先日、このブログで『職場は感情で変わる』(高橋克徳著)のことを取り上げていて

(「内省にぐっと来る」の記事参照)


 そのとき書きもらしたことに気がつきました。



 この本は沢山の知見を盛り込んで、いい本です。

 ただ、「感情は大事だ」ということを強調すると、それもまた色々弊害のもとになる、ということも見てきましたので、言わなければなりません。



 脳は「感情系優位」になると、だらしなくなる、という現象であります。



 この「感情系優位」という用語は、『脳が冴える15の習慣』などの著者、築山節氏がつかっているので、どれくらい普遍性があるのかわかりませんが、


 『フリーズする脳』でかなり言及されていました。ご興味のある方はご参照ください。


 感情は、たしかに動物である人間のすべての行動のもとで、それを無視するわけにはゆかない。ただし、1人1人が感情本位で動くと、組織というか2人以上の人はすべて「ばらばら」になります。


 人には、面倒なことは回避したい、規則は束縛だと感じる、きらいな人とは話したくない、といった、原始的な欲求があります。


 「感情は大事だ」というとき、残念ながら立派な感情ばかりでなく、それらが出てきてしまいます。

 必要な行動をとらずに、言い訳ばかりする、そしてリーダーには「ぼくのモチベーションを上げてよ」と過大な期待をする、

 そんな厄介な人をつくってしまいかねない。



 …私は仕事柄、というか旧コーチング・リーダーズ・スクエア(CLS)を主宰しながら、

「感情は大事だ」と強調するタイプの研修を受けてきた人がその後どんな行動パターンになったか、人一倍多くみてきてしまったので…



 「モチベーション低下」というと、リーダーシップとか職場環境の問題のようにこれまでは考えられていましたが、


 そういった奇妙な教育研修由来の、いわば自業自得型のモチベーション低下もあるようなのです。


 
 そうした人は、いわば社会人としての基礎が根底から崩れてしまった人です。

 だれに対してもへだてなく挨拶する、必要な行動は「すぐやる」、相手がだれであれ報・連・相をちゃんとする、といったことは、好むと好まざるとにかかわらずやるように、社会人のはじめに教育されたものです。


 それらは、会社組織が成り立つために、あるいはその個人が最低限の社会人として周囲から認められるように、絶対必要なことなのですが、


 そこが崩れてしまった人は、もういちど新人教育と同じ手間をかけて再教育しないといけない。


 それを受け入れられない人は、残念ながらどこの会社でも通用せず、ジプシーになっていくでしょう。


 教育の責任ということを痛感せざるを得ません。




 
 先日パーティーで会った友人から言われた嬉しい言葉。

 忘れたくなかったので、書いておきましょう。


「正田さんが言うと、『承認』はきれいごとでなく真実にきこえる。僕は正田さんから『承認』を教わって、良かった。」




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