新著『行動承認』は、Amazonでは既に購入可能な状態となり、来週初めから神戸周辺の書店にも並ぶそうです。

 出版元のパブラボ社さんでは色々とプロモーションの仕掛けを考えてくださっているよう。

 そこでまだ書いてなかった、この本の「誕生秘話」をちょろっとお書きしたいと思います。


 そもそもパブラボ社さんとのお出会いは別の企画話からでした。


 そのとき正田が書こうと思っていたのは、「ナルシシズム」のお話。某女性研究者の騒ぎ(今は一夜の夢のようですネ)などもあった時期でそのほかにもどうも最近見聞きしたことで事例もたまったので、このテーマで書いてみたいなと。

 自分にとって本筋の主題、「承認」は、当面封印しておこうと思いました。4年前に出した『認めるミドルが会社を変える』が悲しくなるくらい売れなかったので、当面これは時流に合わないんだろう、いつかそのテーマで書けるときのために、今は「売れる本づくり」の勉強をするためにほかのテーマで書こう、と思っていました。


 今年5月25日、NPO総会+よのなかカフェのあと、三宮で初めてパブラボ社の菊池社長とお会いしました。フリーライター山口裕史さんのご紹介でした。


 「ナルシシズム」の企画書をみた菊池社長は「面白い」と言われました。

 実は、正田は自分では結構面白いと思っていたんですが、それまで接触した出版業界のかたが「???」な反応ばかりだったので、腐っていました。いつもの伝で口のわるい正田は「えっ、あなたナルシシストで苦労したことないの?ひょっとしてあなた自身がナルシシストなので、気づかないんではないの」てなことを内心思っていました。まあ出版にかぎらず、マスコミ業界のかたってはっきり言ってナルシさん多いですよね。


 菊池社長のばあいは、直近で「どうみてもナルシ」という人をみたことがあったそうで(大丈夫かなこんなこと言っても)、「あるある、困りますよねこういう人」と、見事なくらいストンと同じところに「落ち」ました。


 それが菊池社長との接触1回目。

 2度目は、同じ三宮の「にしむら珈琲店」でお会いしました。そのときはまた、「ナルシシズム」についてのもう少し突っ込んだやりとりを当初していました。ただ企画書に書いた目次にも、終わりごろの1章に「承認」に触れたくだりを入れていたので、

「なんですかこの『承認』というのは」

とツッコまれて、

「えへへ私の本来のテーマは『承認』なんでーす。でも前に出した本が売れなかったから、『私まともすぎるのかなあ』とか思って、当面ほかのテーマで本を書いて勉強しようと思ってるんでーす」

と白状。

 しかも用意のいいことに前著を持っていて、「これ差し上げまーす」。


 てなことを書くとすっごい計算高い女のようですが、なんか前回の面談で、菊池社長に対して

「どうもうちのNPOの会員のマネジャーさんがたと同様、近いノリで話ができる人なんちゃうか」

という印象を持っていたようです。


 あとは、何やかんやお話した中に『行動承認』の「おわりに」に書かせていただいた、自分の母親のエピソードなどもお話したとき、菊池社長の目がキラッと輝きました。


 別れ際に菊池社長の顔が紅潮していたのを覚えています。


「時々あるんですよ。地方の著者さんがすごい掘り出し物のテーマを持ってるってことが」

 そしてつい2時間ほど前に神戸に来たはずの菊池社長はもう今から東京に戻る、と言われます。

「えっ、たったこれだけのために来られたんですか」

「ええ、よくあるんですよそういうこと」

 にしむら珈琲店を出た菊池社長はそそくさと立ち去っていかれました…



 翌日、菊池社長からFBメッセージをいただきました:


「正田さんの本、帰りの新幹線の中で読みました。ふつうに面白かったです。

(注:この方の「ふつうに」はどういう意味なんだろう謎。。)

マネージメントだけでなく人間関係全般に通じることですね。こちらのほうを本にしたほうがいいと思いますがいかがですかね?」



 ・・・というのが、基本的に『行動承認』の企画のはじまりです。

 急に企画が変わっちゃったけれど、それは全然私的にはOKのことで、とりわけ2013~14年に「承認研修」でバッタバッタと成果を出していましたから、これを一度何かの形でまとめないと歴史に残せない、しかし地元メディアにはずっと白眼視されていて取り上げてもらえない、という状況でした。なのでパブラボさんからのオファーは「渡りに船」だったのです。


