18日、成和樹脂工業株式会社(奈良県香芝市逢坂、従業員10名)さんをお訪ねしました。


3中村社長


 こちらは、11月の奈良県中小企業団体中央会主催セミナー(「承認」「傾聴」「質問」各4時間の3回研修です)に社長の中村隆一さん(65)ご自身が参加され、宿題にデモンストレーションに、と大活躍されたところです。


 中村社長の宿題はブログ上部の「宿題一挙28例公開」↑↑↑ の一番目に載っています。

 「社長さんのされた宿題としては過去最高の実践です!!」と正田は絶賛いたしました。


 3回のセミナー終了後の12月に入り、中村社長は、長年懸案だったという「5S」に取り組まれました。社員さんと話して「5S自分の約束」を書いてもらって守らせるように。するとその行動が定着し、過去よりははるかに現場がきれいになったといいます。5Sには過去何度も取り組んでは挫折していた、ということです。

 きいていて「急進的すぎないかしら?」とハラハラしましたが、社長さん自ら「承認」に取り組んで1か月時点であると、社員さんのエネルギーも社長さんの求心力も上がっていて、はっきりした変化が創れたようなのです。


 セミナーから4か月、思い切って会社をお訪ねしてみると…。

 機械音の合間に社員さん方の元気のいいかけ声が響いています。
 少し早く到着したわたしに、社員さんが心優しく機転を利かせて社長さんを呼び出してくださいました。

 そして中村社長はまた、新たな取り組みをされていました。

「今年1月から『朝礼』で社員同士、ほめ合うようにさせたんですよ。
 まだ3か月の取り組みですが、以前よりはっきり社員がいきいき仕事をしているような気がします」

と中村社長。

「毎朝の朝礼とは別に、月に3回ほど大きな『朝礼』をします。毎月当番を決めて、その月の目標も決めてもらい、その目標のための話し合いをします。

 そこで先生から『ほめることが大事だ』と習ったので、社員同士がお互いのいいところをほめるようにしたんです。」

 ・・・えとえと、ほめるというかできるだけ「認める」という言葉を使ってるんですけど・・・


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「ああ、そう『認める』ということですね。
 毎回の朝礼で社員2人が、それぞれほかの社員3人をほめるようにしました。だから毎回6人がほめられる側になり、1か月3回ですと18人がほめられることになりますね。」

 ほめる内容としては、
「○×さんが元気よく挨拶していた」
「よく整理整頓をしていた」
「連絡事項を細かく言ってくれる」
といった、その月の目標に即した内容です。


「『できるだけ具体的にわかるように』
ということも私からリクエストしました。
 ともすれば、『みなさんよく整理整頓している』といった言い方になってしまうんですけどね。
 『何月何日、○さんがどういうふうにしっかり整理整頓していた』とわかるように、と。」(中村社長)

 なるほど、それで「行動承認」の目指す「リアリティに軸を置く」ということができているわけですね。

「ほめられた社員がそのときどんな顔しているか、私はみていないんですけれど、あとあとの仕事ぶりはやっぱり元気がいいですね。
 また、ほめる側の社員についても、『この人はよく周囲をみているな』ということがわかってきますね」

「私は昔からノウハウを『盗む』んです、習った通りでなく、ハハハ」

と、オリジナリティを付け加える中村社長です。

 こうした受講生様のもとでのバリエーションは楽しいものですね。


 このあと1階のブロー成型、射出成型の現場を見せていただきました


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 射出成型では車やフォークリフトのエンジンに入れるプラスチックの部品、それにラムネの栓など(写真)を製造していました。射出成型の独自の工夫により加工した栓が離れた形で成型されてくるプロセスはわたしなどには不思議の一言。最近は円安で急な発注がかかるときがあり対応が大変、とのことです。


 以前のお話にあったような、成型品の「こぼれ」は見られず、袋で受けるなどして改善されていたようです。


 「あそこはなかなか、ヤンチャな感じの社員さんが元気よく働いてますよ」

と横から入れ知恵していただいてお訪ねした成和樹脂工業さんでしたが、おっしゃる通り皆さんの元気な声かけの響く仕事風景と、それに早めに着いた来客のわたしのために社員さんがちょっと社長を呼び出してくださる、親切な機転が、わたしには「活気」とうつったのでした。


 中村社長、成和樹脂の皆様ありがとうございました!


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 この日は別のかたからも、

「あのときのセミナーは役立っています。今でも研修資料を見ますよ。僕の仕事でいうと、周りの話が聴けるようになった。そして任せられるようになった。研修前より、はるかに」

と嬉しいお言葉をいただきました。

「同じような研修をその後も受けたんですが、正田さんのやられたことのほうが『深かった』。あとに残った。
僕、お世辞は言わないですから」

  3回のセミナーを通じて、もう1人のこれも「サムライ」風の現場マネジャーさんと2人1組でいらしたスポーツマンタイプの方です。

 普通なら「バーチャル」になってもおかしくない部署の方からこういうお言葉をいただけるというのは、大変ありがたいことなのです。



 そこで珍しく、「自分はどうしてこういう仕事になったのか」という話をいたしました。
 女性講師がマネジメントを教える、今でもやはり特異なことでしょう。
 そしてその部分をお話することはふだんあまりないのですが、


「私はもともとが人の話を聴くことが好きだったんです。通信社の記者をしていてもインタビューをするのは好きでした。
そこへ当時『コーチング』というものがはしりで出てきて、すぐ飛びつきました。
しかしやっていてすぐに、『これは個人契約でやるより現場のマネジャーさんが担い手になったほうがいいなあ』となりました。
そこに100人ほどのマネジャーさんのグループのまとめ役のような立場になってしまったんです。
そこで勉強会などをあの手この手とやっているうちに、それらの内容がマネジャーさん方にどう『落ちる』か、それを伴走型で体験することになりました。だから研修のその場だけのお付き合いではないんです、何年もにわたるお付き合いです。
そうしてどういう内容をやってあげると一番いい形でマネジャーさんの人格的成熟につながり、組織にも次々といい化学変化が連続して起きていく、というのがわかってきました。
逆に研修の内容とかやり方によっては『残念』な結果になってしまうこともある、『こういうことはしない方がいいな』ということもわかってきました。
それは40歳、50歳まで生きて来たマネジャーさんの人生の重みというのが元々ありますので、その人たちをある方向に『動かす』というのは大変なことですので…」
 
 
 まあ、要は正田はマネジャー経験もない一介の女性にすぎないんですが、しばらく「マネジャー」という存在と息長くお付き合いして試行錯誤したり観察を続けた結果が今の教育プログラムになっていて、それが結果としては成功している、ということなんですよね。


 その過程では既存の大手研修機関の教えに首を傾げ路線変更する場面もありました、色々みてくるうちにいわゆる「コミュニケーションオタク」「セミナージプシー」ではない人たちのうちに本当に有能なマネジャーはいて、するとそういう人たちに出会う確率を最大化するにはどうしたら、というのは今も悩みの種ではあります。

 また、近年では従来より強く「承認」のほうに舵を切ったときに、「年間業績向上8例」といった過去最高の結果になっている、また「心理学より実践倫理の性格が強い」といった言い方もし始めている、というのは少し長い読者の方だとご存知のとおりです。


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 ヘーゲル語の「間主観性」という言葉に最近引っ掛かりを感じています。

 正田の独特の教えるときの語気、ときに「自信がないのではないか」と批判の種になる口調は、相互に「主観」をもった存在である講師受講生の間で情報を受け渡すときの「相手の主観」にたいする畏敬の態度なのではないかと、

 たぶん現場の上司部下関係とも厳密には少し違うけれども人一倍強い人格の「リーダー」が自分の主観の側から手を伸ばして受け取るために最適な強さを選んでやっているのではないかと。またリーダーが現場に帰って担い手になるときにもその「間主観性」の態度というのは役に立つのではないかと。

―「間主観」のところをひとによっては「共感」という言葉で言うかもしれませんが、わたしは「間主観」という「理性」ぽい言葉のほうがすきです―

 それは余談であります。「超人」ではない正田が不思議と人様に何かをお伝えできるのは何故だろうか、というお話。いまだ後継者のいない正田なので自分のノウハウらしきものをぼそぼそ書いています。

 
 ちなみに、今日の記事の冒頭で「社長さんにはむずかしいことだ」みたいな言い方をしたのは、恐らく経営者さんにとっては「理念を発信する」ということが大事な仕事であり、それにあたっては思い切って「間主観」ではなく「主観」に寄る、「主観」の幹を太くする、ということが必要になるのだろうと思うからです。

 ただ四六時中「主観」の世界に生きていることが正解なわけでもなく、自在に「主観」と「間主観」の間を行き来できることが経営者さんとしても理想なのだろう。その配分比に決まった正解はないのだと思います。



100年後に誇れる教育事業をしよう。
一般財団法人承認マネジメント協会
http://abma.or.jp