(これまでのお話:1988年、卒業旅行でチベット・ラサに出かけた正田は、祭りの日に暴動に遭う)

暴動から3日目ごろから、海外プレスの在北京支局から外国人の泊まっていそうな宿に電話が掛かりはじめました。

このときの通信事情は、もちろん携帯なんかないわけですが、ラサ市外、たとえば北京から宿へは電話がかかります。しかしこちらから北京や外国へ長距離電話をかけたいと思うと、郵便局まで行かないといけません。

海外プレスはしきりに私たち外国人旅行者に、暴動のときのもようやその後の市街のようすをきいてきました。

外国人、とくに日本人の対応は分かれました。



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「変なことをしゃべったら、国外退去処分になるかもしれない。にどと中国へ入国できないかもしれない」

という人がいて、それはふだん日本人の中でも一番親チベットで、チベット仏教の勉強もよくしていた子だったのは、少しおどろきました。

正田は
「知っていることは話す」
ことに決めていました。

だって前回のお話、

"I'm the only foreign journalist here!"
(私はここで唯一の外国人記者だ)

なんて言われると、弱いじゃないですか。

というのは冗談で、そのときは真剣に、

「チベットの人たちにとっては生死や身体の安全や民族の尊厳がかかっていること、
私たちあそびに来ている日本人の都合など、このさいどうでもいい」

と思っていました。

私は、ロイターやAPといった海外プレスに、

1)中国の公安が祭りの前からバルコル(八角街)の交通規制をし、チベット人が左回りに回らざるをえないようにさせて、民衆の不満をあおっていたようにみえたこと、

2)暴動の制圧のさいには催涙弾だけでなく実弾もつかわれ死者が出たこと、

3)セラ寺では暴動の翌日の夜に約40人の僧が拘束、拉致されたこと、

4)暴動当日に拘束された僧が既に拷問され死亡したといわれていること、

などを話しました。

しかし、ここには「事実認識」の壁がありました。

1)はとりあえず私が自分の目でみたこと。暴動の原因につなげられるかどうかは別の判断になりますが。

ところがそれ以外は立証できない。

2)に関して、中国当局は「実弾は使用しなかった」「死者は1人も出なかった」と主張しているので、海外プレスもそれへの反証がほしかったようです。

しかし、実弾を使用した証拠は?というと、

催涙弾を撃つ鈍い音以外にパンパンと軽い破裂音がした、
倒れている僧がいた、
ある僧が私に「写真をとるな!撃たれるぞ」と言った、

ぐらいで、

倒れている人の死亡確認をしたり傷口をあらためたわけでもないし、
短銃をこの目でみたわけでもありません。

事実確認をおろそかにしたおかげで、何も立証できないのでした。

また、セラ寺の僧の話も、おそらく
「全世界に発信して欲しい」
という願いからきていたのだろうと思いますが、
事実としてウラがとれないのです。


余談ですが、
このとき電話してきた海外プレスの北京支局の記者の中には、すくなからず女性がいました。

ひとり、これはワザと相手を怒らせて面白い話を引き出すテクニックだったのだろうと思いますが、

ある女性記者に、私は

「街には酔っ払いが溢れている」

と話しました。暴動以来、昼間からあきらかに酔った顔で街を歩くチベット人男性が増えていました。

「ほう?酔ったら楽しいじゃないの、aren't they having fun?」と相手の記者。

これにはムカッときて、

"OK, you know nothing about here, nothing!"

と言って電話を切ってやりました。
現地に溢れているやるせない思いがこいつにわかるもんかと思いました。

同時に、

「アメリカではこの程度の人でも女性の特派員が北京に来るねんなあ」

と思いました。

たぶんそれなりに、ジャーナリズム学科を出たようなエリートだったのでしょうが。

のちに北京へ行って海外プレスの人と話したとき、
「APにこんなふうに怒らせる質問をする記者はいないか」
ときくと
「あ〜、いるいる。彼女ね」
という反応が返ってきましたから、ふだんからそういう人なのでしょう。

けっして女性記者全体がレベルがひくいと思ったわけではなく、
女性にも男性と同様いろんな人がいて、それなりに普通に社内的に階段を上がっていっている、
ようするにフツーの存在である、というのが印象的だったわけです。

そういう体験をした正田が1ヶ月後に日本の通信社にはいると・・、
あらら、
女性を見慣れなくてはれもの扱いする奇妙な文化に出会いました。というお話を、小冊子のほうには書いております。

チベットがらみの話は小冊子では割愛しています。あんまりコーチングと関係ないからね。



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