よのなかカフェ初の英語カフェ「私、英語が苦手です。」を1日アロアロさんにて開催しました。


3307-2



台風下、それでも11名が集まりました。



今回初めて登場の新兵器、それは・・・。

3319-2


40インチの卓上スクリーンです。プロジェクタから映写し、WEB辞書で出た単語をみんなで共有したり、センテンスを打って構文をみたりツイッター実況のもようをみたりすることができます。プロジェクタはアロアロさんにお借りしました。



各自「私と英語学習」のお題で自己紹介。


U野さん(看護師)「以前の勤務先はキリスト教系の病院で外国人の患者さんが時々いた。マニュアルが日本語、英語とあって何か説明するときは両方持っていって指さして説明する。相手が何か返事した言葉はわからないからメモして詰所に持ち帰って調べる、ということの繰り返しだった。結局会話はあまり通じなかったが、身振り手振りで何とか通じさせようとし、外国の人と話すことは何となく楽しかった」


K崎さん(公務員)「中学時代は英検3級に受かるぐらい成績が良かったが、高校からキリスト教系の学校に行くと、下(中学)からきた子たちの英語のレベルが高くて追いつけなかった。さらにスペイン語が必修だったが、英語とスペイン語がごっちゃになり、それで英語嫌いに。センター試験の英語の成績は悪かった。その後短期間滞在する機会があり、そのときのレベルを維持するために英語チャットをした。またアルクの『リーディングマラソン』や『英語漬け』もした」


N原さん(WEB制作会社勤務)「全然しゃべれないが最近英会話学校にエントリーし、体験クラスを経て入学を決めたところ。先生はカナダ人の男性で感じのいい、日本語があまりしゃべれない人なのでいいかなと思っている。以前の同僚に帰国子女でペラペラな人がいてかっこいいなと思った。FOXTVが好きなので聴いてわかるようになりたいと思っている」


N筋さん(食品加工会社経営)「社会人になった後、6年間留学した。コミュニティカレッジでグラジュエートをとろうと思ったがとらないで帰国した。最初はABCとランクのある一番下のクラス。周りはパプアニューギニアからきた、まったく話せない人とかだった」


N筋さんは広告会社勤務―渡米、留学―飲食店チェーン勤務―食品加工会社―独立して今の会社を起業、と興味深い経歴の方。お話しぶりもめちゃくちゃバイタリティあります。


さてスタッフも自己紹介がてら「幼児英語教育の失敗」の話。

正田家の姉妹、19歳予備校生と高校生の妹は、幼稚園でキッズ用英語クラスがあって好きだったが、お遊戯の英語はその後にはつながらなかった。小学生時代はネイティブの男性の先生に少人数クラスで習うという贅沢な環境も、ほとんど身につかず。

なぜ?との問いに

「もともと当時は内向的で英語と言わず人と話すことに興味がなかった。先生は英語でだーっと一方的にしゃべっていた。テキストには単語と単語がどうつながるのかわからなかった」(予備校生)

(このツイートにツイッターから「自分も同じような経験をした」との声)

その後、妹の方は日本人の女の先生に習い、英語に興味が湧き英検も受けるように。

うーん、日本人の先生の方がいいのか?


スタッフでNPO経理のモトコさん:「息子は小学生のとき日本人の先生とネイティブの先生の両方についたが、中学の英語にはつながらなかった」


この世代の人は結構、「こどもに英語を」と望んで挫折しています。なんか子ども向けの英語教育法にまだ盲点があるのでしょうか。


3288-2



U野さんより質問「英語がペラペラの人って、考えるのも英語で考えてるんですか?」

N筋さん回答「英語で考えるんではなく英語で返せばいい」

K崎さん「帰国子女の友人が、茄子とeggplantとが同時に出てくるのでしんどい、と言っていた」

N筋さん「英語でしゃべったあとは、脳を2つ使って考える感じだからしんどいですよ。これは筋力なんです。僕は体育会系だからトレーニングが苦にならない。例えば自分の家の中の要らない物を集めて家の前に出して人に売れますか?それくらい必死にならないといけない」

正田「中国や韓国の人は国内にずっと住んでいてもすごく英語の上手い人がいますね。国民性の違いで、向こうのほうが競争心の強い人が多いんですが、そういう外国語学習者をみていると、結構競争心がモチベーションになっているな、と感じます」



