正田佐与の 愛するこの世界

神戸の1位マネジャー育成の研修講師・正田佐与が、「承認と職場」、「よのなかカフェ」などの日常を通じて日本人と仕事の幸福な関係を語ります。現役リーダーたちが「このブログを読んでいればマネジメントがわかる」と絶賛。 現在、心ならずも「アドラー心理学批判」と「『「学力」の経済学』批判」でアクセス急増中。コメントは承認制です

2014年06月

 1つ前の記事は思い切り業界内幕話の「ぼやき」だったので誰からも相手にしてもらえないかも、と思っていたらフェイスブックで1人の真摯なお友達(研修業界の人ではない)から「シェア」していただいたほか、研修講師のお友達からは

「自分も今月2件のご依頼を『ごめんなさい』した」

とコメントいただき、確かに今年の傾向としてあるのかもしれないそういう「変なご依頼」が、と意を強くしました。


 この研修講師のお友達(名は秘す)は、「こうしたタイプの(例えば「コーチング2時間セミナー」とかの本来物理的に無理な)ご依頼は、

「部品の代わりに教育を商材にしただけ、になっている研修会社の営業」
「受講者の能力を冷静に把握していない主催者側の担当」

から生まれる、と分析しており、至言と思いました。


 「部品の代わりに教育を商材」って、鋭いですよね。


 
 この仕事を2001年からですからもう13年やっていまして、世間の大勢と自分は認識がずれているんだろうか、というのは、

 こうした研修商品を売り買いする立場のひとたちは、「コーチング」を1年交代の消耗品のように思っていて、ブームのときはめちゃくちゃな売り方買い方をして、飽きられたり効果がないと思われたら「次」へいけばいいと思っている。


 ところが、「12年、1位マネージャーを作ってきました」というとおり、実際にやり続けたら各種コンサルティング商品・研修商品の中でも最高レベルの結果を出してしまうのが「(当社方式の)コーチング」であり、いわばコンサルティングや研修の中の最高級品であり流行に左右されず不動の地位にあるべきものです。リーダーシップの主要な基幹部分を構成するものです。(そういう常識的なことがわからないから、コンサル会社さんって嫌い)


 12年も結果を見続けたらそう言ってかまわないでしょう。

 だから、結果を出せないような研修デザインではやりたくない。なぜなら受講生が可哀想だから。当社方式でいちど失敗したらにどと恩恵を受けられないから、そのひとたちが。


 それはわたしの傲慢ではない、人道上の判断です。すみません。


 「2時間セミナー(1回こっきりの)」を導入するという選択をするひとは、まずは1回それやってみて、「できるようにはならんなあ」というのを経験し、「コーチングってダメじゃん」と思い、

 数年とか10年たって、世間には本当に有効なコーチングというジャンルがある、その場合は思い切った研修時間をとらなければならない、ということを学習して、はじめて「ほんものの研修」を導入してみよう、と思うのでしょう。

 「2時間セミナー」は失敗して学習するためのステップなので、それは「ほんもの」に特化している当社が担当するところではありません。コンサルティング会社の、あまり高く評価されていない1商品としてのコーチングをやっている若手講師さんが早口でされたらいいです。「2時間舞妓さん体験」とか「2時間野球体験」みたいなものです(その手の「どうでもいいもの」じゃないのにね)。

 ちょっと会員さんへの「言い訳」になってるかもしれないなあ。


 ただ、本県内の事業所さんにはなるべくそういう数年がかりの回り道はしないでいただきたい、と思っています。地元愛ですから。


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 また新しい知見がいろいろ出ていて、たとえば

「一人前になるには1万時間必要」は誤りだった! たった20時間で新たなスキルを身につけられる4つのコツ

 世間の「一人前になるには1万時間必要」という誤解はどうしてつくられたか、という解説がおもしろい。

 「そこそこのレベル」になるためだったら20時間で十分、と主張しています。

 これは当協会が国際コーチ連盟(ICF)の考え方となじまないからICF資格を重視しない、と言ってるのとも関連します。当協会の基礎コースABCは全部受けてもわずか計36時間で、かつほとんどの人は「承認」をふくむ「基礎A」12時間だけで十分職業生活がうまくいってしまいます。篠山市商工会の管理職の皆さんで13時間(+ワールドカフェ2回)です。




 もうひとつ、わたしの最近のお気に入りの物質「オキシトシン」について、「意志力」で有名になったケリー・マクゴナガル教授が新たな知見を披露しています


「ストレスが身体に悪い」は大ウソ! 健康心理学者が語った、本当は怖くないストレスの話

 このタイトルはちょっといかがなものかなぁ。。引用しておいて言うのはなんですが、本当に有害なストレスはやっぱりあると思いますが。

 ただまあ、個人的にはここ数年公私ともつらい喪失体験続きだったのだが何とか持ちこたえて生きているところをみると、ある心理状態とか活動を継続しているとそれはストレスと拮抗する力があるのだろう。さあそれは何でしょう、みたいな方につい考えます。

 あ、でもセクハラは執念深くおぼえてますから、しないでくださいね。

 最近はまた、某有名大学の某有名教授(2つ前の記事に出てくる人とは同じ大学の別の人)に「コーチングなんかより便所掃除セミナーしたら」と言われたことを思い出してしまい怒りをあらたにしましたね。ほんと、大学の先生って碌なこと言わない。自分のバカまるだしのくだらないこと言ってるのに、「ちょっとうまいこと言った」みたいに勘違いしてる。ストレス耐性はあるけれど恨みは恨みですから。
 

(補足すると当社方式のコーチングから便所掃除に乗り換えて業績ガターンと落ちた人いましたけど、だから便所掃除がちょっとよさげに見えるからってそれ単独では限定的な効果しかないんですけど、承認コーチングと並列でとらえられるものではないんですけど。)


100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
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 このブログにはなるべくいいことを書きたいのだけれど、

 関西特有なのだろうか、「変なご依頼」のパターンがある。

 わたしはお断りすることにしている。零細業者のありかたとしてどうかと思うけれど。

 「変なご依頼」というのは、

 なるべく短い時間、たとえば2時間で「コーチング研修」をやってください、とか1日研修で「コーチングの承認・傾聴・質問・叱り方」までをやってください、というもの。

 ちょっと考えても人間の生理でそんなの身に着くわけがない。

 前にも書いたように自動車教習の技能講習と同じで、短縮できないものがあるのだ。短縮したら危険、というものがあるのだ。

 で、そういうご依頼をしてくる人はどういう思考回路なんだろうか、と考えたときに

 「2時間でコーチング研修」というのは、何かで離職防止にコーチングが効くとか、パワハラ防止にコーチングが効く、と聞きかじったときに、

「じゃあコーチング研修を1回」とまず短絡的にそう思い、

かつ、そこに割ける時間数はせいぜい2時間、それ以上だとめんどくさいから、と、なるべく「ゼロ」に近い時間数を割り振る。極端な話1時間でも30分でもいいのだと思う。コーチング研修の中身は何々で構成されていて、各構成要素にどれぐらい時間が要るか、などという計算ははなからしていない。

 それは、わるいけど「言い訳研修」「アリバイ研修」という類のものだ。ひところメンヘル研修がそうだったように。

 どれぐらい「早回し」でやればその目的が達成されるのか知らないが、

 わたしが思うに、うちはやらないがよその業者さんがときどき無料で「お試しセミナー」をする。たしかにそういうところでは、「コーチング2時間研修」みたいなものを、傾聴も承認も質問も全部ちょっとずつ早回しで盛り込んだ形でやる。それは「習得」を目的にしていない、単に人事担当者が予備知識をもったり雰囲気を知ったりすればいい、というものである。

 往々にして、そうした現実的な意味のないセミナーを受講した人事担当者は、「コーチングの普通の講義スピード、学習スピードとはこういうものだ」と思い込む。ちがいますって。できるようにならなかったくせに。だから当社、お試しセミナーはしてないんだ。


 最近の例では他府県の公的機関(1つ前の記事の中西さんのところではない)で、その「コーチング2時間研修」の依頼をしてきて
「研修の見積もりを出してください。競争入札なので予定入札価格内の最安値のものを採用します」
と言ってきたので、

「え、品質はどうでもいいんですか」

とききかえした。

「そうです」

と言われるので、じゃあうちは事前アンケートも宿題もするし学習の定着のために最善を尽くすことをやるけどそれは価格に反映されないわけだからわるいけどやーめた、となった。



 「コーチング2時間研修」・・・話を聴きましょうね、承認しましょうね、質問しましょうねというのを早回しでしゃべる。実習が1つ2つは入るかもしれないが普段と違うハイテンションでやらされるので、日常に戻るととたんに出来ない。

―当社の「承認研修」のばあい、参加者が実習の中で本物のよろこびを味わえるように実習を設計して丁寧にやってもらうので、ひとつの実習だけで30分オーバーぐらい時間がかかってしまう―

 そして、

「コーチングって前、やったけど、あれ実際にはできないよねー」

と言い合い、業者がわるものにされる。

 イヤだよ、わるものにされるのなんて。

 そういう依頼の仕方をする担当者も、結果なんて別にどうでもいいのだ、「やりました」っていう痕跡を残せれば。

 あとあとみんながコーチングを嫌いになろうがコーチングの悪い評判が立って二度とつかいものにならなくなろうが、彼らの知ったことではないのだ。

 
 今年度のはじめ、本気で「コーチング」という看板を下ろそうと思っていた。それは別の理由だったけれど、昨今「言い訳研修」「アリバイ研修」としてのコーチング研修、というジャンルもあるようなのを見聞きするとますます嫌になる。



****


 また他府県の社会福祉法人さんからのご打診があり、きくとそこは一昨年から離職防止に取り組んでゼロにすることができたので、今は管理職研修を夜間でなく日中にやっているのだそうだ。だから2時間という縛りはないですよ、3時間4時間でもOKですよ、と言われた。

 離職が多かったころは現場が忙しく、夜間にしか研修ができなかったのだそうだ。

「それはご立派です」と素直に私。

 何が言いたいんだろうか―、
 この状況を言い表すことわざとか慣用句がありそうな気がする。

 うーん、本県だいじょうぶかなあ。。

****
 

 3年ぶりに開催する当協会の「事例セミナー」は今年11月7日、関係者と会場の仮予約をしました。

 直近で活躍した3名のパネリストのほか、コメンテーターとして当協会会員でもある元銀行支店長の松本茂樹さん(関西国際大学准教授、経営学科長)にきていただくことになりました。

 アカデミズムの立場から発言していただき「承認現象」にお墨付きを与えていただけるのはありがたいことです。

 え?出来レースじゃないかって?


 何せ大学の先生ってごく一部を除くと品性下劣な人が多くて、当協会流のぶっ飛んだ効果発現にたいして正確かつ謙虚なコメントができる人はほとんどいない。常識で考えれば徹底して良い品質の研修をすれば、理の当然だと思えるだろうにね。ただ世間にはほかにないというだけで。

(また過去にはまっとうだった人がある時期を境にとんでもないタイトルの本を書き始めることもある。それは余談)


 松本さん(先生)は経営学の中でも正確にこうした組織論系のご専門ではないと思うけれど、とにかくご自身が経験者なので―。

 「すごくいいもの」がわが国の地方都市で正しく評価されるのは、本当にむずかしいことです。


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NPO法人企業内コーチ育成協会
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 25日夕、宝塚の知的障碍者施設の法人様で研修をさせていただきました。
 お題は
「部下をもつあなたに武器を配りたい
 ―静かに職場を改革する最強ツール「承認」―」
です。

 男女とりまぜ26名の所長・主任クラスの方々が参加されました。

 冒頭、昨年2月の県社協青年協様で承認研修を受けられた施設長さんが研修担当者としてご挨拶されました。

 この施設さんは先日打ち合わせにご訪問させていただいたところ。ステンドグラスや織物など独特のものづくりに力を入れていて、今法人のロゴマークを作り、売り出されています。
 
 障碍者施設さんなのですが「ものづくり精神」があり、前向きのパワーに溢れていました。

 「承認」を実践して以来はっきりと職員さんの能力がアップし、仕事がスムーズになった、と施設長さんは言われました。

 
 2時間×2回の研修で今回は皆さんが「宿題」をこなせるように、とにかく2時間で「承認」をできるようにします!と宣言してはじめさせていただきました。


 あまり「笑い」を重視しない主義の正田ですがこのたびの研修では常に明るい笑いがあり、それは職員の皆さんのもつ、その場で起きていることを受け取ろうとする人間力の高さからきているのだろうと思いました。そして最後の実習はみなさん全力でトライされているのが伝わりました。

 一般的な「ほめる」ではなく「行動承認」に重点を置いていることもその意義も、質問されたかたがいたことでクリアになり助かりました。
 「行動承認」に意識を集中することで「やれる」「やる」の感覚がうまれます。


