高松の女性コーチ・山本カオルさんによるアパレルショップ売上1位の体験談インタビューをお伝えしています。
ご実家の会社で「部長」(エリアマネージャー)となり、店舗マネジメントをみるようになった山本さん。FC(フランチャイズ)契約の店舗では管理が厳しく、スタッフは泣いてばかり。どうサポートすればいいか悩んだ山本さんは、コーチングとカウンセリングを学ぶようになります。
そしていよいよ、「コーチ」として始動…。
みるみる、お店の空気が変わり始めます。
今日は第3回、
店舗マネジメントにも慣れた山本さんがたびたび目にする「修羅場」について、どう対処していくのか、というお話です。これもめちゃくちゃ面白く(失礼)正田は「え〜っ」と声を上げるばかり。
読者の皆様、きっとお読みになると「得した」っていう感じになりますョ!!
※この連載は長文です。1回1回の記事を読み終わるまでの時間は約2分。きっと、その2分は、あなたのお仕事を一層意義深く豊かにしてくれることでしょう。
連載第3回
「スタッフが全員辞めますと言ったら…」
(1)「店長以外みんなやめます事件」店長対スタッフの構図
(2)「1日で面談」がカギ
(1)「店長以外みんなやめます事件」店長対スタッフの構図
正田:そして次が「店長以外みんなやめます事件」。これは…?
山本:言葉通りなんですけど、あるお店の店長以外のスタッフが、店長に反旗を翻して全員「やめます」と言っちゃう。
正田:そんなことがあるんですか…!
山本:たぶん、うちだけではないと思います。どこの会社でもあることだと思うんですよ。私自身は5,6回経験しています。新店舗を立ち上げたり、店長が替わってから3ヶ月後ぐらいに、大小かかわらず、「辞めたいです」という。店長対スタッフの構図になる。
正田:すごいヘビーな出来事。でも「店長以外やめます事件」みたいなネーミングは、山本さん秀逸ですね。
山本:ヘビーな出来事でも、ちょっとネーミングしてあげると軽くなるってありますよね。
新店舗開店とか店長交代の時というのは、すごくプレッシャーがかかる状態です。また中途採用の人をとると、やり方の違いで戸惑うということもあります。3ヵ月ぐらい無我夢中でがんばって、ふと顔を上げると人間関係がうまくいっていないことに気づいたり、ストレス、不満が高まって、そこで店長に矛先がバーンと行く。
正田:ほ〜。でも、店長はガマンしてるわけですね。
山本:そうです。店長に矛先が行くという現象には二通りあって、
1. 店長自身が責任感がありすぎて、スタッフにも大変なことを強いてしまっているケース。プラスのベクトルが強すぎる。
2. 店長自身がコミュニケーションが下手で、スタッフを傷つけているケース
これらは私が分類したんですけど、そういう二種類がありますね。
「辞めます」と言っているスタッフ側には、これも私の分類で「2:6:2の法則」というのがあるんです。全体の20%内外の人たちが店長に反発してまわりを扇動している。6割の人たちは、中間派なんですが説得されて「やめます」と言っている。そして1割2割の人はそれほどイヤじゃないけど「浮きたくない」から静観している。
正田:グループダイナミックスですねえ。「2:6:2」って、パレートの法則みたい…。
山本:そうそう。あくまで私の勝手な分類で、あとでこじつけたんですけどね。
正田:山本さんのその観察力のすごさと、あとネーミング力がすごく面白いです…。
(2)「1日で面談」がカギ
山本:そうですか。ありがとうございます。
店舗でそういう事件が起きると私に連絡が来るので、私が行って全員話を聴いてあげるわけですね。で両方の意見を聴くと、店長も大きく分けると2通りあるかな、と。
店舗に行ったら、一夜にしてスタッフ全員と面談をします。そして上の2と中の6を巻き込んだら勝ちですね。静観している人は本音はどうなのか、この店でまだやりたいと思っているのではないのか。
また中間の人たちは、「イラショナル・ビリーフ(不合理な信念)」で自分は思いすぎてるかもしれない、ということに気づかせてあげる。思い込みとか、自分のストレスでだれかに当たろうとしていないか。たとえば開店前に店長の顔を見たら急に忙しくなるとか。あるいは本当に店長に傷つけられたことがあるのか。
