ANA流「安全」と「サービス」そして「承認」
―河本宏子・客室本部長にきく―

(4)「小さなことほど丁寧に、当たり前のことほど真剣に」

■1人ずつの関係を大切に、成長に関心をもって
■上位層にはコーチングを手厚く




インタビュー登場人物


河本 宏子氏(全日本空輸株式会社 上席執行役員 客室本部長=当時。2014年4月より常務取締役執行役員、以下同じ) 
水田 美代子氏(同 客室本部 副本部長 兼 グループ品質推進部長)

ききて:

正田 佐与(NPO法人企業内コーチ育成協会 代表理事)
田村 聡太郎(カメラマン)




(4)「小さなことほど丁寧に、当たり前のことほど真剣に」
■1人ずつの関係を大切に、成長に関心をもって



正田:上司の方の望ましい行動様式や心のあり方をどのように伝えておられますか。


河本:客室乗務員は、先ほども申し上げたように軍隊のような組織形態の中にいますので、それぞれの節目節目で教育などをして、その教育の中で、私たちが大切にする価値観、ブランドのイメージですとか、自分たちの心持ち、スピリットですね、そのようなものを伝えていく、そういった繰り返しですね。

 その中で目にされることもあるかと思うんですが、「小さなことほど丁寧に、当たり前のことほど真剣に」という言葉をよく使っていますが、私たちの仕事は毎日の繰り返しだけど、1つ1つのことをきちんとやっていこうね、当たり前のことでもしっかり真剣にやろうね、ということを言っています。


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正田:そこがおありになるんですね。


河本:大きな組織だけれども、小集団といいますか、小さな単位でみることによって、1人ずつの関係を大切にし、お互いの成長に関心をもって、愛情をもって支援することを大切にしてほしいと言っています。1人ずつの成長過程をその小集団のチームリーダーの人はみてくださいね、マネージャーも自分の範囲のところはしっかり見てくださいね、ということを伝えています。



■上位層にはコーチングを手厚く


正田:今のお話をうかがうとやっぱり凄いなーと思いました。その教育体系のフローチャートのようなものはありますか。


水田:いつ、どんなものを成長段階に応じて教育しているかということですか?


正田:はい。もし構わなければ。


河本:一番最初が基盤形成期です。その次がフライトの中での責任者になるキャリア形成期です。そこから班をもったりしますので、マネージャー、チーフになったり、管理職になっていくということでのステップがあります。そのイメージで節目節目で教育をしています。

その1つずつの教育の内容は細かには出せないんですけれども、節目の教育で特にチームを持つだとか、自分の部下、班員を持つようなメンバーにはコーチングスキルということで、お互い話をするときの引き出し方ですとかを一般的な知識として教えています。

 コーチングはレポートを受け取るところにも使われます。コーチングでよく使われるオープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョンがありますが、客室乗務員がフライトから帰ってきたときに、レポートを受け取っていますが、そのときのやりとりの中では、オープンできいていかないといけないと思います。クローズで「どうしてそんなことやったの?」と言ったら、もうそこでシャッターを閉ざしてしまうことになり、それ以上話は進まなくなって、自分のミスを隠そうとしてしまうとか、自分は悪くなかったとか、エクスキューズになってしまいます。ですので、「何があったんですか?」とか「今日のフライトは大変でしたね」というねぎらいの言葉から入って、そこから話を広げるコミュニケーションの取り方は節目の教育の中で入れています。


正田:大事なことですねえ。


河本:コーチングの勉強は大切なことなので、とくに上位層、マネジメントを担う層に厚みがあるような形になっています。


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((5)「安全」と「自由闊達」――意識調査は企業の健康診断につづく)


ANA流「安全」と「サービス」そして「承認」
―河本宏子・客室本部長にきく―

プロローグ―「承認大賞」から生まれたインタビュー

(1)CAは約6000人の巨大組織

(2)ほめる・認め合う・関心を持つは大切な価値観

(3)歴史――出発点は「激しい競争」と「CS」

(4)「小さなことほど丁寧に、当たり前のことほど真剣に」

(5)「安全」と「自由闊達」――意識調査は企業の健康診断

(6)「ゆとり世代」の指導の仕方は 

エピローグ―「おせっかいCA」をつくりたい―「安全」と「承認」のタッグ

あとがき・石切にて




神戸のコーチング講座 NPO法人企業内コーチ育成協会
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