さて、今では「化石人類」のやることかもしれないけれど、読書日記です。


DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2010年9月号は、「マッキンゼー賞〜経営論の半世紀」と題して、過去の優秀な論文の総集編のようなお得感のある巻です。(ちなみにお値段は2200円です)



「なぜ女性リーダーが少ないのか」(2007年、アリス H.イーグリー、リンダ L.カーリ」は、正田の「女性管理職私(暴)論」よりはるかにちゃんとした建設的な女性管理職論です。


 「アメリカでは、マネジャー層の40%以上を女性が占めるに至っているが、執行役員クラスに目を転じると、女性は皆無に近い」


 といいます。一方で、頂上になかなかいけない「ガラスの天井」という表現も適当ではなく、


「あらゆる階層でほぼ一様に、女性は不利に扱われている。…トップまであと一歩のところで何らかのバリアによって跳ね返されたからではなく、あらゆる階層での差別が積み重なった結果といえる。」


といいます。やっぱりアメリカでもまだそうなのね。はい。日本でも各段階で「おじさん目線」でスクリーニングされてます。


 色々見学会とかに行かせてもらった時、女性が質問した場合にどれぐらい相手が丁寧に答えるかで、その会社の女性活用度がある程度わかる、と思ってます。
(ああ意地悪おばさん目線)



 そこで、「上層部の女性比率を高めるための12か条」を提言。


1.女性リーダーへの偏見がなぜ生じるのか、社員たちに理解させ、偏見の根幹にある意識を改めさせる
2.労働時間という基準を改める
3.人事査定からできる限り恣意性を取り除く
4.人材の採用に当たって、非公式の人脈や紹介に頼らず、公募や人材紹介会社などを活用する
5.女性登用の形骸化を防ぐために、幹部クラスの女性数を一定以上に保つ
6.「チームの紅一点」という状況をつくらない
7.人脈づくりを助ける
8.女性をライン・マネジャーに任命し、骨太の課題を与える
9.家庭との両立に配慮した人事制度や福利厚生を取り入れる
10.育児負担の重い社員の昇進については長い目で見る
11.女性の復職を歓迎する
12.家庭との両立を支援する制度の利用を男性にも促す


 
 




「プロフェッショナル・マネジャーの行動原理」(2004年)は、死の前年のピーター・F・ドラッカーの論文です。


(原題はWhat Makes an Effective Executive )



「有能な経営者は、今日に最も一般的に使われている意味での「リーダー」である必要はない。

 
 たとえば、ハリー・トルーマンにはカリスマ性のかけらもなかったし、私の65年にわたるコンサルティング人生のなかで出会った企業や非営利団体の一流CEOのなかには、いわゆる典型的なリーダーとはいえない人たちが少なからず存在した。


 しかしながら彼らがそろって有能な経営者であったのは、以下に挙げる八つの習慣を実践していたからにほかならない。」


1.「何をしなければならないのか」と自問自答する
2.「当社にとって正しいことなのか」と問う
3.アクション・プランを作成する
4.意思決定に責任を負う
5.コミュニケーションに責任を負う
6.チャンスに焦点を当てる
7.会議を生産的に進行する
8.「私」ではなく「我々」の立場で考え発言する

 
 以上8つの原則それぞれに「中身」があるわけですがそこは割愛して、


「有能な経営者は、その人格、強みや弱み、価値観、信念において実に千差万別である。その唯一の共通点は、正しいことをやり遂げているということである」



 うん、名フレーズだ。





 



「共感のリーダーシップ」(2000年、ロバート・ゴーフィー、ガレス・ジョーンズ)では、

「優秀なリーダーに共通する4つの意外な資質がある」といいます。


1.自分の弱点(致命的欠陥ではない)をあえて明らかにする
2.行動を起こすタイミングや手順を決める時、かなりの部分で直感に頼る
3.「タフ・エンパシー」(厳しい思いやり)を持って従業員を管理する
4.自分だけが持っている特徴を生かせる


 そして、

「真のリーダーになるためには、次のアドバイスが有効である。―

『あなた自身になりなさい――ただし、これまでより多くのスキルを身につけたあなた自身に』」




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 さて、色々「良いリーダー」について引用してきましたが、


 知人の経営者さんに「良いリーダーってどんな人?」ときくと、


「部下を動かせることやなぁ。そして結果を出すことや」


ということで、


 ビジネスモデルのケーススタディーなんかと同じく、良いリーダーの資質もぜんぶ「あとづけ」にすぎなくて、


 本人さんが与えられた状況の中で無我夢中でやっていたことに後から理論がついてきたのだろうと思います。


 最後は、その人のもっている「現場」をみなければならないし、またよほどの不運、悪条件に見舞われない限り、「結果」−正田も人のこといえた義理ではありませんが― をみなければならないのではないか、


 でも中には学習可能なスキルというのもなくはなくて…、


 というぐらいの表現をしておいた方がいいんでしょうか。










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