一つのことを考えだすと止まらなくなる性質である。


 なんで?って思われるかもしれないけれど、貧乏性なので、

「時間のあるうちに今考えておこう。将来再発したとき困らないように」

と思ってしまう。


 このところ記事に書いている、「一方的に話す人」は、偶然かもしれないがいずれも男性で、ストレングス・ファインダーのトップ5内に「最上志向」が入っていた。


 「最上志向」の人がすべてそうなるわけでもないかもしれないが、これまでも研修受講生さんで「最上志向」の人に何度か「一方的に喋る」あるいは「途切れなく喋る」症状がみられたので、森川さんはどういわれるかわからないけれど私の観察した症状を原因の推測とともにまとめておこうと思う。


 最上志向の人は大変な努力家である。運動系にはしるとマラソンをする人、トライアスロンをする人など、周囲が肝をつぶすような自分の身体をいじめる努力をする。そう、「いじめ」は結構、最上志向の人を語るときのキーワードである。自分いじめに走る場合も他人いじめに走る場合も両方の場合もある。


 仕事でも最上志向の人は見上げた努力をし、成果を挙げる。有能な人が多い。恐らく、東大生や中央官僚などにも最上志向の人が多いだろう。(残念ながら、正田は過去3回のSFでいちども最上志向が出たことがない)


 ただここからが問題で、最上志向の人は自分のモノサシの範囲で上へ上へと努力する。それが誰からもわかりやすいモノサシで周囲の福利に貢献するものだといいが、その人にしかわからないモノサシで努力している場合もある。「変な方向性で努力」する場合もある。


 余談だがこういう「変な方向性の努力」について、「ヘンだよ」と正しくフィードバックできるのは直接本人を見て、周囲の状況もみている上司だけができる役割である。パーソナルコーチより企業内コーチの方を推進したい理由の1つがそれである。


 そして、最上志向の人が往々にして「一方的に喋る」「途切れなく喋る」症状に陥るときというのは―、


 横できいていると、それはオペラのアリアを連想しなくもない。とにかくブレスをする間も惜しんで、肺活量の限りに喋りつづけようとする。その場の時間と空間を自分の喋りで埋め尽くそうとする。それが彼らのその瞬間考える、最高の努力なのである。


 そういう喋りを聴くのもすきで憧れているし、自分もツボに入るとそういう喋り方をする。

 ―私などに言わせると、そういう喋り方がコミュニケーション効率がいいのかどうかよくわからないのだが―


 「ガラパゴス」になる人も、ひょっとしたらそういうタイプの人なのではないか。


 一度でいいから、


「勝手に喋っててください。私は食事しますから、もう相槌打ちません」


と言ってみたいものだが、最上志向の人はそれを許さない。


「オレがこれだけ最高の努力をして喋っているのだから、アンタも最高の努力で相槌打て!」

と、他人を道連れにしようとする。




 こういう場合は、やはり

「プロとして、自分の耳と心を守る必要がありますので」

と、毅然と断ったほうがいいのだと思う。


 カウンセリングの世界などでは厳然とセッション時間の制限がある。45〜50分を過ぎたら、どんなに困っているクライエントでも、カウンセリングを終了しなければならない。そしてプライベートでクライエントとの付き合いを持たない。そうやって、カウンセラーは守られている。


 カウンセラーによっては、「私は有能だから20分しかセッションをしません」と宣言している人もいた。その人によると、人は20分以上喋りつづけるとネガティブな病的な面が出てくるのでいい治療にならないのだそうである。そういう考え方もある。



神戸のコーチング講座 NPO法人企業内コーチ育成協会
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