 そのあとも多少二転三転あって、「承認」をつかった「女性活用の本」にしようとか、「叱り方の本」にしようとか、いわばいろいろある「承認」の効能書きの一部を切り取って売れ筋の本にしよう、という案が出ては消えました。それは、「売りやすい本をつくる」という出版社さんの要請からしたら当然のことかと思います。


 でも最後は本筋の「承認」の全体像を「まとも」に取り上げた本にしよう、ということになりました。マネジメント全体について女性著者が「まとも」に問いかけた本は、わが国では少なくとも前例がありません。売れるという保証もありません。


(「僕、『承認』に惚れ込んでるんです」と菊池社長は言われました)


 そしてタイトルづけに関しては、マーケティングセンスのない私は大人しくパブラボさんにゲタを預けることにしましたが、ふたを開けてみるとご存知のとおり『行動承認―組織の能力を最大化する「認める力」』という、超「まともな」タイトルになりました。なんでも菊池社長と担当編集者の白岩さん、それに営業担当者のかたと3人で侃侃諤諤の議論をして決まったタイトルなんだそうです。



 さあ、「まとも」の二乗になったこの本はどう受け入れられるでしょうか・・・


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 もう1つ、「まとも」が通じた例がありました。


 来月、奈良県中小企業団体中央会様で3回シリーズの「承認中心コーチング」のセミナーをさせていただきます。

 担当のNさんはまったく面識のない状態で当協会のHPをみて依頼をしてこられ、奈良からうちの事務所をご訪問くださったり当協会主催セミナーにも足を運んでくださいました。

 同会では実質今週から会員企業向けに本格的案内を始めたそうですが、3回シリーズ各4時間のセミナーというのにあっという間にお申し込みが17名となり、満員御礼まぢかの状況です。

 一体どんな案内をしたらそんなにリアクションが良くなるんでしょう。と思いませんか。


 今日、Nさんにお願いして案内パンフのデータを送ってもらったところ、これがごくごく「まとも」な内容。

 というか、各回の内容の説明はわたしが同会向けにご提出した提案書の文面そのままでした。

 
 ごく普通の言葉づかいで、会員様向けに誠心誠意考えた言葉が、会員さんにもちゃんと届いたということなんです。

 Nさんはそこに一切手を加えなかったんです。Nさん自身非常に表現力の高い方で、自分オリジナルの言葉にしようと思えばできたのに。


 Nさんへ私からのメール:

「しみじみ有難いことだなあ、
というのは、ブログでお読みになられたかもしれませんが
今年、ご提案内容をひっくり返されるということも続けて起こり、
「私が女性だから提案を信じてもらえないんだ…」
と落胆することが続いたからです。
今こうしてみると実際にそれは性差別だったのだろうし、
逆にNさんはそれをしない方だったんだ、と思うのです。
ごめんなさい気分の暗くなるようなことを言いまして。」


 Nさんからのご返信:

「今回のチラシのデザインは、あえてものすごくシンプルにしております。

インパクトを出し過ぎて、その響きに呼応して、ミーハーな気持ちで来ることを抑制することが狙いです。

内容を見て、3回連続の研修でも参加したいという方に来ていただきたいとの思いです。

単に面白そうと思ってくる人より、何かを変えたい、これなら変えられるかもという希望を持ってきてほしいなと考えて、
あえて、いつもの全く逆の仮説を立て、変に飾り立てせず勝負しようと思っておりました。

下手すれば、見逃しそうな地味なチラシを見てきていただける方は、いい人かもという仮説も立てました。

(中略)

尚、ご応募いただいた企業様には、お電話で、「行動承認」をテーマとした、3回連続シリーズの実践型研修になっております
と、当たり前ですが、念押しで確認をしてから事前アンケートを送付しております。

それをきいて、えー、というような半端な方はいまのところおりませんでした。

本当にありがたいことだと思っております。

残席わずかで、いっぱい来たらどうしようと、本気でドキドキしております。

チラシ送付2.3日での結果ですので、隠しても、隠しきれないすごさを感じております。」


 
 読者のみなさま、ここまで読まれてどんなことをお感じになりましたか?


 正田はしみじみ嬉しくて、頭が止まっちゃったようになったのですが、

 好漢のNさんはその後お電話もくださいまして、

「本も出されましたし、先生、これまでのようなことはもう今からはないですよ」。

「有難うございます。こんなに『まとも』な形で出してくださいまして、光栄です。本当に感謝の言葉もありません」


 実はそのお電話をいただいたとき整体さんに行ってたのですが、人前でほとんど涙ぐみそうになったのでした。




100年後に誇れる人材育成をしよう。
NPO法人企業内コーチ育成協会
http://c-c-a.jp