よくあるのが、「オープン直後のこの忙しさが永遠に続くのではないか」と思い込んでいるということです。そこで1年の仕事の流れを伝えてあげて、オープン景気のときはこうで、この忙しさはあと2週間ぐらいだ、とわからせてあげる。
売れてたら売れてたで店長から怒られるし、売れてなかったらやっぱり怒られるし、でストレス一杯なので、「どこが素晴らしかった」「あなたがいたからここまでできたんだ」と承認してあげる。
あと、「店長がこんなにひどいと上司は知らないんだ」と思い込んでることも多いので、追い詰められた気分になっている。そこで聴いてあげると気持ちがゆるむ、ということがあります。
シフト制なので、時間をとってゆっくり話ができるときがないんですよ。せいぜいランチの時ぐらい。話を聴くと、思い違いだったり、ストレスが晴れるんです。
そして「2分の1の法則」と言うんですが、1日で全員に個人面談して、半分以上が「よく考えたらこの仕事を続けたい。やっぱり店長とやっていきます」と言えば、その店は立ち直ります。次の日の朝か夜に全体ミーティングをして、店長にも反省してもらって、「自分についてきてほしい」となったら大丈夫。
正田:すごーい。山本さん魔法のような手腕ですね。
山本:1日で面談するというのがポイントですね。日がたつと、山本がこう言ったああ言ったとスタッフ間で噂になりますから、問題が複雑になって。私はしんどいですよ。次の日口が利けなくなるぐらい。
面談した結果、どうしてもやれないという人は、「じゃあ1ヶ月後に退職ですね」と見極めをつけます。
次の段階なんですが、店長が本当にひどい場合は、店長の方にアプローチしていきます。多くの場合、経験不足と責任感でスタッフを傷つけている。基本的には店長の味方という立場で店長を育てていく。面談とミーティングで全体のカラーが変わっていますので、じっくりと直していきます。コミュニケーションの悪いところを直したり、みんなから吸い上げた不満を反映させたり。
正田:それ、山本さんがいなかったら店長さんは大変ですねー。
山本:それは大変じゃないでしょうか。私が大変だったので。経験した人には、店長は大変だというのはわかるけど、知らない人は、当然それも店長の仕事だと思っているでしょうね。「自分が悪いせいだ」と思って退職する店長も多いかもしれない。スタッフをどんどん辞めさせたり。
正田:お話をうかがってると、壮大な人材のムダをしているような気がしてきますね。
山本:そうなんです。(FCの)地区長、マネジャーの人たちがコーチングスキルを持っていれば、店長もスタッフもどんなに助かるかわからない。それを伝えたいというのは、すごくあるんです。
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連載第3回「店長以外みんなやめます事件」いかがでしたか?
読者の皆様の会社にも、ひょっとしたら似たような現象は、あるかもしれませんね。
知っていると知らないとでは大違い…。今度、洋服を買いにいったら、お店の人の表情をそっと見てみよう、などと、正田は不謹慎なことを考えました。
それにしてもこういういわば「修羅場」を多数経験されている山本さん、大変な人間性の幅と芯の強さを感じさせます。
次回は、離職率低下・定着率アップのための画期的な取り組み、「1:3:6:1の法則」について、お伝えしたいと思います。次回も目が離せませんョ!!
そして、
山本カオルさんのお話を聴いてみませんか?
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2月24日(火)、神戸市産業振興センターにて。
既にたくさんのお申し込みをいただいていますが、まだ若干お席の余裕ございます。
詳細とお申込は、企業内コーチ育成協会ホームページ
http://c-c-a.jpから、どうぞ。
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