今日から、高松の女性コーチ・山本カオルさんのインタビュー全6回がスタートです。


 題して「売上一位!クールなお店は、今日も問題が起きない」。


 山本さんは、自社のもつ有名アパレルブランド「C」のお店を徳島で2004年に売上1位にし、その後もずっと1位または2位の座をキープしておられるという、店舗マネジメントのカリスマ的存在。


 こうして結論だけをきくとマジックのようですが、詳しくお話をうかがうとその手法は紛れもなく「コーチング」で、聴く、承認、質問などの基本スキルを徹底的に使っています。

 ただ山本さん流のアレンジが色々入っています。

「何に使うか、売上を上げたいとか目的が明確であれば、アレンジができるんです。それから自分が基本を反復練習していること」

 と山本さんは言います。


 本日第一回目は、「セミナーと駆け落ち、逢引きしていた日々〜最初に入った店で総スカンを食って」

 ※この連載は長文です。1回1回の記事を読み終わるまでの時間は約2分。きっとその2分は、あなたの仕事をもっと楽しく、豊かにしてくれることでしょう。


(1)SC進出がきっかけで実家の会社にUターン
(2)初めて店長をした店では総スカン
(3)親に隠れてセミナー通い

 
 第一回「セミナーと駆け落ち、逢引きしていた日々〜好きなのは、人に楽しくやっていただくこと」

(1)SC進出がきっかけで実家の会社にUターン

正田:きょうはどうもありがとうございます。

山本さんはアパレル販売店を経営されるご実家に入社され、当初3店舗、12人(うち、身内が6人)の自営業の業態から、11年を経て、店舗数約25店舗、従業員数約100人の企業に発展させる一端を担われ、また、全国規模のファミリーブランドのフランチャイズ部門で、徳島県にある店を売り上げ全国日本一にマネジメントされた、ということですね。

山本:そうです。ただ最初は不動産仲介業に就職しまして。実家の仕事はしたくなかったんです。

正田:それはまた何故。

山本:私は小さいころから肥っていて、実家で売ってるお洋服がどれも入らなくて。洋服販売の人って、オシャレで人が好きで社交的、ってイメージがあるじゃないですか。自分はオシャレじゃないと思っていたし、人間関係にコンプレックスを持っていて人に嫌われるタイプだと思っていたので…、洋服販売は一番避けたい職業でした。

正田:まあ〜。

山本:たくさんの職業を経験しました。最初に入った不動産仲介業の中でも何でも屋、営業から飲食店企画から店舗建築まで。そのかたわら夜には家庭教師も。また、2年ほどリクルートの『住宅情報』の記者をしながら、夜建築学校に通ったりもしていました。その当時はまた不動産仲介に限界を感じていて、フラフラしていました。フリーターみたいな生活ですね。人生の敗者という意識で。だから、挫折した人の気持ちはよくわかります。

 そして実家に戻るわけですけれど、その当時実家の「ミモザ」という会社は、アパレル販売として岐路に立っていました。ショッピングセンター(SC)が地方にはまだなかった時期に商店街のお店3店舗を持っていて、でもSCが進出してくる。今の業態でやっていくか、それともSCに進出するか?を決めないといけない。

 そういう時期に実家の経営を継いだ兄から話があって、その時は私は半ば人生を投げていた時期で、「どうでもいいかー」「何とかなるだろう」という意識で戻りました。

 それから出店が続いて、例えば松山店を出します、というと、専務だった兄が単身で3ヵ月行き、ウィークリーマンションに泊まりながらべったりお店に張り付きます。そのあと私が同じように3ヵ月行きます。そうしてその店の店長とスタッフを育てていきます。言わば「ここに信号をつける」とか「横断歩道をつける」という仕事です。専務と私で実質店長的な関わりで、職人芸的に店長たちに教えていくわけですね。私は「部長」と呼ばれていました。


(2)初めて店長をして総スカン


正田:入社したてでそんなに店長たちに教えられるものなんですか。


山本:もちろん、できません。その前に私の修業期間があったんですよ。自分が店長的な立場になって。でも当時はだれも教えてくれませんでしたから、苦労しました。

 私が任されたのは、SCの中の店舗と、デパートのサテライトの店でした。当時バーコードもなくて、スタンプで値札を作っていました。例えばよく売れる商品があって追加で発注したいとうとき、スタッフはどこへ電話をかければいいか全然わかっていない。


正田:へ〜。すぐ欠品を起こしちゃいますよね。


山本:それまでは専務や私の母がいて、スタッフは言われた通りやっていれば良かったんです。データ整理がされていない。売上日報もない。私が行った先は愛媛県川之江市の店舗、専務は松山店に行ってしまったので、きけない。

