正田佐与の 愛するこの世界

神戸の1位マネジャー育成の研修講師・正田佐与が、「承認と職場」、「よのなかカフェ」などの日常を通じて日本人と仕事の幸福な関係を語ります。現役リーダーたちが「このブログを読んでいればマネジメントがわかる」と絶賛。 現在、心ならずも「アドラー心理学批判」と「『「学力」の経済学』批判」でアクセス急増中。コメントは承認制です

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サイコパス 表紙

 『サイコパス』(中野信子、文春新書、2016年11月)。


 読みやすい文体だが、以前に読んだロバート・ヘアの『診断名サイコパス』より新しい知見がふんだんに入っている。今の時点でこの分野のスタンダードとしてチェックしておこう。


 「ありえないようなウソをつき、常人には考えられない不正を働いても、平然としている。ウソが完全に暴かれ、衆目に晒されても、全く恥じるそぶりさえ見せず、堂々としている。それどころか、「自分は不当に非難されている被害者」「悲劇の渦中にあるヒロイン」であるかのように振る舞いさえする。
 残虐な殺人や悪辣な詐欺事件をおかしたにもかかわらず、まったく反省の色を見せない。そればかりか、自己の正当性を主張する手記などを世間に公表する。
 外見は魅力的で社交的。トークやプレゼンテーションも立て板に水で、抜群に面白い。だが、関わった人はみな騙され、不幸のどん底に突き落とされる。性的に奔放であるため、色恋沙汰のトラブルも絶えない。
 経歴を詐称する。過去に語った内容とまるで違うことを平気で主張する。矛盾を指摘されても
「断じてそんなことは言っていません」と、涼しい顔で言い張る。
 ――昨今、こうした人物が世間を騒がせています。」


――たしかに、たしかに。
 では、この本で新しくわかったことをご紹介します。

●サイコパスは研究によってはアメリカの全人口の4%にものぼる(診断基準による)。およそ100人に1人ぐらいとして、日本人のうち約120万人はいる計算になる。

●サイコパスにもグレーゾーンがあり、症状のスペクトラム((連続体)をなす複合的な障害。


●サイコパスを見た目で判別する方法。
 顔の縦と横の長さの比率を比較して横幅の比率が大きい男性ほどズルをする傾向があり、サイコパシー傾向が高い。男性に比べて女性ではあまり相関関係がなかった。

●心拍数が低いと暴力や反社会性につながる。モラルに反する行動をとっても心拍数が上がらないから?
 不安を感じにくいため、サイコパスは、一般人よりもまばたきの回数が少ない。

●サイコパスは相手の目から感情を読み取るのは得意。

●サイコパスは他人の恐怖や悲しみを察する能力には欠ける。
 サイコパスにとって他人の感情を知ることは、学校の国語の試験問題を解いているようなもの。

●サイコパスが重視する道徳性は、「共同体への帰属、忠誠」「権威を尊重する」「神聖さ、清純さを大切に思う」。一方で「他人に危害を加えないようにする」「フェアな関係を重視する」はスコアが低い


●サイコパスは孤独感が強く、職場の環境を「協調し合う場所」というより「競争的なもの」であると捉える。

●サイコパスの反社会行動に関する4つの仮説。〃臟_樟癲閉磴ざ寡欖蕎隹樟癲法´注意欠陥仮説(反応調整仮説) 性急な生活史戦略仮説 ざΥ鏡の欠如仮説

●サイコパスの脳の特徴。
・恐怖を感じにくい。扁桃体の活動が低い
・眼窩前頭皮質(抑制する)や内側前頭前皮質(モラルを感じる)の活動が低い
・扁桃体と眼窩前頭皮質や内側前頭前皮質の結びつきが弱い
・前頭前皮質内側部(VMPFC)が、痛々しい画像を見ても反応しない
・海馬の機能低下。恐怖条件付けの反応が鈍い
・脳梁の容積が一般人と比べて増加

●勝ち組サイコパス(成功したサイコパス)と負け組サイコパス(捕まりやすいサイコパス)の違い。
 勝ち組では背外側前頭前皮質(DLPFC)が発達し、短絡的な反社会行動を起こしにくい。

●昔からいたサイコパス。革命家・独裁者。推測では、織田信長、毛沢東、ロシアのピョートル大帝、ジョン・F・ケネディ、ビル・クリントン。意外なところでは聖女マザー・テレサ。援助した子どもたちには冷淡で、残酷とも思える扱いをしていた。

●歴代の精神科医もサイコパスの存在を指摘していた。
 
●2000年代から、神経倫理学(ニューロエシックス)や神経犯罪学が台頭。19世紀の「犯罪人類学」の祖、チェーザレ・ロンブローゾの骨相学や遺伝学の研究が再評価される。

●反社会性は遺伝するのか。ある研究では顕著にサイコパス的な双子の反社会的行動は、遺伝の強い影響を受けており、要因の81%が遺伝性、環境要因はわずか19%(英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン発達精神病理学教室教授のエッシ・ヴィディングの研究)。

●MAOA(モノアミン酸化酵素A型)遺伝子の活性が低い人は、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質がなかなか分解されずに残ってしまい、それらの効果も持続するため、つねに浮ついた感じになったり、攻撃性が高くなったりする。

●ADHDの人も、MAOAの活性が低い。

●ドーパミンを大量放出することとサイコパスの特性の相関。サイコパスの診断基準であるPCL-Rのスコアとドーパミンの最終代謝物であるホモバニリン酸の脳脊髄液中の値が高いことは関連している。ドーパミンが多ければ多いほど人間が報酬を求める欲が大きくなるので、大量放出する遺伝子を持つ人は強烈な刺激を求め、犯罪を犯す?

●遺伝とともに環境の影響の可能性。脳科学や神経科学の研究者は「遺伝的な要素が大きい」と判断しがち。社会学者や教育学者は、「後天的な要素が大きい」と判断しがち。

●遺伝と環境の相互作用説。神経科学者ジェームス・ファロンによる、サイコパスの発現についての「3脚理論」。ヾ窿歔案前皮質と側頭葉前部、扁桃体の異常なほどの機能低下 △いつかの遺伝子のハイリスクな変異体(MAOAなど) M直期早期の精神的、身体的、あるいは性的虐待
ファロンはこの3つが揃わなければ反社会的行動をするサイコパスにはならないと指摘する。

●現時点で言えるのは
・脳の機能について、遺伝の影響は大きい。
・生育環境が引き金になって反社会性が高まる可能性がある。

●今からは遺伝情報が当たり前のように取り扱われるようになっていくので、社会制度や法整備、遺伝に関するリテラシー向上をはかるべき。また虐待や劣悪な環境を避けることで反社会性の発現のいくらかは抑えられるという研究があるので、社会全体として施策を行っていくべき。

●サイコパスが人類を進化させた可能性。前人未到の地への探検、危険物の処理、スパイ、新しい食糧の確保、原因不明の病気の究明や大掛かりな手術、敵国との外交交渉など。

●「良心」とは「うしろめたさ」である説。マーサ・スタウトによれば、自然に湧いて出るうしろめたさや心の痛み、善悪や美醜の判断などを担う領域である内側前頭前皮質に良心が存在するのだという。

――内側前頭前皮質、以前にこのブログでは「自己観」と「規範の学習」を担う領域として登場した。善悪や美醜の判断も担うんだそうだ。そういうものも一体なのね。――。

●「サイコパスには良心がない」とは、彼らの内側前頭前皮質が機能不全を起こしているということ。


●倫理や道徳とは、人類が生きていくために後付けで出現したもの。それは脳の発達段階からもわかる。良心をつかさどる前頭前皮質と扁桃体のコネクティビティが他の部分に比べて遅れて発達するということは、進化の過程において絶対に必要な原始的な部位が完成した後に、いわば「建て増し」のような領域としてできた部位だと考えられる。

●サイコパスが生きやすい環境とは、たとえばブラジルのアマゾン南部の先住民族、ムンドゥルク族。男たちは雄弁、恐れ知らずの勇敢さ、戦闘に秀でていることが求められ、日ごろから「俺はこれだけ危険な男なんだ」と大風呂敷を広げてアピールしあう。その他良心の欠如、表面的な愛想の良さ、言葉の巧みさ、節操のなさ、長期的な人間関係の欠如という特徴がある。

●またブラジル北部からベネズエラ南部にかけて住むヤノマミ族は、争いが頻繁に起こる。男性の死因の30%がなんと暴力によるもの。25歳を超える男性の44%に殺人の経験がある。殺人をすることで集団内での地位が上がり、殺人を犯したほうが妻の数も子どもの数も多い。

●対照的なのが南アフリカのカラハリ砂漠の狩猟採集民、クン族。食糧に乏しく生存に困難な生活条件に置かれているため、共同で狩りに行き、成果は平等に分配される。ウソは厳しく禁じられ、一夫一婦制、子どもは一族で面倒をみる。

●男性にはアルギニン・バソプレッシンの受容体の遺伝子のタイプによって、生まれつき愛着を形成しやすい人と、しにくい人の2タイプがいる。後者では妻の不満度が高く、未婚率、離婚率が高い。

●日本は国土面積は全世界の0.25%しかないが、自然災害の被害総額では全世界の約15〜20%を占める。すると集団内での協力体制が強固でなければならない。夫婦はともにいて、子どもに対してもリソースを割くべき。こういう国ではサイコパスは育ちにくく生き残りにくいはず。


●韓国の新聞報道では「サイコパス」の語が頻出する。犯罪者や仮想敵を叩くためのレッテル貼り。伝統的な集団社会から、急速な経済成長で利己的で競争的な生き方が歓迎される社会へとがらっと変わった。頭では他人を出し抜くような生き方に適応しなくてはいけないと分かっていても、情動の部分ではそんな人間は許せないと感じてしまう。その軋轢が、過剰なまでのサイコパス呼ばわりと集団的なバッシングにつながった?

――おもしろい指摘。日本ではサイコパスバッシングというのはきかない。「承認欲求バッシング」がそれに当たるのだろうか……、特定の他人ではなく自分たちの中に普遍的にあるものをバッシングするというのがよくわからない(言っている人は、自分たちの中に普遍的にあるものだという自覚があるのかどうかもよくわからない)

 
●現代ではサイコパスはどう生きているか。口ばかりうまくて地道な仕事はできないタイプが多い。

――以前ブログ読者さんの指摘で、そんな人格の人が会社をひっかき回したお話が出てきたなー

●起業家として成功する勝ち組サイコパス。故アップルの創業者スティーブ・ジョブズはそう。ジョブズの周囲には「現実歪曲フィールド」が発生し、彼の話を聞くものは誰でもコロッと乗せられてしまう、と言われていた。

――なるほど、「驚異のプレゼン」はそうだったのね。

●”起業家のふりをしたサイコパス”(アメリカの産業心理学者ポール・バビアク)
1.変化に興奮をおぼえ、つねにスリルを求めるので、さまざまなことが次々起こる状況に惹かれる。
2.自由な社風になじみやすい。杓子定規なルールを重視せず、ラフでフラットな意思決定が許される状況を利用する。
3.リーダー職は他人を利用することが大得意なサイコパスにもってこい。スピードが速い業界や土地においては、メッキが剥がれる前に状況やポストが次々変わっていくことが幸いする。

●ママカーストのボス、ブラック企業経営者。

●サイコパスはとくに看護や福祉、カウンセリングなどの人を助ける職業に就いている愛情の細やかな人の良心をくすぐり、餌食にしていく。自己犠牲を美徳としている人ほどサイコパスに目をつけられやすい。

●サイコパスはネット上で「荒らし」行為をよくする。

●問題発言やわざと挑発的な言動をしてよく炎上し、しかしまったく懲りずに活動を続け、固定ファンを獲得しているブロガーにも、サイコパスが紛れ込んでいる確率は高いと考えれる。彼らは人々を煽って怒った様子を楽しみ、悪目立ちすることで快感を得る。

――なんか特定の人を連想したが、、、だからこの手の人について、「承認欲求がどうのこうの」という切り口を使うのは間違い。もともと脳の機能が普通ではなくて、ネットの存在で顕在化しただけなのだ。

●いうまでもなく、こうした人物の発言は、真に受けないことです。彼らの脳は、長期的なビジョンを持つことが困難なので、発言に責任を取ることができず、またそのつもりもなく、信じるだけバカを見ます。しばらく観察するとわかりますが、変節に呆れて旧来からのファンが離れた頃に、何も知らない人間が引き寄せられてまた騙され……の繰り返しです。

●オタサーの姫/サークルクラッシャー。後妻業の女。涙を流す女

――このあたりも特定の人をほうふつとさせる。

●サイコパスと信者の相補関係。人間の脳は、「信じるほうが気持ちいい」。人間の脳は自分で判断することが負担で、それを苦痛に感じる(認知的負荷)。また、自身の中で矛盾する認知を同時に抱えて不快感(葛藤)をおぼえると、その矛盾を解消しようと、都合のいい理屈をつくりだす(「認知的不協和」)。何かを信じたら、そのまま信じたことに従い、自分で意思決定しないほうが、脳に負担がかからずラクである。

●ネットでウソの検証手段が増え暴露装置である反面、ネットは同類の人間を即座に結びつけることができるツール。信者同士がすぐにつながり、クラスター化する。いったん信者たちから搾取できる宗教的な構造やファンコミュニティをつくってしまえば、崩壊することはまれ。

――これだなあ。わたしは過去にNPOで会員さんのコミュニティをつくろうと試みたが、わたしがやっているとどんなに頑張っても強固な信者組織はつくれないのがわかっていた。そのように働きかけることに気恥ずかしさがあった。「よそさん」と比べると脆弱だとわかっていた。

●サイコパスの診断法。ロバート・ヘアによる「PCL-R」。DSM-5による反社会性パーソナリティ障害の診断基準。心理学者ケヴィン・ダットンによるチェックリスト。

●サイコパスに治療法はあるか。1960〜70年代から治療不可能という研究が出ていた。これを受けてアメリカの刑事司法は厳罰化に傾くが、それも犯罪の抑止力にはならなかった。

●ある種の心理療法に限定すれば半分くらいのケースではサイコパスにも再犯抑止効果があった。集中的な1対1の治療を受けた群と通常の治療を受けた群では、その後2年間で後者の再犯率は前者の倍以上。

●サイコパス傾向の高い子どもの話を聞く、ほめる、毅然として叱るというやりかたを母親に訓練し実践させたところ、子どもたちがルールを無視するような傾向は減ったという報告(米サザンメソジスト大学のマクドナルドら)。

――これは行動療法プラス構造化ということではないのかな。

●サイコパスの多い職業トップ10。1.企業の最高経営責任者 2.弁護士 3.マスコミ、報道関係(テレビ/ラジオ) 4.セールスマン 5.外科医 6.ジャーナリスト 7.警官 8.聖職者 9.シェフ 10.公務員

●サイコパスの少ない職業トップ10。1.介護士 2.看護師 3.療法士 4.技術者、職人 5.美容師、スタイリスト 6.慈善活動家、ボランティア 7.教師 8.アーティスト 9.内科医 10.会計士

――知り合いにサイコパス的な人は少ないがそのわけがわかった。しかしわたしが親しくないだけで、研修講師にはサイコパスが多いかもしれない。魅力的なしゃべり手というのは。

●サイコパスは、100人に約1人という決して少なくない社会の成員。

●罰をおそれない人間からすれば、反社会的行為を抑制するために作られた社会制度やルールはほとんど無意味。別の手段によってサイコパスの犯罪を抑制・予防する方向へ発想を転換しなければならない。


――サイコパスとの共存。わたしにはほとんど想像すらできない。著者には想像できるのかな。

 ふだんあまり読まない著者だったがさすがに売れっ子、うまくまとめているなあ。

 ともあれ「顔の幅の広い男性」には、気をつけましょう。一番大きな収穫はそこかも。


こんな風にも思った。
「サイコパス」とはほど遠いドンくさいわたしが、仕事の世界を幸せにする手法を編み出しこの歳まで生きてきた。この人生、もうそれで十分ではないか。

あの日



 小保方晴子さんの手記『あの日』(講談社、2016年1月)の読書日記 第11弾です。

 ちょうど先週、「週刊文春」がTVコメンテーターの「ショーン・K」の学歴詐称・職歴詐称を報じ、ショーン・Kが番組降板をする騒ぎになっていました。今回はそれに少し近い話題です。

 今回の内容です:

1.「ヒューリスティック」が私たちを誤らせる
2.「小保方プレゼン」にみる、確信と幼い一生懸命さ
3.ハロー効果:強い後ろ盾と英会話力、そして「美形」
 
 それではまいりたいと思います―


1.「ヒューリスティック」が私たちを誤らせる


 小保方晴子さんがなぜ、理研のユニットリーダーというような重要なポストに就き、Natureに投稿することまで許されていたか?

 それまでには、何人もの世界的な研究者たちが小保方さんに騙されていたことになります。
 なぜ、彼らは騙されたのだろう。
 そこには、上司・指導者たちの要因と小保方晴子さん自身の類まれなる資質があります。
 今回の記事では、小保方さん側の資質。どういうやり方で彼女がすり抜けていったのかを、みてみたいと思います。
 このシリーズの(6)「私の会社でも」―読者からのお便り でみたように、類似の“事件”は企業社会のあちこちで起こっています。社長、株主、といった人たちが次々と騙されていきます。ですので、「まさか」と思われるかもしれませんが、トラブルの種は身近なところにあると思って、この事件から学べることを最大限学習していきましょう。




 わたしたちは、いくつかの判断材料がそろうと、それを基に「〜だから、〜だろう」と推論をする癖があります。
 そうした類推を「ヒューリスティック(自動思考)」といいます。それはわたしたちが日々、多数の事柄を扱い判断していく必要上生まれたもの。どんな人も毎日どこかでヒューリスティックをしていることを免れません。実務経験豊かな、「自分は判断力がある」「自分は人をみる目がある」と自信のある人ほど、日常的にヒューリスティックを使っていることでしょう。

 ところが、ヒューリスティックがわたしたちを誤らせることもあるのは確かなのです。
 その典型が、「小保方晴子さんの出世物語」であるといえます。
 さて、そこにはどんなヒューリスティックが働いたのでしょう。

※なお、「ヒューリスティック」に俄然ご興味が湧いたという方は、このブログのカテゴリ
「判断を歪めるもの(ヒューリスティック・バイアス・ステレオタイプ)」
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/cat_50056283.html
を、ご参照ください。良質な参考文献もご紹介しています




2.「小保方プレゼン」にみる、確信と幼い一生懸命さ



 小保方さんの「売り」は、なんと言ってもそのプレゼン能力。

 是非、過去の学会発表の様子までみてみたいものですが、残念ながらそれらは動画の資料がありません。
 今ウェブ上でみられるのは、
(1)2014年1月28日、STAP論文のNature掲載を記者発表したときのもの
   (5分強の動画)
(2)同年4月9日、小保方さん自身による釈明会見
   (2時間〜2時間30分の動画)

 です。ご興味のある方はご自身でご覧になってみてくださいね。
 簡単に言うとここには「確信あるポーズ」と「青年の主張ポーズ」というテクニックが入っています。

(1) は、われらが小保方晴子さんが一躍、お茶の間の時の人となった記念すべきプレ ゼンです。
これをきいてみると、非常に上手いプレゼンであることがわかります。

「…隠された細胞メカニズムを発見しました」
「…胎盤にも胎児にもなれるという特徴的な分化能を有していることがわかりました」
「…2種類の細胞株を取得することに成功しました」

 「えーと」「あのー」などの「つなぎ」の言葉が一切入らない。それぞれのセンテンスの語尾まで迷いなくきれいに言いきっています。聴衆に向ける笑顔に曇りひとつありません。

 そして最後の決め、
「もしかしたら夢の若返りも目指していけるのではと考えております」
 この言葉は内容的にはすごく飛躍しているのですが、きれいなよく通る発声を維持したまま、確信をもって発音しています。ですのでこの言葉を頼りに、一時の夢をみてしまった高齢者のかたも多いようです。

