また「1位マネジャー現象」が起こってしまった。


 昨年6月に研修し、このほど6か月後の結果が出た人です。

 ただ今回は私にとってあんまり嬉しい話ではない。例によって、企業内研修で「ひびいた」人と「ひびかなかった」人がはっきり分かれ、そのなかで「ひびいた」1人のマネジャーさんのもとでモチベーション指数ががーんと上がってしまった。当初全体の中では下から数えたほうが早かったのだが6か月で16施設のトップに躍り出てしまった。というお話です。


 いかに「ひびく」人をつくるか、歩留まりを良くするかが引き続き課題。

 
 このグループの研修の場合は、グループ全体の平均年齢が高かった。例外的に「ひびいた」人も含め60歳以上ばかり。


 この世代の人は「団塊」であり、日本の一番いいとき、イケイケドンドンで何事も何とかなった時代に青春を謳歌した人々であります。勢いとナルシシズムさえあれば何とかなってきた。鼻っ柱だけは強い。大風呂敷は広げる。


 だから「人の育て方」なんて辛気臭いことを今更習おうとは思わないのです。純と愛のお父さんだってとうとう変われなかった。


 今後はこの年齢層の人を対象に研修したいとは思いません。もしこの層の人に対して研修が必要だ、という話になったら、同じ世代の男性が講師になってやっていただきたいと思います。


 とまれ、1位になった人については3か月の調査が出た時点で大きくポイントが上昇していたので、インタビューをしに行きました。まだその時点では「1位」までにはならなかったが「上から数えたほうが早い」状態にはなっていました。

 種明かしすると、「インタビュー」と「1位」も相性がよいのです。「承認コーチング」を始めてある程度の手ごたえをつかんだところで、ご本人にその取組ぶりをインタビューしそれをメルマガやブログに掲載する。するとその「インタビューされ、掲載された」ことが「行動強化」の役割を果たすようで、そのあとさらにうなぎ上りに成績が上がってしまうのです。

 これは過去の銀行支店長さん、自治体の課長さん、その他何人もの「1位マネジャー」「業績急上昇マネジャー」で経験しているので確信に近いことです。


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 「歩留まり」の問題に関しては、どうもやはり講師の私よりは研修事務局の仕事が大きくものを言うように思う。中高年の受講生が「この講師の話をしっかり聴こう」と思うかどうかは、研修中ではなく研修前日と開始時までにほぼ決まる。いかに前宣伝を上手にやるか、綺麗な包装紙に包むか、プロモーションの問題であるように思う。


 とりわけ風采のあがらない中年女性講師の私のばあいには。またもちろん、研修効果の上がりにくいことが予測される高年齢層の受講生の場合には。


 このブログにはなんども出てきている話だが、事務局がだらんとやる気がなく、講師紹介をカミカミで読んだり、「オレの方がこんな女よりずっと凄いんだぜ」とナルシシズムをこめて、揶揄や皮肉を交えて読んだりしたら、それでもうその研修はアウトだ。悪意が一気にその場に流れ込む。丁寧に作り込んだシェフの料理にウェイターが毒を仕込むようなもの。こういう言い方をすると傲慢なようだが、でも本当である。ひとつの研修ではっきりと結果を出して組織を良い方に変えたいのなら、講師と心中する覚悟をするしかない。もともとそういう時代の曲がり角を意識した賭けのような研修なのである。


 こういう内容のことを去年はとりわけ何度もブログに書いた。恐らく、2012年はひときわ多く研修事務局の悪意やナルシシズムに見舞われた年であったと思う。嫌な時代だ。また今年になってからも一部では続いた。


 自分が依頼しておいてどういうこっちゃ、と言いたくなるが、自分のナルシシズムを正確にコントロールできる人材は、私の経験では「研修事務局業界」には少ない。恐らくあまり自分に厳しくない人々が、ナルシシズムを喚起するような性質の研修にたびたび曝露するから、職業病のようなものなのだろうと思う。その結果組織や部署の存在目的に反することも平気でやってしまう。ナルシシズムで身を持ち崩してしまう。彼らはそれでいいと思っているのだ、もともとひとつの研修に組織を変える力があるなんて思っていないんだから。


(付記すると、正田はNPOの前身の任意団体コーチング・リーダーズ・スクエアの時代は講師もしたが事務局もずっとやっていた。東京から川崎から京都から、信頼できる講師をお招きして薄謝でお話をしていただいたが、そのとき会得したのは「講師紹介とはすなわち承認である」ということだった。リスペクトと今日話をしてくれることへの感謝の念をこめて講師のこれまでの軌跡をよむ。それをきちんとやれば、講師が口を開くときには会場に同じ感情が流れていて、学ぶためのベストの空気をつくれるのだ。結局何が最高のお客様満足か、である)


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 20日の兵庫県社協での研修の宿題が返ってきました。

 期日より早く、真っ先に提出してくれた人に対して私は、

「早かっただけでなく過去を通じて最高の出来の宿題です」

と絶賛のコメントを送ったが、そのあとも非常に高いレベルの宿題が続いている。

 この人たちには、届いた。ひびいた。しみじみと嬉しくなる。
 この回は、事務局の方と私の合作だった。良い研修ができた。

 もう少し待ってから共有ファイルを作って皆様にお送りします。

 期日を過ぎても待ってるからね。


 また、本来福祉業界の出身でない私にこうした研修の機会を与えてくださった事務局の皆様と、その前の段階で完全未経験者の私に数年前初めて依頼してくださった某ソーシャルワーカー事務所様、またそこに参加した結果、力強い成果を出してくれた某受講生さんに感謝。あなたがたが日本の介護福祉を変えたかもしれない。




100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp