久しぶりにブログの更新を長く中断してしまいました。

 この間の期末期初、2人の娘の出発としばしの別れに関連してあくせくと過ごし、また感情の浮き沈みを経験しました。
 日頃母親として至らなかった贖罪の気持ちもこめて、その事柄が妙に重たく人生の一大事のように思えたものが、ひとしきりとことんその中に浸ってみると、今はさして大ごとではないように思え、あらためて支えてくださったお客様と会員様、スタッフ諸兄姉のありがたさを感じるようになったこの頃です。


 本年度もどうぞよろしくお願いいたします。



 さて、この間は興味深い学びの席に足を運んでいながら、ブログでの報告が遅くなっていました。
 タイミングを逸しいささか気が抜けた感がありますが、それとは関わりなく価値のある学びでした。順不同でご紹介していきたいと思います。
 

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 3月26日(月)、東京で開催された日経BP社セミナー「アジアで勝つグローバル人材マネジメントの秘訣」。


 冒頭に基調講演をされたのは野中郁次郎・一橋大学名誉教授でしたが、従来通り「フロネシス(賢慮)のリーダーシップ」論と知識創造経営のお話。
 お題が「アジアで勝つ」「グローバル人材マネジメント」だからといって、野中先生ブレません。


 野中名誉教授と「フロネシス」については、WEB上で沢山取り上げられていますが、当ブログ記事としてはこちらをご参照ください。

 「ヒューマンキャピタル2008 野中郁次郎氏講演」

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51370837.html 


 「『我々の結論は、徒弟制だ』―野中郁次郎氏講演」

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51613562.html


 実はその次のダイキン工業の中国法人、大金(中国)投資有限公司の人事総務本部勤務・王賓氏のお話が、私的にこの日一番のききものでありました。


 中国進出後、16年間成長を続けるダイキン。井上礼之会長は昨年の日経ビジネスのインタビューで、
「新興国でも人が基本を貫く」と語りました。ダイキンと心をともにする中国人幹部が多くいて、DNAを共有する幹部、社員が多くいることを大事にしてきた。ダイキン中国の歴史は人づくりの歴史だと。


 王氏はこの日の講演で、「今抱えている人材面の課題」を3つ挙げます。
1)優秀なワーカーをどう確保するか(深刻な労働力不足)
2)「80後」の新人類とどう向き合うか
3)理念を共有する幹部をどう育成するか

まず1)について。
中国も少子高齢化が進行し、深刻な労働力不足に陥っている。今後も長く続く現象である。その少ない若手労働力は、高学歴志向であり技能校生が不足。そして内陸部の発展により、出稼ぎ労働者も減っている。
このことが採用コスト増を招き、メーカーにとっては重大問題である。

ワーカー確保のためにダイキンが取り組んでいることは、技能校との連携。現地トップが自ら技能校を回って校長に依頼する。技能校にダイキンのクラスを作ってもらい、そこで学ぶのはイコール、ダイキンに就職したということ。ほとんど社員として学んでもらう。

また「定着」への取り組みもかかせない。今の人は単なるカネ稼ぎではなく自らの視野を広げたいという欲求があるので、日本へ派遣し大学、短大の資格をとってもらうコースを設ける。技能工へ昇格させ、優秀な人には先生になってもらい後進を指導してもらう。また現場監督者になってもらう。現在、大金では現場監督、課長、すべてが中国人であり、80年代以降生まれの人が主力になっている。


2)「80後」の新人類とどう向き合うか。
「ジェネレーションY」と呼ばれるこの世代の人の特徴として、
・人と同じ道を歩きたくない、我が強い。主語を「われわれ」ではなく「我(私)」という。
・月給3000元で6000元のiPhone4を買う。新し物ずき、消費意欲は旺盛
・生まれた時からネット時代、情報はたくさん手に入る
・他人に認められたい。叱られるとすぐ落ち込む
・お給料より職場の雰囲気が大事
・国有企業、公務員が人気。
・他人の庭の芝生が青い
・社会に対する責任感もある
・発展の空間を求めている。キャリアアップ志向、成長志向。

彼らの描くビジョンは、入社して3年でキーマン、5年で課長、10年で経営に参画したい。そういう自分の夢が実現できないと思ったらさっさと移ってしまう。ドライ。

上司の力量は、まさしくこの「世代間コンフリクト」への対応力が問われている。

どうこれを真摯に受け止め、こたえるか?

これについて王氏は、「発展の空間を与えること」といい、「複雑な人事制度をつくることではない。日々のマネジメントの中で与えるもの」ともいいます。

発展の空間を与えるには、事業を拡大し続けるしかない。

イベントの多い会社。盆踊り、決起大会、社員旅行…。イベントの中で役割を与え、運営の一切合財を社員自ら行わさせることでPDCAを回させ、人との連携の仕方を覚える。イベントによって人材育成をする。

一方で企業価値を浸透させるため、現地トップがことあるごとに言う。


3)理念を共有する幹部をどう育成するか

思い切った抜擢をする。27歳で課長、32歳で部長。高卒の地域総監、副総経理もいる。

集合研修の理念教育もする。大上段にいきなりこれが理念ですというわけではなく、皆さんに実体験を出し合い、ダイキンらしさとは何かを話し合ってもらう。
「挑戦」
「人の和」
「変革」
等々。
そうして、あ、これは上司が理念といわずに言っていたことだ、と腹落ちする。

”対話力”を高めるには、ダイキン流ディスカッション。


最後に王氏は「私の期待、迷いは」と話されました。非常に流暢で冒頭には「野中先生のあとにお話しさせていただくのは・・・」と、巧みな日本語で謙遜してみせた王氏ですが、
どっこい最終的には自分の言葉でしゃべります。

王氏曰く
「中国人を幹部にすると成果は創ってくれる。しかし権限移譲をすすめるには、まだまだ壁がある。部下育成、コンプライアンス、自分の島をつくり壁をつくる、etc.…
なので日本からの出向者が果たす役割が大きい。しかし日本からの出向者は私から見て頼りない。管理職経験のない人も多い。」


「われわれは中国でやってみる、修正する、の繰り返しです」
と語る王氏。

大変に貴重な、恐らく七転び八起きの試行錯誤の連続であったろう、道なき道を歩んできた人の言葉でした。




 このあと最後に「特別講演」で登壇したエーオンヒューイットジャパン(株)グローバルリーダーシップコンサルティングディレクターの塩尻出穂氏も、やはり
「ジェネレーションY」
への対応について話をされました。

アジア全域で「ジェネレーションY」への対応は問題となっている。
ASEAN各国での従業員の離職理由をアセスメントすると、インドネシア・マレーシア・シンガポールで、上の世代にはなかった回答として「上司との関係」が上がってくる。

グローバルリーダーシップといっても英語力のことではなく、

「フェアに人を扱ってるのかどうかを問われるんだろうなと思います」と塩尻氏。


そう、「グローバル」と名づければセミナーに人が来る時代(私自身もつい足を運んでしまう)だけれど、
やっぱり「あれ」が大事、という結論になるんですよねぇ。
何よ、「あれ」って。ほら、「あれ」です。



神戸のコーチング講座 NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp