iPS細胞を創った山中伸弥・京大教授のノーベル医学・生理学賞受賞、とても嬉しい。


 この人の右腕である高橋和利講師の話を2年ほど前、シンポジウムで聴いた。


 思い切り「チームビルディング」「強みを活かす」の話だった。自分には何も取り柄がないこと、いかに各分野の専門家のチームメンバーに助けられたかの話をユーモアたっぷりに話された。


 でもそれを可能にしたのはやはり山中教授のリーダーシップだった。


 山中教授は、今回の受賞まではいかつい男っぽい雰囲気の人だと思っていたが(ラガーマンだし)、このところの長時間の露出の中ではどちらかというとなでしこジャパンの佐々木則夫監督のような、気さくでおもろいおっちゃんキャラのようだ。

 そういう人が「ビジョン」を追求したのだ。


 奈良医科大からこの師弟コンビを採用した京大もなんと懐の深い大学ではないだろうか。


 一方日本人の森口尚史氏によるiPS細胞移植手術の話は、きのう記者会見をしたようだが何とも後味がわるい。


 この人の過去の研究業績すべてに疑義がつきつけられている。そのうちいくつかは今回と同様、自らメディアに売り込んでいた。

 そういう研究者人生、というものをつい思う。本来看護師の資格しか持たずに、アメリカに行ってハーバード大に1か月だけ籍を置いて。「ハーバード」やっぱり決めに使えるよなぁ。


 NHKのインタビューVTRを見ても、「患者さんがものすごく元気になられて、社会復帰されたんですよ」と言う。華々しいが曖昧きわまりない言葉である。しかし、山中教授の業績がノーベル賞を受けてこの分野が注目を浴び、かつまだ臨床応用にはほど遠く具体的な患者さんを救うに至らない状況を歯がゆく感じるときに、「すっ」とはまる言葉なのだ。「ほしい」言葉なのだ。

 そういう、タイムリーに「ほしい」言葉、「ほしい」研究業績を言う才覚は人一倍あった。いわば新聞社のデスクになりかわって「ここにそろそろこんなのが『欲しい』なあ」という需要をするどく見抜き自分が演じるマーケティングの才覚は。


 記者会見でみると、「1回は(手術を)やったんですよ」と言いながら、やや言いよどむ、でもほとんど表情を変えない。言った言葉と事実/現実との整合性をもともとあまり気にしないタイプの人なのだろうか。もともとそういう人なのか、それともこれまで何度かメディアに情報提供し、自分の言葉をそのまま信じるメディアと付き合ううちにそうなったのだろうか。

「(虚偽の5回の手術については)する予定はあった。虚構ではない。悪意ではない」…おいおい。


 わたしも過去には研究者の言葉とその提供してくれた論文のコピーだけを基に記事を書いたことがある。
 怖いなあ。




 
 今の自分の問題として言うと、だから、成果を発表する側としては慎重であらねば、と思う。教育研修の世界では、本来は、

「正田さんの教育のお蔭でこんなに良くなりました」


と言ってくれる受講生さんが過去に何人かいればそれで十分すぎるぐらい、なところがある。もともとエビデンスなんかそんなに気にしない業界である。


 でも、正田が女性であるにもかかわらず得られる成果が半端でなく大きい、だから胡散臭くみえる。

 できればすべての今から出会う受講生さんたちに、

「この教育は本物なんだ。このメソッドに従って間違いはないんだ」

と信じさせてあげたい。



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