ANA流「安全」と「サービス」そして「承認」
―河本宏子・客室本部長にきく―
(1)CAは約6000人の巨大組織

■北京線就航25周年
■6000人を部・課・グループ・班に分割




インタビュー登場人物

河本 宏子氏(全日本空輸株式会社 上席執行役員 客室本部長=当時。2014年より常務取締役執行役員。以下同じ) 
水田 美代子氏(同 客室本部 副本部長 兼 グループ品質推進部長)


ききて:

正田 佐与(NPO法人企業内コーチ育成協会 代表理事)
田村 聡太郎(カメラマン)


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(1)CAは約6000人の巨大組織

■北京線就航25周年



正田:去年、長直子様より承認大賞に大変素晴らしい応募作品をいただきまして、大賞を授与させていただきました。そのあと寺田まさご様も神戸での表彰式にご来場いただき、お目にかかることができました。ほんとに素晴らしいお二人で。




河本:お二人ともわたくしとは先輩後輩の関係です。現在はANAに籍を置いておられませんが、二人からお話を聞き、今回の場を持たせていただくことになりました。今日は足をお運びいただき、ありがとうございます。

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正田:ありがとうございます。実際にお会いしてやっぱり素敵な方々で、どぎまぎしております。

(一同笑)

正田:私自身も個人的にANAとはご縁がございまして、20数年前の中国語学科の学生時代にANAが北京線就航される直前に、当時の成田の事業所で客室乗務員(以下「CA」と略)の皆様に中国語を教えるというお仕事をしたことがございます。その時びっくりしましたのが、客室乗務員の皆様はわたくしが学生だということをご存知でいらしたはずなんですが、大変皆さんお優しくいい生徒さんでいらして。意地悪をされるということなどは全然なく。ああ素敵な方々だなあと思ったおぼえがあります。

CAさんの世界、それまでご縁がなくTVドラマで拝見するぐらいで、ばちっとお化粧をきめて綺麗な方々、でもちょっと冷たい雰囲気を漂わせて、というイメージだったんですが(笑)、イメージを一新したおぼえがあります。


河本:ちょうど今年が日中国交正常化40周年、また、弊社便の北京線就航25周年ということで、色々と盛り上げていこうとしているところですが、そのまさに就航当初お世話になったということですね。わたくしもどこかで生徒として習ったかもしれません。

今は上海にCAのベースも作って、現地採用のCAも増やしていく中で、機内での言語対応力の向上にも取り組んでいるところです。


正田:その後長(直子)さんからも、承認大賞のエピソード以外にも沢山の御社での先輩後輩のやりとりのお話を伺わせていただき、腑に落ちました。そういうことの積み重ねが、ANAファンの方が言われる柔らかい優しいサービスにつながっているんだな、と。


河本:ありがとうございます。過分なお言葉で。


■6000人を部・課・グループ・班に分割



 
ここで、ANAの会社組織全体、また、全社と客室本部の関係について簡単にご説明をいただきました。

 まず、どのような会社にでもある総務部や人事部、広報室といった本社組織。
 そして、販売計画を行う部署と併せ、世界・日本各地に配置されている営業支店を含めた販売部門。
 また、貨物事業については「貨物事業室」という組織があります。
 そして、空港に目を移せば、各空港における業務を含めたオペレーションを司る「オペレーション統括本部」。
 このほか「整備本部」、パイロットの所属する「運航本部」、そしてCAが属する「客室本部」があります。
 「客室本部」は、本社で5000人、グループ会社も含めると、6000人近いCAがいる巨大組織です。
 
 その客室本部の組織の中はというと…。

 安全をはじめとしてサービスや様々な業務手順・規程関連を司る部署、訓練や教育の企画・実施を担当する部署、そして、ANAとしては5千数百名のCAが所属する「乗務部」という組織があります。「乗務部」は3部に分かれており、また、各部の中にそれぞれ3つの課があります。加えて、大阪をベースとする三百数十名のCAが所属する課もあります。このほか上海、ロンドン、また、最近では韓国と台湾も含め、これらそれぞれをベースとするCAがいます。


 次に、乗務部の中をさらに詳しくご説明いただきました。

各課にリーダーと呼ばれる者がいて、これが一般的に言う課長です。ただ、課と言っても、かなりの大所帯ですので、課の中を6から8の「グループ」に分け、そして、さらにその中に7つから8つの「班」を設けています。

 リーダーがいて、その下にIM(インフライト・マネージャー)という役職の者がおり、その者が1つの課の中に6から8ある「グループ」を統括しています。そして、最小単位である「班」をまとめる、いわゆる班長がTC(チーム・コーディネーター)という者になります。




河本:わかりやすく言えば「軍隊組織」的なところがありますね、ある意味(笑)。小チームがあって、そのチームを束ねるグループがあって、またそのグループを束ねる課があって、そして部があって、という階層になっています。


正田:「承認大賞」のエピソードの当時でいうと、寺田まさごさんがいらして、長さんがその下にいらして、という感じですか。


河本:その当時はたぶん、寺田さんはIMで、長さんはその中の班員だったと思います。班の中の一員である長さんを寺田さんが推薦してインストラクターに、ということだったと思います。



その巨大組織の中で働いている5000人のCAは、どうか。
「現在では34,5歳というところの人数が多い構成になっています。」(ANA客室本部)とのこと。「やはり女性ということもありますので、会社の中のキャリアと併せて、個人の生活環境と言いますか、結婚や出産・育児をきっかけに退職したり、休職したりする者が多いという状況です。ただ、会社としても女性として働きやすい環境を整えていますので、退職ではなく休職を選択して、引き続き乗務に復帰する者も昔に比べると増えてきています。」(同)




河本:とにかく大きな組織ですので、班単位にまで細分化しながら運営をしているというのが実情です。それを前提にお話を聞いていただけると、わかりやすくなると思います。


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((2)ほめる・認め合う・関心を持つは大切な価値観に続く)


ANA流「安全」と「サービス」そして「承認」
―河本宏子・客室本部長にきく―

プロローグ―「承認大賞」から生まれたインタビュー

(1)CAは約6000人の巨大組織

(2)ほめる・認め合う・関心を持つは大切な価値観

(3)歴史――出発点は「激しい競争」と「CS」

(4)「小さなことほど丁寧に、当たり前のことほど真剣に」

(5)「安全」と「自由闊達」――意識調査は企業の健康診断

(6)「ゆとり世代」の指導の仕方は 

エピローグ―「おせっかいCA」をつくりたい―「安全」と「承認」のタッグ

あとがき・石切にて




神戸のコーチング講座 NPO法人企業内コーチ育成協会
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