 冒頭の施設長さんが終わりに再度あいさつに立たれ、

「私が前回研修を受けた時も、終わったときには自分の職場での声かけのイメージが変わった感覚がありました」

「行動承認、たったこれ1つをとっても、職場で実践してみたとき自分はこんなに多くのものを見落としていたのか、と思いました」。

 
 わたしにとってとても嬉しい「だめおし」の言葉でした。

 会場でのみなさんの笑顔と、そして「実践しよう!」というオーラを背中にみなぎらせて帰られる姿をみるのは至福のときです。

 そして今からの1週間で宿題のシートのご返送を受け取ることも―。


 ―しかし、2時間の研修はやっぱり厳しい。口のとろい正田は現場で実践するためにも与えておきたい注意点などのお話がどうしてもところどころ抜けてしまいます。

 
 「2回研修」なので、組織論的なお話は次回まわしです。


 こちらの法人様は現在職員数約200人、グループホーム50か所目が近く開所と、凄い勢いで伸びてはります。増大する社会のニーズを受けてのお仕事。やはり、その中ではさまざまな組織運営のご苦労があります。

 受講された方は30代〜60代にまたがりますがとりわけ30代〜40歳前後のマネージャーさんがたの強いまなざしが印象的でした。



****


 3回シリーズの離職防止研修をご依頼いただいた、奈良県中小企業団体中央会のNさんが事務所に打ち合わせに来られました。

「どうせやるなら本気でやりたい。チラシも本気が伝わるものが作りたい」と中西さん。


 柔道経験者の37歳のかた。大きな体に似合わず「人」についての感覚のするどい、道理で「承認」にも共感してくださったわけだ、と納得でした。


 Nさんは子供さん向けに柔道を教えた経験があり、トップの子でなくボトムに近い子たちの集団をしっかりパワーアップした結果、15人全員を県で入賞させたという経験があるそうです。

「だれかがみてくれている、と感じることが大事なんですよね。トップの子はほっといても承認されている。下の子のほうを引き上げたことでトップの子も危機感をもって頑張った」




 この世代のかた向けにお仕事をすることが今後増えそうな気配があります。


 わたしの懸念は、間に合うのだろうか、今からこの世代の方々に説得力をもって強化することによって、この社会の崩壊を防ぐことはできるのだろうか、という。

 バブル世代あきらめたわけじゃないんですよ。引き続き感性のあるかたに発信しつつ、でも30代に伝わる言葉を勉強していくことになるのかな。


 今から施設の方々からの「宿題」を待ち、また経営支援の方々からの事前アンケートを受け取り、機械商社さんからのアンケートも待っています。



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
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 東京都議会でのセクハラヤジ事件は、鈴木某という自民党都議(会派離脱)が名乗り出て謝罪して幕引きとなったようなのですが、

 これについてフェイスブックのある女性のお友達の投稿が目を引きました。

「ちょっとだけ私感。
東京議会のヤジ問題。飛ばした人は論外ですが、笑った周りはもっとひどいと思う…。

新聞の女性記者の『誰か一人でも人権侵害だと大声で反論して欲しかった。議事を止める動議を出して欲しかった』との記事に、私が感じてた違和感はココだったと納得…。

笑った人も同罪です。」


 そのとおりだ、とわたしも思ったので、引用させていただいてるわけですが、

 ひとりの攻撃が同調した追い打ちの攻撃を招く。いじめでよくみる光景です。そして「やめろ」という人が出てこない。
 

 わたしも以前にブログに書いた、地元某有名大学の某有名教授がパーティーで

「あなたに話を聴いてもらうのと飲み屋の女の人に話を聴いてもらうのとでは、どこがどう違うんですか?」

というセクハラ発言をし、周囲の男性新聞記者らがどっと笑って、背筋が寒くなったこと。

 
 また、ある回のよのなかカフェでは、汚い現場に行くことを自慢にしている男性コンサルタントが、

「お嬢ちゃんにはできないよ、お嬢ちゃんには」

と、「お嬢ちゃん(50女の正田のこと)」という言葉をねっとり絡みつくように2回繰り返したとき、その場の誰も、ファシリを含めて、その不規則発言を訂正しなかったこと。


 女だてらに「正しいこと」を主張する立場の正田は、往々にしてそういう目に遭います。

 そして、それを被害者に代わって修正できない、結果的に悪質な攻撃に同調してしまう人々への失望感も、よく経験します。

 まるでその人たちは内心「ほらみろ、女だてらに自分は何かをできるなんて主張するから、人の感情を逆なでするんだ。女は無能力者として生きていろ」と納得しているかのように。


 なのでここは、当協会の会員さんがたに向けた言葉なのですけれども、

 わたしに限らず、目の前で女の人が「女」を盾にとった醜い攻撃に遭っているのをみたときは、助けてあげてください。

 そうした「女」を盾にとった論法を言う人は、おおむね間違った側なのです。正しさに自信があれば、そんな論法を使う必要はないのです。

 そして、今の時代、男性の質がひどく劣化していますから(今回の鈴木某という都議が51歳ときいて暗澹とした。同い年ではないか。でも確かに、わたしの若い頃にも、仕事は大してできないくせに「男」というだけで、会社のおじさんたちに同調して優位にたっていた男性はいました。そういう人たちがそこそこの地位を得る年代になっています)、

「女」を盾にとって女性を攻撃する戦法は決して珍しくなく、芸もなく平気で繰り返し行われます。

 そういう時代に生きているのですから、その手の論法が目の前で行われたら、「きたきた」と思って、即やめさせてください。

「そういうことを言うのはみっともないですよ」「●●さんに失礼ですよ」「●●さんだけではなく、女性全体に対して失礼ですよ。撤回してください」

 適切な言葉で礼儀正しく、しかしきっぱりと伝えてください。


 男性同士であっても、それは遠慮をしてはいけません。なぜなら、それをしなかったらあなたは、人生で重要な方の友人を失うかもしれませんから。


 わたしもできれば自分で上記のような言葉を言えるようになりたいですが、いざその場になると心のダメージが大きすぎて適切に言い返せないかもしれません。実際、上記2つのケースでは言えませんでした。


 自分自身が直接ダメージを受けなかった人が、被害者に代わって反論する、そういうトレーニングをしておくのがいいと思います。

 
 この記事をNPO会員さんに向けて書くのは、わたしは基本的に会員さんを信頼していますし、期待もしています。予想される嫌な場面でも男らしく(女の人は、潔く)振る舞うことを期待したいし、もしそうでなかったら失望するだろうからです。

 またこれはマネージャー教育の団体である当協会でおこなう教育の一環なのですけれども、会員さん向けの同報メールでなくブログに書くのは、当社でおこなう教育が狂信的なものでないだろうか、自己点検したい意味合いもあるからです。


 もしご意見ご感想があれば、お気兼ねなくお寄せください。


100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

お世話になっている皆様


 おはようございます。
 企業内コーチ育成協会の正田です。
 サッカーW杯日本代表はなかなかいい結果が出ず。「次」こそは頑張っていただきたいものですね。

※このメールは、NPO法人企業内コーチ育成協会のスタッフ及び代表理事・正田が、過去にお名刺を交換させていただいた方・当協会のイベントやセミナーにご来場いただいた方にお送りしています。ご不要の方は、メール末尾にありますURLより解除ください。
(解除方法が変わりました!詳細はメール末尾をご覧ください)


 本日の話題は:

■<ごあいさつ>3年ぶり事例セミナーをいたします
 ―準備風景(1)『ものづくり企業を元気にしたい!脇谷さんとの対話』―

■「男性が女性のように考える」は、かっこいいのかもしれない―
 ―『女性資本主義論』『女神的リーダーシップ』そして『上司になってはいけない人たち』

■<お知らせ>学習する組織リーダーシップ研修大阪開催(7月4日・5日)

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■<ごあいさつ>3年ぶり事例セミナーをいたします
 ―準備風景(1)『ものづくり企業を元気にしたい!脇谷さんとの対話』―

 マネージャー育成の非営利教育機関である当協会は今年、2011年以来3年ぶりに「事例セミナー」を開催いたします。

「12年、1位マネージャーをつくってきました」
これは決して健康食品の誇大広告ではなく、ただ実績を出しても正当に評価していただけない、普及につながらないことが12年間続いてきたのです。21世紀のこんにちでも、正しいことが普及するのはそれぐらい時間がかかり、労力を要することです。

当協会では前身の任意団体時代以来、2003、04、05、06、10、11年と6回にわたり「事例セミナー」を開催して、成果を出したマネージャー自身にその現象とメカニズムを語っていただく、ということをしてまいりました。

そして今年、3年ぶりに事例セミナーを開催させていただく予定です。

昨年が、当協会の教育により「社内1位」やそれに匹敵する目覚ましい業績向上事例が8例も続出した「豊作年」でした。

今回の事例セミナーでは、その中から直近に成果を挙げた3名の方に登壇していただく予定です。

 読者のみなさまにとって、こうした飛びぬけた「実績」を主張する文章やセミナーに触れることは、「他人の幸せ」に共感できることでしょうか、応援したくなることでしょうか、それとも「自分の能力を自慢しやがって、生意気な」と悪意を呼びさまされることでしょうか―。

 巨大な悪意の渦巻く現代社会ではありますけれども、このメルマガ読者の皆様は、
「業績が向上したのか、良かったね」
「従業員が幸せな状態ではたらくのか、それは良かった」
と、反感よりも人間社会の進歩につながるポジティブな感情を持てる方々だと信じております。

 そして、社員や会員の利益を考え権限をお持ちの方はそこに「わが社や会員にも利益になるだろう」「ともに普及させたい」というお気持ちをもっていただけるでしょうか―。

その事例セミナーに登場されるマネージャーの1人に、中小製造業・海外工場をマネジメントする立場の脇谷泰之さん(50)がおられます。

先日、脇谷さんと打ち合わせする機会がありました。その模様をブログにご紹介しています:

ものづくり企業を元気にしたい!元気な現場、自然さと合理精神、グローバルリーダー―脇谷さんとの対話
http://c-c-a.blog.jp/archives/51891670.html

 この記事の中で脇谷さんが提起されたさまざまなこと―書いているわたしも同意見なこと―について、「不快に思われる方もいらっしゃるでしょうし、異論もあり得るでしょう」と脇谷さんは言われます。「色々な方のご意見をきいてみたい」ということですので、ブログ読者の皆様、ぜひこの記事へのご感想をきかせていただければ嬉しく思います。

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■「男性が女性のように考える」は、かっこいいのかもしれない―
 ―『女性資本主義論』『女神的リーダーシップ』そして『上司になってはいけない人たち』


 前号、前々号では神経化学物質「オキシトシン」による信頼、徳、そして幸福感の話題をとりあげました。

 これと並行して、「女性的思考法」の優位性を語る本がこのところ相次いで出版されています。
 
去年から今年にかけて出版された2冊の本の読書日記を掲載しました。


(1)『女性資本主義論』(高橋仁、幻冬舎、2014年5月)

単なる「女性ヨイショ」なのか、それとも―『女性資本主義論』

http://c-c-a.blog.jp/archives/51891468.html

(2) 『女神的リーダーシップ―世界を変えるのは、女性と「女性のように考える」男性である』(原題”THE ATHENA DOCTRINE  How Women (and Men Who Think Like Them) Will Rule the Future" 、ジョン・ガーズマ+マイケル・ダントニオ、プレジデント社、2013年12月)

たしかに男性女性という括りは必要かもしれない、なぜなら―『女神的リーダーシップ』をよむ

http://c-c-a.blog.jp/archives/51891644.html

 上記のうちでは(2)の『女神的リーダーシップ』のほうが、全世界6万4千人を対象にした膨大な調査データに基づいた結論なのでどちらかといえばお勧めです。

 従来こうした「男性、女性」という括りの本は印象論とか極論で、わたしもあまり手にとってきませんでした。また、「女性的」という言葉が世間では蔑称として迎えられることで、当協会の受講生さんも肩身の狭い思いをされるかな、という懸念もありました。

 ところがちょうど(2)の読書日記を書いているさいちゅうに、東京都議会でのセクハラヤジ問題が起き、
「人々は男性の振る舞いに不満を持っている」
「自国の男性に不満を持っているのは日韓では若者の4人に3人」
という本書の記述が、俄然説得力をもってきてしまいました。

 わたしは、従来からとりわけリーダー教育に関して、「男性性」を強調した教育を行うのはやめたほうが良いのでは、と考えています。それはそうした教育の結果をみた感慨なのですが、そこにすこし根拠が得られたような気がしています。

 もう1冊、比較対象にこんな本もご紹介してみました:

