昨年末、佐賀県の研修業、宮崎照行さんより、
「教育困難校の高校でビジネスマナーを教え、『行動承認』によってヤンキーの生徒さん方の行動を変容させた」

というお便りをいただきご紹介しました。

 新たな実践経験談 ”教育困難校”と「行動承認」―佐賀県・宮崎照行さんのメールより

 それへのお返事の中で、正田は

「この手法はこの社会を建て直す力のあるものだと、私は信じてるんです」

ということをお書きしました。

 また、

「承認企業は若者の最後のセーフティーネット」

ということを、このブログで今年の年頭に書かせていただきました。

厳しさの復権、異論叩き、最後のセーフティーネットー力の限りお伝えし続ける「承認2016」


 それらは例によって(裏づける事例はいくつかあるにせよ)漠然と直感で言ったものですが、それを裏づけてくれるような知見が、やっぱりありました。

 「愛着障害」により「少年犯罪」に走る少年・若者をどう更生させるか。そこに、「行動承認」プラス「オキシトシン」が大きな役割を果たすようだ、というものです。いわば「最悪の状態」になった子を救える最後の手法であるようなのです。

 http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3613.html

 1年ほど前のNHK「クローズアップ現代」の放送内容。
 フェイスブックのお友達のシェアに感謝しつつ、お友達でない皆様のために、改めてこのブログに記録しておこうと思います。

 
 この番組では、子供のころに親に愛されず、暴力を振るわれたりネグレクトされていたために脳に大きな障害を負った少年少女を取り上げます。

 脳科学研究によるとそうした子供たちでは、脳の前頭皮質の体積が普通の子供より小さくなっており、また線条体の反応が小さくなっている、とのことです。

「これがうまく働かないと、良い行いをして褒めても響かない。
悪い行いをしたときにフリーズといいますか、行動を変えることを止めてしまう、そういうことがあり得る。
ささいな情報で逆ギレしてパニックをよく起こしてしまう。」

と、福井大学子どもの心の発達センターの友田明美教授。


 ほめても響かない。それは、行動変容を起こさせる有効な道筋が閉ざされてしまっている、ということを意味します。そういう子供さんに何ができるというのか。

 
 ここで、「オキシトシン」という解がひとつ出てきます。
 このブログでも度々登場する、信頼ホルモン、共感ホルモン、愛情ホルモンなどと言われるオキシトシン。
 これを薬剤として投与することが3年ほど前から行われています。

 オキシトシンは線条体に強く働くので、脳機能回復に良い効果が見込まれるのではないか、といいます。

 
 もうひとつのアプローチは、人間関係の中での愛着形成。施設の職員や心理士、そして学校の教師などとチームを組んで、誰かが必ず少女に関心を抱いている環境を作り、幼いときに育まれてこなかった愛着の形成を促そうとするのです。

 問題を抱えた子が周りの子供との間に愛着が形成されたとみられる行動を取った場合。
 たとえば同じ施設の4歳の子がおしっこをしたので、着替えさせて、横に寝かせてやった。するとその行動を「是認」してやる。必ずしもほめる言い方でなくても構いません。でも、あなたは良いことをしたんだよ、それでいいんだよ、という意味のことを言ってあげる。すると、本人も「これでいいんだ」と思い、その行動が強化される。

 要は、「行動承認」なのです。「愛着のある行動」というターゲットの行動をきちんと絞り込めば、そこに「行動承認」を使ってやることで、愛着障害で脳機能の低下した子供さんのこともじわじわと良い方向に導いていける。

 非常に辛抱づよいプロセスと思います。また、そのとき使う「是認」の言葉は、「すごーい」みたいな、あからさまな、けたたましいほめ言葉では全然響かないだろうなとおもいます。放送では、「その子はあなたに頭が上がらないね」と、第三者メッセージと結果承認が混合したようなものを使っていたようです。

 
 おわかりでしょうか。

 今どきの、親御さんがスマホに夢中で子供さんを碌にみていないような時代では、子供さん全員がかるい愛着障害になってしまうのではないかと私は本気で心配しています。無反応/反応が薄い、だったり、行動の抑制がきかなかったり修正されるとキレてしまったり。(「反応が薄い」については実際、今上司の側から非常によく聞かれる話です。)そしてその子たちの育て直しに本腰を入れて取り組めるのは、少人数制を採用している大学か、あるいは企業に入社して良い上司の管理下に入ったとき、だけなのではないかと。幸運にしてそうでなかった子は、「生きる力のない若者」として見殺しにされるのではないかと。

 だがそこで、「行動承認」をきちんと理解している教員や上司であれば、その子を改善させられる可能性はあるのです。
 もちろん、もっと早い段階で、どの指導者もそういう介入ができるようであってほしいとせつに願います。

 だから「少人数学級制」。って言いたいなあ。


 
 また、これまで「13年1位マネジャー輩出」―リヨンセレブ牧様での事例を「13年目」のそれとみなさせていただいております―は、こういうメカニズムの積み重ねだったと思います。
 もちろん、ハイパフォーマーをもっと伸ばした事例も多いのですが、「下」のほうの人たちを底上げした効果も大きかった。それは、それまでの人生で親ごさんを含めて指導者に恵まれなかった人たちにとって、本当に「セーフティーネット」的な役割を果たしたでしょう。

 
 だから、この詭弁と混乱の時代に「行動承認」に出会って来た人たちへ。
 どうか、その出会いを誇りにしてください。そして、やめないでください。



正田佐与