 これらが、聞き手にとってどのような効果をもたらすか。
「ここまで迷いなく言い切れるのは、何度も実験に成功し、自分の中に確信があるからだろう」
 普通の人は、そう思います。

 それはわたしたち自身が、そうだからなのですね。大勢の人の前で話すということは非常に緊張するものです。そこで確信をもって語尾まできっぱり言い切れる、感情的なブレもなく、というのは、自分が何度も経験した上で確信を持っているからに違いない。わたしたちのうちほとんどの人が、そうでないとそのようなプレゼンは出来ないものです。

 しかし、そうした類推(ヒューリスティック)を裏切るのが、小保方さんのプレゼンです。

 前々回の記事(9)「STAP細胞はあります!」は本当か?Amazonレビュアーが読み解くプロジェクトの破綻 をお読みになった方なら、小保方さんは、「テラトーマができていない」という致命的な欠陥を隠したまま論文を書き、このプレゼンを行ったことがわかります。

 しかし、そういう「瑕疵」の匂いを一切感じさせない。可愛らしい満面の笑みを浮かべながら、伸びやかな発声でよどみなく、達成してきたことと今後のシナリオまで言い切ります。
 これが、「小保方プレゼン」の凄さです。
 プレゼンだけをきいたら、物凄く優秀な研究者であるように見えます。

 (もっとも、多くの偽健康食品や投資詐欺などの説明会で講師を務める人は、得てしてこういうものなのかもしれません)


(2)4月の釈明会見

 非常に長い動画ですが、ここでの小保方さんは1月のプレゼントはまた別の顔をみせます。
 まず、髪はシンプルなハーフアップ。フィット&フレアーのすっきりしたシルエットの紺のワンピース。
 プレゼンの口調は、1月の時よりはやや甲高くか細く、単調。ごくまれに質問に答えて「あのー」が出る以外はやはりよどみがありません。

 そして顔の表情。この『あの日』出版以後は、この会見の時の顔写真がTVでも頻繁に使われています。少しうつむき加減の、今にも泣きだしそうな表情。唇は小さく形よく結んでいることが多く、お雛様のよう。1月の時より一段階、あどけなく可愛らしい印象になります。

 お顔の表情だけを拝見すると、30歳の人というよりは、女子大生、いや女子中学生、下手をすると小学生のような印象です。

 見ていて胸が痛くなります。こんな幼い弱々しい表情をしているんだから、ちょっと刺激したら泣き出してしまうんじゃないか―。しかし小保方さん、2時間以上にわたって口調は変わりません。涙を流した場面もありましたが、また今にも泣き崩れそうに涙声が混じりかけた場面もありましたが、語尾に震えなどは一切入りません。その状態のまま、きれいに各センテンスを言い切っています。

 あの有名なフレーズ
「STAP細胞は、あります」
 この言葉は目をぱっちり大きく見開いてまじまじと質問を発した記者を見つめ、軽くうなずきを入れながら、児童劇団のセリフのようにはっきり発音されています。

 全体として、これによく似た若い人のプレゼンを見た、と思ったのは、そう、「青年の主張」です。
 小さな、取るに足らない存在の私。無力な私。その私が一生懸命実験をした、一生懸命やった。その中に一部、ミスがあったけれどそれは未熟な私がしたことなんです。全体としては良い意図をもってやっているので許してください。やや甲高い声のトーン、幼さと一生懸命さを印象づける顔の表情、いかにも「青年の主張」という感じです。

 ただ当時30歳という年齢や、修士時代から7年間の華麗な研究者履歴を考え、またNatureという世界の研究者が羨む雑誌への掲載という研究者としての円熟のステージを考えると、本当は幼い表情も「青年の主張」ポーズも、ちょっと無理があるのですが・・・。
 その無理を強引に押し切ってしまうのが小保方さんなのでした。

 このシリーズを執筆し始めてから友人と対話したところでは、友人の中でも聡明な、しかし非常に優しい人が、この時の会見で小保方さんに同情したことがわかりました。
「優しい」人の心をつかむプレゼン術を心得ている、したたかな小保方晴子さんなのでした。

 ここでも同じです。顔の表情や声のトーンをそのように調整し、よどみを作らないことで、小保方晴子さんは「一生懸命な、悪くない私」を演出してしまっています。

 そして、それを聴いているみているわたしたちの側にある「ヒューリスティック」とは。

「こんなに若くて、良家のお嬢さん風のあどけない顔立ちの女性が、一生懸命な面持ちでブレずに話しているのだから、悪いことをするわけがない」

 そういうヒューリスティックがわたしたちの中にあります。なまじ人生経験が豊富だからと、わたしたちの頭の中に刻まれている推論が、わたしたちを正しく考えることを妨げます。

 (1)(2)をまとめますと、(1)は「成果が上がりました!」というときの、経験豊富で確信に満ちた自分を演出するプレゼン。
 (2)は、小さい幼い自分と、一生懸命な良い意図をもった自分を演出するプレゼン。

 これまでの人生で、小保方さんは、この(1)(2)を上手く使い分けてきたことが想像されます。
 例えば、早稲田のAO入試や、「日本学術振興会特別研究員DC1」の取得のための「情に訴える」プレゼンなら幼く一生懸命な(2)を。
 また学会発表や、理研ユニットリーダーへの応募のプレゼンなら確信に満ちた(1)を。
 あるいは場合によって、(1)(2)の混合を。

 『あの日』には、2012年12月、理研ユニットリーダーに応募しプレゼンを行った小保方晴子さんが、そこで故笹井芳樹氏(理研グループディレクター=当時。のち理研CDB副センター長。2014年8月没)と出会ったくだりが書かれています。
 ここでも、笹井氏は小保方さんのプレゼンに「コロッと」騙されてしまったようです。

 多くの人が、「笹井氏ほどの人が何故騙されたのか?」と疑問を投げかけるのですが、小保方さんのプレゼン能力というのはそれほど凄いのだ、というしかないでしょう。恐らく、2007年以来様々な学会に顔を出す中で、経験豊富な研究者の口調や仕草などを物にしていったことでしょう。また上手くいかないところがあっても細部まで辻褄を合わせるテクニックも発達させていたでしょう。
(注:笹井氏側の「騙されやすかった」要因については、次回の記事で取り上げたいと思います)

 しかし、ウソをつき通した末にSTAP論文が大々的に発表になり、世間の注目を集めたことで不正が追及されることになる、というところまでは、小保方さんは想像力が働かなかったのでした。



3.ハロー効果:強い後ろ盾と英会話力、そして「美形」


「高名な学者たちが、本当は中身のない小保方晴子さんに何故騙されたのか?」

 だれもが抱く疑問です。

 この問いには、小保方晴子さんの7年間の研究者人生の後半の方で出会う学者たちについては、「ハロー効果」で説明できます。これもヒューリスティックの1つです。

 つまり、前任者の上司や指導者たちが「この人は優秀だから」と太鼓判を押してくれていると、それは「ハロー効果」となって小保方晴子さんを全面的に信用する材料になってしまいます。

