このところ高校生が全然学校に行きません。家にいます。


 お蔭でつい、話してる時間が長くなります。


娘「ねえねえ、音楽科の先輩が東芸(東京芸大)2次で落ちたの!!3次に進めなかったの!」


私「え〜、あのコーラス部で一番歌がうまかった先輩でしょ。厳しいんだね〜」



 娘の高校には音楽科が併設されています。


 何年も前のある日、私が高校を見学に行ったとき、ちょうど音楽科の実技試験の日で、その日は地域の人を招いてミニ音楽会をしながら、同時に試験なのでした。


 別の科の(金もうけ学科の)先生は、その日授業中騒がしかった生徒たちにいわく…、


「今、君たちと同じ歳の人たちが才能を試されてるんだぞ。彼女らが毎日死に物狂いで練習してるのを君たちも見てるだろう。それでも、才能に序列をつけられるし、その道で生きていけないとあきらめる人も出てくる。

 そういう人たちの横で、君たちは勉強してるんだぞ」


 私はこの「お説教」ぶりが気に入ってついブログに書いてしまったのでした。


 先生ご本人はあまり嬉しくなさそうでしたが。


 結局、この「お説教」と、そうはいっても今どきの子としては驚くべき素直さ真剣さで講師の話を聴いてくる生徒さんたちに打たれて、


 私は自分の娘にこの高校を勧めてみたのでした。


 最終的に決めたのは、娘本人なんですけど。



 キリギリスとして生きるのは、大変だ。


 来年は、美術科に行っている上の娘も受験。


 この子は

「あたし、そんなに才能ないと思うけど、高校の間は美術をやっていたいの。それをしたら気が済んで、大学では違うことができるかもしれないと思うの」


 てなことを、高校受験のときに言っていました。


 彼女は2年生から「クラフト(木工とか陶芸とか)」を専攻したので、

 先生方から


「いいか、クラフトは油絵のように自己満足じゃいけないんだぞ。お客様の使い勝手を考えてものを作らなきゃいけないんだぞ」


 と耳タコくらい言われ続けます。


 作品を作った後合評があるのですが、合評会でぼろくそ先生方から言われるのはまだいいほうで、


「何も言われなかったよ〜。こわいよ〜。え〜ん」


 というのもあります。


 キリギリスの世界にもダメ出しがあるのです。

 そういう世界の空気を吸っておいて良かったのでしょう。大人になってむやみにキリギリス界に幻想をもたないですみます。





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