東洋陶磁博物館で開催中の「鍋島やきもの展」に行ってきました。


実は、一時期の古伊万里ブーム以来、やきもの、中でも磁器に目がない正田です。


鍋島は、ご存知のように、1650年ごろから九州・佐賀の鍋島藩で、将軍家などへの献上品として盛んにつくられたやきものです。
どちらかというと優美で女性的なな柿右衛門に比べて、鍋島は武士社会でやりとりされたものだけに、男性的な様式美や精緻さ、構図の巧みさ、などが特徴。

今回は展示品も豊富で、初期〜盛期〜衰退期の代表的な名品が網羅され、とても楽しめました。

まず目がいくのが「墨弾き」といって、背景の細かい文様を藍色(染付といいます)で描くのに、
あらかじめ墨で白抜きしたいところを描き、
その上に一面に染付で塗ってから焼成して墨をとばし、
細か〜い白で抜いた藍の地を完成させる技法。

「こういうの、いっこいっこ描きこむの、息をとめてやるんかな〜」

以前砥部焼の里で素焼きの磁器に絵付けをしたとき、ちょっとした息の乱れ、筆のスピードの変化で線が「ぐじぐじ」になってしまったのを思い出しながら。

民窯の中で技術のすぐれた人を抜擢した、鍋島の藩窯の職人たちは、
ある時期から、秘密保持のために大川内の山の中に集められたのでした。


様式美が特徴の鍋島ではありますが、中には大根や茄子や桃を大胆にあしらった構図のもの、ほかに組み紐など意外なものを扱った意匠のものもあり、

こういうのは民窯でつくられた面白い意匠を官窯にとりこんだのでしょうか。


「職人仕事」にはつい、夢中になってしまう私であります。


面白かったのは、倹約令を出した八代将軍吉宗は、やきものについても3種類、4種類の色をつかったやきものを「華美」だといって禁じたので、この時代の鍋島は染付一色か、2色づかいまでです。

これはこれで、制約のなかの味わいがあります。

また吉宗の時代は、それまで年間40〜50枚のペースで送られていた公方家への献上品も、ほんとうに途絶えていたらしいのですが、

「御内証の儀」とか言って、
吉宗が例外的に私的に注文した水差しがありました。

これは、多色使いで金箔も張った豪勢なものです。

ずっるーい、というかカワイイというか。

ハイレベルの展示品が延々とつづくためか、途中で疲れたと思ったら座れるよう椅子が置いてありました(実際けっこう疲れます)。

こういう配慮、うれしい。脳だけでなく身体もだいぶ衰えている正田。


娘達のバレンタインは、結局3連休さいごの日にガナッシュとヌガーとトリュフの3種類をつくり、部活の友達やら先輩に届けて回っていました。家族もおこぼれをちょっともらいました。男の子には全然あげないようです。

流行ってるのかな、そういうの。