(3) 『上司になってはいけない人たち』(本田有明、PHPビジネス新書、2014年5月)

(リーダーシップ)−(女性性)=本書の登場人物?―『上司になってはいけない人たち』

http://c-c-a.blog.jp/archives/51891745.html

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■<お知らせ>学習する組織リーダーシップ研修大阪開催(7月4日・5日)

 「システム思考」「学習する組織リーダーシップ」の研修を提供する(有)チェンジ・エージェント様より大阪開催のセミナーのお知らせをいただきました!本メルマガ読者の方は10%割引の特典があるそうです。ご関心のある方、要チェックです。

 システム思考は、過去に当協会でも応用コースのプログラムに採用させていただいたことがあり、承認中心コーチングを学ばれたリーダーの方にもぜひ触れていただきたい学びです。

 以下、同社からのお知らせです:

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ●◎● 不確実で、複雑な時代に求められる組織・人材を創る ●◎●
      学習する組織リーダーシップ研修(大阪開催)
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知識やノウハウは、簡単に真似られ、変化が激しい時代にあって、
組織の学習スピードこそが、真に持続的な競争優位をつくると言われています。

社員のスピードと創造力を阻害する従来のようなプラニングとコントロール
にとらわれず、リーダーシップ能力そのものも変容させることが必要です。

現場の社員が自ら考え、行動することで、早い複雑な変化の中で進化し続ける
「学習する組織」に必要とされる5つの学習領域「システム思考」と「メンタル
モデル」「パーソナル・マスタリー」「ダイアログ」「共有ビジョン」を、包括
的に学ぶ二日間のコースです。

「学習する組織」実践の基本動作と考え方を身に付け、組織の力の源泉である
「人の力」を最大限活かすための、新しいタイプのリーダーシップ研修です。

■日時:2014年7月4日(金)9:30-18:00
         7月5日(土)9:30-17:30
■場所:大阪OBPクリスタルタワー(京橋駅より徒歩10分)
■主催:有限会社チェンジ・エージェント
■講師:小田理一郎
■受講費:通常86,400円(税込)
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★★10%の割引のご案内★★=>77,760円(税込) 
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大阪開催の、上記日程につき割引価格にてご案内します。
※他の割引との併用はできません。

  【割引コード:j3WNqJba】

<<お申し込み方法>>
下記URLよりお申し込みください。

●お申し込みフォームよりお申し込みの場合はチケットをお選びいただいたあと、
上記割引コードを入力してお申し込みください。

●メールでのお申し込みの場合は割引コードを備考欄にお書き添えいただき、お
申し込みください。お手続き方法をメールでご案内します。


【お申し込み・詳細】http://change-agent.jp/news/archives/000647.html


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「誌上コーチングセミナー」
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 『上司になってはいけない人たち』(本田有明、PHPビジネス新書、2014年5月)を読みました。

 これも普段あまり当ブログでは紹介しない系の本で類書はたくさんありそうな気もしますが、当協会受講生、会員さんがたの良いふるまいや事例ばかりを紹介していると目が慣れてしまい、それがどんなに貴重なものであるか、彼ら彼女らが、周囲がけっしてそのようでないなかで独自の行動指針をもって奮闘しているか、わからなくなってしまうおそれがあります。

 彼ら彼女らを正しく評価するためにも知っておきましょう。読んでいてたのしくはない本ですが「あるある」というノリで読んでいただけると。また2つ前の記事でとりあげた『女神的リーダーシップ』と比較してみるのもおもしろいでしょう。
 
「職場の問題の多くは上司の側にある」と著者。
―いいですね。「若者の側にある」と、言っちゃうほうがやすきに流れていて簡単なんです。


● <危険レベル>で罪深さを分類する という項目では、

1.部下を育てる意欲も能力もない=〈危険レベル1〉
  ―これは、教育次第で治るのカナ?しかしやはり素質的なものもある感じがします

2.会社や部下の文句ばかりをいう=〈危険レベル2〉
  ―だからね、こういう人たちにばかりヒアリングしてはいけません。

3.その場そのときの気分でいうことが違う=〈危険レベル2〉
  ―ストレングスファインダーで何がトップにある人、って考えてみるとおもしろいかも。これが「育てる意欲も能力もない」より危険レベルが高いことは要注目ですネ

4.部下の意見や提言を無視する=〈危険レベル3〉

5.自分の好みで部下を選別・排除する=〈危険レベル4〉

6.ハラスメントによる事件を起こす=〈危険レベル5〉


だそうです。ハラッサー上司の危険度が一番高いのは、まあ予想通りでしょう。

 ちなみに、本書にもありますがおさらいで、厚労省が示したパワハラの定義と分類とは:

定義:
「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」

分類:
1.身体的な攻撃(暴行・傷害)
2.精神的な攻撃(脅迫・暴言など)
3.人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
4.過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
5.過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
6.個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

―おやおや、東京都議のどなたかは2.と6.をやっている。セクハラでもパワハラでもありますネ


●このあと「脱線する上司のタイプ」が列挙されますが・異なる意見を言われると腹が立つ・間違いを指摘されても認められない・・・等々、有能な自信家、要は「ナルシシスト」ですよね、というものです。


●「きみに任せた」という言葉が要注意。
 「任せる」は「承認」の1つの形態としてもありますが、「きみに任せた」という言葉は上司から言われたイヤな言葉としてランクインされるとのこと。
 何年か前、「期待してるよ」という言葉も「イヤな言葉」としてランクインしたそうですが・・・、ほらほら時々こういう落とし穴があるので気をつけましょう。

 ここで本書の分析はなかなかふるっています。この言葉がつかわれるのは、

1.上司がその仕事の責任をとりたくないとき
2.どうでもよい雑用レベルの仕事を与えるとき
3.上司自身がきちんと理解できていない仕事を丸投げするとき
―あたしも経理のYさんにときどきやっちゃっている。あ〃〜
4.ほかの人に任せると文句が出るような仕事を押しつけるとき

だそうです。

 ・・・でじゃあどうすればいいのか、というと、「〜だから、きみに任せた」という形で言えばいいのだそうです。〜のところに丁寧な説明を入れる。説明も承認のうちです。あと本人さんの能力とかこれまでやってきたこと、を〜のところに入れると機嫌よくやってくれそうな気がしますね。がんばります。


●このあと第4章では本書のタイトルと同じ、「上司になってはいけない人たち」が列挙されます。項目だけご紹介して「あるある」気分になりましょう。

1.問題があるのに「ない」という〈無責任上司〉
2.自分が「問題そのもの」になっている〈鈍感上司〉
3.何もしないで会社の評論ばかりする〈負け犬上司〉
4.「ほかにやることがある」でごまかす〈煙幕上司〉
5.その場しのぎの対応に終始する〈お調子者上司〉

 うんうん。
 いずれも「責任感」の低さが問題なような気がしますが・・・、
 これもストレングスファインダーで恐らく「責任感」が極端に低いところにあるんだろうな、わるいひとじゃないのに、というひとはよく見ます。なんでそういう人が上司になってるんだろ、と思いますが、たぶん上司になるまではその決定的な不適格性は見えにくいのでしょうね。不適格性が見えた段階でいさぎよく降格するのが望ましいのだろうと思います。たったこれだけのことでも離職者続出の職場になる例はよく見聞きします


●次はもっと罪深い、「部下をつぶす上司」のリストです

1.気に入らない部下を排除する〈暴君上司〉
2.できる部下の足を引っ張る〈やっかみ上司〉
―これはナルシシストの一形態ですね
3.なんでも他人のせいにする〈卑劣上司〉
4.「会社の敵」をつくってしまう〈傲慢上司〉
5.部下を不正に巻き込もうとする〈極悪上司〉


―いやはや、人間不信になりそうですけど、「上司」という立場になるとわるいことをしても歯止めがかかりませんから際限なくわるくなり得るんですね。「スタンフォード囚人実験」じゃないですが立場が「上」になるということが、どれほど人を嫌な人間にさせることか。それは古今東西、野放しにせず粘り強く教育して抑止すべきものなんです。

ただそこでどういう教育をすべきか、というときに、パワハラ防止研修に終始するのがいいのかどうか。武田建の行動理論に「良い行動を教えることでわるい行動と代替することができる」というのがあります。よい行動様式を教えるほうが有効なんじゃないでしょうか。


 「嫌な上司像」を忍耐強く見つめ続けた著者の労を多としたいです。

 要は、育てない、関心を持たない、オレオレ、誠実さや責任感はない、という男性たち。リーダーシップから「女性性」がすっぽり抜けていると、こうなるのかな、という見本のようなかんじです。

 正しいリーダー教育が存在せず、上司を野放しにした場合の荒涼たる風景が、これです。

 わが子が会社に入ってこういう上司の下ではたらいてこう言ったら、どう答えるだろう。
「あたしもうイヤ。出来そこないの人格のおっさんの下で働いてお守りさせられたり、サディズムの標的にさせられるのは」と言い出したら。
「仕方ない。我慢しろ」と言うだろうかそれとも・・・。

 わたしは日本のとくに男性中高年の質が急速に悪化してるのじゃないかと思いますが・・・、


 ほらね、当協会の受講生さんや会員さんって、かっこいいでしょ。


100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
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 今年から会員になられた脇谷泰之さんが事務所にこられて、しばし懇談。


 ものづくり企業様での研修はなんどかありましたが、会員として残ってくださったのは今のところ脇谷さんお1人です。(それは効果が出にくいからではなく、色々利権構造が複雑だからです。詳細割愛)


 今年秋には「事例セミナー」を計画する中で、脇谷さんはそのなかで中小製造業代表として、また中国工場の総経理として、話題提供してくださる予定です。

 昨年の脇谷さん登場の愉快な記事一覧

 「とにかく現場を見てください」で仕事が来る中国工場―脇谷泰之さん(大島金属工業執行役員)インタビュー(13年5月)
 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51857608.html

「責めない現場」は可能か?―脇谷泰之さん(大島金属工業)インタビュー(2)(同8月)
 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51866966.html

承認の輸出先 「上海大島」訪問記(1) 手作り治具にウルトラC改善・知恵と工夫の戦場上海
http://c-c-a.blog.jp/archives/51871514.html


承認の輸出先 「上海大島」訪問記(2) ―「僕嫌われ者ですよ」―「まじめ」「元気」な現場づくりはダメ出しと質問と承認の風景
http://c-c-a.blog.jp/archives/51871516.html



 上記のように、中小製造業のばあい良い現場をつくってお客様に見せれば、それで受注がくる、売り上げが伸びる、というのはわたしも初めて経験したことで、「承認」はこういう形で中小のものづくり企業に「お役立ち」ができるということにしみじみ感動させていただいたのでした。


 初めて当協会会員として決算書等をみた感想を脇谷さんにきくと、

 「ぱっとみて宗教法人だと思いましたね」

 そう思えば別に違和感はなかった、のだそう。


 事例セミナーでは個人にとっての「ビフォー承認」と「アフター承認」、そして人々や組織、会社、業績の変動、という一連のお話をしていただきます。

 「ビフォーアフター」については、今回初めてきくお話をうかがいました。

 脇谷さんの現在の会社(日本本社)に、30代後半(当時)の契約社員がいました。この人を仮にAさんとしますと、Aさんは2011年2月の「承認セミナー」前、脇谷さんとの面談の中で「自分はこんなによくやっている。正社員にしてほしい」と訴えてきました。

「アホか、あなたはまだそんなことを言える段階じゃない」

 脇谷さんは一蹴したそうです。「全否定ですよね」苦笑いする脇谷さん。

 そして「承認セミナー」後。

 再度の面談でAさんは前回と同じことを言ってきます。

「今度は、なんと最後まで聴けたんです、彼の言い分を。とにかく認めてやろう、と思ったので。そして『僕、こんなに頑張ってるじゃないですか』というAさんに、『ああ頑張ってる、頑張ってる』。」

 それはそれまでの脇谷さんだったら絶対出なかった言葉だったようです。技術解説をするとそれは「行動承認」です(すいません)

 とはいえそれですぐ正社員にしたわけではなく、

「正社員になってもらうにはこういうこういう条件がある。工程や職場を良くするために君から声を上げてもらうこと。周りに働きかけてもらうこと」

 Aさんの言い分をすべて聴きおわった脇谷さんは語りはじめました。

 そして、翌日からそれまで見なかったような姿勢で仕事に取り組みだし、頭の固いリーダーにも果敢に提案するAさんの姿がありました。

 今年春、Aさんは念願かなって正社員となり、「今度クルマを買い替えるんですよ」。満面の笑みで脇谷さんに話しかけてきたそうです。

 Aさんのケースは、恐らく脇谷さんにとって日本で「承認」の一歩を踏み出した例になったことでしょう。その後脇谷さんは主に上海工場を舞台に「承認」で人々が見違えるように活き活きと働く職場をつくり、組織のすみずみまで浸透させ、横ばいだった売り上げをとんとん拍子に伸ばしていきます。


 承認セミナーは当時うすうす「人を肯定せなならんのちゃうか」と感じはじめていた脇谷さんにとって、背中を押す内容のものでした。

 脇谷さんはそのときのセミナーについて、「論理的でありながらお仕着せでなく、講師が自分の言葉で話してくれるセミナー」と評価してくださっています。

「自然ですよね。いいことも悪いことも言う。アカンと思ったらアカンと言う。これならできる、と思いました」


 脇谷さんは前職の車載電子機器メーカー大手でひととおりの研修は受け、コーチングの研修も受けました。

「それは褒めるにしても、『褒めなさい』『絶対叱ってはいけない』という、一方的なものでした。私は講師に質問して、『でもどうしても褒められない、叱らないといけないときだってあるじゃないですか』『でも褒めなさい!』『怒ってるじゃないですか』『いえ怒ってません!』まあ、怒らせようとして質問したんですけどね」

 いやな生徒だなあ。

 脇谷さんの当時の会社に限らず、ひと昔ほど前までは企業が湯水のように研修費を使い、長時間の研修をしていた時期がありました。とはいえ、その内容はわたしの知っている範囲でも「誕生日占い」やら「血液型占い」やら、かなり怪しげなものがありました。コーチング研修も上記のように…(略)

 その当時の印象で教育研修というものをみる方は、教育研修について、「自己満足なもの、役に立たないもの、省略しても一向に構わないもの」ととらえることでしょう。その結果が今の悲惨なほどの研修時間削減なのか…。


 またわたしからみて、ものづくり企業の受講生さんは、研修講師からみると非常に素直に何でも学んでくれるか、脇谷さんのように徹底的に疑ったうえで受容する人か両極端のようにおもいます。わたしは自分の性格からしても、「大人が何か新しいコンセプトに出会ったら疑うのが当然」と考え、細部までおかしなところがないように自分で徹底検証してプログラムをつくります。

 もうひとつ脇谷さんが言われた中で嬉しかった言葉は、

「これなら自分たちも作っていける」

と、いうものでした。お仕着せでなく、というか、徹底して合理精神と経験でつくりあげ、つくったプロセスが明確なものであれば、聴いた人にも「自分にもできる」と思ってもらえる、いわば自己効力感をもってもらえる、それも意図していることなのでした。つくったプロセスや原材料がわからないものを大人が素直に受け取れるでしょうか。


 ただ、徹底してわかりやすく、実践しやすくつくられた研修は、「出来るようになった」生徒をつくる代わり、講師の権威が低下するリスクも負います。社内講師として平気でパクろうとする人も出てきます。それは宿命のようなものでしょう。


「正田さんが言われているように、人を幸せにする、自分自身の幸福感にもつながることをやっているという実感は確かにある。かつ、リクエストしているのは非常にシンプルなことである。だから普及させたいと思うし、このNPOを潰したくない」


 事例セミナー等でさらし者にしてしまって大丈夫なのか、との問いには

「まったく問題ありません。お取引先、お客様にも『なんでそんなにうまく回ってるの?』というのは訊かれますから」


 むしろ、製造業のトップに、「現場はこれほどまでに元気になれる」「現場が元気になれば製造業は良くなる」ということを知ってもらいたい気持ちは強いそう。


 過去にも書いたように兵庫は製造業県です。製造業が伸びれば県全体が伸びます。そこがわかっていながら、現実には有効な手が打てていない。

 脇谷さん自身「グローバルリーダー」ですが、過去記事にもあるように「言葉のできないグローバルリーダー」です。現地社員に日本語の堪能な人がいるので、リーダーに必要なのは語学力ではなく別なもの、すなわち従業員の話をしっかり聴き認めてやること、とそこを誰よりもよく解っておられます。「その当たり前のことが出来ていないから工場ストや暴動が起こり、そして海外リスクなんて話になりますが、そうじゃないでしょ」。

 このことも、わたし自身語学の大学出身ではありますが、語学うんぬんよりむしろマネージャーとして基本的な訓練―主に「コーチング」的な―を受けていない人が海外赴任することが問題、と感じていましたから、脇谷さんは見事にその証左だったのでした。


 グローバル進出を後押ししたいならむしろマネージャーの基本的トレーニングを、と言いたいのでした。


 そんなこんなで事例セミナーの打ち合わせのひとつの風景でした。

(でも実際にやるのは11月の予定なので、途中でこけないか心配なんですよねー。)


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 『女神的リーダーシップ―世界を変えるのは、女性と「女性のように考える」男性である』(原題”THE ATHENA DOCTRINE  How Women (and Men Who Think Like Them) Will Rule the Future" 、ジョン・ガーズマ+マイケル・ダントニオ、プレジデント社、2013年12月)を読みました。

 著者は、消費者行動を分析する社会理論家とジャーナリストのコンビ。

 ここには「オキシトシン」は出てこなくて、膨大なデータベースと世界13か国6万4千人を対象にした独自の調査結果に基づき、「女性的資質をもつリーダーが成功する」ことを証明しようとしています。

1つ前の記事の『女性資本主義論』のタネ本でもあります。こちらは決して印象論ではなくしっかりした調査に基づいた本です。


●「成功している起業家、リーダー、オーガナイザー、クリエーターが示す特徴の多くは、一般に『女性的(フェミニン)』とよばれる性質に由来していた」と本書はいいます。その「女性的性質」とは誠実さ、共感力、コミュニケーション力、忍耐強さなどです。


●リーマン・ショック後に行った調査では、人々は男性の振る舞いに不満を持っていることがわかった。
「自国における男性の振る舞いに不満だ」と答えたのは全世界の57%、男性平均の54%、ミレニアム世代(2000年以降に成人した世代)の57%。日韓では若者の4人に3人が男性の振る舞いを批判的に見ている。

―日本は、「若者がおっさんを嫌いな国」と思ってもいいようなのです。
 はい、うちの団体の「よのなかカフェ」でも過去、「男のプライド」という回で「おっさん」を攻撃しました。

 「オキシトシン」「女性資本主義」の流れで毒食わば皿で「新女性ヨイショ論」をみてきているわけですが、ちょっと距離を置いておこうと思っていたら、「東京都議会で女性議員にセクハラヤジ」の報道があり、(私はFB友達に教えてもらった)みるとなんと過去から連綿とこの手のヤジの歴史があるそうじゃありませんか。
 あ〜、わが国の「おっさん」は選良でも品性が低すぎます(ため息)


●「男性がもっと女性のような発想をしたら、世界は良い方向へ変わるだろう」と答えたのは、グローバル平均で成人の66%、男性の63%、ミレニアム世代の65%。日本人男性だと79%。

―みっともない「おっさん」に顔をしかめている男性がわが国に多いことに安堵します。


●「男性的と思われてきた発想や行動の流儀に対して、世間の苛立ちが募っているようだ。具体的には、管理や統制、競争、侵略、さらには、戦争、収入格差、無謀にリスクを取る行い、不祥事など、今日わたしたちが直面する多くの問題を引き起こした、「白黒を決めつけようとする姿勢」が苛立ちの対象となっている。」


●著者らのデータによれば、今日の理想的なリーダーに求められる資質の多くは「女性的」とみなされている。特筆すべきは、思いや感情を包み隠さず率直に表現するリーダーが望まれていることだ。

(なお、さまざまな資質の「男性的」「女性的」というカテゴリー分けは、著者らの上記の6万4千人を対象とした独自調査で、被調査者に分類してもらったそうです)

●リーダーの資質として忍耐を重視する人も多く、イデオロギーよりも理性や常識をもとに難局を打開できるリーダーが待望されている。くわえて、ご都合主義に流されずに、長期の視点から将来プランを立てて一過性ではない解決策を導き出すことも、理想のリーダーには必要だとされる。
 私欲よりも全体の理念や目標に関心を集中する姿勢も、リーダーの資質として尊重されていた。だからこそ、プライドが高い(男性的)よりも忠実であること(女性的)のほうが大切だ、という結果になっているのだろう。

●このほか、道徳観、幸せ観も女性的とされる資質や理念と強く関係したそうです。

―男性は幸せになれないのか、ひどいなーと思うなら、男性の生涯にわたるテストステロン値の変遷の知見などを考えてみるといいでしょう。自然低下してきたころにうまくオキシトシン的な行動様式や観念を学習することに成功したひとは幸せになれる、できなかったら一生幸せになれない、競争と他者支配のイデオロギーを信奉したまま不幸せな人生を送る、のかもしれません。
 それと社会的地位が上昇すると男性は低下してきたテストステロンが再度上昇するんだそうで、地位の高い男性が人格がわるいことが多いのはこのためです。ですのでトップマネジメントに近い層のひとびとが「女性的」行動様式や観念を再学習するのは生物学的に必要なプロセスです。わたしは「承認」はミドルマネージャーだけの学びだとは考えていません。

 
●全体の65%が、政府に女性のリーダーが増えれば信頼や公平さが増進して戦争や不祥事は減ると見ている。回答者の念頭にある女性的なリーダー像は、柔和で感傷的なのではなく、賢明で静かな強さをたたえている。

 調査で最も高い評価を得た、成功へのカギを握る資質は以下のようである。

つながり―人脈を築き保っていく能力
謙虚―よく話を聞いて他人から学び、手柄を分かち合おうとする姿勢
率直―包み隠さず誠実に話をしようという意思
忍耐―解決策がすぐに見つかるとはかぎらないという認識
共感―他者への深い理解につながる気配り
信頼―信頼される実績と人柄
寛容―すべての人や考えを受け止めるあり方
柔軟性―必要に応じて変化、順応する力
弱さ―自分は完璧でなく失敗もあると認める勇気
調和―調和の取れた目的意識

 
●そして本書のタイトルになった「女神的」これはギリシア神話の女神アテナを指します。アテナはその知性、技能、文明化への影響、公正さなどが崇拝の対象となり、産業、芸術、工芸の女神とされた。



 このあとは調査対象13か国での「女性的」リーダー―男性でも女性でも―の活躍ぶりを紹介しています。
 

「おわりに」の章で、

●わたしたちは女性的な資質と価値観を頼りによりよい暮らしと世の中を実現しようとする人々こそ、最も有望な革新者だと考えるようになった。

●男性的か女性的かは二者択一ではない。女性らしい思いやりをもつ男性もいれば、男性顔負けの分析や自己主張をする女性もいる。性別は天与のものだが、後天的に異性の美点を取り入れることは可能である。わたしたちは女性的な価値観を女性だけのものと見なすのをやめ、いまの時代にふさわしいイノベーション手段として受け止めなくてはならない。

―だんだんわかってきました。男性的女性的という括りに違和感がとれなかったわたしですが、だれかが従来の「男性的」手法に異を唱えより人道的で効果の高いやり方を提案したとき、予想されるのは「そんな女子供みたいな」という見下しの入った反論でしょう。それには「いや女性的というのが今最高にかっこいいイノベーションなんですよ」と再反論すればいいのです。「男性か、女性か」という二者択一はそもそも権力者の「おっさん」が持っている発想であり、かれらを説得して突破するにはその二者択一を逆利用しなければならないのです。
 こういう理解でいいんでしょうか。


●わたしたちは、女性の権利を擁護する最善の方法は、「男性が女性的な価値観を身に付けること」だと考えている。・・・女性と、女性のように発想できる男性が、暮らしやすい世の中を創造している。

ーこれはその通りと思います。「女性活躍推進」は、男性を教育したほうが早く達成できます。というのが当協会の主張でもあり、実際にこれまでみてきたことです。


●リーダーに表現力と共感力が求められる傾向がかつてなく強まっている。「リーダーシップは情熱だ」という言葉をよく耳にするが、わたしたちは「リーダーシップは献身だ」と主張したい。リーダーシップを発揮したいなら、関係者に共感しなくてはいけない。

―いまでも多いんだな、定年後の「おっさん」たちによる、男らしさを煽るようなリーダー研修が。「もっと、もっと、男らしくあれ!」って。ほんとうの勇気は愛や信頼から生まれる、ナルシシズムからは生まれない。そういう研修がパワハラを招くんじゃないだろうか。
 そんな中では若い人がリーダー、マネジャーになりたくないっていう気持ちもよくわかるし、もし「女性的リーダーシップ」が組織の中に横溢していて、役員部長からミドルマネージャーまでがそうしたリーダーシップをモデリングして見せてくれるような職場だったら、若い人はマネージャーになることに憧れをもつかもしれない。


●リーダーシップと最も関連が弱い特徴は「プライドが高い」(男性的な特徴とされる)、最も関連が強い特徴は「忠実」と「利他的」(いずれも女性的とされる)だという結果が出ている。
 
―当協会では「承認教育」のかたわら「ナルシシズムに陥るな」という戒めもつねにやっていますね


●本書に登場する〈女神的〉リーダーたちは、透明性とオープンな意思疎通を重んじ、タテヨコ両方、とりわけ部下からの意見や提案を歓迎していた。

●リーダーの資質のうち人々が最も尊重するのは、将来を見据える姿勢と忍耐である。世の中でも「一朝一夕に完璧な成果が上がるはずはない」という理解が深まっている。リーダーには目先のことだけでなく、長期的な視野に立った発想と発言をしていく姿勢が求められている。

●イノベーションには批判よりも称賛を。男性的な発想で検証や分析を行ったのでは、アイデアが実を結ぶ前に芽を摘んだり、アイデアの創造に役立ちそうなグループ活動を停滞させたりしがちである。イノベーションの活性化を目指すなら、組織のあり方を振り返ってみるとよい。アイデアを育てようとしているだろうか。それとも厳しい視線を向けがちだろうか。

●失敗は恥ずべきものとされてきた。男性主体の世の中では、失敗を取り繕ったり非難したりする、あるいは自分の評判を守るために後ろ向きな行動を取るといったことさえも行われる。しかし、失敗を恐れていると、試行錯誤や前向きな変化のチャンスを逃してしまう。

●若年成人層には、〈女神的〉価値観に沿って生きようという心構えがある。調査回答者のうち若年成人層は、男性的、女性的といった区別にあまりこだわらず、人間のあらゆる強みや資質を大切にしようとする傾向が強い。


 引用は以上であります。

 男性女性論、これで出尽くしたかな?
 過去わたしがみてきたリーダーたちも、色んな要因で「男性的」とされる考えに流されたときには恐ろしくいやな人格になり、部下たちによくない態度をとったのでした。ひいては見放され、はっきりと業績が下降したのでした。

 できれば、「男性的」なほうがいいものだ、と思いたいのでしょうけど。自己否定になるからお気の毒ですけれど、男性は20代と40代以降では、まったく別のガソリンで動くのが望ましいのです。


 参考になるかもしれない過去記事

◆男性的リーダーシップと女性的リーダーシップ

 http://c-c-a.blog.jp/archives/51834972.html


◆続・テストステロン

http://c-c-a.blog.jp/archives/51360389.html


◆リツイート感謝。団塊の世代価値観を問う「男のプライド」よのなかカフェ

 http://c-c-a.blog.jp/archives/51753490.html




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『女性資本主義論』(高橋仁、幻冬舎、2014年5月)という本を手に取りました。

 著者は株式会社ジンコーポレーション代表取締役社長。脱毛エステサロン「ミュゼプラチナム」を2002年にオープンし成功させた人らしいです。今回初めて知りました。

 日頃このブログでは紹介しない系の本なのですが今回は例の「オキシトシン」を掲げ当協会の主張とも一部重なっているので・・・、「要おさえ」かな、とおもいました。


 「経済を動かすシステムが確実に変わってきている」と著者は言い、20世紀の価値観を「おっさん資本主義」と名付けます。

 いわく、勇敢さや野心、即断や戦略、競争でできた「おっさん資本主義」。しかしそれが決定的に綻びだしたのが21世紀の現代だとし、その綻びの一例として若者の離職も挙げます。

  強く自信に満ちた態度で競争を勝ち抜き、野心的態度で他者よりも多く利益を手にすることで尊敬され評価されてきたことを、おっさんたちはそのまま拡大再生産しようとしてきたと著者。そうした働き方や生き方をカッコいいものだとも、憧れだとも思わないどころか「あり得ない」ものとして完全否定しているのが今の若者たちだ、といいます。

ーわたしも某所でいいました「おっさん価値観がイヤだから若者は辞めちゃうんです!!」って

 その「おっさん資本主義」にとって代わって台頭してきたのが「誠実さ」「利他的」「共感力」「忍耐強さ」「愛情の深さ」などの「女性的価値観」であるとします。そこで例の「オキシトシン」にも触れ、

 その例にバングラデシュ発のバッグのブランド「マザーハウス」を挙げます。

 「女性資本主義」の担い手は「女性」と、「女性のようにものを考える男性」なのだそうで、
 
 『女神的リーダーシップ』という本では、「むしろ、男が女性的価値観を身に付けることで、より男にとっても女にとってもよいことが増えるだろう」と言っているそうです(この本はまだ読んでないので受け売り。これも読みましょう)


女性が消費の主役になったからそれ向けのマーケティングを、というだけだと目新しくないのだが…、本書は例の「オキシトシン本」と前掲の『女神リーダーシップ』の二冊の出版を背景に新しいタイプの「女性ヨイショ」論を展開しています。


 女性のわたしの立場では言いにくいことを言ってくれている本。

 「男性」「女性」という括りはかなり雑で、おおざっぱな極論を言うと反動がきて淘汰され、という流れになるのでわたしはあまり好きではない。でもこういうことを男性が言ってくれると風よけにはありがたい。

 男性が大半の「うちの会員さん」がたは、どう思うんでしょうか・・・、かれらは例外なく「お父さん」なので男性の中でも幸いにもオキシトシン的なひとたちではあります。風貌はけっこういかつい人もいます。「女」って呼ばれるのはかれらでも今いちなんじゃないかなあ。

「うちの団体」は女性講師が主宰するリーダーシップ教育の機関、という今のところ珍しい形態です。


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 ところで「男性、女性」という括りがでてきたのでひとつ思い浮かんだことを言うと、最近の週刊文春の土屋賢二氏の連載で、

「男性は女性が重大視することを過小評価することで優位に立とうとする」

という意味のフレーズがあって、笑った。

 「女子供は些細なことを重大視する。そんなことに右往左往しないのが大人だ」と男性は考え、女が騒ぐことを黙殺することで自分の大人としての面目を保とうとする。

 その結果が多くのことについての問題解決能力の低さではないのだろうか、とわたしは考える。

 オスとしての自分の能力の高さを証明したければ、女性が「大変だ」ということについて、

「これは本当に大変なことです。われわれも重視しており、一刻も早く対策をとろうとしています」

と真顔で言ったほうが得策だとおもう。とりわけ、民族としてあるいは自治体としての消滅がかかっているような事柄についてはそうだとおもう。

 うちの会員さんはおおむねそういう人たちだな。



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 『未来のイノベーターはどう育つのか―子供の可能性を伸ばすもの・つぶすもの―』(トニー・ワグナー、英治出版、2014年5月)という本を読みました。


 わが子がイノベーターになるかどうかは別として、タイトルの後半、可能性を伸ばすか、つぶすか、というのは多くの良心的なお父さんお母さんにとって大きな関心事でありましょう。


 当協会の会員さん方はもとより、きっとそうした関心をお持ちの方が今の時代にも少なくないと信じて読書日記をつけます。

 例によって印象的だったところを抜き書きし時々それにツッコミを入れたいと思います:


●イノベーションとは「クリエーティブな問題解決法」。

●イノベーションといっても、iPadのような物を作ることとはかぎらない。顧客の扱い方であってもいい。

●中核事業におけるイノベーションとは、主力製品とサービスをもっとよく、もっと賢く、もっと速くすることだ。一方、周縁部でのイノベーションとは、新しいビジネスモデルや戦略を作ることだ。


●とりわけ20代の若者の間では、いわゆる社会イノベーションと社会起業に対する関心が急速に高まっている。優秀な若者を貧困地区に教員として派遣するティーチ・フォー・アメリカ(TFA)のアイデアは、ウェンディ・コップが1989年に描いたプリンストン大学の卒業論文から生まれた。

●イノベーターのスキルとは何か。根気。実験する意欲。計算されたリスクを引き受ける能力。そして失敗への寛容性。さらには批判的思考だけでなく「デザイン思考」。

●デザイン思考者の5つの特質とは、1.共感 2.統合的な思考 3.楽観主義 4.実験主義 5.コラボレーター。


●クリステンセンらによると、独創的な人間の5つのスキルとは、関連付ける力、質問力、観察力、実験力、ネットワーク力。さらにそれらを実行力と思考力に分けることができる。

●まとめると、成功するイノベーターに最も欠かせない資質とは・好奇心・コラボレーション・関連付けまたは統合的思考・行動志向と実験志向。


●ミレニアム世代はイノベーション世代である。イノベーション世代の多くは地球の未来を心配し、より健康な生活を送りたいと考え、お金を儲けるよりも世界を変えたいと考えている。


●この世代にやる気を起こさせるには別のやり方が必要だ。「問題はリーダーシップの欠如だ。確かにこの世代は、いろんな意味で甘やかされている。だが彼らは自分が関われること、自分が興味を持てることを探している。多くは物事に激しく熱中するが、そう仕向けるのは簡単ではない。彼らを何かに熱中させることができたら、並外れた結果が得られる。しかし自動車工場の組み立てラインのようなことをやらせたら、つまりとにかく会社に来て言われたことをやらせようとすると、その仕事に熱中することはない」

●ジェネラル・ダイナミクス(重機械メーカー)の最大の課題は、20代の若者が辞めないようにすることだ。「彼らは私が考えたこともないような質問をする。自分は何に貢献しているのか、自分の仕事のより大きな意味を知りたがる。そして自分の満足のいく答えを得られないと辞めてしまう」


●ミレニアム世代は私たちの未来だ。彼らは今よりも健康で、安全で、持続可能な暮らしを生み出せるし、生み出さなければならない。本人たちは認めたくないかもしれないが、彼らもまた成功するために私たちを必要としちえる。彼らは私たちの知識や経験、手引き、指導、サポートを必要としており、私たちはそれを新しい方法で提供しなければならない。イノベーション世代がイノベーションに基づく経済や暮らしを作るのを本気で応援するつもりなら、私たちは学校、職場、そして子育ての習慣のすべてを変えなくてはならない。


―は〜、ここです。読んでいると人類はイヌからネコになったようです。そして「ネコに対する指導法」をわれわれイヌが学ばなければならない、と言っているようです。すごい無理難題のような気も・・・。しかし、この世代がもはやイヌではないのは、諦めなければならないのでしょう。


●ハーバード大学経営大学院のテレサ・アマビール教授によれば、創造性は専門性、クリエーティブな思考力、そしてモチベーションという3つの要素が絡み合った結果である。なかでも教授は、モチベーションが専門性やスキルよりもはるかに重要だと考えている。「専門性やクリエーティブな思考は個人の原料、つまり生まれつきの財産と言っていい。しかし人が実際に何をやるかは、3つめの要因であるモチベーションによって決まる」


●このあとアマビール教授は外的モチベーションと内的モチベーションの話をする。例の「アメとムチは悪いもので本人が心から打ち込めるのがよいものだ」という話。

うーん…、「オキシトシン」に関する知見を読む限り、「外的モチベーションと内的モチベーション」論でいうところの「内的」モチベーションも結局は両親の愛情や指導者との信頼関係で生まれるもので、厳密に言ったら「外的」に分類されてしまい分類が意味をなさなくなってしまわないだろうか、とわたしは思う。この論は要するに、「本人が一生懸命やっているときに『これができたらお小遣いをあげる』てな水を掛けることを言ってせっかくのやる気をそいではいけないよ」ということを言っていて、それだけを気をつければいいのではないだろうか。外的モチベーションのアメとムチの風景が醜いと思えるのは、勉強したくもない子どもにお小遣いやお菓子やおもちゃで釣ってムリやり勉強させようとするからで、そうしないと勉強しない、そもそも勉強がまだあまり好きではない子は、その年齢の子らしく思い切り遊ばせ、自分の好奇心に沿って行動させてやればいいだけのことではないのだろうか。アマビール教授の論文は1999年のものでちょうど「内的動機づけ、外的動機づけ」の議論がアメリカで流行っていたころだ。最近の「モチベーション2.0」やら「同3.0」はこの時期の議論の流れを汲んでいるようなのだが、「内的動機づけ」をあまりに強調すると、人が人を育てる行為すべてを否定してしまいかねない危険をはらんでいる。赤ちゃんは抱っこしないでも、あやしたりほめたりしないでも育つのだろうか。「チャウシェスク・ベビー」たちはどうなのだろうか。


●内的モチベーションには遊び、情熱、目的意識という3つの要素がある。この3つを親、教師、メンター、経営者がどのように奨励するかによって、若きイノベーターの人生には大きな変化が表れる。

●グーグル創業者のラリー・ペイジやセルゲイ・プリン、アマゾンの創業者でCEOのジェフ・ベゾス、ウィキペディアを立ち上げたジミー・ウェールズ、料理研究家のジュリア・チャイルド、ラップ歌手のP・ディディことショーン・コムズらは、みな遊びを通じて学ぶモンテッソーリの学校に通っていた。

