ANA流「安全」と「サービス」そして「承認」
―河本宏子・客室本部長にきく―
(2)ほめる・認め合う・関心を持つは大切な価値観
■「承認のマネジメント」とは言っていないけれど―
■3万3千人が使う「グッドジョブカード」
インタビュー登場人物
河本 宏子氏(全日本空輸株式会社 上席執行役員 客室本部長=当時。2014年4月より常務取締役執行役員、以下同じ)
水田 美代子氏(同 客室本部 副本部長 兼 グループ品質推進部長)
ききて:
正田 佐与(NPO法人企業内コーチ育成協会 代表理事)
田村 聡太郎(カメラマン)
(2)ほめる・認め合う・関心を持つは大切な価値観
■「承認のマネジメント」とは言っていないけれど―
正田:ANAの承認のマネジメントというと、これまであまり外に出たのを拝見したことがないように思うんですが。
河本:お話をする前に、確認をしなければいけないと思っていたのですが、ANAでは特に「承認のマネジメント」という言葉を使ってはいません。ただマネジメントをする中で、自分たちが大切にしたい価値観ですとか、文化の中で、「ほめる」「お互いを認め合う」「支え合う」「支援する」、そういった言葉を多く使っているというのが現状かと思います。また、こうした人材育成の中でチームを束ねる人達にはコーチングなどの研修を行い、そういう中では、「承認するというのは、ひとつの大切なことですよ」と、言葉としては使っています。
正田:そうですか、それは申し訳ございません。事前にご質問項目を考える上で、そのあたりもちょっと気になっていましたので。
河本:お話する中で合ってくると思うんですけれども、承認をするというのは、認めるとか、お互いのことに関心をもつという意味では、私達も非常に多用しているフレーズですので、そんなに違わないというふうには思います。
正田:ありがとうございます。それではちょっと言葉の部分を柔らかくとらえながら(笑)、そういったものがよく使われるマネジメントといいますか、お仕事の現場というのは実際どんなものなんでしょうか。
河本:あとで少し職場を見学していただければと思いますが、ここからクルーがフライトに行って、飛んで帰ってくる。そういった場面で、現場の客室乗務員とマネージャーたちが、色々接点を持っているわけです。そういった中での声の掛け合い、フライトの中でこういうことがあって、お客様からこういうご意見をいただきましたということであれば、それに対して「ありがとう」とか「良かったね」というような声を掛けていく、というのが日常的にございます。
正田:え、そういうところを見せていただけるんですか。
水田:実際にフライトをしている客室乗務員との接点においては、そういう交流があるということですね。
■3万3千人が使う「グッドジョブカード」
河本:それと、「グッドジョブカード」というものがあり、これをデスクで渡したりする場面を見かけるときもあります。もちろん毎日毎便ではないんですけれども、このような形のものも日々の中でやっています。
(グッドジョブカードを渡す)
正田:ありがとうございます。
河本:みんなこれを携行していて、お互いの仕事をいいなと思ったら、個々に贈り合うというものです。
全社的にもこういったグッドジョブカードを運用していまして、こういう承認のマネジメントといいますか、褒めるとかお互いを支援するというのは客室だけではなく、グループ全社員で取り組んでおります。
正田:そうなんですか。凄いことですね。いやいや取ってつけたようにきこえたかもしれませんけれど本当に心から(笑)。
河本:フライトから帰って来たクルーへの声かけですとか、台風などでダイヤが大きく乱れたりしたら、みんなにも大変な勤務をしてもらっていますので、そういうときに「お疲れ様」ですとか、「ご苦労様」というような声を掛ける姿は、どこの職場でもそうだと思いますが、それは日常的にありますね。
正田:先ほど全社員というお言葉が出ましたが、皆様が全社員っておっしゃるときはどのあたりまで、全部で何人の方をおっしゃってるんですか。
河本:現在、ANAで約1万3千人位、グループで約3万3千人です。この羽田空港だけでも何十社もの会社の社員がいて、飛行機1機が飛ぶのにも色んな会社が関わっています。そういう方たちも仲間として、こういうグッドジョブカードをお互い受け渡したりしています。
また、グループ会社でなくても、例えば地方の空港などへ行きますと、その空港で地元の企業に採用されて働いてくださっている方もいらっしゃいますので、その方たちも仲間ですから、もっと広い範囲になるかもしれないですね。
正田:それは羨ましいですね。
((3)歴史――出発点は「激しい競争」と「CS」に続く)
ANA流「安全」と「サービス」そして「承認」
―河本宏子・客室本部長にきく―
プロローグ―「承認大賞」から生まれたインタビュー
(1)CAは約6000人の巨大組織
(2)ほめる・認め合う・関心を持つは大切な価値観
(3)歴史――出発点は「激しい競争」と「CS」
(4)「小さなことほど丁寧に、当たり前のことほど真剣に」
(5)「安全」と「自由闊達」――意識調査は企業の健康診断
(6)「ゆとり世代」の指導の仕方は
エピローグ―「おせっかいCA」をつくりたい―「安全」と「承認」のタッグ
あとがき・石切にて
神戸のコーチング講座 企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp
―河本宏子・客室本部長にきく―
