『上司になってはいけない人たち』(本田有明、PHPビジネス新書、2014年5月)を読みました。

 これも普段あまり当ブログでは紹介しない系の本で類書はたくさんありそうな気もしますが、当協会受講生、会員さんがたの良いふるまいや事例ばかりを紹介していると目が慣れてしまい、それがどんなに貴重なものであるか、彼ら彼女らが、周囲がけっしてそのようでないなかで独自の行動指針をもって奮闘しているか、わからなくなってしまうおそれがあります。

 彼ら彼女らを正しく評価するためにも知っておきましょう。読んでいてたのしくはない本ですが「あるある」というノリで読んでいただけると。また2つ前の記事でとりあげた『女神的リーダーシップ』と比較してみるのもおもしろいでしょう。
 
「職場の問題の多くは上司の側にある」と著者。
―いいですね。「若者の側にある」と、言っちゃうほうがやすきに流れていて簡単なんです。


● <危険レベル>で罪深さを分類する という項目では、

1.部下を育てる意欲も能力もない=〈危険レベル1〉
  ―これは、教育次第で治るのカナ?しかしやはり素質的なものもある感じがします

2.会社や部下の文句ばかりをいう=〈危険レベル2〉
  ―だからね、こういう人たちにばかりヒアリングしてはいけません。

3.その場そのときの気分でいうことが違う=〈危険レベル2〉
  ―ストレングスファインダーで何がトップにある人、って考えてみるとおもしろいかも。これが「育てる意欲も能力もない」より危険レベルが高いことは要注目ですネ

4.部下の意見や提言を無視する=〈危険レベル3〉

5.自分の好みで部下を選別・排除する=〈危険レベル4〉

6.ハラスメントによる事件を起こす=〈危険レベル5〉


だそうです。ハラッサー上司の危険度が一番高いのは、まあ予想通りでしょう。

 ちなみに、本書にもありますがおさらいで、厚労省が示したパワハラの定義と分類とは:

定義:
「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」

分類:
1.身体的な攻撃(暴行・傷害)
2.精神的な攻撃(脅迫・暴言など)
3.人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
4.過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
5.過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
6.個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

―おやおや、東京都議のどなたかは2.と6.をやっている。セクハラでもパワハラでもありますネ


●このあと「脱線する上司のタイプ」が列挙されますが・異なる意見を言われると腹が立つ・間違いを指摘されても認められない・・・等々、有能な自信家、要は「ナルシシスト」ですよね、というものです。


●「きみに任せた」という言葉が要注意。
 「任せる」は「承認」の1つの形態としてもありますが、「きみに任せた」という言葉は上司から言われたイヤな言葉としてランクインされるとのこと。
 何年か前、「期待してるよ」という言葉も「イヤな言葉」としてランクインしたそうですが・・・、ほらほら時々こういう落とし穴があるので気をつけましょう。

 ここで本書の分析はなかなかふるっています。この言葉がつかわれるのは、

1.上司がその仕事の責任をとりたくないとき
2.どうでもよい雑用レベルの仕事を与えるとき
3.上司自身がきちんと理解できていない仕事を丸投げするとき
―あたしも経理のYさんにときどきやっちゃっている。あ〃〜
4.ほかの人に任せると文句が出るような仕事を押しつけるとき

だそうです。

 ・・・でじゃあどうすればいいのか、というと、「〜だから、きみに任せた」という形で言えばいいのだそうです。〜のところに丁寧な説明を入れる。説明も承認のうちです。あと本人さんの能力とかこれまでやってきたこと、を〜のところに入れると機嫌よくやってくれそうな気がしますね。がんばります。


●このあと第4章では本書のタイトルと同じ、「上司になってはいけない人たち」が列挙されます。項目だけご紹介して「あるある」気分になりましょう。

1.問題があるのに「ない」という〈無責任上司〉
2.自分が「問題そのもの」になっている〈鈍感上司〉
3.何もしないで会社の評論ばかりする〈負け犬上司〉
4.「ほかにやることがある」でごまかす〈煙幕上司〉
5.その場しのぎの対応に終始する〈お調子者上司〉

 うんうん。
 いずれも「責任感」の低さが問題なような気がしますが・・・、
 これもストレングスファインダーで恐らく「責任感」が極端に低いところにあるんだろうな、わるいひとじゃないのに、というひとはよく見ます。なんでそういう人が上司になってるんだろ、と思いますが、たぶん上司になるまではその決定的な不適格性は見えにくいのでしょうね。不適格性が見えた段階でいさぎよく降格するのが望ましいのだろうと思います。たったこれだけのことでも離職者続出の職場になる例はよく見聞きします


●次はもっと罪深い、「部下をつぶす上司」のリストです

1.気に入らない部下を排除する〈暴君上司〉
2.できる部下の足を引っ張る〈やっかみ上司〉
―これはナルシシストの一形態ですね
3.なんでも他人のせいにする〈卑劣上司〉
4.「会社の敵」をつくってしまう〈傲慢上司〉
5.部下を不正に巻き込もうとする〈極悪上司〉


―いやはや、人間不信になりそうですけど、「上司」という立場になるとわるいことをしても歯止めがかかりませんから際限なくわるくなり得るんですね。「スタンフォード囚人実験」じゃないですが立場が「上」になるということが、どれほど人を嫌な人間にさせることか。それは古今東西、野放しにせず粘り強く教育して抑止すべきものなんです。

ただそこでどういう教育をすべきか、というときに、パワハラ防止研修に終始するのがいいのかどうか。武田建の行動理論に「良い行動を教えることでわるい行動と代替することができる」というのがあります。よい行動様式を教えるほうが有効なんじゃないでしょうか。


 「嫌な上司像」を忍耐強く見つめ続けた著者の労を多としたいです。

 要は、育てない、関心を持たない、オレオレ、誠実さや責任感はない、という男性たち。リーダーシップから「女性性」がすっぽり抜けていると、こうなるのかな、という見本のようなかんじです。

 正しいリーダー教育が存在せず、上司を野放しにした場合の荒涼たる風景が、これです。

 わが子が会社に入ってこういう上司の下ではたらいてこう言ったら、どう答えるだろう。
「あたしもうイヤ。出来そこないの人格のおっさんの下で働いてお守りさせられたり、サディズムの標的にさせられるのは」と言い出したら。
「仕方ない。我慢しろ」と言うだろうかそれとも・・・。

 わたしは日本のとくに男性中高年の質が急速に悪化してるのじゃないかと思いますが・・・、


 ほらね、当協会の受講生さんや会員さんって、かっこいいでしょ。


100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
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