ブログ開設10周年、やっぱり振り返ってみたい大切にしてきたことがありました。
2009年4月から始まった「よのなかカフェ」(旧NPO法人企業内コーチ育成協会の事業の1つ)は、2014年12月まで通算41回開催されました。
ネーミングは、藤原和博氏が世田谷の中学校長時代にやっていた「よのなか科」のパクリです。中身は授業ではなく、特定の時事問題のテーマを参加者の話し合いで掘り下げていく、というものです。
時事問題といっても個々の殺人事件とかを取り上げるよりはもう少し普遍的にみんなに関係あることを、ということで、いくつか繰り返し扱ったテーマがありました。
たとえば「労働」。
2010年8月「日本人と仕事」。
ひょうご仕事と生活センター長・北条勝利氏、同志社大学教授太田肇氏、と正田の公開対談。
この公開対談は5回シリーズでご紹介していますが、大変おもしろい内容でした。大筋、「日本人のモチベーションの低さ、労働生産性の低さ」に関する調査数字を取り上げて、じゃあどうするか?を語っています。
2012年2月、正田が「日本人不安説に基づく承認マネジメント論」を初めて出したのが「日本の企業をつながり力で変える!」同月中に三宮と姫路で開催しました
三宮編「なぜ語られないのか?日本人の特性に合った人材育成」
初の姫路開催となった、大人数参加で熱気あふれる姫路編「凄い回になりました 日本の企業をつながり力で変える!」
そして「教育」。学校の荒廃に何ができるのか?姫路から「学級崩壊お助けマン先生」を招いて2012年5月、「子供たちが危ない!」
12年8月、「たくましい若者の作り方」(姫路)では、地域の大学関係者と中小企業経営者が「若い人の人材育成」を共同で議論。有意義な回でした。
「福祉」と「地域のつながり」を探った回、「姫路版・高齢化社会を探る!」2013年2月。
まあ地域のおじいさん(失礼)方が元気。そしてNPOの人たちも元気。よう語りました。
「政治」を初めて扱ったのが2013年5月の「もしも私が首長だったら」(三宮)。
この年、兵庫県知事選と神戸市長選が同日選挙になるのを控え、「首長の仕事って何、行政の仕事って何?もっと主体的に選ぼうよ」という問題意識で開催しました。
松本茂樹先生(関西国際大学)の解説が秀逸。松本先生は他にも、「ユーロ危機」の回にも登場され大変おもしろい解説をしていただきました。
忘れられないのが、3・11を受けた2011年4月の「震災」の回。
神戸に本拠を置く被災地NGO協働センターの村井雅清代表にお越しいただきました。参加費を無料としたため、よのなかカフェ史上最高の集客に。
タイトルにもなった村井氏の「非日常の中から生まれた良いものを日常に」、いい言葉ですよね。
地元「神戸」を話題にした回「神戸は住みやすいのか住みにくいのか?『外から見た神戸、内から見た神戸』」(2012年10月)は今も高いアクセスを集める人気記事です。どうも、まじめに神戸への移住を考えている人が参照されるよう。ひょっとして地元の悪口言って地方創生の邪魔してないか?
「データ重視」のよのなかカフェ、このときは地域の経済指標等に関するその年の日銀支店長の講演データを借用して冒頭に解説し、たたき台としました。しかし議論はそのデータには全く頓着せず自由な方向に(苦笑)
「スウェーデン」も2回、テーマに取り上げました。
(本当は、スウェーデンというより「北欧」を取り上げたかったんですが、そういうと漠然としているので、あえて人口規模の一番大きいスウェーデンを選んだ、という感じです)
IKEA神戸の2人の女性管理職を招いた回「責任と決断の根づく人びとが作る社会」(2011年5月)
IKEAのお二人は日本人ながらIKEA精神を体現して自分の「責任」に基づいて語ると、わが「承認」受講生の男性管理職たちも「ほ〜」という感じ。カッコ良かった。
同じ年の秋、こんどはスウェーデン人福祉研究者のアンベッケン女史を招いてカフェを開催しました。
「議論、透明性、そして信頼」(2011年10月)。
福祉関係者を中心に大変意識の高い方々が参加され、アンベッケン女史へ熱気ある質問が相次ぎました。
「スウェーデンでは政府への信頼があるから、政策にも納得感がある」という同女史の言葉が印象的でした。
「女性」。主宰者が女性なもので(汗)、いや、やっぱり人口の半分が冷遇されている社会はおかしいです。いろんな角度からあの手この手とやりました。
これは過去にも一度まとめをしましたけれど、もう1回出すと…。
女性に「働いてほしい」(行政)されど事情は。。 女性活用カフェ開催しました!(2011年1月)
―神戸市男女共同参画課の方にもお越しいただきデータをみながら議論しました
リツイート感謝。団塊の世代価値観を問う「男のプライド」よのなかカフェ (2011年8月)
―正田のアナーキーな性格がわかるちょっとカゲキな回でした
「女性が輝く社会には何が必要?」(2014年12月)
―少人数で公務員さん中心のちょっと偏った回でしたが、そのぶん比較的先進的なところでは今こういうことが起こっている、という理解には役立った。
このほかにも「スウェーデンよのなかカフェ」の2回とも「女性」の回であるともいえますし。
さいごに、「幸せ」について。
過去に開催したよのなかカフェでも、たとえば「人口減少社会」「ユーロ危機」がテーマのときにも後半は「(色々問題はあるけど)じゃあ私たち自身の幸福とは何か、考えようじゃないか」という時間がありました。
その「幸せ」を正面からとりあげたのが、第40回「幸せって何?」
やってみるとわかったのは、おもしろいことに、自分個人の「幸せ」をとことん考えると、自然と「社会全体の幸せとは」「(自分や自分の子でない)若い人にとっての幸せとは」を考えるようになる、ということでした。参加メンバーが良かったのかもしれませんが…。
後日有光毬子さんが「正田さん、あの『幸せよのなかカフェ』ぱくらせてね」なんて言っていただきましたが、どんどんぱくってやっていただきたいものです。
絵本風「よのなかカフェ総まくり」は以上であります。
さて、ここからは多少手法の「ネタばらし」的なお話です。
よのなかカフェがやろうとしたのは「対話」と「議論」の両方でした。「うちの業界」には、「議論はわるいもので対話はいいもの」という変なコードがありますが、当社ではそれに縛られず、「議論も対話も両方OK」にしました。共感もあり、反論もあっていい。
そこでは、今みてもうるさすぎるほどのファシリテーションのルールがありました。
ファシリテーション方法についてまとめた回
後日談 よのなかカフェと女性とファシリとブログ文体と。。
色んなことを言っていますが要は「承認」。
ここでいう「承認」はほめるなんていう薄っぺらいものではなくて、「すべての人が属性に関わりなく尊重される、尊厳を傷つけられない、敬意をもって遇される」ということ。
また「悪平等」ではなく、「重要な発言については(これも属性に関わりなく)きちんと価値づけすること」(公正)もあります。
とりわけ、やはり、男女に平等に機会を与えること、公正に評価すること、についてはうるさかったですね。できなかったファシリは「クビ」にしちゃいましたからね。「どけ、あたしがやる!」みたいな感じで。本当に。たぶん女性主宰者じゃないとそこまでできなかったでしょうね。
でもそういう、異常なぐらい「機会の平等、評価の公正」に神経をとがらせた世界は、案外男性にとっても居心地がいいものだ、というのは、参加者への個別インタビューで出ました(インタビュー先が偏っていたかもしれませんが)。
男性も女性も同じ地平にたってワイワイ、っていいものですよ。私は男性だけが大声でしゃべってて女性はお茶をついで回るだけ、みたいな昔の村の寄り合いみたいなダサイ場にはしたくなかったんです。自然に任せるとすぐそうなってしまいます。
まあこうして改めてみると2011〜12年がよのなかカフェ一番元気あったなあ、今はそんな元気ないなあ、というのも思いますけど、思い出にひたる記事でございました。おつきあいくださいまして、ありがとうございました。
よのなかカフェ41回を支えてくださったお客様、スタッフの皆様にも、改めてお礼申し上げます。
(一財)承認マネジメント協会
正田佐与
2009年4月から始まった「よのなかカフェ」(旧NPO法人企業内コーチ育成協会の事業の1つ)は、2014年12月まで通算41回開催されました。
ネーミングは、藤原和博氏が世田谷の中学校長時代にやっていた「よのなか科」のパクリです。中身は授業ではなく、特定の時事問題のテーマを参加者の話し合いで掘り下げていく、というものです。
時事問題といっても個々の殺人事件とかを取り上げるよりはもう少し普遍的にみんなに関係あることを、ということで、いくつか繰り返し扱ったテーマがありました。
たとえば「労働」。
2010年8月「日本人と仕事」。
ひょうご仕事と生活センター長・北条勝利氏、同志社大学教授太田肇氏、と正田の公開対談。
この公開対談は5回シリーズでご紹介していますが、大変おもしろい内容でした。大筋、「日本人のモチベーションの低さ、労働生産性の低さ」に関する調査数字を取り上げて、じゃあどうするか?を語っています。
2012年2月、正田が「日本人不安説に基づく承認マネジメント論」を初めて出したのが「日本の企業をつながり力で変える!」同月中に三宮と姫路で開催しました
三宮編「なぜ語られないのか?日本人の特性に合った人材育成」
初の姫路開催となった、大人数参加で熱気あふれる姫路編「凄い回になりました 日本の企業をつながり力で変える!」
そして「教育」。学校の荒廃に何ができるのか?姫路から「学級崩壊お助けマン先生」を招いて2012年5月、「子供たちが危ない!」
12年8月、「たくましい若者の作り方」(姫路)では、地域の大学関係者と中小企業経営者が「若い人の人材育成」を共同で議論。有意義な回でした。
「福祉」と「地域のつながり」を探った回、「姫路版・高齢化社会を探る!」2013年2月。
まあ地域のおじいさん(失礼)方が元気。そしてNPOの人たちも元気。よう語りました。
「政治」を初めて扱ったのが2013年5月の「もしも私が首長だったら」(三宮)。
この年、兵庫県知事選と神戸市長選が同日選挙になるのを控え、「首長の仕事って何、行政の仕事って何?もっと主体的に選ぼうよ」という問題意識で開催しました。
松本茂樹先生(関西国際大学)の解説が秀逸。松本先生は他にも、「ユーロ危機」の回にも登場され大変おもしろい解説をしていただきました。
忘れられないのが、3・11を受けた2011年4月の「震災」の回。
神戸に本拠を置く被災地NGO協働センターの村井雅清代表にお越しいただきました。参加費を無料としたため、よのなかカフェ史上最高の集客に。
タイトルにもなった村井氏の「非日常の中から生まれた良いものを日常に」、いい言葉ですよね。
地元「神戸」を話題にした回「神戸は住みやすいのか住みにくいのか?『外から見た神戸、内から見た神戸』」(2012年10月)は今も高いアクセスを集める人気記事です。どうも、まじめに神戸への移住を考えている人が参照されるよう。ひょっとして地元の悪口言って地方創生の邪魔してないか?
「データ重視」のよのなかカフェ、このときは地域の経済指標等に関するその年の日銀支店長の講演データを借用して冒頭に解説し、たたき台としました。しかし議論はそのデータには全く頓着せず自由な方向に(苦笑)
「スウェーデン」も2回、テーマに取り上げました。
(本当は、スウェーデンというより「北欧」を取り上げたかったんですが、そういうと漠然としているので、あえて人口規模の一番大きいスウェーデンを選んだ、という感じです)
IKEA神戸の2人の女性管理職を招いた回「責任と決断の根づく人びとが作る社会」(2011年5月)
IKEAのお二人は日本人ながらIKEA精神を体現して自分の「責任」に基づいて語ると、わが「承認」受講生の男性管理職たちも「ほ〜」という感じ。カッコ良かった。
同じ年の秋、こんどはスウェーデン人福祉研究者のアンベッケン女史を招いてカフェを開催しました。
「議論、透明性、そして信頼」(2011年10月)。
福祉関係者を中心に大変意識の高い方々が参加され、アンベッケン女史へ熱気ある質問が相次ぎました。
「スウェーデンでは政府への信頼があるから、政策にも納得感がある」という同女史の言葉が印象的でした。
「女性」。主宰者が女性なもので(汗)、いや、やっぱり人口の半分が冷遇されている社会はおかしいです。いろんな角度からあの手この手とやりました。
これは過去にも一度まとめをしましたけれど、もう1回出すと…。
女性に「働いてほしい」(行政)されど事情は。。 女性活用カフェ開催しました!(2011年1月)
―神戸市男女共同参画課の方にもお越しいただきデータをみながら議論しました
リツイート感謝。団塊の世代価値観を問う「男のプライド」よのなかカフェ (2011年8月)
―正田のアナーキーな性格がわかるちょっとカゲキな回でした
「女性が輝く社会には何が必要?」(2014年12月)
―少人数で公務員さん中心のちょっと偏った回でしたが、そのぶん比較的先進的なところでは今こういうことが起こっている、という理解には役立った。
このほかにも「スウェーデンよのなかカフェ」の2回とも「女性」の回であるともいえますし。
さいごに、「幸せ」について。
過去に開催したよのなかカフェでも、たとえば「人口減少社会」「ユーロ危機」がテーマのときにも後半は「(色々問題はあるけど)じゃあ私たち自身の幸福とは何か、考えようじゃないか」という時間がありました。
その「幸せ」を正面からとりあげたのが、第40回「幸せって何?」
やってみるとわかったのは、おもしろいことに、自分個人の「幸せ」をとことん考えると、自然と「社会全体の幸せとは」「(自分や自分の子でない)若い人にとっての幸せとは」を考えるようになる、ということでした。参加メンバーが良かったのかもしれませんが…。
後日有光毬子さんが「正田さん、あの『幸せよのなかカフェ』ぱくらせてね」なんて言っていただきましたが、どんどんぱくってやっていただきたいものです。
絵本風「よのなかカフェ総まくり」は以上であります。
さて、ここからは多少手法の「ネタばらし」的なお話です。
よのなかカフェがやろうとしたのは「対話」と「議論」の両方でした。「うちの業界」には、「議論はわるいもので対話はいいもの」という変なコードがありますが、当社ではそれに縛られず、「議論も対話も両方OK」にしました。共感もあり、反論もあっていい。
そこでは、今みてもうるさすぎるほどのファシリテーションのルールがありました。
ファシリテーション方法についてまとめた回
後日談 よのなかカフェと女性とファシリとブログ文体と。。
色んなことを言っていますが要は「承認」。
ここでいう「承認」はほめるなんていう薄っぺらいものではなくて、「すべての人が属性に関わりなく尊重される、尊厳を傷つけられない、敬意をもって遇される」ということ。
また「悪平等」ではなく、「重要な発言については(これも属性に関わりなく)きちんと価値づけすること」(公正)もあります。
とりわけ、やはり、男女に平等に機会を与えること、公正に評価すること、についてはうるさかったですね。できなかったファシリは「クビ」にしちゃいましたからね。「どけ、あたしがやる!」みたいな感じで。本当に。たぶん女性主宰者じゃないとそこまでできなかったでしょうね。
でもそういう、異常なぐらい「機会の平等、評価の公正」に神経をとがらせた世界は、案外男性にとっても居心地がいいものだ、というのは、参加者への個別インタビューで出ました(インタビュー先が偏っていたかもしれませんが)。
男性も女性も同じ地平にたってワイワイ、っていいものですよ。私は男性だけが大声でしゃべってて女性はお茶をついで回るだけ、みたいな昔の村の寄り合いみたいなダサイ場にはしたくなかったんです。自然に任せるとすぐそうなってしまいます。
まあこうして改めてみると2011〜12年がよのなかカフェ一番元気あったなあ、今はそんな元気ないなあ、というのも思いますけど、思い出にひたる記事でございました。おつきあいくださいまして、ありがとうございました。
よのなかカフェ41回を支えてくださったお客様、スタッフの皆様にも、改めてお礼申し上げます。
(一財)承認マネジメント協会
正田佐与
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