来ないかと思っていたら古賀史健氏(『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』共著者)から、本日ご返信が来た。

 内容的にはほぼ、先日の岸見一郎氏と同様の文面。

ダイヤモンドオンラインのこちらの記事などによれば、古賀氏が岸見氏に『嫌われる勇気』の企画を持ちかけ、10数年越しで実現したのだという。

 古賀氏の回答内容から紹介させていただこう。


正田様

先日はお問い合わせありがとうございました。『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』共著者の古賀です。
ご質問の中、初めて耳にするようなお話も多く、幾分困惑しております。ただ、さまざまなご意見に対するわれわれの思いは、『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』両書の中で述べられており、特にこれ以上申し上げるべきことはないように思われます。われわれとしましては、両書を「人は誰でも幸せになることができる」「勇気をもって一歩を踏み出そう」という希望的なメッセージを届ける本としたつもりです。
正田様のご著書が有益な一冊となりますことを祈念しております。

古賀史健



 ちなみにわたしからの質問状は9問で、先日の岸見氏に宛てたものより少し詳しくなっている:

株式会社バトンズ
代表取締役社長 古賀史健 様

はじめまして。先ほどはお電話で大変失礼いたしました。わたくしは正田と申します。神戸に住む研修講師兼ブロガーです。『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』とそれらが生み出した社会現象について調べ、書籍にまとめさせていただこうとしております。
共著者である古賀様に、お忙しいことと存じますが、ご質問をさせていただきたいと存じます。以下のご質問にお答えいただければ幸いです。
(すべてが難しくても、答えやすいご質問にだけでもお答えください。)

1.『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』(以下「両書」と略)の中で「トラウマは存在しない」「承認欲求を否定せよ」など、読む人の置かれた状況によっては非常に残酷な言葉が使われています。このことについてどうお考えですか。

2.「トラウマは存在しない」「承認欲求を否定せよ」は、既にネットやメンタルクリニックのキャッチフレーズ、常識のウソ本などで二次使用、三次使用されています。このことについてどんなご感想をお持ちになりますか。

3.両書に出てくるフレーズで、上記の2つを含め、アドラーが実際には言っていない言葉や、実際に言ったのとはほど遠い言葉が多数あります。本を作るにあたってアドラーの原著を参照して確かめるということはなさらなかったのですか。

4.「承認欲求を否定せよ」は、まともにその通りやると抑うつ的になるだろうという精神科医からの指摘があります。また「トラウマは存在しない」というフレーズは、現にトラウマに苦しんでいる患者さんが二次被害に遭ってしまう可能性があり、いずれも深刻な事態を招くおそれがあります。こうした本を作りアジア各国で400万部も売ったことについての社会的責任についてはどのようにお考えですか。

5.岸見一郎氏の『アドラー心理学入門』『アドラー心理学シンプルな幸福論』(いずれもベスト新書)では、まだ「承認欲求を否定せよ」という言葉は入ってきていません。この語を『嫌われる勇気』に入れるよう進言されたのは古賀様ですか。またそれはなぜですか。

6.『幸せになる勇気』では「ほめ育て」について、独裁者の武器であるかのように言っている箇所があります。全国にはほめる教育で成果を上げ、ひたむきに従事している多数の先生方がおられますが、その先生方の心を傷つけることはご想像されませんでしたか。

7.『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』がともに、深刻な状態の弱者を視野に入れておらず、「社会の分断化の象徴」という見方をされることについてはどんなご感想をお持ちになりますか。

8.韓国での熱狂的な歓迎にみられるように、「経済的に深刻な状態の国の抑圧された若者にとって絶望を固定化させる書物だ」と見られていることについてはどんなご感想をお持ちになりますか。

9.最終的に、両書はどんな読者にどんなメッセージを届けたいというコンセプトでしたか。

以上
ご質問は以上です。何卒よろしくお願いいたします。


 質問状を送ったのは13日だったので、1週間後に回答がきた。

 

 ちょうどこれと前後して、日本アドラー心理学会からもご回答がきていた。

正田佐与様

ご返信がおそくなり、申し訳ありません。
当方の状況についてご配慮いただき、感謝申し上げます。

さて、ご依頼の件について、理事会にて検討させていただきました。
結論としては、取材はお断り申し上げます。
理由は、当学会はテレビドラマ『嫌われる勇気』について株式会社フジテレビジ
ョンに抗議をいたしましたが、岸見一郎氏の学説そのものについては、現段階で
は態度を保留しております。したがって、これについては公的な立場でコメント
できることはありません。また、テレビドラマ『嫌われる勇気』に対する抗議内
容は抗議文に書いた通りで、それ以上コメントすることはございません。従いま
して、取材していただいても、お答えできる内容がございません。

ご期待に添えず、申し訳ありません。


日本アドラー心理学会会長
中井亜由美


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日本アドラー心理学会
〒532‒0011 大阪市淀川区西中島3‒8‒14‒502
TEL:06‒6306‒4699 FAX:06‒6306‒0160
Mail:lem02115@nifty.com
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 というわけで、取材へのガードは固い。
 でも理事会にもかけていただいたということだし、当方の真摯さは理解してくれたようだ。


 ”宿題”は少しずつやっている。

 きのうは急に下血してしまった。お友達に「もう免疫つきましたから〜」などと言っていたが、ちょっとストレスだったかな。