さて、中間で「当協会の考える日本人の英会話」についてのお話。

3287-2



最初に、「承認」と「自己承認」について。


[承認とは]

相手の行動や存在価値を認めること。
(承認論提唱者・太田肇氏定義)


[自己承認とは]

等身大の自分を認めること。
何をしてきたか。何を知っているか。
自分の価値観、強み、感情の働きを知っている。
自分の限界を知っているが、自己卑下しない。
⇒自分が提供できるコンテンツを知っている。



「特に、日本人が英会話に臨むときは、あとの方の『自己承認』が大事だと思います。日本人は海外の人と比べて譲りすぎるきらいがあるので」(正田)


そのあと

「非・滞在経験者のための英語コミュニケーション戦略」

という題でのお話。(えらそう〜)


留学や駐在、長期出張といった予定があるときは、英会話学校に行ったりして本格的な英会話の勉強をした方がいいかもしれない。
しかしほとんどの時間を日本で過ごし、英語を使うとしてもたまにしかない、という人の場合、英語学習にあまり大量の時間とエネルギーを投下するのは不合理。

そういう、「基本ドメスティック」の人の学習として、「上級者レベル」を目指すのは危険。

上級者とは、例えば:
ネイティブ並 語彙豊富
文学的な表現ができる
社交会話もディスカッションもできる 
ジョークが言える
アメリカの話題も豊富


ここを目指すと、
コンプレックスに始終さいなまれ、
対等な関係が築けない
英語ができる=優位 という固定観念に縛られる


かといって初心者英語だからと、
小さい子や学生のような英語を学ぶのもお勧めしない。
モチベーションが湧かない、
相手に子ども扱いされているようで自分の尊厳が保てない。
自分の思う自分像とかけ離れる。


日本語は、文法、発音とも英語から最も遠い言語の1つだといわれる。
日本人が英語を学ぶのに困難を感じるのは当たり前。
ではその日本人が、外国人と英語を使って対等に良好な関係を築くには?


・・・というわけで、この場合の解決策は

「非ネイティブのロジカル英語」を目指そう。
アジア・ヨーロッパ等、非ネイティブの人々の共通語。
最近では「グロービッシュ」という考え方がある。

イディオム(複合語)は使わない。スラング(俗語)も使わない。
それらは、ネイティブ同士しかわからないから。
最もスタンダードな単語だけで会話する。
「戦略」とは、「何をやらないか」「何を捨てるか」を決めること。

(あくまでドメスティック学習者の場合)
「映画や小説から会話を学ぶ」のも、お勧めしない。
下手に上級編な表現を使うと、ネイティブは「こいつできる」と思ってワーッとしゃべってくる。一気に形勢不利になる。


では、どうするか?

(1)必要な単語を押さえる。⇒機械の助けを借りてOK

(2)最小限の応答の言い回しを押さえる。思いやりなどを表現することは大事
  (高度すぎないこと!)

(3)あとは、あなたの思ったこと、感じたこと、考えたことを率直に言葉にしてみよう!日頃から「言葉で考える」訓練をしよう

☆あなたの知性を表現するためには、「幼児的英語」を学ぶ必要はない!


(2)に関連して、今回オリジナル作成「相槌をおぼえよう!<保存版>」という1枚もののシートをお配りしました。

(3)に関して、N筋さん
「日ごろから日本語で考えている以上の英語はしゃべれないものですよね、絶対」

これにはツイッターで多くの賛同のツイートがありました。


このあといよいよ「英語タイム」で、


英会話初心者のN原さんにみんなで英語で話しかけ。

"You decided to start learning English, it's great!"

"You work hard and hard every day, go home very late. But you decided to take some action..."


黙ってしまうN原さんに

「"I didn't get it." (わからなかった)と言えばいいよ」とN筋さん。


「今どんな気持ち?」ときかれてN原さん、

「拷問のようだ…しんどい」。


K崎さん"Speaking English makes me big, strong and brave person." (「英語を学ぶことで、私は大きく、強く、勇敢な人になれる」)


N筋さん「"Speaking English makes me a challenger."でどうでしょう?シンプルな言い方ができるんですよ」


N原さん「英語をしゃべれなかったのが悔しい。この気持ちをもって頑張ります」

U野さんは、『ほめる英語・励ます英語』の本を見ながらN原さんに

"Keep trying."(続けて頑張って)


正田「N原さんにとって『悔しい』はキーワードなんですね。N原さんはきっとこの『悔しい』をバネに上に行ける人です。でも勝ち負けで考えないでね、相手と仲良くするためのツールだから」


19歳予備校生「K崎さんが勉強を頑張っているのがすごいなあ、と思った。私もこれから頑張ります」

「あなたはすごいなあと思った」を英語で何と言う?ときかれて


"...I think you are great."


