このところ延々と取り上げている「発達障害」の話に 大きな進展がありました。


 19日、神戸で開かれた障害者雇用促進セミナー(主催:兵庫労働局、神戸市)は、2つの講演とも発達障害のお話でした。

 その1つ、東京海上ビジネスサポート株式会社(特例子会社、TMBSと略)の採用能力開発部部長・内藤哲氏のお話。


 障害者の法定雇用率は昨年4月から民間企業で2.0%へ引き上げ。そしてTMBS社では身体の障害者が高齢化しているのに鑑み、今から障害者雇用の中心は発達障害者だ、との認識にたち、2010年の設立時より発達障害者を雇用しました。東京海上グループ全体の障害者雇用率は2.06%。
 障害のある社員の従事する業務は、アンケート入力等のデータ入力・加工、保険事故受付通知の発送、DMの封入・発送 等です。


 発達障害の社員を採用するうえでのチェックポイントは

・働く意欲はあるか(やらされ感はないか)
・体力があるか(毎日、定時に通勤できるか)
・上司(指導員)の指示を素直に聞くことが出来るか
・向上する意欲があるか
・周囲との関係が穏やかに保てるか
・最小限必要な「チームワーク」、協力体制が形作れるか
・楽しみ、趣味があるか(気分転換ができるか)
・休日を有効に過ごせているか
 (休日に翌日に備えて働く準備が出来ているか)

 
 続いて、株式会社ニチイ学館神戸ポートアイランドセンター センター長の岡順子氏からのお話。

 ここではユニバーサルオフィスとして、特例子会社ではなく普通雇用で障害者・高齢者を雇用しています。13年2月現在、障害者12名を雇用。12名のうち5名が発達障害、ただ身体の障害の人も発達障害をあわせもっている人がいます。
 
 障害者の業務はユニフォームセンターで、ピッキング・サイズ確認・ネームラベル熱着・たたみ・袋詰め・結束・梱包 など。また事務センターでアンケート入力、ファイリング、シュレッダー・スキャナー操作など。

 障害者の面接ポイントは5つあり、1つ欠けても採用はしない。

・自覚:自分の障害について伝えることができる
・素直さ:自分のできないことを伝えることができる
・コミュニケーション:フォローは何が必要か伝えることができる
・連携:支援機関をもっているか
・姿勢:会社のことを調べてきているか

 
 仕事の「ミス」についての対処。

 ミスの認識のある人に対しては、・目標入力件数を大幅削減。・ミス削減件数を中心に目標設定、・1件でも減れば努力を認める、誉める・件数よりも正確に入力することの認識 というアプローチをします。

 ミスの認識がない、もしくは指導を受け入れない人に対しては。
 ・入力ミスフィードバックの根気良い継続、・個人面談実施、・ミスの内容=現物=具体的に示す ・第三者機関との連携(相談)・・・とここまでくると「業務との相性の見極め」という話になります。

 指導者の側は、

「福祉雇用ではない、通常雇用なので」という言葉が印象的。会社の状況などはすべて伝える。伝える側がいかにスキルを上げられるかが課題。また(問題が)障害か、性格によるものか判断し、「注意していいものかどうか迷うが、性格によるものは厳しく叱るべき」とのことでした。

 というふうに、非常に具体的な職場での指導方法の話が出ました。イメージの障害のある人相手には、指導者は「グッ」と軸をもって構えなければなりません。


 さて、要約すると、発達障害の人は非常に構造化した環境で特性に配慮して働いてもらうと力を発揮してくれる。構造化しているというのが、「ガチッとルールで固めた」とでもいおうか。学校とは違い、障害ゆえの甘えは許されません。そこが「自由」「生命尊重」の精神とだいぶ違う。いや生命は尊重してもらいたいですけど。自由ってもともとわたしクエスチョンなんですよね。上記両社とも、もちろん障害者手帳保有が前提になっています。


 質疑の時間、正田は図々しくも、きょうのお話になかったことについてのご質問をしました。

「一般企業には、障害の自覚のない、障害識のない発達障害者の方が多数おられ、現場で苦慮しておられます。そういう人には何がしてあげられるのでしょうか」

 先日の河野哲也氏インタビューでも繰り返し出た、終始ぐるぐる回って結論の出なかった話題。このセミナーの趣旨にはそぐわないようでもありましたが、しかし現実に普遍的に「ある」問題について。

 これには内藤氏が回答され、「非常に難しい質問です。われわれの世代でも発達障害らしき子はクラスに1人や2人はいた。しかし問題になっていなかった。何か強みがあればサラリーマンとしてやっていけるのだろう。われわれでは手帳を持ち、いわば障害者として就労する覚悟のある人を採用します

 切実感を感じ取っていただけたのか、慰めにはなっていませんでしたが非常に真摯に回答していただきました。


 上記両社とも、「見学歓迎」とのことでしたのでまたお邪魔してみよう、とおもいました。


 
 素晴らしい内容のセミナーを企画してくださいました神戸市保健福祉局障害福祉課さんに感謝。おふたりのスピーカーさんのプレゼンも素晴らしかったです。


100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp