1996、97年と、プロのチェス棋士とコンピュータプログラムが対戦し、96年には人間の棋士が、97年にはコンピュータが勝ち越したそうです。


 コンピュータのチェスプログラムはどうなっているかというと、「ロジックツリー」そのものです。可能性のある手を2,3手先まですべて網羅(全検索)したものを構築し、その中でより有利な手を選んでいきます。


 一方、人間の棋士はどういうふうに「手」を考えているかというと、


「将棋の名人戦などの話を聞くと、プロの棋士は『考えていない』と言うんですね。もうこれしかないという手が二つか三つだけ思い浮かんで、あとはそれらの微妙な差や価値判断を見極めて検討するんだそうです。ところがコンピューターは、より良い手を見つけるために全検索に近いことをします。そこが人間とコンピューターの違いなんです」(『脳の言語地図』酒井邦嘉、学びやぶっく、明治書院)




 これは、企業戦略を考えるときに多くの場合民主的手続きがあまり機能しないことへの説明になるのかもしれないし、


(ようするに1人のリーダーの頭に浮かんだ答えについて、説明のしようがないのではないか)、


 また、「ロジカルシンキングは20代までの素養でよい。ミドル以降はコーチング」と、正田が言っていることへの説明になるのかもしれません。



 あまり細かい間の論証が得意ではないので、どうしてそうなるの、とつっこまないでください。



 リーダーの決断力育成のために何が必要かというと、正確な状況把握やおおまかなMECEやロジックツリーの構築は前提としたうえで、

「考えないで、手が浮かぶ」ことのために、より直感が働きやすい状態を維持する、自分の価値観を明らかにする、などのアプローチが有効なのだと思います。


 「直感を働きやすく」ということでは、質問法も有効だし、健康・体力維持のようなことも大事だし、実は「未完了を完了する」みたいなことも大事です。


 
 
 (株)帝国データバンク発行の「帝国ニュース兵庫県版」に月1回連載させていただいているコラム『企業内コーチ育成のすすめ』が、連載2周年、24回になりました。


 お声がけいただいた同社神戸支店の情報部部長の野島達也さん、毎回の原稿処理でお世話になっている篠藤ゆう子さん、本当にどうもありがとうございます。


 24回目は「ゆとり世代は教えても伸びないのか―『承認大賞』応募事例より(1)」という、れいによって我田引水の記事です。




神戸のコーチング講座 NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp