千葉県の公立小学校教諭・城ヶ崎滋雄先生―この方については今後「スーパー先生」とか「ウルトラ先生」とか何か、キャッチフレーズが色々つくかもしれませんがここではあえてつけないでおきます―へのインタビュー第二弾。


 3月28日、都内において3時間にわたり行われました。全13回でご紹介いたします。

 今回はインタビュアーの正田の個性でかなりマニアックな内容になっています^^

 「マニアックが好き」な方だけ、お読みください。

 また、これは城ヶ崎先生の個性なのか正田の方も今回は珍しく多弁にしゃべっておりますので、インタビューというよりは対談に近いものになっております。


(1)メンバーの個性をどうつかむか
(2)不登校指導は「自己流」
(3)子どもの指導と成人教育と
(4)教師が「怖い」と感じるとき
(5)「冷徹な眼」と「間の技術」
(6)保護者との風景―懇談、連絡帳、学級通信
(7)武術家にとっての教育
(8)小学校時代の荒れと恩師
(9)翻訳は「みる」修業だった
(10)日本人と承認と城ヶ崎メソッド
(11)承認教育―大人が教育を受容するとき
(12)武術は「型」にこだわる
(13)「なんで」の訓練が子どもになぜ大事か



(1)メンバーの個性をどうつかむか
■竹馬指導でポイントになる子
■「大人クラスは分かった頃には終わり」(正田)
■うまくいってない人の思考法
■「教員にはコーチングの研修はないですよ」(城ヶ崎)



■竹馬指導でポイントになる子


正田:先日(2013年3月17日)は、折角大阪へお越しになったところ、私が私用でご一緒できず申し訳ありませんでした。代わりにうちのNPOの山口さん、大前さん、間瀬先生とご歓談いただいたようでとても嬉しく思っています。その後お話の録音も聴かせていただきました。

城ヶ崎:2月は、4時間にもわたり授業をみていただきまして、有難うございました。まさか朝練習のところから見ていただけるとは思っていませんでした。
しかし正田さん、あのレポートは良く書きすぎですよ。

正田:いえ、見たままを書かせていただいてます(笑) また、その後のお話も大変おもしろかったです。
前回のインタビューの終わりごろの話ですか、放課後家からもう一度学校へ来させて遊ばせ、学校が閉門になったらさらに公園で遊ばせるというお話、あれには感動しました。

城ヶ崎:子どもは遊ぶものですから。遊んでるのが何が凄いの?ってまず思いますね。

正田:うーん…。あそこまで遊ばせてくださる先生は今は少なくなりましたよね。幼稚園もそうでしょ、わりと知育の方に行ってしまって。自由遊びはなかなかさせないようになっているので。

城ヶ崎:ただ、やることはある程度私の方から「これやろうね」と提示してるので。1つ言えば上達するものを選んでいる。

正田:はいはい。前回、竹馬をまずやるというお話が出ましたけれど、竹馬ってそんなに簡単なんですか。私はしたことがないのでわからないんですけど。

城ヶ崎:あの年代の子にとっては簡単です。1週間やれば、「乗れる」と実感を持てるぐらいにはなれますよ。まあでもやはり大人し目の子にターゲットを絞って選びましたけどね。

正田:あの中だとAちゃんとか。

城ヶ崎:Aちゃんよりもっと目立たないBちゃんっていうのがいたんですけど、もう本当に声も小さくて、「こういう子だな」と思ったんですね。大人しくていい子だから見逃されがちな子なんですよ。そういう子を引立ててあげると周りが変わります。(広げたお絞りの中心を持って)こうやると、周りがずるずるずるーと上がってくるんですよ。(端の方を持って)こうやると、上がらない。片方しか上がらない。クラスもそうなんですけどどこか1つに焦点を当ててやると全体がひゅっ、と上がってくる。

正田:それを見つけるんですね。


■「大人クラスは分かった頃には終わり」(正田)

城ヶ崎:うん、見つけるっていうか、この子は活発なんだな大人しいんだなというのはもう分かりますからね。正田さんもコーチングの指導をしていて感じませんか。

正田:それはあります。ただ、大体1日しか時間を貰えないことが多いので。そうですね、分かった頃には終わっちゃってるということが多いかな。

城ヶ崎:ああそうですか。1日の講座の中で「変わった」ってわかるものですか。

正田:私のやっている「承認」というプログラムはちゃんと学んでくれさえしたら本当に変わるんです。まあ私は成人相手なのでめったに「変わる」という言葉を使わなくて、成長したとか部下を伸ばせるようになった、という言い方ですけど。その学ぶ姿勢を創るところが一番大変ですね。
 人の個性でいいますと、先日は3時間のプログラムの中でも熟達者グループと今いちグループと、割合はっきり分かれていました。熟達者ともやりとりしながら進めるんですけど、今いちグループの人は最後の最後までうんうんうなりながら考えていて、最後になって「分かった!」って叫んだので、「偉かったですねー、ここまでとことん悩んだというのはすごいエネルギーの要ることですねー。やる気なかったら悩みませんからねー」って。「そしてこの人、Aさんが悩んでたのをBさんCさんがずっと待ってたでしょう。偉いことでしたねー。みなさんこのグループに拍手」と。

