9日、兵庫ILO協会60周年記念の講演会で、東レ経営研究所の佐々木常夫さんと渥美由喜さんのお話を聴きました。


 もうご存知の方も多いと思いますが、仕事のかたわら自閉症児を含む3人の子育てと鬱で肝硬変の妻の看病をやり抜いた佐々木さんのお話は物凄い迫力。



 同じ立場になったら自分などとっくに潰れている、と思うのですが、佐々木さんは淡々と、それを実現した時間管理術のお話をされ、


(私の苦手なタイプの話し方じゃないところがいいのだ)



 最後に、4人の子をもって20代で未亡人になった実のお母様の言われたという

「運命を引き受けなさい」

という言葉を紹介されました。



 続いて、同研究所ダイバーシティ&WLB研究部長の渥美由喜さんは、海外先進企業の新潮流などのお話をされましたが、


 北欧諸国、続いて南欧で女性登用の「クオータ制」を導入し早いペースで達成しているそう。お隣韓国でも。


 日本でも10年以内にはクオータ制導入になるだろう、とのことでしたが。


 こうした、「数字としての女性活用」のお話が出るとついつい考え込んでしまう。


 のは、男女雇用機会均等法施行2年目入社組の私のクセ。(だからそういう歳なんですってば。)


 制度に現実の意識が追いつかないとき、先陣をきった女性への風当たりは強い。孤立しやすい。精神的に追い詰められる。


 現場で実際にちゃんと訓練を施してもらえないまま登用される、という問題もある。正確な能力評価と訓練は車の両輪。


 
 これは笑い話として受け取ってもらえればありがたいけれど、


 正田があるときいつもの伝で「承認」を教え、「行動承認」を実際にやってもらうワークをした。


 2人1組で、人数が奇数だったので正田とペアになった人(男性)がいた。


 その人に、「私(正田)が今朝からしたことで、あなたの知っている限りのことを、事実そのままに全部言ってみてください」というと、


「えーと、先生は朝、起きましたよね。シャワーを浴びました。着がえました。お化粧をしました。家を出ました。ここの会場に着きました。終わり」



「・・・あのう、朝から今(夕方)までは、皆さんの前でレクチャーしたりワークのファシリをしていたりしたじゃないですか?それが今日の私の行動の中で一番メインな仕事じゃないですか?」


「・・・」


 つまり、女性の行動というのは、プライベートの部分しかイメージされない、記憶されないのである。仕事の面で何をやっていたか、恐ろしいほど記憶に残らない。もちろん評価もされない。


 そういう女性に対するバイアスが、男性には存在する。女性はプライベートの世界に生きるべき生き物、という暗黙の了解がある。



 この手のことは仕事をしていると枚挙にいとまもないほどあって、何かにつけて


「私は朝起きて出て来たという肉体労働しかしなかったわけですか?」


と、ツッコミたくなる。


 いくら私が「ファシリテータは黒子」、できるだけ自分の存在感を消す主義の人でも、そりゃないでしょ。



 これは結構おそろしいことで、つまり女性が仕事をするということは、その種の(大多数の)男性にとってはそれ自体不自然なことなので、いい仕事をしようがわるい仕事をしようがどうでもいい。


 ということは、能力評価など最初から「ゼロ」に等しいし、能力や意欲に応じて鍛えよう、トレーニングしようという気もさらさらない。


 そういうところに「クオータ制」など導入すると、「逆差別」とカゲ口を叩かれるのは目にみえている。


 もう目前にそういう時代がくるというのにね。




 制度より、風土。そして風土の大部分は、ミドル層が決める。



 渥美さんは、意識の変わらない管理職層のことを「粘土層―いくら言っても浸透しない―」と呼んでいたが、


 正田は決して管理職のことを敵にまわしたいとは思わない。


 むしろ中原淳・東大準教授の言った「課長オチ―何かというと全部課長が悪いという―」という言葉にいたく共感するほうである。
 

 だから人の子であるマネージャーたちに、なるべくソフトランディングで「腹落ち」するように、優しく易しく、女性活用についてもインプットしていこうとしていたのだが、、

 




 今の管理職がみんな草食系に入れ変わっちゃうまで待たないといけないのかな。



 佐々木さん渥美さんの話から随分変な方に連想が動いた。



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