18日(日)、岐阜県・恵那市岩村町に幕末の儒者、佐藤一斎先生ゆかりの史跡を、神戸師友猶興会主催の旅行で訪れました。


9303

佐藤一斎銅像
 


 神戸から東へ約3時間かけて、名神〜中央道を経て現地へ。「岩村山荘」で現地の鈴木先生の講義を拝聴します。
 佐藤一斎先生は、知る人ぞ知るですが(私もこの旅行まで知らなかった)佐久間象山、山田方谷、吉田松陰、西郷南洲らに影響を与えた儒学者。表向きは朱子学、裏では陽明学に造詣が深かったと言われ、行動に駆り立てる陽明学の部分が幕末の思想家・志士たちの心に響いたのかも。


 ただ岩村藩士の息子として江戸の藩屋敷で生まれ育ち、岩村町には50歳過ぎのときに生涯に唯一1回立ち寄っただけでした。でも岩村町の人々は銅像を建て、小泉純一郎元首相を招いて除幕式を行い、小泉さんに揮毫もしてもらいました。さすがです。


 著書に「言志録」をふくむ「言志四録」や「重職心得箇条」。小泉首相は在任中、「重職心得箇条」の一節を引用して田中真紀子元外相をいさめたそうです。


 
9300

岩村山荘の昼食。お城の層の形の食器が楽しい



9313

古い町並み。銘酒「女城主」と伝来のときのままの味、製法というかすていらが名物です



9320

岩村城は「日本三大山城」の1つ



 細やかな気配りで旅行を引率してくださいました神戸師友猶興会の山本勝彦先生、またご同道の皆様、ありがとうございました。



 日経ビジネス2012年11月19日号には、「イノベーションを生む組織」という記事の中で、

「日本低迷は社員のやる気のなさ?」と指摘しています。


 KeneXa High Performance Institute(ケネクサ)という人事コンサルティング会社の調査。

 2011年の調査(回答者数は、世界29カ国のフルタイム社員3万1000人以上)で、エンゲージメント指数は、全体で前年の60%から55%に5%下がった。加えて、すべての主要国、すべての産業、すべての職種で、前年に比べて低下している。

 その中でも、日本は、31 %で調査対象国中最低。日本企業の社員の7割は、自分の仕事や職場に誇りや愛着、使命感を感じず、受け身のやらされ感で日々仕事をしているようだ。

 さらに同社は、社員のエンゲージメント、組織のリーダーシップ力、企業業績の三社の関係を統計的に分析している。同社の分析によると、組織のリーダーシップ力が社員のエンゲージメントに影響を与え、社員のエンゲージメントの高さが企業業績を左右するということが、統計的に立証された。 


同社の調査では、日本のエンゲージメント指数は、近年40%以下で最下位が定席になっている。日本経済と日本企業の低迷が長引くミクロ要因には、組織のリーダーシップ力と社員のエンゲージメントの低さが関係しているのは間違いない。

 ケネクサの調査によると、企業業績に影響を与える社員のエンゲージメントを高める要因は、目指す未来の姿に対して自信を持って示す経営者、部下を尊重し信頼できる上司、社員にとっての成長機会、社会善を重んじる組織文化。要は、社員が自分の成長と将来を託すことができるリーダーと組織であることが、社員の力を引き出すカギになる。もちろん、言うのは簡単だが、実際は大変。世界中の企業が地道な作業に取り組んでいるのだ。
 (日経ビジネス2012年11月19日号p.101、太字正田)


 わたしどもが地域に対して繰り返し訴えてきたことが大変な手間ひまをかけて、やっと立証された、という感じです。
 ビジョナリーなリーダー、そして部下志向のマネジャー型リーダー、どちらも大事です。「リーダーシップ」というとき、統率する、引っ張る、強引にどこかへ連れて行く、という軍隊式のそればかりイメージすることが、あるべきリーダー教育を遅らせています。

 これに限らず類似のことは繰り返し言われてきたのではありますが、この記事がとりわけ同意できるのは、世界的なリセッションの下、組織の活力の回復が至上命題になったという認識のもと、枝葉のことをご商売の種にするのではなく本質的なことに取り組もう、という機運が出てきているのかもしれません。と思いたいです。

 良いリーダーシップをつくる作業と言うのは地道で、根気が要る、長い時間がかかる。でも業績のためには、それが本質的な取り組みです。

 わたしの経験では、良いリーダーシップから遠い人格の職人集団を束ねる立場の人の教育は、とりわけ非常に手間がかかる。教育に反応するまでも時間がかかるし、良くなっても教育をやめたらすぐ落ちてきてしまう。落ちてきてしまうのは教育の責任ではなく、教育を続けなかったことの責任。

 
 
 さあ、本質的なことを未来のためにどれだけ話せるでしょうか・・・。



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp