あの日

 『あの日』(小保方晴子、講談社、2016年1月)読書日記 第3弾です。

 ここまでは、小保方晴子さんの手記『あの日』の前半部分に出てくる印象的な2つのエピソードから、読み取れることや矛盾点、明らかにウソだと言えることを抽出してみました。

 今回はちょっと箸休めで、小保方晴子さんとはどんな人格の持ち主なのか?どういう遺伝形質でどういう育ち方をしたのだろうか?というのを、ごく限られた手がかりから解読してみたいと思います。
 もう既に沢山の精神科医・心理学者の方が同様にプロファイリングをなさっているようですが、企業の人材育成屋、そして「13年1位マネジャー輩出」のマネジメント教育のプロ、という立場からの解読も、あってもいいかと思います。
 でも、このブログの長年の読者の皆様からみると、そんなに突飛なことは言わないですよ。いつも言ってることの延長ですよ。

 わたし正田は、「人」をみるとき、大体5通りぐらいの人格類型ツールを使っています。
【1】 ソーシャルスタイル(四分法、コーチ・エイの「4つのタイプ分け」とほぼ同義)
【2】 ストレングスファインダー(おなじみ、米ギャラップ社の強み診断ツール。34通りの強み分類をし、その人の上位5つの強みがその人を物語るとする)
【3】 価値観(強みのうちさらにコアなもの?その人の強い動機づけとなる)
【4】 学習スタイル/優位感覚(視覚、聴覚、体感覚のどれが優位か、というもの)
【5】 発達障害の有無/種類

 拙著『行動承認』ではこのうち、「【1】ソーシャルスタイル」しかご説明してなかったですね。「【2】強み」「【5】発達障害」はこのブログにはちょこちょこ書いています。【3】【4】はあまり触れたことがなかったカナー。
 そんなに色々使って大丈夫か、と思われそうですが安心してください。慣れるとこれぐらい使うものなのですね。わたし「個別化」の人なので、人のプロファイリングはいくらやっても飽きないんです。

 さて、小保方晴子さんは、それぞれのツールを使うとどういう人なのか。
 このシリーズ第一弾の記事の中で、「【3】価値観」をとりあげました。

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  著者の価値観とは、何か。
 読み取れるのは:上昇、希望、鮮やかな色彩(とりわけ「金色」が度々出てきます)、世界の最高峰への移動、憧れ、挑戦、華々しい、美しいものへの賛美、頭の良さへの賛美。
 上位者からのまなざし。「褒められる」こともたびたび出てきます。
 「優しい」という言葉もたびたび出てきます。
 「細胞のふるまいの自由さ」(p.50)という印象的な言葉もあるので、「自由なふるまい」ということ、また細胞の時時刻刻の変化を見守ることも価値観なのかもしれません。
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 今みると、ここにはもう1つ付け加えたい価値観の言葉があります。
 それは…でもここに書くのはやめておこう。わたしがふだん使っている、価値観リストの中には載っている言葉です。漢字1文字です。(「嘘」じゃないですよ)
 これは、このシリーズ記事第一弾の末尾部分で引用した、東スポWEB2014年3月の記事の中にある、高校時代の小保方晴子さんがついたウソの内容からプロファイリングしました。
 小保方さんにならって、「ほのめかしのスキル」を使おうと思います。やっぱりブログの品格、大事ですもんね。
 
 
 あと付け加えるなら、実は別の小保方さん自身の手になる文書に、留学先のハーバードで身につけたと思われる価値観の言葉が載っていました。

「ここがよかった!GCOE ハーバード留学体験記」
>>http://www.waseda.jp/prj-GCOE-PracChem/jpn/newsletter/img/GCOENL01_C.pdf

 この中には、バカンティ教授の「教え」のようなものが書かれています。
「Dr.Vacantiはたくさんの助言をくださいました。もっとも印象的だったのは、『皆が憧れる、あらゆる面で成功した人生を送りなさい。すべてを手に入れて幸せになりなさい』と言われたことです。この言葉は、『見本となるような人生を送りなさい』という、すべての若者に向けた言葉だと理解しています。」
 うーむなるほどー。
 このページの存在はあるAmazonレビュアーの方から教えていただいて開いてみたのですが、うなってしまいました。
 まんま、アメリカの成功哲学。
 「成功することはすばらしい!」
 わたしはコーチングの学習の中でも「成功」という言葉が出てくると「ひいて」しまったほうなのですけどね。アメリカ由来の独特の価値観の体系ですね。
 当然、最高峰に憧れてハーバードのバカンティ研に留学した小保方晴子さん、憧れの教授からこう言われてこの価値観に染まっていたでしょう。

 というような価値体系をもつ、小保方晴子さんです。
 でもここまでは、別に変なとか異常なとかいうことはないですね。
 次のツールにいってみましょう。

【2】ストレングスファインダー。
 私がみたところでは、小保方晴子さんがもっている強みは、
・最上志向
・自我
・内省
・コミュニケーション
・適応性
です。
 このほか「競争性または指令性」「社交性」「ポジティブ」あたりも高いかもしれません。
 「コミュニケーション」は、抜群のプレゼン能力につながります。
 記者会見の場で、質問に臨機応変に答えられる、あれは「コミュニケーション―適応性」があるからできるのだと思います。
 そして「上を目指したい」これが強いのはたぶん、「最上志向―自我」。
 「自我」は、「褒められたい」ということにもつながりますね。人一倍強い承認欲求、ナルシシズムの資質です。
 「最上志向」さんは―、
 以前男性の最上志向さんについて書いた記事で、「これ小保方さんにも当てはまりそうだなあ」と思う記事があります。
「最上志向の男性はなぜ喋り続けるのか」
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51757211.html 
 ずーっと喋り続ける。また時々すごく変な方向にすごい努力しちゃう。最上志向の人みんながみんなそうじゃないんですよ。

 妄想が強い、これは「内省」が高くて行動力の強みが低い人だとそうなります。
 人が「できない」ということを「やりたい」と思ってしまうのはなんなんだろうなー。負けず嫌いの競争性、天邪鬼の指令性あたりとポジティブ、最上志向あたりが合体するとそうなるかもしれません。でも行動の強みがあったほうがいいですね。「できなかった」というイヤなことに向き合えないのは「ポジティブ」カナー。
 ほんとは「裏ストレングスファインダー」で、ここには書けないお話もいっぱいあるのですが、ご興味のある方はわたしに直接おききになってください。

 その他、
【1】 ソーシャルスタイル:P+Aでしょうね。
【2】 学習スタイル/優位感覚:たぶん視覚優位。でも言語能力も高い、ということは聴覚もかなり優位。そしてこの本『あの日』の中には身体感覚を表現した感情表現の言葉がたくさん出てきます。だから体感覚優位なのかというと・・・うーん。
 
 そしてそして、
【6】 発達障害の有無/種類

 たぶん、このブログの長い読者の皆様は、一番お知りになりたいところでしょう。
 初めてご覧になる方は「えっ?」と思われるかも。

 わたしがみるに、愛すべきわれらが小保方晴子さんは、ASD(自閉症スペクトラム障害)とADHD(注意欠陥多動性症候群)のハイブリッドだと思います。
 これも本人さんがご覧になった時嫌な気持ちになられるかもしれません。「障害」という言葉に対して「差別だ!」といわれたり、「名誉棄損だ!」といわれるかもしれません。
 しかし。このブログでは一貫して、「発達障害は全人口の1割前後を占める非常にポピュラーな障害なので、隠すことも差別することも正しくない。もっとこの概念が普及してみんなが自己受容したほうがよい」という立場をとっています。この障害の疑いをご指摘させていただくことが差別や名誉棄損にあたる、という認識がそもそもありません。あしからず。

 発達障害でも人により千差万別で、ASDだからこういう性格、ADHDだからこういう性格、というふうに決めることができません。小保方さんの場合はどうかというと、こだわりの強いASD。その中でもIQや言語能力のすごく高いアスペルガー症候群。それと、ミスの多いADHDがまじっていると思います。言語能力の高さと、実行能力の低さのギャップが激しいので、ウソをついたり言い訳をしたり、がすごく多くなる。これは本人さんにもどうしようもないところだと思います。で周囲の人も、こういう人をみたことがない人には理解できないだろうと思います。
 だから、せっかく小保方さんという人と出会えたことを「チャンスだ」と捉えて、わたしたちは学習したほうがいいわけですね。

 また一般に発達障害の方は、手先が不器用だったり運動神経がダメダメだったり、ということが多いです。マラソンや水泳、自転車など、一人作業のスポーツを好む発達障害さんは多いですね。だから超難しい実験をこなしたことになっている小保方さんが、ほんとに手先が器用かというと・・・クエスチョンです。子供のころ器用だったというエピソードは出ていません。

