NHK「週刊ニュース深読み」の中の特集「STOPいじめ」をぼーっと見ていた。

 記憶を頼りであまり正確ではないが、尾木直樹さん他数人の識者のかたが次のようなことが述べられていた。(間違っていたらごめんなさい)


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・今のいじめはネットを使った「サイバーいじめ」の形をとる。被害者と加害者が早いスピードで入れ替わる。今の子は「親友に本音を話せない」という。

・ケータイへの依存度がすごい。防水ケータイも普及。「風呂に入ってるとき話やメールができなかったら困るから」。逆にそこまでのめりこんでいたケータイをいじる回数が減ったら、いじめられているサインかもしれない。あまりにもひどいメールが入ってきて見るのが怖くなるから。

・今、高校生でケータイ普及率95%。中学で40%代、小学生で15%。高校にケータイが普及したとき爆発的に高校でいじめが起こった。今からは中学だろう。


・何かの調査で小学生から高校生までを調査したところ、9割の子がいじめに何らかの形でかかわっていた。いじめるか、いじめられる側になっていた。

・アメリカでは去年マサチューセッツ州でいじめを苦に女の子が自殺すると、大問題になり、3か月後には同州で「いじめ撤廃法案」が可決された。その後続々と追随し、今では全米30以上の州で同様の立法がされている。日本はいじめに対する認識が甘すぎる。

・兵庫県川西市では10数年来「子どもの人権110番」を市長直轄でつくり、心理士や弁護士などが入っている。いじめの訴えを受けると学校との間の橋渡しをする。学校がいじめを否定しても、「いや、それは第三者的にいじめですよ」と言ったり学校への勧告権をもつ。ある程度機能している。

・教委がいじめを隠す例は多い。教委の6割以上の職員が教職員で、現場に戻ることも考えられ、かばい合いになりやすい。

・先生の事務仕事がどんどん増えている。子どもの成績評価も、点数以外に提出物が遅れた回数、挙手の回数など根拠が細かくなって書類仕事になる。報告書類。備品を何をどれだけ使ったとか。そして教員免許更新のための研修。子どものほうを向いている時間がない。

・学校の評価制度、教員の評価制度、それぞれが、いじめを隠す要因になってしまっている。いじめがあったら評価が下がる。だから先生は知っていても1人で抱え込む。助け合い教え合うようにならない。

・子ども同士だけではなく先生に対するいじめもある。「レイプするぞ」などという匿名メールが来て、子どもからきたか同僚から来たかわからない。そうして孤立する。


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 なんと、くらい現状認識のオンパレードでしょうか。

 最後に尾木さんが、「生徒会を機能させ複数人で『この学校にいじめを起こさせない、みんなが安心して登校できる学校に』と呼びかけるしかない」と提言していたが・・・、


 くらい現状認識を徹底させたうえでの提言なので、そう的を外していないように個人的にはおもいました。決してポジティブで言っているのではない。(ちなみに「複数人で」と強調していたところに、以前ブログでご紹介した、『心でっかちな日本人』(山岸俊男)の影響を見いだせなくもない。「場」の変革には複数人の声が必要です)


 見ながら連想していたのは、恐らく既に社会人の若い層にも蔓延しているだろう「いじめ体質」そして「悪口体質」のようなもの。

 悪口を言うことが日常化し、「人の悪口を言うのは悪い事だ」というまともな倫理が通用しない。とにかくサイバー上で文字情報として回ってくるから。そして「被害者になるくらいなら加害者になれ」という原則があるから。

 
だから、上司世代も「どんな悪口を回されるかわからないからこの世代の子を叱りたくない」という。これは直接きいてはいないが河合薫さんの本にありました。

 叱られた不快感を「悪口を言う」ことで処理していたら、それは無反省な、成長しない子だろうな。


 また、大学教育関係者などがいう「うちにくる子は大人しい」という言葉。「おとなしい子」というのを、ひょっとしたらいじめの影響を疑ってみるべきかもしれない。「出る杭は打たれる」を徹底して経験してきたら、「おとなしい人格」が出来上がるかもしれない。


 ここでまた、「日本はいじめについて認識が甘すぎる」という尾木さんの言葉がリフレインする・・・



 嫌な現実を目をそらさないで見よう。下り坂のこの時代、そういう精神で当たるべきなのだ。

 やみくもにポジティブな、景気のよい提言に逃げてはいけない。

 日本人はいつから、こんなにポジティブになってしまったんだろうか。



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