高松の女性コーチ・山本カオルさんのインタビューを18日から21日まで、5回連続でお届けしました。

 山本さんは、徳島で有名ブランドショップを売上日本一にして、しかも2004年以来ほぼ1〜2位をキープしている実績の持ち主。


 なぜそうなるのか?

 インタビューの前半は、少しくらいトーンで始まりました。

 
 どんどん店舗拡張していき会社は破竹の勢いのかげで、泣いてばかりいたスタッフたち、癒されたかった私…、

 それから、コーチングとの出会いによって、山本さんからのプラスの働きかけが始まります。


 そしてきのう5回目、急に「業績」に直結した話になったので、

「えっそんな、聞いてないよ」

と思われた読者のかたもいらっしゃるかもしれません。

 喜び・悲しみ・明るい・暗いといった、「定性的」な話から、「定量的」な話に飛びますから…。


 それは、「定性的」なことの積み重ねが「定量的」な結果になるものなのです。

 そんなことはわかっているョというあなたは、えらい。


 でも不意打ちを食らった感の抜けないあなたのために、今回も恒例、

「働きかけ」⇒「スタッフの行動変化」⇒「業績への影響」

の、三段論法チャートをご用意しました。


 全部で14項目あります。

 どうぞ、売上1位・山本カオル氏の店舗改革のすべて、見てください。


※この連載は長文です。1回1回の記事を読み終えるまでの時間は約2分。
その2分によって、あなたのお仕事も人生も、一層豊かに意義深いものになることでしょう。
「売上1位!クールなお店は、今日も問題が起きない」
山本カオルさんの
働きかけ―行動変化―業績への影響チャート


〈2003年ごろ〉
(1)

〈山本氏からの働きかけ〉
上司としてコーチング的な働きかけを行う。コントロールするだけでなく、スタッフ一人一人の話を聞くように心掛けた。(当時は上司の言うことは1回で覚えろ、という感じだった。スタッフは入れ替わったほうが良いという指導。)


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〈店長・スタッフの行動変化〉
慣れていないため、戸惑いがあった。
(山本氏自身のスキルにも問題があったと思う?!)


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〈業績への影響〉
直接的な業績への影響はなかったが、一人一人と対話することで、山本氏自身が「問題意識」を持つようになる。(はじめコーチングに触れたのは、自分自身のためだったが、スタッフへの対応にも貢献するのでは?と思い始めた。)



(2)

〈山本氏からの働きかけ〉
・店長の「口癖」を変える(「魔法の言葉」の法則)「愛のソ・ナ・タ」
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〈店長、スタッフの行動変化〉
・問題解決策を言う前に「へ〜そうなんや」という一言をいれてもらうなど、簡単なキーワードを徹底。


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〈業績への影響〉
・離職率が低下
・店長に対する反感が減少



(3)
〈山本氏からの働きかけ〉
2人目出産後、職場復帰。
しばらくは何もできず。
・スタッフと交換日報をする
(「質より回数」の法則)
1対1コーチングの基礎となる


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〈店長、スタッフの行動変化〉
・はじめは嫌がっていたスタッフも、少しずつ、山本氏のコメントを楽しみにしてくれるようになった。


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〈業績への影響〉
・スタッフが、目的意識を持って行動するようになった。→生産性の向上
・複数の意見を読むため、状況を正確に判断できるようになった。
・少し心理的距離が縮まった。



2005年夏?
(4)
〈山本氏からの働きかけ〉
・有志を集めて閉店後に勉強会を行う
(ミモザサラダ)
「心の基礎体力」の法則


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〈店長、スタッフの行動変化〉
・仕事以外の「生き方」のヒントになるような情報提供をすることで、スタッフの考え方を知った(うけいれられる人と、そうでない人のさが激しくなった。)
・私のコメントを機に、結婚を決めたスタッフがいた(笑)



(5)
〈山本氏からの働きかけ〉
・「ピンチはチャンス」の法則「店長以外みんなやめます事件の乗り切り方」を発見した



(6)
〈山本氏からの働きかけ〉
・入社時期から数えて1か月3か月、6か月1年での対応を整理した「1・3・6・1」の法則


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〈スタッフの行動変化〉
・あらかじめ、販売スタッフが抱えるだろう問題がわかっていたので、今までよりは、その問題点を前向きに考えるようになった。


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〈業績への影響〉
・離職率が低下
・スタッフが余計なことで悩む確率が減った→店の雰囲気が良くなった


2006年1月
(7)
〈山本氏からの働きかけ〉
・上司として定期的な1対1セッションを始める。店長と役割分担を行い、教育する役割と、販売促進する役割に分けた「両輪の法則


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〈店長、スタッフの変化〉
・店長が心理的プレッシャーから解放された
・コーチングが実施されたスタッフには効果があらわれる。
・セッションができるスタッフとできないスタッフに温度差が出てきた。