 その当時の混乱ぶりですが、SCの店舗では10時開店だからスタッフに9時半に来るようにと言っても、9時半に誰も来ない。定時に来ないということにビックリしました。でもそれをスタッフに言うと、総スカンを食らって。あちらからしたら、何の経験もない人が店長として来て色々注文されるのはイヤですよね。

 ただ私なりに工夫したことが色々あって、バーコードに変える前は、「このタグはこのメーカーさん」という一覧表をレポート用紙に手書きで作ったり。


正田:わ〜、懐かしい感じ。


(3)親に隠れてセミナー通い


山本:また建築をしていたので、お店のレイアウトを図面に落とし込んで、「売れてる商品はここ」とやったり。

 教育もこのころ始めました。お直し(裾上げなどの修理)の仕方の通信講座があるんです。販売員として、どこにどうピンを打つ、とかの。そういうことも一切教わらない職場だったので。また販売のノウハウを教えてくれるセミナーに行ったり。

 当時の社長(父)は、学びに行くとすごく怒ったんです。
「高いお金をとって、そんなん教えてくれるなんてダマされてる」
 確かに販売セミナーは1回7万円とかしましたけどね。父は「女が勉強すると理屈っぽくなる」と嫌っていました。仕事は見ておぼえろ、きいておぼえろという方針なんです。


正田:今でもそういう人は多いでしょうね…。


山本:それで私は隠れてセミナーに行って、当時実家に一緒に住んでましたから、行くところを見とがめられると行かせてもらえないので、朝早く出て夜遅く戻ったり。


正田:セミナーと駆け落ち、逢引きしてるみたいですね(笑)


山本:そうして「こうやったら売れる」という自分なりの型のようなものを、1年ぐらい試行錯誤して作りました。

 でもそのとき考えたことは、やっぱり私は販売には向いてない、好きじゃない、ということなんです。

 じゃあ何に向いてるの?というと、「人に心地良くやっていただく」。スタッフには、お洋服が好きで、すごくセンスのいい可愛い子たち、見るからに販売員に向いた子たちがいましたから、その人たちができるようにしてあげるのは得意だなあと。

 だれも教えてくれないことで自分がすごく苦労した。兄は商売の天才で、アイデアをどんどん出して、まねができないんです。彼のやり方は感覚的なもので。すごいなあと思う一方、周りの人たちも困ってるに違いない、と。言葉で伝えられる、だれがやってもできる、再現性があることが必要だと思いました


正田:お話が戻りますけどスタッフから総スカンを食らう、というのは、若いお嬢さんにとってつらい体験ではなかったですか。


山本:つらかったですね、人間関係に敏感だったので。ただ挫折感が強すぎて(笑)不幸に対する感覚が鈍感になっていたのかも。人間関係が悪いというのは当時のうちの会社に限らず、どこにもあったことだと思いますけど。

 でもそれを経て、専務と私が「信号をつける」「横断歩道をつける」という時代になったので、私のあとの店長はすごく良かったと思います。マニュアルほどではないけれどちょっとずつ整備していって、日報もあって、わからないときはだれに連絡する、というのが明確で。

 その時期を経て、私は最初の子の産休に入ります。そして会社は、有名ブランドとフランチャイズ(FC)契約をする時代になります。


(つづく)
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山本さんの第一回目、いかがでしたか?


 地方の中小企業が大きくなるときって…、
 たぶん目はしの利いたお父様、お兄様だったと思いますが、
 あらゆるものが未整備のまま、走り続けるのが普通だったと思います。
 そんな状況が、記事から伝わりますでしょうか。


 また、山本さんご本人の「総スカンを食らっても、勉強してより良くしていく」意志の強さも。


 次回、産休明けの山本さんがいよいよ「コーチング」に出会います。

 第2回は、あす19日に配信予定です。



 山本カオルさんのお話を聴いてみませんか?

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 2月24日(火)、神戸市産業振興センターにて。

 既にたくさんのお申し込みをいただいていますが、まだ若干お席の余裕ございます。

 詳細とお申込は、企業内コーチ育成協会ホームページ
http://c-c-a.jp
から、どうぞ。


 なお、ホームページが文字化けして見えることがあるようです。
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 めちゃくちゃプライベートな追記

 娘が、お蔭様で第一志望の公立高校に推薦で受かりました

 ご指導くださった中学の先生方、塾の先生方、ほかの皆様ありがとうございました