高松の販売・サービス業コーチ・山本カオルさんのインタビューをきのう18日からお送りしています。


 きょうは連載2回目。

 前回、なにもかも未整備のお店に店長として投げ込まれ苦労した山本さん、いよいよ「コーチング」に出会います。


 「魔法のソ・ナ・タ」

 「ありがとうキャンペーン」

 「FAXでの交換日報」

など、具体的な取り組みが始まります。



 先日、正田は読者のかたから

「おいおい、面白いけどあんまり長くしないでくれョ」

と、クレーム?のお言葉をいただきました。

 でもねでもね、
 と正田はいいます。

 ひとつの組織が良くなるプロセスって、決して何か唯一の決め手があるわけじゃないんです。

 いろんなことが効を奏する、要は担い手の人が信念をもって、その場に即したアイデアを出しながら、あの手この手とやり続けるかどうか。


 おそらく、「聴く、承認する、質問する」のような部下育成術と、プラスアルファこの「継続的に、あの手この手とやり続ける」の両面で、コーチングは役に立っているはずです。


 そのプロセスをご紹介するのは、やっぱり短い文では描ききれないんですよね〜。

 連載の最終回には、恒例・山本さんの実践チャートをお出ししますので、全体像はそのときご覧くださいませ。


 …と、言い訳をお許しいただきながら、

 いよいよ今日の内容です。


「売上一位!クールなお店は、今日も問題が起きない」

 連載第二回(全6回)

「『癒されたかった私』から、企業内コーチへ」

(1)人間関係が悪かった有名ブランド「C」
(2)コーチングかカウンセリングか、コーチは見極めを
(3)「魔法のソ・ナ・タ」と交換日報
 
(1)人間関係が悪かった有名ブランド「C」


山本: FCの代表は「C」というブランドです。私は2人目の子を出産したあと、新たな「C」のお店に管理職として行って、と言われ、当時住んでいた高松から、愛媛の四国中央市と徳島市にそれぞれあるお店に、高速で片道1時間半かけて通いました。

 初めは、週に1回顔を出して「元気?」と言っていればいいよ、という話だったんです。でも、行ったらスタッフが毎日泣いている。仕事がきつすぎ、人間関係が悪すぎて。

 「C」はすごくよく売れましたが、やり方が独特でした。何から何までマニュアル化され、言葉づかいもディスプレイの仕方も。 とにかく厳しくて、時間的にも厳しかった。夜中の2時に終わって、朝7時集合などざらでした。閉店後に閉店作業をして、朝を迎えるときは、ガラッとショーウィンドーを入れ替えます。

 周年祭の時なんかは2時に終わりましたが、通常でも1時2時というのは普通にありました。早く帰れたね、というので10時です。

 すごく忙しくて、体力的に限界のところへ、スタッフたちは精神的にも追い詰められていました。当時は店長が言うことは1回しか聞けない。聞き返せない。わからなければ自分で調べろ、できなければ切り捨てちゃえばいいという世界。

 私はそれを見ていて「とにかく守らないといけない」と。何とかしないと、でも往復3時間の距離です。どうしていいかわからない。

 その当時、コーチングを学び自分にコーチをつけたんです。2003―2004年のことです。

 それは好奇心からですね。「部下をうまくコントロールする方法を学びたい」と。


(2)コーチングかカウンセリングか、コーチは見極めを


 その時のコーチは、今から思うと多少不満はあったんですが、「承認(認めること、褒めること)」だけはしてくれる人でした。承認をしてもらって、エネルギーは軽くなりました。


 でも、「こんなの役に立たない」と反発心を持ってそのときはコーチングを6カ月で終了し、その後カウンセリングを学びに行ったり、かなり横道にそれたんです。

 どういうことかというと、結局コーチとしての自己基盤ができていなかった。コーチングを受けたい私は、他人をコントロールしたいと思ったり、癒されたいと思っていたり。私はコーチングを学びたかったのではなく、問題を解決したかっただけなんだな、と。



正田:とても大事なことだと思うので、ちょっと横道にそれてよろしいですか。組織に入ってコーチングの研修をするとき、受講される方に温度差が大きいんですけど、感情的な反発をぶつけてくる方がいらっしゃいますね。本来希望して研修に入ったはずなんだけど、研修を受けてニーズのずれが顕在化してくる。それは、今のお話だとその人が「癒されたい」と思っていたのが顕在化したと考えていいんでしょうか。人をコーチしたいのではなく、自分が癒されたいのだと。


山本:そうです。癒しを求めている。一回泥水を吐き出してからでないと、きれいな水を入れることができない。ですので私はそういう方には気をつけて見ていて、個人コーチングができる場合にはそうしています。泥水は個人コーチングで吐き出してもらう。

 その人がコーチングを受け取る準備があるかどうか、見極めが必要ですね。

 お話は戻ってカウンセリングではとてもいい師匠に恵まれて、自分のトラウマをかなり癒してくださったんです。

 そうして改めて見た時に、やっぱりコーチングってすごいな、と。


正田:そうですか。メンタルヘルスとの絡みでEAPとか、上司のカウンセリングスキルの必要性とか、言われていますね。


山本:私も最初はスタッフにカウンセリングで関わっていたんですよ。泣いてばかりいたのを慰めて、癒してあげて。でもある時期から「違う」と思い始めます。うまく成長すると、コーチングが必要になります。カウンセリングでは成長しなくなる時期が来るんです。


 業績に直結するのは、(カウンセリングより)コーチングの方かな。
やることの性質、目的が違う。


「心の基礎体力」って私は言うんですけど、一流の野球選手、スポーツ選手にランニングは大事ですね。カウンセリングはランニングに当たります。
 ただ、基礎体力だけでは野球選手にはなれない。その先に、ゲームをどう戦うか、戦い方を学ばないといけません。

 未成熟な組織の時にはカウンセリングが必要です。コーチはそれを見極めないといけません。


(3)「魔法のソ・ナ・タ」と交換日報


正田:そしてこのあたりから、山本さんのコーチとしての関わりになってくるわけですが…。いただいた実践チャートの中に「魔法のソ・ナ・タ」という言葉が出てきますね。

山本:そうです。これは2003年ごろ、店長の口癖を変えるためにやりました。

「ええことしようかー」
「ええこと教えたげるけど、きく?」

って、店長に声かけして。

「ソ・ナ・タ」は、「そうなんだ」「なるほど」「たしかに」という3つの言葉です。スタッフから話しかけられたら、この3つの言葉で受けなさい、と。

 店長が問題解決策を先に言ってしまうのではなく、とにかく共感で受ける、ということを徹底させると、それだけで店長への信頼感がアップしました。そして離職率が低下しました。

 「ソ・ナ・タ」みたいにおやじギャグを入れると、みんな引っかかってくれますね。また、販売店はキャンペーンが好きなので、「○○キャンペーン」はよくやります。「気づきキャンペーン」とか、「ありがとうキャンペーン」とか。

 小むずかしくとられがちなコーチングスキルを、受け入れやすく心がけました。

そして2004年9月からは、交換日報を始めます。これはコーチングとしてはちょっと手抜きですが、産後であまり時間がなかったので、質より回数で。1週間分の表を作って、FAXでやりとりしました。私はコメントして花マルを入れて返してあげたり。相手は20人近くで、コメントを書くのに週に2時間ぐらいかかっていました。


正田:花マルですか。大人になってから、嬉しいでしょうねえ。


山本:普段は会うと怒っちゃうので、コメントは承認だけを心がけました。


正田:あ、やっぱり怒っちゃうんですか(笑)


山本:会社のルールとして、私や専務がお店に来たら「あそこが悪い、ここが悪い」と指摘することになっているんです。なので日報には承認を。「おかしいな」と思ったら、「本当にそう思いますか?」と。


正田:みなさん提出を嫌がりませんでしたか?


山本:初めは嫌がってましたよ。でもその後はかなりみんな楽しみにしてくれて。
 日報を出してくれない時は、SOSだと思ってその人に個別面談しました。出さない人は、問題を抱えているんです。
 それは産後でしばらく動けなくなったころで、その後は直接行けるようになりました。


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 いよいよ本格的に始まった山本さんの「コーチ」としての取り組み、いかがでしたか?

 次回以降も、

「えっ?!そんなやり方があったの?」

 と、目を見張るような取り組みを、惜しげもなく出していただきます。
 どうぞ、お楽しみに!!



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 2月24日(火)、神戸市産業振興センターにて。

 既にたくさんのお申し込みをいただいていますが、まだ若干お席の余裕ございます。

 詳細とお申込は、企業内コーチ育成協会ホームページ
http://c-c-a.jp
から、どうぞ。


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