みんなで"Good!"と拍手。(ほんとはthinkよりfeelのほうがいいかも?と、あとで言いました)


正田「相手について思ったことを言ってあげるのは大事ですね」


もうひとつポイントで、

「英語に限らず、母国語以外に外国語を1つしゃべれるというのは、ロジカルに物を考える訓練になるんです。『これって英語圏の人に通じるかな?』と考える習慣がつく。外国語学習は言葉の問題だけでなく、自分の思考の世界を広げることになるんですね」(正田)


ここで、今回仕事で参加できなかったもう1人のよのなかカフェメンバー・山口裕史さんからのメールを朗読。


(「残念ながら欠席」の連絡のあとに)

ちなみに今日は
戦場カメラマンの渡部陽一さんを取材する機会を得ました。

テレビどおりとても腰の低いかたで
あの独特の間は相手にしっかりと話していることを伝えようとしているからこそ生まれている間なのだと気づきました。
さらに、あたかも手話を話しているかのような一つ一つの言葉をわかりやすくするための身振り手振り、豊かな表情は、それこそ言葉が通じない人としっかりコミュニケーションをするためなのだなということもよくわかりました。
久しぶりに言葉に魂がこもった人と話ができた喜びを感じました。
言葉が浮ついていません。
現場主義に徹しておられるからなのだと思います。
毎日寝る前に3分間ほど1日を振り返って禅問答のような問いかけを自分にしているそうです。
お話を聞いてて、今何を話すべきか、どのような言葉を発するべきかが
よくわかっている頭のよい人だなと感じました。
そんなことも明日お話できればよかったのですが。



3233-2



「コミュニケーションの基本、ということと、『現場』を持っていることの大切さ、ということですね。

皆さんはそれぞれの『現場』をお持ちになっている。英語ができないから、下手だからといって、コンプレックスを
もったり自己卑下する必要はありません。『現場』を持つご自分に誇りを持って会話していってください」(正田)



なお、途中で「ドメスティック学習者向けには、映画や小説で学ぶのはお勧めしない」と言いましたが
N筋さんは、『天使にラブソングを』の映画を1万回以上みた、ということです。
上級編を目指そう!という気持ちになったら、お勧めです。
正田も中国語を中国映画で学びました。

リーダーの方への正田からのお勧め映画は、以前にもかきましたが南アのネルソン・マンデラ元大統領を描いた『インビクタス〜負けざる者たち』。
モーガン・フリーマンの重厚な演技、クリント・イーストウッド監督のしみじみとした演出とともに、くだけすぎないスタンダードな英語、なおかつリーダーの言動として・・・という観点からも、お勧めです。



あっという間に予定の1時間半を過ぎて、気がつくと9時を回っていました。途中PCの接続などでバタバタ手間どりましたがなんとか終了した英語カフェ。

卓上スクリーンに映しながら、というのがなかなかいいアイデアだったかも、と自画自賛。

期せずして先生役になってくださった中筋さん、そして参加者の皆さん、ありがとうございました!

やはり、「少し前を行く先輩」からの学びは、いいものですね。

いつもサポートしてくださるスタッフ諸姉、そしてアロアロさんにも感謝。


3223-2


アロアロさんのチキンカレー。いつものスタッフ食です


次回よのなかカフェは10月6日、『日本はスウェーデンを目指すべきか?副詞編』。スウェーデン人の福祉研究者、アンベッケンご夫妻をお招きして行います。

また11月2日は、『間違った就活、してませんか?』と題して、変な就活情報に惑わされて面接に臨み落とされる大学生たちや、企業の望む人材像と若手のギャップ、などの問題を扱います。

また12月11日には、第2回の英語カフェとして、カナダ人英語落語家・桂三輝(サンシャイン)さんを招き、

「英語落語+今年の十大ニュース英語版」をお送りします。ブログ読者の皆様、是非ご予定くださいね!



神戸のコーチング講座 NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp