中小企業の経営者さんに関するご相談で、よく出るのが

「説明不足」

というお悩み。


 ごく短い言葉だけしか言わない、結論だけしか言わない、それだけで自分の意図が相手(部下)に伝わったと思っている。部下は戸惑い、どこまでやっていいのか手足が縮こまり、期待される仕事の何割かしかやらない。あとでわかってどやされる。あるいはお客様からクレームになる。


 どういう資質がそこに関わっているかというと、恐らく「ポジティブ」だと思う。


「ここまで言わないでも、わかってもらえるだろう」


という、無根拠の期待感。それで、「言ったつもり」「伝えたつもり」の事故が起きる。


(このほか「男は言葉が短いほうがかっこいい」と思っているとしたら、「ナルシシズム」も関係しているかもしれない)


 ポジティブという資質は、このブログにも何度か出てきているが、高い地位の人だとトップ5にはそんなに出てこない。

 「回復志向」がトップのある事業部長さんは、「昔は私もポジティブでしたよ。経験を重ねるうちにそれが下がってきて」と言われた。

 
 気を付けないと自分を含めて人はミスをするものだし、部下を持つようになれば部下全員がミスをしないように気を配らなければならない。でないとものづくり企業で言えば、重大事故になりお客様を死なせてしまうかもしれない。

 元々ポジティブが強かったとすれば、「気をつける人」に転換するのは難行、苦行であったろう。

 でも普通は拠点の長などを務めるうちにポジティブが下がり、責任感とか、リスクマネジメント系の資質が上がる。

 その転換ができていない人は、あまり高い地位に上がらないほうがいいと思う。


「分かりやすさは送り手側の責任範囲のとらえ方にある」(2008年3月、藤沢晃治さん講演)

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51309688.html


 という記事なども参照していただけるといいです。

 ・・・なんだか、過去記事の引用が多くなってるなあ。



 
 このブログの少し前の「決める人とそうでない人―聡明なリーダーの陥る『決断依存』のワナ」

 http://blog.livedoor.jp/officesherpa/archives/51814400.html


 という記事。
 
 今日もメールニュースの中でご紹介させてもらった。


 この記事の最後は、「さて、あなたの会社・組織で、「改革」をやり遂げるには、何が必要なのでしょうか…?」で終わっているけれど、

 この問いの答えは、なんだと思いますか。


 色々ある。
 この記事は決して「トップダウン」が即悪い、と言っているわけではなくて、トップダウンで決めなければならないことも多々ある。「臣下」の者が既得権益を手放したがらないときなど多いだろう。

 ただ、「説明」を尽くさねばならない。「説明」しないまま、「こういう風に変えたら良くなると、みんなはわかってくれるだろう」と期待するのは、虫がいい、甘い。

 さらに、ものの性質によっては込み入った説明が必要になるが、一方的に長々と説明するときいてもらえないので、飽きさせないように色々な表現方法、媒体、それに「参加型」「ワークショップ」形式の中で、あるいはディスカッションを挟みながら説明するとか、テクニックが必要になる。


 それとやはり「ぶれない」のも大事です。


 正田は著書『認めるミドルが会社を変える』の中で、「大人に教える16か条」というのを書いていて、受講生様方が高いレベルで学習してもらうために何をしてあげたらいいか、という話を書いている。もしご興味があればご覧ください。「ぶれない」のもその中の1つです。


 ところで「学習」には、残念ながら先日ならった「敬」というのも大事です。
 
 それは私自身がモルモットになってみて、自分の中に「敬」という心をもっていた方が、よりよく学べるのがわかる。


 目に見えるもの何もかもを見下しているような反抗期の子どもなどは、可哀想に非常に学習能力が低い人だといえます。


 受講生さん方に「私を尊敬しなさい」ということは、残念ながらできない。それは、あくまで出会いのもの、受講生さんの中に自発的に芽生えるものです。


 ただ、「敬」を損なう環境条件というのはやはりあるので、今後出会う受講生さんに関してなるべくそういうものが排除されているといい、と願うばかりです。


 心穏やかな時が戻ってきた。

 良い感情に満たされて日々を送りたい。




神戸のコーチング講座 NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp