『私が会社を変えるんですか?』の著者でNECの「3000人集会」を組織した組織風土改革仕掛け人、中島崇昴さんを招いたセミナー『対話の力が組織を変える〜組織の中から組織を変えたリアルストーリー』に行きました。


 
 大阪国際会議場にて、(株)ファインネットワールド 主催。
 関西ではきわめて貴重な機会。

 
 中島さんによると、対話する場づくりの基本ルールは

 ・守秘義務
 ・YES AND
 ・恰好悪い自分

だそうです。


 第一部〜第二部と、子会社、本社それぞれでの組織改革でのご苦労話や工夫のしどころを語っていただきました。



 書籍『私が会社を変えるんですか?』は、出向先のNEC子会社での話。子会社とはいえ、社員数3000人。


 本社の人事部から出向して当時最新の人事制度改革を試みたが四面楚歌。制度プロジェクト(有能な人で構成)を解散し、新たに改革プロジェクト(人望の厚い人)を発足したが、そこでも孤立した。

 
 そのとき、かなりきつい自己分析。


 ・自分がやらねば(功名心)、まわりを信頼していない
 ・制度、手法を重視、手段が目的化する
 ・リサーチ重視、360度評価やアンケート・・リサーチのことを社員の声だと信じてしまう。本当は対話しないとダメ
 ・一生懸命説明する―人間が変わる瞬間は、説得されるのではない、動かされる。人の生きざまを見る、背中を見る。


 ・表面的な明るさ
 ・上から目線

 そして、

 ・一番大きな問題は、「人を変えようとしていた」「組織を変えようとしていた」ことだといいます。


 それから、中島さんは、仲間を信じ、自分は黙り、場にルールを置く、などに徹します。


 
 いつか3000人の会社で1000人の対話集会に…。



 
 第二部では、本社に戻った中島さんが、最初14万人の会社で何もできないとあきらめていたけれど、自部署(広報)で20人規模のワールド・カフェをしているうちに、口コミで経営企画の人が顔を出すようになり、その4カ月後には3000人集会を企画するようになるまで。


 3000人集会は、延べ、ということで、一度に参加する数は200人ほど。4人1組、15分ごとに席替えをしていくワールド・カフェ方式で行います。



 そこでは「ビジュアライゼーション」(瞑想)もします。

「2017年、NECが世界中の人から愛される会社になっていて、世界中の人がNECの製品を使うようになっています。あなたはそのときどんな気分ですか?」


 というような問いを発して、目をつぶって考えてもらうそうです。


「…今の気分を話し合ってください」



 社長もそれに参加し、「目を開けたら社長室に金髪の女の人がいた」と言ったのだとか。



 
 たくさんの印象的な言葉がありましたが―、


 マザー・テレサの修道院の壁に書いてあったという詩。


 引用をお許しいただくと、


「それでも人を愛しなさい〜逆説の十か条 」 ケント・M・キース (大内博 訳)

 1.人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。
   それでもなお、人を愛しなさい。

 2.何か良いことをすれば、
   隠された利己的な動機があるはずだと人に責められるだろう。
   それでもなお、良いことをしなさい。

 3.成功すれば、うその友だちと本物の敵を得ることになる。
   それでもなお、成功しなさい。

 4.今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。
   それでもなお、良いことをしなさい。

 5.正直で素直なあり方はあなたを無防備にするだろう。
   それでもなお、正直で素直なあなたでいなさい。

 6.最大の考えをもった最も大きな男女は、
   最小の心をもった最も小さな男女によって撃ち落されるかもしれない。
   それでもなお、大きな考えをもちなさい。

 7.人は弱者をひいきにはするが、勝者の後にしかついていかない。
   それでもなお、弱者のために戦いなさい。

 8.何年もかけて築いたものが一夜にして崩れ去るかもしれない。
   それでもなお、築きあげなさい。

 9.人が本当に助けを必要としていても、
   実際に助けの手を差し伸べると攻撃されるかもしれない。
   それでもなお、人を助けなさい。
 
10.世界のために最善を尽くしても、
   その見返りにひどい仕打ちを受けるかもしれない。
   それでもなお、世界のために最善を尽くしなさい。

(引用以上)


 思わず何かがこみあげてくるような詩でした。


(「私はお恥ずかしいことにこの詩を知りませんでした」と言ったら、さっとプリントアウトしたこの詩―ふだん手帳に挟んで持ち歩いているという―を差し出してくださった「みさ」さん、ありがとうございました)



 関西で「コーチング」「対話」をこころみることで何度、心折れる思いを味わうことだろう。


 
 新たな座右の銘に。



 中島さん、企画してくださった(株)ファインネットワールドの赤木さん、ありがとうございました!


 中島さんは東京の企業内コーチコミュニティJICCCの監事もされています。

 JICCCとも今後交流ができそうです。




神戸のコーチング講座 NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp



 その2日前には、顧客企業でのミドルマネージャー向けの半年間の研修「マネージャーズ・カフェ」が終わり修了報告会をしました。


 1回当たり短時間とはいえ延べ18回も通った研修は初めての経験です。



 10人のマネージャーさん方がその人たち自身の言葉で「承認」について語り、感動と笑いの発表をしてくださり―、


 感無量でした。



 正田流の「盛り上げない、エンタメ性のない研修」もそれなりに受け入れていただいたようで。



 この方々の研修は今後は中の人が事務局となって自主勉強会として継続するそうです。



 形だけ踏襲してもだめよ。核になる人は根性が要るよ。折られても折れない精神力が要るよ。そういう姿をみて皆さんついてくるよ。



 応援してますからね。^^