さて、今日は重大事件があったのでした。


コーチ・正田の 愛するこの世界:憧れの人に会えるかもしれないのだ - livedoor Blog(ブログ)



で予告していた、武田建先生にとうとうお会いしてしまったのでした。


初めてよむ方のために解説すると、
武田先生は関西学院大の学長・理事長を歴任されたあと、今は関西福祉科学大学の教授です。

心理学・福祉学の権威であり、また関学アメフトの監督を大学、高校の両方で務められました。
正田の仕事、「コーチング」―怒鳴るしばくの鬼コーチングではなく、質問・承認型コーチングを日本に初めて持ち込み、関学アメフトの黄金時代を築いた人です。

「私自身怒鳴るタイプの厳しいコーチだった」

―それが、徹底して選手を褒め、ねぎらうコーチに変身した結果が関学高校の6年で5回の全国制覇だといいます。


ご経歴からしてどんな高齢で雲の上の人かと思いきや、
元町大丸の待ち合わせ場所に現れたのは、色の組み合わせのきれいなジャケット、ネクタイ、帽子を着けた、いきいきした活動的な人でした。1932年生まれ。


「その本はもう古いでしょう」

私の持っていた、武田氏の著書をみると、そういいます。

「これは私が学長になったころ書いたんだけど、言葉がむずかしいでしょう」

「は?!全然そんなこと思いません。すごく平易な言葉で書かれてると思います」

「よくそう言っていただくんだけどね。今度出す本は語尾を『ですます』にしています。『だ、である』じゃなく。その方がやわらかいでしょう」


いきなり反省。正田はこのブログを「だ、である」で書いているときが多い。ほらほら。

はい、今度から「ですます」にします〜。


「この本は一般の人向けの本だけど、専門家向けの本でも、私はこれぐらい平易に書くんですよ」

ふーん。すごい。

なぜ平易さにこだわるのかは、ききそびれました。
ひょっとしたら、理論だけでなく実践の世界の「コーチ」でいらっしゃるので、相手を伸ばすことに徹底してこだわると、自然とそうなるのかもしれないなあと思います。これは正田の勝手な想像。



「先生、今はコーチングは」

「ええ、クオーターバックが投げるのをね、シーズン前には見に行きますよ。関学に。今のコーチの小野さんという人と一緒にみます。私は叱らない、フォームを直すようなことはしないというのを小野さんもわかっているので」

先生にとっては、「コーチング」は自動的にアメフトにつながるようです。


「今ビジネスの世界でもしきりにコーチングが言われていまして、言われてるだけで実際にやる人はなかなか出てこないんですが、先生はどう思われますか」

思い切り誘導尋問。
新聞記者の質問にはこういうの、よくあります。

「いいことなんじゃないですか。コーチと選手、上司と部下、親と子、みな一緒ですよ。

私も最近また東京の大手企業の研修に呼ばれて行くことがあります。ああいう感じで、失敗談ばかり話して漫談調でやるんですけど。よく『成功体験を話してください』って言われるけど、7連覇とか5連覇とか、成績はもう出してますからねえ」

「先生ご著書のこのデータはいいですね、なぜほめることが大事なのか、よくわかりますね。引用させていただくと、管理職の方にも『納得できた!』と言っていただけます」

「ああそうでしょう。私はこれを親子のセミナーでも使うんですよ。上司と部下、親と子、一緒です」


めちゃくちゃ話がシンプルになってしまいました。

武田先生は、本来の専攻は精神分析のほうで、それから後発で行動理論、オペラント条件付け、レスポンデッド条件付け、とさまざまな流派を修め、留学を繰り返す中でそれぞれの分野で世界一の権威のもとで勉強することができ、自分は恵まれていた、とおっしゃる。

そういう研究者人生でありながら、話すことは平易で、それにシンプル。

週3日、3〜4コマずつ大学で大学院生を教え、土曜は朝から晩まで自宅で教えるとか。



先日インタビューさせてもらった先生の教え子の知人の聞き書きを、ご本人に了解をいただいてお渡ししました。

A411ページの原稿の2枚目に、激しく怒鳴る武田教授が登場します。

この日記↓に出てきます

コーチ・正田の 愛するこの世界:人前で話すって、ホンマに・・ - livedoor Blog(ブログ)


「ああ、これはね、『褒め上手の武田』が、年度の最初には怒鳴ってびびらすことにしてるんです。今でも怒鳴りますよ、ときどき。今の若い先生方は、叱れなくなってますね」

言いながら、興味ぶかく原稿をご覧になっていました。


次の会合もあるのでと、お話できたのは1時間15分ほど。
めちゃめちゃ奥行きの深い、そしてコミュニケーション能力の高い方でありました。