●「情熱」「根気」に関するスティーブ・ジョブズの言葉。「かなりの自信を持って言えるのだが、起業家として成功するかしないかの半分は、根気で決まる。・・・だから自分が情熱を感じられるアイデアや課題、あるいは正したいと思う間違いを見つけなくちゃいけない」

●「目的意識」についてのイノベーターたちの言葉。イノベーターたちが自分の動機を説明するとき使った言葉はみな非常に似通っていた。ジェフ・ベゾスは「歴史を作りたい」、スティーブ・ジョブズは「世界をあっと言わせたい」、スカイプの共同設立者ニクラス・ゼンストロームは「世界をよりよい場所にするために破壊的になりたい」と語った。・・・変化を起こすという使命感を持つと、リスクを引き受けたり失敗を犯したりするのはずっと楽になる。

●私が話を聞いた若きイノベーターたちの人生には、遊びが情熱、そして目的意識へと進化していく線がはっきり見えた。彼らは子供時代に大いに遊んだが、その遊びは多くの子供の遊びと比べると極めて無秩序なものだった。・・・子供時代のこうしたクリエーティブな遊びを通じて、彼らは情熱を傾ける対象を(多くは青年時代に)見つけた。しかしその情熱を追及する過程で、関心の対象が変わり予想外の変化が起きる。それは新たな情熱を育み、時間が経つにつれて、より深く成熟した目的意識へと発展していく。


●物事を学ぶ過程で失敗が果たす役割について、オーリン大学のある学生はこう言っていた。「『失敗』という考え方はしない。これは『繰り返し』だ」


●だが若きイノベーターたちは、こうしたことをたったひとりで学んだわけではない。その過程で親や教師やメンターなど、少なくともひとり(しばしば複数)の大人のサポートを受けていた。・・・彼らはそれぞれ静かな方法で、普通の親や教師やメンターとは違う行動を取って、目の前の若者が普通とは違う考え方をできるようにした。


●ビジネススクールはイノベーターの訓練をする場ではない。「戦略を教わると、価値を生み出すことと、他人が作る価値をとらえることが非常にうまくなります。ここで『とらえる』とは、オレンジからもっとジュースを搾り取るということで、すばらしいオレンジを育てることではありません。・・・よりよいオレンジを育てるには、考え方を変えなくては」(アップルのジョエル・ボドルニー副社長)


●イノベーターの親たちの実践。子供が自分の関心にふけるに任せておく。注意深く、思いやりがある(つまりいい人間である)かぎり、子どもは実験でも探検でも好きなだけやっていい。

●自由と秩序のバランス。「親としていちばん重要なのは、子供の意見を尊重して耳を傾けること。でも自由にさせすぎないことも重要で、限界、境界線、秩序は重要です。ただしそれが多すぎると、つまり従順にさせようとすると、クリエーティブな衝動を殺しかねない。むずかしいのは、権威への敬意と、建設的な関与や建設的な反抗のバランスを取ることです。強くなることを教えつつ、越えてはいけない壁を与えること。イノベーションは不服従と切り離せませんが、イノベーターになって銀行強盗をしていたら始まらない」

―非常にむずかしいこと。親としてこのバランスができている人を見たことがない(もちろんわたし自身はできていなかったと思う)。子供の気質にもより、大人しく親の意向に沿いがちな子供であると、その子に秩序を教え込み波乱のない家庭生活を送れることが当たり前になってしまいやすいだろう。わたしの子はあまり従順ではなかったので、衝突ばかりしていたけれど―。

●私が話を聞いた親の多くは、子供のスケジュールをいっぱいにせずに、自由な遊びと発見の時間をたっぷり与える重要性に言及していた。彼らはみな子供たちと時間を過ごしたり遊んだりするのを楽しみつつ、「ヘリコプター・ペアレンツ」にならないことが重要だと理解していた。

―これだけは、わたしはできていたような気がするが―、一番上の子供が熱中型で自分の意志で何かをやり通すのが好きな子だったので、彼女の意向を尊重しているうちに自然とそうなったような気もする。逆にお母さん向けのコーチングセミナーなどをすると、なんとわが子のすべての曜日に異なる習い事を詰め込み、疲弊しきっているわが子に「もっとがんばれ」とムチをふるう道具としてコーチングをとらえるお母さんが多い(とりわけ芦屋などではそうだ)ことに愕然としたのでした

●「仕事ができない人を見ると、秩序的すぎる人生を送ってきたんじゃないかと思います。いつもAを取ることや次のレベルに引き上げてもらうことを追い求めてきたから、自分が興味のあることを突き詰めたり、物事をクリエーティブにやる時間がなかったんじゃないかな、と」

―これは鋭い指摘。よくわたし自身もこれと同様の感慨をもつ。恐らく、わたしと同年代か少し下の年齢層の人たちに、つまり塾へ行くことが一般化した世代の人たちに間違いなくそれはある


●おもちゃは少ないほどいい。イノベーターの親たちの意見はこの点で一致している。与えるとすれば、想像力と発明を促すおもちゃにすること。LEGOで育ったイノベーターは多いし、「スカーフ」をおもちゃにしていた子もいる。ある子は大きな段ボール箱1個と棒が2本、それに2本のロープを5歳の誕生日にもらって何年も同じもので遊んだ。


●スクリーンタイム(TVを見たりコンピュータを使う時間)も少ないほどいい。イノベーターの親たちはスクリーンタイムを慎重に制限していた。子供たちのほとんどは年齢が上がるまで自室にコンピュータを置いていなかった。週末には家族で映画やテレビ番組を見ていた。

●遊びとしての読書。親たちはほぼ全員、子供に頻繁に読み聞かせをしていた。ある親は毎日、学校の宿題とは関係のない本を読む時間を必ず設けていた。読書の習慣は集中力という筋肉と、自発的な学習の習慣を育むようだ。


●子どもたちが情熱を傾けることを見つけさせることを親たちは重要な仕事だと認識していた。しかし多くの親は、子供のスポーツや音楽の習い事をさせているとき、どの程度子供に厳しくやらせ、どの程度子供に任せるべきかは苦悩の種だった。

●子供に嘘の賛辞を与えるべきではないと主張する親もいる。「子供がやりたいことをサポートするのは重要ですが、子供が上手かどうか正直なことを言うのも重要です。上手ではないのに上手だなんてほめるべきではない。物事を上手にやるのは大変なことなんです。・・・何かを本当に上手にやれたことに満足する経験を、人生のどこかですればいいのです」

●イノベーターの親たちの多くが周囲の親と違う子育てをしていることに悩んだと言及した。若きイノベーターの親になることは勇気と自信がいる。必要なのは信じることだ。まず親としての自分の直感、判断、価値観を信じること。また子供を信じること。自分の親としての権威を見直すことも重要だ。子供の活動にどんな制限を設けるか、どこまで子供の自主性に任せ、どこからダメと言うべきか。・・・

●イノベーターを育てるために企業は何をすべきか。「組織内で情報の自由な流れを確保することはイノベーションを促す上で決定的に重要です。トップダウン式の経営は新しいアイデアが生まれるのを著しく制限する傾向があり、会社に『集合知』が生まれるのを阻害します」


●ある研究によると、会社の規模にかかわらず、平均的なアメリカ人従業員のアイデアが採用されることは6年に1度しかない。


●「イノベーターは管理されるのが嫌いです。彼らは自分が尊敬する人と働き、自分が心からおもしろいと思う顧客の問題を解決したがる」

●「アップル社の人たちにインタビューすると、いちばん驚くのは、誰もが問題解決や面白い問題に取り組むことがとても重要だと考えていることです。」


●対面の手仕事の業種にもイノベーションの種がある。米家電販売大手ベスト・バイでは若い従業員がイノベーションを生み出す能力を活用した。同社は従業員の才能を見極め、店内の仕事の種類を大幅に増やした。「ほとんどの人は職場に貢献できるユニークな特性を持っていますが、それを生かすには正しい環境とリーダーシップが必要です。自分のシステムではなく、自分のために働いてくれる人を中心に事業を構築する必要があります」


●軍もイノベーターを必要とし、訓練体系を変えた。米陸軍では新しい訓練の全面的実施時期を2015年とし、ほ教室での授業の大部分をファシリテーションによる問題解決活動に変えることなどを提言した。


●シスコシステムズの幹部養成プログラムは、「教える」のは10%で、90%は新規事業を立ち上げて問題を解決する過程で学ぶ。
このほか、
「企業幹部としての能力を高めるには、新しいことを学ぶこともある程度必要ですが、自分がどういう人間で、何を重要と考えていて、なぜこの地球上にいて、その深い理解をどうリーダーシップに反映させるかを考えることが圧倒的に重要です」
「ビジネスはハードなゲームです。成功するには非常にタフでなければいけません。自分のこと、つまり自分が持つ偏見や自分が育った文化が持つ偏見を知れば知るほど、よりよい決断が下せるようになります。思慮深い幹部のほうが、部下の人生に自分が与える影響を正しく評価でき、より慎重な決断を下せるでしょう」


●イノベーションは極めて破壊的な性格のものであり、伝統的な権威にとっては新たな脅威となる。このため独創的な事業を成功させるには、今までとは違う権威が必要だ。『イノベーションのジレンマ』はゆるぎない自信を持つアメリカの一流企業のCEOたちが、優れたイノベーションの将来性を見抜けず投資を拒否した例を挙げている。こうした企業のほとんどは、今では存在しない。

●本書では、イノベーターの教師が自らの権威と指揮権を手放し、「教壇上の賢人」から「寄り添うガイド役」になることが必要不可欠であることを見てきた。イノベーターの親も同じように伝統的な権威を捨てて、子供が自分で探求し、発見し、間違いを犯す(さらには失敗する)余地を与える。また独創的な企業は現場の従業員と情報をシェアし、現場からのインプットを求めている。

●イノベーションを成功させるのにも権威は重要だが、その権威は地位や肩書に伴うものではなく、何らかの専門性に由来する。相手の話に共感しながらじっくり耳を傾ける能力や的確な質問をする能力、優れた価値を形にする能力、仲間が才能を発揮するのを助ける能力、そして共通のビジョンを作り、グループで実現責任を負う能力が権威をもたらす。それは仲間をエンパワメントする権威だ。あなたが親であれ、教師であれ、司令官であれあるいは雇用主であれ、誰かをイノベーターに育てるには、自分の権威の根拠を見直す必要がある。この新しいタイプの権威を担うのは、ファシリテーターではなくコーチだろう。イノベーターはあらゆる年齢と段階で優れたコーチングを必要とする。


―長い引用の締めくくりに「コーチング」という言葉が出てきました。
 「内的動機づけ」が重要だということに同意するのにやぶさかではないのだが、それは単独で存在し得るものではない。上位者からの”絶妙な介入”がかならずあるのであり、その絶妙な介入方法がコーチングだ、と最後はそういうことを言っているのです。
 また本書には「承認」という語は1回も出てきませんが、アメリカのこの手の本を読むときわたしはいつも「暗黙の前提」「暗黙の了解」を省いて書いているのだろう、と思うのでして、「肯定的な視線」はかならず必要なものです。「若きイノベーターの疑問、破壊、不服従を受け入れ歓迎し祝福する」という姿勢は承認そのものであります。とりわけいつも書くように、不安感が高く信頼感が低い日本人には、上位者からのあたたかい視線、「思ったとおりやれ」という愛情ある揺るぎないメッセージ、すなわち「承認」は必須のものです。


 教育でもマネジメントでも、きわめて真摯な思考の末に「これしかないでしょう」と帰結する結論が「コーチング」である、ということはよくあります。このところ「コーチング」を「週末起業コーチング」と混同されるのがイヤで、封印しようかと思っていたわたしですが―、
 多くの人がそうした丁寧な思考を経ずに「あ、コーチングですよね」と言い、従来品の高踏的な先生、あるいは面白おかしい系の先生、ナルシスティックな先生、といっしょくたにされてしまうことが残念です。
 「ビジネスですよね」と言われてしまうことも非常に遺憾で、とはいえわたしも食べないといけないのですけれども。



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp

 
 きょう15日は父の日。
 「お父さん」が大半のうちの会員さん方はどないしてはるかなあ〜

 ワールドカップ・コートジボワール戦だから、とお出かけもしないでTVにかじりついてるかな?