(2)ほめる・認め合う・関心を持つは大切な価値観
■「承認のマネジメント」とは言っていないけれど―
■3万3千人が使う「グッドジョブカード」
インタビュー登場人物
河本 宏子氏(全日本空輸株式会社 上席執行役員 客室本部長=当時。2014年4月より常務取締役執行役員、以下同じ)
水田 美代子氏(同 客室本部 副本部長 兼 グループ品質推進部長)
ききて:
正田 佐与(NPO法人企業内コーチ育成協会 代表理事)
田村 聡太郎(カメラマン)
(2)ほめる・認め合う・関心を持つは大切な価値観
■「承認のマネジメント」とは言っていないけれど―
正田:ANAの承認のマネジメントというと、これまであまり外に出たのを拝見したことがないように思うんですが。
河本:お話をする前に、確認をしなければいけないと思っていたのですが、ANAでは特に「承認のマネジメント」という言葉を使ってはいません。ただマネジメントをする中で、自分たちが大切にしたい価値観ですとか、文化の中で、「ほめる」「お互いを認め合う」「支え合う」「支援する」、そういった言葉を多く使っているというのが現状かと思います。また、こうした人材育成の中でチームを束ねる人達にはコーチングなどの研修を行い、そういう中では、「承認するというのは、ひとつの大切なことですよ」と、言葉としては使っています。
正田:そうですか、それは申し訳ございません。事前にご質問項目を考える上で、そのあたりもちょっと気になっていましたので。
河本:お話する中で合ってくると思うんですけれども、承認をするというのは、認めるとか、お互いのことに関心をもつという意味では、私達も非常に多用しているフレーズですので、そんなに違わないというふうには思います。
正田:ありがとうございます。それではちょっと言葉の部分を柔らかくとらえながら(笑)、そういったものがよく使われるマネジメントといいますか、お仕事の現場というのは実際どんなものなんでしょうか。
河本:あとで少し職場を見学していただければと思いますが、ここからクルーがフライトに行って、飛んで帰ってくる。そういった場面で、現場の客室乗務員とマネージャーたちが、色々接点を持っているわけです。そういった中での声の掛け合い、フライトの中でこういうことがあって、お客様からこういうご意見をいただきましたということであれば、それに対して「ありがとう」とか「良かったね」というような声を掛けていく、というのが日常的にございます。
正田:え、そういうところを見せていただけるんですか。
水田:実際にフライトをしている客室乗務員との接点においては、そういう交流があるということですね。
■3万3千人が使う「グッドジョブカード」
河本:それと、「グッドジョブカード」というものがあり、これをデスクで渡したりする場面を見かけるときもあります。もちろん毎日毎便ではないんですけれども、このような形のものも日々の中でやっています。
(グッドジョブカードを渡す)
ANAのグッドジョブカード
正田:ありがとうございます。
河本:みんなこれを携行していて、お互いの仕事をいいなと思ったら、個々に贈り合うというものです。
全社的にもこういったグッドジョブカードを運用していまして、こういう承認のマネジメントといいますか、褒めるとかお互いを支援するというのは客室だけではなく、グループ全社員で取り組んでおります。
正田:そうなんですか。凄いことですね。いやいや取ってつけたようにきこえたかもしれませんけれど本当に心から(笑)。
河本:フライトから帰って来たクルーへの声かけですとか、台風などでダイヤが大きく乱れたりしたら、みんなにも大変な勤務をしてもらっていますので、そういうときに「お疲れ様」ですとか、「ご苦労様」というような声を掛ける姿は、どこの職場でもそうだと思いますが、それは日常的にありますね。
正田:先ほど全社員というお言葉が出ましたが、皆様が全社員っておっしゃるときはどのあたりまで、全部で何人の方をおっしゃってるんですか。
河本:現在、ANAで約1万3千人位、グループで約3万3千人です。この羽田空港だけでも何十社もの会社の社員がいて、飛行機1機が飛ぶのにも色んな会社が関わっています。そういう方たちも仲間として、こういうグッドジョブカードをお互い受け渡したりしています。
また、グループ会社でなくても、例えば地方の空港などへ行きますと、その空港で地元の企業に採用されて働いてくださっている方もいらっしゃいますので、その方たちも仲間ですから、もっと広い範囲になるかもしれないですね。
正田:それは羨ましいですね。
((3)歴史――出発点は「激しい競争」と「CS」に続く)
ANA流「安全」と「サービス」そして「承認」
―河本宏子・客室本部長にきく―
プロローグ―「承認大賞」から生まれたインタビュー
(1)CAは約6000人の巨大組織
(2)ほめる・認め合う・関心を持つは大切な価値観
(3)歴史――出発点は「激しい競争」と「CS」
(4)「小さなことほど丁寧に、当たり前のことほど真剣に」
(5)「安全」と「自由闊達」――意識調査は企業の健康診断
(6)「ゆとり世代」の指導の仕方は
エピローグ―「おせっかいCA」をつくりたい―「安全」と「承認」のタッグ
あとがき・石切にて
神戸のコーチング講座 企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp
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