する社会的ネットワーク(友人、家族、宗教団体、地域団体、充実した職場、行政による支援やサービスを利用できる環境)によっても強化される。
・・・ワーナーとスミスは、社会的要因(例えば、コミュニティの模範的な大人による支援)が逆境を緩和できれば、ハイリスク集団の50から80パーセントに健全な成長を見込むことができると結論づけている。
「コミュニティ」には職場も含まれるので、「上司に対する承認教育」が部下のレジリエンスを高めるはたらきをする(ひょっとしたら上司自身にも)といういくつか前の記事「承認は根性をつくれるか」の仮説はやっぱり正しいのだろうと思います。
さらに遺伝とレジリエンスの関係では、本書は「5−HTT遺伝子」に言及しますが、これは当ブログでもよく言及する「セロトニントランスポーター遺伝子(不安遺伝子)」のことです。
不安感が低いとされる長いのが2つそろう「LL型」の人はストレスにも適応が良く、LSとSS型は適応があまりよくなかった。
(かつ、このブログや講演でも紹介するように、日本人ではLSとSS型の人が全人口の90%以上を占めているため、「折れやすい」国民と言えるかもしれないのです)
そして本書のこの章は個人のレジリエンスを高めるために最終的には「瞑想」を勧め、かつ「瞑想でなくても、幸福感を高める活動を日常的に行えばよい」ということも言っています。引用している「素人に8週間瞑想をしてもらった」論文は当ブログで過去に引用したものと同じようです。
と、またしても「瞑想」に遭遇し、かつ「瞑想」は「承認」でも代替できそうだ、瞑想がめんどくさいと感じるひとは他人を承認することをやってみよう、ということになるのでした。
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もう1冊の本、『レジリエンスビルディング―「変化に強い」人と組織のつくり方』(ピースマインド・イーブ株式会社、英治出版、2014年4月)はコンサルティング会社によるレジリエンスを高めるソリューションの本です。
この会社では、レジリエンスの学習可能な要素を1.信念 2.人間関係 3.考え方 4.専念する力 5.自己コントロール 6.良い習慣 と整理し、研修で提供しています。
先日NHK「クローズアップ現代」に出ていたのはここの会社かな。
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自治体にお勤めの管理職の友人とお食事しました。
書いてもいいと言われたのでおそるおそる書きますが、
自治体の管理職に心折れる人は多いのだそうです。
3年周期ぐらいで、全然違う仕事の職場にかわる。1から担当に教えてもらいながらやらないといけない。前の職場でつちかったノウハウや自信はまったく通用しない。そして管理職になると、担当時代のように笑いながら相談しあいながら仕事するわけにはいかなくて、すごく孤独。異動して6月から8月くらいまでがしんどさのピークだそうです。
ではあなたはなぜ心折れなかったの?ときくと、しばらく考えてから、
「子どもたちにみっともないところを見せたくない。強いお母さんでいるところを見せたい」
と、答えはったのでした。
この人もご家庭で良い躾を受けて育った人で、「武士は食わねど高楊枝、って感じですね」というと「ああそうです。父がよくそう言ってました」。
彼女の周りには強力なレジリエンス・システムがあるようでした。
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篠山市商工会の原田局長から、最近の職場のご様子をうかがいました。
理事会に提出するための何かの資料で情報やアイデアを朝礼で募ったところ、たちどころに部署ごとに集まって活発に話し合う様子がみられたとか。
「打てば響く」感じと、対話や議論と。原田局長自身のもつスピード感も作用しているのか、ますます元気な職場です。
別のお客様のところでも「部下が自発的に机の周りに集まって話し合う様子がみられるようになった」と伺ったところでした。「承認から自然発生的な対話」という流れになっているようなのでした。
そんなふうに、「人間性への信頼」を取り戻せるわたしのレジリエンスの源はお客様でした。
「承認」はお客様のもとに移植され定着してから、何年にもわたって進化し続けます。
100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp