昨日の記事に登場されたFacebookのお友達にご挨拶したところ、また改めてお礼を言ってくださった。

「実は2011年(震災の年)前後から気に成って『咽喉に刺さった棘』の様な物が幾つかあったのですが、正田さんのブログでかなりの『棘』が洗い流された思いです。気持ちの上だけでなく、実際の普段の行動で、それが物凄く活きています。」

「お陰様で、集客数も増え、売り上げも上がり、従業員との関係も更に向上しています(笑)」


 ふと、ほっこり。


 世間でベストセラーがどんなことを言おうと「行動承認」の効果は揺るがない。人の性(さが)はそうそう変わらない。担い手の方々が信念をもっていればよいだけである。

 ただ、「承認欲求を否定せよ」のせいで、「私がやっているのは『承認』です」とは、言いづらくなっているかもしれないとは思う。それは、やはり普及を遅らせる。


 この手法が広まるのはまことに難しい。

 もう一昨年のことだが、公的経営支援機関主催の3回のセミナーに足を運んでくださった、40歳前後の地域の女性の獣医さんがいた。

 獣医さんが途中で質問された:

「ここできくお話はよそでまったくきいたことがないと思うんですけれど、私がおかしいのでしょうか」

「おかしくはないですよ。よそではあまり言っていないと思います、こういうことは」

 ちょうど共同で講師を務めた松本茂樹さん(関西国際大学経営学科長)が、銀行支店長を辞められた後、大学教員として「行動承認」をベースとしたさまざまな取り組みをされた結果、ゼミは大活況でその大学では考えられないような有名企業に多数合格し、成績優秀で学費ゼロの特待生も輩出した、という、夢のようなお話をしていたときである。

 法螺話のようなことが本当に起こってしまうのが「行動承認」の世界。

 それでも、その世界を外に広げるのはまことに難しい。
 この女性獣医さんは

「獣医のあいだではまったく知られていないお話です。獣医業界は、人手不足でスタッフ募集にどこも苦しんでいます。離職率も高いです。ほかの獣医に知ってほしい」

と言われた。きいてみると今時そんなところがあるの?というような、誠に非人道的な、スタッフに対して人を人とも思わないようなところが多いらしい。だから定着しない。

 女性獣医さんはその方の参加している獣医同士の勉強会に私を講師として招くことを提案してくださったのだが、他の獣医から賛同が得られず、実現しなかった。

 これほどまでに凄い変化を起こす手法がある、ということはむしろ信じてもらいにくいのだ。

「私が若輩者だからみなさんを説得できなくて。ごめんなさい」

 獣医さんはしきりに謝ってくださった。それもそうだろう。

「あんた、騙されてるんちゃうか」

一蹴されるのが目に見えるようだった。1つ前の記事のように「わかっている人」の言い分が通るのはむしろ珍しいことなのだ。


 そんな風にして良いことが広まるのは遅い。昨今の風潮で新聞や雑誌も良いことはおもしろくないから取り上げない。仮説の段階なら「おもしろい」と思ってもらっても、完成された手法というのはおもしろくない。


 『行動承認』は今もAmazonレビュー欄で嫌がらせをされているが、心底思う、嫌がらせなどやめてほしい。気の遠くなるような長いこと誠実な努力をしてきて、ずばぬけて聡明な受講生さんや読者の方々の日々のご努力があってやっと1冊の本が作れたのに、くだらない悪意で足を引っ張られるのは本当にやりきれない。
 

 やはり、わたしの”生前”はこの手法が広まるのをみるのは無理なのかな。