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・販売戦略とそれに対する行動ができ、売上に貢献した。
・ただし、この時点では、社内のルールで役割分担が明確化できなかったため、1対1コーチングは全員に定期的に実施できなかった。



(8)
〈山本氏からの働きかけ〉
・「承認」を形にするため、スタッフの誕生日を祝う仕組みを作る


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〈スタッフの行動変化〉
・仲間意識ができ、お互いのコミュニケーションがあたたかくなった。



(9)
〈山本氏からの働きかけ〉
「プチ表彰制度」設定


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〈スタッフの変化〉
・イベントを楽しめるようになった



(10)
〈山本氏からの働きかけ〉
・社内コーチの役割を作るため「シスター制度」を作る(新人スタッフに、先輩スタッフから選出したコーチをつける)


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〈スタッフの変化〉
・コーチ役スタッフの自覚ができた
・新人スタッフまで、管理職が十分対応できなかったが、話ができる先輩がいることで、新人スタッフは安心感を持つようになった。


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〈業績への影響〉
・一人当たりの生産性が向上
・店長の負担が減少
・上記のため、労働分配率を低く抑えることができた。



2007年2月
(11)
〈山本氏からの働きかけ〉
・社外コーチとして1対1セッションを始める
・同時にシフトに合わせた80分研修開始 不可能だと思われていた社員研修が少しずつ実現してきた


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〈スタッフの変化〉
・明るくなった
・勉強することに、抵抗感を持たなくなった


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〈業績への影響〉
・事前に内在する人事的な危機を察知できるようになった。



2007年6月
(12)
〈山本氏からの働きかけ〉
・個人売りに特化し、コーチングをして、昨年との個人売りの効果を測定する

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〈業績への影響〉
・平均、個人売りが120%に上がる。



(13)
〈山本氏からの働きかけ〉
「個人の4つのポジションと組織の3つのポジション」の法則(ステージ理論と山本の経験をもとにした、人事に関する視点と対応を法則化)


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〈店長、スタッフの行動変化〉
・リーダーが、部下に対応する時に方針を迷わなくなった。



(14)
〈山本氏からの働きかけ〉
・ブランド「C」の仕事を10個の視点にわけ、それぞれの階級に期待するレベルを整理。
・単純なマニュアルでなく、コーチングを活かした「質問形式」のシートを作成し、集計することで仕組化




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 山本カオルさんのストーリー全容、いかがでしたか?

 
 インタビューをお読みになっていた方は、

「あれ、まったく初めて目にすることが書いてある(インタビューに載ってなかったことが書いてある」

 と、思われるかもしれません。

 そう、あなたはえらい


 山本さんの取り組みが多数かつ複雑なので、インタビューではそのごく一部しか取り上げられませんでした。

 一番主だったものをご紹介するにとどまりました。


 
 なお、「『C』の売上日本一はいつ頃?」とお尋ねすると、2004年の夏ということなので、このチャートのごく初期のころです。

 コーチングによる関わりを始めた直後に売上1位をとられた、ということなので、

 きっと、
「このやり方は正しい」
と、山本さんも確信を持って、その後も続けられたのでしょうね。


 連載の最後に当たって…、

 山本さんは、一見思慮深い穏やかな女性。でも深夜までスタッフと面談を続けるような体力も根性もあり、若いころからご家族の反対を押して大阪や東京まで勉強に出かけるような向上心の持ち主です。そして「聴く」というスキルを徹底活用、スタッフが辞める動機の抽出や意識転換に活用しています。

 お話していても、山本さんにはしょっちゅう「承認」を受けるんですが、山本さんの実践のあまりの凄さに正田は舌を巻くばかりです。

 残念ながら、お兄様の社長さんにはあまりその取組みを評価していただけなかったということですが、山本さんのやってこられたことは、とても大きなこと。

 アパレルの販売員を目指して入ってきた女の子が、でも人間関係が悪いために数カ月で辞めて…、ということを繰り返してきた世界。

 しかし、人間関係向上の取組みをし、定期的に面談で悩みをきき解決する仕組みのあるところでは、彼女たちは立派にベテラン販売員として成長していけるわけです。

 それは、彼女たちが結婚してお母さんになっても、中高年になってもずっと財産になり続けることでしょう。そして会社も実際にスキルアップしたスタッフのお蔭で業績が伸び、と万々歳ですね。

「簡単なこと」と謙遜される山本さんですが、彼女がこの経験を皆さんに共有してくれることに感謝し、より多くの方にお話を聴いていただきたいものだと思うばかりです。



 そして、
山本カオルさんのお話を聴いてみませんか?

 小売・サービス業様向け無料コーチング講習会

「なぜ、『ご機嫌な職場』では売上も上がるのか」


 いよいよあす、2月24日(火)、神戸市産業振興センターにて。

 既にたくさんのお申し込みをいただいていますが、まだ若干お席の余裕ございます。

 詳細とお申込は、企業内コーチ育成協会ホームページ

http://c-c-a.jp


から、どうぞ。


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