 2010年、神戸の理研CDBに初めて行った頃の小保方さんは、それ以前の早稲田大学、東京女子医科大学、ハーバード大学時代の評価が積み上がっていました。ハーバードのチャールズ・バカンティ氏、東京女子医大の大和雅之教授、といった高名な学者たちの推薦もかちえていました。博士課程の学生の中でも最も優秀な人だけが貰える「日本学術振興会特別研究員DC1」を取得していることも、ハロー効果の材料になります。

 そうした「後光」の差すような教授たちの推薦という美しいアクセサリを身につけた小保方さん。その彼女に対しては毎日延々と長時間の実験をし、土日も出勤して実験し、成果が上がっているのかどうかはっきり分からなくても、それを疑問視したりはしません。「実験ノートを見せて」などと、初心者に言うような野暮なことも言いません。
(小保方さんの事件以後、この点は多くの研究機関で大分改善されたようですが)


 「ハロー効果」を補強するものとして、小保方さんの英会話能力も挙げられるかもしれません。ハーバード仕込み、非常に流暢に話す人だったようです。想像ですが、日本語でもこれだけ「感情表現」を沢山織り交ぜて話す小保方さんなので、英語でも普通以上に「感情語」を多用したかもしれないですね。その結果、ロジカルな会話しかできない多くの研究者と異なり、会話が弾んだかもしれないですね。英語に弱いとされる若山照彦氏(理研チームリーダー、のち山梨大教授)などにとっては、頭の上がらない存在だったかもしれません。

 これも、ビジネスの世界では「英語ができる」が過大評価されることが往々にしてありますので、気をつけたいところです。小保方晴子さんのように、能力の凸凹が大きいなかで言語能力だけが突出して高い人が、英会話が得意であるというのは珍しいことではありません。やはり「あくまで色々な能力の中の1つ」と考え、実行/責任に関わる能力を常に第一にみたほうがいいでしょう。


 ・・・えっ、「あれ」を忘れているだろうって?
 そうでした。
 第8回 「『キラキラ女子』の栄光と転落、『朝ドラヒロイン』が裁かれる日」でもとりあげましたが、「お顔」「見た目」という要素、やはり大きいですね。

 大きくていい、というつもりはないですよ。容姿などではなく、実力で選ばれるのが理想です。ただ現実には大きいです、残念ながら。
 研修講師のわたしからみて、「えっ?」と思うような、明らかに人格が悪いとか能力が低い人を、お顔がキレイだからと、マネジャーに引き上げようとするトップの方、いらっしゃいますね。

 部下側の人に「上司との関係」をきいていくうち、「人格が悪いけどお顔がキレイな人が、やっぱりマネジャーになりやすい」という声はきかれました。

 というわけで「見た目ヒューリスティック」「美形ヒューリスティック」というもの、やはり存在しそうです。

 ショーンK氏問題に絡めて、May_Roma氏は

「最も効率のよい投資は自分への投資だと言われています。ショーンK氏の件でわかったことは、成功するために最もコスパが高いのは整形だということです」

と、身も蓋もないことを言います。

 




 今回のまとめです。

(1) 自信満々なプレゼン
(2) 幼い、一生懸命な自分を演出するプレゼン
(3) 高名な人からの推薦
(4) 英会話力など外国語能力
(5) きれいな・かっこいい見た目

 ある人がこれらを持っているからと言って、うっかり信用しないようにしましょう。
 もちろん、これらを持っている人が「本物」である場合もあります。しっかりと言葉の裏をとり、細部まで確認しましょう。「事実」と「行動」が最も重要なのです。

 先週発覚した、ショーン・Kの経歴詐称事件は、ウソつきの人が長期間、東京キー局のTVコメンテーターという目立つ場所に起用されていて、誰もその経歴を疑わなかったという現象でもありました。
 人の言葉(表示も)をうっかり信用せず、細かく裏をとる作業、大事ですね。スマホ時代でわたしたちはどうしても認知的負荷をサボりがちになります。気をつけたいところです。


 次回は、騙された側の上司たちには、何が起こっていたのか?正田と同世代の「おじさん」たちの心理を読み解きます。



これまでの記事:
●社会人のための「小保方手記」解読講座(1)―印象的な”ツカミ”のエピソードはこう読め!Vol.1
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51935543.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(2)―印象的な”ツカミ”のエピソードはこう読め!Vol.2
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51935599.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(3)―1位マネジャー製造講師・正田が読む・晴子さんのプロファイリングはVol.1
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51935610.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(4)―正田が読む・晴子さんのプロファイリングVol.2 小保方さんの生育環境は
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51935705.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(5)―プロファイリングVol.3 多彩な感情表現は人を被害者的にする!心理学セミナー、カウンセリングの副作用のお話
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51935878.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(6)―「私の会社でも」読者からのお便り
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51936058.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(7)―“惑わされる”理系男子:女性必見!もしもあなたの彼が「隠れ小保方ファン」だったら
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51936162.html
 
●社会人のための「小保方手記」解読講座(8)―「キラキラ女子」の栄光と転落、「朝ドラヒロイン」が裁かれる日
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51936340.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(9)―「STAP細胞はあります!」は本当か?Amazonレビュアーが読み解くプロジェクトの破綻
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51936570.html

●社会人のための『小保方手記』解読講座(10 )―再度「STAP細胞はありません」―「ウソ」と真実・ネット世界と現実世界のギャップ、社会人の分断リスク
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51936986.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(11)― 騙されないためのケーススタディー:小保方晴子さんが使った「ヒューリスティック(自動思考・錯覚)」の罠
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51937126.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(12)情けないぞおじさんたち!!「ええかっこしい上司」「放置プレイ上司」そして「欲得・不正系上司」(前編)
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51937436.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(13)情けないぞおじさんたち!!「ええかっこしい上司」「放置プレイ上司」そして「欲得・不正系上司」(後編)
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51937542.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(13)情けないぞおじさんたち!!「ええかっこしい上司」「放置プレイ上司」そして「欲得・不正系上司」(後編)
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51937542.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(14)(最終) まとめ:あなたの会社から「モンスター」を出さないために―女性活躍、発達凸凹対応、そして改めて「行動承認」
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51937655.html


●エイプリルフール特別企画・シリーズ番外編:社会人のための「小保方情報」解読講座
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51937719.html

あの日


  小保方晴子さんの手記『あの日』(講談社、2016年1月)の読書日記 第10弾です。

 今回の内容は:

1.「STAP細胞はありませんでした」と研究不正
2.「ぶっちゃけ小保方さん大嫌い」なぜ、このシリーズを書き続けるか
3.ネット世界と現実世界のギャップ


 それではまいりたいと思います―


1.「STAP細胞はありませんでした」と研究不正


 まず、前回のおさらいです。

社会人のための「小保方手記」解読講座(9)「STAP細胞はあります!」は本当か?Amazonレビュアーが読み解くプロジェクトの破綻
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51936570.html


 この記事のポイントは「STAP細胞はありません」。

 小保方晴子さんが「夢の若返りも可能です」と声を張り上げて主張した、万能細胞のSTAP細胞なるものは、存在しません。
 多能性を証明するための肝心のテラトーマ(奇形腫)ができていなかった。小保方さんがそれを隠し通して、研究を続け周りの人を巻き込みNatureにまで掲載させたことで、死者まで出る騒動になった。これがSTAP事件の根幹だ、ということです。

 その、一番都合の悪いことを、ウソだらけのこの本の中で小保方さん自身が「ぽろっ」と書いてしまったところに、この本の価値があります。
「STAP細胞はあります!」
 もう、あの魔法の杖は使えないのです。

 自慢ではありますが上記の(9)の記事をアップした12日(土)の夜、理研のサーバーからもこの記事にアクセスがありました。ひょっとしたら、『あの日』の出版以来苦虫をかみつぶした顔で推移を見守ってきた理研の現在の研究者たちも、この本に「不都合な真実」が書いてあることがわかって胸をなで下ろしたかもしれませんね。

 また、小保方さんの行った「悪事」の程度を確認しておきたいと思います。これも上記の記事の末尾部分に書きましたので、ご覧にならなかった方も多いかも。再掲します。

「「論文不正」ではなく「研究不正」、
 これも、仁さんのこのすぐ上のコメントに出ていますね。
 そのようにこの問題を捉えないといけません。
 うっかりミスで論文に瑕疵をつくったわけではない、そもそもの出発点でできていないものをできたと言い、研究をすすめたことの結果が論文不正であり、全体として「研究不正」と捉えるべきなのです。

 だから、小保方晴子さんが今、研究界から追放された状態になっているのも、身から出た錆、仕方のないことなのです。」


 本シリーズ読者の皆様は、このことも是非、押さえておいてください。

「小保方さんが小さないくつかのミスのために研究者生命を絶たれるのは可哀想」
「若い研究者の将来を奪っていいのか」

 これらの同情論は、当たっていません。小保方さんは、自分のしたことの大きさのために順当な制裁を受けたのです。これは野球賭博や八百長相撲を行った選手や力士が永久追放になるのと同じです。



2.「ぶっちゃけ、小保方さん大嫌い」なぜ、このシリーズを書き続けるか

 『あの日』出版以来、多くの論者がネット上にも意見をUPしています。批判派、同情派、賛否両論入り乱れています。

 3月13日(日)の朝日新聞書評では、この本をかなり好意的に取り上げました。

*********************************************
 (略)
 …いわば、まわりの大人たちに振り回されながら、その期待に応えようとして、本人は一生懸命頑張る涙と根性の物語である。研究者の複雑な人間関係、主人公が女性であるがゆえの周囲の特別視といった側面からも読めるだろう。あえてジャンル名を与えるとすれば「少女サイエンス“ノン”フィクション」とでも呼ぶべきか。あまり読んだことがなく、だからこそ面白い。が、これが現実とリンクしていることが最大の驚きだ。
*********************************************

 残念ながら、本シリーズで指摘している「STAP細胞はなかった」この重要ポイントへの言及は、なかったですね。東北大学教授の書評子さんです。
 お蔭で、止まったかにみえていたAmazonでの売上もベストセラー184位から64位と、息をふきかえした感があります。

 で、本シリーズのスタンスはどうなのか、というと。
 正直、ぶっちゃけ、正田はこの本の著者のことは「大嫌い」であります。(あ、初めて言っちゃいました)あの「STAP細胞はあります!」の会見にも嫌悪感しか抱きませんでした。このシリーズの毎回の記事を、吐き気をこらえながら執筆しています。ウソ、妄想、他責、被害者意識にまみれた本だと思っています。

 なんでじゃあ、そこまでしてこのシリーズを執筆するのか、と思われますでしょうか。

 それは、「社会人の分断」を危惧する立場からです。

 わたしはもともとはこの本のことも購入する予定はありませんでした。「印税稼ぎ」の意図が見え見えで、不快感の塊でした。
 ところが、Amazonレビューを見ているうち、とりわけ前回の記事に登場したパルサさんのレビューを見るうち、
「そうか、ウソだらけの本ではあっても著者自身が自分に都合の悪いことを漏らしている部分があるのか」
と気づき、そこで初めて価値を認めてAmazonの中古で購入したわけです。

 そうなのです、この本は「研究不正」に関心のある人にとっては一級の資料と思います。資料として持っておきたい方は、かつ著者に印税を渡したくないという方は、中古で購入なさってください。



 それはともかく。
 第8回にも書きましたが、この本の読者層が、主に若手社会人と高齢者層らしいということ。
 そのうち若手社会人は、アドラー心理学の『嫌われる勇気』の読者層と重なるということ。

 このことを考えると、この本『あの日』は、また新たな社会人の中の上司世代―部下世代の分断の火ダネになるかもしれないな、と思っています。
 まさか、と思われますでしょうか。


 『嫌われる勇気』のときも、わたしは30代若手リーダー層との間に目に見えない壁を感じていました。『嫌われる勇気』は、会社にも上司にも不信感をもつ若手向けに、「周囲に認められることを期待するな。自分の軸で生きよ」と、「精神的マッチョの教え」を勧める本です。

 いわば、欧米的「アトム型自己観」の極端なものを植え付ける教えと言ってもいい。そこへ、わたしがやっているような、「人は本来他者とのつながりを前提に自己をつくり、仕事をするものだ」という「承認論」のマネジメントを説いても、まったく受け付けられないのです。
 その「受けつけない」態度は、一種の洗脳のようにも感じました。
 
 それと同じ効果が、この本『あの日』に、あるのではないだろうか。
 それは26万部という、ベストセラーとはいえ「微妙」な部数ではあっても、今からジワジワと人の心に影響を与えるのではないだろうか。


 多数の良心的な識者の方がネット上にこの本と著者に対する批判のコメントや記事を書かれています。
 ただ、それをみて不肖わたしが思うのは、「批判」するのはむしろ簡単だということです。一瞬で切って捨てること、嫌悪の感情をまぶしてこの本を語ること。心ある人にとっては自然な行動ですが、それだけではこの本に心情的に吸い寄せられた人たちには説得力がない、ということです。

 わたしも、本音ではそうしたい。
でも、それだと対話の糸が切れてしまいます。うっかり、この本に感情移入して読んでしまった人たちと永遠に話が通じないままになってしまいます。



