前回は正田が女子大生だったころのお話。

 今回は、花の社会人一年生のころのお話です。


 どうも、一度ぐらいブログに書いたような気もするのですが・・、



 正田は最初の就職で、某通信社の外信部にはいりました。仕事はデスクまわりの雑用と英文和訳です。


 女性をとるのは初めての職場。ところが、もうひとり「女性」がおりました。スクラップを作る女子大生バイトです。


 何かにつけ「女性慣れ」していない男性の先輩がたは、

 「教えてやってくれよ」「いじめないでくれよ」

と、口ぐちに言ってきます。


 まず、女性の指導係は女性、というのがこの場合、思考停止だな、と思うんだけど。
 一応、「責任感」のムダに強い正田のこと、このバイト嬢と仲良くして勤務の合うときは一緒にお昼をたべにいったりしていました。


 ところが、


 ある時期から、このバイト嬢の仕事である「スクラップ」の作成が遅れだしました。

 何かニュースがあったときに関連記事をみたいのに、直近数日内の記事がまだスクラップされてない。

 バイト嬢はちゃんと出勤してきているんだけど、どうもスクラップをするよりは新聞記事をぼーっと眺めたり、料理記事を自分のために切り抜いたりしてるようだ。


 それをだれが注意するでもなく、入社1年目2年目の社員が慌ててスクラップの仕事をするようになりました。


 しばらくそれが続くと、「斉藤さんキャラ」かもしれないと自分で思う正田はこのバイトのコを誘っておひるに行き、


 自分の大学生時代の話をしました。

 女子大生というと、正統派のしごとで時間単位でわりがいいのは塾の講師とか、家庭教師だけど、自分は人に教える資格なんかないと思っていて、そういうほうに手を出さなかった。何をやったかというと、ほんとは新聞配達をやりたかったけど女の子はとっていませんと言われて、とりあえず喫茶店のウェイトレスをした。時給480円。1階から4階まであるサテンを一人で駆け回った。でもコーヒーは基本的にベテランの人がドリップで作り置きし、自分は運ぶだけなので、時給がそのぐらいでも仕方ないと思っていた。

 大学の新歓で教授たちと箱根に行ったとき、ロマンスカーで乗り合わせた教授に「時給480円です」と言ったら「この水割りと一緒かあ」と妙にしみじみされたので、まずいことを言ったかなあと思った。

(そのあと、「大学生ならもっと知的なバイトをしろよ」と説教されたがひょっとしたら「水割り」が後ろめたかったのかもしれない)

 まあ、そのあとは語学力もついて通訳や翻訳のバイトをするようになり、自分なりに納得しつつ時給のたかい仕事になったんだけど。

 あなた今時給いくら?そう、私のサテンのバイトよりずっといいじゃん。人にはそれぞれ役割があるんだよ。ひょっとして、同じ女のコなのに一方の私は「記者」って言われて記事とか書かせてもらってずるい、と思ってない?それは、私はそのために積み上げてきたものがこれまでにあるつもりなんだけど。目の前のことを一生懸命やっていたら、それはついてくるんだよ。


 バイトのコはいつか涙目になって、「すみません」と頭を下げました。そして次の日から、スクラップを遅らさなくなりました。

 ・・うーんこの手のことを書くと自分に酔ってる人になりそうでいやだなあ〜。今とちがって「コーチング」も「承認」もしらなかったころです。今でもたいして進歩してないけど。

 
 その後、この部には諸般の事情でいずらくなって希望して地方に配属してもらって、私の会社員人生はほんとはそこから始まった、という認識でいます。それはまた別のお話。でも深いところでつながってるかもしれないですね。