人の強み理解のスタンダード、ギャラップ社の「ストレングス・ファインダー」のシリーズ最新刊が先月出ていました。


 『ストレングスリーダーシップ〜さあ、リーダーの才能に目覚めよう』(トム・ラス&バリー・コンチー、日本経済新聞出版社、2013年3月)。


 ギャラップ社のこのシリーズは、2001年に『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』(マーカス・バッキンガム、ドナルド・O・クリフトン、同)が出て以来10年以上のロングセラー。アメリカ最大の調査会社ギャラップが人の34の「強み(ストレングス)」を抽出したもの。

 人材育成の性格分析でこうしたアセスメント、ツールは多数ありますが正田が自腹でいくつか受けた中ではこれが(1680円〜と安価なわりに)一番優秀でした。さすがに調査のプロ・ギャラップ、受検していて自己評価バイアスが入らないよううまく考えてあります。それでも何度か受検するとパターンがわかってくるきらいはあるのですが…、
 あと正田の予感ですが今どきの(?)遺伝子解析や脳画像診断とも、このツールは相性がいい。人の生得的能力のバリエーションと環境との相互作用で獲得する後天的能力のバリエーションを上手く押さえている気がします。例えば「能力A」と「能力B」はそれぞれ独立の因子だから両方備えていることはあり得る、みたいなこと。


 今回はそれのリーダーシップ版ということで、それぞれの強みをもつリーダーがチームをどう率いるべきか、を説いています。

 ここで特筆すべきは、「フォロワーの4つの基本欲求」を明らかにしたうえで(これも膨大なサンプル数からの抽出。欲求の内容は本書をお読みください)、リーダーはこの基本欲求を満たす必要があることを前提とし、それぞれの強みをもったリーダーが具体的にどう満たすか、を述べていること。

 ようするに、わたしの言葉でいうなら、リーダーがどんな強みの持ち主であれ、「フォロワーの基本欲求」からの制約を受けること、自分の強みの命じる通りにのびのび自由に振る舞ってよいわけではないこと、を言っているという点で、従来の「強み本」の弱点であった過剰にポジティブな説明より地に足のついた説明となっています。


 ・・・困りますよね。リーダーが「オレの強みはこうだからこう振る舞っていいんだ!」と居直ってしまったら。


 本書は1800円と従来本よりやや高いですがちゃんとアクセスコード付きで、そのアクセスコードは巻末にシールの形でついており、これも従来本で表紙カバーの裏に印刷してあったところ本屋の店頭で盗撮され使われていた、などということのないよう配慮されています。


 リーダーとして「強み」に親しんでみたい、という方はこちらの本がお勧めかもしれません。

(「学校の先生」にも良いかと思いますがこのブログを読まれるレベルの学校の先生だと、今更かも?)


 あと正田も10年以上このツールには親しみ、ここ数年は師匠について「裏ストレングス・ファインダー情報」みたいなものも仕入れているのでもしご興味のある方はお声がけください。



100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp


 
余談:個人的に正田はどうなのか、というと2001年に初めて受検して以来「親密性」「個別化」がずっと上位で安定しています。4つの資質群でいうと「人間関係資質」で仕事している人間らしいです。「競争性(勝ち負け)」は極端に低いです。これはギャラップ社が最近34の強み全部の順位がわかる商品を出してくれたのでわかりました。また「ぶつかりまくる人生」はどうやら「調和性」が低いところに起因するようです。はい、文句たれだと思います。思考系の資質は数年単位でめまぐるしく入れ替わり、どれもそこそこ持っていて必要に応じて入れ替えているようです。