 このシリーズ継続中にも、企業の管理職研修では40-50代の管理職の悩みとして、「若手と話が通じない」ということが挙がります。
 もし、管理職側の正当な努力にもかかわらず若手側に「心の壁」が作られていてしまったら―、それを崩すのは、容易ではありません。



 この本は、たとえば昨年6月に出版された『絶歌』などとは、また違う種類のインパクトがあります。現実の職場を舞台にし、現実にいる、どこにでもいそうな男性上司たちが登場するからです。
 理研チームリーダー(当時)だった若山照彦氏の言動1つ1つを再現して、若山氏の異常性を強調するように、また著者自身の被害者意識をたっぷりまぶして書いています。
 読者にはそれが事実か否か知るすべもなく、極めて具体的に記述されているのでよほど注意深く読まないと事実と信じ込んでしまいます。この本に感情移入した人は若山氏が悪人であることを刷り込まれていきます。

 そうして、「上司=悪」と学習した若い人々は、自分の職場の上司たちにも若山氏との共通点を何かしら見出し、不信感を募らせるための口実とすることでしょう。


 もうひとつの時代背景として、「総スマホ依存」。いまや、電車に乗ってスマホ、タブレットに向かっていない社会人世代などないと言っていいくらいです。そしてスマホ育ちの若い人たちの、脳機能の偏りや行動力不足が指摘されています。

 行動しなければ、上司から叱責される頻度も高くなる。仕事の現場とはそういうものです。ところがそのために若い働き手たちの未熟な自己愛が刺激され、ちょっとしたキッカケで被害者意識を募らせ、キレたり上司に憎悪を募らせる可能性というのはたぶんにあります。
 そのように、「弱い若い人をますます弱くする」場合によっては、恐ろしい作用を持つ本であります。



3.ネット世界と現実世界のギャップ:「晴子さん」が跋扈する?ネット世界



 小保方晴子さんのプロファイリングについては、このシリーズで下記に取り上げましたが、
(3)―1位マネジャー製造講師・正田が読む・晴子さんのプロファイリングはVol.1
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51935610.html

(4)―正田が読む・晴子さんのプロファイリングVol.2 小保方さんの生育環境は
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51935705.html 

(5)―プロファイリングVol.3 多彩な感情表現は人を被害者的にする!心理学セミナー、カウンセリングの副作用のお話
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51935878.html 

 ・・・が、ここに挙げた見方はまだ「甘い」のかもしれません。

 巷には、もっとはるかに厳しい見方が溢れています。

 『虚言症、嘘つきは病気か DR.林のこころと脳の相談室特別編(林 公一、impress Quickbooks,Kindle版、2014年8月)には、小保方晴子さんとそっくりな、自分を盛ってしまう・研究のデータすら捏造してしまう人物の事例のオンパレードです。これらを、著者は「自己愛性人格障害」「演技性人格障害」と名づけます。

 『自己愛モンスター―「認められたい」という病』(片田珠美、ポプラ新書、2016年3月)では、小保方晴子さんを名指しで取り上げ、
「私の見立てでは、小保方さんは『空想虚言症』である」
としています。

 こうした、疾患名を挙げる作業は、専門医のかたにお任せしておこうかな、と思います。ただし、このブログでいう「ASD-ADHD」の「能力の凸凹」は、それ単体では何の罪もないものであっても、生育環境や世渡りしてきた状況によっては、こうした「病気」に発展する可能性のあるものだ、と言えるでしょう。悪い面を助長してしまうような子育てがあったかもしれない。また変に能力の一番高いところに合わせたプライドを形づくってしまうと、小保方さんが「研究者になりたい」と今も望み続けるような、身の丈に合わないプライドになってしまうかもしれません。
 そしてそうした疾患名のつく段階になってしまうと、残念ながら「異常人格」として恐怖や嫌悪の対象になったりするものです。

 小保方晴子さんのしてきたことについても、わたし個人はやはり、嫌悪の念を隠せないでいます。
 それは、男性上司たちの「引き」で、ご本人の能力よりはるかに高いところまで引き上げてもらいそのことに一点の疑問も感じずにいたらしいこと、そして過剰な上昇志向の帰結として「テラトーマできてないやんけ!」を隠し通したままSTAP研究を推進していたこと、若山氏や笹井氏といった高名な学者たちを巻き込み、笹井氏に至っては死に至らしめてしまったこと。そしてこの本、『あの日』を出版して若山氏を悪者扱いしたこと。

 「STAP細胞はありませんでした。」ここを起点に、小保方さんのしたことの全体像が明らかになればなるほど、そこに嫌悪の感情を持たずにはいられません。

 しかし。
 
 大人世代のこうした冷ややかな視線をよそに、ネット世界には案外、小保方さんへの同情論・擁護論が溢れている現実があります。

 Amazonレビューでは本日現在、全702レビュー中★5つが421、★1つが140、平均3.9。

 これを昨年6月に出版された『絶歌』(元少年A、太田出版)と比べてみましょう。本日現在、全2,109レビュー中★5つが248、★1つが1,577、平均1.7です。
 ですので一般的に「良書」といわれる本のレビューの水準には届かないものの、ワルイコトをして処分を受けた人の手記としては、大いに健闘しているといえます。
(ちなみに『あの日』の評価、他店でみると楽天ブックスでは4.65、ヨドバシカメラ3.62でした)


 そして、擁護レビューの内容をみると、先にも挙げたように
「若い研究者の未来を潰していいのか」
「小さなミスで小保方さんだけが責められるのはおかしい」
といった感情論。
「こうして若い人にすべてを押しつける組織の風潮はある」
といった、同世代の人らしき自分に惹きつけた同調論。
あるいは「STAP細胞はある」に立脚した、どこかの巨大組織によるSTAP研究潰しがあった、という「陰謀論」。

 ―陰謀論の側からは、今盛んにKindle本が出版されています。「STAP細胞はあります」であったほうが、陰謀論の方々は際限なくSTAP細胞と小保方晴子さんを使ってご商売ができるのです。

 現実世界とのつながりが弱く、ネットから主な情報を取り込む若い人がこうした言説から影響を受けないか、というのは、大変心配になります。
 

 わたしがこの「社会人のための『小保方手記』解読講座」を書き続けるのは、こうした若い人たちに何とか「届く言葉」を書きたい。また現場で若い人たちをみておられる上司の方々にも、同様に「届く言葉」を語っていただきたい。両方をつなぐ言葉を書きたい。それに尽きるように思います。



 本シリーズ今後は:

●小保方晴子さんが使った「ヒューリスティック(自動思考・錯覚)」の罠
●情けないぞおじさんたち!バブル世代の「ええかっこしい」上司群と欲得上司群


 ・・・といったことを、取り上げたいと思います。
 読者の皆様、どうか応援よろしくお願いいたします!m(_ _)m



 おまけ:19日(土)、久しぶりに発達障害をもつ大人の会さんの会合にお出かけしてきました。

 1人、「空想に入ってしまう」タイプの発達障害(診断名は「広汎性発達障害(PDD)」)の方にお会いし、少し詳しくお話をきかせていただきました。
 仕事で入力作業をしていても途中から空想に入ってしまう。空想の内容は、過去の嫌な思い出のときもあるし、理想のなりたい自分のときもある。周りの人と上手くコミュニケーションが取れている状態の自分や、有名人ではこれまで政治家、野球選手、サッカー選手になったことがある。
 政治家になったときは、どんなか。演説している自分を向こう側にみているときもあるし、自分の身体がそれをしているようなときもある。野球、サッカーなどでは、実際にプレーしているかのように自分の身体もかるく振動する。
 子供の頃から、勉強をしていても空想に入ってしまう。先生の話を続けてきいていられない。だから成績は悪かった。子供の頃の空想は、クラスの人気者になっているさまを思い浮かべるなど。

 この方は幸い、空想と現実を混同してウソをついてしまうようなことはない方のようでした。障碍者手帳をとり、障害者枠で働いていました。
 この会合にくる方々はそんな色々な形質について潔く認めている方々なので、ほっとすると同時に、人の多様性の豊かさというものに改めて目を開かされるのでした。

 またこの会で、小保方晴子さんの代理人、三木秀夫弁護士が、2014年当時「発達障害について知りたい」と周囲に語っていた、というお話も伺いました。



2016年3月25日追記:

 今月19日付で「アメリカのSTAP細胞研究」なる情報が飛び交い、
「STAP細胞は本当はあったのではないか」
「小保方さんはハメられたのではないか」
という、「陰謀論」がネットで再燃しています。

 iMuSCs(損傷誘導性の筋肉由来幹様細胞)というものを、アメリカの研究者グループが発見したが、これはSTAP細胞と同じアイデアではないのか?盗まれ、海を渡ったのではないか?

 これについては、当ブログでは否定しておきます。
 (9)でも登場された、Amazonレビュアーで研究者の「仁」さんのコメントを引用しておきます。

*********************************************

iMuSCsをSTAP細胞と同列に論じるのは、拙速だと思います。
もともと体内にあった多能性成体幹細胞を単離した、という議論の延長線上で捉えることもできるので。この議論は、21世紀に入ってからのトレンドです。

以下、発表年順に私の知るものを並べますので、詳細は、個別に検索してみてください。
MAPC(2001年 Catherine Verfaille)、MIAMI 細胞(2004年 Paul C. Schiller )、VSEL(2006年 Mariusz Z. Ratajczak )、BLSC(2007年 Henry E. Young )、Muse細胞(2010年 出澤真理)、Muse-AT(2013年 Gregorio Chazenbalk)

Muse(Multi-lineage differentiating Stress Enduring)細胞については、『あの日』でも紹介されていました。
また、『あの日』では、小保方氏が2008年までの先行研究を整理したことが述べられていますが、上記の多能性成体幹細胞についても、調べたことと思います。
幹細胞生物学が専門ではない私でも知っているくらいですから。

また、STAP細胞のように、「体細胞を多能性細胞に初期化する方法」については、小保方氏が取り組む前から、既に日本で研究されていました。
STAP細胞のアイディアそのものが、二番煎じという側面があります。

奇しくも、小保方氏が若山研でテラトーマを作成するため、STAP「様」細胞の移植実験を行ったその前日(2012年12月26日)に、熊本大学准教授の太田氏による研究がPLOS ONE誌に掲載されました。
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0051866
本件は、2012年末に、日経新聞で取り上げられています。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG29011_Q2A231C1CR8000/

熊本大学は、上記論文の技術に関して、5年近く前(2011年7月11日)に国内特許を出願しています。翌年(2012年7月)には、国際特許も出願されました。
・発酵能を有する細菌を用いた多能性細胞の製造方法
http://jstore.jst.go.jp/nationalPatentDetail.html?pat_id=33241

いずれにせよ、小保方氏の方法では、小保方氏自身がSTAP細胞を用いたテラトーマの作成に失敗しており、多能性は証明できませんでした。
したがって、小保方氏の方法ではSTAP細胞を作成できない、という点については、誰がどんな発表を行おうと、未だ完全に否定されている状況に、何ら変わりありません。


*********************************************


 また、このiMuSCs(損傷誘導性の筋肉由来幹様細胞)の論文が掲載されたのは、Nature Scientific Reports (ネイチャー・サイエンティフィック・リポーツ)という雑誌で、ネイチャー・グループの発行する雑誌ではありますが、他の雑誌でリジェクトされた論文もどんどん掲載する、査読のゆるい雑誌です。追試などはしていません。ですのでこの研究に再現性があるかどうかはまったくわからない、というものです。

●Nature Scientific Reportsの掲載基準はこちら
>>http://www.natureasia.com/ja-jp/srep/journal-information/faq#q2



これまでの記事:
●社会人のための「小保方手記」解読講座(1)―印象的な”ツカミ”のエピソードはこう読め!Vol.1
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51935543.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(2)―印象的な”ツカミ”のエピソードはこう読め!Vol.2
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51935599.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(3)―1位マネジャー製造講師・正田が読む・晴子さんのプロファイリングはVol.1
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51935610.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(4)―正田が読む・晴子さんのプロファイリングVol.2 小保方さんの生育環境は
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51935705.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(5)―プロファイリングVol.3 多彩な感情表現は人を被害者的にする!心理学セミナー、カウンセリングの副作用のお話
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51935878.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(6)―「私の会社でも」読者からのお便り
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51936058.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(7)―“惑わされる”理系男子:女性必見!もしもあなたの彼が「隠れ小保方ファン」だったら
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51936162.html
 
●社会人のための「小保方手記」解読講座(8)―「キラキラ女子」の栄光と転落、「朝ドラヒロイン」が裁かれる日
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51936340.html

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●社会人のための『小保方手記』解読講座(10 )―再度「STAP細胞はありません」―「ウソ」と真実・ネット世界と現実世界のギャップ、社会人の分断リスク
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51936986.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(11)― 騙されないためのケーススタディー:小保方晴子さんが使った「ヒューリスティック(自動思考・錯覚)」の罠
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51937126.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(12)情けないぞおじさんたち!!「ええかっこしい上司」「放置プレイ上司」そして「欲得・不正系上司」(前編)
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51937436.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(13)情けないぞおじさんたち!!「ええかっこしい上司」「放置プレイ上司」そして「欲得・不正系上司」(後編)
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51937542.html

●社会人のための「小保方手記」解読講座(14)(最終) まとめ:あなたの会社から「モンスター」を出さないために―女性活躍、発達凸凹対応、そして改めて「行動承認」
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51937655.html


●エイプリルフール特別企画・シリーズ番外編:社会人のための「小保方情報」解読講座
>>http://c-c-a.blog.jp/archives/51937719.html

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