同志社大学・太田肇教授の新刊、『認められる力』(朝日選書)。


 「承認論」を数年来、世に送り続けてきた大家が、「認める側」ではなく「認められる側」のために初めて書いた本のようです。


 オビには、

「キラッと輝く個性をアピールする処世術」「Win−Win職場をめざせ」「出る杭は打たれるは、ウソ!!」

といったコピーが並び、


 少し若手のビジネスパーソンに向けた処世術の本のおもむき。


 イチローや長嶋茂雄のような有名人から

(そういえば、この先生のご趣味の中に「野球(最近はもっぱら見る方)」があったっけ)

 多くの現役の企業人まで、豊富なエピソードを駆使しながら、

「認められることがいかにモチベーションのもとになるか」

を語るとともに、

「認められるコツ」

を伝授します。
 

 そのサービス精神、これまでになく頭が下がります。


 この本で、ふと目を引いた個所。


 太田教授は、大学のゼミで学生の自由裁量の度合いを増やしたところ、学生のモチベーションが上がり、積極的に活動するようになったことを以前から紹介されていましたが、

 一方でこんな新たな視点を投げかけます。


「ところが最近、意外な欠点があることに気づきました。学生たちはみんなで集まるときは張り切って活動するのですが、一人になると専門書を読んだりじっくりと考えたりしません。要するに深みがないのです。企業で聞いてみても、まったく同じ現象がみられるということでした。日常的な承認だけでは、モチベーションも『日常』の域を超えないということでしょうか。


 問題はそれだけではありません。『楽しさ』、『面白さ』だけで仕事をしている人は挫折することが多いというのです。


 勉強だって仕事だって、楽しいときもあれば楽しくないときもあります。人間関係の煩わしさで心が揺らぐこともあるでしょう。まして仕事の場合、一人で根を詰めてやらないといけないこともあるし、楽しくない仕事に回されることだってあります。結果が出るまでに数か月や数年、あるいはそれ以上待たなければならないこともあります。そこでもたゆまず努力し続けるモチベーションは、使命感や志、それに野心です」



 うんうん、と思わず頷いてしまいました。


 任意団体時代から、正田は代表という名の雑用係をやっていて思うのですが、たとえばメーリングリスト(ML)で上手く承認が「技」として入って、メンバーが一時的にわーっと盛り上がることが、時にはあります。


 ただ、そのエネルギーは持続するものではなく、むしろ二度三度と繰り返すうちに効果が薄れて、

「あれ?もう承認効かない」


ということになります。


 「承認」によりドーパミンが分泌され、その効果は金銭による報酬をもらったときの現象と同じだ、という研究結果がありましたが、


 金銭による報酬の効果が持続しないのと同じく、「承認」も二度三度と繰り返すと効果が薄れるのです。いつまでも効く技ではない。


 そこで、モチベーションを持続させる源泉とは何かというと、個人でいう「志」、企業や組織でいう「理念」であろうと正田は考え、「企業内コーチング」のテキストでも「理念」を重要なものとして扱っています。


 長く報われない苦労に耐える原動力になるのは「理念」であろうとおもいます。

 「ごほうび」がない状況でも頑張り続けられるのは。

 …なんて、やたらとストイックな発言をするのは、正田本人が非営利団体の代表だからと、割り引いて考えてくださいませ



 とまれ、

 「仕事は楽しくなければいけない」「面白くなければいけない」

 ということを、どこかで教わって呪縛のように信じ込んでいる人は、おそらく精神的にひよわで挫折しやすいだろうとおもいます。

 あまりそういう刷り込みを与える教育はしたくないものです


 

 名古屋の吉田典生さんの「部下力」1日セミナーに行ってきました。

 このセミナー、正田は受けるのは4度目。

 今回は、とうとう「部下力私も教えられるようになりたいです!!」と、吉田師匠に仁義きって受けにいきました。


 師匠によると、今度トレーナーズトレーニングも開催するとのことでした。