 正田は曇り空の14日、播州山崎花菖蒲園に行ってきました


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 今月一杯は見頃。京阪神から遠くツアーも組まれていないためか土日も人はそんなに多くなくゆったり楽しめます

 第三駐車場から、おじさんがリリーフピッチャーのようなカートで入園ゲートまで連れていってくれました


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 今週も、幸せなお出会いやご連絡がありました

 篠山市商工会様では、最新のパンフ「あなたの会社が永〜く続くために・・・儲かって人も辞めなくなる欲ばり研修、あります」を部会で配布してくださいました まずまずの反応だったそうです

 旧知の営業職のかたが、「お客様や友人に配る。少しでも(友人の)役に立ちたいから」と、当協会パンフを請求してくださいました

 昨年の講演会に参加されたかたが、べつの異業種交流会に講師でよんでくださいました
 そのかたにとって大切な会なのがわかるので嬉しかったのでした

 ある経済団体様では、温かい激励のお言葉をいただきました。

「(社会)運動というものは長い時間がかかる。長い間低空飛行を続けて、あるとき急に上がりだすものだ。何%かがそれを取り入れたとき、全体がその方向に向かう、というのがある。問題はその長い低空飛行の間に倒れないことだ」

 去年の「第3回承認大賞」の憤死というのもご存知の方だったので、ひときわ嬉しかったです


 あの「憤死」も歴史的必然だったのでしょうか―、

 催しとして低調だったとはいえイラストレーター村岡みきこさんに描いていただいた愛らしい上司部下のイラストは素材として残り、今も資産になっているのでした


 わたしは「人柱」としての人生を生きている。

 このブログを長く読まれている方は先刻ご承知のことでしょう。だからわたしはそれを恥ずかしいとは思わないことにしています。



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
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お世話になっている皆様




 おはようございます。
 企業内コーチ育成協会の正田です。

 
 雨の日は意外な肌寒さ、そして陽が射すと一転灼けつくような暑さとなり…、難儀な梅雨の日々がはじまりました。
 皆様いかがお過ごしですか。


 最初にお詫びです。
 前回、メールニュースの冒頭で「週明けには関西も梅雨明けか」と、1か月気の早いことを言ってしまいました。
 特段厳しいご指摘はいただきませんでしたが、読者の皆様温かく読み飛ばしてくださったことと思います。
 感謝し、お詫びいたします。申し訳ありませんでした。



※このメールは、NPO法人企業内コーチ育成協会のスタッフ及び代表理事・正田が、過去にお名刺を交換させていただいた方・当協会のイベントやセミナーにご来場いただいた方にお送りしています。ご不要の方は、メール末尾にありますURLより解除ください。
(解除方法が変わりました!詳細はメール末尾をご覧ください)



 本日の話題は:



■長田の放送局「FMわぃわぃ」さんに出演させていただきました


■「人間性への信頼」を取り戻すには、何が必要だろうか


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■長田の放送局「FMわぃわぃ」さんに出演させていただきました


 4日、神戸長田のコミュニティ放送局・「FMわぃわぃ」さんの番組に正田が出演させていただきました。

 水曜の「まちはイキイキきらめきタイム」。12時から1時間の番組のはずだったのですがこの日はご当地アイドルKOBErrieS(コウベリーズ)のお2人に、Facebookマスターくまはちさんこと日向毅さん、とゲスト盛りだくさんで、急遽時間を早め11時55分からのスタートとなりました。

 FMわぃわぃさんは、震災で全壊し再建した鷹取カトリック教会の建物の中にあり、地域情報中心に、多言語のニーズも満たしながらボランティアで運営されています。

 お声がけいただいたパーソナリティー田口靖幸さんは、「『ゆるーい』番組ですよ」とおっしゃいましたがどうしてどうして。
 パーソナリティー高見かおりさん、市橋由紀子さんとも、他にお仕事を持ちながらのボランティアではありますが、透き通った声でカラーもさまざまの沢山のゲストを手際よくさばきながら進行していきます。プロやわ〜。

  
 そして「ガチガチに固まった発言を繰り返すと思います!」と”宣言”していた正田は…、


 詳細はこちらの記事をご覧ください

 神戸長田の放送局「FMわぃわぃ」さんでお話をさせていただきました

 http://c-c-a.blog.jp/archives/51890615.html


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■「人間性への信頼」を取り戻すには、何が必要だろうか



 前号で「読書日記:愛と信頼の物質『オキシトシン』と『徳治』と幸せと繁栄について」という記事をお伝えしたところ、思いがけない反響がありました。


 「FMわぃわぃ」さんで共演させていただいたFacebookマスターくまはちさんからは、メルマガ転載のブログ記事を引用してくださり

「(ブログの)記事の多さに圧倒されました。経営者の皆様、すごく勉強になると思いますよ。くまはちも実践します。(^-^)」

と、過分なお褒めの言葉をいただきました。また、旧知の方から急にお電話をいただいたりしました。


 ある読者の方からいただいた嬉しいお便りです:


「すごく、興味を持っておりました。幸せホルモン「オキシトシン」。

以前、テレビ番組「アンビリーバボー」で、オキシトシンの話をやっていて、人間は
人とのふれあいで幸福を感じるようにできており、それは健康に良い影響を与えると
いう内容で、幸せホルモンとされる「オキシトシン」が取り上げられまた。AKB48
の増田さんが幼い時にガンを克服できた原因として、取り上げていて、困難なことが
あっても、絆や、信頼関係が大切だと感じておりました。他人に対する親切を実際に
表す時、だれでもさわやかに感じます。そんなときに脳内物質である「オキシトシ
ン」が血流に流れ出す。それが繰り返されると、免疫力は飛躍的に向上し、様々な健
康の不調や病気が快復に向かうとされているということで、奇跡を起こすのに必要な
要素はの名前はこれだったのかと、驚いたことを思い出しました。それこそ、みんな
が良い部分を見て承認すれば、絆が深まり、健康になり、幸せになれる。最高に良い
ループに入れるはずだと改めて思いました。

何回もじっくり読ませていただきます。本当にありがとうございました。また、送っ
ていただけることを楽しみにしております。」


 いただいてわたくしもしみじみ嬉しくなったお便りでした。

「人間は本来善なる存在である」

 ともすればそらぞらしく聞こえるフレーズです。

 ただ、これも我田引水になりますが、過去12年「承認」を中心にマネージャー教育をしてきまして、人々が良いマネジメントの下では良いふるまいをし、奇跡的な業績向上を起こす、ということも間違いなく見てまいりました。その「奇跡的な業績向上」ぶりも、なんども事例セミナーの類をしメルマガでもお伝えしてきましたが、ともすれば「嘘だろ」という視線に遭い、苦しんできたのも事実です。


 実践者である当協会のある会員さん(男性、30代マネージャー)が言った言葉はそこで、ご参考になるかと思います。

「徳を巡り巡らすということが、『承認』を通じてできるのではないかと思います」

「『承認』と引き換えに私がみんなから得ているものは、『信頼』だと思います」


 効果発現メカニズムが徐々にはっきりしてきたことで少しでもご理解が広がり、より多くのかたが幸せになられることをせつに願うものです。



 前号のメルマガを見逃されたかたはどうぞこちらをご覧ください:


 「幸せ」についての続報 わたしたちを幸せにするものは何か

 http://c-c-a.blog.jp/archives/51890430.html
 



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★こちらもお勧め

「リーダーの自己鍛錬とは教育者を目指すこと」―伊丹敬之氏講演

 http://c-c-a.blog.jp/archives/51792856.html

 なんどかご紹介している記事ですがあらためて。あるリーダーのもとで部門運営が上手くいかないなあ、とういとき、原因はここに帰結することがよくあります。知っている人には常識、でも常識として普及していないのが現実です…。



※このメールは、NPO法人企業内コーチ育成協会のスタッフ及び代表理事・正田が、過去にお名刺を交換させていただいた方・当協会のイベントやセミナーにご来場いただいた方にお送りしています。

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ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

梅雨に負けず素敵な日々をお過ごしください。


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日本人の勇気と自信は、ここから生まれる
「第3回承認大賞」
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「企業内コーチ育成のすすめ」
(株)帝国データバンク社『帝国ニュース兵庫県版』
2008年〜2012年 長期連載このほど完結
http://blog.livedoor.jp/officesherpa-column/

兵庫県中小企業団体中央会発行月刊「O!」連載コラム
「誌上コーチングセミナー」
http://c-c-a.blog.jp/archives/cat_50054961.html


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「軍艦の艦長も、『情』があって初めて慕われたんだ。『この人のためなら死ねる』と思われたんだ。『情』のない人間は嫌われる」

 江田島の海軍兵学校出身の知人が急にこんな話をしだしました。


「えー、軍人なんて全部『上から』で命令してたんとちゃうんですか」

「いや、結局は人対人だからな。人は『情』で動くのよ」


 そのあと色々教えてくれました。戦艦大和の艦長は出撃命令が出たあと、艦員を上陸させて呉の街に繰り出させたのだと。多くは花街に行って芸者をあげてどんちゃん騒ぎをした。翌朝出撃というときに点呼すると2人足りない。「寝坊したな」というとき、その2人を置いてはいかなかった。時間になっても戦艦大和は出撃しない、おや?と見ていると艦員が上陸してトラックに乗って街へ向けて走り出した。呉の街では寝坊した2人がぼけーっと立っていた。それをトラックに載せて艦に戻り、やっと出撃。
 何故かというと、寝坊して置いてけぼりを食ったらその2人は逃亡罪で銃殺されるとわかっていたからという。

 このほか、ある駆逐艦では敵の攻撃を受けたが、まだ戦えるという状況で艦員が次々海に飛び込んで逃げ出した。その人々は敵の機銃掃射に遭いほとんどが死んだ。生き残りの者に「なぜまだ戦えるのに逃げ出したのか?」ときくと、「あの艦長のために死にたくなかった。戦う気がしなかった」と答えた、という。

 別の駆逐艦では船の艦首部分が大破しても、艦員が総出で鉄板を押さえて穴をふさぎ水が入り込まないようにし、その状態でバックして港へ戻ってきたという。それは艦長が慕われる人柄だったからだという。


 この話をしてくれたこの人はこのブログに年に1−2度登場する人です。もう10年以上のおつきあいになります。

 10年まえにきいたこの人の一代記の講演は、私にとっては

「自分の惚れ込んだ商品が、人を幸せにすると信じられたら、怖れず営業に行け」

というメッセージとして強く印象に残りました。それは営業経験がなく今でも営業が苦手な私にも、自分にムチ打って営業に行く原動力となりました。


 ところでこのメッセージも「オキシトシン」で解釈できなくはないのです。
 つまり、「惚れ込む、愛する、信じる」ことによりオキシトシンが産生し、次いでセロトニンが産生して、怖れを取り除き勇気を産むのだと。


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 2年半ほど前の2012年1月、「説法行脚づかれのぼやき」という記事を書いていました。

 説法行脚づかれのぼやき

 http://c-c-a.blog.jp/archives/51877352.html

 行脚づかれのぼやきで”Cの人間”考

 http://c-c-a.blog.jp/archives/51785577.html 

 続・説法行脚づかれのぼやき 本当は早く終わりにしたい

 http://c-c-a.blog.jp/archives/51788074.html 


 これらを書いた当時よりは今は状況は随分ましになっていると思いたいです―。

 これらの記事の中にある、

「対案が言いたいならエビデンス出してから言ってください」

 今読んでも決して傲慢ではないと思います。

 モチベーションや人材や組織に関する不毛な議論をしている間にどれだけ多くの人を幸せにし損なったことでしょう。

 なんと、よく考えないでいい加減な議論をする人が多いことでしょう。

 
 わたしの経験では、「モチベーション」に関する議論は、功成り名遂げた人、たとえば経営者や大学教授、コンサルタントのような人たちだと、「ドーパミン」に偏った議論をすることが多いです。

 成功体験の多い人ほど、「自分は1人作業で成功した」と思うことが多い。そして「達成」に関わる物質、ドーパミンを重んじる。だれかのまなざしがそこに関わった、と思ったりはしない。


 従来品のコーチングやその他のモチベーションに関わる研修も、「ドーパミン」に偏ったモチベーション論を言う。そうしたセミナーの場の雰囲気もドーパミン的(わるくいうと「躁的」)だったりする。


 ところがわたしがこの世界で12年みてきた印象では、「ドーパミン」中心に動機づけられたひとは「自己中」な人格になりやすいのです。ハイテンションで一見モチベーションが高そうですが、長続きしなかったり自己愛的だったり極端な怒りっぽさをみせたりします。
 それはいくつか前の記事でドーパミンとエンドルフィンを「自己中化学物質」と呼んだのと呼応しました。

 いわば、ドーパミンはそればかりだとナルシシスト製造物質、みたいになってしまうのです。


 そしてこれは自慢めいていますがあくまで当協会の会員さん、受講生さんに読んで理解していただくために書くと、最近つくらせていただいた資料、「NPO法人企業内コーチ育成協会と講師・正田について」で言っている、当協会流の研修のやり方というのは、徹底的に「オキシトシン的」な場づくりをすることを意図しているのでした。

 論理性、愛、共感、誇張しないしゃべり方、これらは矛盾するようでいて、論理性は信頼性をつくるための手段と考えれば、すべてオキシトシン的なのでした。たぶん無意識に「承認を教えるためにはそうすることが必要」と考えていたのでした。
(論理性というと「戦闘的」という連想がはたらきがちですが、あくまで信頼をつくるために供するもの、と意図してつかえば戦闘的にはならないのです)


 わたし自身も従来やや日本人の不安感を和らげる物質として「セロトニン」を重視していたきらいはあるのですが、「オキシトシン―セロトニン連合」がすべての基本、そして「プラスアルファドーパミン」のような比率で考えるとちょうどいいモチベーションづくりになるのだろうと思います。


 こういうのも、最近よく「後継者どうするんだ」的なことを言われますので、後継のかたのためにも書いておく必要があるだろうと思います。「承認」を教える立場になりたいというひとは、わたしのつくる独特の「場」が、何を意図してつくられているか知っていていただきたいのです。


 マズローの「五段階欲求説」から「承認」を考えるのも見直しが必要だろうか―。
 現実の「承認」は「承認欲求」も満たすのですが、より根源的な「愛や帰属の欲求」や「安全欲求」をも満たすのです。


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 先日メルマガで「オキシトシン」についての記事をご紹介したところ思いのほか反響が大きく、ラジオ収録でご一緒したくまはちさんから「経営者必読」とフェイスブックで絶賛いただいたり、旧知のかたから急にご連絡いただいたり、しました。ありがとうございます。


 本当はこの時代、だれでも「人間性への信頼を取り戻したい」と願っているのではないでしょうか―。


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 NPOの新理事に就任される(正式には7月20日より)柏原直樹さんと林義記さんと三宮で顔合わせしました。

 
 「承認王子」の林義記さんは、今思うと初期からものすごく「正鵠を射て」いました。

 「承認」に出会って1か月後でしょうか、初めてメールの中で承認を「徳」という言葉で表現されたのが林さんです。

「ご回向する―徳を巡り巡らすということが、『承認』によってできるのではないかと思います」


 いやはや。

 また、昨年12月のインタビューでは、「『承認』と引きかえに私がみんなから受け取っているのは、『信頼』です」という、これもまた「その通り!」という言葉を言っています。


 
 一方の常勝マネージャー・柏原さんは、日頃上司の方からは非常に厳しく当たられるそうですが、


 非常に学習能力・吸収力が高く、ハードな場面においてもそれを失わない。いいかえると「叱られても吸収する」強いかたなのですね。だから上司からすれば可愛いだろうし、つい期待が高じて叱りたくもなってしまうでしょう。
あたしもその気持ちわからなくない。そうならないように気をつけよう。


 そういうかたが、また「承認」のことも高く評価してくださり既に3年にもなっています。

 
 2011年8月の記事「人に教えるということ」を、「みんながこの通りすれば、みんな教え上手になれますね」と、職場で回覧してくださったという柏原さんです。


 この方々に、最近わたしから書いたメールです:

「年来、『人材育成で業績が伸びる。だからこういう教育を』
と声をからして言っていたのですが離職問題が大きくなったためにクローズアップされるというのもなんだか歯がゆいです
それでも、くじけず主張しつづけてこれたのはみなさまのおかげです」


 まだ「承認」の効果発現メカニズムがはっきりしていなかったころから「これは決定的なものだ!」と、わたしと同様に確信してくださり、実践され成果を報告してくださった勇気あるみなさま―、


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 そうしているうちに各方面からまた「離職」の情報が入り、
 いずれも原因はパワハラとか管理職の人格の未熟さによるものです。


 職場いじめ相談件数史上最多。

 相談するだけではなく、嫌気がさして離職という形で出ることも多々あるのです、恐らく。

 いえるのは、管理職が決定的にトレーニング不足、それに尽きるのです。



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp
 

 4日、神戸長田のコミュニティ放送局「FMわぃわぃ」さん(77.8MHz)に正田が出演させていただきました。

 お昼12:00〜13:00の「まちはイキイキきらめきタイム」という番組です。


FMわいわい2-2



 共演者のKOBerrieS(コウベリーズ)のお2人とFacebookマスターくまはちさんこと、日向毅さん。

 錚々たる豪華ゲストの中の地味〜なゲストなのでほとんど出番なしだろうなと思っていましたらなんと10分もお時間をいただき・・・、

 心優しいパーソナリティーのお3方に引き出していただいてしゃべりべた講師の正田もなんとか普通の人っぽくお話できました


 何話したかあんまり覚えていないのですが(^^;;


 宿題出して、「例の1枚物」渡して、といういつもの手順についてお話したところ、パーソナリティーの田口靖幸さん(このかたがフェイスブックのお友達でお声がけくださり、出演させていただくことになったのでした)が、


「要求することが1つ1つ小さなステップなのがとても共感できます」

と、本当に真摯な表情で相槌をうってくださったことが印象的でした。


 今更ながら、あんまり業界標準には「ない」ことをやっているのかな?とうぬぼれてしまったひとときでした それは田口さんはじめパーソナリティーの皆様のお人柄の力でありましょう。


 
FMわいわい1-2


 
 後列左から 田口さん、ゲスト日向さん、同山本さん、パーソナリティー市橋さん、
 前列左から コウベリーズユウリちゃん、同メイちゃん、私、パーソナリティー高見さん



 皆様、本当にありがとうございました!



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 各方面とお話している最中にこんなこと書くのはいかがなものかと思うのですが、、

 今週はまた、関西の他府県の経済団体様から、「離職防止研修」のご依頼をいただいてしまいました。

 その内容がなんとまあ、
 もちろん若手向けと管理職向けとあってご依頼いただいたのは管理職向けのほうなのですが、

 同じマネージャーの対象者向けにトータル3日間(18時間?)、1週ずつ空けて実施するというのです。

「すばらしいですね。私も日頃、自動車教習でも技能講習が24時間あるんだから、人の動かし方もそれくらい時間をかけて習ってください、と言うんですが」


 そういう、「若手離職問題」を企業側、管理者側の問題としてとらえ、トレーニングを提供する考え方が同じ近畿でも他府県にはある、というのがとても新鮮でした。


 わが兵庫は・・・、


 ご依頼の電話をくださったのは比較的若い声の男性の方で、コーチングの先生を検索した結果当協会のHPをたずねあたった、「承認論」の中の「自己効力感(self efficacy)」の考え方にこれだ!と思ってくださった、とのことでした。


 自分ごととして本気で問題意識をもつ担当者の方は、そんなふうにものをお考えになるのでした。


 
 だからねこの問題であたしが、というか当社がもし討死したら替えはないんだもんね本県は衰退していく一方だもんねこらこら。



 医薬翻訳者出身なのですこしそれっぽい表現をしますと、わるーい病気が流行っているときは、効く薬を見極めて本気で投与しなきゃなおりません。また、薬には効果発現のメカニズムというものがあって、正しい薬を使わなかったら核心を外します、ひいては効きません。薬には飲み合わせというものがあるので多剤併用はくれぐれも慎重に。



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp
 

お世話になっている皆様




 おはようございます。
 企業内コーチ育成協会の正田です。

 
 蒸し暑さが増し、週内には関西も梅雨明けかと言われるこのごろです。30度前後の気温ですと節電かクーラーか、判断が分かれるところですね。みなさまいかがお過ごしですか。



※このメールは、NPO法人企業内コーチ育成協会のスタッフ及び代表理事・正田が、過去にお名刺を交換させていただいた方・当協会のイベントやセミナーにご来場いただいた方にお送りしています。ご不要の方は、メール末尾にありますURLより解除ください。
(解除方法が変わりました!詳細はメール末尾をご覧ください)



 本日の話題は:


  

■読書日記:愛と信頼の物質「オキシトシン」と「徳治」と繁栄と幸せについて
  ―『経済は「競争」では繁栄しない』―


■長田の放送局「FMわぃわぃ」に4日、正田が出演させていただくことになりました

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■読書日記:愛と信頼の物質「オキシトシン」と「徳治」と幸せと繁栄について
  ―『経済は「競争」では繁栄しない』―


 「モチベーション」や「高業績」にもっとも関与の高い神経化学物質とは何なのでしょうか。

 「やる気」というと、目標達成したときに出る快楽物質ドーパミンを思い浮かべる方も多いでしょう。「不安感」を払しょくする物質として、「セロトニン」を挙げる人もいそうです。


 ところが、従来お母さんが赤ちゃんに授乳するときにだけ出る物質と思われていた「オキシトシン」がもっとも根源的な、「幸せ感」や「繁栄」に結びつく物質なのだ、とする研究が出ました。


 それが『経済は「競争」では繁栄しない―信頼ホルモン「オキシトシン」が解き明かす愛と共感の神経経済学』(ポール・ザック、ダイヤモンド社、2013年8月)という本です。

 この本に出てくる「人は本来道徳的にふるまいたい存在なのだ」と言ったアダム・スミスや、わが国の儒教文化の中の「徳治」の考え方にも通じそうです。


 詳しい読書日記はこちらをご覧ください

 わが国ではハグはちょっと―じゃあ、どうする?『経済は「競争」では繁栄しない』

 http://c-c-a.blog.jp/archives/51889965.html


 これの補足記事もこちらにUPしました


 承認はオキシトシンだけで説明できるか いくつかの補足

 http://c-c-a.blog.jp/archives/51890139.html

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■長田の「FMわぃわぃ」に4日、正田が出演させていただくことになりました


 神戸長田のコミュニティ放送局「FMわぃわぃ」(77.8MHz)の番組に不肖正田がお招きいただくことになりました。

 FMわぃわぃさんホームページ 
 http://www.tcc117.org/fmyy/index.php
 

 あす4日(水)12:00〜の「街はいきいききらめきタイム」という番組です。

 同番組パーソナリティーの田口靖幸さんがフェイスブックのお友達で、このたびお声がけいただいたものです。

 人前で話す仕事を12年もやってもいまだに慣れないしゃべり下手講師の正田は、ラジオ出演なんてもちろん初めてです。

 田口さんからは、「3人のパーソナリティがいてゲストの方が肩が凝らないよう『ゆるーい』番組進行を心掛けていますよ」と慰められましたが多分ガチガチに固まった発言を連発することでしょう…


 余程お時間のある方はどうぞ聴いてみられてくださいませ。あす12時から1時間の番組の後半に出演させていただく予定とのことです。


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◆ブログ「コーチ・正田の愛するこの世界」人気記事ランキング



1.発達障害者は注意するのが好き?『大人の発達障害ってそういうことだったのか』

 http://c-c-a.blog.jp/archives/51884228.html


2.若い人はどうしたら幸せになるのか―よのなかカフェ「幸せって何?」開催しました

 http://c-c-a.blog.jp/archives/51889933.html


3.神戸は住みやすいのか住みにくいのか?よのなかカフェ「内から見た神戸、外から見た神戸」開催しました

 http://c-c-a.blog.jp/archives/51833038.html


4.わが国ではハグはちょっと―じゃあ、どうする?―『経済は「競争」では繁栄しない』―

 http://c-c-a.blog.jp/archives/51889965.html


5.一方的に話す人へのメッセージ

 http://c-c-a.blog.jp/archives/51756867.html


★上記の3.よのなかカフェ「幸せって何?」をコープこうべ顧問の有光毬子さんが「パクらせてね」と言っていただきました。地域でみなさんで同じことをやってみられたいのだとか。「ぜひおやりになってください!」とお返事しました。
 「対話」広がるといいですね。


※このメールは、NPO法人企業内コーチ育成協会のスタッフ及び代表理事・正田が、過去にお名刺を交換させていただいた方・当協会のイベントやセミナーにご来場いただいた方にお送りしています。

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http://mag1.hyper-mail.jp/md/publish/quit.asp?mid=848



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もしこのメールを新たに購読ご希望のかたがいらっしゃいましたら、
info@c-c-a.jp まで、「メールニュース希望と書いて
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ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

皆様にとって素晴らしい1週間でありますよう。


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100年後に誇れる人材育成をしよう。
特定非営利活動法人企業内コーチ育成協会
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代表理事 正田 佐与
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ブログ「コーチ・正田の 愛するこの世界」
http://blog.livedoor.jp/officesherpa/

日本人の勇気と自信は、ここから生まれる
「第3回承認大賞」
http://shounintaishou.jp

「企業内コーチ育成のすすめ」
(株)帝国データバンク社『帝国ニュース兵庫県版』
2008年〜2012年 長期連載このほど完結
http://blog.livedoor.jp/officesherpa-column/

兵庫県中小企業団体中央会発行月刊「O!」連載コラム
「誌上コーチングセミナー」
http://c-c-a.blog.jp/archives/cat_50054961.html


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