城ヶ崎:悩むんですか。

正田:悩まれてましたね。20分ぐらい時間をあげて課題を出してディスカッションをしてもらうんですがらその中で。そのときはセミナー後半から私が「承認」というキーワードを出したので、「この承認がわからなかった」と(笑)


■うまくいってない人の思考法

城ヶ崎:
小冊子(『最高のプロの2日間の授業』北中―正田対談、NPO法人企業内コーチ育成協会)の方に書いてあったのは、「そんなので変わるわけない」って半信半疑というかもっと低いレベルで入ってきた人を変えていくのは大変、ということでしたけど、そうじゃなくてもなかなか変わらないものなんですか。

正田:オープンセミナーと企業研修という括りがあるんですけど、オープンセミナーに来る人は大体やる気はあるんです。チラシを見て「あ、なんかこれ良さそう」と思ってピッとエントリーしてきた人なので。城ヶ崎先生も色々な勉強会に行かれますけれどもモチベーションを持って行かれますよね。そういう人達だと、講師は最初から信頼関係がもう始まっているのでやりやすい。お伝えしたことを吸収してくださりやすいんです。先ほどの今いちグループが長い事悩んでいたというのはオープンセミナーでの話です。わからないなりにモチベーションが高かったから悩んでいた。
 こっちの企業研修の方々がもう大変で、大体強制的に人事とか総務の方から行けと言われて、「仕事してなきゃいけないのにこんな所に来さされて」「大体オレ勉強なんか好きじゃなかったんだよ」(笑)というノリで入って来てますから。それを解決するためにできるだけ1日じゃなく数回のシリーズで採用していただくように働きかけてますけど。また研修と個人面談を組み合わせて、1人1人が「個」として扱われていると実感できるようにするとか。

城ヶ崎:来る人達は、コーチングっていうわけですから、下に部下がいるような人が来るわけですよね。部下じゃないんですよね。

正田:そうです。

城ヶ崎:ということは、部下がいるにもかかわらずそういう「なんで行かなきゃいけないの?」っていう人たちは、あまり部下のことで悩んでないんですかね。

正田:悩んでないというか、「うまくいってない」という自覚はあるんですけどでもそれを認めたがらない。

城ヶ崎:「うまくいってない」というのが認めてることになるんじゃないんですか。

正田:(笑)それは城ヶ崎先生、学校でも色んな先生がいらっしゃると思いますけど、例えば荒れてるクラスをどうにもできないでいる先生も中にはいらっしゃるわけでしょう。

城ヶ崎:ああなるほど、「それはあなたの腕が悪いよ」という話なんだけど子どものせいにする、というようなことですね。

正田:そうです、そうです(笑)。で、その子どものせいにするっていうのを、例えば総務・人事が鵜呑みにしてしまうと、じゃあ若手の方に研修をしよう、となるんですけど、それは違うんです。やっぱりリーダーの方に研修をしたほうがいいんです。


■「教員にはコーチングの研修はないですよ」(城ヶ崎)

城ヶ崎:
正田さんの本『認めるミドルが会社を変える』(カナリア書房)に書いてありますもんね。あれを見た時に「親の後姿をみて子どもが育つのと一緒だな」と思いました。つまり、子どもが悪いんじゃなくて親の仕草をみて子どもは育ってるんで、結局上にいる人が方向性を示してあげたり態度を変えると下も変わっていくんだろうなー、と思いました。

正田:それは本当にそうなんです。

城ヶ崎:その嫌々来ている人達を変えていくのが大変なんですね。

正田:大変ですね。企業研修の限界があるんですけど、研修講師の立場として「嫌われたくない」というのがあるんですね。民間企業ですから、研修講師も。嫌われてアンケートに嫌な事書かれたら仕事が来なくなりますから。そうすると機嫌をとるっていうか、例えば面白おかしい演芸調でお話をして何分に1回笑いがとれる講義をするとか。でもそういうテクニックがあるというのは凄いことなんですけど。
ただ、笑いをとることがトレードマークになってしまうと、そこでは受講生さんは「学ばない」です。笑いだけを期待するようになってしまいます。だから楽しいけれど学習としての効果はあまりないですね。

城ヶ崎:確かに私たちも、「行け」と言われた研修は、「なーんで行かないといけないんだ」と思って後ろの席に座っちゃいますからね。

正田:そうなんですか。県教委とか市教委の研修ってありますでしょう。

城ヶ崎:つまらないですよ。

正田:私はまだ教育委員会さんの研修ってしたことがないので、どういうプログラムがあるのか詳しく知らないんです。一度見せてもらったことがあるかなあ。子どもの学校の校長先生に、プログラムを。大学の先生のお話が多かったですかね。

城ヶ崎:そもそも教員にコーチングの研修はないですよ。神戸はわからないけど、私が勤務している市では。

正田:京都に教育コーチングの専門の会社があるので、割合そこが関西の教委には入っているみたいです。

城ヶ崎:カウンセリングという項目はあるんですけど、コーチングとカウンセリングは違いますもんね。コーチングだと子ども達を変えていくというか、じゃあどうしたらいいの?と視野を広げるイメージで。カウンセリングだと悩みをきいて共感していればいいんでしょうけど、私たちはそういうわけにはいかないので。



(2)不登校指導は「自己流」 に続く




100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp