トランプ氏が米大統領選を制した。かつてなくウソに明けウソに暮れた時代。

 私個人的にも、2016年は幸福か不幸か、でいえば間違いなく「不幸」のほうに分類されるだろう。しかし、そんな中にも良いことがなかったわけではない。

 「ある言葉」プラス「批判」という検索カテゴリで、当ブログの記事がGoogleの栄えあるワンツートップをとっていた。それも2つの言葉で。


 その2つの言葉とは――、

 「アドラー心理学」と「学力の経済学」。
 それぞれに「批判」をくっつけてGoogle検索すると、当ブログ記事が出てくる。光栄なことです。

 

 「批判記事」を自慢するのもどうかとは思うが、当ブログの「本筋」である「承認」の話はめちゃくちゃ新奇なことが言えるわけではないので、他流試合をするようになってくるのである。そして世の大勢には、とりわけ政策提言をするようなところで、悪質なウソが蔓延している。

 そして、下のリンク先の記事の中でも触れているように、「批判はいけない」という心理学のテーゼがやたらとはびこっていて、学者も一般人も近年まっとうな批判をしなくなっている。わたしの好んで読む認知科学や脳科学の研究の世界では、新しい知見が出るたびに厳しい批判にさらされ反証が挙げられてブラッシュアップされていく(個人的にはそれが爽快)というのに。また当ブログの標榜するのが「承認」だとはいっても、「承認」の総本山であるドイツ・フランクフルト学派は別名「批判理論」であり、哲学の世界では批判は当然の行為だというのに。


 前者、「アドラー心理学 批判」の1,2位記事とは――、

●アドラー心理学批判 アドラーの罪:発達障害者向けのお説教と批判封じ (2016年5月)
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51941204.html

●アドラー心理学批判 まとめ:「承認欲求を否定せよ」「トラウマは存在しない」有害フレーズの捏造と岸見氏の罪 (同)
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51941255.html

 詳しく言うと、このカテゴリの検索トップページの「一番上」には「アドラー心理学批判の学術記事」が1本にまとまってリンクが張られており、それに続いて並ぶ、学術記事ならぬ一般記事の1,2位を上記2本の記事がいただいたという形。
 こういう検索結果をつくるところからみて、Googleさんの「中の人」もアドラー心理学のわが国での奇妙な隆盛ぶりに批判的なのでは?と邪推してしまう。その中で当ブログの内容が高く評価されているというのは、光栄なことである。
 


 そして後者、「学力の経済学 批判」の検索ワードで1,2位を獲得したのは――、


●本当は恐ろしい、『「学力」の経済学』がもたらす未来(1)ー”中室提言”をよく読むと―シリーズ『「学力」の経済学』批判 (2016年1月)
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51933016.html

●エビデンスに惑わされず、論理の飛躍をじっくり味わいたい、「ほめてはいけない」論―シリーズ『「学力」の経済学』批判 (同)
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51932574.html

 『「学力」の経済学』をご存じない方のために簡単な解説をすると、この本は昨2015年6月に出版され「教育政策にエビデンスを」という内容で注目を集めて18万部ほどの中規模のヒットになった。著者の慶応大学准教授、中室牧子氏はその美貌もあって一躍メディアの寵児に、そして安倍内閣の「教育再生会議」委員に。

 しかしその中身をよく読むと

「少人数学級では学力は上がらない(だから、少人数学級制をしないほうがよい)」
「子供はほめてはいけない、おカネで釣って勉強させればよい」
「教員給与に成果主義体系導入を」

等、全体に「おカネおカネ」の価値観がテンコ盛りの恐ろしい内容。そしてエビデンスは振りかざすもののよく見ると論理はめちゃくちゃ。にもかかわらず教員給与の成果主義体系導入は、既に一部の自治体でその動きが出始めている。若手教員の過労離職対策のほうが先だろうに、嗚呼。

 当ブログの上記批判記事はそんな中、検索結果のお蔭で今も全国の教委のドメインからアクセスがある。悪しき政策の導入を少しでも阻止できているのなら嬉しい。


 
 今日の記事ではあくまで「Google1,2位」にランクされたものだけをご紹介しているが、2つのカテゴリはそれぞれ7~15回にわたる長期シリーズで、上記の各記事にシリーズ全体のリンクが張られている。もし今日の記事でご興味を持った読者の方がおられたら、他の記事も目を通していただけると嬉しい。


 Googleの検索結果の決まり方は、今年新たに「公式見解」が出ていた。

●【詳解レポ】ついに公式発言、Google検索順位2つの要因とは
>>https://seopack.jp/seoblog/20160824-top2/

 それによれば、最重要要因は「良いコンテンツと被リンク数」の2つだという。これまで推測されてきた通り。
 とすれば当ブログ記事の品質を、某ネット書店さんのレビュー欄などと違いなんの裏操作もなくGoogleさんに認めていただいたわけで、

 やはり光栄なことである。

 そして検索結果のお蔭で上記の4つの記事には今も全国の教委のドメインからのアクセスが引きもきらずある。きっと、ネット書店さんの断片的なレビューでは何も本当のことがわからないと検索エンジンに向かい、問題のキーワードとともに「批判」の語を打ち込んだ本当に困っている人がアクセスしてきているだろう。その人たちに当ブログの主張が、その背景にある思考法とともにご参考になれば幸いだ。

 考える力が弱ってきている。それはスマホやネット動画の普及等の要因が大きいだろうが、コーチングなどの心理学系の研修もそれに拍車をかけているかもしれない。みんながみんな、アーチスト系の脳になり、そこでは緻密に思考することは奨励されていない。そして組織の規律規範は下がり、仕事の品質も低下する。

 本当はかつてなく「考える」ことの復権が必要な時代なのだ。

 
 
 
 私の教育の代名詞である「1位マネジャー」を、今年はとうとう作ることができなかった。しかしその蔭でブログはひっそりと健闘していた。
 ささやかながら、今年はブログに金メダルをかけてあげたい。冬の時代の頑張りだから。


 
 「1位うんぬん」とは別に、今年は一部の友人たちに多大なお世話になった。1人で生きている積りでここ何年もきていたが、こんなにも人のご縁に支えられていると感じたことはなかった。
 とりわけ――、とりわけ、個々のお世話になった方々の名を心の中で呼びかける。ありがとう。本当に。