 そして、妄想が強い。これはASDでもADHDでもこういう特性をもった方は多いかな。小保方さんも実験をしながら色々な不思議な妄想をしています。

 メンタル面が弱くてすぐ「折れて」しまう、これも発達障害の人にはありがちです。もともとミスが多く、子どもの頃から叱られる場面が多いので自尊感情が低い。そして叱られると昔からのトラウマがわーっと出てきてすぐ折れてしまう。発達障害の人に鬱エピソードは多いです。また、双極性障害(躁鬱病)や統合失調症など、さまざまなメンタル疾患に発達障害が深く関わっていることが近年わかってきています。自分を叱った相手に対する恨みの感情もこのタイプの人は強いです。

 小保方さんは「自己愛」だ、というふうにも言われます。これも、自己愛性人格障害ととれなくもないし、基礎疾患としてのASD―ADHD(要は発達障害)をみたほうがいいかもしれません。もともと発達障害と人格障害の線引きはすごく曖昧なんです。感情の起伏が激しく他人に対する毀誉褒貶も激しい境界性人格障害も発達障害の一種なのかもしれない。また自己愛も発達障害の一種なのかもしれない。発達障害の人は「メタ認知能力」が弱いので、「できてない自分」を直視することができないんです。かつ、人の言葉の裏を読めないという特性もあるので、「あなたはすばらしいですね」と言われると、たとえ社交辞令でも本気で信じ込んでしまうところがあります。小保方さん、褒められることもだいすきでしたね。そして小保方さんのように妄想がきつく、一方で言語能力のものすごく高い人であると、できもしないものを本気で「できる」と信じてプレゼンをすることができるんですネ。

 こういうのは、本人さんのもっている能力の組み合わせで外に現象として出てきてしまうので、「けしからん!」と反応したり「心の闇」といったホラーっぽい理解の仕方をするのは正しくないのだと思います。

 そのほかうそつき、ほらふき、詐病だとかいうことでミュンヒハウゼン症候群という病名を挙げた精神科医の方もいらっしゃいましたけど、ああいう精神疾患の病名って、20世紀の半ばぐらいまでに作られたもので、まだ発達障害の知見が出てなかったころです。今のものさしだと発達障害と理解したほうが早いよ、そのほうが対処法もわかるよ、などと、正田はおもいます。

 では、小保方さんがこういうASD−ADHDの資質をもった人だとして、なぜ子どもの頃気づかれなかったんでしょうか?今まで矯正されなかったんでしょうか?
 そして、こういう人がもし職場にいたらどういう指導をしてあげるのがいいんでしょうか?理研では何故できなかったんでしょうか?

 そのあたりのお話は次回…。
 

これまでの記事:
●社会人のための「小保方手記」解読講座(1)―印象的な”ツカミ”のエピソードはこう読め!Vol.1
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51935543.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(2)―印象的な”ツカミ”のエピソードはこう読め!Vol.2
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51935599.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(3)―1位マネジャー製造講師・正田が読む・晴子さんのプロファイリングはVol.1
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51935610.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(4)―正田が読む・晴子さんのプロファイリングVol.2 小保方さんの生育環境は
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51935705.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(5)―プロファイリングVol.3 多彩な感情表現は人を被害者的にする!心理学セミナー、カウンセリングの副作用のお話
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51935878.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(6)―「私の会社でも」読者からのお便り
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51936058.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(7)―“惑わされる”理系男子:女性必見!もしもあなたの彼が「隠れ小保方ファン」だったら
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51936162.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(8)―「キラキラ女子」の栄光と転落、「朝ドラヒロイン」が裁かれる日
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51936340.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(9)―「STAP細胞はあります!」は本当か?Amazonレビュアーが読み解くプロジェクトの破綻
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51936570.html

●社会人のための『小保方手記』解読講座(10 )―再度「STAP細胞はありません」―「ウソ」と真実・ネット世界と現実世界のギャップ、社会人の分断リスク
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51936986.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(11)― 騙されないためのケーススタディー:小保方晴子さんが使った「ヒューリスティック(自動思考・錯覚)」の罠
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51937126.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(12)情けないぞおじさんたち!!「ええかっこしい上司」「放置プレイ上司」そして「欲得・不正系上司」(前編)
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51937436.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(13)情けないぞおじさんたち!!「ええかっこしい上司」「放置プレイ上司」そして「欲得・不正系上司」(後編)
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51937542.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(14)(最終) まとめ:あなたの会社から「モンスター」を出さないために―女性活躍、発達凸凹対応、そして改めて「行動承認」
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51937655.html


●エイプリルフール特別企画・シリーズ番外編:社会人のための「小保方情報」解読講座
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51937719.html